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TRPG系実験室 2

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0001創る名無しに見る名無し
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2018/09/07(金) 22:56:07.99ID:c8v0uQxh
TRPG関係であれば自由に使えるスレです
他の話で使用中であっても使えます。何企画同時進行になっても構いません
ここの企画から新スレとして独立するのも自由です
複数企画に参加する場合は企画ごとに別のトリップを使うことをお勧めします。
使用にあたっては混乱を避けるために名前欄の最初に【】でタイトルを付けてください

使用方法(例)
・超短編になりそうなTRPG
・始まるかも分からない実験的TRPG
・新スレを始めたいけどいきなり新スレ建てるのは敷居が高い場合
・SS投下(万が一誰かが乗ってきたらTRPG化するかも?)
・スレ原案だけ放置(誰かがその設定を使ってはじめるかも)
・キャラテンプレだけ放置(誰かに拾われるかも)
0063水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
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2018/10/09(火) 00:27:08.95ID:i0JZoP4T
>>61
投下お疲れ様です!
自分は結果的に早く投下できてるだけなので遠慮なく期限目いっぱい使ってください!
時間的に都合がつかないときは一言書き込んでくだされば延長しても大丈夫ですので!
この企画もいよいよラスト目前。未熟なPLですがもうしばらくお付き合いください。失礼しました】
0064八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:22:49.64ID:SWf2AkUi
>「八木先輩、桐山先輩。私に任せてください。ここは私がやる!」

「……うん。やってみるといいよ」

水鳥がベンケイとの一騎打ちに名乗り出ると、優樹はそれを即座に承諾した。

>「なるほど、今回は君がリーダーだ。
 それなら……僕は援護するとしよう!水鳥君、君にならできる!」

桐山の言う通り、このチームのリーダーは彼女だ。
だがそれだけではない。

優樹は良い奴になりたかった。
水鳥が身を置くはずだった強豪のゲーム部を壊してしまった、罪滅ぼしがしたかった。
故に、彼女の望みを否定する事など出来る訳がない。

これで良かったのかは分からない。
こんな事はただの、飢えた犬にたった一食分の餌をやるような、
その場限りの自己満足に過ぎないのかもしれない。

>「……ずっと後ろから見てたよ。みんな凄いファイターだって思った。
  自分もあんな風に戦えるのか不安になっちゃうくらいに。
  けど私、すごくわくわくしてる。みんなの戦いを見て熱くなったから!」

それでも――少なくとも彼女は今、このゲームを楽しんでいる。
戦いに熱中して、高揚している。

>「私も全力で楽しみたい!この一瞬、この戦い、このイベントを!
  お楽しみはまだまだこれから!こんなところで負ける訳にはいかない!」

これで良かったはずだと優樹は自分に言い聞かせる。
それから操縦桿を握る手を一度開き、すぐにまた握り直して、意識を切り替えた。
これからエクスフォードとベンケイの一騎打ちが始まる。
ならば自分は桐山と共に、邪魔が入らないよう援護をしなければ、と。
もっとも――運営スタッフであるモータルが、そんな会場が盛り下がるような茶々を入れる事はないだろう。
他の参加者にしても、大勢に顔が見られるリアルイベントでそのようなプレイをする者は殆どいない。
正直なところ、心配は無用だと優樹は感じていたが――だとしても今は試合中だ。
目の前に敵がいれば、すべき事は決まっている。

「……僕も、縛りプレイついでにもう少し楽しませてもらおうかな」

優樹はそう言ってにやりと笑うと、随伴機の片割れに視線を向けた。
彼は幼少期からARデバイスに触れてきた、生粋のゲーマーだ。
水鳥への負い目から解放された今、次に自身の楽しみを考えるのは当然の事だった。
自機の右腕が切断されているにもかかわらず、その視線には勝利の確信。
コープスブライド射撃型の操縦者はバイザーの奥で目を細め、眉根を寄せた。

「その損傷で……言ってくれる。あまり強気な発言は控えた方が身の為だぞ。
 ベンケイを相手に白兵戦を制したあの活躍に、泥を塗る事になる」

「心配いりませんよ。負けませんから」

なおも強気な言動。
それを聞いた瞬間に、コープスブライドの操縦者は動いていた。
主兵装であるビームライフルを構え、クラウンへと銃口を向ける。
しかしその動作が完了した時には、クラウンは既に近くのキューブに身を隠していた。
そして左手から爆弾を生成。
キューブから一切姿を晒さないまま爆弾を遠投。
0065八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:23:06.78ID:SWf2AkUi
とは言えモータルも優樹の遠投技術は確認済み。
閃光弾を警戒して撃ち落とす事はせず、冷静に回避する。
位置を変えてしまえばノールックの遠投はもう叶わない。
一度、敵機の居場所を確認する必要がある。

量産機を使用しているとは言え、モータルは誰もが操縦技術に優れたプレイヤーだ。
クラウンが自機の位置を確認する為に顔を出せば、すぐさまビームライフルで撃ち抜く。
それが彼には可能だった。

だが――クラウンが次に取った行動は、彼の予想とは異なっていた。
クラウンは――再び爆弾を投擲した。
水風船が描く軌道は、コープスブライドへの直撃コース。
0066八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:23:27.25ID:SWf2AkUi
「なっ……」

想定外の攻撃に動揺しつつもモータルはそれを回避。
しかし爆弾は更に二発、三発と、やはり的確な狙いによって降ってくる。
センサー頼りの爆撃ではない。ベンケイに搭載されている高精度センサーでもなければこんな芸当はなし得ない。
では何故、どうやって――爆弾に追い立てられながらどれだけ思考を回転させても、答えは分からなかった。

「……やっぱり、ノイジーモデルのカラーリングはこれに限るな」

メタリックグレーの機体。その指先を見つめながら優樹は呟いた。
キューブの陰から指先だけを出して、鏡のようにして敵機の位置を確認しているのだ。
ガチ勢である優樹が汎用迷彩色ではなく、あえて機体をメタリックカラーにする理由がこれだった。

この状況、最早コープスブライドにベンケイの援護をする余裕はない。
一方で優樹は、数秒爆撃を止めたところで反撃をもらう可能性はほぼゼロだ。
水鳥が上手く戦えているか、ちらりと彼女へ視線を向けた。

エクスフォードは――ベンケイの一撃をまともに食らっていた。
胸部装甲がひび割れ、陥没。
更に一定量以上のダメージを受けた際に発生するスパークエフェクトが散る。

援護に入るべきか――優樹は瞬時にその選択肢を意識した。
ベンケイとエクスフォードとの一騎打ち。そこに随伴機達に水を差させる訳にはいかない。
だが――水鳥が負けてしまうようであれば話は別だ。
その時は自分が水を差す。優樹は最初からそう決めていた。

>「油断した……!でもまだまだ!」

しかし、水鳥の戦意はまだ失われていない。
それも破れかぶれの蛮勇ではなく、明確な勝利へのビジョンを持っている。
優樹にはそのように見えた。

>「射程距離まであと三節ぶん!」

エクスフォードは縦横無尽に振るわれる多節棍を見切りつつあった。
遠心力を帯びている為に高速かつ強力。
更に接着と分離による軌道変化も加えられた連撃を。

(紫水さんと言い、水鳥さんと言い……白兵戦の勘が良いんだな。
 センスがある……ゲーム部が元のままだったら、期待のルーキーになれたかもしれないな)

今更そんな事を考えても詮無い事だが――優樹は思わず目を細めた。
そんな事を考えている間にも、エクスフォードとベンケイの戦いは加速していく。
ベンケイは残り六節になった棍を二つに分離し、更なる高速連撃を繰り出す。

だが――それすらも次なる一撃への布石。
二本の棍による連撃が防げず相手が倒れればそれでよし。
防がれたならばその棍を捨て、四節棍を再構築し――渾身の一撃を見舞う。
まだ開発されて間もない新型機だと言うのに、高度に練り上げられた戦術だった。
0067八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:23:50.44ID:SWf2AkUi
>「"とった"ぞ――――!!!!」

ベンケイが勝利を確信し、叫ぶ。
その時既に優樹はクラウンを操作していた。
あらかじめ形成していた爆弾を振りかぶると、ベンケイへと狙いを定め――
0068八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:24:15.34ID:SWf2AkUi
>「こ、これは!?」

直後、モータルが驚愕を帯びた声を上げた。
エクスフォードが跳んだのだ。ベンケイの頭上を超えるほどに高く。
装甲と火力を重視した彼女の機体では本来なし得ぬはずの挙動。
優樹にすら予想していない事だった。

>「私の攻撃を読んでいたとでも言うのか!?」
「ワイヤーエスケープ!この瞬間を待ってたわ!」

それを可能としたのは――エクスフォードの兵装の一つ、ワイヤーアンカーだ。
水鳥はアンカーを頭上のキューブへと射出し、エクスフォードを釣り上げたのだ。

そしてアンカーを解除すると、そのままベンケイの頭部目掛けて鋏を振り下ろす。
これで頭部――つまりカメラアイとセンサーが破壊された。
次に何をされようと、ベンケイにはそれを感知する事は叶わない。

>「邪魔な追加装甲を引っぺがす、この瞬間を!!」

ベンケイの追加装甲が、鋏を用いた梃子の原理によって強引に、引き剥がされていく。
これで完全に、まな板の上の鯉だ。

「これで終わらせる――!」

「……余計なお世話だったみたいだな」

そう小さく呟くと、優樹は援護に用いるはずだった爆弾を投げ捨てた。
コープスブライドの位置もろくに確認せず、てきとうに。
それでも問題はなかった。最早随伴機への牽制などしなくても勝負は決まっている。

>「フォールディング・シザーズ!!!!」

一対の大鋏による六連撃。
ベンケイに刻み込まれた傷跡から、青白い光が漏れる。
斬撃属性の武器によって耐久値を削り切られた際の、特殊エフェクト。

>「ば、馬鹿なあぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」

そして――操縦者の断末魔を掻き消すように、ベンケイは爆散した。

>「晶ちゃん、お待たせ!」

「お見事。格闘戦が得意なんだね。正直……驚いたよ」

これで残る敵はベンケイの随伴機、コープスブライドの万能型と射撃特化型。
彼らの戦力では、最早チームつつじヶ丘高校を倒す事は叶わない。
だが――彼らはなおも弾幕を張り続けている。
それは明らかな時間稼ぎだった。

(そりゃ……この状況で一小隊でも増援が来れば、僕らは堪えられない。
 だけど、それはショーの結末としてどうなんだ?)

新型機であるベンケイを撃破したチームが、ただの量産機に数で押されて敗北。
今ひとつ盛り上がりに欠ける展開だ。
そんな事をモータル達が狙っているとは思えない。
だが、では何を狙っているのか。
0069八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:24:37.95ID:SWf2AkUi
>「救援要請……!トラフィックゴーストの援軍が一機接近してきます!」

不意に水鳥が張り詰めた声を上げた。
優樹のクラウンはより高い火力を出す為、センサー類へのエネルギー供給をカットしてある。
それ故、援軍機の接近を確認出来たのは彼女よりも後。
戦闘機めいた流線型の、漆黒のマシンナリーが皆のやや前方に着地を果たしてからだった。
0070八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:25:22.70ID:SWf2AkUi
>「もしかして……『オリオンスペクター』……!」
>「私の愛機の名を知っているとは……随分有名になったものだ」

「確かにオリオンスペクターだ……ベンケイに右腕をあげちゃったのは、失敗だったな」

ネット対戦におけるランクマッチで、優樹は何度かオリオンスペクターと遭遇している。
時には味方として、時には敵として。
故にその強さは伝聞などではなく、もっと明確な経験として知っていた。

>「高機動機体の新星、浦和零士選手だ。
  戦闘距離を選ばない戦闘スタイルと、いかなる距離でも敵の弱点を突く正確さ。
  僕のマクシミリアンはあの人を参考に組み上げたものだけど……雲泥の差を感じるよ」

桐山が言う通り、オリオンスペクターはあらゆる状況において戦闘可能な機体だ。
現行メタの象徴とすら言えるだろう。
機動力があるという事は、戦闘を行う距離と場所、そして相手を常に自分で選べるという事。
敵を撹乱する事も、火力を一点に集中させる事も単機で行えるという事。
つまりスキルキャップが高い――技術を磨けばどこまででも強くなれるのだ。

オリオンスペクターはそれに加え、武器も残弾が自然回復するエナジー系のみで固めている。
徹頭徹尾、一人で全てをやってのける為に造られた機体なのだ。

実際、ランクマッチでも浦和零士は一人で戦局を決めるほどの強さを発揮していた。
全国ランキング一桁、二桁が入り交じるほどの上位帯においてもだ。

>「……戦いは既に佳境を迎えている。君達ほどの大人数のチームは今回はいなくてね。
  チームつつじヶ丘の生存如何で戦況は大きく揺れる。そこで……私の出番というわけだ」
>「君達の健闘を讃え――実験台達よ、私が直々に相手をしよう」

優樹は何も言葉を返さなかった。
ただ操縦桿を動かしてクラウンに爆弾を生成させる。
左手だけでは爆弾は二つしか保持出来ない。ジャグリングも使えない。
それでも――何も出来ずに負けるつもりはなかった。

>「オリオンスペクターは高機動型万能機です!
 油断してる今が好機、最初から畳みかける!!」

そうして真っ先に動いたのは水鳥だった。
機先を制するべくエクスフォードの全武装を展開。
散弾とミサイルを嵐のごとく解き放つ。
更にその弾幕の中に紛れるように投擲されたブラストボム。

だが――オリオンスペクターはその全てを回避、迎撃してみせた。
エクスフォードの全武装を一度に投入しても、飽和攻撃になり得ない。
優樹は思わず舌打ちをしていた。

>「今のは挨拶だと受け取っておく。いい勝負にしよう、チームつつじヶ丘!」
>「まずはお返しだ。洗礼の一撃、とくと味わいたまえ!」

反撃に放たれたのは、随伴機によるミサイルの雨。

>「唸りを上げよ、可変速エナジーキャノン『アーレス』!
  破壊の驟雨を撒き散らせ、エナジーライフル『フラッド』!」

更にオリオンスペクターのビームキャノンによる目が眩むほどの爆撃。
エナジーライフルから絶え間なく発射される閃光の雨。
0071八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:25:40.61ID:SWf2AkUi
優樹は咄嗟に、クラウンに爆弾を投擲させていた。
オリオンスペクター目掛けて放たれた爆弾は、しかし即座に弾幕によって撃ち落とされる。
そして――大量の爆煙を発生させた。
威力の代わりに発煙量の数値を増加させたスモークグレネードだ。

射線が煙で遮られると、即座にクラウンはその場に伏せた。
そのまま床を転がり、位置を変える。
それでもオリオンスペクターによる弾幕は煙越しにも避け得ない。
だがミサイルの直撃をもらう可能性は激減した。
これで暫くは粘る事が出来る。
0072八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:26:41.26ID:SWf2AkUi
(だけど……粘って、その後どうするかだよな。
 僕一人がこの場を離脱する事は出来る。でもそれじゃ意味がない……)

しかしこの状況で、優樹がチームの為に出来る事がないのもまた事実だった。
クラウン・ノイジーモデルの性能では自分が生き残る事は出来ても、味方を助ける事は叶わない。
0073八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:27:02.31ID:SWf2AkUi
(一人で……やるしかないか)

チームとしての勝ちはもう拾えない。
ならばせめて自分が一矢報いに行こう。優樹はそう判断した。
片腕を失った機体でオリオンスペクターに勝つのはまず不可能だが、策がない訳ではない。

(正直、こんなの負けて当然。一発でも当たれば大金星……。
 最初から負けるつもり……って訳じゃないけど。
 上手くやれば、うちのゲーム部の評判は間違いなく伸びる)

そうすれば水鳥が今後イベントに参加した際に陰口を叩かれる事もなくなる。
新入部員だって来るかもしれない。
そんな事を考えつつ、優樹はクラウンに爆弾を生成させ――

>「相手は全国……だけど、それでもっ!ここで終わりたくはないっ!」

不意に聞こえた、桐山の悲鳴じみた叫び声。
どうにかして助けよう――とは思わなかった。
威力を抑えた爆弾をぶつけて、吹き飛ばしてやる事は出来たはずだった。
だがそんな事をしても後が続かない。
ほんの数秒、撃破までの時間が伸びるだけ。

そしてミサイルの炸裂音が響く。
マクシミリアンには決して耐えられるはずのない強烈な爆発。
だが――クラウンのセンサーに表示される友軍機の光点は、一つも減っていなかった。

>「私が居るわ、桐山先輩」

何が起こったのかは見なくても分かった。
センサー上で隣接する二つの青い光点。
微塵改が、マクシミリアンを庇ったのだ。

>「桐山先輩。私ね、今とっても楽しいの。
  死力を尽くしてベンケイを打ち倒し、次の相手は全国区の選手。しかも全力のぶつかり合いよ。
  次はなにをしてくるのかしら。どうやって、それを攻略しようかしら」

その場を凌いだところで、どうせ次はない。
とは、紫水は考えなかったのだろう。

>「足が壊れたなら私が背負うわ。攻撃は全部私が受ける。桐山先輩は攻撃に集中して。
 まだ実装されていないけれど……マシンナリー同士の『合体』を、運営に見せつけてやりましょう」

マクシミリアンを担いで足の代わりになったとしても、やはりそれだけでは足りない。
オリオンスペクターの機動力は、微塵改ではどう足掻いても追いつけない。
そんな事も――やはり紫水は、考えなかっただろう。
ただがむしゃらに目の前の味方を助けて、味方と一緒に勝とうとしたのだろう。

(やっぱり……僕はまだまだ、嫌な奴をやめられてないみたいだ。
 ……だからもう一度、罪滅ぼしをしないと)

優樹は、前方に広がる煙幕を鋭く睨んだ。
煙越しに見える発射光からオリオンスペクターの位置を推察しているのだ。
そうしておおよその位置を読み取ると――伏していたクラウンを起き上がらせる。
左膝を突き、跪く体勢。
0074八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:27:36.54ID:SWf2AkUi
伏せている間に形成した爆弾は三つ。
二つは左手で保持。もう一つは――右足の踵の下に、軽く踏みつけられていた。
クラウンは自爆ダメージへの耐性を持っている。
だが爆風による影響さえもが無効化される訳ではない。
つまり――自分の爆弾で、自分を吹き飛ばす事が出来る。
0075八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/10/10(水) 22:27:58.74ID:SWf2AkUi
威力を抑え、代わりにノックバック性能を増強した爆弾。
それを、クラウンの踵が――踏み抜いた。

瞬間、クラウンの機体が宙を舞った。
そのまま煙幕を飛び越えて、殆ど一瞬の内にオリオンスペクターの頭上へ。

機体が急速に回転する中で、優樹の目は正確に敵機を捉えていた。
ベンケイとの一騎打ちの時よりも更に、優樹は集中していた。

クラウン・ノイジーモデルは、弾切れという概念の存在しない機体だ。
バルーン・ボムは直撃すれば重装型の機体ですら大ダメージを与えられる。
自身を追跡する者も、自分から逃げていく者も、罠に嵌めて仕留める事が出来る。
自爆を利用したノックバックを利用すれば、瞬間的にだが高い機動力も発揮出来る。

つまり――オリオンスペクターと、同じコンセプトを持つ機体なのだ。
浦和零士は、自分と同じプレイスタイルのプレイヤーなのだ。
自分が全てやってのける。一年前、ゲーム部をやめてから磨き始めたスタイル。

その完成形が目の前にいる。
ゲーマーとしての闘争心が、優樹を深く深く集中させていた。

(もらった……!)

