コバルトゥスは深い溜め息を吐いて、ラビゾーに尋ねた。

 「何が買えるんスか?」

 「携行食が300MG、傷を治す軟膏が400、後は方位磁針が300、燐寸が1箱100、
  魔力式の懐中電灯が200、短剣が400、魔力探査機が300、伸縮式ロッドが500、
  安い革の『篭手<アーム・ガード>』が片方400、作業用防護手袋が1組400……。
  買える物は、こんな所だな。
  あ、安物の時計もあるぞ。
  300MGだ」

どれを買おうか、コバルトゥスは悩んだ。
彼は先ず不要そうな物から選別する。

 「短剣は要らないッス。
  篭手や手袋も安っぽくて、何か好かないッスねぇ。
  懐中電灯も結局魔法を使うんなら、自前の魔法で事足りますし。
  これ、所謂『魔力石<エナジー・ストーン>』は付いてないんスよね?」

 「ああ、魔力石が付いてたら、もっと値段が高い。
  飽くまで共通魔法の発動を補助する物だ」

精霊魔法使いであるコバルトゥスは、余り共通魔法を好ましい物と思っていない。
共通魔法使いは精霊を殺すと理解している。

 「この魔力探査機ってのは?
  只の棒切れってか、針金に見えるんスけど」

 「名前の通りだ。
  比較的安価で魔力を通し易い銅合金で出来ている。
  これを手に持っていると、魔力に反応して動くと言われている。
  どうも使う人の魔法資質が高くないと効果が無いらしく、魔法資質の高い人は魔法を使って、
  自力で探知するから不要なんだが、一応補助器具の役割は果たすとか……。
  僕は使わないから判らないが」

さて、何を買おうか、売るだけで買わずに取っておくのか、それとも水晶を売らずに持っておくか、
コバルトゥスは考える。