【剣と魔法】ファンタジークエスト【TRPG】
とりたてて特徴のない剣と魔法のTRPG系スレです。
楽しく仲良く遊びましょう。
名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説: ウンコである以上
どっちも同じと思うの
ウンコ大明神まだ〜♪? >「参ったな……これじゃまだ攻略されてない訳だ!
正解を見つけるまで途方もなく時間がかかるじゃないか」
「この洞窟はここで行き止まりみたいだ。とりあえず入り口まで戻ってみよう」
どうするかは後で考える事にして入り口まで戻ってみる。
入り口は全部で4つあった。
「……残りのどれかが正解ってこと? あてずっぽうでいくと三分の一かあ。……ん?」
よく見るとたった今出てきた洞窟の入り口に、
“スケルトンの洞窟 主、一つ目トロルスケルトン”という文字が浮かび上がっている。
「入る時は無かったはずだけど……何かをやったら浮かび上がってくるのかもしれない!」
というわけで、他の洞窟の入り口を火で焙ったりいろいろやってみる。 >>125
ねえ
自演するのもいいけどさ
僕と郊外でウンコバトルしようよ(*´・ω・)
絶対たのしいよ! あ、俺の友達が中学時代RPGツクール1で即興で作ったRPGのタイトルと同じ名前だ
これで長続きしなかったらあんまりいい名前じゃないって事になるな(?) 一度入り口まで戻ってきた僕たちは宝を探り当てるため、
火で焙ったりして何とか正解が分からないか知恵を搾っていた。
戻る途中、スケルトンの洞窟で人間に戻った人たちは忽然といなくなっていた。
その答えは呪いの正体と併せてダンジョン攻略に見出すしかない。
ちなみにトロルスケルトンはあの洞窟の主でもあるらしく、とどめを刺す必要もないのでそのままにしておいた。
まさか外れを引いた上に頭脳労働までやらされるとは、まったく僕たちはルイージの墓場を見縊っていた。
「うーん……聖水をかけてみるなんてどうかな……?」
懐から聖水を取り出し蓋を開け、ばしゃっと洞窟の壁に浴びせる。効果なし。
そりゃそうだ。聖水とこの洞窟に因果関係はない。何の意味があるんだ。
「……そうだ! チャラララー、シリルの占いコーナーッ!」
こういう時こそ魔法使いが「難題を一刀両断に解くが如く」答えを導き出すものだ。
ハイこれが有名なゴルディアスの結び目ね。ここテストに出るからメモしといて!
古来より強力な力を持つ予言者は権力者達に重用され、為政に欠かせない道具とされてきた。
経験は一切ないが今ここで都合良く占いの才能に目覚めれば正解の洞窟が分かるかもしれない。
僕は入口の中央で静謐さを湛えた神秘的な瞳で三つの洞窟を見据える。
そして神妙に杖を立たせ、神の気まぐれに全て託すことにした。
述懐していて思ったがこの時の僕はまともではない。
「ダラララララ↓……(※ドラムロールの口真似です)……ランッ↑」
その時、そよそよと吹いた風が墓場の入り口に注ぎ込み、運命の杖は羅針盤の針の如く道を示した。
杖はくっきりと左から二番目の洞窟を指している。すると杖が指した洞窟から微かに羽音が聞こえた。
ばさばさ、ばさばさ、羽音は次第にその音を大きくさせ、迂闊な冒険者達を待ち受けるかのようだ。
「……棒倒しじゃダメか……ヤバい気配がするよ」
そういえば死相が出ているという話をすっかり忘れていた。 お前本当オナニみたいな文章書くよな
一人でやってて楽しいの?
チャララーとか、ヤバい気配がするよ
じゃねーよ
なあクソル >>131
何やってんだ僕〜〜。
呪いについては……いずれ分かる……はず。
【☆旅の仲間大募集2】
ファンタジークエストではじめるお手軽冒険譚!
そこの君、一緒にルイージの墓場を探索してみませんか?
待ち受けるボスキャラ『荒涼の四戦士』を倒すだけの簡単な冒険です!
抽選で豪華特典をプレゼント!
聖水……10名様
キャトラの地図……1名様
スーパーなキノコ……1名様
トロルスケルトンのこん棒……1名様 早速倒してきたよ!
じゃあ全部ください!
(ウンコ勇者は聖水浴びて溶けた) ◆ロールプレイング・ノベル入門【1】◆
https://mao.5ch.net/test/read.cgi/mitemite/1537503921/
【VRP=バーチャル・ロールプレイング】
コテハンで架空のバーチャル・キャラクターを作って、ロールプレイをする遊びです。
応用すればTRPGや、個人あるいは共同での小説執筆のようなことも可能です。
RPNとはVRPを基礎とし多人数で小説創作のようなことを行う遊びと演習を兼ねた究極のメソッドです。 >「……そうだ! チャラララー、シリルの占いコーナーッ!」
>「ダラララララ↓……(※ドラムロールの口真似です)……ランッ↑」
運命の杖は二番目の洞窟を示した。
その洞窟からは、いかにもヤバげな羽音が聞こえる。
「マジでここで大丈夫!? アカン羽音が聞こえるけど!」
>「……棒倒しじゃダメか……ヤバい気配がするよ」
と迷走しているところに、手に意味ありげなベルを持った白い法衣をまとった人物が現れた。
「ルイージの呪いはどーした?」
「まあ……いずれ分かるんじゃないですかね。というかどちら様?」
等と言っていると、その人物は意味ありげなベルを渡してきた。
「仕方ないのう、そなたらにそれを授けよう。それはロールプレイングのベルといっての……」
「ロールプレイングのベルだって!?
鳴らせばあらゆる呪いが解けるとかいう噂のお宝じゃないか!」
ちなみにロールプレイングの語源は聖なる祈りが綴られた巻物のことらしいよ。(※作中独自設定)
「こんないい物をありがとう! ……あれ?」
法衣の人物はいつの間にか消えていた。
「2番目の洞窟はヤバそうだから……3番目の洞窟行ってみる?」
当たるも八卦、当たらぬも八卦。
都合よく妖精さんでも出てきていい感じのアイテムで正解の入り口を教えてくれると助かるんだけど……
等と詮無いことを思うのであった。
☆ アイテムデータ
【ロールプレイングのベル】
謎の人物から貰った、あらゆる呪いを解く(という噂の)聖なるベル。
ルイージの墓場攻略に多分役に立つだろう。 僕が全力で迷走しているところに現われたのは法衣をまとった謎の人物だった。
法衣の人物は老人のような口調で、複雑な紋様が施された純金のベルを渡してくれた。
>「ロールプレイングのベルだって!?
>鳴らせばあらゆる呪いが解けるとかいう噂のお宝じゃないか!」
「そんなアイテムがあったとは……! 僕も知らなかった」
>「こんないい物をありがとう! ……あれ?」
高価そうなベルに目を奪われている間に法衣の人物はいつの間にかいなくなった。
幻想の女王や神託の女神のように、ふっ……といなくなってしまったのだ。
「法衣の人物……一体何者なんだろう。とにかくそのベルは大切にしないと!」
謎は深まるばかり……。
どの洞窟に入るか悩んでいると、キャトラから提案が出た。
>「2番目の洞窟はヤバそうだから……3番目の洞窟行ってみる?」
「なるほど、それもそうだね」
三番目の洞窟は今のところ不穏な羽音も気配も感じない。
僕はその洞窟へ踏み入ると、松明で前を照らし探索を再開した。 再開ついでにここで今までの経過を整理してみようと思う。
最初の洞窟で僕の予想は外れた。『荒涼の四戦士』は呪いの一端ではなく勇者の使い魔だったのだ。
たしかに、勇者の死後この洞窟を守り続けて来たであろう彼らが、呪いの正体だとは考えにくい。
呪いは最近発生してる現象だから、ずっと洞窟を守ってる荒涼の四戦士とは関係がないと推測できる。
では一体呪いとは何なのだろうか。
まぁ、呪いに出くわさないのが一番かもしれないんだけど……。
魔王の復活を阻止する人間が人々を困らせている原因を無視して宝だけ狙うのも沽券に関わる。
これは冒険者としての在り様の問題だぞ。ハジマーリの街に活気を取り戻すんだ!
こんな感じで決意を新たに、僕たちは何でもない洞窟を更に進んでいく。
「さっきと違ってどんどん地下へくだっていくね。もしかして当たりかも」
深い階層=財宝に近いなんて我ながらありきたりな発想だ。
キャトラのおかげで釣り天井や針の床といった罠にも慣れてきた。
体力のない僕の足が疲れ始めた頃、僕たちはようやくそれらしい部屋に出くわした。
「ひぃぇ……」
僕は思わず後ずさった。ダンジョンにこんな出会いは求めていない。
真新しい冒険者の亡骸だ。心臓を刃で一突きされた遺体が二つ。
恐らく僕たちのようにパーティーだったのだろう。
「冒険者ギルドに持って帰れば、誰か分かるかもしれないね
家族がいるなら亡くなったかどうか知りたいだろうし……」 そう言ったきり、僕はつい物思いに耽ってしまった。遺体の奇妙さについて考えてしまったのだ。
この洞窟、魔物らしい魔物もいないのに誰に刺されたのだろうか、と。
少なくとも僕たちはここに辿り着くまで一度も魔物に出くわさなかった。
剣を固く握りしめているあたり戦った形跡は確かにあるが、誰と戦ったのだろう。
「ねぇ、これってもしかして……」
前回の反省もあるので、断定はできない。
だが、そういう推測も可能だ。
「自分たちで殺し合ったんじゃないかな……」
そう言うや否や、僕はするりとキャトラが帯びている短剣を引き抜いた。
盗賊顔負けの抜け目ない動きで、僕自身もあっ、と叫んだが、声が出ない。
魔法を扱う者なら、僕の周囲を取り巻く毒々しい瘴気のような魔力を感じただろう。
呪いの仕業か?それとも何か恐ろしいものが僕に憑りついているのか?
僕の身体を僕でない何かが動かしているように、松明を地面に落とす。
そして両手で短剣を握りしめ、キャトラの心臓目掛けて振り下ろした! 幻想の女王じゃなくて樹海の王女だった……ごめん。
余談だけどこのスレの〇日ルールは強制パスになるだけだから
いつでも復帰して大丈夫だよ(連絡を入れるのが一番だけど)。 >「冒険者ギルドに持って帰れば、誰か分かるかもしれないね
家族がいるなら亡くなったかどうか知りたいだろうし……」
そこまで言って言葉を止めるシリル。またもや推理が始まったようだ。
>「ねぇ、これってもしかして……」
>「自分たちで殺し合ったんじゃないかな……」
「え、いやいや、そんなまさか……」
今回に限っては迷推理であってくれ、と願うも、状況を見れば見るほど筋が通ってしまう。
その時、突然シリルがオレの短剣を引き抜いた!
