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日本が異世界に転移した第1(84)章

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0347創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 13:33:56.25ID:NWj3tL1r
「総督府に可能かどうか提案を問い合わせてみますよ。」

赤井達が侯爵家での晩餐を終えて用意された宿舎に帰っていく。
その様子を窓から眺めボルドーはフィリップのグラスにワインを注ぐ。

「洞窟や船の乗員の墓から、異世界の銃や肩掛け式大砲は回収しました。
倉庫に隠しています。
研究するにせよ、使用するにしろ、ほとぼりが冷めるまでは封印ですな。」
「財宝も将来的な投資に使えるから回収は必須だ。
未開拓地はマーマンの王国のそばとは予想外だったが上手く始末して、港の建設費用も新香港に出させた。
今回一番利益を受けたのは我々だな。
アンフォニーには代官を派遣する必要があるな。
人選は近日中に決めよう。」

二人はグラスを傾けて乾杯する。

「今回のマーマンやシーサペントの討伐は父上が家を飛び出して、冒険者をしていた経験が生きましたな。
そういえば父上、総督府の総督閣下に手柄首を送りましたが日本ではああいった風習はとうに廃れてると聞きましたが?」
「こちらを古臭い懐古趣味な田舎者と侮ってくれれば今後もやりやすかろう。
あとはそうだな・・・単なる嫌がらせよ。
ところで、儂もお前に言いたいことがある。
ヒルデガルドの教育についてじゃが・・・」
0348創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 17:19:07.64ID:pzJCpdoQ
そこはこれから官公庁が集中する中央区にある大陸総督府の城での会議で決められることになる。
大陸総督府の城には連日のように大陸各所から貴族や街の代表者が陳情に訪れている。
開発の誘致や日本人とのトラブルの裁定、本領安堵の免許更新、再発行、モンスター退治の自衛隊の出動の要請など多岐に渡る。
総督府の執務室には多数のファンタジー小説やオカルト雑誌が本棚を埋め尽くす。
少しでも現状を理解してもらう為と頭を柔らかくしてもらう為だ。
他には江戸幕府に関する資料が本棚の一角を占めている。

「まさか、首獲りの恩賞を求められるとは思ってなかったな・・・」

大陸に存在する統一国家である王国を傀儡にする男、秋月春種総督府は机の上で頭を抱えている。
新香港の主席との会談などより気が重くなる。
何しろハイラインの代表がこの部屋にこれから生首を持って来るというのだ。
日本の古い文献を漁り、このような文化があったことを知られてしまったのだ。

「今後もこのような事態が続いたらどうしましょうか・・・部屋が生首で溢れるような事態は、ちょっと避けたいのですが・・・ああ、ここがよろしいかと。」

秘書官秋山も困り顔で書類を渡してくる。

「元帝国皇族天領アンフォニーか。
男爵領になるのかな?
ハイライン侯爵領からも比較的近くて、将来的な南北線の駅建設の候補地の一つか。
まあ、申し分ないんじゃないかな?
地下資源に関してはどうだ?」
「亜鉛、石炭、鉛の二号鉱山。銅に関しては三号鉱山の採掘が開始されています。現在は第6鉱山開発地域に指定されてました。
これは総督府直轄ですが、鉱山町に関する利権はアンフォニー領統治機関に委ねられるでしょう。」

数字の割り振りはこの九年で見つり、日本の管理下になった鉱山の順番である。
ちなみにアンフォニーが現在の調査対象としては最新のものだ。
南北線は南部地域に植民都市百済との間に引く列車の一つだ。
首一つの恩賞として、ノディオン元公爵に与える隠居地としては惜しくも無い。
ハイライン侯爵の申請によれは、将来的にこの新京に留学中の妹に分家として相続させる予定となっている。
公安からの報告では、その妹君は親日で進歩的らしい。

「進歩的という言葉に多少違和感を覚えるが承認しよう。
安堵状の手配は?」
「完成しております。」
「よろしい。
現地の総督府支所と駐屯の第六分遣隊への連絡はよろしくな。
しかし、・・・やっぱり生首は勘弁してくれないかな・・・」
0349創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 19:15:14.95ID:NWj3tL1r
「ああ、お気になさらずに。
彼等は代官所のスタッフと研修生です。」
「研修生?」
「お気になさらずに。」

強調されて困惑する浅井にヒルデガルドは、クスクスと笑っている。

「ヒルダでいいですわ。
楽になさって下さい。」
「・・・、お言葉に甘えて・・・」

ようやく座席に座ることが出来た。
ギスギスした車両はたいへん居心地が悪かった。
ヒルダとの会話には支障はなかった。
大貴族ほど日本語を学んでいるし、ヒルダは新京に留学出来るくらい優秀なようだ。
日本人の方が大陸での言語を学ぶのに苦労している。
大陸の統治に旧帝国の貴族や役人を排除出来なかった一因でもある。
会話は進み、旅程について話が進むとヒルダが浅井の赴任地について訪ねてくる。

