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【剣と魔法】ファンタジークエスト【TRPG】
0001 ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/08/22(水) 23:34:07.40ID:t1+pj4+F
とりたてて特徴のない剣と魔法のTRPG系スレです。
楽しく仲良く遊びましょう。

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:
0174シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/17(水) 01:02:03.70ID:9kKvQ9eR
「え、詠唱なしで魔法を発動できるのか……高等技術だぞ……」

魔法を唱えるには大なり小なり呪文を詠唱するものだが、
その練度を限りなく高めた者はそれを省略して無言で魔法を放てる。
冷静に考えるとリッチもトロルスケルトンと同じで普通喋れないし無言で魔法を唱えられて当然だ。
今のは恐らく衝撃波を放つ"リジェクト"だろうけど、僕のものより威力は圧倒的に上だ。

「キャトラ……と、とにかく魔法には気をつけるんだ。僕が可能な限り防ぐけど……たぶん……」

リッチの魔力が再び膨張するのを感じた。さっきよりも大きい。
いけない。攻撃範囲の広い魔法で一気に制圧する気だ。

「――ラセラトリス!!」

僕はリジェクトより上位の衝撃波の魔法、ラセラトリスを唱えた。
闇属性の衝撃波をワイドレンジに放つと、猛然とリッチへ迫る。
しかし、放った衝撃波は同種の衝撃波とぶつかった。相手が唱えたのも同じ魔法らしい。

「脆弱な魔力だ……その程度で暗黒魔法を習得したつもりか。
 分不相応も度が過ぎると憐れなものよ……羽虫は消え去るがいい!」

僕の放った魔法はリッチの魔法を相殺しきれずに掻き消え、衝撃波が周囲を襲った。
衝撃波を食らった僕の身体が大きく吹き飛ぶ。その余波は壁を抉り、ダンジョンの天井を壊した。
天井からがらがらと巨大な岩片が落ちてくる。さいわい下敷きにはなってない。

衝撃波を食らいはしたが意識はしっかりとある。でも身体がぴくりとも動かない。
周囲もなんだか真っ暗だ……何も見えない。ぼんやりと音は聞こえる。
あのリッチの魔力がまた膨らんでいくのを感じる……今度はなんだ。

鳥肌の立つ気味悪さと悪寒、嫌なにおい……。
恐らくは暗黒魔法のアンフォームモルドを使ったのだろう。
触れたものを分解する黒い黴を大量に散布する厄介な魔法だ。

この暗い場所であれを使うなんて姑息な奴だ。
松明があるとはいえ、黒い黴が闇に同化して視認も困難だろう。
知らず知らずの内に身体が粉微塵なんて最悪のケースも考えられる。

アンフォームモルドは強力な分解効果を持つ魔法だが、弱点もある。
衝撃波や風の魔法で簡単に吹き飛ばせることだ。でもそれを伝える術がない……。
キャトラが相手の魔力の動きを目ざとく感知して、上手く避けてくれることを祈るしかない……。
自分が役立たずなのが、これほどまでに恨めしいと思ったことはなかった。
0175創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/17(水) 14:22:14.26ID:ZU7x6aHX
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね

T97
0177キャトラ
垢版 |
2018/10/20(土) 20:18:07.33ID:an662bHg
>「僕に気遣いは無用だ。存分に暴れてくれ!」

気遣いは無用、という言葉でキノコを食べるのを断るシリルだが、キノコで底上げされるのは身体能力だけとは限らない。
もしや断った真の理由は得体の知れないキノコを食べるのが嫌だからでは!?
という疑惑はこの際置いておく。

>「リッチ、自慢の手下も壊滅寸前……大人しく降参して浄化されるのが身のためじゃないのか。
 もっとも君の行く先は犠牲になった冒険者達とは違うところになる……冥府でおのれの罪を数えて貰うんだな!」
>「降伏し這い蹲るのは貴様らの方だ。同じ禁忌に手を染めし者として、私は忠告したはず。
 "お前達、この先にはいかないほうがいい気がするぞ"とな……ここまで来たことを後悔するがいい」
>「多くの人を毒牙にかけておいて慈悲でもかけたつもりか!ふざけるな!」

リッチは魔法の発動の準備に入ったようだ。
通常、魔法を発動するにあたっては、呪文が唱えられるはずだが――

>「……うわっ!?」

急に衝撃波が辺りをかけぬける。

>「キャトラ……と、とにかく魔法には気をつけるんだ。僕が可能な限り防ぐけど……たぶん……」

オレはというと天上に張り付いて難を逃れていた。
魔法が発動する気配にとっさに反応できたのは、キノコによるドーピングのお陰だろう。
シリルは相手が使おうとしている魔法を予測し、迎え撃つ作戦に出る。

>「――ラセラトリス!!」

同種の衝撃波がぶつかりあう。

「やるじゃん、シリル!」

しかし――

>「脆弱な魔力だ……その程度で暗黒魔法を習得したつもりか。
 分不相応も度が過ぎると憐れなものよ……羽虫は消え去るがいい!」

衝撃波はしばらく拮抗していたかに見えたがシリルの方が押し負け、
シリルは相手が放った衝撃波に吹き飛ばされた。
0178キャトラ
垢版 |
2018/10/20(土) 20:19:20.89ID:an662bHg
「シリル……!」

すぐに駆け寄りたいところだが、相手がそんな暇を許さない。
遠目から見る限り、ぴくりとも動かないし声を発する様子もない。

「よくもシリルを……!」

リッチを睨みつける。奴はまた何らかの魔法を使ったようだ。

「言い忘れていたがオレは結構夜目が効くんだ……。何故なら猫だからなぁ!」

黒い黴のようなものが辺りに広がっていくのが分かった。
その効果はよく分からないが、当たるか吸い込むかすれば碌なことになりそうにない。

「エンチャント”エアリアル”――からの回転斬りッ!!」

風を纏わせた剣を円形状に振り切ると、黒い黴は案外あっさりと雲散霧消した。
その時ついでに確信した。キノコの力で魔力も底上げされている――!
ちなみにオレがこの黒い黴の正体を聞き、戦慄するのはこれよりもう少し後のこととなる。
もしもオレが人間だったらこの場でお陀仏だっただろう。

「そりゃあ!」

さっき天上から崩れてきた岩を持ち上げてリッチに投げつけ時間稼ぎをしつつ、倒れているシリルに駆け寄る。
息があることを確認してひとまず胸をなでおろすと、問答無用でキノコを口に突っ込むという暴挙に出た!

「頼む、得体の知れないキノコは嫌かもしれないが食べてくれ。君の力が必要だ――!」
0179シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/21(日) 22:25:02.26ID:thAcE/6J
リッチの放った魔法を防ぎ切れず、僕は攻撃を食らってしまった。
枯葉のように吹き飛び、指ひとつ動かせず、何も見えない。
遂にその意識すら薄らいできた。思考が霞み、深淵をただ覗いているかのようだ。

(魔法使い、魔法使いよ――目を覚ますのだ。まだ戦いは終わっていない)

もう寝かせてくれ……ちょっと疲れたよ。死相がどうとかって当たるんだね……。
だいたい、僕なんて誰の役にも立ちやしない。昔からそうだ。
ルイージの墓場の探索にしたってそうじゃないか。
足手纏いになった回数の方がきっと多いよ。

(そう言うな。お主にはまだ可能性が残されている――。
 それは魔法使いに等しく与えられたものであり、お主にも出来る事じゃ……
 その後は君達次第だが……君達ならあの死者にも勝てる、と私は確信しておる)

この妙な声は余程何かを伝授したいらしい。
可能性、可能性か。何の可能性かは分からないけど、僕も冒険者らしく往生際は悪い。
聞くだけでいいならいくらでも聞くことにした。

(この洞窟にも、僅かだが水が流れておる……
 水の声に――精霊達のささやきに耳を傾けてみなさい)

み、水……?水魔法を使えってこと……?出来ない、出来ないよ。
僕は暗黒魔法しか使えないんだ。それに暗黒魔法の使い手が精霊と言葉を交わすだなんてそんな。
精霊にも嫌われてるんじゃないかな……怖いからそういう精霊的な目は閉じてるよ。

(案ずるな。今は私もいる故、精霊の声を聴き取り易くなっているはず……集中するのだ。
 そして霊感を働かせよ。水の精が君を心配しているぞ……さぁ、耳を傾けて……)

その時、僕は口の辺りに何か生っぽいものを押し込められた気がした。
味とか分からないけど絶対キノコだよ……生で食ってお腹とか壊さないのかな。
それだけ心配だ……。
0180シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/21(日) 22:25:53.43ID:thAcE/6J
僕は深淵と化した視界で仄かに光る粒を見た気がした。
粒は少しずつ集まってゆき、僕の周りを囲んだ。水の精霊達だ。
土しかない環境でこんなにすぐ水の精が集まって来るなんて只事じゃない。

僕に話しかけるこの声は一体何者なんだ?
そう思った矢先、あの法衣の人物の影が映った。

(私は水龍のガルゲイル……さぁ、立ち上がるのじゃ。
 この様子では若きエルフの王に笑われてしまうぞ……)

僕は刮目するとよろよろと立ち上がった。
相変わらず暗いが、松明がなくともなんとか周囲を見渡せる。
リッチが立っている場所の奥に、何処かへ続く道があるようだ。

「なんだ……その魔力は……?」

リッチが怪訝そうに呟いた。
キノコでドーピングした影響か、夥しい魔力が僕の身体を覆っている。
それも暗黒魔法の使い手特有の毒々しい色ではなく、青白い輝きを帯びていた。
僕が発する魔力の光で暗闇が照らされ、肉眼でも周囲を視認できる。

「まぁ良い。これで諸共に消えろ……!」

骨の杖を上空に翳すと紫電を迸らせながら巨大な闇の球体が形成されていく。
デッドリースクリームだ。自身の命を削って放つ強力な上位の暗黒魔法。
なるほど、既に死者であるリッチなら代償を踏み倒して行使できる。

「キャトラ、さっき言った通り魔法は僕が防ぐよ。その隙にリッチに攻撃を。
 周囲の黒い黴には気をつけてね。触れたもの分解する効果がある」
0181シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/21(日) 22:26:40.65ID:thAcE/6J
その時、僕は昔に魔導書で読んだ水魔法を思い出していた。
記憶の中のページを手繰り、詠唱を紡いだ。

「潺に囁く水の精霊達よ。涅槃の蓮華、聖蛇を見よ。
 水天の零せし涙、今ひとつの暴威となりて万象を押し潰せ!」

水魔法。四大元素たる水の精霊の力を詠唱によって引き出し、行使する魔法。
周囲の水を操り、あるいは呼び寄せる。今回僕は水場のないここに水を呼び寄せた。
魔法陣が僕の足下に浮かぶと、大量の水が魔法陣より逆巻く。

空中で渦を巻きながら空中で巨大な水球を形成していく。
これは水の上位魔法、敵に水の塊を叩きつける質量攻撃だ。
その魔法はこう命名されている。

「――アクアプレッシャー!!」

リッチの放った暗黒魔法と僕の水魔法が激突する。
衝撃波と同じく押し負けるかに見えたが、ふたつの球体は空中で爆ぜた。
今回は見事、相殺に成功したのだ。といっても、それは僕だけの力じゃない。
キャトラや法衣の人物が僕に力を貸してくれたからこそ出来たことだ。

「……ぐっ。こうなれば我が呪術で……!激痛に悶えて死ぬがいい!」

上位魔法を防がれてリッチは焦ったのか、何かの呪術を行使しようと詠唱を始める。
ただ呪術というのは強力な分詠唱もそれに比例して長いものであり、隙だらけだ。
どちらにせよ、こちらにはロールプレイングのベルがある。今が攻撃のチャンスだ。
0182キャトラ
垢版 |
2018/10/22(月) 22:58:40.00ID:L6wTuS69
キノコのおかげか、なんとかシリルが起き上がってくれた。

>「なんだ……その魔力は……?」

リッチが怪訝そうに驚く。
この時はキノコによるドーピングで魔力が上昇していることを言っているのだと思ったが
それだけでは無かったことはこの後すぐに分かることになった。

>「まぁ良い。これで諸共に消えろ……!」

リッチはなんかでかい闇の球体を作り始めた。

>「キャトラ、さっき言った通り魔法は僕が防ぐよ。その隙にリッチに攻撃を。
 周囲の黒い黴には気をつけてね。触れたもの分解する効果がある」

「にゃんだって!? そんなに危険なものだったのか……!」

黒い黴の正体を知り今更ながらに戦慄しているオレを後目に、シリルは呪文を唱え始める。

>「潺に囁く水の精霊達よ。涅槃の蓮華、聖蛇を見よ。
 水天の零せし涙、今ひとつの暴威となりて万象を押し潰せ!」

「それは――水の上位魔法……!」

闇黒魔法専門であったはずのシリルが水の、しかも上位魔法を行使している。
気絶している間になんらかの覚醒があったとでもいうのか。
先程リッチが驚いていたのは魔力の上昇自体よりもこちらがメインだったのかもしれない。