魔法使いのシリルが出来ないであろう盗賊顔負けの動き。明らかに操られている!
心臓目掛けて振り下ろされた刃を何とか避け――
そして、気付けばシリルの杖を奪い取り、脳天目掛けて振り下ろしていた。
避けて!と心の中で叫ぶと、幸いシリルはうまく避けてくれたが……安心してはいられない。
先刻の二つの変死体を見る限り、おそらくこれは二人で殺陣を繰り広げた末に最終的には相打ちになる、という呪いなのだ。
ヤバイぞこれ、どうにかしないとマジでアレじゃん、と思っていると
あっと気付いた時には、足元に転がっていた石に蹴っつまずいて転んでいた。
これシリルにとどめ刺されるパターンじゃん!と一瞬思ったが、凄腕トレジャーハンターの”運の良さ”の数値は半端無かった!
転んだ拍子にさっき貰ったロールプレイングのベルが道具袋から転がり出て、涼やかな音が辺りに鳴り響いた!
【別行動でシーン自体が別なのでエルちゃんはこっち側のレス順には組み込まれてなくて
適宜のタイミングで、という認識だったけど違ったかな?
どちらにせよいつでも復帰お待ちしてます!
もし継続参加は難しくても直接絡まず別行動というスタイルなら不定期の参加もアリだと思う!】 (キャトラ、上手く避けて!)
果たせるかな、心臓目掛けて振り下ろした凶刃は難なく躱された。
勢いのまま両膝を地面につき、顔が勝手に右を向いた。
視界の端に相方を捉えたかと思うと、不意にローブの内へ彼の手が入り込んでくる。
僕はそれを払うこともできず、腰に帯びていた杖を奪い取られてしまう。
すかさず闇の中でキャトラが動き、脳天めがけてこぶのような杖の先端が落ちてきた。
僕の身体は慌てて上体を仰け反らせて避けると、短剣を片手で握り直す。
(しまった……キャトラも操られているんだ)
短剣を避け、杖を凌ぎ、闇の中で死の攻防を何度も繰り返す。
このままでは遺体になっている冒険者の二の舞だ。
だが、身体が動かない、呪文も唱えられないでは如何ともしがたい。
(……あっ!)
攻防の最中、なんとキャトラが大きい石に躓き転んでしまった。
敏捷で抜け目ない本来の彼なら、きっとこんなヘマはしないだろう。
隙ありと見た僕の身体は満身の力を込め、大きく振りかぶり、再び短剣を振り下ろさんとする!
その時、転んだ拍子にロールプレイングのベルが道具袋から零れ落ち、三番目の洞窟のしじまを破った。
なんとも涼やかな音色だろう!小さなベルの音は、緊張と死が交錯していた空間をたちまち安らぎに塗り替えた。
振りかぶっていた手はいつの間にか短剣を力なく地面に落としていた。僕たちを覆っていた妖しい魔力も吹き飛んでいる。
死の攻防は魔法使いらしからぬ運動量だったので、僕は肩で息を切らしながらその場にへたり込んでしまった。 「はぁ……はぁ……危なかった……」
これは間違いなく呪いによるものだ。それが自然的なものか、人為的なものかはわからない。
だが、この呪いに引っ掛かったパーティーは皆お互いに殺し合って命を落としてきたのだろう。
法衣の人物がいなければ、僕たちも遠からずそうなっていただろうと思うと身が震えた。
「さ、さぁ、先を急ごう。ロールプレイングのベルを鳴らしながらね」
もうあんな恐ろしい目に遭うのはごめんだ。
そう言いながら立ち上がり松明を拾おうとすると、僕は先程のキャトラと同じく盛大に転んだ。
といっても、石に躓いたからじゃなかった。誰かが僕の足を引っ張ったんだ。
振り返ると、暗がりの中に犬歯を剥いた冒険者の躯が這い出て、僕の足を掴んでいるではないか。
「うわぁぁっ!!?」
冒険者の躯は瞳孔を開いたまま片手で剣を、片手で僕の細い足を掴み、こちらへにじり寄ってくる。
咄嗟に呪文を唱えようとしたが、もう一人の冒険者はむくりと僕に覆いかぶさり首にその両手を重ねた。
気道を絞めれてしまっては、僕の十八番にして生命線である魔法も唱えられない。
二体の冒険者ゾンビに不意に襲われ、地面で銀の短髪を振り乱しながら、僕は必死に抵抗した。
「う、ぐ、た、助けて……!」
――悲しいかな、力自慢の冒険者だったゾンビと貧弱魔法使いの僕とでじゃあ、力の差は明白だった。
例え手頃な武器を持っていたとしても、取っ組み合いではとてもかなわない。魔法使いの悲しい性だ。
それは同時にシリル戦法の一番目、「遮二無二暴れろ」が如何に無力かという事も証明していたのだった。 >>142
ごめん、僕が適当なのでその辺は設定後も曖昧……。
けどたしかにエルは不定期でも大丈夫だね。
今は前に決めた投下期限の5日+キャトラの提案で進めるね。
(期限は7日にするか未だに迷ってるんだけど、現状は5日に落ち着けておくよ)
とにかく、僕もいつでもエルの復帰をお待ちしています。 俺もお前の自演支援するよ
確かウンコ投下するんだったね? 俺もお前の自演支援するよ
確かウンコ投下するんだったね?
せいいっぱいの ウンコ >「さ、さぁ、先を急ごう。ロールプレイングのベルを鳴らしながらね」
「うん、どこの誰だか知らないけど本当に感謝だよ」
そう言ってロールプレイングのベル片手に歩き始める、とシリルがいきなり転んだ。
>「うわぁぁっ!!?」
一難去ってまた一難。二体の冒険者がゾンビと化して襲い掛かってきた。
組みつかれたら無力な魔法使いを寄ってたかって狙い撃ちにするあたり、知性があると見える。
しかし裏を返せばこっちはガラ空きというわけで……
>「う、ぐ、た、助けて……!」
「させるかぁ!」
シリルの首を絞めているゾンビの両腕の腱を断ち切る。
続いて這いつくばっている体勢の足を掴んでいるゾンビの頭を思いっきり踏みつけ、逃げ出す隙を作る。
シリルが何とか抜け出すと、ロールプレイングのベルで二体のゾンビの脳天をぶっ叩いた。
昏倒するゾンビ達。ロールプレイングのベルは鈍器にもなる優れものなのである。
「さあ今のうちに!」
シリルの手を引いて逃げようとしたときだった。
「ああそうか……私達は呪いにやられてしまったのだな……。
でもキミ達なら……どうか……この洞窟の呪いを……」
ゾンビが何事か呟き、今度こそ息絶えた。
今際の際の一瞬だけ正気に戻ったということだろう。
「呪いを解きに来た人達だったんだね……。ということはこの洞窟が正解なのかも」 冒険者のゾンビに組みつかれて抵抗できない。けど持つべきものは旅の仲間だ。
キャトラが逃げ出す隙を作りだし、僕は慌てて地面から立ち上がり態勢を整える。
ロールプレイングのベルで殴られるとゾンビはがくりと動かなくなった。
>「さあ今のうちに!」
「うん!」
差し伸べられた手をしっかり握る。急いで逃げようとしたときだった。
言葉を紡ぐことのないゾンビの口がかすかに動いた。
>「ああそうか……私達は呪いにやられてしまったのだな……。
>でもキミ達なら……どうか……この洞窟の呪いを……」
>「呪いを解きに来た人達だったんだね……。ということはこの洞窟が正解なのかも」
「うん……呪いの正体は僕たちが代わりにつきとめよう」
キャトラの手を握ったまま聖水を取り出すと、ふたつの亡骸に降りかける。
あの人たちは十分戦った。僕たちが生き残れたのはただ幸運だったからだ。
せめて冒険者たちの魂が浄化され、大いなる太陽の神のもとへ召されますように。
暗闇を松明で照らしながら、しばらく無言で歩き続けた。
ルイージの呪いは絶対に解き明かしてみせる。
でないとあの冒険者たちが報われない。 行き着いたのは"ロードスライムの部屋"と書かれた場所だった。
「開けよう。どうかここが正解でありますように!」
重い鉄扉を開けると、ぴょんぴょんと透明の塊が僕らを迎えてくれた。
楕円っぽい形状にどんぐり眼をくっつけた魔物。スライムだ。
「重要な場面で脱力させないでよ、もうー」
力は皆無だけど人間を積極的に攻撃してくる不可解な魔物だ。
僕は透明の塊に触ろうとすると、足に突進してきた。痛くはない。
スライムは魔物なのに他の種族にほとんど害がない。
暗黒魔法の師匠は魔界が生んだ失敗作と言っていた。
「よくぞ参られた冒険者達よ。我が名はロードスライム」
かん高い声が響くと、ひとりでに部屋の四隅から火が燃え上がる。
明るくなった部屋の中央に人のような透明の塊が立っていた。
肩にマントを羽織り、頭には鉄王冠をかぶった人間型スライムだ。
「ここより先は亡きルイージが眠る最深部になっている。
もてなすことは出来ない。立ち去るがいい」 ロードスライムの背後には入り口と同じような意匠をした鉄扉がある。
ようやく辿り着いた。ここが墓場の奥へと続く正解の洞窟なんだ。
「逃げる気はない!僕たちには墓場の呪いを解く役目がある!」
ロードスライムは珍しいものをみるような目で僕たちを見た。
そして少し考え込んだ様子のあと、会話に応じてくれた。
「それでも通すことはできん。荒涼の四戦士の役割は領地の守護。
邪悪なる者の呪いにどれほど荒らされ変わり果てようともな。
その者達は洞窟の魔物を淘汰した。さっきのスライムは唯一の生き残りだ」
この先に呪いを生み出した元凶がいる。
ロードスライムの発言はそれを示唆していた。
ごくりと息を飲んだ。僕はちょっと緊張していた。
「どうしても先へ通りたければ力を示せ!私が相手になろう!」
「僕たちはここで立ち止まる訳にはいかない。望むところだ!」
僕は松明を地面に置き、杖を右手に持って意気込んだ。
にわかに戦闘特有の緊張が部屋を包み始めた。 >「開けよう。どうかここが正解でありますように!」
>「重要な場面で脱力させないでよ、もうー」
扉を開けたオレ達を出迎えたのは、駆け出し冒険者が街から出て
最初に遭遇するモンスターとして名高いスライムであった。
>「よくぞ参られた冒険者達よ。我が名はロードスライム」
大層な演出と共に、人間型を取ったスライムが現れた。
決して王冠を被った大きいだけのスライムではない。
>「ここより先は亡きルイージが眠る最深部になっている。
もてなすことは出来ない。立ち去るがいい」
>「逃げる気はない!僕たちには墓場の呪いを解く役目がある!」
>「それでも通すことはできん。荒涼の四戦士の役割は領地の守護。
邪悪なる者の呪いにどれほど荒らされ変わり果てようともな。
その者達は洞窟の魔物を淘汰した。さっきのスライムは唯一の生き残りだ」
「ここの守護者なら……どうして邪悪な呪いをそのままにしておくんだ!」
と聞いたものの、なんとなく答えは分かる。
自分達では手に負えないと悟っているからだろう。
>「どうしても先へ通りたければ力を示せ!私が相手になろう!」
>「僕たちはここで立ち止まる訳にはいかない。望むところだ!」
こうして戦いの火蓋は切って落とされた。
非定型のスライムに刃物は最悪の相性だ。だが――
「ふっふっふ、弱点は知っているぞ――ズバリ王冠だな!?
