【ロボット】アタック・オブ・ギガス【TRPG】 [無断転載禁止]©2ch.net
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人類が宇宙へ移り住み、新たな人類の住処を求めて放浪する時代。
新たに見つかった十番目の居住可能惑星は自律機械群によって支配されていた。
政府に代わる新たな統治機構である企業連合は移民を開始するべく、志願者を募集。
適性のある者には思考感知によって制御される人型兵器ギガスが与えられ、彼らは自律機械群との戦争の最前線で戦い続けた。
そして企業連合標準時間にして四年が経った現在、企業連合は惑星にある最も大きな大陸の三割を制圧し、複数のコロニーを築くことに成功した。
今でもギガス・パイロットは増え続けているが、同時に自律機械群も増加傾向にある。
増え続ける移民を守り、未知のテクノロジーが秘められた自律機械群の本拠地を制圧するべく
今日もまた、新たなギガス・パイロットが愛機と共に惑星へと降り立った。
ジャンル:SFロボットアクション
コンセプト:自律機械群と人型兵器の熱い殴り合い
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
スリーサイズ:
種族:
職業:
性格:
搭乗ギガス性能:
所属企業:
所持品:
趣味:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説: 名前:テルミット・タナカ
年齢:29
性別:男
身長:179
体重:99
スリーサイズ:不明
種族:半機械化人間
職業:ギガス・パイロット
性格:楽観主義
搭乗ギガス性能:近距離寄り万能型
所属企業:サクラコーポレーション
所持品:パイロット用制式ガンナイフ
趣味:パーツカタログを眺めること・散歩
容姿の特徴・風貌:短く切り揃えた黒髪に二つの義眼、がっしりした体つき
簡単なキャラ解説:
自律機械群との戦争において最前線で戦い続けたパイロットの一人。
現在はコロニー間を移り住み、住民からの依頼をこなすことが中心となっている。
「T2」の愛称で他パイロットから親しまれ、愛機「ヒートヘイズ」は主に熱を利用した武装で構成されている。 時折突風が吹き、巨岩がそこかしこにある荒野に、太陽にじわじわと照らされながら一体の巨人がよたよたと歩いていた。
ギガスと呼ばれるその巨人は3、4メートルほどの大きさで、背中にコンテナを背負い、右手に銃身を短く切り詰めた大型機関銃を抱えている。
錆びたフレームにリベット止めされた合金板を適当に溶接しているその見た目は情けなく、今にも自壊しそうだ。
「取引の座標はここだったな……へへ、これで俺も企業勤めだ」
装甲がなく外から丸見えになっているコクピットで、髭面の男が汗だくになりながらつぶやく。
そしてギガスが背中に背負ったコンテナを地面に下ろすと、スピーカーのスイッチを押して叫んだ。
「おい、約束のブツだ!ギガスの新型関節の設計図とパーツのサンプルだぞ!」
その声に応えるように、巨岩の岩陰から黒く塗られたギガス数体が現れた。
きしむ音がそこかしこから聞こえる上、ほぼフレームがむき出しになっている男のギガスとは違い、
黒いギガスたちは流線形をイメージしたような滑らかな外見であり、音もなくするりと岩陰から姿を現してみせる。
彼らが背負っている大型超振動カッターと、腰にマウントされた投てき用の大型ナイフ。
そして手に持つ小口径のサブマシンガンは、明らかに後ろ暗い仕事をこなすためのものだ。
そして黒いギガスの一体がコンテナを受け取ると、受け取った黒いギガスのコクピットハッチが開き、黒いパイロットスーツに身を包んだ男が姿を現した。
――そして、その一連の様子を高台から観察している男がいた。
男の名はテルミット・タナカといい、盗まれたコンテナの回収を企業連合から依頼されていた。
「あれは……ディスカバリー社のギガスをカスタムしてあるな。
けど武装は違う。全部違う企業だなありゃ」
二つの機械化された目で焦点を調整し、男たちの取引をしばらく眺める。