「浅井様が赴任するマディノというと、旧マディノ子爵領の?」
「はい、『横浜広域魔法爆撃』で改易となったマディノ子爵の領地だった場所です。」
「確か金、銀、銅の鉱山があったかしら?
日本の鉱物資源の欠乏は切実のようね。」
「まあ、そんなところです。」

今度は浅井が斉藤達を睨み付けるが、斉藤は意にも介さない。

「姫様は新京の留学生ですからその辺りは授業で習いますよ。
我々が教えるまでなくね。
二尉殿は我々が大陸技術流出法に違反してないか心配のようですが、あの法律は木材を使った技術は規制してないし、農業に関しては奨励しているくらいですからご心配なく。」

確かに木材技術は日本としては眼中に無いし、食料生産の向上は望むところなのだ。

「単刀直入に言おう。
大陸総督府は今回の代官就任に注目している。
君たちが危険かそうじゃないかだ。
だいたい君らは一体何者なのだ?」

斉藤は自信満々に答える。
たぶん、用意してあったような発言だった。

「ただの就活中の大学生ですよ。」

そのどや顔をおもいっきり殴りたかった。
睨み付ける浅井をヒルダが話掛けてきて会話が変えさせられる。

「浅井様、前々から疑問だったのだけど、日本は、鉱山を発見したり開発するの早すぎないかしら?
どうやって見つけてるの?
あと、やたらと金、銀、銅に片寄ってるのは何故なのかしら?」

答えていいものなのか浅井は迷ってしまっていた。
金、銀、銅、それに加えて鉄が多いのは最初から帝国や貴族たちが発掘したのを接収したからだ。
それ以外、石炭、亜鉛、鉛、ボーキサイト、ダイヤモンド、ニッケル、カリウム、リチウムに関しては、帝国が設立した学術都市での調査記録に基づいている。
他にも色々発見はしているのだが転移当時の鉱山労働者の数が少なかった日本には手がつけられなかったのだ。
現在は鉱山労働者を教育、経験を積ませて順次鉱山に割り振っているのが現状だ。
同時に冒険者を雇って、未開発鉱山からサンプルを持ち帰らせたりしている。

「私は自衛官なので専門外のことはわかりませんな。」

お茶を濁すことにした。
0350創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 19:19:16.57ID:NWj3tL1r
「自分も聞いていいですか?」

斉藤からの質問である。
身構えるが内容はたいした質問でじゃなかった。

「なんで分遣隊の隊員さん達は東側の装備なんですか?」


転移6年目
南樺太道
大泊郡深海村(旧サハリン州ダーチェ)

日本に返還された南樺太は食料増産を目論む日本政府によって、幾つもの開拓団が組織された。
中心となるのは転移前に廃業した農家や漁師達で、第三次産業に従事していた者達である。
もちろん一朝一夕に畑は出来ないし、漁船だって足りてるわけじゃない。
それでも南樺太に駐屯する陸上自衛隊第2師団の隊員達が手伝いに来ることもあって、ようやく東京への出荷が出来る規模の生産が可能となっていた。
そんなある日、人口四千人ほどの豊原市に隣接する深海村に三千人ほどの第二師団の隊員が展開していた。
動員されているのは豊原の第2普通科連隊、第2後方支援連隊。
住民達は普段は地引き網や開墾を手伝ってくれる隊員達が怖い顔をしてある倉庫のような建物を包囲しているのに驚愕していた。
隊員の中には村の娘と恋人関係或いは結婚した者も多いが誰もが家族にも理由を明かさない。
不安がる住民を代表して、村長と駐在が村の代表数人を引き連れ自衛隊の仮設司令部を訪れていた。
「お騒がせして申し訳ない。」

開口一番、第二師団団長穴山友信三等陸将が頭を下げてくる。
三等陸将は自衛隊の大幅な増員を受けて、予てより計画されていた将・将補の2階級制度を4階級制度にした為に出来た階級だ。
だが呼びにくいので部下達すらいまだに陸将としか呼称してくれない。

「穴山団長、我々としても朝っぱら自衛隊さんが大挙して押し掛けてきた困惑している。
村の中じゃ、ここにもモンスターが出たのかと怖がっている者も多い。
機密とかに縛られてるあんたらの事情も理解は出来るが、村の者を安心させる発表を欲している。
そこらを説明してくれないだろうか?」

村長は元は大阪の住民だ。
樺太開拓は様々な地方から集まった住民がいるため、極力標準語で喋っている。
北海道ではいまだに存在する『隣の町の人間が何を喋ってるか判らない』問題を南樺太にまで持ち込まない為だ。
故郷への郷愁を断ち切る為でもある。

