まず、お疲れ様でした。私は良い作品だと思いましたよ。相変わらず筆力も高いし、繊細な観察眼と描写力は、赤翡翠さんの代名詞とも言えますね。
さて、褒めてばかりいるとまたお叱りがあるといけないので。
技術的なことは申し分ないですが、作品全体の色、というかテーマがボヤけていた印象はあります。
主人公の贖罪なのか。悔恨なのか。主人公は再生に向けて変わろうとしているのか、薄れていく記憶を留めようと抗っているのか。変わらず留まりたいのか。
芯が定かでないので全体的に色が散らかっているように感じました。
冒頭の「わたしはかわらないな」の一文のとおり、あらゆる物が過ぎ去り、変わっていくなかで変われない、変わりたくない想い、それをテーマに描くのであれば、
冒頭と最後の描写はもっと、切り取った心を、風景あるいはおむすびの味に投影して、作品の色彩を鮮明にしても良かったのかもしれない。

構成は申し分なく、「ベンチの左はしに座る
」等、細やかさには唸りました。

歳の割に幼い恋のやりとりは後に襲ってくる地震と津波の恐怖を際立たせる為でしょうか。
思惑通りに私はどきどきしてしまいましたが、
群衆のパニックなども描くと、もっと迫力があったかと思います。

いや、気持ちは痛い程わかりますよ(笑
赤翡翠さんも何処かのポイントで字数制限のリミッターを外したはずです。
それでも、まあいいや、と思いながらも、どこかで引っかかるんですよね、文字数が。破ってしまったあとでも、少なくしなきゃと考えてしまう。
だから、「どこを削ればいいか教えてくれ」となる。そして私が見る限り、不要な文章はなかったと思います。これってなかなかの褒め言葉じゃありません?

ともかく、お疲れ様でした。なかなか難しい課題だったと思います。
課題とは別に作品があればそちらも読ませていただきたいな、と思いました。

拙い感想で申し分くありません。寝ます。失礼しました。