>「――アクアプレッシャー!!」

二つの球体がぶつかり合い、空中で爆ぜる。今度こそ相殺に成功したのだ。

「よっしゃあ!」

>「……ぐっ。こうなれば我が呪術で……!激痛に悶えて死ぬがいい!」

確かに激痛に悶えて死ぬことになるのだろう。――呪術が発動すれば。
しかし流石のリッチといえど、呪術ともなれば詠唱無しというわけにはいかない。
つまりその間は隙だらけ。苦し紛れのヤケクソというわけだ。
この好機を逃す手はない。オレは一気に距離を詰め、刃を喉元に突き立てんと剣を突き出す。
魔術師系とはいえ相手も手練れ、後ろに飛び退って避けるが――実は剣の方はフェイント。

「甘いな――本命は……こっちだぁあああああああ!」

もう片方の手で後手に隠し持ったロールプレイングのベルで脳天をぶっ叩いた。
絵面にそぐわない無駄に涼やかな音が響き渡る!
0184創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/23(火) 08:00:10.91ID:hGD8K0+d
またキャトラ糞の自演ですか
しゃらららーん
0185シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/23(火) 21:18:31.99ID:PclpP39v
リッチは呪術の発動に必要なまじないの詠唱を始めた。
いかに死後魔力を高めたリッチといえど呪いには相応の準備が伴う。
念話でぶつぶつと文言を唱えていたそのとき、キャトラが果敢に距離を詰めた。

喉元を狙った一撃を咄嗟に飛び退いて躱すも、それはフェイントに過ぎなかった。
キャトラは隠し持っていたベルを振りかぶると脳天に一撃見舞う。
涼やかな音を響かせながら、衝撃でリッチの首が千切れ飛び、地面へ転がり落ちる。

「……おのれ……おのれ……ただではおかぬぞ!貴様らを永劫呪ってくれるわ!」

「いいや、年貢の納め時だ。君が誰かを呪い殺す時は永遠に来ない」

懐から取り出した聖水をリッチに浴びせると、彼は苦痛に悶え苦しんだ。
聖水が調味料で出来ているという事は言わないでおいてやろう。
苦痛の上に屈辱まで与える気はない。

「うぼあぁぁ……ま、魔王よ……どうかこの世を闇に包んでくださいますよう……
 それが我が唯一の望み……私を排斥した世界など滅べ……ば……い……い……」

冒険者達を苦しめた死者の魔術師が聖水によって昇天していく。
何とも後味の悪い最期(調味料だけに)だったが、これでリッチは倒した。
すなわちルイージの墓場は忌まわしい呪いから解き放たれたのだ。

「やった……やったんだ。これで亡くなった冒険者達も浮かばれる!」

そう言ってはしゃいだのも束の間、体中を異常な疲れが襲った。
ドーピングしていたとはいえ、無理に上級魔法を使ったせいに違いない。
僕の本来のレベルでは中級魔法を扱うのが関の山だ。
慣れない水魔法だった事も相まって反動も大きいのだろう。

「疲れた……キャトラ、信じられない話は……また後でするとして、そこの道を見て。
 その先にきっと勇者が使っていたという伝説の武器が眠っているはず……!」

死の淵に立った時、法衣の人物が助けてくれて水魔法を教えてくれたこと。
今すぐ話したい気もしたけど、それは探索しながら話せばいい。
勇者の墓が荒らされていないかも気掛かりだし、あの道を探索しない手はない。
0187創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/23(火) 22:54:03.53ID:MAo+Vldd
もちろん!

糞の暴発である。。。あ
0189キャトラ
垢版 |
2018/10/24(水) 23:10:14.20ID:CgS6buRo
リッチは調味料的聖水でとどめを刺された。敵ながらご愁傷様である。

>「うぼあぁぁ……ま、魔王よ……どうかこの世を闇に包んでくださいますよう……
 それが我が唯一の望み……私を排斥した世界など滅べ……ば……い……い……」

>「やった……やったんだ。これで亡くなった冒険者達も浮かばれる!」

リッチの最期の言葉から、もしかしたら生前に世界を恨み闇に堕ちるに値するぐらい不遇なことがあったのかもしれない、
とちらりと思ったが、考えても詮無きことなので考えないことにした。
とにかく、これでルイージの呪いは解決したのだ。

>「疲れた……キャトラ、信じられない話は……また後でするとして、そこの道を見て。
 その先にきっと勇者が使っていたという伝説の武器が眠っているはず……!」

ふらふらになったシリルを支えつつ、伝説の武器へと至る道へ進む。
ついに最深部まで辿り着き、その時不思議なことが起こった。
緑の帽子をかぶった青年(?)の幻影が現れる。

「僕の墓に救った不届きものをたおしてくれてありがとう。お礼にこれをあげよう!」

仰々しさは全くなく、ポップなノリで伝説の武器を渡してくる。
それは、一枚のマントだった。定番の杖や剣じゃなく敢えてのマント。

「これは……?」

「なんだっけ、スーパーマントだったかハイパーマントだったかな?
見た目はただのマントかもしれないが使う者次第で無限の可能性を秘めている――
普通に着て防具として使えるのはもちろんのこと、振り回して敵を払ったり、
上手くやれば空を滑空するなんてことも出来るかもしれない」

「ありがとう! とりあえずシリル着とく? そのローブに合いそうだし」
0190シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/25(木) 00:25:56.82ID:YGhJziKp
キャトラに支えられながら最深部へ向かうと、その時不思議なことが起こった。
緑の帽子を被ったおっさ……髭を蓄えた青年の幻影が現れ、伝説の武器を渡してくれたのだ。

>「なんだっけ、スーパーマントだったかハイパーマントだったかな?
>見た目はただのマントかもしれないが使う者次第で無限の可能性を秘めている――
>普通に着て防具として使えるのはもちろんのこと、振り回して敵を払ったり、
>上手くやれば空を滑空するなんてことも出来るかもしれない」

自分の所持品なのにふわっとしすぎだぞ緑の帽子男。
ひらりマントだと思ってたら違ってた。スーパーマントでいいみたいだ。

>「ありがとう! とりあえずシリル着とく? そのローブに合いそうだし」

帽子を被った青年の霊が消えるのを見計らってキャトラの肩をがっ!と寄せた。
満身創痍の中、精一杯あくどい笑みを浮かべる。

「このマントは売り払おう。なに、効果つきの魔道具だし商人が節穴でも高値で売れるよ。
 魔王の復活を阻止する旅は長いんだ。路銀の方が大事じゃないか。そうは思わないかな……?」

一度やってみたかったんだ、値の張る道具を売り払うの。
元はと言えば僕は一獲千金を狙って伝説のアイテム探しをしていたのだ。
これから困難な旅が待ち受ける事を考えたら少しくらい我儘に振る舞ってもいいよね……?

そして僕達はハジマーリの街へ戻り、事の顛末を緑の帽子亭で皆に伝えた。
ルイージの墓場にリッチという恐ろしいアンデッドが潜んでいたこと。その魔物が呪いの原因だということ。
そして話の最中、僕を助け、ロールプレイングのベルを譲ってくれた人物が誰なのかも判明した。
僕はその人物に感謝しながら、マスターの奢りでキノコパーティに興じた。

全てが解決に導かれた夜――僕はある夢を見た。
暖かい光の中に、"魔王の復活を阻止してほしい"と告げた女神がいる夢だ。
あるいはキャトラも同じ夢を見ているのかも知れないな、とふと思った。

「東へ歩みを進めなさい……古の歴史が眠るシャンバラへと向かうのです」

まだ聞きたい事がある――そう言おうとしたところで僕の目は覚めた。
いつもと変わらない朝、あれを鵜呑みにするのは馬鹿らしいように思えた。
だが何の手掛かりも掴んでいない僕達にとって、それは運命の羅針盤に等しい。
次の目的地は数多の古代遺跡が眠る街。東の都シャンバラだ。


【第二章ルイージの墓場編完!次章へ続く】
0191シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/25(木) 00:27:40.45ID:YGhJziKp
☆アイテムデータ

【スーパーマント】
ルイージの墓場で青年の幻影から受け取ったマント。
曰く、防具として使える他、敵を払ったり滑空する事が出来るとか。
0192創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/25(木) 02:15:45.19ID:WI4LHcbi
そして、束の間の平和がもたらされた数日後……

「ここが、ハジマーリ……ここに神託の……」

騎乗した一人の女騎士が街の入り口にやってきた。
彼女が、新たな事件の幕を開くことになる……
0193創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/25(木) 12:27:44.64ID:Wu3gKhPf
しかし
それは糞の壁(ようろう、もうしせんせい)
によって

阻まれてしまった!
0194シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/25(木) 22:59:19.93ID:YGhJziKp
>>192
もしや、参加希望の方かな……!?
参加されるのであれば>>1のテンプレ記入をお願いします!

ところで重大な発表があるんだけど、
中の人の事情により投下の期限を七日に伸ばします。
時間を取れない事が多くなるので投下の頻度も落ちるかも……。
急な発表で申し訳ありませんが、今後ともファンタジークエストをよろしくお願いします。
0195キャトラ
垢版 |
2018/10/26(金) 00:07:13.48ID:qiDKeCTh
>「このマントは売り払おう。なに、効果つきの魔道具だし商人が節穴でも高値で売れるよ。
 魔王の復活を阻止する旅は長いんだ。路銀の方が大事じゃないか。そうは思わないかな……?」

「ふははははっ! 気が合うな! オレもそう思っていたところだ!
宝石や宝剣ならならともかくこんな見た感じショボいマント役に立たなさそうだし!
役に立つか分からないふわっとしたアイテムより明日の路銀だぜ!」

(あろうことかノリノリでシリルの提案に乗るキャトラ!
トレジャーハンターの矜持など見る影もない!)

こうしてマントを売り払おうとしたオレ達だったが――

「あはは、バカ言っちゃいけないよ、そんなヒラヒラのマントが伝説のお宝なわけないだろう!」
「作り話ならもっとありそうな話を作りな」
「一昨日きやがれ!」

行く店行く店でこんな感じであしらわれた。
(メタな言い方をすると売れない枠のアイテムということだろう)

「やっぱり伝説のアイテムを売ろうなんて考えたオレ達が間違っていたんだ――
持って行こう、必ずいつか役に立つはずだ!」

こんな感じでいい話っぽく(?)まとめてごまかしたのであった。
で、結局路銀の問題は解決せぬまま夜になってマスターの驕りでキノコパーティーに突入。
その中で、いろいろな話が聞けた。

「それにしてもあの人……水龍だったのか! 気絶中に水魔法を教えてくれたんだって!?」

その夜、夢を見た。

>「東へ歩みを進めなさい……古の歴史が眠るシャンバラへと向かうのです」

どうやらシリルも同じ夢を見たようだ。
一人ならともかく二人一緒の夢を見たということは何かの意味がありそうだし、
特に次の行き先も決まっていないので従ってみることにする。
しかしここに大きな問題が立ちはだかる。そう、路銀だ。
0196キャトラ
垢版 |
2018/10/26(金) 00:07:55.47ID:qiDKeCTh
「レンタル馬を借りるお金も路線馬車に乗るお金も無いし……まさかの徒歩!?」

しかし、この問題は思わぬ形で解決することになったのであった。
諦めて徒歩でシャンバラに向かおうと街を出ようとしたその時。
騎乗した女騎士が何かを探すようにきょろきょろしている。

>「ここが、ハジマーリ……ここに神託の……」

「誰かを探してるのか? もしかして信託の……勇者とか?」

女騎士は血相を変えて詰め寄ってきた。

「えっ、神託の勇者を知っているのですか!?」

「一応オレ達だけど……」

「なんですって!?」

彼女はシャンバラの神殿に使える神殿騎士で、この町に来れば神託の勇者に会えるとのお告げを受けてやってきたらしい。
まさに渡りに船だ!
0197キャトラ
垢版 |
2018/10/26(金) 00:13:22.08ID:qiDKeCTh
>192
勝手に少し設定付けちゃったけどもし参加希望の方なら遠慮なく変更してもらって全く構わないので!
継続参加までは難しくてもNPCとして時々来て動かしてもらってもいいし!