やがてコンテナが黒いギガスの手に渡ると、タナカは待機状態だった自分のギガスへと乗り込み、電源出力を戦闘モードへと移行した。
そして通信チャンネルを開き、あらかじめ設定しておいた通信周波数に設定した。
『みんな、聞いてくれ。コンテナが見つかった、予測通りの座標だ。
依頼内容は聞いていると思うが、改めて説明するぞ。』
『目標はコンテナの奪還と、犯人の逮捕。あとできれば裏で手を引いている連中もまとめて確保したいとのことだ。
犯人以外に関しては最悪個人が識別できるものが残ればいいとも言われている』
『説明は終わりだ。じゃあ行こう、みんな』
赤く揺らめく3つのラインを機体の両側面に描いたギガスが高台から飛び出し、武装の一つである
超高熱ナイフを背部から引き抜いた。そして大きく振りかぶったかと思うと、突然の奇襲に気づきつつあった黒いギガスたちの一体へと飛びかかり、
腹部にある主電源へと超高熱ナイフをためらいなく突き刺す。
【ここまでがプロローグです、参加お待ちしてます!】 >>1
なあ、俺ァ銃撃ちてェ
タマだよ、銃弾撃つのよ
入って良いよなァ? 名前:タイム・スティール・ガンコン
年齢:28
性別:男
身長:185
体重:95
スリーサイズ:不明
種族:半機械化人間
職業:デスギガス・パイロット
性格:快楽主義で銃さえあれば何もいらねェ
搭乗ギガス性能:近接戦闘能力が高いが搭載弾薬数特化型
所属企業:ディスカバリー社
所持品:デスギガス用のタマ
趣味:とにかく銃を撃つこと
容姿の特徴・風貌:サラサラしたやや長い茶髪、サングラスにタンクトップ
簡単なキャラ解説:
普段はディスカバリー社の企業戦士。しかし新開発された「デスギガス」を駆って
特務に従事することも社内で認められている特殊部隊でもある。
威力偵察の他、新弾薬の試射、ライバル企業攻撃も行う。
ちなみに社外でギガスに乗っているときは全部有給休暇中である。 気がつくと目の前にタナカがいた。
あぁ、ありゃテルミット社のタナカで間違いねェ……
ずっとここを張ってたモンだから、あと有給休暇も3時間ってェとこだ。
終わったら会社に戻らなきゃいけねぇ。
あぁ、タマぁ撃ちてェ……
>『目標はコンテナの奪還と、犯人の逮捕。あとできれば裏で手を引いている連中もまとめて確保したいとのことだ。
犯人以外に関しては最悪個人が識別できるものが残ればいいとも言われている』
タナカの無線を傍聴する。こうやって穴グラに潜んでた甲斐があったってもんだぜ。
『おう、俺だ。タイムだ。とんでもねェ……この時を待ってたんだ
報酬は俺のディスカバリー・ファイナンスの口座に振り込んでおいてくれ。時間がネェ』
俺ァさっさと穴から飛び出すと、推力推進ユニットを使って急速浮上、15mはあるかという岩のテッペンに陣取ったぜ。
「オラァ!!!」
ババババババ…… と弾薬を発射する。なんてこたぁねェ……普段射撃訓練でやってることと一緒だ。
ギガスなんていっても銃と同じよ。タマぁ撃つんだよ。
30mm超砲身アベンジャー砲だ。 そこらの戦車もエンジンまで貫通させるスグレモノだぜ。
ドォォォン!! ドゴォォォン!!
タナカ達を襲おうとする敵のギガスどもが次々と爆発する。そりゃ無理もねェ……
俺のタマは特別製よ。
天下のディスカバリー社の特殊開発一部のご謹製だぜ。
発射されたタマは敵の装甲にヒットしたら回転してメリ込み、そして内部まで侵入してから爆発する。
場合によっちゃパイロットも生きちゃいねェ……
っと、敵のボスが焦ったみてぇだ。コンテナを残る部下三体に任せて、
俺の方目掛けてチャージをはじめやがった。でも俺が誰だと思ったやがる。大体の兵器の威力は分かってんだぜ。
部下の方も周囲に対抗してシールドを構えやがった。
「おう、タナカ。そいつの攻撃を止めてくれ。
俺ァ今から新型兵器の実験をする。もう有給がキレそうなんだ。さっさと帰ってタバコ吸いてェ」
ここでタバコ吸ったら大爆発だぜ。なんせ俺のアーミースーツはタマだらけだ。
さて、俺は新兵器のボタンの安全装置をはずす。これはマシンガンレーザーというとんでもねぇ兵器よ。
防弾シールドだろうが、対撤甲バリアだろうが、貫通しちまう。科学兵器って奴よ。
