この箇所はまだ推敲途中だから、同じ文章で原稿提出することはあるまい。今書いてるものの一節。こういった一節どう?酷評して。

私は更に東京にいた時のことを思った。東京は嫌いではない。いや、むしろこっちの生活よりも東京ライフの方が楽しかった。今思い出すと、都会の生活は実に多くの驚きと発見に満ちていた。
駅や街にいて耳を澄ませると遠くからなのか近くからなのか雑多な音が私を取り囲んでいるのがわかる。それはまるで、私を喧噪の中で一人置き去りにしているような音だ。
都会の生活を思い出すと、まずあの喧噪の中にいるときに聴こえてくる音を想起する。この雑踏のなかで聴いていた音の正体は、思い切って渦中に飛び込んでみると姿を現す。都会では実に様々なことがあった。
東京は、とかく孤立しやすい場所ではある。一歩音のする方へ、喧噪の中に飛び込んでみると、飛び込み方にもよるが危険なことも潜んでおり、スリリングだ。
それに比べると田舎の生活は実に味気ない。都会にあるはずのものが田舎にはないのだ。あるのは人と人との柵だけである。都会をギャラクシーに例えると、田舎はまさに「世間」という人間特有の場所と呼ぶにふさわしい。