>194
期限の変更了解です!
ここは名無し参加もアリの形式でいいんだよね!? もう既成事実的にいくつか拾っちゃってるけど!
0198創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/26(金) 07:58:15.84ID:7iLJgfaL
ちょっと下痢出そう
0199192
垢版 |
2018/10/26(金) 21:39:44.31ID:YWxJZKcq
>196-197
大体それでいいです。
ただ、肝心な女騎士のデザインが固まってなくて……

*19歳の娘がいる17歳
*17歳の母がいる19歳
*某刑事局長の弟君と同じくらいで独身
*去年もおととしも来年も再来年もずーーーっと28歳
*心はいつも15歳

どれがいいですか?
0200キャトラ
垢版 |
2018/10/26(金) 22:31:23.88ID:q4RUtT0T
>199
全部を合体させて妙齢の独身で自称&外見年齢は28歳で心はいつも15歳でいいと思う!
それで若干17歳にして神殿のトップに立つ聖女に仕えていて19歳の妹分の部下がいる、なんてどうだろう!(適当)
0201シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/26(金) 23:17:04.30ID:MX1roeiq
>>197
正直名無し参加ありのスレがどんな具合か知らないんだよね……。
スレの進行具合で変えるかもしれないけど、当面はありということでお願いします。

>>199
どれも癖が強い……。
個人的には上から一番、二番、四番目のどれかが良いな。
僕のは完全に好みを言っただけなんだけどね。
全部盛りは無理があるだろうから自分の好みに従うのが一番だと思います。
0202キャトラ
垢版 |
2018/10/27(土) 00:09:59.05ID:5E/N29Pc
>201
>名無し参加ありのスレ
大体今すでにやってるような感じのイメージで合ってる
人口密度が高ければほぼ名無しのネタ振りへのリアクションだけで進んでいく形態も出来るんだけど今の人口密度では無理だす

上から1番とか2番を採用するとすれば本人もしくは母親が何十年か石化か封印か何かで時を止められてて年齢が逆転!とか面白そう!
0204創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/10/27(土) 12:12:32.20ID:bouolPpN
芸術がかった
自演糞スレ
0205シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/27(土) 21:52:21.03ID:HjKY0x3e
とりあえず第三章開始しますね。
よろしくお願いします。


☆これまでのファンタジークエスト☆

第一章:幻想殺しの樹海編
魔法使いのシリルは物欲に駆られ"幻想殺しの樹海"に咲くという幻の花を求めて彷徨っていた。
シリルは偶然マンドレイクの収穫に訪れていたキャトラと出会い、二人は道を共にする事になる。
二人は幻の花を見つけ樹海の出口を探す過程で、女神の神託を受け、魔王の復活を阻止する旅に出ることになるのだった。

第二章:ルイージの墓場編
魔王復活を阻止するため仲間を集めるべくシリルとキャトラはダンジョン"ルイージの墓場"に出会いを求めた。
攻略の拠点ハジマーリの街で情報収集を行った結果、ルイージの墓場では何人もの冒険者が行方を晦ましているという。
探索に向かった二人は原因が魔物と化した魔法使いリッチであると突き止め、見事撃破するのだった。

第三章:現在
墓場の探索を終えた二人は女神が現れる夢を見る。しかし女神はシャンバラの街を目指せと言い残したきり消えてしまう。
時を同じくして、神託の勇者に会えるというお告げに従い一人の神殿騎士がハジマーリの街を訪れるのだった……。
0206シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/27(土) 21:53:37.16ID:HjKY0x3e
降って湧いた神託を聞いた僕とトレジャーハンターのキャトラは魔王の復活を阻止する旅へ出る事になった。
まずは仲間を集めるためハジマーリの街を訪れ、ルイージの墓場を探索した僕らだったが成果なし。
その過程で手に入れた伝説のアイテム「スーパーマント」を売り捌こうとした僕らだったが相手にされない。
憎しみで人を殺せたなら……!僕は女神の頼み事も忘れて暗黒面に堕ちつつ懐を探る……。

(足りない――ゴールドが……!)

背景で稲妻を奔らせながら倒置表現で絶句した。
G(ゴールド)――世界共通で使われている通貨単位――が圧倒的に!不足していた。
あんな売れないマント風呂敷の代わりにもなりゃしない。旅は金が嵩むんだよ。

「これは由々しき事態だよ。女神の導きはシャンバラの街を指しているというのに!」

なぁ神託の勇者様、あれだけ頑張って商人に邪険にされるなんて酷い話じゃないか。
女神は相変わらずアバウトな事しか言わないしどうなってるんだか。ぷんすか。

オルビア王国が誇る辺境の辺境、魔法使いの里"カルデア"からやって来た僕もシャンバラくらいは知っている。
シャンバラは神殿の街、古の歴史が眠る遺跡の街だ。
つまりあの女神を奉じる場所であり、神託の女神ゆかりの土地だ。

重要なのはここからだ。ハジマーリからシャンバラまで徒歩は遠すぎる。
資金繰りの目途が立たない今、冒険の道は閉ざされた。

>「ここが、ハジマーリ……ここに神託の……」

途方に暮れていたところ、馬に乗った騎士が何かを探しているのが目に入った。
キャトラは耳が良いのか手が早いのか騎士に近付いて話しかけた。

>「誰かを探してるのか? もしかして信託の……勇者とか?」

驚いた事に(騎士の人も驚いていた)騎士はシャンバラの神殿に仕える神殿騎士だった。
女神のお告げを聞いた彼女は神託を聞いた者達を探してここまで来たらしい。
神託の勇者って自称じゃないんだね……。僕は女神の使い走りだと思ってたよ。

「僕はシリル・フラマリオン。女神の神託を偶然聞いてしまった者……。
 本来は幻のアイテムを探求する冒険者なのです。神殿騎士様、貴女のお名前は?」
0207192
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2018/10/27(土) 22:49:57.37ID:xzm9mAxa
>200-201
全部盛りとか言い出す前に実年齢へのツッコミはっ!?

まあ、外見年齢28歳、精神年齢15歳程度のハーフエルフにします。
シャンバラを統べる当代の聖女は17歳も実年齢19歳の部下も行けないことはない、の、か……

(結局全部盛り)

名前:192(シャンバラの神殿騎士は任意の三桁の数字を名乗るのだ!)
年齢:外見28歳、精神15歳 性別:女
身長:167.2cm 体重:48.5kg
職業:神殿騎士
性格:心優しいが頭に血が上りやすい
能力:二刀流による剣の舞、騎射、魔法は使えない
所持品:カタナ、マンゴーシュ、エルフ産駒(ハイネケン)、重藤弓
容姿の特徴・風貌:金髪縦ロール、グリーンベレー
簡単なキャラ解説:東の旧き聖都シャンバラの神殿に仕えるハーフエルフの女騎士。
神託の女神に仕える聖女より神託を受け、勇者を探す旅に出た。
0208192
垢版 |
2018/10/27(土) 23:00:08.19ID:xzm9mAxa
>196,206
「あ、あなた方が神託の勇者様……こんなにも早く出会えるとは……」
思わず片膝をつく。
たとえ相手が14歳の女の子とケットシーであろうとも、だ。

「わたくしのことは、ただ“192”とお呼びください。それがシャンバラの神殿騎士の習わしなのです」
それは、かつて流浪の果てにシャンバラにたどり着いた彼女の誓い。
過去も涙も捨てたのさ。ただ女は今を生きている、それだけの事なのです。

「わたくしの使命はあなた方をシャンバラまでお連れすること。さあ、参りましょう……え?路銀?」
財布を確かめる。当座の蓄えはある。あとは途中で魔物退治などしながら稼ごう。
0209キャトラ
垢版 |
2018/10/28(日) 20:09:05.04ID:fob1Dgxe
【>192さん
よろしくお願いします!
ガチ魔法使い、ちょい魔法も使えるスカウトと来てガチ前衛戦士
なかなかバランスが取れてきたかも!?】

名前:キャトラ
種族:妖精猫ケットシー
年齢:外見17 実年齢は不詳だが妖精系種族のため少なくとも外見よりは上だと思われる
性別:服装や口調的には少年のようだが不詳
  (外見上性差の少ない種族であるため。というか自然発生説もありそもそも性別があるのかも不明)
身長:161
体重:48ぐらい
職業:自称トレジャーハンター ・データ的には多少魔法を使えるスカウト系クラス
性格:ノンストップバカ・ノリと勢いで適当に生きている・無駄に明るい
能力:スカウト技能・身軽さを生かした近接戦闘・便利系魔法を少々
所持品:ショートソード・バックラー
容姿の特徴・風貌:猫耳猫尻尾・金髪のセミショート・基本軽装のスカウト系の服装
簡単なキャラ解説:
お宝求めて駆けずり回る自称凄腕トレジャーハンター。
実際にはまだこれといったお宝を見つけたことは無くお使いのような事ばかりをやってその日暮らしをしていたが
ひょんな事からシリルと出会い共に神託を受け、世界を救う冒険が始まった。


神殿騎士は、いきなり凄い偉い人に対するように片膝をついた。

>「あ、あなた方が神託の勇者様……こんなにも早く出会えるとは……」

「立って立って! 神託の勇者っつったってたまたま世界救うように言われちゃっただけだし!
あ、オレはキャトラ、本職は凄腕トレジャーハンターだッ!」

>「僕はシリル・フラマリオン。女神の神託を偶然聞いてしまった者……。
 本来は幻のアイテムを探求する冒険者なのです。神殿騎士様、貴女のお名前は?」

>「わたくしのことは、ただ“192”とお呼びください。それがシャンバラの神殿騎士の習わしなのです」

「ふーん、コードネームみたいなものか……なんかよく分からないけどかっこいいな!」

>「わたくしの使命はあなた方をシャンバラまでお連れすること。さあ、参りましょう……え?路銀?」

「そうそう、すげーマントが手に入ったから売っぱらおうと思ったんだけど売れなくて!
192さんは馬で来てるから……レンタル馬2頭借りれそう?」

とりあえずレンタル馬を2頭借りて貰い、行けそうなところまで行くことにする。
3人で地図を見ながら作戦会議。

「まずは……丁度経路上にあるケーユチ村を目指して行くのがいいかな」

こうして新たな仲間を加えたオレ達は、次の舞台へ向けて出発した!
0210シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/28(日) 23:09:52.33ID:prXxh8UH
僕が神殿騎士の名を問うと、彼女は恭しく答えてくれた。
神に仕えし者の慇懃な態度を前に、暗黒魔法の使い手たる僕はその光輝に焼かれそうになる。
まるで懺悔でもしてる気分だ。彼女の慇懃な雰囲気に接するとハジマーリの商人への恨み節が雲散霧消した。

>「わたくしのことは、ただ“192”とお呼びください。それがシャンバラの神殿騎士の習わしなのです」

ここからは少し申し訳ない話になる。
なんと神託の勇者達は出会って間もない神殿騎士に堂々と金を借りた。
勇者とは……僕達とは一体……うごごごご。借りた金で乗る馬は心地いいれす。

>「まずは……丁度経路上にあるケーユチ村を目指して行くのがいいかな」

東の聖都シャンバラ目指し、僕達はハジマーリの街を発つ。
慣れない鞍の上で手綱を引きながら二人の後をついていく。
実は馬に乗るの始めてなんだよね。
馬主が大人しい牝馬を選んでくれたのでなんとかなってるよ。

「よしよし、アルキュオネ!お腹は減った?喉は渇いてない?」

休憩中、借りた馬の名前を呼びながら水を差しだす。
するとアルキュオネは水をぴちゃぴちゃと飲み始めた。かわいい。
毛並みも綺麗だしいい子だな。返さなくちゃいけないのが惜しいよ。
まだ日も跨いでいないのに僕は早速愛着がわき始めていた。

「そうそう、キャトラ。冒険者ギルドで依頼を仕入れてきたよ。
 最近ケーユチ村の周りにゴブリンの棲家が出来たらしいんだ。
 作物にも被害が出ていて大変みたいだよ」

荷物から羊皮紙を一枚取り出して受領した依頼届をキャトラに見せた。
依頼者はケーユチ村。報酬は20万G(※1G=1円)。これで借りたお金は返せるよ。

「というわけでゴブリン退治で冒険の資金を稼ごう。
 20万ゴールドは割安だけど馬代を返してもお釣りがくるよ。
 192さん、シャンバラへの到着が若干遅れるかもしれないけど大丈夫かな……?」

連中は弱いけど武器を持っていて一般の人には危険な相手だ。
駆け出し冒険者が最も足下を掬われやすい相手でもある。気をつけないと。
僕は気を引き締めなおすとケーユチ村目指して旅を再開した。
0211シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/28(日) 23:10:47.58ID:prXxh8UH
名前:シリル・フラマリオン
種族:人間
年齢:14
性別:女
身長:155
体重:46
職業:魔法使い
性格:自信家
能力:暗黒魔法、水魔法
所持品:杖
容姿の特徴・風貌:短い銀髪、灰色のローブ。
簡単なキャラ解説:
幻のアイテムを求める物欲の強い魔法使い。
魔王の配下「闇の軍勢」と戦い死ぬ運命にある。実は薄幸。
女神の神託を聞き、魔王復活を阻止する冒険に出る事になった。
0212シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/10/28(日) 23:35:13.34ID:prXxh8UH
>>210
だぁぁぁ。開始早々やってしまったぁぁぁぁ。
すみません、内容が不自然なのでこのレスは無かった事にしてください。
0213シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/29(月) 00:15:32.33ID:mwEYWrbC
>>210の代わりのレスです。重ね重ね申し訳ありません)

僕が神殿騎士の名を問うと、彼女は恭しく答えてくれた。
神に仕えし者の慇懃な態度を前に、暗黒魔法の使い手たる僕はその光輝に焼かれそうになる。
まるで懺悔でもしてる気分だ。彼女の慇懃な雰囲気に接するとハジマーリの商人への恨み節が雲散霧消した。

>「わたくしのことは、ただ“192”とお呼びください。それがシャンバラの神殿騎士の習わしなのです」

ここからは少し申し訳ない話になる。
なんと神託の勇者達は出会って間もない神殿騎士に堂々と金を借りた。
勇者とは……僕達とは一体……うごごごご。借りた金で乗る馬は心地いいれす。

