「あらあら、随分仲が良いじゃない?
 この外国人の女の子は誰?」
「今まで僕は彼女、ルイズにずっと世話になって来たんだ」
「まあ、どうしようかしら。
 あんたにも良い人が出来たのに・・・」
「良い人って?」
「あら、才人は政府通知のことなんか忘れてたのね」
「政府通知?」
「ゆかり婚が始まったのは才人が居なくなる前だったわよね。
 あんたの相手も決まったの。
 もう1年ぐらい経つけど、相手の女の子も帰ってくることをずっと待ってくれていたわ。
 まあ部屋でゆっくり話をしましょう」

母さんがお湯を沸かしてお茶とお菓子を持ってきた。
そこで
「ピンポーン」
再びインターホンが鳴る。
「才人が帰って来るって言ったから、その娘に早く知らせようと思って呼んでおいたの。
 お父さんも出掛けてたけどそろそろ帰って来るわ。
 ・・・シエちゃんいらっしゃい」
母さんがそう言うと、顔立ちはハーフのようだが黒髪のシエスタに似た女の子が現れた。
「はじめまして、私佐々木志恵と言います。
 写真では拝見していますが、本当に才人君なんですね。
 よろしくお願いします」
「えっ?」
佐々木? ってことは、シエスタの遠い親戚?
えーと、武雄さんの兄弟のひ孫かな? シエスタとは孫の孫同士になるのかな?
武雄さんのことはどれぐらい知ってるんだろう?
そんなことを考えていると、俺の腕を引っ張りながらルイズが顔を曇らせた。
ルイズにとって良からぬ相手だということを感じ取ったようだ。
どうやってこの事態を収め、ルイズに、そして父さん母さんとシエちゃんにも説明しよう?