>「アディーム!このままだとあいつが逃げちゃう!
> 私銃とかそういうの持ってないの、追撃頼める?」

「うはっ、射撃は得意じゃないんだけど、言っている場合でもないよねえ」
懐から取り出したミオスタチン関連筋肉肥大患者用高カロリーキューブを口に含み、銃を構える。

ミオスタチン関連筋肉肥大とは、筋肉が以上発達する病気である
僅かなトレーニング出凄まじい筋肉肥大が起こるのだが、あらゆるエネルギーが筋肉肥大に使われるために、脳にカロリーがいきわたらないという弊害が生じるのだ
パワー全振りの知能0な筋肉ダルマなキャラが創作物には良くいるが、ミオスタチン関連筋肉肥大と考えると実に理にかなったなれの果てともいえるのだ。
そういった患者の為に、常人では消化しきれないほどのカロリーを詰め込んだ携帯食キューブが存在するのだが、憑き物によって凄まじいカロリー消費に晒され続けているアディームにとって実に都合の良い食べ物であるといえよう

「手負いの獣、近づくとなにされか判らないしねえ〜」
両足を開き、両手で銃を持ち機械化された樹に背を預け姿勢を固定。
狙いを定め……

二つの轟音が鳴り響いた。

一つは大口径の銃から発射される
そしてもう一つは、メカキマイラが大破する音であった。


「やれやれ、物騒な世界だけど、なんとか落ち着いたようでよかった」

メカキマイラの残骸を横目に共に戦った戦友に握手をしようと手を伸ばしかけ、思わず引っ込める

「おっと、さっき山羊頭をズタズタにした風は、もうないか、な?
差し出した手もズタズタにされちゃたまらないからさ
良ければ手をいいかな?
お互いに手を握り合うのは俺の世界では友情の印、共に戦った戦友と握手をしてこれからの事を話したいのだけど?」

おどけたように肩をすくめて見せて、改めて手を差し出した。
異世界から来たばかりで、この世界の事を何も知らないので、カリーナに同行しこの世界を見たいという事を。
そしてカリーナの目的とこれからの予定を尋ねるのであった。