>「まずは……丁度経路上にあるケーユチ村を目指して行くのがいいかな」

東の聖都シャンバラ目指し、僕達はハジマーリの街を発つ。
慣れない鞍の上で手綱を引きながら二人の後をついていく。

実は馬に乗るの始めてなんだよね。
馬主が大人しい牝馬を選んでくれたのでなんとかなってるよ。
アルキュオネって言うんだけど優しくて毛並みの綺麗な子だ。
日も跨いでないのにもう愛着を感じるよ。

馬での旅は便利で快適。つまりらくちん良い感じって具合だ。
アルキュオネが駆けると前から後ろへ景色が裂けていくようだ。

ケーユチ村へ近づいてきた頃、僕達はゆっくり坂道を登っていた。
真横の草むらを掻き分ける音がしたので訝し気に眺めると、唐突に草陰から矢が飛んでくる。

「――!!!??」

あまりに突然だったので、僕は声にならない声を上げる。矢は僕の頭を狙って放たれた。
僕は咄嗟に鐙に体重をかけて立ち乗りになると、鞍にひいていた敷物を頭の前で勢いよく翻した!
その敷物はさる墓場で緑帽子の青年から譲り受けた、曰く伝説のマント――。
マントに込められた魔力が効力を発揮し、矢はひらりと180度回転して射手へとその進行方向を変える。

「ギャッ!!」

短い叫び声を上げながら草陰で倒れる音が聞こえる。
あ、危なかった。寸でのところで助かったけど一歩間違えれば死んでいた。
ありがとう。青年の幻影。まさか本当に役に立つ日が来るとは……。

味方がやられた音に応じて木の上に隠れ潜んでいた魔物達が一斉に飛び掛かって来る。
緑の矮躯に手製の石斧、棍棒、くすねた短剣に小さな弓矢。
駆け出し冒険者が足元を掬われがちな低級魔物、ゴブリンだ。

「二人とも、気をつけるんだ。ゴブリンが襲ってきたぞ!」

馬に乗ったまま杖を取り出して叫んだ。
この日、僕は生まれて始めて馬上での戦いを経験することになるのだ。
0215192
垢版 |
2018/10/29(月) 22:23:17.20ID:CxEiwepM
>209
【こちらこそよろしくお願いします。ダンジョンアタックならあと3人は欲しいですね】

「いえ、たまたまで神託が下されるはずはありません。
 きっと、その技能が必要になると判断されたからです」

思い起こせば自分がシャンバラにたどり着けたのも神託ゆえに。

「そうですね……ひとまずケーユチまで馬を借り、場合によっては乗り換えますが……
 その後、港湾都市ナントカまで行くことも視野に入れますか?」
このルートだと大きな街道もあるし手段が選びやすい。

>213
「勇者といえど世俗と切り離すことはできません。この程度はお気になさらず」
あと、ナントカまで行けば金策も何とかなる。

乗馬に慣れないシリルに教えつつ、旅をする。
そして、とある坂道で……

「ゴブリン!」
この間合いでは弓矢には近すぎる。
二刀を引き抜いてハイネケンから飛び降り、パーティーの前衛に立った。


【ちなみにマンゴーシュは盾替わりなのでもっぱらカタナで斬りかかります】
0218キャトラ
垢版 |
2018/10/30(火) 23:17:12.63ID:Zh4I2utC
借金して借りた馬でケーユチ村を目指す。

(ところでシリルとキャトラがなんとなくそうなっているように、
正式にパーティーを組むとなんとなく財布が一緒になるのが慣例である。
つまり192は今のところはゲストキャラ扱いということなのかもしれない。
シャンバラに着いたあたりで正式加入イベント来るかも!?)

馬での旅は順調に進み、間もなくケーユチ村に着くという頃だった。

>「――!!!??」

シリルを狙って矢が放たれた。
あまりに突然で、オレは半ば混乱しながら叫ぶしかできなかった。

「シリルー! マントマント!」

シリルは敷物扱いになっていたマントを翻し、矢を跳ね返した!

>「ギャッ!!」

「すげー! あのマントマジだったんだ!
売らなくて……というより売れなくてよかった……!」

味方が一匹やられたのを契機に、ゴブリンが一斉に襲い掛かってくる。

>「二人とも、気をつけるんだ。ゴブリンが襲ってきたぞ!」

馬から飛び降り前衛に立つ192。
シリルは魔法使いなので後衛、ならばオレは中衛というところか。
服の内側からダーツを何本か取り出し――

「エンチャント”エアリアル”」

――腕を一閃。
百発百中、狙ったところに当たる。
どころか軌道も自由自在で味方を避けたりできるので、当然192に当たることはない。
これはオレが超人級のダーツの腕前を持っているとかではなく、風の魔法を付与して軌道操作しているからだ。
ゴブリン一匹につき一本ずつにダーツが命中し、痛みにひるむ。
致命傷には至らないが、シリルが攻撃魔法を撃ち込む隙としては十分だ。

>212
(ん? 別に書き直すほど不自然でもないと思うけど……
でも訂正後の方が躍動感があるので今回はこの流れでいこう!)
0220シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/10/31(水) 20:11:29.08ID:go4j07el
ゴブリンが襲い掛かってくるや臨戦態勢に入る192さんとキャトラ。
192さんの見慣れない形状の剣に僕は思わず見惚れた。
水気を纏ったかのような綺麗な刀身に特異な紋様の柄。
一風シミターを思わせる片刃の剣だが、どこの国のものだろうか。

>「エンチャント”エアリアル”」

風魔法で軌道を操作しつつダーツを投擲。
ゴブリンの身体に一発ずつ命中し、動きが怯んだ。

「罪と罰は愚者を繋ぐ楔。叫喚せよ。蹂躙せよ。
 荒れ狂う無間の烈風を解き放て……ラセラトリスっ!」

僕は暗黒魔法の中級にあたる衝撃波の呪文を唱えた。
杖の先端から闇の波動が放たれ、ダーツの刺さったゴブリン達を吹き飛ばす。
念押しで詠唱しといたから威力も高くなってる。これで六体ほど倒せた。

「よし。後は192さんの援護を!」

残りのゴブリン達がにわかに192さんを囲みつつあった。
そうは問屋が卸さない。縛り付けにしてやる。
拘束魔法を唱えようとした瞬間、僕は思わず舌を噛んだ。

なぜなら乗っていた馬が戦闘の光景に怯えて暴れ始めたからである。
舌をひりつかせながら、どうどうと馬を宥めなくてはいけなくなった。
借りている馬はあくまで移動用であって戦闘には慣れていない。

ゴブリン達は奇怪な声を発しながら192目掛けて突撃した。
ある者は棍棒を持ち頭を狙って大きく跳躍し、ある者は腹を狙い短剣で突いてくる。
数にして総勢五体。矮躯の魔物達が神殿騎士へ迫る。
0221創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/11/01(木) 07:43:19.20ID:CLGpOEws
イエニスタの
ヘァンタジックシュートが入る


しかしそれはウンコ
0222キャトラ
垢版 |
2018/11/07(水) 21:03:08.22ID:qJ4YuIJP
>「罪と罰は愚者を繋ぐ楔。叫喚せよ。蹂躙せよ。
 荒れ狂う無間の烈風を解き放て……ラセラトリスっ!」

シリルの放った魔法が、6体のゴブリンをなぎ倒す。

「やるじゃん!」

>「よし。後は192さんの援護を!」

そのまま一気に畳みかける――と思われたが、
シリルは乗っている馬が暴れ始めそれどころではなくなったようだ。
そうしている間に、総勢5体の192さんに突撃する。
いかに192といえど、5体に一斉攻撃されては危ないだろう。

「させるかぁ! ――ルーンロープ!」

魔力の縄を作り、大きく跳躍した一体のゴブリンを捕獲。
それをぶん回す要領で他のゴブリンに激突させる。
数が減ったゴブリンたちを無事に192さんが殲滅し、戦闘は終了した。

そして暫く進むと、ケーユチ村に辿り着いた。
村に着くなり、よくありがちな村の入り口に暇そうに立っている人が親切に教えてくれた。

「ここはケーユチ村だよ!」

「案内ありがとう。さっきゴブリンに襲われちゃって大変だったんだ」

「ああ、それは災難だったな。
最近村の周りにゴブリンの棲家が出来たらしくてね……ほとほと困ってるんだ」

【1週間経ったので投下させてもらったけど192さんは復帰できそうならいつでもどうぞ!】
0224192
垢版 |
2018/11/08(木) 12:51:19.54ID:lowoKEja
【申し訳ありません、色々あって遅れました】


「はあぁっ!」
襲い来るゴブリンの攻撃をマンゴーシュで払い、カタナで反撃。
振り切ったところに新手が来るも、とっさに逆手に持ち替えてのカウンター。
一度は躱されるもダーツが刺さったことで出来た隙に衝撃波の追い打ち。

しかし、別の一群が包囲。
飛び掛ってきたゴブリンは魔法の縄で捕縛され、数が減らされたので残りに斬りかかった。

キャトラとシリルの援護もあって、無事にゴブリンを殲滅した。
倒した後の死骸を三人で始末(放置したらゾンビ化したりする可能性もあるので)し、先へ。

そして、ケーユチ村。

「ゴブリンの……とすると、まだまだ出てくるということでしょうか……」
ゴブリンと言えばわらわら出てくるものと、古代帝国崩壊期の昔から決まってる。

「……どうしましょう?」
返ってくるであろう答えはなんとなくわかってはいるが。
0225シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/09(金) 20:45:20.23ID:Xdk4dy5q
「落ち着くんだ、いい子だから……!」

僕が馬を宥める隙を突いて攻勢に出るゴブリン達。
残り五体の一斉攻撃だ。いくら低級な魔物といえど分が悪い。
この数を処理をするのは熟練の冒険者でも慎重を期する。

>「させるかぁ! ――ルーンロープ!」

キャトラが咄嗟に魔力で縄を作りゴブリンの一匹を捕獲した。
そして捕獲したゴブリンを投げ飛ばし、他のゴブリン達に激突させる。
これはひとたまりもない。怯んだところで192さんに斬りかかられ戦況はこちらに傾く。

借り馬のアルキュオネが落ち着いたところで僕も援護に参加した。
(といっても、適当にリジェクトを撃ちまくるだけなんだけど)。
こんな感じで戦闘はつつがなく終了した。

「馬の上で戦うもんじゃないね。キャトラのフォローで助かったよ!」

聖都シャンバラの神殿騎士の強さは噂に聞くとかなりのものだ。
曰く、ワーウルフの群れを一人で退治したとか、恐ろしい岩の巨人を追い払ったとか。
五体のゴブリンを切り伏せるくらい訳はなさそうだが、僕の失態を埋めて貰った格好だ。

戦闘後、三人で死骸を念入りに焼き払いはじめた。
これは魔物がゾンビ化して復活しないための始末だ。
また、この坂道を通る旅人や商人達へ危害を向けないためのマナーでもある。
たまに風化して消え去る立つ鳥跡を濁さぬタイプもいるが、ゴブリンは死体を残すタイプだ。
0226シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/09(金) 20:46:11.46ID:Xdk4dy5q
坂道を登り切ると、目的地であるケーユチ村が一望できた。
何の変哲もない普通の村って感じだね……。
僕達はケーユチ村を目指してゆっくり下っていった。

村に着くと最近ゴブリンの棲家が出来て困っているとのこと。
正直僕達には関係のない話なんだけど……。

>「……どうしましょう?」

192さんが目配せしながらゴブリンをどうするか問うてくる。
やめてよそんな純粋な眼で見ないで。
僕は普通にスルーしても構わないんだからね。

「おっほん。僕達はしがない冒険者なのですが……。
 村長殿、ゴブリンの棲家が出来て悩みの種になっておられるとか。
 ここで会ったのも何かの縁。そのお困り事、僕達に任せては頂けませんか?」

「おお、それは助かる。宿屋の主人には言っておくので
 今晩の宿代は結構ですじゃ。是非ともよろしく頼みますぞ」

村長と話をつけると、なんと宿代が浮いた。やったね。徳は積むものだよ。
さぁ、今日中にケリを着けてタダで枕を高くして寝ようじゃないか。

「棲家はケーユチ村にほど近い洞窟にある。
 僕が援護するから二人でひたすら斬り倒してくれたまえ!
 なぁに、所詮は低級魔物。きっとゴリ押しでなんとかなるよ!」

お誂え向きに棲家から飛び出してきたゴブリンにショックを唱える。
杖から暗黒の雷が飛び出し、ゴブリンは丸焼きになった。

「なんか時短テクとかあったら存分にやっちゃって!僕も手伝うから!」
0227キヤトラ
垢版 |
2018/11/09(金) 22:40:50.93ID:HlUInnRA
>「ゴブリンの……とすると、まだまだ出てくるということでしょうか……」
>「……どうしましょう?」

192さんが純粋な瞳でどうするか目配せしてくる。
ちなみにオレ達のようなこの手の勇者というのは魔王を何とかするために
先を急がないといけないはずなのに、何故かお使いイベントを引き受けてしまうのが鉄板である。
その理由をお教えしよう。
勇者といえど常に路銀が潤沢にあるとは限らず、こういう依頼を引き受けると
宿代と飯代がタダになった上に、運が良ければお礼に凄いアイテムが貰えるという特典があるのだ。
つまり答えは一つしかない。
しかしオレが深謀と打算に満ちたその答えを言う前に、シリルが反射的に純粋な善意でもって答える。
結果的には答えは一緒なので何の問題もない。