「そうですな・・・、皆さんはニコラス・ケイジが昔主演した武器商人の映画を観たことがありますか?」

唐突に始まる映画鑑賞会。
ソ連崩壊によりウクライナで将軍の叔父を訪れた主人公は、叔父が管理する基地で膨大に保管されている兵器を売却して富を築いていく。

「この保管基地がですね。
実はこの村にもあったんです。」

名称は第230保管基地。
2008年、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領が承認した「ロシア連邦軍の将来の姿」に従い、ロシアの各師団は一度全て旅団に改編された。
さらにもう一歩進めて、第230保管基地は平時には基幹部隊と装備のみ維持し、戦時に完全編成の第88独立自動車化狙撃旅団として展開する予備旅団の基地となった。
そして日本転移に巻き込まれ、日本政府の支援の代償に千島列島と南樺太を返還すると、各地に点在していたロシア軍北サハリンに集まり統合された。

「ところがですな問題はもう1つありまして、樺太にも千島にもロシア製、いや東側の武器弾薬を造る工場なんてこの世界にはどこにも無いわけです。
さらに新設の部隊を創設出来るほど、ロシア人人口に余裕があるわけでもない。
ならばいっそ我々に造らせてしまえと。
この保管基地はそのサンプルとして譲渡されたわけです。
これには同系統の装備をしている新香港の意向でもあるわけですな。
まあ、我々も武器弾薬の消耗は悩みの種でしたからな。」
0351創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 19:23:53.18ID:NWj3tL1r
「自分も聞いていいですか?」

斉藤からの質問である。
身構えるが内容はたいした質問でじゃなかった。

「なんで分遣隊の隊員さん達は東側の装備なんですか?」


転移6年目
南樺太道
大泊郡深海村(旧サハリン州ダーチェ)

日本に返還された南樺太は食料増産を目論む日本政府によって、幾つもの開拓団が組織された。
中心となるのは転移前に廃業した農家や漁師達で、第三次産業に従事していた者達である。
もちろん一朝一夕に畑は出来ないし、漁船だって足りてるわけじゃない。
それでも南樺太に駐屯する陸上自衛隊第2師団の隊員達が手伝いに来ることもあって、ようやく東京への出荷が出来る規模の生産が可能となっていた。
そんなある日、人口四千人ほどの豊原市に隣接する深海村に三千人ほどの第二師団の隊員が展開していた。
動員されているのは豊原の第2普通科連隊、第2後方支援連隊。
住民達は普段は地引き網や開墾を手伝ってくれる隊員達が怖い顔をしてある倉庫のような建物を包囲しているのに驚愕していた。
隊員の中には村の娘と恋人関係或いは結婚した者も多いが誰もが家族にも理由を明かさない。
不安がる住民を代表して、村長と駐在が村の代表数人を引き連れ自衛隊の仮設司令部を訪れていた。
「お騒がせして申し訳ない。」

開口一番、第二師団団長穴山友信三等陸将が頭を下げてくる。
三等陸将は自衛隊の大幅な増員を受けて、予てより計画されていた将・将補の2階級制度を4階級制度にした為に出来た階級だ。
だが呼びにくいので部下達すらいまだに陸将としか呼称してくれない。

「穴山団長、我々としても朝っぱら自衛隊さんが大挙して押し掛けてきた困惑している。
村の中じゃ、ここにもモンスターが出たのかと怖がっている者も多い。
機密とかに縛られてるあんたらの事情も理解は出来るが、村の者を安心させる発表を欲している。
そこらを説明してくれないだろうか?」

村長は元は大阪の住民だ。
樺太開拓は様々な地方から集まった住民がいるため、極力標準語で喋っている。
北海道ではいまだに存在する『隣の町の人間が何を喋ってるか判らない』問題を南樺太にまで持ち込まない為だ。
故郷への郷愁を断ち切る為でもある。

「そうですな・・・、皆さんはニコラス・ケイジが昔主演した武器商人の映画を観たことがありますか?」

唐突に始まる映画鑑賞会。
ソ連崩壊によりウクライナで将軍の叔父を訪れた主人公は、叔父が管理する基地で膨大に保管されている兵器を売却して富を築いていく。

「この保管基地がですね。
実はこの村にもあったんです。」

名称は第230保管基地。
2008年、ドミートリー・メドヴェージェフ大統領が承認した「ロシア連邦軍の将来の姿」に従い、ロシアの各師団は一度全て旅団に改編された。
さらにもう一歩進めて、第230保管基地は平時には基幹部隊と装備のみ維持し、戦時に完全編成の第88独立自動車化狙撃旅団として展開する予備旅団の基地となった。
そして日本転移に巻き込まれ、日本政府の支援の代償に千島列島と南樺太を返還すると、各地に点在していたロシア軍北サハリンに集まり統合された。