何故ならロードスライムをロードたらしめるのは王冠だからだッ!」
と、合っているのか合っていないのか分からない説を自信満々で言いながら
一気に距離を詰め接近戦に持ち込もうとするキャトラだったが、
ロードスライムは自らの体の一部を分離させ、無数のスライムを作り出した。
一匹一匹は取るに足らないものだが、地味に大変邪魔で本体に近づけない!
「シリル、こいつら焼き払ってくれ!」 そう言う
キャトラの尻からは
大粒の糞がボトボトと垂れていた >「ふっふっふ、弱点は知っているぞ――ズバリ王冠だな!?
>何故ならロードスライムをロードたらしめるのは王冠だからだッ!」
「キャトラってばもう……そんな冗談言ってる場合じゃないよっ」
「ほう、面白い珍説だ。ではこの鉄王冠を奪ったあかつきには君達の力を認めてやるとしよう」
言うや否やロードスライムの身体の一部が分離した。
小さなスライムの群れとなって僕たちに体当たりを敢行してくる。
スライムといっても最初のスライムと違って顔はない。
ジェルの塊がひたすら突っ込んでくる。
攻撃は痛くない。痛くはないけど中々ロードスライムに近付けない。
僕が杖でばしっと払ってもすぐ再生して飛び掛かってくる。
>「シリル、こいつら焼き払ってくれ!」
「任せて!」
といっても、僕は炎魔法は使えない。
暗黒魔法には魔界の黒い炎を召喚するものもあるが、僕は未修得だ。
となるとここはいつも通りショックに頼るしかない。
「これでも食らえ、ショック!」
小さいスライム目掛けて杖から暗黒の雷を迸らせる。
すると雷はスライムに命中するが、スライムが焼け焦げることはなかった。
スライムのゲルボディを素通りして地面や空気に散っていく。
「なんで!?」
「私は水の魔物。電気はこの五体を通るだけで効かないのだ」
ぐぬぅぅぅぅ。なんだその理屈は!
シリル戦法1、2に続きショックまで役に立たない!
ちょっと僕に厳しくないかなぁ。 分離した小さいスライム達がぴょんぴょん跳ねると僕に腕や顔にもちもち激突する。
めんどいので無視していたけど、そのうち何匹か僕のローブの内に潜り込んできた。
恐るべきことにちまいスライム達は僕の脇腹にへばりついてくすぐり攻撃を行ってきた。
「あっははははは……くすぐったい、くすぐったい、やめてくれまえ、ははは!」
ロードスライムは更に身体を分離させると小さいスライム達が僕の周りに集まってくる。
段々とそれはひとつになって水球を形成する。僕の頭はその中に閉じ込められてしまった。
完全に水の中みたいだ。しばらく息はもつだろうけど完全に詰んだ。こんなんばっかだ。
「これで一人脱落だ。その魔法使いは足りないものが多すぎる」
ロードスライムは腕組みをしながら幻滅した様子だ。
なんでかなぁ勝つ自信はあったんだけど……。
頼んますよキャトラのアニキ。僕の仇ぃとってつかぁさい!
「そろそろ全力でいかせてもらおう……!」
透明の右腕がずずず……と伸びたかと思うとそれは細身の剣を為した。
王の癖に騎士っぽい戦闘スタイルとはなんて節操のないスライムだ!
「剣に生き、剣に死ぬ!お手並み拝見だ!」
透明のレイピアでキャトラの心臓目掛けて突きを放ってきた! 何やってんだ僕〜〜!ロードスライムの台詞がおかしいからちょっと訂正(すみません)
電気通ったら効いちゃうよね……。
×「私は水の魔物。電気はこの五体を通るだけで効かないのだ」
〇「私は水の魔物。電気がこのジェルボディを通ることはないのだ」 スゴく臭い山が
迫ってきてるて
どうするシリル
自演で耐えるかい? >「キャトラってばもう……そんな冗談言ってる場合じゃないよっ」
>「ほう、面白い珍説だ。ではこの鉄王冠を奪ったあかつきには君達の力を認めてやるとしよう」
「言ったな!? 取り消しは無しだぜ!?」
結果オーライというか、言ってみるものである――
じゃなくてロードスライムは見事にオレの深遠なる策略に乗っかってきた!
>「任せて!」
>「これでも食らえ、ショック!」
ここにきてシリルってもしやショックしか使えない?という疑惑が発生。魔法使いレベル1的な。
まあ蹴散らせればなんでもいいや、と思ったのだが。
>「なんで!?」
>「私は水の魔物。電気がこのジェルボディを通ることはないのだ」
「もしかしてあれか!?
水系だから電気が弱点と見せかけて”純度100%の水は電気を通さないッ”的な属性能力バトルでありがちなやつ!?」
そうこうしている間にシリルはスライムで団子になっていた。
>「あっははははは……くすぐったい、くすぐったい、やめてくれまえ、ははは!」
>「これで一人脱落だ。その魔法使いは足りないものが多すぎる」
>「そろそろ全力でいかせてもらおう……!」
>「剣に生き、剣に死ぬ!お手並み拝見だ!」
どこかノリノリなロードスライムはレイピアのようなものを右手に生成し、
騎士同士の一騎打ちのような雰囲気となった。
「こっちは騎士じゃなくてトレジャーハンターなんだけどな……仕方ない、受けて立とう!
エンチャント”ファイア”」
糠に釘ならぬジェルに刃物では話にならないので、短剣に炎の魔力を付与する。
とはいってもオレの魔力では牽制程度にしかならない。飽くまでも狙いは王冠。
王冠を奪いさえすればこちらの勝ちというのは大きなアドバンテージだ。
奴は寸分たがわぬ狙いで心臓目掛けて突きを放ってきた。 「おおーっと、滑った!」
わざと地面のスライムの欠片を踏んづけてスライディング。
やべえぞこりゃ! 今の一撃で分かる、かなりの手練れだ!
間髪入れずに追撃が叩き込まれ、目にも止まらぬ打ち合いが始まった。
傍から見れば互角に見えるかもしれないが、次第に押されていくのが分かる。
ついに壁際まで追い詰められた。
「やっば、マジ勘弁! 許して! ――スモークスクリーン!」
追い詰められた風を演出してから使ったのは、煙幕の魔法。
あたりに煙がもくもくと立ち込め何も見えなくなる。
トンズラする時によく使われる、魔法をかじったスカウト系クラスの定番魔法だ。
「貴様……仲間を見捨てて逃げるというのか、見損なった……な!?」
「かかったなァ!!」
煙幕が立ち込めた瞬間に大きくジャンプ。
相手が逃亡したと思って油断しきっていた隙に、天上から魔力のロープでぶら下がり
ターザンロープの要領で王冠を掠め取ったのだ。
煌びやかな王冠を指先で回しながら見せつける。
「最初に言ったろ? 騎士じゃなくてトレジャーハンターだって。
お宝をみすみす諦めるものか。さ、さっさとシリルを解放するんだ」
これだけ見ると一見一人で勝ったようだが、それは違う。
奴はシリルを封じるために肉体のかなりの部分を割いていた。
そのため本体の能力値は本来よりも大幅に下がっており、もし100%の力の奴と戦っていたら即死していただろう。
おそらくロードスライム自身もそれは分かっていて、
そうまでしてでもシリルを先に封じておかないと危険と判断したからそうしたのだろう。
シリル――闇黒魔法を扱う無垢なる少女とは一体……。
いや、今はルイージの呪いの謎を解き明かすのが先だ。
「あ、言っとくけど戦いに負けたから殺せとかそういう意味分かんないの無しな。
ほら、騎士ってやたらそういうノリが好きだから念のため」
こうして、ついに真相へと至る扉が開かれる。 荒涼の四戦士の称号は伊達じゃなかった。
ロードスライムの剣技は凄まじくキャトラが次第に押されていく。
遂に壁際まで追い詰められたとき煙幕の魔法が一帯を包んだ。
無論発動したのは僕じゃなくキャトラだ。
そして煙の中、天井に魔力の綱を繋いで宙を飛び、王冠を見事奪い取った!
>「最初に言ったろ? 騎士じゃなくてトレジャーハンターだって。
>お宝をみすみす諦めるものか。さ、さっさとシリルを解放するんだ」
「……見事だ。君の力を認めよう」
ぱつんっと僕の顔を覆っていた水球が弾けた。
水球だったものはロードスライムの一部として戻っていく。
>「あ、言っとくけど戦いに負けたから殺せとかそういう意味分かんないの無しな。
>ほら、騎士ってやたらそういうノリが好きだから念のため」
「ふ……心配無用だ。私はこの洞窟の領主でもある。おいそれと死ぬ訳にはいかんのでな」
ロードスライムはマントを翻すと僕に手を差し伸べてくれた。
トロルスケルトンの奴よりは気が利くようだね……。僕は感謝しつつすっくと立ちあがった。
一応弁明しとくけどショック以外にも色々な暗黒魔法が使えるんだからね。
バインド(拘束)とかリジェクト(低級衝撃波)とかラセラトリス(中級衝撃波)とか。
衝撃波ばっかだね……。
「俊敏なるケットシー、キャトラよ。この先は気をつけられよ。奴の力は恐らく君の想像を超えているだろう。
この私でさえ為す術なく敗北を喫してしまった。幸い私は再生力が高いので生き延びることが出来たがな……
荒涼の四戦士は永く領地を守るためそれぞれ長命でしぶとい者が選任されているのだ」
トロスケは長命通り越して死んでるけどね。
松明を拾って鉄扉を開けると、先には粘りつくような闇が広がっている。
どうやら下り坂になっているようだ。
「そして……魔法使いよ。死の淵に立っても希望は捨てぬことだ。
未来はいくらでも変えられる……生前勇者が言っていた言葉を贈ろう」
死相が出ているという話をまた思い出す。
実は僕って隙を生じぬ二段構えの死亡フラグが立ってるんだよね……。
とにかくロードスライムの言葉に感謝すると僕たちは先に進むことにした。 ルイージの墓場の最深部は松明で照らしてなお暗い。
まるで闇が生き物のように蠢いて纏わりつくようだった。
この薄気味悪さと不快感には覚えがある。
暗黒魔法を使う時に感じる魔界の気配と似たものだ。
やがて開けた空間に出ると闇の中で何かが動いた。
一つ、二つどころじゃない。夥しい影を感じる。
「そこにいるのは誰なんだ……?」
恐る恐る声を掛けてみると、闇の中から二つの影が前に進み出た。
不思議なことにその影の周囲だけがぼんやりと明るくなる。魔法の類だろうか。
幽鬼のように覚束ない足取りで進み出てきたのはローブを羽織った男。
「名乗るべき名は捨てた。私は何者でもなく……ただこの世に暗黒を齎す存在なり……」
何かの骨でできた杖で地面を突きながらこちらへ近づいてくる。
僕は松明でその男を照らしてみるとフードに隠された顔が露になった。
――肌も肉も削げ落ちた死者。腐り果てた骸骨だ。
「呪術、死霊術、暗黒魔法……外法の全てに手を染め、外道に堕ちた不死の魔術師――。
それが私だ。判る、判るぞ、貴様から漂う闇の魔力を……私と同じ禁忌に手を染めし気配を……」
「リッチだな……!倫理はおろか人間も捨てたアンデッドがどうして勇者の墓にいる!
