酷評お願いします。

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夏を唄う風が肌に汗を呼ぶ。
炎天下に茹だるオフィス街の街角を一組の男女が歩いていた。
男はワイシャツの袖口を捲った左腕にスーツの上着をかけ、ひたすら右手のハンカチで汗を拭っている。
女の方と言えば、白いティシャツに黒いベストと黒のタイトなジーンズに黒いキャップ。黒で揃えた服装であったが、こちらは至って涼し気な顔で歩いている。
だが、ひとつ角を曲がったところで眩しさのあまり女はその目を細めた。
向かいにあるビル群の中でも一際高いビルのガラスに陽光が反射し、彼女の視界を奪ったのだ。
「ただでさえ暑いのに……」
「タクシー代ケチるからだよ」
スーツ姿の男の疾きに、女がすかさず不満を重ねた。
「ケチってるわけじゃない。歩いて十分ちょっとの距離でタクシーなんか使え……」
そこで男は言葉を切った。
「何してるんだろう?あの子」
そう言った男の視線を辿り、女がビルからの反射光を右手で遮りながら眼を凝らすと、そこにはビルの壁に向かって立つ少女の姿があった。