しかも連射式ときてる。そうだよ、タマぁ撃つんだよ。
「俺はタイムだ。死にたくなかったらそのブツを降ろせ」
そう言いながらマシンガン・レーザーにチャージを開始した。
【よろしく頼む】 【タナカへ
そういやテルミット社じゃなくてサクラコーポレーションの間違いよ
タマってのはションベンと同じだ。撃たなきゃ勝手に撃ちたくなるもんだ
ってことだ――Good Luck...】 主電源に突き刺した超高熱ナイフを引き抜き、黒いギガスを蹴り倒す。
奇襲は成功したが、まだ黒いギガスは残っている。ある程度は鹵獲する必要はあるが、数は減らしておくべきだろう。
超高熱ナイフを右手に握り直し、ヒートヘイズの左手を平手にして構えた。
>「オラァ!!!」
と、そこで今回のミッションに参加してくれたギガス・パイロットの一人、タイム・スティール・ガンコンが
こちらを狙っていたのであろう敵機をまとめて撃破してくれた。
彼はディスカバリー社のギガス・パイロットだが、企業専属のわりには社外でギガスに乗ることもある。
腕も優秀で、彼のギガスは前線を文字通りこじ開ける弾幕の多さが魅力だ。
「助かったよタイム!弾薬費は依頼主持ちだ、景気よくやってくれ!」
相互通信で礼を伝えつつ、あのスクラップの男と話していたリーダーと思われるギガスへ突撃する。
コンテナはまだ移動していない。敵ギガス3体が扇状に展開してシールドを構え、サブマシンガンで援護射撃をしていた。
恐らく強力な射撃武器を持つタイムの方から一気に片づけてしまうつもりなのだろう。
>「おう、タナカ。そいつの攻撃を止めてくれ。
俺ァ今から新型兵器の実験をする。もう有給がキレそうなんだ。さっさと帰ってタバコ吸いてェ」
「分かった!合図をするから3,2,1で仕掛けるぞ!」
ヒートヘイズの左手に機体の廃熱を集中させ、左腕部にある多目的発射装置から射出された特殊燃焼剤を
敵リーダーのギガスへと散布する。
「……3」
散布された特殊燃焼剤は粘着性のある粉末で、自律機械群のセンサーや関節部へとこびりつき一時的に動きを抑える作用がある。
ギガス相手にもそれなりに有効な兵器であり、敵リーダーのギガスは一瞬動きを止め、姿勢をぐらつかせる。
「2……」
ヒートヘイズは脚部のスラスターを思い切り吹かし、集中させた廃熱で陽炎のごとく揺らめいて見える左手を平手に構えて突進した。
「1!今だ!」
狙いに気づいた敵ギガスたちはサブマシンガンの狙いをヒートヘイズに向けて斉射を始めたが時既に遅く、
ヒートヘイズは姿勢をぐらつかせた指揮官機へとすれ違いざま、左手を撫でるように擦り付ける。
それだけでこびりついた特殊燃焼剤が引火し、一瞬にして黒いギガスは真っ赤に炎上した。
炎上は黒いギガスの突貫を止めるには十分な威力を持ち、タイムが用意した新兵器の標的にはちょうどいいだろう。
(自律機械群には炎上はよく効くんだけど、ギガス相手には驚かすかセンサーを焼き切るぐらいしかできないからな…頼んだよ、タイム)
コンテナを守る黒いギガスたちの斉射を岩陰に隠れてやり過ごしつつ、タナカはタイムの援護を待った。
>>6
【まさかすぐに一人来てくださるとは思いませんでした!これからよろしくお願いします!】 >>8
【こちらこそよろしく頼む】
>「分かった!合図をするから3,2,1で仕掛けるぞ!」
「……3」
タナカが作戦を理解し、カウントダウンを始める。
ありゃあ、チャフみてぇなもんだ。敵を妨害すんだよ。
どうってこたぁねぇ。ぶっちゃけ言やぁ、妨害に意味はあるが、カウントダウンにゃ意味がねェ・・
マシンガンレーザーってぇ奴は、勝手に発射されんだよ。
「ターマーは鳴き〜 ターマーは咲き〜 標的(あした)へ育ってゆく〜♪」
俺が適当に替え歌を歌ってると、レーザーが勝手に増幅されてきやがった。
いくぜ。雑魚共。
>「1!今だ!」
バシュバシュバシュバシュバシュゥ……ゥゥゥゥウウ……!!
悪ぃな。俺のタマはオート・メイションなんだ。
マシンガン・レーザーが敵へとぶっ放される。俺の隠しダマってやつよ。
チュウィィン…… ズドォォォン……!!