自機の回転による遠心力を乗せて、クラウンは爆弾を投擲した。
オリオンスペクターの頭部目掛けて。
これ以上ない角度、速度、タイミングによって放たれた爆弾が――

「――甘いな!」

オリオンスペクターの振り向きざまの銃撃に撃ち落とされた。
完璧な投擲だった。完璧であったが故に――その軌道は読まれていた。

「クラウン・ノイジーモデルなら私も持っている。その戦法は知っていたさ」

そのまま着地点へと銃口が向けられる。
クラウンが左手に残ったもう一つの爆弾を投擲。
撃ち落とさせる事で着地狩りを回避し――だが、これでもうクラウンに手持ちの爆弾はない。
しかし――にもかかわらず、優樹は笑っていた。不敵な笑みだった。

「でしょうね。でも、これは?」

クラウンが切断された右腕の根本を揺らす。
その断面から、ぼたぼたと液体が滴り落ちた。

爆薬である。
機体内部で形成された爆薬を、優樹はわざと零しているのだ。
クラウンが宙へと飛び上がってから、今に至るまで、ずっと。
その為、周囲のあちこちに爆薬は散布されている。

衝撃感度を低く設定し直した爆薬は、床に落ちただけでは爆発しなかった。
けれども――例えば付近でスラスターが焚かれ、その熱を浴びれば、その瞬間に爆薬は炸裂する。

そうなればオリオンスペクターは、自慢の超高速移動の最中に、横合いから爆風を受ける事になる。
機体の制御を保つ事はいくら浦和零士でも不可能。
優樹はそう踏んだ。そしてこの作戦を実行したのだ。

これでオリオンスペクターは、距離を取って仕切り直す事が出来ない。
銃撃によって爆薬溜まりを処理している時間は――与えなければいい。
0076八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/10/10(水) 22:28:34.35ID:SWf2AkUi
「……なるほど。どうやら一本取られたようだな!
 見事だ!実に見事だ!素晴らしい戦術と献身に、褒美を与えなくてはな!」

オリオンスペクターがクラウンへと銃口を向けた。
優樹にはもう防御も回避も、手段は残されていなかった。
閃光が迸り――クラウンの胸部が撃ち抜かれる。

倒れゆくクラウンの全壊エフェクトを見届けず、オリオンスペクターは背後を振り返った。
残る敵機、エクスフォードと、マクシミリアン、微塵改へと。
スラスターによる高速離脱は封じられた。
だがオリオンスペクターは通常時の身のこなしも十二分に素早い。
例え三対一であっても捌き切る自信が浦和零士にはあった。

そして実際に捌き切られるだろうと、優樹も思っていた。
しかし心の何処かで――皆なら、もしかしたら、とも思っていた。

「……後は任せたよ」

クラウンが爆散するまでの僅かな時間。
作戦も警告も伝える暇はない。
故に優樹はたった一言だけ、そう呟いた。
0077創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/17(水) 14:40:54.61ID:ZU7x6aHX
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

2IL
0078水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/10/20(土) 23:44:43.58ID:2T1dx12m
集中砲火が驟雨のように迫ってくる。
咄嗟にクロスアームブロックで防御姿勢をとったが長くは持たない。
重装甲マシンナリーのエクスフォードといえど、この弾幕を浴び続ければ撃墜必至だ。

>「絨毯爆撃のように見えて……狙いは正確だわ!しかも多分、これが本命じゃない……!」

この集中砲火で足と装甲を削り、自慢の機動力で相手を殺るという戦術。
モータルが斉射に加わっているものの、これは"一人で全てやる"ための戦い方だ。

(この集中砲火だとエクスフォードでも耐えきれない。何か遮蔽物は――)

運良く視界の端の床からキューブがせり上がってくるのが見えた。
慌ててエクスフォードと共にその後ろへ飛び込む。
落ち着いたところで前方を確認するといつの間にか大量の煙が敵機を覆っていた。
恐らくクラウンが投擲した爆弾によるものだろう。それでも集中砲火が止む気配はない。

微塵改は盾で、クラウンはその場に伏せることでそれぞれ対処しているようだ。
だがマクシミリアンは集中砲火の暴威に対処しきれず遂に足に被弾してしまう。
この横殴りの破壊の雨の中で機動力を鈍らせることは死に等しい。

>「相手は全国……だけど、それでもっ!
> ここで終わりたくはないっ!」

敵機を覆う煙を裂いてミサイルが迫ってくる。狙いは膝をついた赤い騎士。
構えた小銃で迎撃するが破損した腕と足では照準が定まらずミサイルには当たらない。
エクスフォードがミサイルを打ち落とすべく慌てて照準を合わせるが、タイミングが遅れた。
間に合わない。追尾式の誘導弾が命中するまであと数秒――。

>「私が居るわ、桐山先輩」

誰もが撃墜を覚悟したその時、マクシミリアンがワイヤーアンカーに絡めとられた。
アンカーは動けないマクシミリアンを巻き取り微塵改まで引き寄せる。
そして構えた盾ですっぽりと赤い機体を収めた。

追尾式のミサイルはロックした標的を逃さない。
軌道を大きく修正して尚も標的を追った。
ミサイルは吸い込まれるようにマクシミリアンをガードする微塵改へ命中する。
爆裂の衝撃で微塵改の左腕が吹き飛び耐久バーが削れていく。

>「桐山先輩。私ね、今とっても楽しいの。
> 死力を尽くしてベンケイを打ち倒し、次の相手は全国区の選手。しかも全力のぶつかり合いよ。
> 次はなにをしてくるのかしら。どうやって、それを攻略しようかしら」

「晶ちゃん……」

勝っても負けても楽しいと言い切れる晶を時に羨ましいとさえ周子は思う。
周子は基本的に負けず嫌いだからだ。純粋にゲームを楽しめる晶の姿が眩しく見える事すらある。
その晶が今、勝利という新たな楽しさを知り始めているのだ。
このゲームに誘った友達としてこれ以上嬉しいことはない。
0079水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/10/20(土) 23:49:46.53ID:2T1dx12m
>「あっけなくやられて、あとはずっと観戦席で指を咥えながら見ているなんて、御免だわ。
> こんな楽しい戦い、簡単に終わらせたくない。……もう一度、みんなで勝ちたい」

微塵改が片腕をマクシミリアンの胴に回して固定した。
あれなら確かに脚部を損傷したマクシミリアンでも照準が安定する。
ベンケイを追い詰めたあのカリブルヌスMk-2も使用可能だ。

>「足が壊れたなら私が背負うわ。攻撃は全部私が受ける。桐山先輩は攻撃に集中して。
> まだ実装されていないけれど……マシンナリー同士の『合体』を、運営に見せつけてやりましょう」

確かにカリブルヌスMk-2なら装甲の薄いオリオンスペクターを一発で撃墜する事が可能だ。
だが黙って当たる敵ではない。大人しくワイヤーアンカーに拘束されるほど甘い操縦者でもない。
だが燃えてくるではないか、と周子は思った。勝利の条件も非常に明確だ。当たれば勝ち、外せば負ける。

「うん、私も二人の合体攻撃に賭ける。桐山先輩と晶ちゃんなら大丈夫。
 私と八木先輩でどれだけサポートできるか分からないけれど……」

言い終わらぬ内に沈黙を保っていた八木のクラウンが動いた。
正確には宙を跳んだ。生成した爆弾を踏み抜くことで跳躍したのだろう。
現実は機体重量的に不可能な芸当だがこれはゲーム。
クラウンのバルーン・ボムの爆薬を調整する事によって行う操作技術のひとつだ。

高く跳躍した銀色の道化が煙幕の向こう側へ消えていく――。
その先の光景を見る事ができるのは八木のARデバイスだけだった。

「八木先輩、何でこんな無茶を――!」

単機で射撃型のクラウンが敵陣に踏み込むなど血迷ったとしか思えない。
冷静に戦況を見極め立ち回る八木らしくない行動だ。
思わず声を出した周子だったが、コロシアムの地面を見て気付いた。
何かの液体がフィールドに飛散している。

「もしかして爆薬……?」

>「……後は任せたよ」

八木の言葉の直後、煙幕の向こうで大きな爆発が起きた。
同時にレーダーの青い光点がひとつ消失する。
その光点は間違いなくクラウン・ノイジーモデルのものだ。

この時、周子の心情は仲間の撃墜を悔やむ気持ちより意図を汲む気持ちが勝った。
勝利を願うのはファイターとして誰もが同じだ。その上で八木は敢えて単機で挑んだ。
つまり犠牲になる事を覚悟して挑まねば敵わないほどの相手、と判断したという事だ。
0080水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
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2018/10/20(土) 23:50:32.89ID:2T1dx12m
周囲に撒かれた爆薬の中、スラスターを吹かそうものなら爆発必至。
機動力のために装甲を削っているオリオンスペクターなら尚更の事だ。
今、ゴーストの機体は自慢の機動力を削がれたに等しい。

「この機会は逃せない……次は私の番だね。
 一か八か、なんとかオリオンスペクターの隙を作ってみる。大丈夫、皆で勝とう」

周子達はあくまでチームで戦っている。
たとえ撃墜されても他のメンバーが生き残ればそれは全員の勝利だ。
肝心なのはこの逆転のチャンスを潰してはならないという事だ。

今、八木の強襲によって弾幕は一時的に弱まっている。
エクスフォードはショットガンを収納して素早くワイヤーアンカーを射出。空中のキューブに引っ掛けた。
同時に巻き取りを開始。機体は巨体を持ち上げて緩やかに宙を飛ぶ。
そしてアンカーを回収して再び別のキューブにアンカーを引っ掛ける。またアンカーを巻き取る。

これを何度も繰り返すことでエクスフォードはカタログスペック以上の機動力でオリオンスペクター達へ接近した。
もっともこの立体機動は空中にキューブが幾つも配置されていなければ出来ない偶然の芸当である。
エクスフォードが煙幕に消えると、周子が開いていたモニターの一面が煙に染まった。

レーダーでおおよその位置を確認しながら、周子はまたワイヤーアンカーを射出。
目標はオリオンスペクターに随伴するコープスブライド万能機、および射撃機。
アンカーが刺さった手応えを感じると、モニターの視界が開けた。

「スピン・ダブルアンカーソルトぉぉぉぉっ!!」

煙幕を裂いて現れた敵陣にエクスフォードが空中で独楽のように回転を始める。
当然、アンカーで繋がった二機も高速で回転する。ワイヤーを両手で掴み、二機を激突させた。
ダウンしたところにすかさず両腕の鋏を展開して機体ボディを滅多刺した。
コープスブライド二機が爆裂する様を見届けずに、エクスフォードの双眸はオリオンスペクターを捉える。

「――とりあえず二機撃墜……問題はこの後なんだけど……」

隙を作ると言っても適当に散弾を撃ち込んで隙ができる相手でもない。
機動力があり、射撃武装の豊富なオリオンスペクターを射撃戦で仕留めるのは難しい。
周子の頭で考えられる手段はひとつだった。接近戦に持ち込むしかない。
少なくとも遠距離から集中砲火を浴びるよりましだと判断した。

「ふ……魂胆は見えているよ。撃ち合いで敵わない以上、接近戦を仕掛ける他ない。
 誤っていないが正解でもないな。私は心意気を買っても有利まで捨てる性分ではない」

「全国クラスのなにがしさんって随分ケチですね……!」

「私の名はゴーストだと言ったはずだ」
0081水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
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2018/10/20(土) 23:52:59.86ID:2T1dx12m
ARバイザー越しに傷ついた黄色い巨体を見据える。
この機体も、盾を持った機体も、赤い機体も、良いビルドのマシンナリーだ。
他のファイターが生み出した機体を見るのは楽しい。それだけに戦い甲斐があるというもの。

「さあ、今度は君の力を見せてもらうとしよう……!」

「私だけじゃない。晶ちゃん、桐山先輩、八木先輩も。全員の力で……ゴースト、貴方に勝つ!」

「いいだろう……君もクラウンのファイターの後を追うがいい!」

オリオンスペクターはエナジーライフルを構え、迷う事無くエクスフォードに連射した。
重量級のこの機体に躱す手立てはない。エクスフォードはピーカブースタイルで構えてビームを防いだ。
一発一発の威力は低いが光線の熱で少しずつ前腕の重装甲が溶けていく。
周子は構わずエクスフォードを突進させた。重装甲に任せて一気に自身の戦闘距離へと持ち込むつもりだ。

「残念だよ。クラウンを操縦していた彼のような戦いを期待しただけにな」

バックステップで距離を空けようとするゴーストの機体をエクスフォードが追う。
断続的に飛来するビームを受け続けながら尚も周子の機体は突進を止めない。

「――『アーレス』よ、再び唸りを上げろ!」

バックパックに装備されている二門のエナジーキャノンがエクスフォードを捉える。
筒先から放たれた光弾は過たず前方の敵へ横殴りに降り注いだ。
被弾した両腕が耐久を失い爆裂する。それでも尚エクスフォードは前進を止めない。

「このポジションならいける!」

上空を移動するキューブにワイヤーアンカーを射出し、エクスフォードは宙を舞った。
追いかける速度が一気に増すとオリオンスペクターへと急接近する。
ゴーストは操縦桿のトリガーを引いて武器をライフルからジャマダハルに切り替えた。

「ようやく捉えた!これがエクスフォードの最後の武器よっ!」

両腕を失った周子の機体に本来攻撃手段は残されていない。
だが殻型武装コンテナ『ハーミットアーマリー』にはまだ使用していない装備がひとつある。
コンテナ下部からサブアームが伸びると、エクスフォードの背後に一対の巨大な鋏が展開した。

「ギガンティック・シザーズッ!!」

巨大鋏はマシンナリーの胴を挟めるほどあり、黒の幽星を両断せんと襲い掛かった。
オリオンスペクターは身を捻って一撃目を躱すと振り下ろされた二撃目を横に跳躍して避ける。
周子は続けざまにギガンティック・シザーズによる拘束を試みるも当たらない。
ひらひらと舞う蝶のように掴み所がなく、隙が無い。遊ばれている気すらする。
0082水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
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2018/10/20(土) 23:53:24.87ID:2T1dx12m
「悪くない隠し武器だ。私はそういう発想が嫌いではない」

巨大鋏の猛撃をジャマダハルで受け流して、黄色い巨体に蹴りを叩き込む。
エクスフォードが僅かにノックバックすると耐久バーが僅かに減少した。

オリオンスペクターが一歩、更に踏み込もうとする。
懐に潜り込まれたら最後、エクスフォードに抵抗の手段はない。
周子は操縦桿を後ろに引いて二歩後退させた。
桐山と晶には隙を作ると宣言したが、これではむしろ追い込まれている。

「っ……攻撃がひとつも当たらないなんて……!」

「接近戦の腕は中々だと褒めておこう。距離を取る余裕もない。
 ゆえに見せてあげよう。オリオンスペクターの秘められた力を!」

一対の巨大鋏が両側から挟み込むように突いてきた。
避けようともせずジャマダハルを捨て去り、両手で防ぎにかかった。
瞬間、ギガンティック・シザーズの鋏は発泡スチロールのように吹き飛んだ。
耳を聾する爆裂音を上げながら巨大鋏の破片が辺りに散っていく。

「――『リコイルバスター』。まさかここで披露することになるとは。誇りに思っていい」

オリオンスペクターは一般に装甲の薄さと決定打が不足している事が弱点だと評されている。
特に決定打に欠けるという弱点は重装甲機と戦う時、ゴーストの頭を悩ませる問題だった。
それを補うため作られたのがオリジナル武器、掌部零距離ビーム砲『リコイルバスター』である。

