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あなたの文章真面目に酷評します Part107
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0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2018/02/16(金) 02:13:26.81ID:OxQxjXnd
あなたが書いた小説・論説文・エッセイなどの文章を真面目に読み、感想・添削・批評を行います。

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前スレ
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文量が多い場合は外部リンクを貼ったほうがいいかもしれません。
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0428319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:39:44.13ID:aOgRfD/S
もうちょっと時間を置くつもりでしたが、次を投げます。4レス。
字下げしてないところは改行してないところです。

 コーヒーメーカーのものは煮詰まっているし、自分のためにドリップするのは面倒だった鈴子は、インスタントコーヒーの瓶を取るとマグカップにふたさじ入れた。ミネラルウォーターをちょっとだけ入れるとスプーンでかき混ぜる。こうしてからお湯を注ぐとインスタントコーヒーでも美味しくなるのだ。テレビで得た知識であった。
「鈴ちゃあん」
 すぐ後ろから気持ち悪い猫なで声が響いた。
「うわあ!」
 鈴子は驚いて、危うくカップを落としそうになった。
 あわてて振り返ると、思った通りの人物がそこにいた。
 編集者の朱川《あけがわ》である。明るい茶色のジャケットに真っ赤なシャツ、ビンテージ風ジーンズである。本物のビンテージではないのは桃ちゃんが見破ったのだが、本人はそれを気づいていない。文芸部は服装規定はあまり厳しくないのだが、それでも朱川はちょっと浮いていた。あまり似合ってもいない。
 鈴子などはそういう服装を好まないのだが、花代はそんなことはなく、むしろかばうようなところがある。鈴子はその理由を知っていた。
 あまりに花代の机が散らかっていたときに勝手に片付けたことがあり、その際に写真を見つけてしまったのだ。朱川より派手な格好の花代が写っていた。今では地味なスーツばかりの花代だが、若いころは自身も朱川のような格好をしていたのだ。かばうのもさもありなん、である。
 笑っているところを花代に見つかってこっぴどく怒られてからは、もう鈴子は他人のデスク触ることはない。散らかっているようでいて、本人にはなにがどこにあるかわかっているのだ。だいたい勝手に触るなど失礼である。
「びっくりさせないでください」
 鈴子は胸元に手を当てて言った。
「おや、俺に会ってどきどきしてるね?」
「驚いたからです」
 鈴子が朱川を好まないのは服装や、にやにやした軽薄な態度や、それほど親しくはないのに鈴ちゃんなどと呼ばれることのほかにも理由があった。
「またまたぁ。それはそうと、例のこと、考えてくれないかなぁ?」
 例のこと――。
 鈴子が担当する作家のうち、ふたりがメガヒットを飛ばした。黒豹出版創業以来となる大当たりだ。鈴子がすごいことをしたというわけでもない。構想段階で感想を聞かれたり草稿を見せられたときに思ったことを言っただけだ、と鈴子は思っていた。
自分ごときが言ったことが参考になるのかと考えていたくらいである。すべては作家の力なのだと思うから得意になることもなかった。それでも人気のある作家の担当というのは嬉しかったし、一緒に仕事をするのが楽しかった。だが――。
 朱川は、その担当を変わって欲しいと言ってくるのだ。そもそも担当というのは編集者同士でやりとりできるものではない。業務命令によってなされるものだ。作家が、編集者と馬が合わず変更を申し出てくる場合はあっても、編集者から変わりたいなどと言うことはできない。作家と出版社との関係にもひびが入りかねないことだ。
「何度言わせるんですか。無理なことは無理です」
 鈴子はカップに電気ポットからお湯を注ぎながら言った。かき混ぜ具合は足らなかったが、一刻も早くここから去りたいと思っていた。
「そこをなんとかさぁ。怒らせるようなことをしたりとか」
 朱川がにやにやと笑いながら言った言葉に、鈴子はかっとなった。作家と編集者の、いや、人間同士の関係をなんだと思っているのか。コーヒーをぶっかけてやろうかと思ったが、かろうじて残っていた冷静な部分がそれをとめた。
コーヒーは熱い。朱川は火傷するだろう。そうなると悪いのは鈴子だ。傷害罪だ。さらに火傷の痕が顔に残ったりしたらいくら賠償金を取られるかわからない。バッグのローンもまだ残っているのだ。落ち着いてきた。
「馬鹿! なことを言わないでください」
 鈴子は朱川の顔を見ずに給湯室を出た。
0429319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:41:58.15ID:aOgRfD/S
 鈴子がぷりぷりしながら自分のデスクへ戻っていくと、花代のデスクの前に真っ黒なスーツを着た男が立っていた。後ろ姿なので誰かはわからない。
 お葬式の帰りかな?