「ところがですな問題はもう1つありまして、樺太にも千島にもロシア製、いや東側の武器弾薬を造る工場なんてこの世界にはどこにも無いわけです。
さらに新設の部隊を創設出来るほど、ロシア人人口に余裕があるわけでもない。
ならばいっそ我々に造らせてしまえと。
この保管基地はそのサンプルとして譲渡されたわけです。
これには同系統の装備をしている新香港の意向でもあるわけですな。
まあ、我々も武器弾薬の消耗は悩みの種でしたからな。」

安全が確認され、保管基地の地下倉庫の扉が開けられる。
そこには無数のロシア製兵器がところ狭しと鎮座している。
その規模には同行した村長や駐在はともかく穴山団長や隊員達も驚いている。
0352創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 19:30:23.95ID:NWj3tL1r
「とても旅団用の数じゃないな。」

自分達第二師団はずっとこんな連中と対時していたのだと冷や汗が流れた。


転移から九年目
大陸中央部
東西線『よさこい3号』

「その後、山口の第17普通科連隊にロシア製兵器の転換訓練が行われた。
大陸派遣を命令させて6っの分遣隊が同連隊から組織されて今に至るわけだ。」

あれだけ敵意を向けていた斉藤やスタッフ達が、浅井の話を聞き入っていた。
久し振りの本国の話も聞けたからというのもあるだろう。
次はこちらが彼等に聞く番と考えていると、全員の携帯から一斉に着信音が鳴り響く。
浅井や斉藤達だけでなく、車両に乗り合わせた日本人乗客からもだ。

「安否メールか。」

浅井が携帯から確認したのは、新京から出た日本人に配布された総督府からの安否確認を行うサイトに繋がるメールだ。
災害やテロが発生した時に一斉に送信される。
もとは警備会社が顧客サービスに使用していたシステムだ。
そして、内容も書き込まれている。

「テロ警戒か・・・君らは護身用の武器を持ってきたか?」


大陸中央部
旧皇室領現子爵領マッキリー

町の片隅で一頭のケンタウルスが弓を構えていた。
傍らには商人エリクソンから派遣された男が目標を指差して頷いている。

「あいつを殺ったら俺は一族に復帰できるとトルイの叔父貴は行ってたんだな?」

ケンタウルスはトルイの甥でセルロイ。
素行の悪さから一族を追放され、マッキリーの鉱山で荷車を運ぶ日雇い人夫をして過ごしていたが、ようやくチャンスが巡ってきた。
セルロイは一撃離脱の騎射の名手である。
ビルの路地から飛び出し、一騎駆けで目標の陸上自衛隊第四分遣隊隊長朝倉三等陸佐が軽機動車の後部座席に乗り込もうとするところを騎射する。

「往生せいや!!」

肩を射抜かれた朝倉三佐の部下達が離脱しようとするセルロイを銃撃で蜂の巣に変える。

「隊長!?」
「大丈夫だ。
肩に刺さったがこれくらいなら・・・」

だが朝倉三佐は青い顔をして口から泡を吹いて倒れる。

「これは・・・毒か!?
救急車だ、救急車を呼べ!!」

慌てる隊員達を尻目に見届け役の男は人ゴミの雑踏に紛れ込んで消えた。


大陸中央部
旧天領トーヴェ第5分遣隊分屯地
第5分遣隊は各分屯地の中でも最小で僅かに50名しかいない。
分屯地も小規模であるがT−72戦車、2К22ツングースカ自走式対空砲、2S19ムスタ-S 152mm自走榴弾砲などが1つずつ格納庫に鎮座している。
0416創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 22:44:33.38ID:NWj3tL1r
専門の隊員も足りないので普通科から人数を借りて教育して運用したりしている。
現在、この分屯地には10名の隊員しかいない。
鉱山、居住区の警備、市街地の巡回、訓練中などで4個分隊が留守にしているのだ。

「先生、よろしくお願いします。」
「オウ、マカセロ」

分屯地の営門で警衛任務にあたっていた加藤二等陸士は信じられない者が街中からこちらに歩いてくるのを目撃する。
身長210センチほど、角の生えた兜からはタテガミを靡かせている。
肩鎧には一角馬の頭部を模した金属で造形されている。
鎧は蹄を模したデザインで全身鎧だ。
ベルトも蹄の形の紋章のバックルとなっている。
腰鎧も装着して、分厚い金属の盾と巨大なバスターソード。
それなりに強そうな騎士に見える。
問題は顔が馬だったことだ。