>「おっほん。僕達はしがない冒険者なのですが……。
村長殿、ゴブリンの棲家が出来て悩みの種になっておられるとか。
ここで会ったのも何かの縁。そのお困り事、僕達に任せては頂けませんか?」

>「おお、それは助かる。宿屋の主人には言っておくので
 今晩の宿代は結構ですじゃ。是非ともよろしく頼みますぞ」

よっしゃあ! タダ宿ゲット! と心の中でガッツポーズをしつつ

「そんな申し訳ない……でも折角なのでお言葉に甘えさせていただきます!」
と有難くタダで宿屋に泊まらせてもらうこととする。

>「棲家はケーユチ村にほど近い洞窟にある。
僕が援護するから二人でひたすら斬り倒してくれたまえ!
なぁに、所詮は低級魔物。きっとゴリ押しでなんとかなるよ!」

早速ゴブリンの住処に向かう。
飛び出してきたゴブリンはシリルの魔法によって丸焼きになった。

>「なんか時短テクとかあったら存分にやっちゃって!僕も手伝うから!」

「じゃあ焙りだして一網打尽なんてどう? スモークスクリーン!」

魔法で作り出した煙幕をゴブリンの住処内に流し込みまくると、
案の定何事かとゴブリンがわらわら飛び出してきた。
あとは混乱しているところを切り飛ばしまくればなんとかなるはずだ。
0229192
垢版 |
2018/11/14(水) 22:58:11.85ID:WywyIsEn
どうしましょうか、などと聞くまでもないだろうとは思っていたが、ゴブリン退治を受け負う事になった。
報酬など取り決めたら早速現場に。

「おそらくリーダーのようなのが一匹くらいはいると思いますが、それさえ倒せば後はどうにでも」
とるに足らない微々たる短刀術だが、そのくらいの役には立つ。

というわけでゴブリンの住処の前。
最初の一匹はシリルの魔法の餌食に。
さらにキヤトラが魔法の煙で燻り出す。
こうなれば出口のすぐわきに陣取って一匹ずつ仕留めればいい。
0231シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/16(金) 23:15:48.88ID:l/jGW+GT
便利魔法による煙で洞窟を焙り出す。
準備は整った。後はゴブリンを一網打尽にするだけだ。
といっても、ぞろぞろと列を為して現れたゴブリンは二十はくだらない。
二人に任せて援護に徹すればいいと思っていたが、少々骨が折れそうだ。

僕も樹海や墓場での探索を経て多少なりとも成長した。
例えば少し昔の僕が水魔法を修得したなんて聞けば驚いて飛び上がってしまうだろう。
今なら魔力も多少なりとも向上しているはず。
"知ってはいたが使えなかった魔法"も幾つか使えるはずだ。

「卑しき者を灼く餞は撒かれた。凍える肝を食み全てを侵せ!」

唱えた魔法はかつて戦ったリッチも使った暗黒魔法。
杖を翳すと空中に魔法陣が浮かび上がる。
陣が錠前を開けるように回転して黒い黴を散布し始めた。

「アンフォーム・モルド!」

触れたものを分解する黴が風に乗ってゴブリンを侵す。
断末魔を上げる暇もなく無言で魔物達が分解され消失していく。
残るのは魔物の残骸らしきものだけだ。

「へっへっへ〜。二人の出番がないくらい効率的だよ!
 ゴブリンももう出てこなさそうだし、これで終わりかな……!?」

ビジュアル面がヒロイックじゃない事以外は最高に使える魔法だよ。
今の魔力的にはちょっとキツイけど燃費も悪くない方だと思う。

粗方ゴブリンを片付けたところ、のそのそと洞窟から出てくるひとつの影があった。
二メートル近くはあろうその影はゴブリンの矮躯とは思えぬほど大きい。
僕は別の魔物が現れたのかと思ってまずぎょっとした。
0232シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/16(金) 23:16:10.55ID:l/jGW+GT
「いいっ……!?キングゴブリン……!?」

192さんが言った通り統率役にあたるゴブリンがいたようだ。
僕はそいつが普通のゴブリンに毛が生えた程度の存在だと思っていたが違っていた。
ケーユチ村を襲ったゴブリンの頭目は、異常成長したゴブリンだったのだ。

強さの程は僕も知らないが、ゴブリンより弱いスライムの王(ロードスライム)も十分強かった。
と、すると、こいつの強さは侮れないものだ。野生の魔物なだけに特に注意した方がいい。

「今までのゴブリンは子供くらいのサイズだったけど、
 こいつは体躯が他のヤツとは違う。二人とも気をつけて!」

魔力を流し込み黴を操る。
ふわふわと滞留していた黒い黴がキングゴブリンへと向かった。
キングゴブリンはそれを素早く回避しながら、僕目掛けて突っ込んでくる。

「ばっ……バインド!」

慌てて拘束魔法を唱えてようやく動きを止めた。
足元から現れた黒い触手がキングゴブリンの四肢を拘束する。
いや、そうじゃない。ゴブリンの王は布でも裂く様に易々と拘束魔法を振り解いた。
ぶちぶちと触手を引き千切りながら眼光をぎらつかせて周囲を見渡す。

そして上体を大きく反らして息を大きく吸い込んだ。
すぅ……という大きな音と共に肺が風船のように膨らむ。

「ま、まさか……」

キングゴブリンは息を大きく吐いた。それは突風となって黒黴を吹き飛ばす。
するとアンフォーム・モルドの黴が真っ直ぐ僕達に向かってくるではないか。
しまった。この魔法、発動の仕方は覚えていたけど解呪の仕方は知らないんだった。

「ごごご、ごめんなさい!この魔法、どう解除していいかは知らないんだったー!!」

このままでは僕とキャトラは黒黴の格好の餌食だ!
0233シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/16(金) 23:17:02.04ID:l/jGW+GT
【キングゴブリン戦は長引かせる予定じゃないから僕のターンまでに倒してくれると嬉しいかな!】
0234キャトラ
垢版 |
2018/11/17(土) 21:27:11.31ID:OP6lEHH9
>「おそらくリーダーのようなのが一匹くらいはいると思いますが、それさえ倒せば後はどうにでも」

「リーダーだって……!?」

192さんとゴブリン達を一匹ずつ倒していると、シリルから下がるようにとの合図が。

>「卑しき者を灼く餞は撒かれた。凍える肝を食み全てを侵せ!」
>「アンフォーム・モルド!」

シリルの魔法によって雑魚ゴブリン達が一気に分解されていく。
煙で炙り出し→闇黒魔法で分解とは我ながらビジュアル的に勇者らしからぬ所業である。

>「へっへっへ〜。二人の出番がないくらい効率的だよ!
 ゴブリンももう出てこなさそうだし、これで終わりかな……!?」

そうは問屋が卸さず、満を持してボスキャラが登場。
こういうのは何故か配下が全滅させられてから出て来るのがお約束。

>「いいっ……!?キングゴブリン……!?」
>「今までのゴブリンは子供くらいのサイズだったけど、
 こいつは体躯が他のヤツとは違う。二人とも気をつけて!」

「おうっ、見るからにヤバそうだな!」

>「ばっ……バインド!」

シリルが拘束魔法を唱えるも、それをやすやすと破り、吐息で黒い黴を吹き飛ばしてくる。

>「ごごご、ごめんなさい!この魔法、どう解除していいかは知らないんだったー!!」

「所詮黴ならば……コンカッション!」

目の前で見た目ド派手な爆発が炸裂する。
これは劇場型の怪盗系キャラがド派手に登場する時に演出としてよく使われるもので、
見た目が派手な割に攻撃用として使える程のものではない。
それでも黴を焼き払うには十分だったようだ。
ついでに、キングゴブリンがビビって一瞬固まるという思わぬ追加効果もあった。
図体がでかい割に案外気は小さいらしい。その隙を見逃すオレではない。

「エンチャント――エアリアル!」

両腕を一閃し、ダーツを奴の両目に突き立てる。

「192さん、とどめだ!」

【ずんばらりとやっちゃって!】
0235創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/11/20(火) 00:18:07.87ID:MT/sXmCD
      / ̄ ̄ 人  ̄ ̄ ̄ ̄\/|
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   .(    ) ウンコーってイイよねー
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Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b)
0236192
垢版 |
2018/11/20(火) 22:28:22.33ID:hFXPdYTh
ある程度数を減らしたところでシリルの魔法が一気にゴブリンを殲滅する。
だが、最後に出てきたのは……

「キング……ゴブリン……!?」

見通しが甘かった。ホブゴブリンかせいぜいゴブリンリーダー程度だと高をくくっていたら……
飛び散るであろうカビを警戒してマントの裾で口元を覆うが……

……

キャトラの魔法が黴を焼き払い、キングゴブリンの隙を作った上に目を潰す。
勝負は一瞬、だが、たかが一瞬……!

一気にキングゴブリンの懐に飛び込みつつマントの裾を翻す。
おそらく二人には敵の前を横切ったようにしか見えないだろう。だが、それで十分。

 左手のマンゴーシュがキングゴブリンの心臓に突き刺さる。
 ほんの僅かな手元の動きが体内で大きくうねり、抉る。
 刃を抜いた時、出血や血曇りは殆どなく、しかし致命的である。

この間約2秒、これぞ秘剣・鬼の爪。


【とどめ演出、やっちゃいました。シャンバラでは藤沢周平が聖典扱いされているのかも】
0237シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/22(木) 21:55:45.30ID:n9k6B3vw
192さんが放ったカタナがキングゴブリンに致命の一撃を与える。
巨躯のゴブリンはどっと倒れ伏してそのまま事切れた。

「すごい!流石シャンバラの神殿騎士だ!」

僕は思わずぱちぱちと拍手して192さんのもとへ駆け寄った。
冗談ではなくこの人が神託の勇者でいいんじゃないかな。
たまに思うけどなんで神殿騎士の人に神託しないんだろう。
はっきり言って僕やキャトラ如きにモノを頼まれる能力はないと思う。

勇者って柄でもないし……。だいいち僕は魔法使いだからね。
きっと勇者候補に碌なのがいないな……?
前回の勇者が訳の分からん帽子のおっさんなのも知ってるよ。

「ショック!」

僕はキングゴブリンをショックの電撃で焼き、最後の後始末をした。
瘴気に中てられてアンデッド化しないようにするための措置だ。
ケーユチ村に到着する前もやったので今回もせっせと始末する。

大半はアンフォーム・モルドが完全に分解したので処理の数も少ない。
まぁ、もしゴブリンゾンビになって復活しても聖水(余り)があるけど。

「処理も終わって……圧倒的勝利だ……!」

足を引っ張っておきながら寒い冗談を平然と口にして洞窟をあとにした。
0238シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/22(木) 21:56:13.52ID:n9k6B3vw
ゴブリン退治も終わり、ケーユチ村に戻った僕達は宿屋で歓待を受ける事になった。
魔物が活発化して被害が増え始めて以来、村はゴブリンに幾度も苦しめられてきたらしい。
作物を荒らされ、村人の数名も犠牲になったという。時には旅の商人も襲ったとか。

という訳で、宿屋はちょっとしたドンチャン騒ぎに包まれたのだった。
皆エールを片手に飲めや歌えやで僕も少し愉快な気分だ!

