酷評をお願いします。

『自殺癖』
10月にもなると風の深みが増してきて、屋上でサンドウィッチのびらびらを剥がす瞬間も幾らか寂しい時間に感じられてしまう。
こんな時にも日本人は風流だとかいって寒さに心を寄せてしまうもので、その日は制服の袖を北西へ伸ばして、散らされ始めた金木犀と共に地元の上空を吹かれていた。
こうなると秋晴れの空を泳ぐのがあまりに心地よくて、ついバリケードの向こう側まで転んでいってしまう。風に抱かれる爽快感を一度覚えてしまうと、髪とプリーツをばたばた靡かせているだけでは気が済まなくなるのだ。