「獣人?」

疑問を口にしたところで、巨大な剣で脇から凪ぎ払われた。
馬の騎士は剣を見て不思議そうな顔をしている。
剣で斬り裂くつもりがケプラー繊維の防弾・防刃ベストがそれを防いだのだ。
馬の騎士は大して力は込めていなかったのだが、衝撃で五メートルは飛ばされた加藤はあばら骨が折れて気を失っている。
防刃ベストも穴だらけでもはや使い物にならない。
飛ばされていく加藤を警衛所から目撃した宮崎陸士長は即座に分屯地に鳴り響く警報のボタンを押す。
これで現在分屯地にいない部隊にも連絡がいく。
同時に受付業務にあたっていた前川一等陸曹が机の引き出しから、拳銃を取り出して受付ブースから発砲する。
馬の騎士よろめきこそしたが、盾や鎧に拳銃弾の穴を開けただけだ。
宮崎陸士長も壁に立て掛けているAK−74を窓口から発砲する。

「馬鹿な効いてない?」

今は亡き帝国の重装甲騎士団のプレートメイルすら穴だらけに出来る拳銃で相手にダメージを与えられていない。
だが警報を聞いて隊舎から出てきた隊員が撃ったAK−74も加わると、衝撃で仰け反っていたが盾を構えられると途端に防がれてしまう。
そして、その太い足からの瞬発力で銃口を定めさせない。
さらに三人の隊員が建物から出て来る。
一人が銃撃しながら牽制し、二人が加藤を担架に積んで建物に引き返しながら後退する。
警衛所から出てきた前川一等陸曹は今更ながら相手を誰何する。

「貴様、何者だ!!
何が目的だ!!」
「ダダノルロウノダバデアル。
ベツニオヌシラニウラミハナイガ、イッショクヒトバンノオンギ二アズカリオヌシラノクビヲショモウスル。」

人間の言葉に慣れて無いのだろう。
聞き取りずらいがなんとなく意味は理解できた。
問題は相手の目的だ。
現在、戦えるのは残っているのは普通科の5名。
残りは通信科1名、医官2名、飛行科1名、負傷者1名。
重火器のほとんどが持ち出されて分屯地には残っていない。
だが簡単に首を獲らせるわけにはいかない。
新たに駆けつけた二人も警衛所の反対側から銃撃を浴びせる。
隊舎の1人も玄関から発砲して、3方向から防御を崩そうと攻め立てる。
だが自衛隊側の誤算は彼らの考える鎧甲冑はあくまで人間の騎士のものを想定していたことだ。
馬の騎士の鎧兜盾一式の重量は、人間の騎士の物の四倍の重量があり、その分装甲も分厚くなっている。
それらを着こなしてなお軽いフットワークでこちらに接近してくる。
遮蔽物も利用してきてこちらとの戦い方も理解している。
そして獣人特有の痛覚の鈍さが多少のダメージを無視した戦いを繰り広げてくる。
銃撃を避けながら、隊舎の普通科隊員が壁に追い詰められていく。
隊員の持っていたAK−74が剣で破壊される。
0417創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 22:49:27.89ID:NWj3tL1r
「マズヒトリメ。」
「舐めるな。」

普通科隊員の首が斬り落とされる。
だが斬り落とされる寸前、防弾・防刃ベストのアタッチメントに装着していた手榴弾のピンを引き抜いていた。

「サテツギハ・・・グホッ!?」

手榴弾の爆発に巻き込まれて、馬の騎士は爆風で転がってくる。
前川も宮崎もマカロフ PMの銃弾を浴びせまくる。
だが数発命中しただけで飛び退かれて

「ハッハハサスガニイマノハシヌカトオモッタゾ。
ケッコウイタカッタナ。」

血塗れの馬の騎士が起き上がってくる。
鎧がかなり破壊されたのを見て剣を鞘に納める。

「マアヒトリハヤッタシギリハハタシタ。」

天に向かって嘶くと、営門のゲートを潜って巨大な白馬が現れる。
この白馬も馬用の鎧が着せられている。
その白馬に颯爽と馬の騎士が乗り込む。
宮崎は後ろから銃弾を撃ち込もうとしたが、前川に止められる。
このまま戦えば死人が増えるだけである。

「アアマダナノッテナカッタナ。ワガナハアウグストス。
ソシテワガアイサイセレーヌデアル。
ソレデハサラバダイカイノヘイシタチ。!!」

去っていく白馬の馬の騎士に隊員達は戦う気力も無くして立ち尽くして見送るしかなかった。

「な、なんだっだんだアイツは・・・」



大陸中央部
東西線沿線

70騎のケンタウルスが線路に石や斬り倒した木を積んでバリケードを築いている。
エリクソンの金の力と日本への反発を利用して、各領地の貴族達にケンタウルスの通過を黙認させた。
そして、『よさこい3号』は間もなくここを通過して停車を余儀無くされる。
トルイはここに一族の戦士全てをここに集めた。

