連投申し訳ありません。
ショートをひとつ。


何も無い部屋の中央で、鳴滝慎吾と尾関梨香はトランプを手に向かい合って椅子に座っていた。
彼等を隔てる白い丸テーブルの上には、いくつものカードが無造作に投げ出されている。
「私の勝ちですね」
尾関梨香は、扇状に拡げたカード越しに鳴滝を見てニヤリと笑った。
「ほう、凄い自信だな」
「私には切り札がありますから」
そう言った彼女は、鳴滝へと向けて一枚のカードをかざした。
「ジョーカー……最強のカード」
「ポーカーならともかく、ババ抜きでジョーカー片手にドヤ顔する奴を始めて見たよ」
「大前提として、二人でババ抜きする方がナンセンスなんですよ!」
「お前が他のゲーム知らないから、仕方なく付き合ってやったのに逆ギレするな」
「神経衰弱なら知ってます」
「お前とここでトランプやってる事自体が俺にとっての神経衰弱なんだよ」