今まで行方不明になった冒険者達は何処にいるんだ!?」
ゾンビと化した二人の冒険者の光景がフラッシュバックする。
僕は思わず語気を荒げて不死の魔術師(リッチ)に問う。
骸骨は僅かな腐臭を放ちながら超然としていた。
まるで俎上の魚を眺めているかの如くだ。
「終焉が迫っている……遠くない将来世界は瘴気に包まれ、闇の軍勢が解き放たれるであろう……」 リッチといえば高い知性と魔力を残した魔法使いのアンデッドだ。
その多くは暗黒魔法といった外法に手を染めている事が多い。
研究の過程で闇に唆されたか、あるいは限りある生に限界でも感じたか。
いずれにせよ道を踏み外した魔法使いの末路に違いない。
「質問の答えになってない……!早く答えろっ!」
「……私がこの最深部に達して以来、ここまで足を踏み入れたのは貴様らが初めて。
戯れに応じてやるのも一興というもの……私が敢えてここに腰を据えたのは勇者の墓を暴くため。
そして我が秘法の死霊術にて尊厳を踏み躙るためだ。伝説を汚辱で濡らし、そして――」
「やめろ。君の呪詛は聞いてない……!」
「私は不死の魔術師……かつて世界を混乱に陥れた魔王に共感せし者……
全ては不死の軍団を築き、魔王に捧げる準備のため……全ては破壊と混沌のために……」
これがルイージの呪いの正体。
ロードスライムが言っていた邪悪な者がこのリッチなのだろう。
僕とキャトラに呪いをかけ、殺し合わせたのもこいつなんだ。
皮肉なことに奴の邪悪な行いは全てルイージが被っている状態だ。
「魔王に心酔するまで闇に堕ちたのか……!理解に苦しむよ。
そんな姿になってまでやりたかったのが呪詛を撒き散らすことなのか……?」
「この世に呪いあれ。無辜の民に須らく災いを。我が不死の軍団の糧とならんことを。
その瑞々しい肌を裂き、血と肉を墓に撒いてやる。貴様たちも我が下僕の同胞となるがいい……!」
リッチの背後で蠢いていた何かが一斉にこちらへやって来る。
もう考えるまでもなかった。それらは今まで行方不明になっていた冒険者達だ。
奴に呪い殺され、歩く死者と化した魔物。全部で三十といったところか。
「く……リジェクト!」
杖の先端から闇の衝撃波を放つと、前方のゾンビが二人吹き飛んだ。
しかしゾンビは即座に立ち上がってこちらへ近寄って来る。
さっきまで戦ったスケルトンやゾンビと比べてしぶとさが段違いだ。
数の暴力に押され、僕達はアンデッドに包囲されつつあった。 >「俊敏なるケットシー、キャトラよ。この先は気をつけられよ。奴の力は恐らく君の想像を超えているだろう。
この私でさえ為す術なく敗北を喫してしまった。幸い私は再生力が高いので生き延びることが出来たがな……
荒涼の四戦士は永く領地を守るためそれぞれ長命でしぶとい者が選任されているのだ」
>「そして……魔法使いよ。死の淵に立っても希望は捨てぬことだ。
未来はいくらでも変えられる……生前勇者が言っていた言葉を贈ろう」
ロードスライムはオレに警戒を促し、シリルに希望を捨てるなと諭す。
「任せとけって! なんてったってオレ達は神託の勇者だからな!」
そして意気揚々と墓場の最深部に突入! ……したのはいいのだが。
「何これ! 暗っ! 怖っ!」
あまりの異様な雰囲気にビビりまくりであった。
物理的に暗いのは今までと一緒なのだが、なんともいえない気配を感じる。
シリルによると魔界の気配と似たものだそうだ。
普段感じているものと同種の気配であるせいか、シリルの方が少しは落ち着いているようにも見える。
そしてついに何か蠢くものが出現した。
「で、出た―――――ッ!!」
お化け屋敷の定番台詞を叫ぶオレとは対照的に、シリルは冷静に問いかける。
>「そこにいるのは誰なんだ……?」
>「名乗るべき名は捨てた。私は何者でもなく……ただこの世に暗黒を齎す存在なり……」
>「呪術、死霊術、暗黒魔法……外法の全てに手を染め、外道に堕ちた不死の魔術師――。
それが私だ。判る、判るぞ、貴様から漂う闇の魔力を……私と同じ禁忌に手を染めし気配を……」
「一緒にするな! シリルはなあ! みんなを助けるために闇黒魔法を使ってるんだ!
お前みたいに道を踏み外したりしない!」
一方のシリルは特にその点には触れず、相手の正体を言い当てる。
>「リッチだな……!倫理はおろか人間も捨てたアンデッドがどうして勇者の墓にいる!
今まで行方不明になった冒険者達は何処にいるんだ!?」
>「終焉が迫っている……遠くない将来世界は瘴気に包まれ、闇の軍勢が解き放たれるであろう……」
>「質問の答えになってない……!早く答えろっ!」 シリルとリッチの一連の噛み合わない問答から分かったことは、
このリッチが分っかりやすい魔王様万歳系の魔王の手下ということであった。 >「魔王に心酔するまで闇に堕ちたのか……!理解に苦しむよ。
そんな姿になってまでやりたかったのが呪詛を撒き散らすことなのか……?」
>「この世に呪いあれ。無辜の民に須らく災いを。我が不死の軍団の糧とならんことを。
その瑞々しい肌を裂き、血と肉を墓に撒いてやる。貴様たちも我が下僕の同胞となるがいい……!」
不死者と化した冒険者達がわらわらと迫ってくる。
>「く……リジェクト!」
シリルが魔法でゾンビ2匹を吹き飛ばすが、多勢に無勢。あっというまに周囲を包囲された。
これってもしかして絶対絶命!?
「マジでヤバくね!? かっこよさげに言うと死の淵ってやつじゃね!?」
でも! オレは! 諦めない!
死の淵に立っても希望は捨てぬこと!と言われたばかりだからな!
「即席! 三秒クッキングー!」
まずスーパーなキノコを取り出します! 聖水をぶっかけます! はい完成!
試食の時間です!っということで完成したそれをそのまま齧った!
「うおおおおおおおおおお! み・な・ぎ・るうううううう!」
自分でも訳が分からないことにとんでもない身体能力が発揮され、ゾンビ達を次々と倒していく。
ひと段落着いたところで。
「あ、シリルも食べてみる?」
と齧りかけのキノコをシリルに勧めるのであった。 じりじりと追い詰められる僕達。暗がりの中で死者達の包囲網は遂に完成する。
万事休すかと思われたとき、突如キャトラが尋常ではない身体能力を発揮した。
ゾンビ達を次々と薙ぎ倒して制圧していく姿は圧巻だ。
>「あ、シリルも食べてみる?」
「僕に気遣いは無用だ。存分に暴れてくれ!」
風向きがこちらに吹いている今が好機だ。可能な限り形勢を有利にしておきたい。
懐から聖水を取り出して倒れたゾンビに片端から掛けていくと、淡い光と共に事切れていく。
くどいがアンデッド系の魔物は倒してもすぐ復活してしまう。
倒した後は聖水や聖なる魔法で浄化する必要がある。
後衛職の僕が身体能力を底上げするより後処理に徹した方が効率的だ。
ゾンビに襲われた時やロードスライム戦では足を引っ張ったけど、今度は役に立ってみせるぞ。
「リッチ、自慢の手下も壊滅寸前……大人しく降参して浄化されるのが身のためじゃないのか。
もっとも君の行く先は犠牲になった冒険者達とは違うところになる……冥府でおのれの罪を数えて貰うんだな!」
「降伏し這い蹲るのは貴様らの方だ。同じ禁忌に手を染めし者として、私は忠告したはず。
"お前達、この先にはいかないほうがいい気がするぞ"とな……ここまで来たことを後悔するがいい」
「多くの人を毒牙にかけておいて慈悲でもかけたつもりか!ふざけるな!」
リッチの魔力が次第に膨らんでいくのを感じた。
何か魔法攻撃を行う気のようだが、魔法には詠唱がつきものだ。
どうせ使ってくるのは暗黒魔法だ。こちらも暗黒魔法は得手とするところ。
呪文名さえ聞けば対処は難しくない。
「……うわっ!?」
と、高を括っていたが無言で放たれた衝撃波に僕は思わず驚きの声を上げた。
距離が離れていたので咄嗟に身を伏せて躱したが、キャトラは大丈夫だろうか。
松明があるとはいえ暗がりでよく見えない。
衝撃波は後方の壁を大きく穿ち、耳を聾する破壊音が響いた。 「え、詠唱なしで魔法を発動できるのか……高等技術だぞ……」
魔法を唱えるには大なり小なり呪文を詠唱するものだが、
その練度を限りなく高めた者はそれを省略して無言で魔法を放てる。
冷静に考えるとリッチもトロルスケルトンと同じで普通喋れないし無言で魔法を唱えられて当然だ。
今のは恐らく衝撃波を放つ"リジェクト"だろうけど、僕のものより威力は圧倒的に上だ。
「キャトラ……と、とにかく魔法には気をつけるんだ。僕が可能な限り防ぐけど……たぶん……」
リッチの魔力が再び膨張するのを感じた。さっきよりも大きい。
いけない。攻撃範囲の広い魔法で一気に制圧する気だ。
「――ラセラトリス!!」
僕はリジェクトより上位の衝撃波の魔法、ラセラトリスを唱えた。
闇属性の衝撃波をワイドレンジに放つと、猛然とリッチへ迫る。
しかし、放った衝撃波は同種の衝撃波とぶつかった。相手が唱えたのも同じ魔法らしい。
「脆弱な魔力だ……その程度で暗黒魔法を習得したつもりか。
分不相応も度が過ぎると憐れなものよ……羽虫は消え去るがいい!」
僕の放った魔法はリッチの魔法を相殺しきれずに掻き消え、衝撃波が周囲を襲った。
衝撃波を食らった僕の身体が大きく吹き飛ぶ。その余波は壁を抉り、ダンジョンの天井を壊した。
天井からがらがらと巨大な岩片が落ちてくる。さいわい下敷きにはなってない。
衝撃波を食らいはしたが意識はしっかりとある。でも身体がぴくりとも動かない。
周囲もなんだか真っ暗だ……何も見えない。ぼんやりと音は聞こえる。
あのリッチの魔力がまた膨らんでいくのを感じる……今度はなんだ。
鳥肌の立つ気味悪さと悪寒、嫌なにおい……。
恐らくは暗黒魔法のアンフォームモルドを使ったのだろう。
触れたものを分解する黒い黴を大量に散布する厄介な魔法だ。
この暗い場所であれを使うなんて姑息な奴だ。
松明があるとはいえ、黒い黴が闇に同化して視認も困難だろう。
知らず知らずの内に身体が粉微塵なんて最悪のケースも考えられる。
アンフォームモルドは強力な分解効果を持つ魔法だが、弱点もある。
衝撃波や風の魔法で簡単に吹き飛ばせることだ。でもそれを伝える術がない……。
キャトラが相手の魔力の動きを目ざとく感知して、上手く避けてくれることを祈るしかない……。
自分が役立たずなのが、これほどまでに恨めしいと思ったことはなかった。 中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね
T97 >「僕に気遣いは無用だ。存分に暴れてくれ!」
気遣いは無用、という言葉でキノコを食べるのを断るシリルだが、キノコで底上げされるのは身体能力だけとは限らない。
もしや断った真の理由は得体の知れないキノコを食べるのが嫌だからでは!?