「男は首を斬れ、女は全部連れ帰る。
マッキリーとトーヴェの日本軍は動けん。この機を逃すな!!」
『『『おおぉぉ!!!』』』


機関車の汽笛の音が聞こえる。
バリケードに気がついてブレーキを架けている。

「車両の両側から矢を射る。
連中はまだ何が起きてるか知らないはずだ。
女は殺すなよ、突撃!!」

半数に別れたケンタウルスは弓に矢をつがえながら駆け出した。
0418創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 22:58:04.31ID:NWj3tL1r
『よさこい3号』車内
浅井は斉藤達が持ち込んだ物を並べて呆れ返っていた。
鉄道公安官の二人もこれが何のか理解できなかったらしい。

「てっきりおもちゃかと・・・」

女性公安官の建川は困惑している。
実際の物を見て浅井が思ったのは模型か夏休みの自由研究である。
「間違いなく使えるんだな?」
「使い捨てだがね。
まあ、4発が限界だが。」

斉藤は自信満々だ。
サークルのメンバーが組み立ている。
手順の確認を取っていると、前方車両から公安主任の久田がやってくる。

「来ましたよ、ケンタウルスがいっぱい。

マッキリーとトーヴェのテロと同様です。」
「安否メール通りだな。」

列車の乗員、乗客達はすでにテロの情報は伝わっていた。
各々が身を守る準備を始めている。
ヒルダが護身用のレイピアを抜いて宣言する。

「こちらも歓迎の準備は整いましてよ。」
「よし、戦える奴等を配置に付けろ。」


王都ソフィア
第17普通科連隊戦闘団司令部
王都にて各分遣隊を派遣する基幹部隊である。
すでに半数もの隊員を分遣隊に派遣したが、戦力の半分は集中してこのソフィアに駐屯して、近隣の盗賊や帝国残党、モンスター退治を一手に引き受けている部隊でもある。
その司令部に次々と訃報が届けられる。
所用で留守にしていた連隊長碓井一等陸佐は幕僚達からの報告の数々にこめかみに青筋を立てている。

「マッキリーで朝倉三佐が殉職されたとの報告がありました。」
「トーヴェで大林陸曹長の戦死に続き、加藤二等陸士が内臓破裂で死亡したとの報告がありました。」

机の上に被害などの報告書が山と積まれている。

「どこもかしこも馬、馬か・・・鉄砲玉に出入り、列車強盗とは恐れ入る。
最近、馬にケンカ売られるような事態はあったか?」
「南部で装甲列車がケンタウルスの略奪集団を攻撃した事例が二週間ほど前にありました。
その報復ではないかと思います。」
「その件は総督府が役人送って、シルベール伯爵と交渉中だろ?
交渉中に手を出して来やがったのか?
あと鉄道公安本部から要請の件はどうなった。」
「マッキリーの連中が朝倉三佐の敵討ちだと、Mi−8に普通科1個小隊が乗り込み現地に向かっています。」

自分の留守中でも対応していた幕僚達に満足する。

「だかこの出入りの馬頭はなんだ?
こんなのが今までノーマークだったのか?」
「その件に付きましては、王国外務省が総督府に取り次いで欲しいとの連絡がありました。
あちらが何やら情報を持っているようです。」
0419創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 23:06:34.33ID:NWj3tL1r
大陸東部
東西線沿線

東西線、『よさこい3号』先頭車両は当然機関車である。
運転台には機関士と助手が交代要員も含めて四名が乗り込んでいた。
昔は三名で運用していたが失業者対策と労災の問題がそれを許さなかった。
機関士大沢は最初にバリケードを発見すると列車にブレーキを掛けて停車し、助手を車掌に知らせに行かせた。

「まずいな司令車から銃を持って来い。」

二両目の炭水車の梯子を登って、三両目の司令車に向かう。
司令車には列車乗務員の待機室や通信室、食料や水の保管庫、武器庫、発電機が置かれている。
話を聞いた車掌の岡島は

「鉄道公安本部に電話だ。」

もう1人の車掌平田が受話器を手に取る。

「こちら『よさこい3号』、大規模な襲撃を受ける可能性有り、線路上に石を積まれ進路を防がれた、救援を求む。
襲撃者はケンタウルスが数十頭・・・頭だよな?
数十人か・・・数十匹かな?」
「どっちだっていいさ。」

平田は武器庫から猟銃を取り出している。
何れも散弾銃でシトリ525だ。

「四丁を機関車に2丁は我々が使う。
森山くん達の2丁と後尾車両の建川さん、久田さんの分。」

銃を渡された車内販売員の女性、森山と川田にも銃が渡される。

「あの・・・やはり私達も?」
「訓練は受けてるだろ?
お客様と自分の身の安全は守るんだ。」

国鉄職員としての公務員の義務でもある。
機関車の運転台では機関助手達が炭水車の中や運転台の壁に身を潜めて手渡された銃に弾込めをしている。

「おやっさん・・・」
「情けない声を出すな。
一時間もしないうちに鉄道公安本部や自衛隊から援軍が来る。
それまで持ちこたえればいいだけだ。
開通当初は山賊だの帝国残党だのゴブリンだのが襲ってきて蹴散らしてやったもんだ。」