オリオンスペクターが装備しているライフルやキャノンと同じく一発あたりの威力は低い。
だがビームの速射性を極限まで向上させることで秒間ダメージ量を跳ね上げることに成功させている。
その連射速度は実に秒間100連射。総合的な火力でいえばカリブルヌスMK-2にも勝る隠し武器だ。

審査によって射程距離がゼロという事、他の武器を同時使用出来ないというデメリットが課せられているが、
そのデメリットを補って余りある威力を有した決め技だとゴーストは考えている。

「これで勝敗は決した……!」

「まだ……まだ終わってない!」

周子はその闘志を燃やしたまま組みつかんばかりにエクスフォードを接近させた。
両腕も隠し腕も失い、最早攻撃の手段は残されていないにも関わらずだ。
その思惑に気づいたゴーストは咄嗟に後方へ跳躍して距離を取った。
0083水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
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2018/10/20(土) 23:59:36.24ID:2T1dx12m
エクスフォードは真下にスラスターを吹かすと、クラウンが大量に溢した爆薬が爆発して二機を包み込む。
装甲の薄いオリオンスペクターが高威力の爆弾を生成をするクラウンの爆薬をモロに浴びた。
結果は想像するまでもない。ゴーストは自機の急速に耐久バーが減っていく様を眺めるしかなかった。

「私としたことが油断したよ。これを狙っていたとはね……」

オリオンスペクターの耐久はゼロになる事なく減少を止めた。
あと一瞬気付くのに遅れていればもっと危ういところだっただろう。
銃身が溶けたエナジーライフルを放り捨て、両肩にエナジーキャノンを展開する。
地面に転がっている達磨のマシンナリー目掛けてビームを連射すると、それは爆散した。

周子のARデバイスに撃墜された事を示す画面が表示される。
結局のところ、全国クラスを相手に手も足も出なかった。それ自体は悔しいものがある。
ベンケイ相手に縛りプレイで挑んで一歩も退かなかった八木が撃墜されてしまったのだから、当然とも言えた。

「晶ちゃん、桐山先輩、オリオンスペクターの接近戦には気をつけて。
 あいつ掌に強力なビーム砲を隠し持ってる……当たったら重装甲機でもただじゃ済まない」

クラウンが張った煙幕の中から"黒の幽星"が姿を現した。
ARバイザーを装着した全国クラスの腕前を持つ男、ゴースト。
そして隙を見せない高機動型万能機のオリオンスペクター。

オリオンスペクターは機体各所に爆発のダメージが散見された。
漆黒の塗装が剥がれ落ち、頭部は半壊している。
足の動きもどことなく不自然だった。

「チームつつじヶ丘……とんだダークホースだな。ここまで追い詰められたのは久しぶりだ」

両肩に展開している可変速エナジーキャノンをマクシミリアン達目掛け発射する。
夥しい光弾が恐ろしいほどの正確性でマクシミリアンとそれを支える微塵改へ迫った。
無論、一発毎の威力は然程恐ろしいものではない。

土台兼壁になっている微塵改ならしばらくは耐えられる威力だ。
埒が明かないと判断したゴーストはややぎこちない足取りで接近を開始する。
リコイルバスターを使って一気に決着に持ち込む算段だ。
しかしその機動力は爆発で足首を損傷した影響であまりに落ちていた。

だが、オリオンスペクターにはまだ隠された機能が残されている。
この機体のスラスターは主に他の高機動機体から抜き取ったパーツで構成されているため、
全く同じパーツを使えばオリオンスペクターと同等の機動力を得られるように感じるが、実は違う。
背中の飛行ユニットや一部のパーツはゴーストが制作したオリジナル・パーツが使用されているからだ。

このオリジナルパーツがオリオンスペクターの飛躍的な機動力向上に一役買っているという訳だ。
また、このオリジナルパーツ――E-WFSパーツはオリオンスペクターに更なる機能を追加していた。

ぎこちない挙動の黒い機影が横によれたかと思うと、五つに増えた。
分身したのだ。これがオリオンスペクター最後の隠し機能『ファントムシフト』。
高速機動中に立体映像を投影して相手を惑わせるためのものだが、機動力が削がれた今効果は薄い。

「あらゆる武器、あらゆる戦術を尽くして戦うのがロボットバトルというもの……。
 その『合体』が君達の出した結論だというのなら、全霊をもって応えよう。
 さっきの二機のように……私とオリオンスペクターに牙を突き立ててみせろ!!」

棚引く黒いマントを翻して、ゴーストは自身の胸に親指で突いた。


【ぎりぎりまでお待たせしました。エクスフォードが撃墜される。
 クラウンの撒いた爆薬をモロに食らいダメージを負うオリオンスペクター。
 その影響でライフルが使用不能になる。脚部を損傷して機動力減。
 最後の機能「分身」を使ってマクシミリアン達へ突っ込む】
0084桐山 直人 ◆NU643EDdwQ
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2018/10/25(木) 18:50:08.61ID:OxRULb5M
腰に搭載された散弾砲も弾幕の前には効果が薄く、すり抜けたミサイルがマクシミリアンへと届こうとした瞬間。

>「私が居るわ、桐山先輩」

ボロボロになったマクシミリアンを引きずるように、微塵改のワイヤーアンカーが射出される。
間一髪で機体はミサイルの軌道から外れて、巨大な三式白兵防盾にすっぽりと埋もれるように隠れた。

>「桐山先輩。私ね、今とっても楽しいの。
 死力を尽くしてベンケイを打ち倒し、次の相手は全国区の選手。しかも全力のぶつかり合いよ。
 次はなにをしてくるのかしら。どうやって、それを攻略しようかしら」

彼女の言葉はこの絶望的な状況でも、前向きで明るい。
それは一瞬でも諦めかけた桐山には眩しく、その熱意に応えてやりたいと思わせるには十分だ。

「……紫水君、ありがとう。正直ここまでやれるとは思っていなかった」

微塵改も左腕を破壊され、決して無事とは言えない。
しかし残った片腕でマクシミリアンを固定し、最後の切り札であるカリブルヌスMk-2が発動できるようにしてくれた。
おそらく現行パーツのカタログスペックが全て頭に入っているであろうゴーストへの対抗策は、この自作兵装のみだ。

>「足が壊れたなら私が背負うわ。攻撃は全部私が受ける。桐山先輩は攻撃に集中して。
 まだ実装されていないけれど……マシンナリー同士の『合体』を、運営に見せつけてやりましょう」

「ああ!カリブルヌスにはもう一つ、最後の切り札もある……!
 微塵改の重装甲、頼らせてもらうよ!」

カリブルヌスの巨大なビーム発振器は通常、ビームの刃を形成するために使われる。
その形成するためのエネルギーすら発振器に注ぎ込めば、簡易的なビーム砲になるのだ。
もちろん市販されているパーツのように機体の火器管制システムと連動して照準を合わせてはくれず、
機体がエネルギー不足で動けなくなることを防ぐ出力の自動調整機能もない。
バイザーのHUDに表示されるレティクルなしに、目視で狙いを定めなければならないのだ。

「君が盾ならば僕は矛になる。
 ……正直、この一年で一番楽しい試合だよ!」

エネルギー供給を頭部と胴体のみに残してカットし、背中にマウントしたまま
カリブルヌスMk-2を変形させる。完成したビーム発振器はもはやマクシミリアン一機では支えきれず、
微塵改の右肩に乗せてようやく正面を向かせることができた。
0086桐山 直人 ◆NU643EDdwQ
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2018/10/25(木) 18:58:23.04ID:OxRULb5M
>「……後は任せたよ」

そしてエネルギーのチャージを始めれば、オリオンスペクターを一人で食い止め続けていたクラウンがついに撃ち抜かれ、
視界の隅に表示されていたレーダーから味方を示すマークがフッと消えた。
彼も経験が決して浅いわけではない、ベテランの実力者だった。だからこそ、自分でなければ時間を稼げないと知っていたのだろう。
昔の彼のままなら決してしなかったであろう、わずかな勝利の可能性への賭け。
それはつまり、仲間を信じているということだ。

「ありがとう、八木。……大会が終わったら奢るよ」

液体爆薬の海がフィールドとなれば、スラスターを活かした高速機動は行えない。
そういった特殊環境でのバトルはあのゴーストもおそらく経験済みのはずだが、それでも
強みの一つを潰すことができたのは大きなメリットだ。
さらには随伴機の射撃による援護も誤爆を恐れて撃つことができず、こうなれば接近戦、格闘戦が主体となる。

>「この機会は逃せない……次は私の番だね。
 一か八か、なんとかオリオンスペクターの隙を作ってみる。大丈夫、皆で勝とう」

「カリブルヌスのチャージを気づかれたくない、頼んだ。
 君の機体なら、格闘戦で押し込める!」

エクスフォードのワイヤーアクションは見事なものだ。
空中のキューブへ射出しては慣性を活かして巨体を動かし、その勢いを殺さず次のキューブへ素早くアンカーを射出する。
そうして相手の意表を突く形で煙幕に飛び込み、見事に二機の随伴機を刺し潰す。

>「――とりあえず二機撃墜……問題はこの後なんだけど……」

だが、最も強大な敵はまだ生き残っている。
エクスフォードと水鳥が怯むことなく飛び掛かったところで、オリオンスペクターとそれを乗りこなすゴーストは
最後まで優位を保ったまま迎撃した。しかし、オリオンスペクターが最後まで隠そうとしていた武装――リコイルバスター。
もしそれに気づかないままであれば、カリブルヌスを避けられた直後に撃ち込まれていたかもしれない。
さらには液体爆薬の海によって撃破ほどではないにせよかなりの耐久を削り、武装も一つ破壊した。

>「晶ちゃん、桐山先輩、オリオンスペクターの接近戦には気をつけて。
 あいつ掌に強力なビーム砲を隠し持ってる……当たったら重装甲機でもただじゃ済まない」

「相手の手の内は全て分かった、体力も削った……水鳥君、後は任せてくれ。
 紫水君、もう少しでチャージが終わる。奴を引き付けて盾の後ろからぶち抜いて、終わらせよう!」
0087桐山 直人 ◆NU643EDdwQ
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2018/10/25(木) 19:03:41.34ID:OxRULb5M
>「チームつつじヶ丘……とんだダークホースだな。ここまで追い詰められたのは久しぶりだ」

両肩のエナジーキャノンが凄まじい連射力を一点に集中させて微塵改へと叩きつけられるが、
エネルギー武器の低威力と微塵改のセオリーを超えた重装甲がそれを防いでみせる。
その巨体に隠れるようにして、ボロボロの赤い騎士は背中の聖剣に光を蓄える。

>「あらゆる武器、あらゆる戦術を尽くして戦うのがロボットバトルというもの……。
 その『合体』が君達の出した結論だというのなら、全霊をもって応えよう。
 さっきの二機のように……私とオリオンスペクターに牙を突き立ててみせろ!!」

傷つき、塗装が剥げ落ち、頭部のカメラアイは一部が剥き出しになっている。
それでもオリオンスペクターはその威厳を保ち、最後に生き残った二機へと突撃してきた。
スラスターを吹かして二機へと向かう姿が一瞬桐山の視界内でブレて、直後に五つへと分身する。
おそらくあの隠し武器と同じく、これも最後までとっておくつもりだったのだろう。

「……紫水君。最後に言っておくよ。
 実はカリブルヌスの名前、元は別の名前だったんだ。
 恥ずかしさがあったから変えたけど……今ならはっきり言える。これで勝つんだ。
 さあ……エクスカリバー!その光刃で敵を断つときだ!」

仮想操縦桿のトリガーを握りしめ、視界に広がる五つのオリオンスペクターを見据える。
思考が澄み渡り、限界までエネルギーが溜め込まれた発振器が咆哮した。

「どれかを狙う必要はない!何故なら――全てを薙ぎ払えばいい!」

微塵改の防盾の背後から、全てを焼き尽くす光が放たれる。
それは前方に広がり、発振器がやがて反動に耐えきれず爆発するまで続いた。
時間にしてみればわずか数秒、しかし当事者たちにとっては一時間にも感じられるその光景は、
マクシミリアンが微塵改から零れ落ちるようにして機能を停止したことで終わりを告げた。
カリブルヌスMk-2を機体制御用のエネルギーすら注ぎこんで使用した結果、強烈な反動ダメージがマクシミリアンを襲ったのだ。

「……これで……いや!オリオンスペクターはまだ、健在だ……!」

機能停止する寸前、ARデバイスの視界に表示されていたレーダーにはただ一つだけ、オリオンスペクターを示す光点が輝いていた。
それが現実であると示すように、微塵改の真上からオリオンスペクターが急降下してくる。

「まったく、オリジナル武器というものは常に驚かせてくれる……!
 しかし、その牙ももはや折れた!その機体で何秒耐えられるか、見せてもらおう!」

オリオンスペクターはとっさにカリブルヌスMk-2のビームをリコイルバスターによって相殺し、
即座に上空へと向かっていたのだ。しかし、機動力の落ちた機体では逃げ切れず右足が吹き飛び、
武装ももはやリコイルバスターのみ。それでも彼は自らの勝利を確信して、装甲が薄いと判断した頭部から
リコイルバスターで一気に吹き飛ばそうと画策したのだ。


【ダメージは与えたものの撃破には至らず。一瞬で決着をつけようと微塵改へ急降下突撃】
0088紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/11/03(土) 22:56:07.38ID:5fnI4v4k
>「ああ!カリブルヌスにはもう一つ、最後の切り札もある……!微塵改の重装甲、頼らせてもらうよ!」

半壊状態でありながら、微塵改を支えとしてマクシミリアンは再び立ち上がる。
挫けぬ心、折れざる意志は、他ならぬ桐山の胸にこそ宿っている。

>「君が盾ならば僕は矛になる。……正直、この一年で一番楽しい試合だよ!」

「ふふっ、結論を出すのはまだ早いわよ桐山先輩。これからも、明日からも、楽しい日々はきっと続くもの……!」

桐山と八木をチームに混ぜると周子が言ったとき、晶は何の感慨もなくそれに同意した。
どうせ一日限りの即席チームだから、どう転ぼうと明日以降に影響はないと考えていたからだ。
だが……今は違うと、自信をもって言える。
明日も、来週も、来月も。ずっとこのチームで試合がしたいと、心から思った。

一線引いた姿勢をとりながらも、晶達を勝たせるために死力を尽くしてくれた八木。
過去に抱えた確執を乗り越えて、劣勢になお抗う意志を捨てなかった桐山。
そして――二人を再び結びつけて、在りし日のゲーム部を僅かにでも取り戻した周子。

みんなで……勝ちたい。
相手がアマチュア最高峰でも、参加者が文字通りの『実験台』に過ぎなくても、関係ない。
全力で、思い付く限りの策を弄して、勝ちを掴み取りたい。

>「うん、私も二人の合体攻撃に賭ける。桐山先輩と晶ちゃんなら大丈夫。
 私と八木先輩でどれだけサポートできるか分からないけれど……」

「気負わないで、なんて予防線を張るつもりはないわ、周ちゃん。
 貴女と爆弾先輩なら、勝利への道程を完璧に舗装してくれるって、信じてる」

瞬間、ノイジークラウンが高く高く跳躍した。
足元でノックバック値に振った爆弾を爆発させて、砲弾の如く自身を射出したのだ。
機動力が低いはずのクラウンによる、完全に意表を着いた上空からの強襲。
しかし敵もさる者、オリオンスペクターの主は深い実戦経験からクラウンの挙動を読んでいた。

>「クラウン・ノイジーモデルなら私も持っている。その戦法は知っていたさ」

奇襲は防がれ、クラウンは敵の射線真正面へとまろび出る。
だがこれで終わりではあるまい。いま、晶達の前で矢面に立っているのは……"あの"八木なのだ。

>「でしょうね。でも、これは?」

抜け目のない爆弾使いは、爆風による奇襲さえもブラインドに、もう一つの策を弄していた。
切断された右腕から漏れ出す、液体爆薬。それはフィールドの各所に爆薬の水溜りを生み出している。
スラスターを蒸そうものなら火達磨だ。オリオンスペクターの機動力は、これで封印された。
0090紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/11/03(土) 22:57:54.00ID:5fnI4v4k
オリオンスペクターの兵装が瞬き、クラウンの機体が爆散する。
レーダーの光が一つ潰えて、八木がバトルから退場した通知が視界の端に映った。
チームで真っ先に撃墜されてなお、彼の表情に険はない。

>「……後は任せたよ」

――仕事は果たしたと、その顔が物語っていた。
スペクターの出鱈目な速度を封じるのと引き換えなら、一機の犠牲は安すぎる買い物だ。
射撃戦を強いられていたエクスフォードが、その格闘性能を十全に発揮できる。

「任せられたわ……"八木"先輩」

>「この機会は逃せない……次は私の番だね。
 一か八か、なんとかオリオンスペクターの隙を作ってみる。大丈夫、皆で勝とう」

追い風を受けたかのようにエクスフィードは機敏に跳ぶ。
ワイヤー・アンカーを巧みに操作し、キューブを渡りながら立体機動する様はまるで、飛行機能を備えた特化機体だ。
煙幕によって閉ざされた視界の中、意志をもった蛇の如く二本のワンカーが奔る。
0091紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/11/03(土) 22:58:16.04ID:5fnI4v4k
>「スピン・ダブルアンカーソルトぉぉぉぉっ!!」

煙幕越しに捉えた二つの敵機は、エクスフォードによって振り回されてお互いに激突。
そこへ暗器を一閃、スペクターの援護に回っていた二機のコープスブライドが爆散した。

>「――とりあえず二機撃墜……問題はこの後なんだけど……」

(これで随伴機は全滅……オリオンスペクターは丸裸ね……!)

