批評お願いします

「サンタさんは、ドラえもんとおんなじで、この世界にはおらんよ」
 幼稚園で作ったダンボールと色紙でできたサンタクロースのマスコットを得意げに見せてから、「ママ、サンタさんってどこに住んでるの?」と嬉々として疑問をぶつけると、早々に幼い我が子の幻想を打ち砕いていた母。
 冷徹なまでにリアリストな母に対して、私は逆に「頭の中に羽の生えたピンクのゾウを飼っている」と評されていた少女だったので、「ママはいじわるだからそんなことを言うんだ」とすねて、サンタクロースは実在すると信じてやまなかった。
 しかし、クリスマスイブに「セーラームーンのステッキをください」というお願いを折り紙に書き、(サンタさんが叶えてくれる!)と寝室の窓枠にその手紙を挟んでわくわくしながら就寝、翌朝になってプレゼントが枕元に……なんてことはなくがっかりした思い出が実際にある。それでも、小学校低学年くらいまでは「サンタさんはいるんだ!」と信じていた。
 大人になった今では、「サンタクロースは存在しなくとも概念はある」と考えている。同時に、「誰でもサンタクロースになれる」とも。
 クリスマスを過ぎてから父の休日に、家族総出で玩具量販店に行き、私は弟二人と一緒に、それぞれおもちゃを買い与えてもらった。
 私の実家は貧乏ではなかったものの、決して裕福でもなく、両親も共働き状態だった。
 そんな経済下で子どもひとりにひとつずつおもちゃを買い与え、骨つき鶏もも肉やお寿司などのごちそうをこしらえ、さらにはケーキまで用意してくれたあの時の両親は、間違いなくサンタクロースだった。
「ママ、セーラームーンのステッキほしい」
「ダメ、どうせすぐ新しいのをほしがるから。他のにしんさい」
 ただ、子ども向けのおもちゃの販売戦略の罠にかからせまいとし、与えてくれるプレゼントを限定してくるサンタクロースではあったが……。