夜通し東京を歩き回って神田まで来た。
明け方の東京の街は閑散としていて空は白々明るくて、それはまるで世界が終わった後のように見えた。
ゴミ置場のネットが何者かに剥ぎ取られてゴミが剥き出しになっていて、そこに鴉がたむろしていた。
人通りは少なかった。腕時計を見ると午前四時を過ぎていた。始発が動き出すまであとどれくらいの時間があるだろう。
身体中が高い湿度のために汗でベトベトしていた。少し狭い所を歩くと蜘蛛の巣に引っかかって、まるで何者かに嫌がらせを受けているような気持ちになった。
しばらく歩いていると疎らに人が駅の方に向かって歩いていくのがわかった。Tシャツにまとわりつくような湿気が不快で一人でこんなところを歩いている自分が惨めに思えてきた。
時間が経過してだいぶ人が街に増えてきた。私は街ゆく人の目を気にして逃げるように通りかかった漫画喫茶に入っていった。