 デスクのそばまで来ると、桃ちゃんが今度はナッツをぽりぽりやりながら原稿を読んでいるのに気がついた。けしからん! あとで分けてもらおう。
 鈴子がデスクにコーヒーカップを置くと、黒いスーツの男が振り向いた。
「やあ、鈴木さん」
 さわやかに微笑むイケメンは欅道《けやきみち》先生であった。この人こそ、鈴子の担当するメガヒット作家のひとりだ。ハーレムハードボイルド小説が老若男女問わずうけて、シリーズ第三巻が先月刊行されたばかりだった。四巻は現在執筆中で締め切りはまだ先だ。ほかに依頼しているものはないはずだった。
 ちなみにもうひとりは、超メガヒットを放ったロム猫先生である。本屋大賞でふっちぎりの一位、ミステリーではないのにこのミス大賞で二位だったのだ。苦情は皆無だという。ロム猫先生はすごい人だったのである。バディものを知らなかったが。
「こんにちは、欅道先生。今日はどういった用向きですか?」
 鈴子は近づきながら言った。
「夕方からコンサートがあってね」
 欅道先生はさわやかに白い歯を見せると某アイドルグループの名前を言った。
「夕方からなんだけど、ここから近いのでみなさんのお顔を拝見にあがりました」
「あー、そうですか」
 鈴子の顔から表情が消える。
 いい歳してなんであんな小娘どもを鼻の下伸ばして見にいくかなー。
 もちろん本人にそんなことは言わないが、顔には出た。
「どなたといらっしゃるんですか? まさかおひとりじゃ――」
 鈴子が言葉を途中で切ったのは、花代の体がびくっと震えたからだ。デスクの向こうに立っていた花代は、鈴子と目が合うとロボットのようにぎこちなく視線を外した。
「まさか花代さん――」
「いや、どうしてもって言うから――」
「花代さんがですよ」
 にこにこしながら欅道先生が言った。
「どういうことですか! 来年は惑わなくなる歳でしょう!」
「ら、来年じゃない、再来年だ!」
「あんまり変わりませんよ! いいおっさんが若い女の子のお尻を追い回すような真似して恥ずかしくないんですか!」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいけど鈴木には関係ないだろ!」
「まぁそうですけどね!」
「いいじゃないですか。花代さんだってたまには若い娘《こ》で目の保養をしないと」
「若くなくてすみませんねぇ!」
 うっかり欅道に鈴子が噛みついたとき――。
「うぐあっ!」
 背後であがった尋常ではないその響きに驚いて振り返った。オフィス中央付近の島のデスクから、明るい茶色のジャケットを着た人物がフロアに崩れ落ちるところだった。朱川だ。
 オフィスにいた十人ほどは動かなかった。なにが起きているかわからず動けなかった。
 朱川は背中を丸めてフロアに横たわり、弱々しくうめいていた。その口からは、緑色の泡が吹きこぼれていたが――うめき声がやんだ。
「あ、朱川さん……?」
 近くにいた若い男性編集者がおそるおそる朱川に近づいていく。
「触らないで!」
 鋭い声が響きわたった。欅道先生だ。若い編集者はびくっと体を震わせると動きを止めた。
「もう……死んでいます……」
 厳しい顔で欅道先生が言った。
 オフィスの空気が凍りついた。
「うう……」
 朱川がか細い声を上げた。
「生きてるじゃないですか!」
 鈴子が叫ぶ。
「あ、あれ……?」
 欅道先生は首をかしげた。
「救急車!」
「AEDはどこだ!」
「そんなの置いてましたっけ?」
「一一九番って何番!?」
 黒豹出版文芸部は怒号とお約束に満ちあふれた。
0430319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:44:35.88ID:aOgRfD/S
 救急隊員が朱川を担架で運び出すのを、鈴子は花代のデスクのそばで見送っていた。朱川は意識はないものの、息はあるようだ。
「朱川さん、大丈夫ですかね?」
 鈴子は誰にともなく言った。答える声はなかった。
「口から吐いていたものを見たか?」
 ややあって花代が言った。さすがにいくぶん顔が青ざめている。
「緑色の泡でしたね」
 鈴子が花代を見つめた。
「あんなものは初めて見ましたねぇ。いったいどういうことでしょうか」
 そう言うと、欅道は朱川が倒れていた場所に歩いていった。まだフロアはそのままで、朱川の口からこぼれたものが残っている。鈴子らも欅道のあとをついていった。
 欅道は泡の痕のそばにしゃがむと、顔を近づけた。
「む、アーモンドの香りがします」
「アーモンド!?」
 鈴子は思わず声を上げた。こういう状況でアーモンドの香りといえば、青酸カリだろう。殺人未遂事件か!? このまま朱川が帰らぬ人になってしまえば――。
 ん、待てよ? と鈴子は振り返り、そこにナッツを噛み砕く桃ちゃんを発見した。手に持った袋にはまぎれもなくアーモンドの文字。
 においの正体はこれか!
