コバルトゥスは切り替えて、違う話を始めた。

 「話は変わりますけど、先輩、カシエの探索って、どの辺まで進んでます?」

ラビゾーは素直に答える。

 「幾らか財宝らしい物を回収していた。
  未だ洞窟全体を探索し尽くした訳じゃないみたいだけど」

 「地下何階まで行ってるんスか?」

 「確か、3階まで進んだと言ってたかな。
  僕は洞窟に入ってないから、どんな所かは分からんのだが」

そんなに差は開いていないと、コバルトゥスは安堵した。
探索が順調に進めば、追い付けるだろう。

 「あの洞窟、結構危険な罠があるんスけど、カシエは大丈夫なんスかね?」

 「罠があるとは言っていたけど、そんなに危険なのか?」

ラビゾーの表情が少し曇る。
彼もカシエが危ない目に遭う事を、好ましく思っていない。

 「即死はしなくても、重傷を負う位はあり得ますよ」

 「……コバギ、お前は大丈夫だったのか?」

唐突に自分の心配をされ、コバルトゥスは慌てる。

 「あ、あぁ、その……俺は平気ッスよ!
  これでも熟練の冒険者なんスから!」

落とし穴を見落としたり、魔力を失ったりと、危ない場面があった事は、見栄の為に言わなかった。