という疑惑はこの際置いておく。
>「リッチ、自慢の手下も壊滅寸前……大人しく降参して浄化されるのが身のためじゃないのか。
もっとも君の行く先は犠牲になった冒険者達とは違うところになる……冥府でおのれの罪を数えて貰うんだな!」
>「降伏し這い蹲るのは貴様らの方だ。同じ禁忌に手を染めし者として、私は忠告したはず。
"お前達、この先にはいかないほうがいい気がするぞ"とな……ここまで来たことを後悔するがいい」
>「多くの人を毒牙にかけておいて慈悲でもかけたつもりか!ふざけるな!」
リッチは魔法の発動の準備に入ったようだ。
通常、魔法を発動するにあたっては、呪文が唱えられるはずだが――
>「……うわっ!?」
急に衝撃波が辺りをかけぬける。
>「キャトラ……と、とにかく魔法には気をつけるんだ。僕が可能な限り防ぐけど……たぶん……」
オレはというと天上に張り付いて難を逃れていた。
魔法が発動する気配にとっさに反応できたのは、キノコによるドーピングのお陰だろう。
シリルは相手が使おうとしている魔法を予測し、迎え撃つ作戦に出る。
>「――ラセラトリス!!」
同種の衝撃波がぶつかりあう。
「やるじゃん、シリル!」
しかし――
>「脆弱な魔力だ……その程度で暗黒魔法を習得したつもりか。
分不相応も度が過ぎると憐れなものよ……羽虫は消え去るがいい!」
衝撃波はしばらく拮抗していたかに見えたがシリルの方が押し負け、
シリルは相手が放った衝撃波に吹き飛ばされた。 「シリル……!」
すぐに駆け寄りたいところだが、相手がそんな暇を許さない。
遠目から見る限り、ぴくりとも動かないし声を発する様子もない。
「よくもシリルを……!」
リッチを睨みつける。奴はまた何らかの魔法を使ったようだ。
「言い忘れていたがオレは結構夜目が効くんだ……。何故なら猫だからなぁ!」
黒い黴のようなものが辺りに広がっていくのが分かった。
その効果はよく分からないが、当たるか吸い込むかすれば碌なことになりそうにない。
「エンチャント”エアリアル”――からの回転斬りッ!!」
風を纏わせた剣を円形状に振り切ると、黒い黴は案外あっさりと雲散霧消した。
その時ついでに確信した。キノコの力で魔力も底上げされている――!
ちなみにオレがこの黒い黴の正体を聞き、戦慄するのはこれよりもう少し後のこととなる。
もしもオレが人間だったらこの場でお陀仏だっただろう。
「そりゃあ!」
さっき天上から崩れてきた岩を持ち上げてリッチに投げつけ時間稼ぎをしつつ、倒れているシリルに駆け寄る。
息があることを確認してひとまず胸をなでおろすと、問答無用でキノコを口に突っ込むという暴挙に出た!
「頼む、得体の知れないキノコは嫌かもしれないが食べてくれ。君の力が必要だ――!」 リッチの放った魔法を防ぎ切れず、僕は攻撃を食らってしまった。
枯葉のように吹き飛び、指ひとつ動かせず、何も見えない。
遂にその意識すら薄らいできた。思考が霞み、深淵をただ覗いているかのようだ。
(魔法使い、魔法使いよ――目を覚ますのだ。まだ戦いは終わっていない)
もう寝かせてくれ……ちょっと疲れたよ。死相がどうとかって当たるんだね……。
だいたい、僕なんて誰の役にも立ちやしない。昔からそうだ。
ルイージの墓場の探索にしたってそうじゃないか。
足手纏いになった回数の方がきっと多いよ。
(そう言うな。お主にはまだ可能性が残されている――。
それは魔法使いに等しく与えられたものであり、お主にも出来る事じゃ……
その後は君達次第だが……君達ならあの死者にも勝てる、と私は確信しておる)
この妙な声は余程何かを伝授したいらしい。
可能性、可能性か。何の可能性かは分からないけど、僕も冒険者らしく往生際は悪い。
聞くだけでいいならいくらでも聞くことにした。
(この洞窟にも、僅かだが水が流れておる……
水の声に――精霊達のささやきに耳を傾けてみなさい)
み、水……?水魔法を使えってこと……?出来ない、出来ないよ。
僕は暗黒魔法しか使えないんだ。それに暗黒魔法の使い手が精霊と言葉を交わすだなんてそんな。
精霊にも嫌われてるんじゃないかな……怖いからそういう精霊的な目は閉じてるよ。
(案ずるな。今は私もいる故、精霊の声を聴き取り易くなっているはず……集中するのだ。
そして霊感を働かせよ。水の精が君を心配しているぞ……さぁ、耳を傾けて……)
その時、僕は口の辺りに何か生っぽいものを押し込められた気がした。
味とか分からないけど絶対キノコだよ……生で食ってお腹とか壊さないのかな。
それだけ心配だ……。 僕は深淵と化した視界で仄かに光る粒を見た気がした。
粒は少しずつ集まってゆき、僕の周りを囲んだ。水の精霊達だ。
土しかない環境でこんなにすぐ水の精が集まって来るなんて只事じゃない。
僕に話しかけるこの声は一体何者なんだ?
そう思った矢先、あの法衣の人物の影が映った。
(私は水龍のガルゲイル……さぁ、立ち上がるのじゃ。
この様子では若きエルフの王に笑われてしまうぞ……)
僕は刮目するとよろよろと立ち上がった。
相変わらず暗いが、松明がなくともなんとか周囲を見渡せる。
リッチが立っている場所の奥に、何処かへ続く道があるようだ。
「なんだ……その魔力は……?」
リッチが怪訝そうに呟いた。
キノコでドーピングした影響か、夥しい魔力が僕の身体を覆っている。
それも暗黒魔法の使い手特有の毒々しい色ではなく、青白い輝きを帯びていた。
僕が発する魔力の光で暗闇が照らされ、肉眼でも周囲を視認できる。
「まぁ良い。これで諸共に消えろ……!」
骨の杖を上空に翳すと紫電を迸らせながら巨大な闇の球体が形成されていく。
デッドリースクリームだ。自身の命を削って放つ強力な上位の暗黒魔法。
なるほど、既に死者であるリッチなら代償を踏み倒して行使できる。
「キャトラ、さっき言った通り魔法は僕が防ぐよ。その隙にリッチに攻撃を。
周囲の黒い黴には気をつけてね。触れたもの分解する効果がある」 その時、僕は昔に魔導書で読んだ水魔法を思い出していた。
記憶の中のページを手繰り、詠唱を紡いだ。
「潺に囁く水の精霊達よ。涅槃の蓮華、聖蛇を見よ。
水天の零せし涙、今ひとつの暴威となりて万象を押し潰せ!」
水魔法。四大元素たる水の精霊の力を詠唱によって引き出し、行使する魔法。
周囲の水を操り、あるいは呼び寄せる。今回僕は水場のないここに水を呼び寄せた。
魔法陣が僕の足下に浮かぶと、大量の水が魔法陣より逆巻く。
空中で渦を巻きながら空中で巨大な水球を形成していく。
これは水の上位魔法、敵に水の塊を叩きつける質量攻撃だ。
その魔法はこう命名されている。
「――アクアプレッシャー!!」
リッチの放った暗黒魔法と僕の水魔法が激突する。
衝撃波と同じく押し負けるかに見えたが、ふたつの球体は空中で爆ぜた。
今回は見事、相殺に成功したのだ。といっても、それは僕だけの力じゃない。
キャトラや法衣の人物が僕に力を貸してくれたからこそ出来たことだ。
「……ぐっ。こうなれば我が呪術で……!激痛に悶えて死ぬがいい!」
上位魔法を防がれてリッチは焦ったのか、何かの呪術を行使しようと詠唱を始める。
ただ呪術というのは強力な分詠唱もそれに比例して長いものであり、隙だらけだ。
どちらにせよ、こちらにはロールプレイングのベルがある。今が攻撃のチャンスだ。 キノコのおかげか、なんとかシリルが起き上がってくれた。
>「なんだ……その魔力は……?」
リッチが怪訝そうに驚く。
この時はキノコによるドーピングで魔力が上昇していることを言っているのだと思ったが
それだけでは無かったことはこの後すぐに分かることになった。
>「まぁ良い。これで諸共に消えろ……!」
リッチはなんかでかい闇の球体を作り始めた。
>「キャトラ、さっき言った通り魔法は僕が防ぐよ。その隙にリッチに攻撃を。
周囲の黒い黴には気をつけてね。触れたもの分解する効果がある」
「にゃんだって!? そんなに危険なものだったのか……!」
黒い黴の正体を知り今更ながらに戦慄しているオレを後目に、シリルは呪文を唱え始める。
>「潺に囁く水の精霊達よ。涅槃の蓮華、聖蛇を見よ。
水天の零せし涙、今ひとつの暴威となりて万象を押し潰せ!」
「それは――水の上位魔法……!」
闇黒魔法専門であったはずのシリルが水の、しかも上位魔法を行使している。
気絶している間になんらかの覚醒があったとでもいうのか。
先程リッチが驚いていたのは魔力の上昇自体よりもこちらがメインだったのかもしれない。
>「――アクアプレッシャー!!」
二つの球体がぶつかり合い、空中で爆ぜる。今度こそ相殺に成功したのだ。
「よっしゃあ!」
>「……ぐっ。こうなれば我が呪術で……!激痛に悶えて死ぬがいい!」
確かに激痛に悶えて死ぬことになるのだろう。――呪術が発動すれば。
しかし流石のリッチといえど、呪術ともなれば詠唱無しというわけにはいかない。
つまりその間は隙だらけ。苦し紛れのヤケクソというわけだ。
この好機を逃す手はない。オレは一気に距離を詰め、刃を喉元に突き立てんと剣を突き出す。
魔術師系とはいえ相手も手練れ、後ろに飛び退って避けるが――実は剣の方はフェイント。
「甘いな――本命は……こっちだぁあああああああ!」
もう片方の手で後手に隠し持ったロールプレイングのベルで脳天をぶっ叩いた。
絵面にそぐわない無駄に涼やかな音が響き渡る! リッチは呪術の発動に必要なまじないの詠唱を始めた。
いかに死後魔力を高めたリッチといえど呪いには相応の準備が伴う。