大沢の言葉に機関助手達が勇気付けられる。

「おやっさん来ました!!
左右に別れて、弓をこちらに向けてる!!」
「奴等は密集している。
狙いなんぞいらんから、通過する音が聞こえたら銃口だけ隙間から出して、とにかく外にぶっぱなせ!!
体を壁から出すなよ?」

大量の蹄の音が接近を告げている。
左右に2丁ずつ散弾銃。
ケンタウルスの集団が最初の一頭が炭水車に到達すると一斉に発砲された。
至近距離から互いに効果範囲がカバーしあうように放たれたため、ケンタウルス四頭が転倒、3頭が死亡し、1頭が後続のケンタウルス達に踏まれ死亡した。
攻撃されたことを悟ったケンタウルス達は一斉に上半身を後ろに捻り、前進しながら騎射を敢行してくる。

「おやっさあ〜ん!?」
「馬鹿、頭あげんじゃねえ。」
0420創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 23:15:26.13ID:NWj3tL1r
立ち上がろうとした助手の服をつかみ引きずり倒す。
トルイは倒された戦士達が起き上がらないことを憂慮を覚える。
だがまずは前進を優先させた。

「四騎ずつ残して前進だ!!」


司令車両では平田と岡島が銃眼から銃を射っていた。
司令車両はモンスターや武装勢力の襲撃に備えて窓はなく、壁は鉄板を貼り付けてある。
外の状況は外部カメラで確認できる。
狙いは外部カメラから確かめたので、機関車で不意打ちを受けたトルイ達は少し距離を取っていたが、右側で3頭、左側で2頭が撃ち殺される。

「あの穴に向けて一斉射!!」

ケンタウルスは何れも弓の名人である。
鉄張りしてある司令車両とはいえ、一ヶ所に20本もの矢がほぼ同時にに命中すれば、2、3本は壁に刺さって車掌達を驚かす。
平田は驚いて銃から手を離して後ろに転がっている。

「だ、大丈夫か。」
「ああ、当たってはいない・・・すまない。」

だがケンタウルス達の武器は弓矢だけではない。

「やれ。」

左右から3頭ずつが紐に球形の物体をくくりつけて投擲してくる。
車両に当たると同時に爆発する。
「爆弾!?」
「馬鹿な、そんな物が使えるのか?」

たが司令車両には穴は空いてない。
外側に幾つか燃えてる部分はあるが極僅かな損害だ。
だが銃眼や矢で開けられた穴から幾つかの物体が侵入し、壁や床を破壊した。
迂闊に壁際に近付けなくなった。

「外部カメラも破壊されたか・・・」

傷ついた穴にはケンタウルス達の馬力とスピードで威力を増した破城槌が両側から叩きつけら穴が拡大されていく。


最後尾車両
望遠鏡で前方車両の戦闘を覗き見てた斉藤は眉を潜める。

「まずいですな。」
「そうですの?」

望遠鏡をヒルダに渡すとサークルのメンバーを集める。

「諸君、あれはてつはうだ。」
「てつはう?」

ヒルダも混じって聞いてくる。

「「てつはう」は鉄や陶器の容器に火薬を詰め込み、導火線で火をつけて相手に投げつける擲弾です。
巨大な爆裂音をたてて爆発するので、人馬がその音に驚いたと記録されていますがそれほどの破壊力はありません。」
「何が不味いの?」
「ネタが被りました。」

斉藤とヒルダのまわりでもサークルのメンバーが座席を車両から取り外して即席の砲座を作っていた。
座席を2つ重ね合わせて紐で縛る。
0421創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 23:32:06.92ID:NWj3tL1r
四号車
浅井二尉は車両内部を姿勢を低くして移動し、司令車まで後一両のところまで来ていた。
持っている武器はマカロフ拳銃一丁と途中で取り外した座席。
四号車の屋根に連結部からよじ登る。
司令車は先程から爆発にさらされていたが意外に破損は少ない。
だが破城槌やてつはうが交互に叩きつけられて、穴が空くのは時間の問題だろう。
屋根の上から先ず右側のケンタウルスを始末することに決めた。
ケンタウルスの腰に紐で括りつけられたてつはうに、9mmマカロフ弾を三発命中させてあたり爆発させる。
そのまま破城槌を持っていた四頭に銃口を向けて発砲する。
重量物を持っていたケンタウルス達は回避行動も取れずに3頭を射殺、1頭が地面に倒れ伏す。
予備のマガジンに交換して、てつはうを持っていた2頭も始末した。

「残り6発・・・」

浅井の存在に気がついた左側のケンタウルス達が矢やてつはうを放ってくるが、屋根まで持ち込んだ座席を盾に移動し、司令車両の屋根に飛び付く。
だが幾つかのてつはうに仕込まれていた土器の破片が、座席の隙間から背中や足に当たる。