晶はもはや快哉を叫ぶことさえ忘れて、戦況の成り行きを見守る。
彼女の役割は、マクシミリアンがカリブルヌスのチャージを終えるまで固定の砲座となること。
身じろぎひとつすれば射角は大きく乱れ、必殺の一撃が敵のど真ん中を捉えることはかなわない。

一方エクスフォードとオリオンスペクターの決闘は、耐久を削りきられる前に肉迫できるかどうかの勝負へと移行していた。
エクスフォードは両腕を眼前へと構え、メインセンサーを守りながら吶喊する。
対するオリオンスペクターは正面からエナジーライフルを連射。同時にバックステップで詰められた彼我の距離を広げ直す。
エクスフォードの両腕が耐久限界を迎えて弾け飛ぶのも構わず、周子はワイヤーで最後の立体機動。

距離は詰めたが、両腕を失ったエクスフォードに、もはや攻撃手段は残されていない。
少なくともオリオンスペクターの主は、そう感じているだろう。

(だけど……周ちゃんのマシンナリーには、もうひとつ奥の手があったはず!)
0092紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/11/03(土) 22:58:40.63ID:5fnI4v4k
>「ようやく捉えた!これがエクスフォードの最後の武器よっ!」
>「ギガンティック・シザーズッ!!」

コンテナからついに顔を出した、エクスフォードの最終武装。
それは、マシンナリーを軽く挟み込めるほど長大な鋼のあぎと。
巨大な鋏だ。

両サイドから迫りくるニッパーじみた刃の強襲に、オリオンスペクターは反撃の暇もない。
ジャマダハル型のブレードが火花を上げ、純粋な質量差が形勢を少しずつエクスフォードへと傾けていく。
だが、周子が奥の手を解放しても、オリオンスペクターを捉えきるところまで行けない。
アマチュア最高峰の実力を誇る浦和零士の卓越した機体コントロールが、致命打を躱し続けている。

>「接近戦の腕は中々だと褒めておこう。距離を取る余裕もない。
 ゆえに見せてあげよう。オリオンスペクターの秘められた力を!」

間断なく開閉を繰り返す巨大鋏が、ついにスペクターの胴に食らいついた、その刹那。
爆裂と破砕の轟音を立てて、ギガンティックシザーズが硝子細工のように弾け飛んだ。
ブレードを捨てたスペクター、その両の掌に灯るには、赫々と熱を帯びるビームの砲口。

>「――『リコイルバスター』。まさかここで披露することになるとは。誇りに思っていい」

「超至近距離ビーム砲……!?オリオンスペクター、こんな武器を隠していたの――!」

>「まだ……まだ終わってない!」

勝敗は決した――誰もがそう感じたその瞬間にあってなお、周子の眼から戦意は消えていなかった。
彼女は全ての武装を使い切ったエクスフォードで、最後のあがきとばかりに体当たりを敢行する。
――爆薬が床を濡らすフィールドで、スラスターを蒸かして、だ。

単なるゲーム演出上のエフェクトにも関わらず、晶は灼熱の爆風が頬を叩いたような錯覚を得た。
スラスターの火はクラウンの撒き散らした爆薬に引火し、エクスフォードだけでなくスペクターも爆炎に飲み込まれる。
いち早く周子の意図に気付いてスペクターを退かせていたゴーストは大ダメージを負いつつも軽装甲で爆発に耐え、
一方で爆心地で為す術もなく爆圧を受けたエクスフォードは装甲を全損。
次いで放たれたエナジーキャノンがエクスフォードにトドメを刺し、これで被撃墜2。

>「晶ちゃん、桐山先輩、オリオンスペクターの接近戦には気をつけて。
 あいつ掌に強力なビーム砲を隠し持ってる……当たったら重装甲機でもただじゃ済まない」

「見ていたわ、周ちゃん。隠し玉を引きずり出せただけでも大金星よ、お疲れさま。
 あとは……私と桐山先輩に任せて。ここまで繋いでもらったバトン、無駄にはしないわ」

>「相手の手の内は全て分かった、体力も削った……水鳥君、後は任せてくれ。
 紫水君、もう少しでチャージが終わる。奴を引き付けて盾の後ろからぶち抜いて、終わらせよう!」
0093紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/11/03(土) 22:59:13.41ID:5fnI4v4k
未だフィールドを照らし続ける炎の向こうから、オリオンスペクターが姿を現す。
装甲のほとんどは砕け、脚部パーツに異常を来たしながらも、爆圧に耐えきり、立ち続けている。
クラウンとエクスフォード、二つの機体が持てる全てを出し切ってなお、全損までには届かない。

これが『黒の幽星』。
これが全国大会経験者、プロに最も近い男。

>「チームつつじヶ丘……とんだダークホースだな。ここまで追い詰められたのは久しぶりだ」

「あら……過去形で語って良いの?『追い詰められた』が『負けた』に変わるかもしれないわよ」

「是非そうあって欲しいものだな。国内に有望なファイターが増えるのは、いち競技者として望むところだ」

スペクターは微塵改から距離をとりつつ、エナジーキャノンを連射する。
着弾する度に少なくない量のゲージが持っていかれるが、装甲で防ぎきれるダメージだ。
遠距離からチクチク削ってくれるなら好都合。カリブルヌスのチャージにかかる時間が稼げる。
おそらくそれはスペクター側も理解しているのだろう。スペクターは弾幕を張るのをやめた。

近づいてくる。
リコイルバスター――至近距離からのビーム砲で、一気に勝負を決めようとしているのだ。
微塵改もまた呼応するように、携行式擲弾砲を構える。

皮肉なことに、エクスフォードが前線に立っていたときと構図が逆だ。
スペクターが距離を詰めようとし、微塵改はそれを阻むために火線を張る。
お互いにボロボロで、足取りもおぼつかないが、決着の時は着実に近づきつつあった。

(あの出鱈目な機動力はもうない……ビーム砲は怖いけど、至近距離で本領を発揮できるのはこっちも同じ。
 桐山先輩、頼んだわよ……!)

カリブルヌスのチャージが完了しているか、確かめる術はない。
この距離で声を出して確認し合えば、スペクター側にこちらの戦略が筒抜けになるからだ。
晶には、桐山を信じて機を待つ以外にできることがなかった。
0094紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/11/03(土) 22:59:45.37ID:5fnI4v4k
>「あらゆる武器、あらゆる戦術を尽くして戦うのがロボットバトルというもの……。
 その『合体』が君達の出した結論だというのなら、全霊をもって応えよう。
 さっきの二機のように……私とオリオンスペクターに牙を突き立ててみせろ!!」

「な……分身……!?」

眼の前でオリオンスペクターの姿が5つに分かれる。
ホログラムによる撹乱――5つの幻影のうち、どれかは本物で、残りは全て外れだ。

「なるほどね、連星の幽霊(オリオンスペクター)……まさに冠した名前の通りの奥の手というわけ」

高速機動戦でこれを使われれば、この上なく厄介な効果をもたらしただろう。
そして、低速でぶつかり合う現状においても、幻影は晶たちにとって致命的な劣勢を生む。
カリブルヌスによる攻撃は、おそらく一発限り。
幻影に惑わされて攻撃を外してしまえば、次はない。

(チャンスは一度だけ……5分の1を外せば、私たちは負ける……)

負けたくない。ようやくここまで追い詰めたのだ。
八木が、周子が、機体を賭してまで作ってくれた好機を、無駄にしたくない。

動揺を気取られてはいけないと理解しつつも、晶は操縦桿を握る手が震えるのを抑えられなかった。
だが、その背後でデバイスをたぐる桐山の双眸に、迷いや恐れの感情はない。

>「……紫水君。最後に言っておくよ。実はカリブルヌスの名前、元は別の名前だったんだ。
 恥ずかしさがあったから変えたけど……今ならはっきり言える。これで勝つんだ」

「桐山先輩――」

言葉は短く、しかし肩を支えられているかのように、心強い。
それだけで、不思議と手の震えは止まった。

>「さあ……エクスカリバー!その光刃で敵を断つときだ!」
0095紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/11/03(土) 23:00:08.42ID:5fnI4v4k
心の引き金を引き絞るようにして、彼は己の武装の名を呼んだ。
カリブルヌス改め、光輝の剣『エクスカリバー』。発振器が轟き、光が奔る!
マクシミリアンの全エネルギーを費やして形成された威力の塊は、微塵改の防盾を紙の如く貫いた。
そのまま一条の極光と化して、オリオンスペクターの群れを飲み込んでいく。

>「どれかを狙う必要はない!何故なら――全てを薙ぎ払えばいい!」

言葉の通り、極太の光の刃はそのまま水平にフィールドを舐め、スペクターを分身ごと薙ぎ払った。
晶の知っている『カリブルヌス』のそれよりも、遥かに出力が高い。
ベンケイ戦では威力を抑えていた?――違う!

ARデバイスの端に表示された友軍の機体情報、そこにあるマクシミリアンの耐久ゲージがどんどん減少していく。
機体の維持に費やすはずのエネルギーすらエクスカリバーに充当して、文字通り命を削って刃を作り出しているのだ!
レーザー発振器が爆発し、マクシミリアンが機能を停止するまで、眼を灼かんばかりの閃光がフィールドを満たしていた。

光が晴れたあと、フィールド上には微塵改とマクシミリアンの亡骸を除いて他に何もない。
エクスカリバーの超威力がスペクターを欠片も残さず蒸発させたのだと、晶は疑いなくそう思った。

>「……これで……いや!オリオンスペクターはまだ、健在だ……!」

「え……?」

>「まったく、オリジナル武器というものは常に驚かせてくれる……!
 しかし、その牙ももはや折れた!その機体で何秒耐えられるか、見せてもらおう!」

驚くべきことに、オリオンスペクターはエクスカリバーの一撃を凌ぎ、上空へと逃れていたのだ。
脚部パーツは膝から先が欠損していて、武装のほとんどは消失しているが、まだあのリコイルバスターが残っている。
直上からの急降下による至近距離の一撃で、今度こそ勝負を決めようとしているのだ。

桐山の警告で全てを理解した晶は、もう戸惑わなかった。
勝つために、みんなで勝つために、自分が何をすべきか、はっきりと分かった。
0096紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/11/03(土) 23:00:52.29ID:5fnI4v4k
「いいえ。牙はまだ折れてなどいないわ。これ以上、耐えるつもりもない」

微塵改は残った片腕で擲弾砲を構え、安全装置を外す。信管の起爆にはタイムラグがある。
この距離で撃っても爆発は間に合うまい。――だから晶は擲弾砲を、スペクターへそのまま投げつけた。
リコイルバスターが閃き、擲弾砲が"暴発"する。爆風がスペクターを煽り、落下速度がわずかに遅滞した。
擲弾砲はいわば『爆弾入りの筒』だ。八木のクラウンが右腕そのものを爆弾としたのを、見よう見まねで模倣した。

「アーサー王の伝説、その元ネタに則るなら、エクスカリバーはひとつだけじゃないわ。
 泉の乙女から下賜された聖剣とは別に、もう一振りのエクスカリバーが伝承の中には存在する!」

擲弾砲の爆風が稼いだコンマ1秒に満たない時間で、晶は武装切り替えのトリガーを引いた。
他の武装で隙を作って、切り替えた剣でトドメを刺す――この動きだけは、何度も練習してきた。
最後の最後、土壇場でものを言うのはやはり日頃の練習だ。淀みなく、滑らかな動きで微塵改は腰から剣を引き抜く。

一式徹甲剣『岩貫(いわぬき)』。岩をも貫く装甲貫徹力に優れた直剣。
武装の名前は雰囲気だけで付けた意味のない言葉であるが、偶然にしては出来すぎた取り合わせだと自分でも思う。
アーサー王の振るった二本のエクスカリバー。その片割れは、『岩に刺さっていた剣』だからだ。
選ばれし者にしか抜けない聖剣をその手に取った日から、かの英雄の伝説は始まった。

「さあ、私の声に応えなさい!岩貫改め――『エクスカリバー・コールブランド』!!」

擲弾砲をリコイルバスターで処理し、自由落下してくるスペクター。
それを迎え撃つかのように、直剣を真上へ突き上げる微塵改。

交錯二つの機影は、同時に互いの中枢を穿つクロスカウンター。
砲口と剣、どちらが先に相手の耐久ゲージを削り切るか――小数点以下のダメージレースだ。
0097紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/11/03(土) 23:01:21.49ID:5fnI4v4k
【上から降ってくるスペクターにグレランをそのまま投げつけ、直剣でクロスカウンター】
0098やぎ
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2018/11/04(日) 18:42:54.87ID:00z0ggaM
今回は先に水鳥さんに書いてもらって、その後で投下させてもらえないかな
戦いの結末を決めるべきは僕じゃないだろうしね
0100水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
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2018/11/10(土) 21:38:22.98ID:2EcwLKZ8
オリオンスペクター最後の切り札――『ファントムシフト』。
推進ユニットExtra-Wing Flight Systemを構成するオリジナルパーツの機能。
ホログラムを投影することで機体を五つに分身させ、撹乱させる幽星に相応しき能力だ。
高速機動中に絶大な効果を発揮する機能だが今やその脚部は損傷し十二分に使用できない。

>「……紫水君。最後に言っておくよ。
> 実はカリブルヌスの名前、元は別の名前だったんだ。
> 恥ずかしさがあったから変えたけど……今ならはっきり言える。これで勝つんだ。
> さあ……エクスカリバー!その光刃で敵を断つときだ!」

「良くぞ言った!だが損傷したとはいえ、甘く見積もってもらっては困るな!
 私のファントムシフトはそうヤワな機能では――……」

ゴーストは眼前のファイターに漲る自信を前にして言葉を失った。
たとえ機能が半減していようと、技量で補ってみせるという、驕りに近い余裕がゴーストには常にある。
しかし、桐山の言葉には「プロに最も近い男」とまで評されたゴーストを黙らせる力があった。

自棄でも冗談交じりでもない。彼が覚悟を決めた時は、必ずそうなのだろう。
ベンケイ戦でも――そして今でも逆転の嚆矢となって値千金の活躍をしてみせる。
彼の制作能力が十二分に発揮できるエクスカリバーなら、勝利を導く事ができるはずだ。

>「どれかを狙う必要はない!何故なら――全てを薙ぎ払えばいい!」

それはARバイザーの視界を埋め尽くさんばかりの光の奔流。
ホログラムによる幻影を一瞬で焼き払い、逃げる隙間もない光輝が襲いかかる。
光に飲み込まれたかに見えたオリオンスペクター本体は、しかし、空中に逃げ去っていた。

>「……これで……いや!オリオンスペクターはまだ、健在だ……!」

>「え……?」

紅の騎士が微塵改から零れ落ち、機能を停止させる。
呟いた桐山の声は勝利を確信した晶を驚かせるものだった。

>「まったく、オリジナル武器というものは常に驚かせてくれる……!
> しかし、その牙ももはや折れた!その機体で何秒耐えられるか、見せてもらおう!」

黒の幽星はまだ生きていた。全国出場者というのは概して執念深く勝利を狙い続けるものだ。
武器の大半を消失し、膝から下を失ってなお、自由落下しつつリコイルバスターを構える。
現に彼の愛機は耐久バーも残っていれば、操縦桿で動かす事も出来る。まだ戦いは終わっていない。
0101水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
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2018/11/10(土) 21:40:31.23ID:2EcwLKZ8
>「いいえ。牙はまだ折れてなどいないわ。これ以上、耐えるつもりもない」

晶の毅然とした言葉と共に投げつけられた擲弾砲を掌底のビームで迎撃。
暴発した擲弾砲はゴーストの機体を煽って落下速度を僅かに落とす。

>「アーサー王の伝説、その元ネタに則るなら、エクスカリバーはひとつだけじゃないわ。
> 泉の乙女から下賜された聖剣とは別に、もう一振りのエクスカリバーが伝承の中には存在する!」

「何を言っている……!?」

>「さあ、私の声に応えなさい!岩貫改め――『エクスカリバー・コールブランド』!!」

微塵改が直剣を天空のオリオンスペクター目掛けて突き上げる。
聖剣を携えた英雄は一機ではなかった。彼らは『合体機』。二機で一機だ。
ならば伝説上の聖剣を二振り所有していたとしても不思議ではない。

「――勝利の栄光は我が掌の中に!『リコイルバスター』!!」

天と地の二機の攻撃が交錯し、歓声に沸いていた会場が水を打ったように静まり返った。
極度に集中した状況に於いて当事者たるゴーストの感覚がそうさせたのかもしれない。
微塵改の放ったコールブランドの一撃は過たずオリオンスペクターの中枢を貫いていた。

掌部零距離ビーム砲『リコイルバスター』の利点は高打点の秒間ダメージ量を叩き出せる所にある。
一方で名称通り、リーチが短いという難点をも抱え込んでいるいわゆるロマン武器でもある。
すなわち、直剣に対しリコイルバスターの射程距離はあまりに短すぎた。

勝ろうはずもない技量の差を――勝敗の差を――分けたのは武器のリーチだ。
直剣がほんの少しだけ掌底より先に命中し、結果としてリコイルバスターは不発に終わった。
放たれた零距離ビーム砲は微塵改の装甲を抉り取っただけだった。
掌の砲門をチカチカと明滅させながらオリオンスペクターは力なく崩れ落ちていく。

