>>187
を読んで、ライブ会場に移動するのに置いていかれた仲の悪いベーシストとドラマーがケンカしながら目的地を目指し、最後には仲良くなってるというバディものが書けたのではないかと思った。
もしくは原稿が遅れがちな作家の家を訪問することにした編集者ふたりとか。

書いてみよう。

「花代(かだい)さん、ロム猫先生の原稿、届きましたよ」
 黒豹出版社の文芸部オフィスに鈴木鈴子のアンニュイな声が上がった。
「おう、やっとか」
 デスクで読んでいた他の作家の校正ゲラから顔を上げた副編集長代理補佐の花代は、鈴木鈴子に右手を差し出した。鈴木鈴子はその手にバイク便の封筒を渡す。封筒を開いて中の原稿を読み始めた花代の眉間に、みるみるしわが寄っていった。
「なあ、ロム猫先生にはバディものもアンソロジー用って言ったよな?」
 花代が鈴子に顔を向けて言った。
「言いました」
「なんか違うんだよなぁ」
 花代の眉尻が下がる。鈴子は原稿を受け取った。しばらくして読み終えると、
「なんか違いますね」
 とアンニュイな声で言った。
「どういう事だ!」
「わたしに言われましても」
「担当だろう!」
「この件を依頼したのは花代さんです」
「そうだったか? 悪いが電話してみてくれ」
 鈴子は手帳を取り出すと、花代のデスクの受話器を持ち上げた。
「出ませんね」
 しばらくして、鈴子が受話器を耳に当てたまま言った。
「あんにゃろう、居留守だな」
 ロム猫先生が往々にして電話に出ないことは広く知られていた。エッセイに書いたからだ。
「出かけるぞ、ついてこい」
「わたしもですか?」
「当たり前だ、担当だろう」
「でももうすぐお昼です」
「つべこべ言うな!」
 こうしてふたりは出版社をあとにした。

ここまで572字。いけそうだ。書きませんが。