「痛・・・」

幸い刺さりはしなかったようだ。
叫びたいのを我慢して、手近にいた破城槌を持ったケンタウルス2頭に残りの弾丸を全部叩き込んで射殺する。
半分は八つ当たりだ。
槍に持ち変えたケンタウルスが屋根の上で転がる浅井を狙うが、屋根の扉を開いた平田が散弾銃で槍持ちを射殺し、岡島が浅井を車内に引き摺って中に入れる。

「状況は?」

ようやく一息付けるが休む暇はない。

「機関車両に8頭にこちらは四頭、最後尾車両に25頭までは確認できてます。」

司令車両には各車両からの内線から報告が来ている。

「こちらは悪い知らせだ。拳銃の弾がもう無い。」

岡島と平田は顔を見合せて苦笑する。

「ご安心をこちらも弾切れです。
でも預かってたものがありましたよね?」
「ああ、そいつを取り来た。」


機関車両
「おやっさん弾切れです。」
「俺も・・・」
「自分もです・・・」

機関助手達は猟銃を置いて、スコップを持つ。

「馬鹿野郎、撃ちすぎだ。」

だが大沢ももう二発しか持ち合わせていない。
まだ、この機関車両を攻撃してくるケンタウルスは7頭もいる。
だが司令車両の屋根から再び飛び出した浅井の手には、出発前に鉄道公安官に渡して預けていたAK−74が握られていた。
司令車から炭水車に移り、一頭ずつ撃ち殺していく。

「大丈夫ですか?」
「若ぇのを一人、死なせちまったよ・・・」

大沢が矢が数本刺さった機関助手の一人を床に寝かせて、他の二人は泣きはらした目をしている。
0422創る名無しに見る名無し
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2018/06/13(水) 23:43:00.92ID:NWj3tL1r
「おまえさん自衛隊だな、援軍かい?」
「自衛隊だが乗客です。」
「そうか、まだ続くんだな。」

車掌の二人もこちらに合流してくる。

「お前ら全員、シャベルとツルハシを持て!!」
「おやっさん、さすがにそれは無茶だ!!」

平田が大沢を止めにはいる。
銃弾が残っているのは浅井だけだ。
ケンタウルスにシャベルやツルハシで勝てるとは思えなかった。

「勘違いするな、俺達の相手はあれだ!!」

大沢が指を指した方向は線路の先、石や木が積まれたバリケードがそこにあった。

「機関車さえ動けば馬なんざ引き離せる。
援軍の到着なんか待ってられねぇ!!」

途端にシャベルを持って駆け出し、助手達もそれに続く。

「浅井さん、我々も行きます。
乗客を前の車両に誘導して下さい。」
「わかりました。
なるべく連中から見えないバリケードの向こう側から崩してください。
ああ、そうだ。
救援の連絡から何分たちました?」
「25分。」

車掌達と浅井も反対方向に走り出す。


ケンタウルス達は途中の車両のドアや窓を一つ一つ破壊していたが中には侵入出来ないでいた。

「狭ぇ・・・」

外部の扉を破壊して内部に入ろうとしたが、下半身の馬の巨体では壁に体を擦りながら進むことになる。
天井も低く、弓を縦にも横にも構えられない。
客室に通じる内部扉はさらに小さく、大柄なケンタウルスでは嵌まって動けなくなる者が続出した。
窓ガラスも強化ガラスで、頑丈でどうにか割っても破片で手を切る者がやはり続出した。
全ての車両がブラインドを締めていた為にどの車両に乗客がいるのかを確かめる必要があったのだ。
最後尾車両に一度は到達したが、もう一度分散して探索に当たっている。

「くそ、ラチが明かないな。」

族長トルイは予想以上の被害と時間のかかりように苛立ちを見せていた。

「族長!!
一番後ろの扉からなら直接中に入れるし、破城槌が使えるぞ。」
「でかした!!
さっさと破壊して、矢を叩き込め!!」

乗客達は最後尾にある10号車両を放棄して、九号車両に移動していた。
ケンタウルス達に見付からないように身を屈めてである。
10号車両の後尾連結部入り口は外部に剥き出しになっていたので破城槌で破壊された。
ケンタウルス達は麻痺毒を塗った矢を入り口から放つ。
応戦が無いのを確認すると、客室に侵入に成功する。
だがボックスシート、4人掛けの向かい合わせ式の座席の通路はやはりケンタウルス達には狭かった。
それでも一頭ずつ中に入り、通路を進むが、反対側のドアが開いた瞬間、鉄道公安官の建川と久田が猟銃で撃ってきた。逃げ場の無い先頭のケンタウルスは体に穴を開けて絶命し、後続のケンタウルスの進路を塞ぐ。
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