シールドを軽く貫通したタマが、サブマシンガンの弾薬ごと敵の雑魚どもを蹴散らし、
あっという間に破裂していった。
このタマは化学兵器だ。光子力による貫通と爆風がメインだが、弾薬には放射性物質も詰まってやがる。
さっさと脱出しねぇとあの世行きだぜ。
おまけにタナカが放った燃焼剤にも引火し、黄色や緑の科学反応を起こして花火みてぇだぜ。
「ヒャッホォォォゥ!!」
敵のサブマシンガンでギガスに多少ダメージを食ったが、なんせ俺のはただのギガスじゃねぇ。
「デスギガス」よ。殆どのタマは装甲で食い止めてある。後で検査するのが手間だがな。
「おっと」
気がつくとコンテナが割れてやがった。
残りの敵連中も命が惜しいんだろう。脱出した敵の他、生き残った一機のギガスが推進力を使ってその場を離脱しようとしてやがる。
サクラコーポレーションの連中がコンテナの安否を確認しに行った。悪ィな。俺は良いタマの実験になった。 ついでに残りの奴も始末しておくか。
俺ァギガス戦では人間は狙わねェ。その代わりギガスには容赦ねぇぜ。
バァン、シュウゥゥゥ……ズドォォォォン!!
「ビンゴだ。230mm自動追尾式滑空榴弾砲だ……」
このタマはとてつもなく重くてでけぇ……追尾能力も大したことはねぇ。
そん代わり当たれば確実にダメージはでけぇ。
ヒットしたら対徹甲弾装甲ですらバラバラよ。タマがヒットすると同時に棘状粒子弾が飛び出して
相手をガッチリホールド、そこから起爆剤を注入させてタマ本体の爆力を大幅に増幅する。
ほら見たことか。敵のギガスはほぼ破片しか残ってネェ……
あの高さで大爆発だ。多分パイロットは生きちゃいねぇ……
ギガスで逃げたことを悔いるんだな。
「ってことだ。タナカ、後処理は頼む。ところで、だ……
大事なことだから二度言うが、口座は本社じゃなくてファイナンスの方だ。
それからだ。俺ァこのミッションに参加なんてしてねェ。勘違いすんな。
ただの有給休暇中だ…… タバコ吸ってくらぁ。じゃあな」
決め台詞のように言い放ち、後処理が行われるのを尻目に踵を返して会社へと一っとびだ。
灰皿に積もったタバコの吸殻を数えながら、俺は時計を見た。
「仕事まで後30分か……タマぁ撃ち足りねェ…… ちょいと射撃訓練所にでも寄っていくか」
タイムはマシンガン・レーザーの結果報告書を書きながら、また歌い出した。
「弾丸(ターマー)は鳴き〜 ターマーは咲き〜 標的(あした)へ育ってゆく〜♪」
『マシンガン・レーザーのチャージ時間が長い 破壊力より装弾数を増やすべし』
『サクラコーポレーションのタナカ・テルミット 要注意人物』
『通常のギガス戦では無駄な死者を出す可能性が高い 今後はドローン兵の導入を検討する必要あり』 「――よって、自律兵器群の停滞期において企業間の不和を招く行為は厳に慎まれるべきであり、
今回の一件はガントレット社に全面的な責任があると企業連合広報は発表…か」
タナカは一人、借りているパイロット向けアパートの部屋で企業連合が発行している紙の新聞を読んでいた。
宇宙では新聞や雑誌が電子化されて久しいが、この惑星に住む者は自律機械群が不定期に行う襲撃の際に発するEMP攻撃に備え、
EMP対策ができないものやコストがかかりすぎると思われるものは可能な限りアナログ化している。
紙の新聞もその一つであり、届けに来るのは自転車に乗った配達員だ。
今、タナカが住んでいるアパートのあるコロニーはそういったアナログ化コロニーの一つである「カナガワ」という名で、
この惑星に建造された最初のコロニーでもある。最初のコロニーだけあって中心部は発展しているが、外側に広がるにつれて
チャンスを夢見た第二次移民、第三次移民たちが形成した移民街が半分スラム化しているのが問題とされている。
「それにしてもタイムの奴……本当に派手に撃ったな」
先ほどまで通信端末で確認していた弾薬費と機体修理費の請求書を眺める。
そこにはコンテナ奪還作戦に参加したギガス・パイロットの名前と、それぞれにかかる費用と支払われる報酬の差額がずらりと並んでいた。
「弾薬費はそりゃ依頼主持ちだけど、230o砲なんてよくギガスで撃てるもんだよ」