念話でぶつぶつと文言を唱えていたそのとき、キャトラが果敢に距離を詰めた。
喉元を狙った一撃を咄嗟に飛び退いて躱すも、それはフェイントに過ぎなかった。
キャトラは隠し持っていたベルを振りかぶると脳天に一撃見舞う。
涼やかな音を響かせながら、衝撃でリッチの首が千切れ飛び、地面へ転がり落ちる。
「……おのれ……おのれ……ただではおかぬぞ!貴様らを永劫呪ってくれるわ!」
「いいや、年貢の納め時だ。君が誰かを呪い殺す時は永遠に来ない」
懐から取り出した聖水をリッチに浴びせると、彼は苦痛に悶え苦しんだ。
聖水が調味料で出来ているという事は言わないでおいてやろう。
苦痛の上に屈辱まで与える気はない。
「うぼあぁぁ……ま、魔王よ……どうかこの世を闇に包んでくださいますよう……
それが我が唯一の望み……私を排斥した世界など滅べ……ば……い……い……」
冒険者達を苦しめた死者の魔術師が聖水によって昇天していく。
何とも後味の悪い最期(調味料だけに)だったが、これでリッチは倒した。
すなわちルイージの墓場は忌まわしい呪いから解き放たれたのだ。
「やった……やったんだ。これで亡くなった冒険者達も浮かばれる!」
そう言ってはしゃいだのも束の間、体中を異常な疲れが襲った。
ドーピングしていたとはいえ、無理に上級魔法を使ったせいに違いない。
僕の本来のレベルでは中級魔法を扱うのが関の山だ。
慣れない水魔法だった事も相まって反動も大きいのだろう。
「疲れた……キャトラ、信じられない話は……また後でするとして、そこの道を見て。
その先にきっと勇者が使っていたという伝説の武器が眠っているはず……!」
死の淵に立った時、法衣の人物が助けてくれて水魔法を教えてくれたこと。
今すぐ話したい気もしたけど、それは探索しながら話せばいい。
勇者の墓が荒らされていないかも気掛かりだし、あの道を探索しない手はない。 リッチは調味料的聖水でとどめを刺された。敵ながらご愁傷様である。
>「うぼあぁぁ……ま、魔王よ……どうかこの世を闇に包んでくださいますよう……
それが我が唯一の望み……私を排斥した世界など滅べ……ば……い……い……」
>「やった……やったんだ。これで亡くなった冒険者達も浮かばれる!」
リッチの最期の言葉から、もしかしたら生前に世界を恨み闇に堕ちるに値するぐらい不遇なことがあったのかもしれない、
とちらりと思ったが、考えても詮無きことなので考えないことにした。
とにかく、これでルイージの呪いは解決したのだ。
>「疲れた……キャトラ、信じられない話は……また後でするとして、そこの道を見て。
その先にきっと勇者が使っていたという伝説の武器が眠っているはず……!」
ふらふらになったシリルを支えつつ、伝説の武器へと至る道へ進む。
ついに最深部まで辿り着き、その時不思議なことが起こった。
緑の帽子をかぶった青年(?)の幻影が現れる。
「僕の墓に救った不届きものをたおしてくれてありがとう。お礼にこれをあげよう!」
仰々しさは全くなく、ポップなノリで伝説の武器を渡してくる。
それは、一枚のマントだった。定番の杖や剣じゃなく敢えてのマント。
「これは……?」
「なんだっけ、スーパーマントだったかハイパーマントだったかな?
見た目はただのマントかもしれないが使う者次第で無限の可能性を秘めている――
普通に着て防具として使えるのはもちろんのこと、振り回して敵を払ったり、
上手くやれば空を滑空するなんてことも出来るかもしれない」
「ありがとう! とりあえずシリル着とく? そのローブに合いそうだし」 キャトラに支えられながら最深部へ向かうと、その時不思議なことが起こった。
緑の帽子を被ったおっさ……髭を蓄えた青年の幻影が現れ、伝説の武器を渡してくれたのだ。
>「なんだっけ、スーパーマントだったかハイパーマントだったかな?
>見た目はただのマントかもしれないが使う者次第で無限の可能性を秘めている――
>普通に着て防具として使えるのはもちろんのこと、振り回して敵を払ったり、
>上手くやれば空を滑空するなんてことも出来るかもしれない」
自分の所持品なのにふわっとしすぎだぞ緑の帽子男。
ひらりマントだと思ってたら違ってた。スーパーマントでいいみたいだ。
>「ありがとう! とりあえずシリル着とく? そのローブに合いそうだし」
帽子を被った青年の霊が消えるのを見計らってキャトラの肩をがっ!と寄せた。
満身創痍の中、精一杯あくどい笑みを浮かべる。
「このマントは売り払おう。なに、効果つきの魔道具だし商人が節穴でも高値で売れるよ。
魔王の復活を阻止する旅は長いんだ。路銀の方が大事じゃないか。そうは思わないかな……?」
一度やってみたかったんだ、値の張る道具を売り払うの。
元はと言えば僕は一獲千金を狙って伝説のアイテム探しをしていたのだ。
これから困難な旅が待ち受ける事を考えたら少しくらい我儘に振る舞ってもいいよね……?
そして僕達はハジマーリの街へ戻り、事の顛末を緑の帽子亭で皆に伝えた。
ルイージの墓場にリッチという恐ろしいアンデッドが潜んでいたこと。その魔物が呪いの原因だということ。
そして話の最中、僕を助け、ロールプレイングのベルを譲ってくれた人物が誰なのかも判明した。
僕はその人物に感謝しながら、マスターの奢りでキノコパーティに興じた。
全てが解決に導かれた夜――僕はある夢を見た。
暖かい光の中に、"魔王の復活を阻止してほしい"と告げた女神がいる夢だ。
あるいはキャトラも同じ夢を見ているのかも知れないな、とふと思った。
「東へ歩みを進めなさい……古の歴史が眠るシャンバラへと向かうのです」
まだ聞きたい事がある――そう言おうとしたところで僕の目は覚めた。
いつもと変わらない朝、あれを鵜呑みにするのは馬鹿らしいように思えた。
だが何の手掛かりも掴んでいない僕達にとって、それは運命の羅針盤に等しい。
次の目的地は数多の古代遺跡が眠る街。東の都シャンバラだ。
【第二章ルイージの墓場編完!次章へ続く】 ☆アイテムデータ
【スーパーマント】
ルイージの墓場で青年の幻影から受け取ったマント。
曰く、防具として使える他、敵を払ったり滑空する事が出来るとか。 そして、束の間の平和がもたらされた数日後……
「ここが、ハジマーリ……ここに神託の……」
騎乗した一人の女騎士が街の入り口にやってきた。
彼女が、新たな事件の幕を開くことになる…… しかし
それは糞の壁(ようろう、もうしせんせい)
によって
阻まれてしまった! >>192
もしや、参加希望の方かな……!?
参加されるのであれば>>1のテンプレ記入をお願いします!
ところで重大な発表があるんだけど、
中の人の事情により投下の期限を七日に伸ばします。
時間を取れない事が多くなるので投下の頻度も落ちるかも……。
急な発表で申し訳ありませんが、今後ともファンタジークエストをよろしくお願いします。 >「このマントは売り払おう。なに、効果つきの魔道具だし商人が節穴でも高値で売れるよ。
魔王の復活を阻止する旅は長いんだ。路銀の方が大事じゃないか。そうは思わないかな……?」
「ふははははっ! 気が合うな! オレもそう思っていたところだ!
宝石や宝剣ならならともかくこんな見た感じショボいマント役に立たなさそうだし!
役に立つか分からないふわっとしたアイテムより明日の路銀だぜ!」
(あろうことかノリノリでシリルの提案に乗るキャトラ!
トレジャーハンターの矜持など見る影もない!)
こうしてマントを売り払おうとしたオレ達だったが――
「あはは、バカ言っちゃいけないよ、そんなヒラヒラのマントが伝説のお宝なわけないだろう!」
「作り話ならもっとありそうな話を作りな」
「一昨日きやがれ!」
行く店行く店でこんな感じであしらわれた。
(メタな言い方をすると売れない枠のアイテムということだろう)
「やっぱり伝説のアイテムを売ろうなんて考えたオレ達が間違っていたんだ――
持って行こう、必ずいつか役に立つはずだ!」
こんな感じでいい話っぽく(?)まとめてごまかしたのであった。
で、結局路銀の問題は解決せぬまま夜になってマスターの驕りでキノコパーティーに突入。
その中で、いろいろな話が聞けた。
「それにしてもあの人……水龍だったのか! 気絶中に水魔法を教えてくれたんだって!?」
その夜、夢を見た。
>「東へ歩みを進めなさい……古の歴史が眠るシャンバラへと向かうのです」
どうやらシリルも同じ夢を見たようだ。
一人ならともかく二人一緒の夢を見たということは何かの意味がありそうだし、
特に次の行き先も決まっていないので従ってみることにする。
しかしここに大きな問題が立ちはだかる。そう、路銀だ。 「レンタル馬を借りるお金も路線馬車に乗るお金も無いし……まさかの徒歩!?」
しかし、この問題は思わぬ形で解決することになったのであった。
諦めて徒歩でシャンバラに向かおうと街を出ようとしたその時。
騎乗した女騎士が何かを探すようにきょろきょろしている。
>「ここが、ハジマーリ……ここに神託の……」
「誰かを探してるのか? もしかして信託の……勇者とか?」
女騎士は血相を変えて詰め寄ってきた。
「えっ、神託の勇者を知っているのですか!?」
「一応オレ達だけど……」
「なんですって!?」
彼女はシャンバラの神殿に使える神殿騎士で、この町に来れば神託の勇者に会えるとのお告げを受けてやってきたらしい。
まさに渡りに船だ! >192
勝手に少し設定付けちゃったけどもし参加希望の方なら遠慮なく変更してもらって全く構わないので!
