分岐路を右折して真っ直ぐ進んだ彼は、通路が右折している場所に出る。

 (この先に行くと、元に戻る。
  それだけで何も起こらなかったら、馬鹿みたいだなぁ)

無駄に時間だけ食うのは避けたい物だと、コバルトゥスは思った。
そして、曲がり角を曲がろうとした時……、

 「おっと」

3箇所目の沈む地面を踏む。
その直後、前方で地響きがした。
何かが動いている。
驚いて罠かと身構えるコバルトゥスだったが、何も起こらない儘、地響きは収まった。
10極に満たない間の事。
コバルトゥスは何が起こったのか確かめる為に前進する。
暫し後、突き当たりと左右に分かれる道が見えるが、交差点の地面にはには大穴が開いている。

 (何だ、こりゃぁ?
  階段?)

恐る恐る穴に近付いて中を覗き込むと、更に下層へと続く階段の様だった。
ここが見知らぬ場所では無い証拠に、地面には湿気た燐寸が置かれている。
コバルトゥスは全てを理解した。

 (沈む地面は、この階段を出現させる為の仕掛けだったのか!
  正しい道順で踏んで行かないと、下の階に行けない様になっているんだな)

面倒な仕掛けだと思いつつ、これで先に進めると、彼は安堵する。