「……まさか、こんな事が起ころうとは……」

尽きた耐久バーを眺めながら、しばらく呆気に取られていた。
紛れもない敗北と言う事実を突きつけられ、放心状態になってしまったのだ。
動かない思考をたたき起こし、ゴーストはようやく言葉を搾り出した。

「種が芽吹き花を咲き誇らせるように、眠れる力を開花させたか……。
 紛れもなく……この勝負。チームつつじヶ丘、君達の勝利だ」
0102水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/11/10(土) 21:45:03.54ID:2EcwLKZ8
仮想操縦桿が自動消失し、ゴーストは撃墜状態になった。
晶がARデバイスで確認すれば撃墜数に1がついたはずだ。

「そして……サバイバルマッチも君達の勝利という結末になりそうだ。
 高機動機は私達との戦闘中、最終的に多数の参加者を巻き込んで自爆した。
 重装射撃機は……今相打ちになったようだからな」

ゴーストの台詞から程なくして勝利時に流れるBGMが会場に響いた。
歓声が沸き起こり、晶と数名の参加者がサバイバルマッチに生き残ったのだ。

「今……今、サバイバルマッチの雌雄が決しました。勝者は参加者達です!
 アリーナは開放されました!トラフィックゴーストが敗北したのです!」

司会がすかさず実況を入れると周子はイベントが終わったことを実感した。
ああ、もうあの楽しい戦いが終わってしまったのかと急に思ってしまうのだ。
思い掛けないリーダーの任命に始まり、ベンケイとの戦い、そして全国区選手との激戦。

全てを遠い過去のように感じながら、ゴーストがARバイザーを外すのを眺めていた。
大学生くらいだろうか。特徴的な白髪をそのままに、碧の瞳を宿した整った顔立ちの青年だ。

「君達みたいな後輩がいるのは嬉しいのか、恐れた方がいいのか……どっちもかな。
 次は全国で会おう。正真正銘、浦和零士として……もう一度勝負しよう。負ける気はない」

浦和は生き残った晶の健闘を讃えて握手した。
そして眉根を寄せて"ゴースト"の演技に戻るとマイクのスイッチをオンにする。
戦いに敗北したトラフィックゴーストは潔くアリーナを明け渡し、この場を去らなければならない。

「――見事だ!参加者の諸君!この実験の勝者は君達に終わった!
 だが我々は機体を運ぶ幽鬼。譬え墜ちて死者となりても、またいつの日か――。
 新たな頭目と共に現れるだろう。再び相見えよう。実験台達よ……!」

ゴーストの高らかな台詞と共に会場が暗転する。
再び明るくなった頃にはモータルもゴーストも消え失せ、会場にはコロシアムフィールドだけが残された。
ゲーム"マシンナリーファイターズ"はとてもリアル感を重視したゲームだ。
戦闘後もゲームを終了しなければフィールドに残された機体の残骸や爆発の痕を見ることができる。

短かったが、濃密なあの戦いの数々とももうお別れだ。
周子は眼鏡型ARデバイスを外してチームつつじヶ丘の面々の所へ駆け寄った。

「晶ちゃん。桐山先輩、八木先輩。私……とっても楽しかった!
 皆と一緒にバトル出来て凄く良かったって思ってる!」

このイベントが最初で最後とは限らない。
例えばチーム戦とか、オンライン対戦とか、いくらでも繋がる事ができる。
桐山も八木も周子にとって、もう掛け替えのない友達だ。

「だから……また一緒に遊ぼう!」


【チームつつじヶ丘、サバイバルマッチに勝利!】
0103八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/11/12(月) 22:55:10.05ID:zfpDT24f
クラウン・ノイジーモデルの耐久値がゼロになる。
機体の随所から青い光が漏れたかと思うと――クラウンは専用の花火めいたエフェクトと共に爆散した。
これで八木は脱落だ。後は観戦者として試合の展開を見守る事しか出来ない。

(……やれる事はやった)

周囲にばら撒いた液体爆弾によってオリオンスペクターの機動力を削いだ。
今なら、エクスフォードや微塵改でも、彼と勝負が出来るはず。

>「ありがとう、八木。……大会が終わったら奢るよ」

「いいよ、別に……僕が良いプレイをする度に奢ってたら、君の小遣い、なくなっちゃうぜ」

そして――最後の交戦が始まった。
水鳥の駆るエクスフォードの連撃を、オリオンスペクターは容易く躱していく。
隠し武器の巨大な鋏も、上手く操っているがそれでもなお当てられない。
単純なマシンコントロール技術と読み合いでは、浦和零士には勝てない。
だが――水鳥の表情に諦めはない。

>「これで勝敗は決した……!」
>「まだ……まだ終わってない!」

切り札である巨大鋏を破壊されても、なお、彼女の顔に諦めの色は浮かばなかった。
白兵戦の間合いの中、エクスフォードがオリオンスペクターへと更に一歩詰め寄る。
そして――スラスターを焚いた。

「……その手があったか」

クラウンがばら撒いた爆薬が高熱に晒される。
瞬間、爆炎がエクスフォードとオリオンスペクターを飲み込んだ。
浦和零士は咄嗟に回避行動を取っていたが、爆風から逃げ切れる訳はない。
爆炎が晴れると、オリオンスペクターの姿は大きく様変わりしていた。
装甲は歪み、エナジーライフルは銃身が溶け、右足首から先が欠損。

だが――

「追い詰めた、なんて思っちゃ駄目だよ。これでやっと五分の勝負。
 浦和選手ならここからでも逆転の可能性を掴んでくる」

爆心地でまともに爆発ダメージを受けたエクスフォードは四肢を完全に欠損。
そのままエナジーキャノンによって撃墜されてしまった。

(とは言ってみたけど……これは、あるぞ。本当に勝ちを拾うとこまで行けるかもしれない)

残るは大破状態のマクシミリアンと、重装甲型の微塵改。
一手間違えれば呆気なく全滅させられる事になる。

>「あらゆる武器、あらゆる戦術を尽くして戦うのがロボットバトルというもの……。
 その『合体』が君達の出した結論だというのなら、全霊をもって応えよう。
 さっきの二機のように……私とオリオンスペクターに牙を突き立ててみせろ!!」

そして――オリオンスペクターが地を蹴った。
爆圧で装甲が歪んだ機体で、しかし抜群の操縦技術をもって強引にスラスターを吹かす。
超高速の突撃を仕掛けるオリオンスペクターの姿が――不意に、五つにブレた。

ホログラムだ。
リコイルバスターだけではなかった。
浦和零士はもう一つ、隠し玉を持っていたのだ。
0104八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/11/12(月) 22:55:48.00ID:zfpDT24f
だが戦況を見守る八木の表情に、焦燥はない。

(……そうだ。最適解は、もう君の手の中にある)

全ての鍵となる彼――桐山直人の顔にも、焦りの色は浮かんでいなかったからだ。
0105八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/11/12(月) 23:07:22.48ID:zfpDT24f
>「さあ……エクスカリバー!その光刃で敵を断つときだ!」

そして目の眩むような閃光が、マクシミリアンから放たれた。

>「どれかを狙う必要はない!何故なら――全てを薙ぎ払えばいい!」

閃光がオリオンスペクターの黒い機体を塗り潰す。
制御を度外視したエクスカリバーは、ほんの2、3秒瞬いて、すぐに停止してしまった。
だが反動でマクシミリアンが活動停止するほどのエネルギーだ。
2秒も炙られれば、どんな軽装甲型のオリオンスペクターは骨格すら残らない。
0106八木優樹 ◆KROETylmQE
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2018/11/12(月) 23:09:02.15ID:zfpDT24f
>「……これで……いや!オリオンスペクターはまだ、健在だ……!」

はずだった。

「まさか……!」

八木が頭上を見上げる。
既にマシンHUDは消失していたが――あの状況で逃げ場があるとすれば、そこしかない。
果たして――八木の予想通りは当たっていた。

オリオンスペクターは高く真上へと飛び上がる事で、エクスカリバーによる被撃墜を回避していた。
装甲は殆ど溶け落ち、片脚も失い――しかし、まだ稼働している。

>「まったく、オリジナル武器というものは常に驚かせてくれる……!
> しかし、その牙ももはや折れた!その機体で何秒耐えられるか、見せてもらおう!」

リコイルバスターにエネルギーを充填し、微塵改を撃破せんと狙いを定めてすらいた。
だが――それを見上げる紫水の目には、惑いはない。

>「いいえ。牙はまだ折れてなどいないわ。これ以上、耐えるつもりもない」
>「さあ、私の声に応えなさい!岩貫改め――『エクスカリバー・コールブランド』!!」

彼女は迎え討つつもりだった。
腰に差した直剣を引き抜き――天へと突き上げる。

>「――勝利の栄光は我が掌の中に!『リコイルバスター』!!」

そして――その直剣は狙い過たず、オリオンスペクターを捉えた。
肩を貫いて、そのまま胸部の内側、マシンナリーの中枢部を。
オリオンスペクターの全身から青い光が漏れる。
そのエフェクトが示す結果は一つだ。
オリオンスペクターの耐久値はもう、残っていない。

>「……まさか、こんな事が起ころうとは……」

オリオンスペクターが糸の切れた人形のように、動作を停止する。
浦和零士が呆然とした声を上げた。

「……まさか、本当に勝っちゃうとはなぁ」

チームつつじヶ丘は、現行のメタからかけ離れた、セオリーなどお構いなしのチームだった。
ショーマンとしての立ち振舞と、勝利を両立させられるつもりだったのだろう。
八木自身、途中まではまさか勝利にまで漕ぎ着けられるとは思っていなかった。

>「種が芽吹き花を咲き誇らせるように、眠れる力を開花させたか……。
 紛れもなく……この勝負。チームつつじヶ丘、君達の勝利だ」

「……おめでとう、みんな。いいプレイだった。本当に……神がかってた」

それから程なくして、サバイバルマッチは終了した。
浦和零士の言う通り、参加者側の勝利によってだ。

>「君達みたいな後輩がいるのは嬉しいのか、恐れた方がいいのか……どっちもかな。
 次は全国で会おう。正真正銘、浦和零士として……もう一度勝負しよう。負ける気はない」

水鳥や紫水には分からないかもしれないが――浦和零士のその言葉は、MFプレイヤーにとっては恐ろしく価値のあるものだった。
最もプロに近い男。その彼が、自分達を明確なライバルとして認めたのだ。
しかし――にもかかわらず、八木の反応は苦々しさを含んでいた。
0107八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/11/12(月) 23:10:54.86ID:zfpDT24f
チームつつじヶ丘は所詮、今日この場で結成されたばかりの即席チームだ。
大会出場の予定なんてなければ――再結成の予定もない。
だがこの雰囲気の中でそれを口に出す事は、八木には出来なかった。

>「――見事だ!参加者の諸君!この実験の勝者は君達に終わった!
 だが我々は機体を運ぶ幽鬼。譬え墜ちて死者となりても、またいつの日か――。
 新たな頭目と共に現れるだろう。再び相見えよう。実験台達よ……!」

そうして、つつじヶ丘アリーナを襲ったゲリライベントは終わった。
噂の新型機を触る事は出来なかったが、代わりに滅多にないほど楽しいバトルに参加出来た。
もう、八木がこの場に残る理由はない。
だが――彼は出口を目指すのではなく、代わりに周囲を見回した。
水鳥、桐山、紫水――つい先程までのチームメイトは、まだすぐ近くにいた。
八木は彼らを見つめると、何か迷った素振りを見せながらも口を開き――
0108八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/11/12(月) 23:11:54.02ID:zfpDT24f
「あのさ……」

>「晶ちゃん。桐山先輩、八木先輩。私……とっても楽しかった!
 皆と一緒にバトル出来て凄く良かったって思ってる!」

しかし水鳥に先を越されて、すぐに口を閉ざす事になった。

>「だから……また一緒に遊ぼう!」

水鳥の屈託のない笑顔と言葉に、けれども八木はばつが悪そうに視線を泳がせる。
ゲーマー歴の長い八木にとって、一緒に遊ぶ相手――フレンドとは色んな意味合いがある。
たまにカジュアルマッチでなあなあのプレイを楽しむ程度の付き合いでもフレンドだし、
戦術を練って練習を積んでチームとしてランクマッチに臨む相手もまたフレンドだ。

つまりこの場合で言うならば、水鳥はただ、たまにこういうイベントがあったら集まろう、くらいのノリなのか。
それとも、もっと頻繁に集まって――例えば部活動としてゲームをしようと言っているのか。
それを八木は見極めかねていた。だが――

「……うん。またイベントとか……試合とか。助っ人が必要な時はいつでも呼んでよ」

いずれにしても、水鳥の提案を断れば、それは立派な嫌なやつだ。
それだけは八木にも簡単に、はっきりとよく分かった。

「その……ゲーム部にもまだ、籍は残ってるはずだし。
 苦手な機体タイプとかもないから、練習がしたければ付き合うよ。
 ……あんまり口うるさくしないようには、気をつけるからさ」

今後の事がどうなるにせよ――八木は自分に出来る精一杯の快諾を返した。
0109八木優樹 ◆KROETylmQE
垢版 |
2018/11/12(月) 23:13:17.92ID:zfpDT24f
 
 
 
「――なんだよもー自爆ってえ!いくら負け確だからってそんなセコい手ふつー使う!?」

アリーナから駅へと向かう道の途中。
一人の少女が大声を上げていた。

「悪の組織なんだからそりゃ使うでしょ。つーかアンタが遊びすぎ。
 さっさとトドメ刺しときゃ浦和選手の方に遊びに行く時間もあったでしょうに」

「ゴーストが浦和零士だって知ってたらそうしてたっつーの!」

赤髪のポニーテールに、中学生並みの低身長、気の強そうな吊目の少女。
長い黒髪で片目を隠した、長身痩躯、蒼白とすら言えるほど色白の少女。

二人の少女は、柄の同じパーカーを着ていた。
ペアルックではない。背中には『K.G.T』とアルファベットが刺繍されている。
国領ゲーミングチーム――都内でも強豪と噂される、国領高校のゲーム部。
そのレギュラーメンバーにのみ支給されるユニフォームだ。

「つーかよ、浦和零士が負けたってマジ?誰にやられたんだよ。
 アレか。桜上水の奴らか。私服だったけど、アイツらも会場に来てたよな」

「んーん。やっつけたのはね、つつじヶ丘高校のゲーム部だってさ」

「……つつじヶ丘ぁ?あそこ今年はろくな三年残ってなくね?」

「それどころか去年一年にボコられて、当時の二年は殆どやめたって話だけど」

「てー事は、その一年が浦和零士を仕留めたって訳か」

「今は二年だけどね。まぁその可能性が高いんじゃない?」

「……近い内に、スクリム吹っかけるぞ。今年のつつじヶ丘は正直アウトオブ眼中だったが……
 浦和零士がボコられたのがマジなら、確かめとかねえとな」

赤髪の少女はそう言うと、にやりと、獰猛に笑った。

「まぁどうせ、私の『ランスロット』にゃ敵わねーだろうけどよ」



【最後のこれはただこういう雰囲気が好きで加えただけの蛇足だよ。
 短い間だけど楽しかったなぁ】
0110桐山 直人 ◆gxyByDjhps
垢版 |
2018/11/15(木) 20:22:18.53ID:4XC69fdP
>「さあ、私の声に応えなさい!岩貫改め――『エクスカリバー・コールブランド』!!」

マクシミリアンが戦闘不能になっても、未だ桐山は会場に立っていた。
全てのエネルギーを使い果たして戦場に倒れ伏す相棒の残骸と共に、試合を最後まで見届けるために。

>「――勝利の栄光は我が掌の中に!『リコイルバスター』!!」

エクスカリバーの薙ぎ払いですら仕留められなかったオリオンスペクターが上空から
猛禽の如く奇襲を仕掛け、微塵改は最後に握りしめた直剣を振り上げてカウンターを狙う。
直後、勝敗は決まっていた。

>「……まさか、こんな事が起ころうとは……」

リコイルバスターは重装型すら粉砕する火力を持つ。
だがそのリーチの短さが、ただの直剣が勝ちうる弱点となったのだ。
微塵改は勝利を誇るように立ち、オリオンスペクターは片手を突き出したまま、前のめりに倒れ伏す。

>「……まさか、本当に勝っちゃうとはなぁ」

「今の試合、録画しておいたよ。常識外れのチームが勝つことはたまにあるとは言っても……
 まさか僕たちがそれになるとはね」

バイザーが表示する仮想メニューから直前の試合映像を保存しておき、
自らのアーカイブへと放り込む。普段は大会の名試合やプロモーション映像ばかり
入れていたそこに、自分の試合を入れたのは初めてだった。

>「今……今、サバイバルマッチの雌雄が決しました。勝者は参加者達です!
 アリーナは開放されました!トラフィックゴーストが敗北したのです!」

>「君達みたいな後輩がいるのは嬉しいのか、恐れた方がいいのか……どっちもかな。
 次は全国で会おう。正真正銘、浦和零士として……もう一度勝負しよう。負ける気はない」

動画の向こうでしか会えなかった存在がこちらをMFの乗り手として認識し、
記憶してくれた。それがどれほどの価値があるかは、桐山本人にしか分からないことだろう。
バイザーの裏で桐山は、自らの内に静かな熱が生まれ始めているのを感じていた。
そしてイベントは終わり、会場は破壊された機体の残骸とかつて戦場だったことを示す焼け跡が残るのみ。
0111桐山 直人 ◆gxyByDjhps
垢版 |
2018/11/15(木) 20:23:34.09ID:4XC69fdP
>「晶ちゃん。桐山先輩、八木先輩。私……とっても楽しかった!
 皆と一緒にバトル出来て凄く良かったって思ってる!」