継続参加までは難しくてもNPCとして時々来て動かしてもらってもいいし!
>194
期限の変更了解です!
ここは名無し参加もアリの形式でいいんだよね!? もう既成事実的にいくつか拾っちゃってるけど! >196-197
大体それでいいです。
ただ、肝心な女騎士のデザインが固まってなくて……
*19歳の娘がいる17歳
*17歳の母がいる19歳
*某刑事局長の弟君と同じくらいで独身
*去年もおととしも来年も再来年もずーーーっと28歳
*心はいつも15歳
どれがいいですか? >199
全部を合体させて妙齢の独身で自称&外見年齢は28歳で心はいつも15歳でいいと思う!
それで若干17歳にして神殿のトップに立つ聖女に仕えていて19歳の妹分の部下がいる、なんてどうだろう!(適当) >>197
正直名無し参加ありのスレがどんな具合か知らないんだよね……。
スレの進行具合で変えるかもしれないけど、当面はありということでお願いします。
>>199
どれも癖が強い……。
個人的には上から一番、二番、四番目のどれかが良いな。
僕のは完全に好みを言っただけなんだけどね。
全部盛りは無理があるだろうから自分の好みに従うのが一番だと思います。 >201
>名無し参加ありのスレ
大体今すでにやってるような感じのイメージで合ってる
人口密度が高ければほぼ名無しのネタ振りへのリアクションだけで進んでいく形態も出来るんだけど今の人口密度では無理だす
上から1番とか2番を採用するとすれば本人もしくは母親が何十年か石化か封印か何かで時を止められてて年齢が逆転!とか面白そう! とりあえず第三章開始しますね。
よろしくお願いします。
☆これまでのファンタジークエスト☆
第一章:幻想殺しの樹海編
魔法使いのシリルは物欲に駆られ"幻想殺しの樹海"に咲くという幻の花を求めて彷徨っていた。
シリルは偶然マンドレイクの収穫に訪れていたキャトラと出会い、二人は道を共にする事になる。
二人は幻の花を見つけ樹海の出口を探す過程で、女神の神託を受け、魔王の復活を阻止する旅に出ることになるのだった。
第二章:ルイージの墓場編
魔王復活を阻止するため仲間を集めるべくシリルとキャトラはダンジョン"ルイージの墓場"に出会いを求めた。
攻略の拠点ハジマーリの街で情報収集を行った結果、ルイージの墓場では何人もの冒険者が行方を晦ましているという。
探索に向かった二人は原因が魔物と化した魔法使いリッチであると突き止め、見事撃破するのだった。
第三章:現在
墓場の探索を終えた二人は女神が現れる夢を見る。しかし女神はシャンバラの街を目指せと言い残したきり消えてしまう。
時を同じくして、神託の勇者に会えるというお告げに従い一人の神殿騎士がハジマーリの街を訪れるのだった……。 降って湧いた神託を聞いた僕とトレジャーハンターのキャトラは魔王の復活を阻止する旅へ出る事になった。
まずは仲間を集めるためハジマーリの街を訪れ、ルイージの墓場を探索した僕らだったが成果なし。
その過程で手に入れた伝説のアイテム「スーパーマント」を売り捌こうとした僕らだったが相手にされない。
憎しみで人を殺せたなら……!僕は女神の頼み事も忘れて暗黒面に堕ちつつ懐を探る……。
(足りない――ゴールドが……!)
背景で稲妻を奔らせながら倒置表現で絶句した。
G(ゴールド)――世界共通で使われている通貨単位――が圧倒的に!不足していた。
あんな売れないマント風呂敷の代わりにもなりゃしない。旅は金が嵩むんだよ。
「これは由々しき事態だよ。女神の導きはシャンバラの街を指しているというのに!」
なぁ神託の勇者様、あれだけ頑張って商人に邪険にされるなんて酷い話じゃないか。
女神は相変わらずアバウトな事しか言わないしどうなってるんだか。ぷんすか。
オルビア王国が誇る辺境の辺境、魔法使いの里"カルデア"からやって来た僕もシャンバラくらいは知っている。
シャンバラは神殿の街、古の歴史が眠る遺跡の街だ。
つまりあの女神を奉じる場所であり、神託の女神ゆかりの土地だ。
重要なのはここからだ。ハジマーリからシャンバラまで徒歩は遠すぎる。
資金繰りの目途が立たない今、冒険の道は閉ざされた。
>「ここが、ハジマーリ……ここに神託の……」
途方に暮れていたところ、馬に乗った騎士が何かを探しているのが目に入った。
キャトラは耳が良いのか手が早いのか騎士に近付いて話しかけた。
>「誰かを探してるのか? もしかして信託の……勇者とか?」
驚いた事に(騎士の人も驚いていた)騎士はシャンバラの神殿に仕える神殿騎士だった。
女神のお告げを聞いた彼女は神託を聞いた者達を探してここまで来たらしい。
神託の勇者って自称じゃないんだね……。僕は女神の使い走りだと思ってたよ。
「僕はシリル・フラマリオン。女神の神託を偶然聞いてしまった者……。
本来は幻のアイテムを探求する冒険者なのです。神殿騎士様、貴女のお名前は?」 >200-201
全部盛りとか言い出す前に実年齢へのツッコミはっ!?
まあ、外見年齢28歳、精神年齢15歳程度のハーフエルフにします。
シャンバラを統べる当代の聖女は17歳も実年齢19歳の部下も行けないことはない、の、か……
(結局全部盛り)
名前:192(シャンバラの神殿騎士は任意の三桁の数字を名乗るのだ!)
年齢:外見28歳、精神15歳 性別:女
身長:167.2cm 体重:48.5kg
職業:神殿騎士
性格:心優しいが頭に血が上りやすい
能力:二刀流による剣の舞、騎射、魔法は使えない
所持品:カタナ、マンゴーシュ、エルフ産駒(ハイネケン)、重藤弓
容姿の特徴・風貌:金髪縦ロール、グリーンベレー
簡単なキャラ解説:東の旧き聖都シャンバラの神殿に仕えるハーフエルフの女騎士。
神託の女神に仕える聖女より神託を受け、勇者を探す旅に出た。 >196,206
「あ、あなた方が神託の勇者様……こんなにも早く出会えるとは……」
思わず片膝をつく。
たとえ相手が14歳の女の子とケットシーであろうとも、だ。
「わたくしのことは、ただ“192”とお呼びください。それがシャンバラの神殿騎士の習わしなのです」
それは、かつて流浪の果てにシャンバラにたどり着いた彼女の誓い。
過去も涙も捨てたのさ。ただ女は今を生きている、それだけの事なのです。
「わたくしの使命はあなた方をシャンバラまでお連れすること。さあ、参りましょう……え?路銀?」
財布を確かめる。当座の蓄えはある。あとは途中で魔物退治などしながら稼ごう。 【>192さん
よろしくお願いします!
ガチ魔法使い、ちょい魔法も使えるスカウトと来てガチ前衛戦士
なかなかバランスが取れてきたかも!?】
名前:キャトラ
種族:妖精猫ケットシー
年齢:外見17 実年齢は不詳だが妖精系種族のため少なくとも外見よりは上だと思われる
性別:服装や口調的には少年のようだが不詳
(外見上性差の少ない種族であるため。というか自然発生説もありそもそも性別があるのかも不明)
身長:161
体重:48ぐらい
職業:自称トレジャーハンター ・データ的には多少魔法を使えるスカウト系クラス
性格:ノンストップバカ・ノリと勢いで適当に生きている・無駄に明るい
能力:スカウト技能・身軽さを生かした近接戦闘・便利系魔法を少々
所持品:ショートソード・バックラー
容姿の特徴・風貌:猫耳猫尻尾・金髪のセミショート・基本軽装のスカウト系の服装
簡単なキャラ解説:
お宝求めて駆けずり回る自称凄腕トレジャーハンター。
実際にはまだこれといったお宝を見つけたことは無くお使いのような事ばかりをやってその日暮らしをしていたが
ひょんな事からシリルと出会い共に神託を受け、世界を救う冒険が始まった。
神殿騎士は、いきなり凄い偉い人に対するように片膝をついた。
>「あ、あなた方が神託の勇者様……こんなにも早く出会えるとは……」
「立って立って! 神託の勇者っつったってたまたま世界救うように言われちゃっただけだし!
あ、オレはキャトラ、本職は凄腕トレジャーハンターだッ!」
>「僕はシリル・フラマリオン。女神の神託を偶然聞いてしまった者……。
本来は幻のアイテムを探求する冒険者なのです。神殿騎士様、貴女のお名前は?」
>「わたくしのことは、ただ“192”とお呼びください。それがシャンバラの神殿騎士の習わしなのです」
「ふーん、コードネームみたいなものか……なんかよく分からないけどかっこいいな!」
>「わたくしの使命はあなた方をシャンバラまでお連れすること。さあ、参りましょう……え?路銀?」
「そうそう、すげーマントが手に入ったから売っぱらおうと思ったんだけど売れなくて!