「……というわけで、僕は魔法を封じられてなお、
 樹海でちぎってはなげ、ちぎってはなげの活躍を……」

皆、冒険の話を聞きたいらしく僕は真実をありのまま伝えた。
世界とは困難と危険に満ちており――しかし、知恵と勇気で乗り越えられる事を。
女神の話は流石にしないけど、それらしい冒険ならもう二度もしてるじゃないか。

「亡くなったアデクも浮かばれるだろうよ。
 お前さんら、ありがとうな!おかげでこの村に平和が戻った!」

村人の一人が杯を掲げ、僕も楽しい時間をありがとうと杯を掲げた。
宴もたけなわの一方で心が急速に冷え込んでいくのを感じる。
彼らは知らないんだ。この平凡な世界に危機が迫っている事に。
闇の軍勢を率いる魔王が復活しつつある事を、皆は知らない。

魔王が復活すればこのオルビア王国にも闇の軍勢が攻めて来るだろう。
僕はこれまでの冒険で、故郷よりも広い世界を知った。
この国には今まで冒険してきた場所も、僕の故郷もある。
幻想殺しの樹海、ハジマーリの街、ルイージの墓場。そしてケーユチ村。

樹海やハジマーリの街、ケーユチ村が滅びるのはとても恐ろしいことに感じた。
つけ加えれば(占いを信じるならだが)この冒険には僕自身の命も懸かっている。
今までは"女神の神託を受けた"という事について深く考えてこなかった。
でも、これからの旅には強い決意や覚悟が必要な気がした。

「まぁ今はいいや。木苺のパイおいしいね!」
0239シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/22(木) 21:57:12.90ID:n9k6B3vw
夜も更けて飲み会が落ち着いた頃。
僕達は広間に残って旅のルートを確認する事にした。
東の聖都シャンバラまでの道程は長い。

「湾港都市ナントカから海路で行くのかぁ……。
 ナントカはオルビアの中でも貿易が盛んなんだって。
 僕、海って見たことないなぁ。見渡す限り水が広がってるんだよね?」

地図を睨みつけながらじっと経路を見つめる。
そしてふとオルビア王国の国土の最西端の森の辺りを眺めた。
地図上には何も描かれていないが、そこには僕の故郷がある。

魔法使いだけの秘密の里、カルデア。
故郷には一般的に穢れた魔法使い扱いされかねない人も多くいる。
彼らは魔法の発展ために時として禁呪や古代魔法を研究する事もあるのだ。

無用な争いを避けるため場所を口外するのは厳禁となっている。
もっとも話したところで里の魔法使い以外出入りできない。

「そういえばキャトラの故郷ってどこなの?僕は西の方なんだ。
 田舎過ぎてよく地図だと端折られててさぁ……ははは」

故郷の慣例でカルデアとは関係ない場所を適当に指差して笑った。
小さい嘘を吐くまでの事ではないが、僕はふと思ってしまったのだ。
この国のことを、世界のことをよく知らない。そして旅の仲間の事も。

これからどんな旅になるのか分からない。
長い旅路の仲間なんだ。皆の事を少しずつ知っていきたい。

「ところで192さん、シャンバラってどんなとこなの?
 聖都ってくらいだしきっと壮麗な街なんだろうなぁ……」

僕は呑気な口調で椅子にもたれかかった。


【幕間タイム。このまま明日ってことにして旅を再開してもおkだよ】
0240キャトラ
垢版 |
2018/11/22(木) 23:30:57.42ID:Y5RkobCf
>「すごい!流石シャンバラの神殿騎士だ!」

「マジでそれ!」
0241キャトラ
垢版 |
2018/11/22(木) 23:31:18.12ID:Y5RkobCf
>「すごい!流石シャンバラの神殿騎士だ!」

「マジでそれ!」
0242キャトラ
垢版 |
2018/11/22(木) 23:32:26.19ID:Y5RkobCf
(ちなみに数々の武勲を立てている英雄ではなくしがない一介の雑兵Aとか村の少年Aとかが
勇者に選ばれがちなのは、その方が作話上の都合でドラマチックだからだと思う。多分。)

>「処理も終わって……圧倒的勝利だ……!」

「おう、圧倒的勝利だな……!」

(シリルの台詞に仕込まれた高度な韻に気付かないキャトラであった)

そして村に戻って勝利を報告し、お約束の宴会に突入。
ここぞとばかりに料理を食べまくる。

>「湾港都市ナントカから海路で行くのかぁ……。
 ナントカはオルビアの中でも貿易が盛んなんだって。
 僕、海って見たことないなぁ。見渡す限り水が広がってるんだよね?」

「そうなんだ、それは楽しみだね!
そうそう、見渡す限りの水の果てに海と空の境目が見えるんだ!」

>「そういえばキャトラの故郷ってどこなの?僕は西の方なんだ。
 田舎過ぎてよく地図だと端折られててさぁ……ははは」

「この森のこの辺りに妖精猫の里があるんだけど子どもとか心の綺麗な人しか入れないんだ。
シリルなら大人になってもきっと入れるだろうからいつか遊びに来るといいよ」

(そう言ってキャトラが指さしたのは、奇しくもシリルの故郷の割と近くだった)

「そういえば10年ぐらい前だったっけ……小さい女の子が迷い込んできたことがあったなぁ。
今思えばその子が外の世界に出るきっかけをくれたっけ」

>「ところで192さん、シャンバラってどんなとこなの?
 聖都ってくらいだしきっと壮麗な街なんだろうなぁ……」

「確かに! 聖都って枕詞だけでかっこいい感じ!」

昔話はそこそこに切り上げ、シリルに便乗し、シャンバラについての話題に移る。

【思わせぶりなことを言ったけど実は昔出会っていたパターンでも全然関係ない別人パターンでも可!】
0244192
垢版 |
2018/11/28(水) 02:17:35.75ID:Cd8lN7iI
かくして、戦いは終わった。厳密にはとどめはカタナではないのだが、まあ些細なことだ。
後始末も済ませ、村に戻るとちょっとした祝勝会である。


……そして、今後の旅についての確認。

次なる目的地は港湾都市ナントカ。
あの街に行くのはもう何十年ぶりになるか……
「ナントカから海路でスカゲラク海峡を越え、アライアンスまで。
 そこからまた陸路で……幾つかルートはありますが、どれがいいかはその時にならないと……」
ひょっとしたら海峡を越えられないかもしれないが。

「シャンバラですか。壮麗、と言うのとは違いますね……
 広大な竹林に囲まれていて、竹が主要な建材ですから」
私も最初はイメージと違って驚いたものだ。
「でも、神殿内部は、その、空気が違うんですよ。
 こればかりは口では説明出来ませんね」
0245創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/11/30(金) 00:59:09.45ID:K6ydb5rY
糞だらけで
俺には説明できない
0246シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/30(金) 21:50:17.10ID:46GK14qR
>>237のレスですが、致命の一撃はカタナでなく正しくはマンゴーシュでした。申し訳ありません。】
0247シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/30(金) 21:51:11.60ID:46GK14qR
>「この森のこの辺りに妖精猫の里があるんだけど子どもとか心の綺麗な人しか入れないんだ。
>シリルなら大人になってもきっと入れるだろうからいつか遊びに来るといいよ」

妖精というのはおおよそ人の目に触れないことが多い。
キャトラの棲家のように基本的に立ち入れない場所に住んでいたりする。
そもそも人に見えない妖精もいるが、見えない妖精の事は僕にも分からない。
大魔道士ともなれば話は別だろうが所詮僕は一介の駆け出し魔法使いなのだ。

「う、うん……機会があればね」

自分が死ぬかもしれない事を思い出して僕は背筋が凍った。
ああ、この占いばかりは師匠の適当でありますように!

>「そういえば10年ぐらい前だったっけ……小さい女の子が迷い込んできたことがあったなぁ。
>今思えばその子が外の世界に出るきっかけをくれたっけ」

キャトラの話に何かひっかかるものを感じたが、よく思い出せない。
まぁ思い出せないってことは大したことじゃないってことだ。
僕は呑気に椅子にもたれかかって192さんの話を聞いた。

>「シャンバラですか。壮麗、と言うのとは違いますね……
> 広大な竹林に囲まれていて、竹が主要な建材ですから」

「たけ、たけ……竹かぁ」

流石東の果て……。実際の街の様相は現地人でなければ分からない。
オルビア王国とは違った文化の色濃いとも聞くが、今まで噂に聞いた話とは随分違う。
神殿があるとか東の聖都とか遺跡が眠る街と聞けばもう石造りみたいな絵を想像してしまっていた。
前にシャンバラくらい知っていると述懐したがそれは改めなければならないようだ。

>「でも、神殿内部は、その、空気が違うんですよ。
> こればかりは口では説明出来ませんね」

192さんがそう言って少し雑談を交わしたあと、僕達はそれぞれの部屋で就寝した。
旅はまだまだ長い。今は始めの一歩を切ったばかりなんだ。
休めるときに休んでおかないとね。
0248シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/30(金) 21:52:39.62ID:46GK14qR
湾港都市ナントカ――。
オルビア王国においてもっとも貿易が盛んな場所だ。
同時に最大の港町でもある。

貿易が盛んなだけあってこの都市には古今東西の品が集う。
武器、道具、調度品、食料と、ありとあらゆるものが行き交っている。
ナントカは活気があり、皆人当たりが良く、明るい人が多い。

ケーユチ村を出発した僕達は魔物と遭遇する事もなく無事ナントカへと辿り着いた。
道中は馬に乗った快適なものだったので特に苦もなかったかな!

「うわー!これが海かぁ!」

波止場の手すりからのりだして僕は思わず大きな声を出した。
これが潮風にあれが水平線!カモメ!帆船!

海にも驚いたけど海を渡るためのキャラック船にも驚いたよ。
横で休憩してた船乗りに笑われてすごい恥ずかしかったけど!
でも僕の反応は無理もない。故郷には小さいイカダしかなかったんだ。

「船の出航は明日みたいだ。今日はどうする?
 遊ぶしかないよね。でもお金がないんだよねー……」

聖都へ向かうにはアライアンスというところまでのようだ。
僕はその町について詳しく知らないので何も言えない。港町なのだろうか?
ところで、借り馬のアルキュオネだが、船に乗るのでなくなく返した。
馬は船輸送に弱くて輸送熱を発症したり体調を崩すから馬主が船に乗せるのは許さない。
だから陸路になったらまた馬を借りることになるという訳だ。

それにしても今日一日どうしよう。旅のお金に手ぇつける訳にもいかないしなぁ。
元を辿ればシャンバラの神殿のお金の訳なんだよね。
ここまでの旅費も含めていずれ返すお金だよ。
露店の食べ物とか色々気になるものがあるのに。

「なんか良いお金稼ぎの手段とかないかなぁ……」

こういう時定番なのは魔物退治だが正直面倒だ。
だいたい退治で怪我でもしたら観光どころじゃない。
手頃な金策の手段はないものか。


【魔法使いは観光のためにお金稼ぎがしたいようだ……】
0249シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/11/30(金) 22:16:26.31ID:46GK14qR
【×聖都へ向かうにはアライアンスというところまでのようだ。
 〇聖都へ向かうには船でアライアンスというところまで行くようだ。】
0250キャトラ
垢版 |
2018/12/01(土) 09:13:59.09ID:oXti/O5D
>「船の出航は明日みたいだ。今日はどうする?
 遊ぶしかないよね。でもお金がないんだよねー……」

「お、おう。それは困ったな……」

お金を使わずに適当に時間を潰すという選択肢もあるのではないかと思ったが
敢えてツッコまないことにした。

>「なんか良いお金稼ぎの手段とかないかなぁ……」

「そんないいものが都合よく転がってることなんて……」

街の掲示板を何気なく見ていたオレの目にとある仕事募集の広告が飛び込んできた。

【お散歩相手募集中!
 希望属性:ボクッ娘魔法少女・猫耳妖精・神殿騎士お姉さま
 報酬は応相談! 応募者は白いカモメ亭まで!】

おっさんとお散歩することで金銭を受け取るという主に美少女が行うビジネスがあるとは
噂に聞いた事があったが、その類だろうか。
それにしても――

「ははは、属性の指定がマニアック過ぎるっつーの!
こんなんぴったり当てはまる奴らいるのかよ……ん?」

数秒置いてあることに気付いた。

「ってもろオレ達じゃーん! お散歩するだけでいいなんて行くっきゃなくね!?」

(何者かの罠かもしれないという可能性には思い至らないキャトラであった!)
0251創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/12/02(日) 19:03:01.19ID:UDN1ZlDb
そこに飛び込む糞

どうする?キャトラ
0252シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/08(土) 20:40:08.69ID:9+GAAwRo
>「ってもろオレ達じゃーん! お散歩するだけでいいなんて行くっきゃなくね!?」

どうやらこのケットシーは疲れているようだ。
いくら懐が寂しいからっていかがわしい商売に手を出すほど愚かじゃない。
一緒にお散歩したいというより別の悪だくみを考えているに違いない。

「そうかな……けど僕は行かないからね。
 なんたって僕は魔法少女じゃなくて魔法使いなんだから!」

他にも何かないか街の掲示板を眺めているとある一文が飛び込んだ。
スカゲラク海峡で船が何隻も沈没している。海峡を抜ける船は注意されたし……。
ええ。スカゲラク海峡を抜けないとシャンバラへ行けないのに。
だがこればかりは僕達の力ではどうにもならない。船乗りと船に任せるしかない。

その問題はさておくとして、働かざる者遊ぶべからず。
というより192さんに借りた馬代を返すためにもここで稼ぐっきゃない。

と、なれば冒険者ギルドに頼るのが吉だ。
湾港都市ナントカにもギルドの施設があるはず――。
僕達は逸るキャトラを宥めて冒険者ギルドへ向かうことにした。

「冒険者の方ですね。何か御用ですか?」

酒場のような風体の店の扉を叩くと待っていたのがギルドの受付嬢だった。
手頃な依頼を探している事を伝えるとバインダーに羊皮紙を何枚か挟んで持って来てくれた。
コカトリスの退治、マレアムス洞窟の探索、名工サテュラの武器の収集などなど。
どれも一筋縄ではいかないものばかりだ……。

「……子猫の捜索みたいならくちんお使い仕事ないんですか?」

「ないですね。この辺りではこれが普通の依頼ですから」

僕はすごすご退散しようかと思い始めた。とてもじゃないが僕のレベルでは達成できない。
プロの冒険者とは日々あのような依頼をこなして報酬を得ているのだ――。

「あ……人を騙して身包みを剥ぐ悪質な盗賊団の調査という依頼もありますね。
 普段は白いカモメ亭にたむろしているようです。どうしますか?」

報酬は20万ゴールド(※1ゴールド=1円)のようだ。
それほど割りは悪くないが白いカモメ亭がどうとかお散歩ビジネスの時に聞いたような……。


【何者かの罠を回避。白いカモメ亭へ行きますか?】
【192さんは大丈夫かな?いつでも戻って来ておkだよ】
0254キャトラ
垢版 |
2018/12/12(水) 20:25:26.74ID:z4P3guZ5
>「そうかな……けど僕は行かないからね。
 なんたって僕は魔法少女じゃなくて魔法使いなんだから!」

「ふーん、そういうもんか」

(あまり物事を深く考えないキャトラであった!
ちなみに厳密には魔法少女とは現代を舞台にしたローファンタジーものにおける概念で
ごく普通の少女が何かのきっかけで魔法の力を授かった存在のことを指すらしいので
魔法が存在する世界を舞台にしたハイファンタジーものである本作におけるシリルは
魔法少女じゃなくて魔法使いという指摘はしごく真っ当なものである。
余談だがローファンタジーものにおいて、異世界からやってきた魔法使いの少女のことは魔女っ娘と呼ぶらしい。
さらに余談だが、魔法使いサ〇ーは魔法の国から現代日本にやってきた設定だから
その分類でいけば魔女っ娘ということになるのだが、魔法使いという枕詞が付いている。
つまり魔法使いは魔法を使う人全てを包括する広い概念と言えるだろう。
魔法少女講釈はこの辺でさておくとして……)

>「冒険者の方ですね。何か御用ですか?」

>「……子猫の捜索みたいならくちんお使い仕事ないんですか?」

>「ないですね。この辺りではこれが普通の依頼ですから」

>「あ……人を騙して身包みを剥ぐ悪質な盗賊団の調査という依頼もありますね。
 普段は白いカモメ亭にたむろしているようです。どうしますか?」

「強い奴らなら騙すなんて面倒くさいことをせずに問答無用で襲い掛かって身ぐるみ剥ぐだろう。
……わざわざ騙すということは腕っぷしにはそれ程自身がないということだな!
案外狙い目かもしれない!
白いカモメ亭に行ってみよう!」

(お散歩ビジネスと同じ場所ということは特に気にしないのであった!
というかすでに忘れているのかもしれない!)