その言葉に桐山もバイザー型ARデバイスを外して、長らくすることのなかった笑顔をしてみせる。

>「だから……また一緒に遊ぼう!」

視線を泳がせる八木とは対照的に、桐山はバイザーを掛け直す。
そしてこの場にいた全員に、あるものを送信した。
それはマシンナリーファイターズにおける、フレンド依頼。
相手が何をしているのか、どんな機体に乗っているかぐらいにしか分からないものだが、
それでもこの瞬間、桐山は激戦を勝ち抜いた戦友たちに送っておきたかったのだ。

>「その……ゲーム部にもまだ、籍は残ってるはずだし。
 苦手な機体タイプとかもないから、練習がしたければ付き合うよ。
 ……あんまり口うるさくしないようには、気をつけるからさ」

「八木は……ごめん、去年のごたごたでフレンド解除してた。
 もう一回送り直すけど……今度も遠慮なく言ってほしい。やっぱり僕は強くなりたいからね!」

部をやめたときに、部員とのフレンドは全て解除してしまっていた。
それは彼らにこれ以上関わりたくなかったというのもあったが、今は違う。
もう一度、やり直したいという気持ちがあった。

――数日後、ある日の放課後。
つつじヶ丘高校の授業が終わり、部室へと向かう生徒たち。
もしその中に水鳥がいて、部室の軋んで古びたドアを開ければ、そこに桐山がいるのがすぐに分かるだろう。
彼はバイザーを起動し、空中にある何かを両手で外したり、取り付けたりしているように見えるはずだ。
そして彼が水鳥に気づけば、こう答えるだろう。

「本日付でゲーム部所属の、桐山直人だよ。
 水鳥君、改めてよろしく!」

バイザー越しの彼の顔は、再び喜びに満ちているはずだった。


【なかなかできないロボット物ができてとても楽しかったです!
 皆さんありがとうございました!
コテハンが変わったのはPCを乗り換えた関係で専ブラのデータ移行を忘れてたためです…】
0112紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
垢版 |
2018/11/23(金) 04:18:02.49ID:CLoGH4MV
>「――勝利の栄光は我が掌の中に!『リコイルバスター』!!」

オペレーターの雄叫びに呼応するように、光を湛えながら急降下するオリオンスペクター。
それを迎え撃つは、微塵改がまっすぐ直上へ掲げる、もう一振りのエクスカリバー。
幽星と剣闘士、閃光と鋼刃が交差する。

金属質な破壊音と共に、紫電が轟いた。
決着は一瞬。会場の誰もが、交戦中の参加者すら操縦の手を止めて見守る刹那の激突。
秒数にすればほんのコンマ1秒にも満たない攻防を、制したのは――

>「……まさか、こんな事が起ころうとは……」

バイタルパートに大穴を穿たれ、オリオンスペクターは動作を停止。
そして、表面装甲を焦がした微塵改は、なおその頭部に意志の光を灯したまま、屹立し続けていた。
紫水晶の――チームつつじヶ丘の、勝利だ。

>「今……今、サバイバルマッチの雌雄が決しました。勝者は参加者達です!
 アリーナは開放されました!トラフィックゴーストが敗北したのです!」

晶は『勝利を喜ぶ』エモートで勝鬨をあげようとしたが、やはりどこにそのボタンがあるのか分からない。
だから、微塵改に剣を掲げさせて、自分自身の言葉で叫んだ。

「私達の前に、たった今、ゴーストは斃れたわ。
 この瞬間を、認識タグを、目に焼き付けておきなさい。
 私達の……つつじヶ丘高校、ゲーム部の名前を!!」

多少スポーツマンシップには反するかもしれないが、晶は自分を突き動かす衝動に逆らわない。
勝てなくても良い、楽しめればそれで良いと、ずっと思っていた。
でも、みんなで協力して、一緒に強大な敵に立ち向かい、勝つという喜びを、知ってしまった。
もう一度、何度でも、周子や、桐山や、八木と。一緒に戦って、勝っていきたい。
心の底からの渇望が、晶に勝ち名乗りを選択させた。

>「君達みたいな後輩がいるのは嬉しいのか、恐れた方がいいのか……どっちもかな。
 次は全国で会おう。正真正銘、浦和零士として……もう一度勝負しよう。負ける気はない」

「望むところよ『浦和さん』。
 次はサブライズのお膳立てなんかじゃなく、公式戦で、貴方のもとまで辿り着いてみせる」

>「――見事だ!参加者の諸君!この実験の勝者は君達に終わった!
 だが我々は機体を運ぶ幽鬼。譬え墜ちて死者となりても、またいつの日か――。
 新たな頭目と共に現れるだろう。再び相見えよう。実験台達よ……!」

ARデバイス越しに配信されていたフィールド情報が停止し、マシンナリーの残骸たちが消えていく。
晶はそれらを名残惜しそうに眺めてから、ARデバイスを外した。
マシンナリーファイトの派手な色彩に比べればひどく色褪せた、しかし彼女の回帰すべき現実の世界。
同じくデバイスを外した周子が子犬のように飛び込んできた。
0113紫水晶 ◆.PjwSk2J/.
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2018/11/23(金) 04:18:55.07ID:CLoGH4MV
>「晶ちゃん。桐山先輩、八木先輩。私……とっても楽しかった!
 皆と一緒にバトル出来て凄く良かったって思ってる!」

「ええ、私も。みんなで戦えて、みんなで勝てて、すごく楽しかった。
 こんなに楽しいゲームを、心躍る試合を、これで終わりにしたくない。だから……」

その先は、言わなかった。
同じことを周子もまた考えていると、晶にははっきりとわかった。

>「だから……また一緒に遊ぼう!」

また、一緒に。
言葉にすれば照れくさいその提案を、真っ直ぐに言ってのけるのは周子の人徳だ。
底抜けに明るくて、人並みに迷いもするけれど、選んだ道に後悔をしない。
人の輪の中心に立てるのは、周子のような人間だ。
晶にはそれが眩しくて、彼女と友達でいられることが嬉しい。

>「……うん。またイベントとか……試合とか。助っ人が必要な時はいつでも呼んでよ」

「水臭いわね、八木先輩。そんな傭兵みたいな関係、寂しいじゃない。
 必要ない時でも呼ばせてもらうわ。部室でだべっている時とかにもね」

相変わらず一歩引いたような口ぶりの八木に、晶は意地悪く笑みを向けた。
この中で最もマシンナリーに精通した上級者は八木だ。
勝つために、教えてもらいたいことはたくさんある。
そして、プレイヤー同士の関わりは、何も試合の助っ人だけじゃないはずだ。

ARデバイスに新たな通知があった。
それは、フレンド申請。送り主は、桐山だ。
ゲーム部入部以来、周子の名前しかなかった晶のフレンドリストに、名前が増えた。
桐山と八木。かつてのゲーム部が――ほんの少しだけではあるが――蘇りつつあった。

――数日後。

つつじヶ丘高校ゲーム部の部室からは、晶の楽しげな声が聞こえてくる。
つい最近までごく少数の部員が黙々とデバイスを弄るだけだった部室が、にわかに活気づいていた。

「周ちゃん、周ちゃん。今月の『月マシ』はもう読んだ?特集にこの前の大会のことが載っているわ!」
「八木先輩、新しい戦術を思いついたの。試してみるから忌憚のない意見をちょうだい」
「桐山先輩、コールブランドの改良をお願い。もっと豪華に光るようにしたいの」

あの日の試合を境に、晶はマシンナリーファイトの世界にどっぷりとのめり込んでいた。
これまでのロマン偏重なビルドに改良を加えて、中級者相手ならまともな勝負ができるようになっている。
負ければ悔しいし、勝てば嬉しい。
でもそれ以上に、負けても良いと考えていた時期より、試合はずっと楽しかった。

遠からず、彼女は壁にぶち当たり、挫折を経験することもあるだろう。
だけど、マシンナリーファイトにかける情熱は、その炎は、きっと絶えることはない。
挫折を分かち合って、一緒に立ち向かってくれる――仲間がいるのだから。


【おつかれさまでした!やりたいこと全部やりきれて本当に楽しかったです!
 また機会があればぜひ!ありがとうございました!】
0114水鳥周子 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/11/25(日) 15:13:13.53ID:9Yc+Ixcr
【書き込み遅れましたが、これにて企画終了です!皆様参加ありがとうございました!
 また機会があれば一緒に遊びましょう!それでは失礼しました!!】
0115 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/07(金) 23:15:21.78ID:5mNzrS38
勢いで考えてみた何の変哲もないヒーローもの企画を投下します。

ヒーローウォーズ

異能者、改造人間、超科学、魔法使い、宇宙人、未来人etc……。
20XX年のメトロポリスではありとあらゆる非日常が渦巻いていた。
特殊な力を悪用する犯罪組織の巣窟であるこの街は破壊と混乱、無秩序と冒涜が支配する。
自分たちの欲望と衝動、野望の赴くまま暗躍する者達を『ヴィラン』と人は呼ぶ。

そんな中、人々と街を守るべく自然発生したのが『ヒーロー』達だ。

ヒーロー達は自身の能力と無辜の民の声に従い街を守る正義の代行者である。
彼らはおおむねヒーロー協会に所属し、ヒーロー協会のバックアップを得て超法規的に活動している。
また、頂点の実力を持つアイドルヒーローともなれば文字通りの人気と知名度を兼ね備えた有名人でもある。

果たしてヒーロー達は迫りくる悪意に勝つことができるのだろうか。
数々の死線を潜り抜け、正義を貫けヒーロー達!


ジャンル:ヒーローアクション
コンセプト:ライトにバトルものを楽しもう
期間(目安):8ターン以内(予定)
GM:なし
決定リール:なし
○日ルール:14日
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし


【テンプレート】

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
能力:
装備:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:
0116 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/07(金) 23:16:07.92ID:5mNzrS38
名前:神籬明治/リジェネレイター
年齢:16
性別:男
身長:177
体重:62
職業:高校生
性格:人見知りで引っ込み思案
能力:共感覚
人の感情をおぼろげに感じ取ったり共有できる。
集中すれば1キロ程度の遠い人の感情を読み取れる。
心を読む能力ではないので注意が必要。

装備:腕時計型端末『オービット』
メトロポリスの科学者ドクターカンナギ特注の腕時計型変身スーツ。
ナノマシン制御用AIの『オービット』がナノマシンを生成する事で装着できる。
ナノマシン生成機能と高度な学習機能により状況に応じて機能をリアルタイムでアップデート可能。
その他自動修復や各種装備も完備。ただし現状の基本武器は右腕部の力を強化する『パワーシリンダー』のみ。

容姿の特徴・風貌:群青色の髪の毛に学生服/暗緑色の布地に白の装甲と仮面
簡単なキャラ解説:
ヴィランが起こした事件によって両親を失くした少年。
以来周囲に心を閉ざしてしまい引っ込み思案で口数の少ない性格になった。
しかし、内には自分のような人を減らしたいという思いを秘めている。
生身で密かに活動していたところヒーロー協会から抜擢されてヒーローとなる。

ヒーロー名リジェネレイターはナノマシンによる自動修復機能から名付けられたもの。
ただし中身の人間は修復できないので定期的に中の人が死ぬ。現在は六代目にあたる。
二代目あたりまで知名度は高かったが交代が激しいあまり今や日陰者。
0118 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/07(金) 23:18:43.02ID:5mNzrS38
20XX年メトロポリス。
夢の未来都市と銘打たれたその都市の姿はもうなかった。
今やありとあらゆる悪意を溜め込んだ掃きだめと化したこの街に平和はない。
齎すとすれば――、特別な力を持ったヒーロー達に他ならない。

夜のメトロポリスを一体の改造人間が駆け抜ける。
自動車群の網目を縫って『ファイアスターター』は後ろを一瞥した。
頭部の生えた髪の毛のような排気パイプに脚部の大型車輪ヒールホイーラーが加速する。
口紅のように真っ赤なボディとファイアパターンが目立つ女性型改造人間の威容にドライバーはぎょっとした。

「うふ、アナタ達ったら、速さがまるで足りてないのね」

脚部のヒールホイーラーを傾けて器用にUターンしながら地平線を見据える。
そしてスロウな乗用車を適当に蹴り上げた。轟音を立てながら車は地面に対して垂直に宙を舞う。
視界には誰もいない。目に映るのは空虚なビルディングが立ち並ぶメトロポリスの夜景だけだ。

「ヒーローは遅れてやってくるって言うけれど、遅れすぎちゃダメじゃない?」

小脇に抱えたアタッシュケースを愛おしそうにひとなでして、改造人間は前方へ振り向く。
やっぱり私がナンバーワンの速さなのよ!
『ファイアスターター』は強い自負と共に夜の道路を疾走した。

メトロポリスに存在する犯罪組織は枚挙に暇がないが、彼女はその中でも危険で巨大な組織に属していた。
秘密結社レオニダス――。人間を一段階進化させるため、人類の新たな形態を模索する新興組織である。
彼らは現代の秘跡である超科学を用いて人に改造手術を施して改造人間を生み出す。
改造人間は『ファイアスターター』のように人間の原型を留めていなかった。

結社の擁する改造人間は警察組織では到底相手にできるものではない。
彼らと戦える組織はただひとつ。ヒーロー協会と所属するヒーローだけである。

「そうはさせねぇぜ改造人間っ!!」

改造人間が蹴り上げた車をキャッチしながら、腕時計型端末は吼えた。
端末の主である白い装甲服を纏った男は静かに車を降ろす。

「遅れすぎちゃだめじゃない?ちっちっち、違う違う。皆の声を待っていたのさ!
 俺が噂の装着系スーパーヒーロー、『リジェネレイター』様だっ!!!!!!!!!!」

腕時計型端末『オービット』が華麗なる向上を並び終え、
中身の神籬明治(ひもろぎめいじ)は静かに呟いた。

「……俺はどうすればいいんだ?」
0119 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/07(金) 23:19:36.64ID:5mNzrS38
「あだだっ!ったく、変身前に言っただろうが!カッコ良くなんか決めポーズすりゃ良いんだって!
 それぐらいのファンサービス皆やってるから。あー、そうね。やってない奴もいるよ」

「……誰なんだ?」

「お前だよ、お・ま・え!!」

オービットは機械の溜息を漏らした。『リジェネレイター』は喋らない。
男は気難しいというわけでも怒っているというわけでもなかった。彼はおおよそ他人に対して心を閉ざしていた。
それは人工知能であるAIが相手でも変わらない。彼にとって言葉を交わすとは、とても困難な作業だった。

「さぁてどうするんだ『リジェネレイター』よ。俺達に高速移動なんて便利な能力はないぞ。
 このままじゃあいつを取り逃がしちまう。他のヒーローに任せて帰っちまうか?」

リジェネレイターは答えないまま、やにわに乗用車の屋根に飛び乗った。
飛び乗った車はややバランスを崩しながら走行を続ける。
しばらくしたところでリジェネレイターは器用に他の車に飛び移った。

「おおっと、失礼しまぁす。良い苦し紛れだがよ。
 あの改造人間300キロは出てるぜ。こんなんで追いつけるのか?」

「分からない。だけど、やるまでだ」

そうきたか、とオービットは端末の画面を明滅させた。相変わらず頑なな奴だ……。
先代の『リジェネレイター』が死亡して、ヒーロー協会で神籬と出会ったその日の印象通り。
人見知りで引っ込み思案、誰にも心を開けない……だけど、内には正しい心を秘めている奴だと。

「根暗の癖になんで頭だけは固いんだか。
 しょうがねぇ、ヒーロー協会に連絡して道路を封鎖して貰おうぜ。
 他のヒーロ―共も寄ってくるだろうけど背に腹は変えられないからな」

「そうだな……ありがとう、オービット」

「礼なんて無用だ。AIは必要なことをするだけだからな」
0120 ◆AHrbOT0cTo
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2018/12/07(金) 23:20:40.69ID:5mNzrS38
快調に疾走していた『ファイアスターター』だったが、突如としてその走行を止めざるを得なくなった。
ビル街とメトロポリスの中で最も治安が悪いストリートを繋ぐ吊り橋が跳ね上げられ、先に進めなくなったのだ。
女改造人間は舌打ちしてストップ。脚部から怒りの炎を巻き上げた。
心臓が早鐘を打つような大音量の排気音を鳴らし独りごちる。

「誰かしら。私の走りを邪魔するのは……?」

「誰かしらもおかしらもあるかよ。天下の公道で散々暴れまわってくれちゃって〜……。
 神妙にしろ。警察に代わって俺達が逮捕してやるぜ!改造人間!!」

特徴的な暗緑色の布地に白い装甲を纏ったヒーローが女改造人間へ歩み寄る。
息を切らして追いついたリジェネレイターに喋る余裕は無論ない。
捲し立てたのはAIのオービットの方だ。

「私無駄なことって嫌いなんだけど。本当に誰なのかしら。
 名乗りぐらいあげてくれないとマイナーヒーローの事なんて分からないわ」

「カッチーン!てめぇ、これでもなぁ。俺だって昔はちょっとしたもので……」

言い終わるより早く地面が隆起してオービットのお喋りは中断された。
地面が裂けて現れたのは岩のようにごつごつした肌のこれまた異様な男だった。

「なんだなんだ。今日はヴィランのオンパレードか?
 もしかして……俺達、ヤバイ日に出くわしちまった?」

「かもしれないな……」

岩肌の男はリジェネレイターをぎろりと睨んでファイアスターターを見据える。
男は横にも縦にも長く、ざっと2メートルはあろう巨躯から一種ぬりかべを想起させた。
糸で縫合された口を強引に開こうとするが、神籬に聞こえたのは低い唸り声のようなものだった。