192さんは馬で来てるから……レンタル馬2頭借りれそう?」
とりあえずレンタル馬を2頭借りて貰い、行けそうなところまで行くことにする。
3人で地図を見ながら作戦会議。
「まずは……丁度経路上にあるケーユチ村を目指して行くのがいいかな」
こうして新たな仲間を加えたオレ達は、次の舞台へ向けて出発した! 僕が神殿騎士の名を問うと、彼女は恭しく答えてくれた。
神に仕えし者の慇懃な態度を前に、暗黒魔法の使い手たる僕はその光輝に焼かれそうになる。
まるで懺悔でもしてる気分だ。彼女の慇懃な雰囲気に接するとハジマーリの商人への恨み節が雲散霧消した。
>「わたくしのことは、ただ“192”とお呼びください。それがシャンバラの神殿騎士の習わしなのです」
ここからは少し申し訳ない話になる。
なんと神託の勇者達は出会って間もない神殿騎士に堂々と金を借りた。
勇者とは……僕達とは一体……うごごごご。借りた金で乗る馬は心地いいれす。
>「まずは……丁度経路上にあるケーユチ村を目指して行くのがいいかな」
東の聖都シャンバラ目指し、僕達はハジマーリの街を発つ。
慣れない鞍の上で手綱を引きながら二人の後をついていく。
実は馬に乗るの始めてなんだよね。
馬主が大人しい牝馬を選んでくれたのでなんとかなってるよ。
「よしよし、アルキュオネ!お腹は減った?喉は渇いてない?」
休憩中、借りた馬の名前を呼びながら水を差しだす。
するとアルキュオネは水をぴちゃぴちゃと飲み始めた。かわいい。
毛並みも綺麗だしいい子だな。返さなくちゃいけないのが惜しいよ。
まだ日も跨いでいないのに僕は早速愛着がわき始めていた。
「そうそう、キャトラ。冒険者ギルドで依頼を仕入れてきたよ。
最近ケーユチ村の周りにゴブリンの棲家が出来たらしいんだ。
作物にも被害が出ていて大変みたいだよ」
荷物から羊皮紙を一枚取り出して受領した依頼届をキャトラに見せた。
依頼者はケーユチ村。報酬は20万G(※1G=1円)。これで借りたお金は返せるよ。
「というわけでゴブリン退治で冒険の資金を稼ごう。
20万ゴールドは割安だけど馬代を返してもお釣りがくるよ。
192さん、シャンバラへの到着が若干遅れるかもしれないけど大丈夫かな……?」
連中は弱いけど武器を持っていて一般の人には危険な相手だ。
駆け出し冒険者が最も足下を掬われやすい相手でもある。気をつけないと。
僕は気を引き締めなおすとケーユチ村目指して旅を再開した。 名前:シリル・フラマリオン
種族:人間
年齢:14
性別:女
身長:155
体重:46
職業:魔法使い
性格:自信家
能力:暗黒魔法、水魔法
所持品:杖
容姿の特徴・風貌:短い銀髪、灰色のローブ。
簡単なキャラ解説:
幻のアイテムを求める物欲の強い魔法使い。
魔王の配下「闇の軍勢」と戦い死ぬ運命にある。実は薄幸。
女神の神託を聞き、魔王復活を阻止する冒険に出る事になった。 >>210
だぁぁぁ。開始早々やってしまったぁぁぁぁ。
すみません、内容が不自然なのでこのレスは無かった事にしてください。 (>>210の代わりのレスです。重ね重ね申し訳ありません)
僕が神殿騎士の名を問うと、彼女は恭しく答えてくれた。
神に仕えし者の慇懃な態度を前に、暗黒魔法の使い手たる僕はその光輝に焼かれそうになる。
まるで懺悔でもしてる気分だ。彼女の慇懃な雰囲気に接するとハジマーリの商人への恨み節が雲散霧消した。
>「わたくしのことは、ただ“192”とお呼びください。それがシャンバラの神殿騎士の習わしなのです」
ここからは少し申し訳ない話になる。
なんと神託の勇者達は出会って間もない神殿騎士に堂々と金を借りた。
勇者とは……僕達とは一体……うごごごご。借りた金で乗る馬は心地いいれす。
>「まずは……丁度経路上にあるケーユチ村を目指して行くのがいいかな」
東の聖都シャンバラ目指し、僕達はハジマーリの街を発つ。
慣れない鞍の上で手綱を引きながら二人の後をついていく。
実は馬に乗るの始めてなんだよね。
馬主が大人しい牝馬を選んでくれたのでなんとかなってるよ。
アルキュオネって言うんだけど優しくて毛並みの綺麗な子だ。
日も跨いでないのにもう愛着を感じるよ。
馬での旅は便利で快適。つまりらくちん良い感じって具合だ。
アルキュオネが駆けると前から後ろへ景色が裂けていくようだ。
ケーユチ村へ近づいてきた頃、僕達はゆっくり坂道を登っていた。
真横の草むらを掻き分ける音がしたので訝し気に眺めると、唐突に草陰から矢が飛んでくる。
「――!!!??」
あまりに突然だったので、僕は声にならない声を上げる。矢は僕の頭を狙って放たれた。
僕は咄嗟に鐙に体重をかけて立ち乗りになると、鞍にひいていた敷物を頭の前で勢いよく翻した!
その敷物はさる墓場で緑帽子の青年から譲り受けた、曰く伝説のマント――。
マントに込められた魔力が効力を発揮し、矢はひらりと180度回転して射手へとその進行方向を変える。
「ギャッ!!」
短い叫び声を上げながら草陰で倒れる音が聞こえる。
あ、危なかった。寸でのところで助かったけど一歩間違えれば死んでいた。
ありがとう。青年の幻影。まさか本当に役に立つ日が来るとは……。
味方がやられた音に応じて木の上に隠れ潜んでいた魔物達が一斉に飛び掛かって来る。
緑の矮躯に手製の石斧、棍棒、くすねた短剣に小さな弓矢。
駆け出し冒険者が足元を掬われがちな低級魔物、ゴブリンだ。
「二人とも、気をつけるんだ。ゴブリンが襲ってきたぞ!」
馬に乗ったまま杖を取り出して叫んだ。
この日、僕は生まれて始めて馬上での戦いを経験することになるのだ。 >209
【こちらこそよろしくお願いします。ダンジョンアタックならあと3人は欲しいですね】
「いえ、たまたまで神託が下されるはずはありません。
きっと、その技能が必要になると判断されたからです」
思い起こせば自分がシャンバラにたどり着けたのも神託ゆえに。
「そうですね……ひとまずケーユチまで馬を借り、場合によっては乗り換えますが……
その後、港湾都市ナントカまで行くことも視野に入れますか?」
このルートだと大きな街道もあるし手段が選びやすい。
>213
「勇者といえど世俗と切り離すことはできません。この程度はお気になさらず」
あと、ナントカまで行けば金策も何とかなる。
乗馬に慣れないシリルに教えつつ、旅をする。
そして、とある坂道で……
「ゴブリン!」
この間合いでは弓矢には近すぎる。
二刀を引き抜いてハイネケンから飛び降り、パーティーの前衛に立った。
【ちなみにマンゴーシュは盾替わりなのでもっぱらカタナで斬りかかります】 借金して借りた馬でケーユチ村を目指す。
(ところでシリルとキャトラがなんとなくそうなっているように、
正式にパーティーを組むとなんとなく財布が一緒になるのが慣例である。
つまり192は今のところはゲストキャラ扱いということなのかもしれない。
シャンバラに着いたあたりで正式加入イベント来るかも!?)
馬での旅は順調に進み、間もなくケーユチ村に着くという頃だった。
>「――!!!??」
シリルを狙って矢が放たれた。
あまりに突然で、オレは半ば混乱しながら叫ぶしかできなかった。
「シリルー! マントマント!」
シリルは敷物扱いになっていたマントを翻し、矢を跳ね返した!
>「ギャッ!!」
「すげー! あのマントマジだったんだ!
売らなくて……というより売れなくてよかった……!」
味方が一匹やられたのを契機に、ゴブリンが一斉に襲い掛かってくる。
>「二人とも、気をつけるんだ。ゴブリンが襲ってきたぞ!」
馬から飛び降り前衛に立つ192。
シリルは魔法使いなので後衛、ならばオレは中衛というところか。
服の内側からダーツを何本か取り出し――
「エンチャント”エアリアル”」
――腕を一閃。
百発百中、狙ったところに当たる。
どころか軌道も自由自在で味方を避けたりできるので、当然192に当たることはない。
これはオレが超人級のダーツの腕前を持っているとかではなく、風の魔法を付与して軌道操作しているからだ。
ゴブリン一匹につき一本ずつにダーツが命中し、痛みにひるむ。
致命傷には至らないが、シリルが攻撃魔法を撃ち込む隙としては十分だ。
>212
(ん? 別に書き直すほど不自然でもないと思うけど……
でも訂正後の方が躍動感があるので今回はこの流れでいこう!) ゴブリンが襲い掛かってくるや臨戦態勢に入る192さんとキャトラ。
192さんの見慣れない形状の剣に僕は思わず見惚れた。
水気を纏ったかのような綺麗な刀身に特異な紋様の柄。
一風シミターを思わせる片刃の剣だが、どこの国のものだろうか。
>「エンチャント”エアリアル”」
風魔法で軌道を操作しつつダーツを投擲。
ゴブリンの身体に一発ずつ命中し、動きが怯んだ。
「罪と罰は愚者を繋ぐ楔。叫喚せよ。蹂躙せよ。
荒れ狂う無間の烈風を解き放て……ラセラトリスっ!」
僕は暗黒魔法の中級にあたる衝撃波の呪文を唱えた。
杖の先端から闇の波動が放たれ、ダーツの刺さったゴブリン達を吹き飛ばす。
念押しで詠唱しといたから威力も高くなってる。これで六体ほど倒せた。
「よし。後は192さんの援護を!」
残りのゴブリン達がにわかに192さんを囲みつつあった。
そうは問屋が卸さない。縛り付けにしてやる。
拘束魔法を唱えようとした瞬間、僕は思わず舌を噛んだ。
なぜなら乗っていた馬が戦闘の光景に怯えて暴れ始めたからである。
舌をひりつかせながら、どうどうと馬を宥めなくてはいけなくなった。
借りている馬はあくまで移動用であって戦闘には慣れていない。
ゴブリン達は奇怪な声を発しながら192目掛けて突撃した。
ある者は棍棒を持ち頭を狙って大きく跳躍し、ある者は腹を狙い短剣で突いてくる。
数にして総勢五体。矮躯の魔物達が神殿騎士へ迫る。 イエニスタの
ヘァンタジックシュートが入る
しかしそれはウンコ >「罪と罰は愚者を繋ぐ楔。叫喚せよ。蹂躙せよ。
荒れ狂う無間の烈風を解き放て……ラセラトリスっ!」
シリルの放った魔法が、6体のゴブリンをなぎ倒す。
「やるじゃん!」
>「よし。後は192さんの援護を!」
そのまま一気に畳みかける――と思われたが、
シリルは乗っている馬が暴れ始めそれどころではなくなったようだ。
そうしている間に、総勢5体の192さんに突撃する。
いかに192といえど、5体に一斉攻撃されては危ないだろう。
「させるかぁ! ――ルーンロープ!」
魔力の縄を作り、大きく跳躍した一体のゴブリンを捕獲。
それをぶん回す要領で他のゴブリンに激突させる。
数が減ったゴブリンたちを無事に192さんが殲滅し、戦闘は終了した。
そして暫く進むと、ケーユチ村に辿り着いた。
村に着くなり、よくありがちな村の入り口に暇そうに立っている人が親切に教えてくれた。
「ここはケーユチ村だよ!」
「案内ありがとう。さっきゴブリンに襲われちゃって大変だったんだ」
「ああ、それは災難だったな。
最近村の周りにゴブリンの棲家が出来たらしくてね……ほとほと困ってるんだ」
【1週間経ったので投下させてもらったけど192さんは復帰できそうならいつでもどうぞ!】