そう言いながら、つい先日の作戦を思い出す。
思えば実働時間より待機時間の方が長かったな……と思いながら。
今回の発端はサクラコーポレーションカナガワ支社傘下の部品工場から盗まれた新型関節の設計図と見本パーツだ。
犯人は近くのスラムに住んでいた元ギガス・パイロットで、唆したのはギガスの部品製造で有名なガントレット社だった。
ギガスの関節パーツにおいて大きなシェアを誇っていたガントレット社がサクラコーポレーションにシェアを奪われることを恐れ、
ちょうど自律兵器群がなぜか攻めてこない停滞期と呼ばれる期間だったこともあり、犯人を唆して部品と設計図を奪取せんと考えた。
「サクラもある程度当たりをつけていたとはいえ複数のポイントに大量のギガスを置くなんて、金使いの荒いことで」
結局、タナカとタイムが待ち伏せていたポイントにガントレット社の実働部隊と犯人が見事に現れ、逮捕に至ったのだ。
(そうだ、せっかくだしタイムに飯でも奢ろう。今回のエースはあいつだったしな)
(どこのコロニーに住んでるかは分からないけど……この依頼を受けたからにはここでなくても近いコロニーのはず)
通信端末の個人回線一覧を起動し、タイムのアドレスへメッセージを送る。
すでに日は登りかけ、この辺りのコロニー標準時間ではそろそろ昼食のはずだ。
『タイムへ テルミット・タナカより
今回のミッションありがとう、随分助かった。飯でも奢らせてくれないか?』 報告書を書き終えたあたりで、意識が遠のいた。
どうやら俺ぁ久々にタマを撃ったおかげでハイになっていて眠りほうけていたらしい。
机にタバコが転がって蚯蚓のような跡を残してやがる。もう少しで火事だったな。
>「――よって、自律兵器群の停滞期において企業間の不和を招く行為は厳に慎まれるべきであり、
今回の一件はガントレット社に全面的な責任があると企業連合広報は発表」
「だろうな」
転がってる新聞だ。課長のだろう。
俺ァディスカバリー社にいる限り、多少の不祥事はもみ消してもらえる。
"敵対勢力"って奴のEMP攻撃の日が近ぇとか言われてやがる。
俺はタマさえ撃てればいいんだがな。
おっと、課長が来たみてぇだ。
制服のお偉いさんも二人ほど一緒らしい。
立派な制服だ。防弾徹甲チョッキでも装備してるのか、妙に恰幅が良い。
「おいタイム、国防長官のラムコン殿と空軍のミニッツ中将だ。挨拶しろ」
「バージル課長、貴様のところの部下は社内でも銃を振り回しているのか?」
どうやらお偉いさんが俺の銃について文句を付けてやがる。
俺のこの銃はカスタムM&M55マグナム・Mk2といって特別製よ。タマは12発だ。
オートマチック式で予備のマガジンも常時俺ァ携帯してる。
55口径っていやぁ、当然そこの軍人様の腹もブチ抜くだけの威力はあるぜ。
ヘリでも落とせる。なんせタマが違うからな。
「おう、タイムだ」 そう言うと軍人のお偉いさんは目を吊り上げてキレた。
「貴様、誰に向かって口を利いているのかね? バージル、こいつをクビにしろ。
ブタ箱にでもブチ込んでおけ」
ってぇ感じで、そのまま俺に肩をぶつけてさっさとエレベータで帰りやがった。
せいぜい夜道には気をつけるこったな……あぁ、タマ撃ちたくなったぜ。
「おいタイム、いくらなんでもありゃ無いだろう。私にも立場というものがある」
「課長、俺らはディスカバリー社にいりゃ治外法権、そう言ったのはあんただろ?ところで……
さっき書いた俺の報告書はどこやった?」
「あぁ、さっきのお偉いさんが持っていったよ。我が社の情報は常に国軍と共有されている。それを忘れんようにな」
俺ぁようやく仕事を終わらせてクルマで帰ろうと思ったが、そういやこの前に予備のタマを暴発させてオジャンだったな。
軌道車に乗り込もうとしたところで、メールが鳴った。俺のAIスマホからだな。
『タイムへ テルミット・タナカより
今回のミッションありがとう、随分助かった。飯でも奢らせてくれないか?』
『運が良かったな。 コスギにある「ハードボイルドアクション・コスギ」で飯にしよう
あそこならタバコもタマもできる 12時だ』
俺ァカナガワのシン・コスギに住んでるんだが、そもそもどこで奴が俺のアドレスを知ったんだろうな?