「久しぶりねロックバイン。相変わらず異能者の癖に改造人間染みてるわアナタ。
 そういうところが本当に無様ね!どうせアナタの狙いもこれでしょ?」

ファイアスターターは抱えているケースを叩きながらくすりと口紅を歪ませた。

「アナタと取り合いを演じても良いけど、先ずは邪魔者を消すのが先決じゃないかしら。
 アナタが私の速さに追いつける訳ないでしょう」

ロックバインと呼ばれた異能者は決然とした様子でリジェネレイターを睨みつけ臨戦態勢に入った。
ファイアスターターはそのスピードと炎を噴出する力を、ロックバインはその土を操る力を以て――。
眼前に映る邪魔者を殲滅することに決めたようだった。
0121 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/07(金) 23:28:07.51ID:5mNzrS38
【導入文終わり。もし参加者の方がいれば始める予定。なければこのまま放置】
0124【ヒーローウォーズ】 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/13(木) 22:20:43.89ID:InQNlwMz
【引き続き募集中です!興味のある方はぜひ!
 ご意見・ご要望などもあればぜひ承ります!】
0125創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/12/13(木) 23:41:49.22ID:UDbt/MtS
面白そうと思うし、実際キャラだけはもうできてる
でも他に参加スレあるから厳しい
猶予期間の長さがどうこうという話ではなく、スレを二つ自分の中で持つことが今はちょっと無理

だったらわざわざレスするなって話だけど、話自体が悪いわけでもないし普通に面白そうに思っている人間もいるという事を知ってほしかっただけですまん
0126創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/12/14(金) 00:25:43.97ID:edmantn7
先の見えない長編ならともかく最長8ターンなんだからそこまで気になるならやってみればいいんじゃね
0127【退魔師TRPG】 ◆VoVPpidXiM
垢版 |
2018/12/15(土) 18:43:37.20ID:mzKbOF8t
>>125
ありがとうございます。折角なので昔に考えた企画も投下。
どちらも参加者がいれば短い話をやれればと考えています。

【退魔師TRPG】

見知らぬ風景、見知らぬ場所。
白い空間に名も顔も知らぬ数十名の候補者達が集められた。
彼らは勧誘を受けて、あるいは適正を持つが故に強制的に連れてこられた。

日本は古来より怪異の恐怖に晒されており、その怪異を現代では魔物(モンスター)と呼ぶ。
魔物達は人間が本能的に恐怖を抱く姿を象り、異界より世界の歪みから現れてくる。
一方で歴史の影で世界の歪みを封じ、魔を以て魔を滅する者もいた。
退魔師である。

その退魔師の適性を持つ者――いわゆる霊感の高い者達がこの契約の儀式に集った。
目には目を。魔物には魔物を。彼らは儀式にて魔物を滅するための魔物を呼び出し、契約を結ぶ。
これこそが退魔師の秘儀にして対怪異のための武器、契約魔物である。
彼らを集めた日本最後の退魔師は言う。

君達の中から真の退魔師が現れてくれることを祈る。
儀式で得た力で何をするかは君達の自由だ。だが忘れるな。
契約の儀式を行うということは魔物達を滅する退魔師になったということ。
運命は君達を怪異へと引き寄せ、魔物と戦い続ける道を歩むことになるだろう。

――これより、契約の儀式をはじめる。


ジャンル:退魔アクション
コンセプト:スタンド風アクションバトル
期間(目安):未定
GM:なし
決定リール:なし
○日ルール:14日
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
0128【退魔師TRPG】 ◆VoVPpidXiM
垢版 |
2018/12/15(土) 18:44:24.67ID:mzKbOF8t
◆契約魔物についてのルール

1、契約魔物は一人一体まで。
2、霊感の低い者には視えない。
3、固有の能力を三つまで持つ。
4、退魔師の霊力を消費して能力に準じた必殺技を発動できる。
5、契約によって結びついているため、契約魔物が傷つけば退魔師も傷つく。
6、倒した魔物と契約を結び直す事で契約魔物は変更できる。


【テンプレート】

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
霊力:(好きな数字を記入)
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

【契約魔物テンプレート】

名前:
能力:(三つまで)
必殺技:(消費霊力も記入すること)
ステータス:パワー/スピード/タフネス(A〜Eで評価)
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:
0129【退魔師TRPG】 ◆VoVPpidXiM
垢版 |
2018/12/15(土) 18:45:15.74ID:mzKbOF8t
【テンプレート記入例】

名前:瀬川一葉(せがわいちよう)
年齢:16
性別:男
身長:174
体重:61
職業:高校生
性格:地味で大人しいが、根は熱い
霊力:100
所持品:学生鞄、魔除けのおふだ
容姿の特徴・風貌:地味な黒髪に学ラン姿
簡単なキャラ解説:
霊感が高く昔から怪異が見えていた少年。
当然の日常として無視して暮らしていたが、魔物によって人が傷つく姿を目撃。
自身は被害者を置いて逃げ出す。以来もう逃げたくないと考え、儀式の参加を決意する。


【契約魔物テンプレート記入例】

名前:メルキド
能力:
〇フレイムボディ:自身の腕や身体から炎を噴出して操ることができる。
〇マジックアーム:自身の腕をバネのように伸ばすことができる。
〇サーモバリック:霊力消費を倍にして炎系の必殺技の威力を倍化させる。

必殺技:
〇フレイムナックル(消費10):炎を拳に纏ってぶん殴る。
〇フレイムランチャー(消費20):腕から炎を噴射する。射程30メートル程度。

ステータス:パワーA/スピードC/タフネスB
容姿の特徴・風貌:樽型の胴体に丸い顔、仮面を被った偉丈夫。常に炎を纏う。
簡単なキャラ解説:
契約者瀬川の根っこに秘める熱い魂に呼応して召喚された炎の魔物。
物理攻撃系のシンプルな魔物で能力も単純。燃費は良いが絡め手に弱い。
0130【退魔師TRPG】 ◆VoVPpidXiM
垢版 |
2018/12/15(土) 18:46:20.76ID:mzKbOF8t
「君、霊感があるんだってね」

スーツを着た男性は開口一番にそう言った。
コンビニの雑誌コーナーで話しかけられた時、瀬川一葉は驚いて声が出なかった。
男はポケットを片手に突っ込んだままぶっきらぼうに折り畳んだ白い紙を差し出す。

「"退魔師"――。怪異を払い"魔物"を滅する者。
 興味があるならこの紙に書いてある場所へ来るといい」

おずおずと白い紙を受け取ると、男は足早に去っていった。
瀬川には幼い頃から視えてはいけないものが視えていた。
一般的に幽霊や怪奇現象と呼ばれるものを度々目撃し、指摘しては周囲から気味悪がられた。
やがて瀬川も自分だけに視えているものについて話してはいけない事に気づく。

怪異が為すことを気にしてはいけないし言及してもいけない。
彼は怪奇現象に対して無視を決め込んだ。
そんなある日のこと、彼は魔物に襲われている人を偶然目撃してしまった。
無力な彼にできることはまるでなく、ただ恐怖に怯え逃げ出すことしか出来なかった。

――そんな彼の過去が、足を自然と動かした。
白い紙に書かれてあったのは近所から少し離れたところにある公園。
時刻は夜にも関わらず、老若男女数十名ほどの人で溢れている。

怪異を払うという退魔師の存在。
何十人もの集められた人々。ここで一体何を始めるというのか。
何かのドッキリに騙されたのではないかと思い始めた頃――。

瞬間、周囲の景色は突如として真っ白な何もない空間に変貌した。
集められた人が色めきだち、混乱の波が押し寄せた。

やがて、白い空間にしわがれた老人の声が響く――。
声は空間内を反響し、混乱が少しずつ収まっていく。

「私は日本最後の退魔師。君達に集まって貰ったのは他でもない。
 この私の跡を継ぎ、退魔師となって日本に迫る怪異から救って欲しい」
0131【退魔師TRPG】 ◆VoVPpidXiM
垢版 |
2018/12/15(土) 18:47:14.93ID:mzKbOF8t
老人の声は魔物とそれを退治する退魔師の説明を終え、儀式を始めた。
瀬川の足元に緑の魔法陣が浮かび上がり、目映い光に包み込まれる。

光の中に映る影を瀬川は見た。ずんぐりとした巨大な影を。
影は翡翠の双眸を光らせながら足元の魔法陣に消えていく。
そして、契約は結ばれた。気がついた時には自室で寝ていた。

いつもと変わらない朝、いつもと変わらない日常。
一連の出来事は夢だったのかもしれない。
いつも通り学校に通い、夕方となった帰り道にふとそう思った。
だが――同時に耳にこびりつく言葉を瀬川は思い出していた。

"運命は君達を怪異へと引き寄せ、魔物と戦い続ける道を歩むことになるだろう"

ふと商店街の前を通りがかった時、瀬川はぞわりとするものを感じた。
強烈な怪異を見た時に奔る怖気。喉から込み上げてくる嘔吐感。
間違いない。近くに幽霊が――先日の老人の言葉に合わせれば"魔物"がいる。

シャッター通りと化した商店街を見つめる。
地面をよく見ると、血の痕が点々と商店街の奥へと続いていた。
日が沈みかかり、電燈が一切ついていない商店街は洞窟のように暗い。
奥を覗き込むことは叶わなかった。

(あの奥に何か、いる……!)

それだけは確かな事だった。
幸いなことに、魔物の脅威はこちらへ向いていない。
退けば向こうはこちらを追いかけてくるようなことはないだろう。

今、彼は岐路に立たされていた。
夕日が照らす日常の街へ逃げ込むか。
混沌が渦巻く暗闇の中へ足を踏み込むか。

答えはとっくに決まっていた。
瀬川は学生鞄を盾のように持ち直し、暗い商店街へと歩を進めた。
0134【退魔師TRPG】 ◆VoVPpidXiM
垢版 |
2018/12/16(日) 15:28:27.97ID:G/W9K8im
>>132
そんな感じです。
個人的にはジョジョのスタンドバトルっぽいのがやりたくて考えました。

>>133
魔物は霊感の低い者に視えないだけなので、武器の威力次第で傷つきます。
霊力を介した通常物理兵器であればもっと傷つきます。

タフネスB以上が相手の場合は素の拳銃弾やライフル弾では傷つかない……
ぐらいのパワーバランスだと考えています。
0135【退魔師TRPG】 ◆VoVPpidXiM
垢版 |
2018/12/16(日) 15:37:17.32ID:G/W9K8im
……と、考えていたんですがちょっと訂正。
通常武器で傷つきすぎるとややこしくなりそうなので
魔物は霊力を介した攻撃や銀製の弾丸みたいな特別なモノ以外では傷つかないという設定でお願いします。
設定がコロコロ変わってしまい申し訳ありません。
0138【ヒーローウォーズ】 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/20(木) 19:11:45.98ID:b5Rfe0Q1
うーん、【退魔師TRPG】は練り込み不足感もあるので一旦凍結させて頂きます。
申し訳ありません。

>>137
ありがとうございます!
【ヒーローウォーズ】は現在も募集中ですので興味があればぜひ!
0140創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/12/23(日) 08:25:30.37ID:PmniybP9
見つけたいけど出来るかな
なろうは投稿者多いから、よっぽど毎日投稿して宣伝しないと埋もれちゃうんだよなあ
0141 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/12/23(日) 17:59:10.45ID:pI9FQjbb
折角なのでまたロボットもの企画で募集します!
年末近いのでどうなるか分かりませんが、休みを挟みつつボチボチやれればと考えています。


【マシンナリーファイターズ】

20XX年。拡張現実(Augmented Reality)の発達は人々の生活をすこしだけ豊かなものにした。
拡張現実とは実在の景色にバーチャル情報を投影することで目の前の現実を仮想的に拡張する技術を指す。
このARを用いて生み出されたものこそウェアラブル端末「ARデバイス」である。
眼鏡、片眼鏡、ゴーグル、バイザーなど様々なタイプが存在しており、その用途は多岐に渡る。

――現在、人々はARデバイスを用いた「マシンナリーファイターズ」というゲームに熱中していた。
このゲームはARを用いてロボットを目の前に呼び出して戦わせる対戦アクションゲームである。
ロボットは「マシンナリー」と呼ばれ、操作はホログラフィーを用いた仮想操縦桿で行う。

ロボットが激突する瞬間、飛び交う弾丸、ビームの光……。
その全てがARによって現実さながらの迫力と光景になるのだ。
無論全て投影された演出なので人体に悪影響はない。

さぁ、君もファイターとなってロボットバトルを楽しもう!


ジャンル:SF風ロボットバトル
コンセプト:ロボット同士による熱いバトル
期間(目安):未定
GM:なし
決定リール:なし
○日ルール:14日
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
0142 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/12/23(日) 17:59:51.30ID:pI9FQjbb
[用語・設定]

マシンナリー:
ゲーム「マシンナリーファイターズ」で操縦できるロボット兵器の呼称。サイズは人間程度。
骨格となる基本フレームに装甲パーツ、スラスターパーツ、センサーパーツ、武器等を装着して完成する。
マシンナリーは基本フレームに装着する機体パーツを変更することで改造する事が可能である。

一からオリジナルパーツや武器を作成する事も可能でオリジナル機体をビルドできるのも醍醐味。
(ただしオリジナルパーツやオリジナル武器の使用にはゲームを開発したN社の審査と認可が必要。)
また基本フレームの改造は不可能だがN社からいくつかバリエーションが提供されている。


ロボットバトル:
ARデバイスでゲーム「マシンナリーファイターズ」を起動して対戦する行為を指す。
対戦方法は様々な種類があり通常のフリーマッチモードの他にチームマッチやサバイバルマッチ等が存在する。
また対戦機能を問わず勝利するとポイントが貰え、強さの指標でもあるランキングが決定する。
結構な人数のユーザー(ファイター)が問題の解決手段としてロボットバトルを持ち出しがち。
0143 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/12/23(日) 18:00:42.80ID:pI9FQjbb
【キャラクターテンプレート】

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
特技:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:


【ロボットテンプレート】

機体名:
機体タイプ:
外観:
装備:
骨格:
能力:格闘/射撃/機動/装甲(合計20)
解説:
0144 ◆SRqjql8RXY
垢版 |
2018/12/23(日) 18:07:24.37ID:pI9FQjbb
[骨格について]

マシンナリーのフレームのこと。以下の三通り存在する。

ベーシックフレーム……リリース当初から存在する基本フレーム。特徴は特になし。
エンハンスドフレーム……新フレーム。強化骨格とも。特定の武器に適正、不適正、能力に割合でバフ、デバフがつく。
デルタフレーム……新フレーム。可変骨格とも。可変機の作成に必要なフレームで自由に変形用関節を足せる。


【テンプレ例】

名前:水鳥周子(みどりしゅうこ)
年齢:16
性別:女
身長:166
体重:51
職業:高校生
性格:天真爛漫
特技:運動神経抜群
容姿の特徴・風貌:腰まであるひとつ結びの茶髪、琥珀色の瞳。人懐っこそう。
簡単なキャラ解説:
つつじヶ丘高校ゲーム部の一年生。実力は中の上程度。
部活は廃部寸前だけど世界大会優勝を夢に掲げている。


機体名:エクスフォードspec2
機体タイプ:万能型支援機体
外観:黄色の重装甲、青色のツインアイ、背中に殻型コンテナ。
装備:
フォールディング・シザーズ×2……両腕内蔵のハサミ型単分子ブレード。
スタンパニッシャー×2……空間展開式特殊兵装。両手から光球を射出し敵をスタンさせる。
ハーミットアーマリー……殻型武装コンテナ。下記の装備は全て収納武器。

エナジーリフレクター×2……コンテナ内蔵武器。攻撃を反射する展開式ビームシールド。
エナジーバルカン×4……コンテナ内蔵武器。低威力のビーム砲を断続的に発射する。
エナジーガンランチャー……携行式ビームガンの改造品。拡張バレルで威力を底上げしている。
マイクロミサイル……追尾式の小型ミサイル。熱感知式で20発まで発射可能。

骨格:ベーシックフレーム
能力:格闘5/射撃5/機動3/装甲7
解説:
正式名称「ハーミットクラブ・エクストリームモデルspec2」。エクスフォードは愛称。
水鳥周子の趣味と適正に合わせてゲーム起動時に貰える機体を重装甲モデルへと改造した専用機。
spec1が格闘機体だったのに対してspec2はチームの火力支援を目的に改造された万能機体となっている。

重装甲のため機体重量があり、機動性は低いもののジャンプなどの基本動作に支障はない。
レーダーには広域レーダーを採用しているので索敵も行える便利屋的仕様となっている。
必殺武器は両腕のハサミ型単分子ブレード「フォールディング・シザーズ」。
0145 ◆YGhdY0kduEHV
垢版 |
2018/12/23(日) 21:23:19.66ID:GTqliqQ1
名前:西田結希/ザ・フューズ
年齢:21
性別:女
身長:158
体重:55
職業:社長
性格:温厚/必要な時は冷徹/つまり大抵の場合冷徹
能力:
『後天性超能力:パイロキネシス/エクトプラズム』
メトロポリスに来訪した宇宙人達から伝わった人体改造技術。
西田結希はその施術を受ける事で後天的に超能力を会得している。
炎を発生させるパイロキネシスと物質化現象を引き起こすエクトプラズム。

