>>502
読みやすい。が、それゆえに飛ばして読んでしまえる。読み解く楽しみもそれゆえに薄い。
単語の誤用や誤字、「〜たり〜たり」のような文法がうまく使えていなかったりするので信頼感にも欠ける。
誰もが一度、あるいは一生真剣に考えるような問題を軽い文体でさらっと描いている。そのこと自体は良いと思う。
別に三島由紀夫みたいに重々しく豪華絢爛にする必要はないし、島田雅彦やクンデラみたいにペダンティックにする必要もない。
青臭いのはいいことだ。ただ、この薄さと軽さが悪いほうに作用しているのは問題があるように思った。
また、こういうことを考える主人公がリアルで女性に不自由しておらず、それでいて快楽に溺れるのみというように放埒なわけでもないというのは不自然なようにも思った。
全体的に凡人が書いた軽薄人生小説という感じ。
「純文学」と銘打つ場合、真面目に形を真似する人と、人生をテーマにすればそうなると思い込んでる人と、ギャグのつもりで銘打っている人がいるが、
この作品は典型的な2番目であろう。