コスギの駅から徒歩5分。
タイムの野郎が来た。俺ァある程度プロフィールを見てるから大して驚きゃしねぇ。
ただ、思ったよりガタイが良いようだ。
「よう、俺がタイムだ。メアドをどこで知った? 下請け会社の奴ァ大変だな。請求書も切ったのか?
犯人はどうなった? さっさとブタ箱行きか? それともモルモットか?
俺ァ天下のディスカバリー社の社員よ。タマぁ撃ってるだけで良い。この方が性に合ってる」
と、言いながらも俺ァ柄にもなく報告書を書いたばかりだった。
ありゃ機密文書だ、どう考えてもな。俺ァエリートよ。
ズドン、ズドンと小気味良くタマが発射される。
俺のマグナムが試射場で暴れてるってことよ。周囲の奴らもビビってやがる。そりゃ当然、俺の銃とタマは特別製だからな。
標的が派手に壊れ過ぎて店員がビビってやがる。それを見ながら俺ァクラッカーにチーズを乗せながら口に放り込む。
「飯代は俺持ちで良い。どうせ大したカネ貰ってねぇんだろ?
それに近いうちにでけぇ仕事が来る……タマぁ撃てるのもお前らのお陰よ」
タナカの方も見ずにタマを撃ちこみ続ける。おっとタマ切れだ。
標的もまともに使える奴がもうねェ……
マガジンを派手に振り落とすと、予備のマガジンを腰から出して素早く装着する。
そして即次のタマを撃ち込む。
ヒュー――!!
周囲から完成が上がる。が、向こうではもっとでけぇ事件があったみてぇだ。
俺ァタバコを咥え、伝説の拳銃・サイガT&A22のミニチュアでできたライターで火をつける。
バーの方にある大型モニタからだ。
――そこには、大勢のでかいギガス集団の映像が映っていた。 >『運が良かったな。 コスギにある「ハードボイルドアクション・コスギ」で飯にしよう
あそこならタバコもタマもできる 12時だ』
メールの返信はすぐに来た。シン・コスギなら近くの駅から10分ほどで着くだろう。
シャツにジーンズだけのラフな格好にギガス作業用の分厚いジャケットを着て、タナカはアパートを出た。
駅に着いて財布から小銭を取り出し、券売機へと向かう。宇宙や他の惑星では通貨の電子化がなされて久しいが、
ここでは企業連合のアナログ化政策によって未だに硬貨と紙幣が現役であった。
券売機から出てきた切符を駅員に見せ、切ってもらう。タナカはこの時の小気味よく響く音が嫌いではなかった。
平日の昼ということもあり空いている電車に乗り、座ったボックス席から景色を眺める。
タナカが今見ている景色は中心部と第二次移民が形成した外縁部の境目であり、同時にそれは
対空設備のレベルの境界でもある。
(対空レールガンに多目的レーザー発振器…やっぱり中心部は対空兵器の数が凄いな)
そんな景色を何気なく眺めていると、アナウンスが聞こえてきた。どうやらそろそろシン・コスギらしい。
電車から降りて切符を駅員に渡し、改札を通る。駅から出て見える景色は、タナカのアパートの近くよりはるかに都会だ。
普段味わうことのない交通量の多さと人の多さに辟易しながら歩くと、ギガス・パイロットが多く集まるという試射場兼レストラン兼バー、
「ハードボイルドアクション・コスギ」に着いた。 >「よう、俺がタイムだ。メアドをどこで知った? 下請け会社の奴ァ大変だな。請求書も切ったのか?
犯人はどうなった? さっさとブタ箱行きか? それともモルモットか?
俺ァ天下のディスカバリー社の社員よ。タマぁ撃ってるだけで良い。この方が性に合ってる」
どうやら入口でタイムが待っていてくれたようだ。作戦直前に見たプロフィール通りの格好と口調に、思わずタナカは苦笑する。
「待っていてくれてありがとう、タイム。アドレスを知ったのはこの前の作戦のリーダーが僕だったからだ。
作戦の人員を集める時にサクラ本社の人事部に何人か取り寄せてもらってね…ああいう仕事で動けるのを」
「犯人のギガス乗りは事情聴取の後4年間の研究協力らしい、候補はケミカルフュージョン社だってさ」
タイムと雑談を交わしながら、店内へ入る。
昼食時ということもあり混雑していたが、幸い奥の試射場に近い二人用の席が空いていた。
座って何か腹に入れようと思ったところで、タイムが早速試射場に向かう。
もうクラッカーとチーズを頼んでいたらしく、口に放り込みながらマグナムを標的に叩きこんでいる。
>「飯代は俺持ちで良い。どうせ大したカネ貰ってねぇんだろ?
