コバルトゥスが分岐路を右折して暫く歩くと、通路が右に折れている場所に出る。

 (これが前回通った道。
  ここに少し沈む地面がある……っと!
  あった、あった)

予想を裏切られなかったので、コバルトゥスは少し満足した。
その儘道形に進むと、真っ直ぐと右に曲がる分岐路がある。
地面には1本の燐寸が置かれている。

 (やっぱり同じ道じゃないか……っとォ!?)

彼が燐寸に近付くと、僅かに地面が沈み込む感覚がある。

 (油断していた……。
  しかし、変だな。
  何で、あっちから来た時は作動しなかった?
  踏み忘れる訳は無いのに)

自分の記憶力に自信を持っているコバルトゥスは、踏み忘れでは無いと断定して、
右に続く道を見詰めた。

 (左回りで何も無かったって事は、右回りに行けば何かあるのか?)

罠かも知れないと思いつつ、彼は直感に従う。
地面に置いた燐寸は水分を吸収して湿気っていたので、回収しなかった。