ただし彼女は後天的な超能力者である為、超能力者を自在に操る事は出来ない。
パイロキネシスは二通りのパターンでしか発現させる事が出来ず、
エクトプラズムも作り出せる物体は二つだけ。

装備:衝撃吸収スーツ/指向性付与グローブ、ブーツ、エルボーガードetc/軽量ボディアーマー
容姿の特徴・風貌:黒髪ポニテ、銀縁眼鏡、黒スーツ/炎を模したドミノマスク、黒いキャットスーツ、装備類は全て赤色
簡単なキャラ解説:
西田結希はかつて詐欺師だった。
メトロポリスで毎日のように起こる事件は保険金、補償金詐欺を行うのに最適だった。
そうして軍資金を調達した彼女は、今度は保険会社ではなくヒーロー協会に詐欺を仕掛けた。
ヒーローとヴィランによる戦闘の余波で自社が営業不能になったとして、億単位の賠償金を騙し取った。
彼女はその金で違法な手術を受け、超能力を手に入れ……そしてヒーローとなった。

ヒーローとなった事で、彼女は意図して、合法的に不慮の事故を起こせるようになった。
それはつまり保険金詐欺をより簡単に行えるようになったという事だ。

そんな彼女の風評は、当然だが非常に悪い。
証拠が残らないよう詐欺をしているので逮捕される事はないが、業界では悪徳ヒーローとして有名。
ルックスとキャットスーツのおかげで一般人からの人気は程々だが。

しかし彼女はハワイに別荘を持っている訳でも、週末にラスベガスで豪遊している訳でもない。
西田結希が稼いだ金を何に使っているのか。
またヒーローと詐欺師になる前は何者だったのかは、誰も知らない。
0146 ◆YGhdY0kduEHV
垢版 |
2018/12/23(日) 21:25:31.43ID:GTqliqQ1
ヒーローウォーズに参加したいなと思っています
ロボットバトルは楽しかったけど、>>137でああ言っちゃったから、ごめんね
0147【ヒーローウォーズ】 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/23(日) 21:37:36.87ID:pI9FQjbb
>>146
ご参加ありがとうございます!
焦りから少し企画を乱発してしまいました、申し訳ありません。
企画を掛け持ちするのは負担があるので【マシンナリーファイターズ】も一旦凍結させて頂きます。

また、【ヒーローウォーズ】は随時参加者を受け付けております。
スレをゴタつかせてしまいましたがよろしくお願いいたします。
0148創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/12/23(日) 21:45:31.09ID:LpINCiNh
どれが需要出るかわからないのだし
実験室内で乱発もありだと思う
でも酉は統一してほしい

不特定多数から見れば
3人がそれぞれ企画出しているように見えているわけだし
企画被っているけど参加していいのか迷う
同じ人間が品書き並べてどれがいい?
と言っているのがわかれば、気楽に選べるから
0151山元誠一郎 ◆Oz.F7tLMnc
垢版 |
2018/12/24(月) 06:12:07.35ID:YleMPaHf
名前:山元誠一郎(やまもと・せいいちろう)
年齢:25
性別:男
身長:185
体重:135
職業:専業ヒーロー
性格:豪快、熱血、正義漢。常に腹から声出てるタイプ

能力:
強化型内骨格『フレイムアームズ』
全身の骨の85%を置換する特殊合金製の改造骨格。
極めて頑丈かつバネのように加えられた力を蓄積でき、常人より遥かに高い身体能力をもたらす。
さらに摂取したミネラル分から自己復元できるため、食事がメンテナンスを兼ねる。
神経と接続して伸縮させることが可能で、ある程度なら怪我を無視して行動できる。
人間離れしたタフを備え、限界まで溜めた力を解き放つ殺人パンチがメインウェポン。
比喩ではなく本当にワンパンで人間の首が飛ぶ。車の板金程度なら穴が開く。

最大の特徴は改造部位が"内骨格"であることからの隠密性。
骨以外は常人と大差なく、外見から改造人間であることを見抜くのはまず不可能。
そのため丸腰を装って油断を誘ったり、敵性組織に潜入といった任務に適性がある。
ただしレントゲンを撮ればバッチリ映るし、空港での金属探知にも引っかかる。
また皮膚や筋肉の強度は鍛え込んだ常人相応なので斬られれば出血するし毒にも弱い。

装備:
『バングル型ワイヤーアンカー』
ガス圧で射出し小型モーターで巻き上げを行うワイヤーとアンカーのセット。
機動力を補う目的で多用するほか、ワイヤー単品をぶん投げてポーラ(拘束具)代わりにも。
衝撃吸収機能が一切ないため常人が使えば即腕が千切れるが、山元は強化内骨格で強引に耐えている。

『そのへんに落ちてる適当な何か』
内骨格の特性を最大限に活かすため、基本的に手ぶらで敵地に潜り込む山元が武器に使うもの。
投石を基本として、怪力に任せて道路標識を引っこ抜いて棍棒代わりにしたりもする。


容姿の特徴・風貌:
Tシャツとカーゴパンツが基本装備のガタイの良いあんちゃん。
整髪料でガチガチに立てた短髪に、眼力が強すぎる双眸。

簡単なキャラ解説:
祖父の代から街の治安維持を生業としている純粋培養のヒーロー。
ナチュラルボーンな正義漢であり、洗脳に近い英才教育によって己の使命は街と人命を護ることだと信じて疑わない。
10歳の頃から10年かけて骨格を改造する施術を受け続け、成人すると同時にヒーローとしても完成した。
自分の実力と正義に絶対の自信があるためか融通の効かない堅物な側面があり、
悪人よりもむしろ自分の思う正義に当てはまらない他のヒーローに対して怒りを持つ
0154創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/12/24(月) 22:55:36.85ID:Mmn9xDcP
いいじゃんいいじゃん、俺も参加希望!
今のところ若い男二人だから、参加するなら女か老人あたりか?
0155K-doll No14 ◆LKamXnrQVU
垢版 |
2018/12/24(月) 23:25:26.37ID:7tghW3Rx
名前:K-doll No,14(フォーティーン)
年齢:3
性別:女
身長:120
体重:450
職業:戦闘用ロボット
性格:自信家/無鉄砲
能力:
「アイアンハート」
メトロポリスで稀に発生する本来自我を持たないロボットが突然自我に目覚る現象。
魔術や超能力など色んな説がでているがどれが正解なのかは本人達ですらわからない。
自我を持ったロボット達には色んな性格がいて統一性はない。
中には自分の力を誇示をしたいが為に暴れまわるロボットもおり基本的にはヒーローや警察を悩ませる事件になることが多い。


装備:
【アタックプログラム;ラピッドファイア】
右手を変形させることで発射できるマシンガン。
リロードが不要で、制圧射撃したり相手の足を撃ち行動不能にしたりする事ができる・・・もちろん射殺する事も。
火力は高いが精度が悪く、連続で撃ち続けるには自身の電力が必要であり長時間の射撃はできない。

【アタックプログラム;ブレード】
左手を変形させると使用できるキレ味のいい刃。
射出したりする事もできるが射出した後は刃を回収するまでブレードが使用できない。
電力を使わずとにかく燃費がいい。


【ガードプログラム;アサイラム】
自分の周囲にバリアを貼り味方や自分を保護する事ができる。
維持や衝撃の緩和に自身の電力を使うため使ってる間は身動きが取れずなにも攻撃を受けてなくても10秒程しか展開していられず連続使用もできない。
他の変形を全て解除する必要があり、あまりに強い衝撃を受けると電力が枯渇し緊急充電が完了するまで戦闘不能になる事も。


容姿の特徴・風貌:

茶髪ショート・病気と思えるほど白い肌・8〜10歳くらいの年相応の愛嬌のある声と顔・白いワンピース。




簡単なキャラ解説:
K-dollNo.14は元々ヴィラン側の科学者の殺人兵器であり全20体の中の一体でしかなかった。
現地に赴き命令された敵を殺し帰還するその為だけの"物"。
潜入しやすくするため"純粋無垢の子供"に見えるように作られているが殺戮兵器。

K-doll達の初任務はヒーロー養成所でヒーローおよび卵達を抹殺することだった。
潜入は成功し命令が発令されK-doll達が攻撃を始め、No14も銃を構え悲鳴や爆音で怯える子供達に向けた。
しかしNo14は撃てなかった、なぜか「ジットシテイレバ危害ハ加エマセン」とまで言った、自分で自分を診断したがエラーはなかった。
そのまましばらくして後ろから他のK-doll達が現れ銃を子供達に向けた。
そこから先は体が勝手に動いた、仲間であるはずのK-doll達に銃を向け発射した。

その後ヒーローに捕まったNo.14は処分されるはずだった。
しかし子供達が「悪い奴に作られたけど正義の心に目覚めたロボットに助けられた」と証言したことで世界に注目され子供達から人気を得た。
注目と人気に目をつけたヒーロー協会はNo.14に提案した、ヒーローになってみないか?と。

こうしてヒーローデビューしたフォーティーン(No14)
愛くるしい見た目と自我を持つロボットという個性と実力で瞬く間に人気"者"になった。
0157【ヒーローウォーズ】 ◆AHrbOT0cTo
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2018/12/25(火) 19:23:09.07ID:7JPtW3QD
>>154
参加お待ちしております!
まずはテンプレの投下をよろしくお願いします

>>156
ご参加ありがとうございます!
よろしくお願いします!

参加者の方が増えてきたのでターン順を確定させておきますね。
神籬→西田→山元→K-doll No,14の順番で行きたいと思います。
レス番が離れてしまったので、私のターンで導入文を投下し直します。少々お待ちください。
その他、ご質問、ご要望等あればお答え致します。
0158【ヒーローウォーズ】 ◆AHrbOT0cTo
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2018/12/25(火) 19:56:45.15ID:7JPtW3QD
20XX年メトロポリス。
夢の未来都市と銘打たれたその都市の姿はもうなかった。
今やありとあらゆる悪意を溜め込んだ掃きだめと化したこの街に平和はない。
齎すとすれば――、特別な力を持ったヒーロー達に他ならない。

夜のメトロポリスを一体の改造人間が駆け抜ける。
自動車群の網目を縫って『ファイアスターター』は後ろを一瞥した。
頭部の生えた髪の毛のような排気パイプに脚部の大型車輪ヒールホイーラーが加速する。
口紅のように真っ赤なボディとファイアパターンが目立つ女性型改造人間の威容にドライバーはぎょっとした。

「うふ、アナタ達ったら、速さがまるで足りてないのね」

脚部のヒールホイーラーを傾けて器用にUターンしながら地平線を見据える。
そしてスロウな乗用車を適当に蹴り上げた。轟音を立てながら車は地面に対して垂直に宙を舞う。
視界には誰もいない。目に映るのは空虚なビルディングが立ち並ぶメトロポリスの夜景だけだ。

「ヒーローは遅れてやってくるって言うけれど、遅れすぎちゃダメじゃない?」

小脇に抱えたアタッシュケースを愛おしそうにひとなでして、改造人間は前方へ振り向く。
やっぱり私がナンバーワンの速さなのよ!
『ファイアスターター』は強い自負と共に夜の道路を疾走した。

メトロポリスに存在する犯罪組織は枚挙に暇がないが、彼女はその中でも危険で巨大な組織に属していた。
秘密結社レオニダス――。人間を一段階進化させるため、人類の新たな形態を模索する新興組織である。
彼らは現代の秘跡である超科学を用いて人に改造手術を施して改造人間を生み出す。
改造人間は『ファイアスターター』のように人間の原型を留めていなかった。

結社の擁する改造人間は警察組織では到底相手にできるものではない。
彼らと戦える組織はただひとつ。ヒーロー協会と所属するヒーローだけである。

「そうはさせねぇぜ改造人間っ!!」

改造人間が蹴り上げた車をキャッチしながら、腕時計型端末は吼えた。
端末の主である白い装甲服を纏った男は静かに車を降ろす。

「遅れすぎちゃだめじゃない?ちっちっち、違う違う。皆の声を待っていたのさ!
 俺が噂の装着系スーパーヒーロー、『リジェネレイター』様だっ!!!!!!!!!!」

腕時計型端末『オービット』が華麗なる向上を並び終え、
中身の神籬明治(ひもろぎめいじ)は静かに呟いた。

「……俺はどうすればいいんだ?」
0159【ヒーローウォーズ】 ◆AHrbOT0cTo
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2018/12/25(火) 19:57:33.10ID:7JPtW3QD
「あだだっ!ったく、変身前に言っただろうが!カッコ良くなんか決めポーズすりゃ良いんだって!
 それぐらいのファンサービス皆やってるから。あー、そうね。やってない奴もいるよ」

「……誰なんだ?」

「お前だよ、お・ま・え!!」

オービットは機械の溜息を漏らした。『リジェネレイター』は喋らない。
男は気難しいというわけでも怒っているというわけでもなかった。彼はおおよそ他人に対して心を閉ざしていた。
それは人工知能であるAIが相手でも変わらない。彼にとって言葉を交わすとは、とても困難な作業だった。

「さぁてどうするんだ『リジェネレイター』よ。俺達に高速移動なんて便利な能力はないぞ。
 このままじゃあいつを取り逃がしちまう。他のヒーローに任せて帰っちまうか?」

リジェネレイターは答えないまま、やにわに乗用車の屋根に飛び乗った。
飛び乗った車はややバランスを崩しながら走行を続ける。
しばらくしたところでリジェネレイターは器用に他の車に飛び移った。

「おおっと、失礼しまぁす。良い苦し紛れだがよ。
 あの改造人間300キロは出てるぜ。こんなんで追いつけるのか?」

「分からない。だけど、やるまでだ」

そうきたか、とオービットは端末の画面を明滅させた。相変わらず頑なな奴だ……。
先代の『リジェネレイター』が死亡して、ヒーロー協会で神籬と出会ったその日の印象通り。
人見知りで引っ込み思案、誰にも心を開けない……だけど、内には正しい心を秘めている奴だと。

「根暗の癖になんで頭だけは固いんだか。
 しょうがねぇ、ヒーロー協会に連絡して道路を封鎖して貰おうぜ。
 他のヒーロ―共も寄ってくるだろうけど背に腹は変えられないからな」

「そうだな……ありがとう、オービット」

「礼なんて無用だ。AIは必要なことをするだけだからな」
0160【ヒーローウォーズ】 ◆AHrbOT0cTo
垢版 |
2018/12/25(火) 19:59:17.46ID:7JPtW3QD
快調に疾走していた『ファイアスターター』だったが、突如としてその走行を止めざるを得なくなった。
ビル街とメトロポリスの中で最も治安が悪いストリートを繋ぐ可動橋が跳ね上げられ、先に進めなくなったのだ。
女改造人間は舌打ちしてストップ。脚部から怒りの炎を巻き上げた。
心臓が早鐘を打つような大音量の排気音を鳴らし独りごちる。

「誰かしら。私の走りを邪魔するのは……?」

「誰かしらもおかしらもあるかよ。天下の公道で散々暴れまわってくれちゃって〜……。
 神妙にしろ。警察に代わって俺達が逮捕してやるぜ!改造人間!!」

特徴的な暗緑色の布地に白い装甲を纏ったヒーローが女改造人間へ歩み寄る。
息を切らして追いついたリジェネレイターに喋る余裕は無論ない。
捲し立てたのはAIのオービットの方だ。

「私無駄なことって嫌いなんだけど。本当に誰なのかしら。
 名乗りぐらいあげてくれないとマイナーヒーローの事なんて分からないわ」

「カッチーン!てめぇ、これでもなぁ。俺だって昔はちょっとしたもので……」

言い終わるより早く地面が隆起してオービットのお喋りは中断された。
地面が裂けて現れたのは岩のようにごつごつした肌のこれまた異様な男だった。

「なんだなんだ。今日はヴィランのオンパレードか?
 もしかして……俺達、ヤバイ日に出くわしちまった?」

「かもしれないな……」

岩肌の男はリジェネレイターをぎろりと睨んでファイアスターターを見据える。
男は横にも縦にも長く、ざっと2メートルはあろう巨躯から一種ぬりかべを想起させた。
糸で縫合された口を強引に開こうとするが、神籬に聞こえたのは低い唸り声のようなものだった。

「久しぶりねロックバイン。相変わらず異能者の癖に改造人間染みてるわアナタ。
 そういうところが本当に無様ね!どうせアナタの狙いもこれでしょ?」

ファイアスターターは抱えているケースを叩きながらくすりと口紅を歪ませた。

「アナタと取り合いを演じても良いけど、先ずは邪魔者を消すのが先決じゃないかしら。
 アナタが私の速さに追いつける訳ないでしょう」

ロックバインと呼ばれた異能者は決然とした様子でリジェネレイターを睨みつけ臨戦態勢に入った。
ファイアスターターはそのスピードと炎を噴出する力を、ロックバインはその土を操る力を以て――。
眼前に映る邪魔者を殲滅することに決めたようだった。

リジェネレイターの連絡を受けて可動橋を封鎖したヒーロー協会だったが、
彼らはヴィランとの戦いに極めて用心深い。
念を押して他のヒーロー達に連絡を入れるのが通例だ。
と、言ってもその連絡はいつものように情報が少ない上に古い。

メトロポリスのメインストリートに改造人間タイプのヴィランが出現した。
ヴィランはアウターストリート目掛けて時速300キロで走行しているが可動橋を封鎖して進路を塞ぐ。
ヒーロー各員は直ちに現場に急行してヴィランの制圧にあたってほしい。以上。


【ミッション:ヴィランを制圧せよ!】
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