それに近いうちにでけぇ仕事が来る……タマぁ撃てるのもお前らのお陰よ」
こちらを見ずに話しかけてくる辺り、よほど射撃が好きらしい。
しかし、奢ってくれるのはありがたい。タナカは遠慮なく奢らせてもらうことにした。
「見抜かれてしまうとは、我ながら情けないね。実はヒートヘイズの右手駆動系を修理に出したんだ。
おかげで金欠でね……食いだめさせてもらうよ」
早速日替わりメニューの野菜炒め定食を頼み、来るまでタイムの見ていて気持ちがいい射撃を眺めることにした。
しばらくして、タナカが数日振りのまともな食事を堪能している中、バーにある大型モニタの映像がが切り替わっていることに気づいた。
一個大隊規模の大型ギガスが隊列を組んで荒野を歩き、やってくる自律機械群の群れを秩序だった動きで掃討する。
やがて出てきた四つ足に大型ガトリングを担いだ自律機械群のリーダーと思われる兵器を集中砲火で蜂の巣にすると、
周りに散らばっていた他の自律機械群も動きを停止する。
そして最後に、大型ギガスの中でもひときわ大きいギガスがリーダー機の残骸に近づき、企業連合の旗を突き刺した。
『この映像は、つい先日行われたはぐれ自律機械群を掃討したハイペリオン社の部隊が撮影したものです。
停滞期にも関わらず目撃件数が増え続けているはぐれ自律機械群問題に対して、ハイペリオン社の社長オルタナ・ドーン氏は
コロニーを担当する会社単独での迎撃に限界があると示しており、企業連合軍全体での対処を呼びかけています』
「最近、増えてるみたいだね。停滞期はファクトリーに籠って生産と強化を行い続けるのが
あいつらの思考ルーチンだって聞いたんだけど…」
残った味噌汁を飲みながら沢庵をかじり、タナカが話す。
自律機械群の行動は停滞期と活動期に大きく分かれ、その周期の法則性は不明だが停滞期に一度入れば
惑星標準時間にしてファクトリーと呼ばれる拠点から動かず、数か月は襲ってこないというのがここ数年で人類が学んだことだった。
だが最近では自律機械群どうしの戦闘や、停滞期にも関わらず数十体の自律機械群が活動しているなど
不可解な現象が多く、企業連合にとっては悩みの種だった。
「まぁ、僕たちギガス・パイロットからしてみれば仕事が増えてちょうどいいさ。
……こうして今、一つのミッションが来たわけだからね」
野菜炒め定食を食べ終え、タナカは自分の携帯端末を開いた。
画面に映っていたのは、会社単独ではなく企業連合からの依頼。
「はぐれ自律機械群掃討作戦」だった。 おう、俺だ。
>「待っていてくれてありがとう、タイム。アドレスを知ったのはこの前の作戦のリーダーが僕だったからだ。
作戦の人員を集める時にサクラ本社の人事部に何人か取り寄せてもらってね…ああいう仕事で動けるのを」
「犯人のギガス乗りは事情聴取の後4年間の研究協力らしい、候補はケミカルフュージョン社だってさ」
「おう、大体の事情は分かった。だが俺の個人情報って奴を甘く見ねェ方がいい。
俺ァ天下のディスカバリー社の社員だからな。俺自身がタマァ撃てりゃ何でもいいんだが、お偉いさんがうるせぇんだよ
なるほど、ケミカルフュージョン社か。色々臭ぇな」
タナカは野菜炒め定職を注文してやがった。
カナガワってとこはグルメの街でもある。コスギにはエリートしか住めねェこともあるが、
伝統的な野菜炒めにァ「炒(チャオ)」と「爆(バオ)」が効いてやがる。
俺の銃と同じよ。
ただタマ込めて撃つだけじゃネェ…スナップを加えることによってタマの威力は格段に増す。
野菜炒めの旨みってのもな、脂とダシ、それと古来からの調理法が効いてコスギの名物料理になるってこった。
だが俺にァどうでも良い。クラッカー食ってタマ撃ってりゃいい。
昼飯でハラ膨らませると調子が狂うぜ。
>『この映像は、つい先日行われたはぐれ自律機械群を掃討したハイペリオン社の部隊が撮影したものです。
停滞期にも関わらず目撃件数が増え続けているはぐれ自律機械群問題に対して、ハイペリオン社の社長オルタナ・ドーン氏は