そしてやってきました白いカモメ亭。
そこには見るからにチャラい集団がたむろしており、
見るからに駆け出し冒険者っぽい少女達が話しかけているところであった。

「お散歩するだけでお金くれるってマジ!?」
「マジマジ!」

(どうやら街中の色んな掲示板を使って他のパーティーにも罠をしかけていたようだ)

マスターのところに行ってこっそり聞いてみる。

「あれってここの店を通してる仕事なのか……?」

「いや、うちは何も知らないぞ」

(どう見ても悪質な盗賊団です。本当にありがとうございました)
0256シリル ◆X4hrf3EOqI
垢版 |
2018/12/14(金) 22:25:02.28ID:FSJ2nme6
――白いカモメ亭。
様々なものが行き交うナントカに於いて、この酒場は癒しである。
広々とした酒場の一角には見るからに軽薄そうな集団が冒険者達と会話を弾ませていた。

>「お散歩するだけでお金くれるってマジ!?」
>「マジマジ!」

冒険者達はまだその道を歩み始めたばかりの少女達だ。
武闘家、僧侶、戦士、遊び人、そして魔法使い。
魔法使いは灰色のローブを纏い、少年とも少女ともつかぬ顔立ちをしていた。
星を散りばめたような銀の髪が一際目を引き、翡翠の瞳で相手を見つめる。

軽薄そうな集団の中でも率先して話を膨らませている男は思わず息を呑んだ。
その瞳に見つめられると足を踏み外して深淵へ堕ちていくような、不思議な魔力を秘めている気がした。
相手は魔法使い、のせられてはいけない。男は意識を切り替えて自身の仕事に戻った。

彼は冒険者を誘い出して強盗を働くことを企んでいた。
軽薄な集団は近年湾港都市ナントカを騒がせている盗賊団であり、
架空の商売を持ち掛けて金品を盗む悪事を働いていた。

>「あれってここの店を通してる仕事なのか……?」

>「いや、うちは何も知らないぞ」

酒場のカウンターにいる仲間の合図を嚆矢に魔法使いは動いた。
罠に絡めとられた冒険者達を毒牙にかけるべく盗賊団達は白いカモメ亭を出ようとした時。

「――"バインド"」

魔法使いが呪文を紡ぐ。
軽薄な集団は瞬く間に地面から伸びる靄のような触手に拘束された。
触手は盗賊団の面々を容赦なく蓑巻きにし、酒場に混乱の波が押し寄せる。

魔法使いの名はシリル・フラマリオン。
しがない暗黒魔法の使い手にして冒険者である。
冒険者ギルドから依頼を受け、彼らを捕らえるのが今回の仕事だった。

「僕の仲間が衛兵団を呼んでいる最中だ。無駄な抵抗は止めておきたまえ」

シリルは仲間の神殿騎士の顔を思い浮かべてそう言った。
言うや否や、どかどかと忙しない複数の足音が聞こえてきた――。
恐らくはナントカの衛兵達だろう。
0257シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/12/14(金) 22:25:25.73ID:FSJ2nme6
衛兵達に盗賊を引き渡し、ギルドから報酬を得ると、まずは借り馬代を仲間に返した。
たとえ旅の仲間といえど借りたものは返すのが常識。
報酬は借りた金を返してもお釣りがくる程度にはある。

「明日には船だね。折角だから今日は遊ぶとしようじゃないか!
 買い物にでも行ってパーッと欲しいものを買うとしよう」

そう言って旅の仲間であるキャトラに小遣いを渡すと、一同は湾港都市を練り歩いた。
大道芸を見たり、海鮮料理に舌鼓を打ったり、買い物を楽しんだり……。
最後にシリルは露店で懐かしいものを見つけた。
魔法使いには欠かせないアイテムのひとつ、魔導書である。

「懐かしいなぁ。昔は四属性の本を学校で読み漁ったっけ。
 当時は土魔法以外はてんでものにならなかったけど……よし、すみません……」

ちょうど風と土の魔導書が売ってあったので二冊を購入。
背負っている旅用の荷物入れに放り込むとそのまま歩き出す。
気が付けば日が沈みそうになっていた。
海の波間が夕日を照り返し、幻想的な光景を作り出している。
シリルは湾港都市にきて初めて海を見たので、それがとても珍しいものに映った。

明日になればいよいよ港町アライアンス行きの船に乗る。
そこからは陸路で聖都シャンバラを目指すことになるのだ。
オルビア王国の最東端に一体何が待ち受けているのか――。
魔法使いは嫌な予感とともに身を震わせた。


【盗賊達を見事逮捕。遊びに練り出す。一日が終わりそう】
【話の回転を良くするために文体を変えてみました。引き続きよろしくお願いします】
0259キャトラ
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2018/12/15(土) 20:12:56.09ID:LLyKu8yu
192さんが、街の衛兵団を呼んでくるという。流石は神殿騎士、用意周到だ。
念のためにマスターに聞いて、彼らが件の盗賊団だと確信したオレは、シリルに合図を出す。

>「――"バインド"」

シリルの魔法が、盗賊団を文字通りに一網打尽にする。

>「僕の仲間が衛兵団を呼んでいる最中だ。無駄な抵抗は止めておきたまえ」

「ち、ちっくしょ――ッ!」

「逃げすかッ!」

運よく触手を逃れ逃げようとした一人に短剣で切りかかると見せかけ、壁ドンの要領で短剣の柄の方を壁に突き立てる。
(刃の方を突き立てると壁を傷つけちゃうからね)

「残念だったな、仲間と一緒に大人しくお縄になりな」

こうして無事に盗賊団を衛兵に引き渡し、多額の報酬を得た。

>「明日には船だね。折角だから今日は遊ぶとしようじゃないか!
 買い物にでも行ってパーッと欲しいものを買うとしよう」

街を練り歩いてみると、シリルがあるものに目を止めた。

>「懐かしいなぁ。昔は四属性の本を学校で読み漁ったっけ。
 当時は土魔法以外はてんでものにならなかったけど……よし、すみません……」

「へぇー、人間はこういうので魔法を覚えるんだな!」

妖精系種族は感覚で魔法を使うため、魔導書を使っての習得というのはあまりしない。

「見て見て、夕日が綺麗! ……シリル?」

一瞬シリルが浮かない顔をしているように見えた。

「あ、もしかして船苦手? ……そんなことない? それならいいけど」

その夜、不思議な夢を見た。
姿ははっきり見えないが、魔法使いのような人影が語り掛けて来る夢。

「どうか――どうか我が弟子を運命から守ってやってくれ」

「運命ってなんだよ。死なないようにとか?」

「それもある。そして、闇に堕ちることが無きように――」

「なんだよそれ、どういう意味だ!? というかお前誰……」

人影の正体を見定めようとするも、目が覚めてしまった。

「なーんか妙な夢見たな〜。ま、いっか!」

港に行ってみると、すでにアライアンス行きの船が出航を待っていた。
船賃を渡し、駆け乗る。

「ヒャッハー! 船旅だ!」

こうして船は港町アライアンスへと向かって出発した!
0261シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/12/21(金) 19:19:19.64ID:/zHe7/Hm
湾港都市ナントカを出航した船は、吹き付ける風を帆で受け止めて快晴を突き進む。
船乗りたちが忙しく動くのを眺めながら手元の魔導書のページを捲る。

興味本位で買ったものだが、今読み返してみると中々どうして面白い。
当時は土を少し操るのが精一杯だったが、今やればどうだろう。
もっとも、自分は暗黒魔法の使い手なので使う意味も薄いが……。

自分達に割り振られた船室に入ってみると、
清潔感はあるが調度品すらない物置のような部屋といった感じだ。
ベッドはなくハンモックが吊ってあり、机と椅子代わりに樽が置いてある。

「……清潔なだけまともなのかな」

船賃を払う時に船長があまりの豪奢ぶりに開いた口が塞がらないだろうよと言っていたが……。
皮肉なのは理解していたが、衛生的には悪い環境なので嘘を言ったつもりもないのだろう。
なんというか、これでも過酷な陸路を行くよりマシだ。

キャトラの部屋も同じような具合なのか冷やかしに行こうとすると
192さんに出くわしたので一緒にキャトラに会いに行った。

「やぁキャトラ!度々僕は思うんだけど、君は両手に花だね。
 その徳を理解したつもりで、まぁ、僕の暇つぶしに協力したまえ!」

シリルはそう言ってどっかと樽に座ると机に肘をついて柔和に微笑んだ。
海の風景を眺め続ける訳にもいかず、暇を持て余した魔法使いは暇つぶしに駄弁りに付き合えと言っているのだ。
一緒に旅に出る前の事でも聞こうとしていたが、口火を切ったのは192だった。
0262シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/12/21(金) 19:19:53.19ID:/zHe7/Hm
目的地シャンバラの神殿騎士である彼女が率先して軽薄な会話に混ざる印象はない。
事実、彼女が告げたのはスカゲラク海峡の事についてだった。
彼女はシリル達と出会うまで陸路であったが、湾港都市ナントカには何十年か前に訪れたことがあるようだった。

192曰く、スカゲラク海峡にはある伝承が残されている。
闇の軍勢と魔王がまだ健在であった頃、スカゲラク海峡にはある魔物が棲んでいた。
それは驚異的な大きさを誇る頭足類のような魔物であり、海峡を越えんとする船を何隻も食い荒らしたという。
魔物は嵐と共に現れ、嵐と共に去る。名をクラーケンという。

シリルが掲示板で見た海峡で船が何隻も沈んでいるという情報も加えて、192は気を揉んでいた。
果たして無事に海峡を越えられるかどうか……と。
近年魔物が活性化している事を考えれば、あながち無視できる話ではない。

「遺憾ながらここはクラーケンが来ないように神に祈るしかないよ。
 僕達にできることは少ない。海の魔物相手にどこまで戦えるかも分からないし、ね。
 あと数時間でスカゲラク海峡だ。吉と出るか凶と出るか。僕達の女神に任せておくとしよう」

船は快晴の中を順調に進んでいる。
しかし――海峡に近付くほどに航路は悪天候を増し、嵐の気配が漂い始める。
キャラック船"バロック号"が大波で傾き、船体が大きく揺れる。
吹き付ける強風を察して船長のドレークは帆を畳ませた。
雨の匂いを嗅ぎ取りながら深刻な顔で船員に呟く。

「クラーケンの野郎に出くわすことになるかもしれん……。
 まさか俺の代でこんなことになろうとはな……」

「船長、どうするんですか?」

「どうすることもできんさ……神にでも祈るんだな」

「……アイアイサー」
0264キャトラ
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2018/12/26(水) 21:47:07.64ID:YE/TUl4d
>「やぁキャトラ!度々僕は思うんだけど、君は両手に花だね。
 その徳を理解したつもりで、まぁ、僕の暇つぶしに協力したまえ!」

「……う、うん! そういえばそうだね」

自分は性別の意識が薄い妖精族だし、シリルはローブをまとった中性的な雰囲気なので、
言われてみればそうなのか、という感じだ。
しかし決してシリルが美人ではないとかいうわけではなくむしろ逆。
美少年とも美少女ともとれる、性を超越したような整った顔立ちをしている。
暇つぶしとはなんとことはない、雑談であった。
その中で192さんがスカゲラク海峡のクラーケンの伝承を語る。

「スカゲラク海峡って……もろ今から通るとこじゃん!」

>「遺憾ながらここはクラーケンが来ないように神に祈るしかないよ。
 僕達にできることは少ない。海の魔物相手にどこまで戦えるかも分からないし、ね。
 あと数時間でスカゲラク海峡だ。吉と出るか凶と出るか。僕達の女神に任せておくとしよう」

快晴だった天気が一変、海峡に近づくほどに悪天候となり、大波で揺れる船。
様子を見に出て行ってみると、何やら船長と船員が深刻な顔で話している。

>「クラーケンの野郎に出くわすことになるかもしれん……。
 まさか俺の代でこんなことになろうとはな……」
>「船長、どうするんですか?」
>「どうすることもできんさ……神にでも祈るんだな」
>「……アイアイサー」

「おいおい、マジかよ……ってぎにゃあああああああああああ!?」

一際強い揺れが来たかと思うと、吸盤のついた巨大なイカの足のようなものが海面から現れ、船の甲板に叩きつけられた。
たちまちのうちに船上は混沌の戦場と化す。

「ぎゃー! お助けー!」

「お客様の中に勇者、剣士、魔法使い、その他戦える方はいませんかー!?」

「これでも一応神託の勇者らしいからさ……エンチャント”ファイア”!」

炎をまとった短剣で脚に切りかかると、相手は暫しひるんだように見えた。

「あなた方は!?」

「話は後! 残念だけどオレ達には倒せる気がしない……!
なんとか牽制している間に全速力で海峡を抜けてくれ!」
0265創る名無しに見る名無し
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2018/12/27(木) 00:21:23.76ID:VS0qGbtv
>>264
エンチャント、ウンコ

お前に狂化剤がぶちこまれる
0266シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/12/28(金) 19:13:51.57ID:5aswIyUk
嵐の中を進むバロック号は遂にクラーケンと遭遇した。
その巨大な足を船上に叩きつけ、海底の底であぎとを広げ沈没を待っている。

>「話は後! 残念だけどオレ達には倒せる気がしない……!
>なんとか牽制している間に全速力で海峡を抜けてくれ!」

「この荒天の中、風も静まっていないのに船を走らせろだって!?
 冗談じゃない。転覆してクラーケンに食われる前にお陀仏になっちまう!」

船員がマストに捕まりながら悪態をつくと、船長は猛禽のように獰猛な表情で笑った。

「面白い、やってみようじゃねぇか。一か八か奇跡を信じて行動してみるとしよう。
 きっと我らが女神も微笑んでくれるだろうよ!」

「船長!」

船長のドレークの台詞と共に、船が再び揺れる。
二本目のクラーケンの足が船に絡みつき、船体を万力のように締め上げ始めた。

「こりゃまずい。クラーケンの野郎は船をぶち壊す気だぞ……。
 おい冒険者共。方法は問わねぇからあいつを何とか引き剥がせ。でなければ船が動かせん」

「方法が一つだけあるよ。僕の仲間次第だけどね」

船室からつかつかとシリルが歩み出てくると、きっと、船体に絡みつくクラーケンの足を見据える。
途中から話は聞かせて貰った、といった風情で参上すると、自身の魔法で何ができるか考えてみた。
ショック、リジェクト、ラセラトリスでは威力が足りない。アンフォームモルドもこの風雨の中で使うのは自殺行為。
水魔法のアクアプレッシャーは――質量攻撃のため、バロック号も傷つけかねない。ならば方法はひとつ。

「キャトラー!そのままエンチャントファイアを維持したまえ!合体攻撃で追い払うぞ!」
0267シリル ◆X4hrf3EOqI
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2018/12/28(金) 19:14:46.59ID:5aswIyUk
記憶のページを捲りながら師匠との修行を思い出す――。
暗黒魔法には、如何なる魔法をも吸収し糧とするアンチマジックが存在する。
自身の今の力量で使いこなせるかは五分五分といったところだ。少なくとも旅に出る前は発動しなかった。
だが今、これ以外にクラーケンを追い払う手段はない。

瞼を閉じ、魔力を練り上げる。
そしてイメージする。暗黒をも飲み込む混沌の力を。

「戒めの鎖錠を破りし混沌の扉よ、魔の力を簒奪し深淵へと誘え!カオスアブゾーブ!!」

詠唱を紡ぎ、杖を前に差し出す。
空間に浮かぶのは全てを飲み込む混沌の扉。風で揺らぐ銀の髪が静止した。
巨大な魔力のうねりが嵐とぶつかり、悪天候が翳りを見せ、弱まっていく。

「対象属性は炎!エンチャントファイアを吸収しろ!」

キャトラの短剣から炎が消え、空中の闇の扉へと飲み込まれていく。
暗黒魔法の上級に位置するカオスアブゾーブは、魔法を吸収し無力化するアンチマジック。
だが、カオスアブゾーブにはもう一つの使い方が存在する。

「これが闇を征する暗黒魔法の真髄だ!僕はこの魔法を一段階上の暗黒魔法へと再構築する!
 奔放なる妖精猫の勇者よ、燃ゆる魂が地獄の業火を呼び覚ます!勇猛果敢に寄せ来る敵を焼き払え!」

それこそが暗黒魔法への変換能力。
上空に展開していた闇の扉から光の柱が降り、キャトラの短剣がそれを受け止めた。
発光する短剣は炎で長剣を形成し、より強力なエンチャントファイアへと生まれ変わった。

「セントエルモの火だ……」

船員の一人が夥しく発光する剣を見て呟いた。

「僕の魔力全部をぶち込んだ!それなら行けるはずだ、一気に決めろ!」


【エンチャントファイアを魔法で更に強化。合体攻撃でクラーケンを追い払う算段】
0268キャトラ
垢版 |
2018/12/31(月) 13:20:10.35ID:UPSWSXIo
>「面白い、やってみようじゃねぇか。一か八か奇跡を信じて行動してみるとしよう。
 きっと我らが女神も微笑んでくれるだろうよ!」

キャトラの無理無茶無謀な作戦に難色を示す船員だったが、船長が乗ってきた。

「さっすが船長! それでこそ海の男!」

逃がすものかと、二本目の足を絡みつかせ船体を締め上げるクラーケン。

>「こりゃまずい。クラーケンの野郎は船をぶち壊す気だぞ……。
 おい冒険者共。方法は問わねぇからあいつを何とか引き剥がせ。でなければ船が動かせん」

「引きはがせって言われても!」

そこにナイスなタイミングでシリルが登場。

>「方法が一つだけあるよ。僕の仲間次第だけどね」
>「キャトラー!そのままエンチャントファイアを維持したまえ!合体攻撃で追い払うぞ!」

>「戒めの鎖錠を破りし混沌の扉よ、魔の力を簒奪し深淵へと誘え!カオスアブゾーブ!!」
>「対象属性は炎!エンチャントファイアを吸収しろ!」

「……?」

一瞬怪訝な顔をするキャトラ。
これは、通常は敵が使う魔法攻撃を吸収するために使われるものだ。
それを味方の補助魔法を吸収するのに使ってどうしようというのか。

>「これが闇を征する暗黒魔法の真髄だ!僕はこの魔法を一段階上の暗黒魔法へと再構築する!
 奔放なる妖精猫の勇者よ、燃ゆる魂が地獄の業火を呼び覚ます!勇猛果敢に寄せ来る敵を焼き払え!」

「そういうことか……!」

魔法を吸収した上でより強力な闇黒魔法へと変換する上級魔術――
短剣のはずの剣により強力な炎の魔力が宿り、一時的に両手剣と化す。

「す、すごい力だ……!」

>「僕の魔力全部をぶち込んだ!それなら行けるはずだ、一気に決めろ!」

裏を返せば、シリルにもう戦う力は残っていないということ。これで決めなければ後がない
だが、恐怖はなかった。何故なら――いける気しかしない!
剣を下段に構えて力を溜め、猫妖精特有の瞬発力をもって猛ダッシュ。

「必殺!――ダークフレイムスラッシュ!!」

なんかそれっぽい技名を叫びながら一気に切り上げると、船体に巻き付いていた肢が一刀両断に切り飛ばされた。
断末魔の悲鳴のようなものが聞こえ、切られた側の巨大な肢が甲板上に転がる。見事な切り口だ。
肢一本切られた程度で死にはしないだろうが、暫しの間戦意喪失させることには成功しただろう。
キャトラは船長や船員達に声を掛ける。

「さぁ、今のうちに! 無事に辿り着いた暁にはたこ焼きパーティーだ!」
0269創る名無しに見る名無し
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2019/01/01(火) 15:41:50.76ID:PjuyDHEj
今年も糞尿一同よろしく
0270シリル ◆X4hrf3EOqI
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2019/01/03(木) 21:59:19.45ID:n1X8Vtwc
キャトラの剣がクラーケンの足を叩き切り、船を発進させる準備は整った。
今は悪天候も心なしか弱まっている。今が逃げる好機だ。

「帆を張れ!全速前進で逃げるぞ!」

「アイアイサー!!」

嵐を突っ切ってバロック号は遂に海峡を抜け出す事に成功した。
シリルはそれを見送るとふらふらと覚束ない足取りで船室へと戻っていく。

「……すまない、無理をしすぎた。
 魔力回復の為に三日くらい寝るだろうけど、心配はいらないよ」

それから誰とも顔を合わせず三日ほど部屋で眠りに就いた。
その間というもの、シリルは悪夢のようなものに魘された。
今まで感じた事のない悍ましい何かが手ぐすねを引いて待っているような――。
そんな気味の悪い感覚が肌に纏わりついて離れなかった。

「……はっ、夢か……」

シリルが目を覚ました時、船はもう港町に迫っていた。
アライアンスと呼ばれる寂れた港町だ。
出航時の快晴とは打って変わって曇天に包まれている。

「相変わらずシケた町だな。ここはいつもどんよりしてやがる。
 さっさとナントカに帰りたいところだが、海峡にはクラーケンがいやがるしな……」

「船長、ここからならロンバルディア王国が近いですよ。
 あっちでまた旅客船で一旗上げましょうや」

「……そうだな。クラーケンが斃されるまでナントカは封鎖されて
 船が出航できる状況じゃなくなっちまうだろうしな……その間商売あがったりも御免だ」

「うぅん、また船乗りの雑談か。君達も飽きないね。もう着くのかい?」

「あいよ、冒険者様。もうじき港町アライアンスだ――それまでどうか大人しくしてな!」
0272創る名無しに見る名無し
垢版 |
2019/01/04(金) 16:11:14.07ID:oBw5dg7Z
緊急アライメント!


ウンコ接近、ウンコ接近!


(ウンコ大明神が接近しつつある)


全員警戒!
0273キャトラ
垢版 |
2019/01/06(日) 22:27:32.31ID:bESVI86a
>「帆を張れ!全速前進で逃げるぞ!」
>「アイアイサー!!」

やれるだけのことはやった。
後は船員達に託して無事に海峡を抜けることをひたすら祈るだけだ。
そして――永遠に続くかと思われた海峡をついに抜けたのだった。

「やった……助かったんだ! ……シリル?」

>「……すまない、無理をしすぎた。
 魔力回復の為に三日くらい寝るだろうけど、心配はいらないよ」

やはりあの高位魔術は相当負担が大きいものだったようだ。
しかし三日くらいと言われて、まさか本当に昏々と眠り続けるとは思っていなかった。
丸一日経っても目を覚まさないため、様子を見に行ってみると、シリルは悪夢のようなものにうなされていた。

「シリル……おい、起きろ!」

あまりにもひどかったため、揺すり起そうとするが一向に起きない。

「これは……ただの夢じゃない……!? まさか、何者かが精神に干渉している……?」

気が気ではなくシリルが無事に目覚めることを祈り続けたキャトラ。
そして宣言通り三日経ったころ、シリルは目を覚ました。

>「相変わらずシケた町だな。ここはいつもどんよりしてやがる。
 さっさとナントカに帰りたいところだが、海峡にはクラーケンがいやがるしな……」
>「船長、ここからならロンバルディア王国が近いですよ。
 あっちでまた旅客船で一旗上げましょうや」
>「……そうだな。クラーケンが斃されるまでナントカは封鎖されて
 船が出航できる状況じゃなくなっちまうだろうしな……その間商売あがったりも御免だ」

船乗り達の雑談を何気なく聞いていると、何事もなかったかのようにシリルが現れた。
気が気ではなかったことを悟られぬよう軽い調子で茶化す。

「おはようシリル。いくら何でもちょっと寝すぎだろ〜!」

>「うぅん、また船乗りの雑談か。君達も飽きないね。もう着くのかい?」
>「あいよ、冒険者様。もうじき港町アライアンスだ――それまでどうか大人しくしてな!」

そして―― 一行は港街アライアンスに到着した。
ここから陸路でシャンバラを目指すこととなる。

「ありがとう、お世話になったよ」

と、船長や船員達に礼を告げ、別れようとしたときだった。

「おお、これを持っていきな」

船長が何かが入った袋を渡してきた。受け取ると、ずっしりとした重みがある。

「ほんの気持ちだが受け取ってくれ。お前らがいなきゃ俺達全員船ごとお陀仏だったからな」

「あ……ありがとう! 大事に使わせてもらうよ!」

こうして、クラーケン牽制の報酬をゲットし、降り立った港町には防具屋や武器屋など様々な店が並んでいる。
路銀がなくならない程度に装備を整えておくのもいいかもしれない。
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