「桃ちゃぁん、ややこしいこと、しないでよぅ」
「え、なにが?」
 桃ちゃんはきょとんとした顔で言った。
「んーん、なんでもない」
 鈴子はこっそりため息をつくと、
「アーモンド臭は事件と無関係です」
 と欅道に向きなおった。
「そっか」
 欅道は気にした様子もなく立ち上がると、朱川のデスクの上に目をやった。
「しかし、これは病気で倒れたというわけではなさそうです」
 欅道はくるりと鈴子らに体を向けた。
「これは殺人事件です」
 再びオフィスに緊張が張りつめた。
「ま――」
 鈴子は喘ぐように声を出した。
「――まだ死んでいません」
「まだ≠ニか言うな」
 花代が鈴子に体をぶつけた。
「あ、すみません! 朱川さんは死んだりしません!」
 いくら嫌な相手だといっても、死ねばいいとは思ったことはないことはないにしても、死んでいいという法はない。
「朱川さんというんですか。まあ生死は問題ではありません」
 いやいやあるだろう、と心のなかでツッコんだのはひとりやふたりではなかったが、誰も言葉にすることはなかった。
 欅道は朱川のデスクに歩みより、そこに置かれた白いマグカップを上から覗き込んだ。
「これが緑の泡の正体ですね」
 床の泡を踏まないように鈴子らはデスクに近寄り、同じようにマグカップをのぞき見る。そこには緑色の液体が入っていた。なんだかどろっとしているようで、カップのふちから二センチほどのところまで満たされている。その上一センチほどまで入っていたように、うっすらと緑色の痕があった。ふちの一カ所が汚れているのは飲んだからだろう。
「なんだこりゃ」
 花代が言った。野菜ジュースにしてはとろみがあり過ぎるようだ。
「あ、それは十日ほど前から持ってくるようになった、なんでも彼女の手製の飲み物のようです」
 朱川の隣の席の、近づこうとして止められた若い男性編集者がおそるおそる近づいてきて言った。田所という名前だ。
「彼女ですか。どんな方かご存じですか?」
 欅道が言った。
「いえ――そう言えば、はっきり彼女とは言ってなかったかな? なんとなくそう仄めかすような言い方だったかも」
「ふむ」
 欅道は考えこむようにこぶしを顎に当てた。
「これはいったいなんなんですか?」
 鈴子が田所に言った。田所は短く切ったくせっ毛をごしごしと撫でつけながら、
「たしか、野菜と海草と梅干しだったかな」
「うえ、まずそう」
 と言ったのは桃ちゃんである。鈴子と花代も顔をしかめた。
0431319
垢版 |
2018/03/22(木) 12:48:18.54ID:aOgRfD/S
改行なしで続いています

「桃ちゃんはもっと野菜を摂った方がいいよ」
「え、どういう意味?」
「い、言った通りの意味だよ。いつもランチで野菜を残すじゃん」
「いーや、今の言い方は他意があった。どういうことが言ってごらん? お姉さん怒らないから」
「ウソだよ。○○って言ったら怒るでしょ」
「○○って言うな! ぽっちゃりと言え!」
「ほーら、やっぱり――」
「うるさい!」
 花代が怒鳴った。
「おまえら、人が倒れてその原因を欅道先生が探ろうとしてるのになにをつまらないことを言ってるんだ! だいたいいつもおまえらは――」
「花代さん、静かにしてください」
 欅道先生が顎に手を当てたまま言った。えぇー、俺かよ? とぼやく花代であった。
「謎は解けました」
 欅道先生が静かに言った。おおっ、とオフィスに声が上がる。
「先生! 真相はどういうことなんですか!?」
 鈴子は勢いこんで言った。
「このジュースが手作りだとすれば、常温ではそんなに長持ちしないはずです。そして、マグカップに注がれていますが、このまま持ってくるはずはありません。なにか他の容器に入れて持ってきているはずです。その容器は――」
 欅道先生はオフィスのみなをゆっくり見回し、
「――冷蔵庫にある」
 と言った。オフィスに沈黙が流れた。欅道先生の次の言葉を待つがなにも言わない。やがて鈴子が、
「そ、それで?」
「いや、それだけです」
「なんの謎が解けたって言うんだよお!」
「あわわ、桃ちゃん、ダメ! 落ち着いて!」
 欅道先生に詰め寄ろうとする桃ちゃんを、鈴子が体を張って止めて下手《したて》を取った。
 オフィスに漂うがっかり感をどう著《あらわ》せばいいだろうか。しかし、欅道先生は気にしない。
「冷蔵庫はどこにありますか?」
「給湯室ですね」
 花代が答えた。
「給湯室に入ったものが犯人です」
 欅道先生の言葉にみなは息を飲んだ。
「せ、先生、ほとんどの人が給湯室に入ります!」
 桃ちゃんと組み合ったままの鈴子が言った。いつの間にか、がっぷり四つになっている。
「ではもっと詳しい話を聞かせてください」
 すました顔で欅道先生は言った。
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