コロニーを担当する会社単独での迎撃に限界があると示しており、企業連合軍全体での対処を呼びかけています』
「最近、増えてるみたいだね。停滞期はファクトリーに籠って生産と強化を行い続けるのが
あいつらの思考ルーチンだって聞いたんだけど…」
「自律機械群だけなら訳ァねェ…要は俺らが調べてんのは、奴らのスペックが日に日に伸びてるってことよ。
対装甲ライフルが効かねェ、おまけに連射式ビームライフル砲だ。
お前、ここまで言やぁ分かんだろ? バックに何かいるってぇことよ、お…待てよ」
クラッカーを食い終わって、銃をホルスターに仕舞って次はタバコだ。
ダバコの煙で一瞬見損なったが、そこには確かに映ってやがった。
あの機械群の奴らの一体のマーク…ありゃケミカルフュージョンのマークだ。
「おいマスター。ちょいとモニタ止めてまた回して貰えネェか? 録画してんだろ?」
「あぁ、困るんだよ兄ちゃん、お客様がこれだけ大勢見てんだぜ? 無茶言うなっての」
「なぁあんた、タマと、こっちと、どっちが好きだ?」
俺ァM&M55Mk2を抜きながら、札束をカウンターに置いた。10万新円札5枚だ。
「あぁ……分かってんよ」
マスターはしぶしぶ空中に浮かぶモニタをパネルで巻き戻した。俺ァマスターに止めて欲しい場面を何度も回してもらう。
そしてタイムにも確認した。 「決まり…だな。こいつァただの自律機械群じゃねェ…誰かがこいつらにテコ入れしてやがる。
おっと、そろそろ1時間だな。ま、どうせまた戦場で会うだろ。そういうもんだ」
領収書の上にカネを置くと、俺ァさっさと立ち去った。
自宅に着いたら、しばらく仮眠を取った後、またコスギの駅に出て、会社に向かった。
もうタマが撃ちたくなってきたぜ。あぁ、タマぁ撃ちてェ……
ピピピ…
AIスマホから連絡だ。どうやら課長かららしい。
「タイム、ニュースは見ているか? ま、見る癖は相変わらず付いていないようだから期待はしていない。
現場はヒヨシの上空だ。君の自宅の近くだから音はしないか? 襲撃があった。すぐに出社し出撃してくれ」
――
ってえことでデスギガスに俺は乗った。検査はもう済んでやがる。
ディスカバリー社の整備員ってのは優秀で困るぜ。こいつの装弾数はハンパじゃねェ…
さて、コスギタワーを過ぎたあたりがヒヨシのはずだ。敵はいつもの自律機械群だが、動きがおかしい。
たまに消えてるようにも見えるぜ?
このへんは学園都市らしく、学生どもがゾロゾロと避難中だ。さっさと逃げねぇと、俺もタマが撃てねェ……
と、国軍の奴らが来た。ディスカバリー社側は俺のデスギガスの他に援護用のギガスが2機、どっちもベテランよ。
サクラコーポレーションも増援で来るだろうが、国軍だけでも結構な数が揃ってやがる。
敵の数は、10ってとこか。タナカも呼ばれてる可能性が高いな。
ヒヨシの対空兵器はほぼ全滅したところか。敵どもが一斉にこっちに向けて発砲してきた。
「さぁ、タマをくれてやる…!」
俺は70mm長砲身グレネードをぶっ放した。
こいつァ範囲攻撃型兵器だ。周囲に人気がネェのを確認してから乱射する。
制圧平気たぁいえ、俺のデスギガスから発射されるそいつは貫通力もある。
ドドドドド……ドゴォォン……! ドゴォォオン……!
一気に三体ほどがグレネードの貫通力と爆発力に巻き込まれてバラバラになった。
そのときだ。
「何だ、ありゃ…ケミカルのマークだぜ、おい、お前らも見たか!?」
俺ァとりあえず同僚の連中に合図を送った。敵は物凄ぇ勢いで味方の一人をレーザーで打ち抜きやがった。
「ぐぁぁぁぁ!!!」
ジャックリーの機体だ。ありゃ一発だろうな。中身が軽い怪我で済みゃ良いがな。
俺ァ撤退しねェ……念のために相手に通信を送ってみる。
「俺ァタイムだ。タイム・スティール・ガンコン! タマァ撃たれたくなかったらさっさと幸福しろ
こっちにゃお偉いさんまでいやがるぜ!」 【って感じだ。遅れてすまんな……Good luck...!】 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています