TRPG系実験室 [無断転載禁止]©2ch.net
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TRPG関係であれば自由に使えるスレです
他の話で使用中であっても使えます。何企画同時進行になっても構いません
ここの企画から新スレとして独立するのも自由です
複数企画に参加する場合は企画ごとに別のトリップを使うことをお勧めします。
使用にあたっては混乱を避けるために名前欄の最初に【】でタイトルを付けてください
使用方法(例)
・超短編になりそうなTRPG
・始まるかも分からない実験的TRPG
・新スレを始めたいけどいきなり新スレ建てるのは敷居が高い場合
・SS投下(万が一誰かが乗ってきたらTRPG化するかも?)
・スレ原案だけ放置(誰かがその設定を使ってはじめるかも)
・キャラテンプレだけ放置(誰かに拾われるかも) つまんねえ自演だな
そんな汚物吐き散らかす臭い場所にして何が楽しいんだよ自称上級者 かつて地球上に存在し、人類の歴史上最も繁栄した時代。
その終わりは終末兵器と呼ばれる物が世界中に放たれたことによって、あっけなく訪れた。
世界中に広がった人類たちも、今ではわずかに残る汚染されていない区域に残るシェルターを
中心に街を築き、そこで細々と暮らしているだけだ。
だが、人類は過去の栄華を求めている。
食料の自動生産、重力の制御、人工的な超能力。暴走した無人兵器が闊歩し、除染不可能な毒物に塗れた廃墟の中に全てが眠っているのだ。
そして再び人類の手にこれらを取り戻すために、命知らずの探索者たちはわずかな武器と解毒剤を心の支えに廃墟へと潜る。
ジャンル:SF廃墟探索
コンセプト:ポストアポカリプス+ダンジョンアタック
期間(目安):特になし
GM:なし
決定リール:他PCに影響を与えるようなら相談を
○日ルール:一週間(延長可)
版権・越境:なし
敵役参加:あり
避難所の有無:なし
名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
種族:
職業:
性格:
能力:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:
2,3人集まるなら試しにやってみたい その感じだとジャンルにSFを掲げずにスペースファンタジーにでもしたほうがいいかもな 墜落世界みたいな感じかな
人間以外の種族に例があれば参考に見たいかも >>67
無理にSFにするつもりはないしそっちでもいいかな
>>68
人間以外だと
・機械化人間
・アンドロイド
・冷凍睡眠してた超能力者
・汚染に適応した新人類
・汚染された結果知性を得た動物・植物
がいる感じ、あくまで例だよ
>>69
あの人越境してるからルール的にアウトだし入れさせないよ
>>70
一回の探索につき一話完結形式でやりたいけど街どうしの輸送に
護衛で着いていくとかそういうのもアリだとは思う >>73
個人で街一つ潰せるとかビル丸ごと壊せるみたいな武装はない
最大でも動物の群れを潰せるぐらいで、そういう武器は大体大きめで持ち運びが大変 ガンコンは越境には入らないと思うゾ
もっとも入れないと明言するほど嫌いならそりゃGMの意思だしガンコンが入れなくはなるが まぁ越境の細かい意味はともかく
要するにどのスレでも同じようなノリの奴は参加させないってことでいいんだよな?
そういうので募集すんのも普通にアリだと思うよ
ガンコンやら師匠みたいのが来ないとハッキリしてれば安心して参加できるって奴もいるだろうし
主の考えを取り違えてたらスマンけど >>76
そういうこと、個人的にはあれも越境だと思ってるから 最近は集まりづらいみたいだしとりあえず対面でやってみたいので一人募集 >>78
タマ撃ちてえけど
入ってもええか?
銃使うが >>79
ガンコンさんと思われる方は上にも書いた通りお断りしています
仮に本人でないとしても紛らわしいのでお断りします 参加してみたいけどまずGM側から
キャラテンプレの一例みたいなの提示して欲しいの 名前:カナエ
年齢:27
性別:女
身長:181
体重:56
種族:超能力者
職業:探索者
性格:明るく世話焼き
能力:自分より軽い物を動かすことができる
所持品:小口径アサルトライフル・EMPグレネード・単分子ナイフ・石ころ
容姿の特徴・風貌:短くまとめた黒髪に整った顔立ち ポケットの多いジャケットと短めのズボン
簡単なキャラ解説:
数年前にシェルター近くの街に流れ着き、それからは探索者として働き生計を立てている。
街に来る前の記憶はあまり覚えておらず、廃墟で暮らしていたというぼんやりとした記憶があるのみだ。
探索の際には自らの超能力を活かし、他の探索者を援護する役目に回ることが多い。
超能力は対象を視認することで発動するが、生物や機械などの複雑な構造をしている物は動かせない。
一例としてはこんな感じです 超能力って色んなものを複合して持ってるの
テンプレに「能力」とか「技能」みたいな欄が欲しいな 名前:イズミ
年齢:16
性別:女
身長:158
体重:45
種族:改造人間(信号伝達特化型)
職業:スカベンジャー
性格:内気で臆病
能力:『テイム』一定時間目を合わせることで他の生命体や自律行動可能な兵器と心通わせ使役する
所持品:護身用拳銃、信号弾、解体道具一式
容姿の特徴・風貌:光学迷彩ポンチョ、薄緑の長髪、青く光を放つ両眼を大きなゴーグルで隠している
簡単なキャラ解説:
シェルター外縁に一人で暮らす改造人間の少女。
他の探索者達の後をこっそり付けて行って、彼らの倒した兵器からスクラップをちょろまかして生計を立てる『スカベンジャー』。
人と関わりたがらず、スクラップの売却や物資の買い出し以外では街に入ろうともしない。
対象と視線を合わせ続けることで思考中枢と交渉を行い味方に付ける『テイム』という技術を持つ。
彼女はこれを"心を通わせて仲良くなる"と形容しているが、実際は強力な信号で洗脳して隷属させることに近い。
始動するならこんな感じで参加希望 名前:DVAS-ME(ディーバス・エムイー)
年齢:製造から3年
性別:搭載されたAIは女性的な人格に形成されている
身長:2m
体重:200kg前後(食生活により変動)
種族:機械生命体
職業:守護者
性格:大らか、使命感が強い
能力:『エナジーソリディフィ』:熱や光を固体化させる科学技術
所持品:固形化エネルギー・遭難者保護キット
容姿の特徴・風貌:頭部が笑顔っぽくデフォルメされた芋虫型・背中にちっちゃく蝶の羽根がついてる
簡単なキャラ解説:
正式名称は『Defense at Variable Area System-Model Evolve』
変異区域における防御システム(自律進化モデル)
解毒剤や除染装置の研究を行っていた科学者が
汚染された自分の余命では研究は果たせないと悟って作り出した機械生命体
普段は居住可能区域のやや外側にある研究所で、引き継いだ親の研究を進めている他
汚染区域のすぐ傍=スラムの住人への援助をしている
全身の九割が有機物で構成されている為、捕食による自己修復が可能
体内には汚染に適応した生物の遺伝子モデルを解析し、作り出した除染器官がある
土地そのものを除染してしまうほどの性能はないが、ほんの僅かな綺麗な空気や食料を生成出来る
人命救助と除染研究の為、探索者には積極的に同行する
表情は固定だが、能力によるホログラムで喜怒哀楽の表現が可能
じゃーこんな感じで >>84
超能力は基本的に一人一つの能力です
複数の能力を持つのであればそれぞれの能力は低くなってしまいます
能力は既にテンプレにある部分を利用していただければ
>>85 >>86
そしてお二人とも参加ありがとうございます!プロローグを書くのでちょっとお待ちくださいね 太陽が遠くの山からわずかに顔を覗かせ、星が瞬く空に朝焼けが広がっていく。
何千年と繰り返された過程は、今日もまた繰り返される。
その日差しは、どっぷりと霧が立ち込める廃墟に届くことはない。
だが、そこから少々離れた高台のシェルター、そしてそれを囲むように広がる背の低いたくさんの建造物。
そこに住む住人に朝ということを示すにはちょうどよいものだった。
「……昨日は休んじゃったし、今日は頑張ろう!」
その建造物にある一室で、一人の女性が身支度を整えていた。
さっぱりとした印象を与える短く切った黒髪に、化粧をせずともそれなりに整った顔立ち。
白のシャツにジャケットを重ね、動きやすいズボンを着ている。
女性は軽く準備運動をすると、部屋のガンラックにかけてあったアサルトライフルを背負って部屋のドアを開けた。
ところどころ染みや汚れが目立つ廊下に女性は出ると、ドアに鍵をかける。
そして眠そうに他のドアから出てくる住人たちに軽く挨拶をしながら、女性は7番居住区と呼ばれる建造物を後にした。
女性の名はカナエ。昔は記憶喪失のスラムの住人だったが、今では探索者と呼ばれる職に就いている。
と言っても探索者は自称する者が多く、汚染区域の外縁部で突然変異した動物や植物に破壊された
超小型無人兵器の残骸を拾ってはスクラップ売りに出す者すら自らを探索者と呼んでいる。
カナエも最初は自称だったが、今では自他ともに認めるそれなりの探索者だ。
そんなカナエは今、廃墟に潜るために準備をしようとしていた。
まずは今日の昼頃からシェルター外縁近くの市場で行われるスクラップバザーに行き、武器になりそうなものを探す。
次に探索者を統括する探索支援センターに向かい、汚染区域に点在する偵察ドローンの情報を見て目星を付ける。
最後に街の外にある研究所に行き、解毒剤をもらって汚染区域へ向かう。
「一昨日はB-4とC-4が汚染レベル4だったって話だし、狙いどころはそこかな」
汚染レベルの高さはそのまま霧の深さを表し、霧の中に潜む無人兵器の数でもある。
この地域では大型・中型の無人兵器は確認されておらず、交流のある他のコロニーで何件か目撃報告がある程度だ。
つまり、せいぜい全高1m前後の小型無人兵器しかここにはいない。
カナエのような経験を積んだ探索者にとっては絶好の稼ぎ時であり、
おそらく徒党を組んでぞろぞろと探索者たちが汚染区域に向かう姿が見られるだろう。
「今日、私と組んでくれる人はどんな人だろう…楽しみだなぁ!」
太陽が山から完全に飛び出し、明るい日差しが街とシェルター、そして汚染区域を照らす。
だが、汚染区域だけは日差しすら飲み込むほどのどす黒い霧によって薄暗いままであった。
【ここまでがプロローグとなります!】 >>89 カナエさん
頑丈さだけが取り柄の知能レス生命体(人権の有無は不明)で参加希望するよ。
プレイヤーの知能も足りなくてシンプルなレスしか書けそうにないけど。
もし参加を許してくれるなら設定や導入の相談に乗ってもらいたい。
特に理由の無い参加拒否でも俺は納得できるから安心してくれ。
名前:ARL-X100
年齢:20年物
性別:男性型
身長:182cm
体重:83kg
種族:時代遅れの労働生命体
職業:底辺探索者
性格:訓練されたライン工
能力:特殊工具を用いた単純作業
所持品:大型射突式掘削工具(退職金の現物支給)
容姿の特徴・風貌:作業用ジャケット(退職金の現物支給)
簡単なキャラ解説:
"メンテナンス・フリーで百年使い潰せる労働者"のコンセプトで少数生産されていた人造人間。
より高度な知性を持つ新型SARL-X1000(通称サルクス・シリーズ)に仕事を奪われて現在に至る。 ………………Current time is 4:53.1hour before sunrise.
…………Restarting operation Program【DVAS-ME】.
街の郊外にある、廃墟を再利用した研究所。
昼夜を問わず明るい室内。
塵一つ落ちていない、継ぎ目一つない床。
「うぅん……もう朝ですか……」
そこに横たわっていた巨大な芋虫が、うめき声を漏らしながら体の半分を起こす。
そのまま大きく伸びをして、イボ足で歩き出す。
日の出にはまだ一時間ほどある。「街」の人々は眠っている時間だが、芋虫の朝は早い。
向かう先は変異生物プラント。
芋虫、もとい彼女、もといディーバスは、研究所内で汚染された動植物を生育していた。
シェルターに程近い、或いはシェルター内部に住むハイカーストの住人からの心象は良くない。
だが汚染された動植物は、誤ってプラントから脱走させたりしなければ、人類にとって有用だ。
短期的には、ディーバス内部の除染器官を用いた食料の形成、そして解毒薬の製造。
長期的には、特殊な能力を持つ変異生物の家畜化、栽培化。有毒生物の無毒化、食料化。
そして……恒常的な除染方法の確立。
ディーバスがプラントに着いた。
変異生物は全て、淡い光を発する大小のケージの中に収容されていた。
エナジーソリディフィによって形成された光の檻。
脱走を図れば香ばしく薫るウェルダン気味のステーキが出来上がる。
ただし汚染されている為「普通の人間には」食べられないが。
ディーバスが口から糸を吐く。
ケージ内の、豚が原型であろう汚染動物の身動きを封じ、強引に引っ張る。
彼女の朝食が断末魔の悲鳴を上げた。
「……いただきます」
ディーバスはそれをもりもりと頬張っていく。その後は汚染植物を同様に摂取。
豚を丸ごと一匹は朝食にしては量が多いが、彼女の体内には除染器官がある。
朝食の殆どはそれを通して無毒なペースト状の食料となり、スラムの住人に配られる。
その為には一度口から吐き出す必要があるが、その様を見られるのは人の精神衛生上良くないと彼女は知っている。
なのでこうして、日の出の一時間前から準備を始めていた。
食料の準備が終わると、ディーバスは研究所を出て街へ向かう。
解毒薬の配布は自作のロボットに任せてあった。
配布の際には採血が必要だ。健康診断と、二重受け取りの防止の為だ。
ロボットを叩き壊す事は容易だが、街でずっと生きていく為にはそれを実行するのは賢明ではない。
食料の配布が終わると、ディーバスは研究所には戻らず、そのまま汚染区域へと向かう。
除染の研究の為には、たくさんのサンプルが必要だ。
「……おや、カナエ?カナエじゃありませんか!」
道中、見慣れた後ろ姿にディーバスは声をかける。
「体調はもう良くなったんですか?無茶はいけませんよ」
カナエはディーバスにとって馴染み深い人間の一人だ。
記憶喪失だった彼女の治療に際して、ディーバスも関わった事があるからだ。
もっとも好ましい結果は得られなかったが……むしろ得られなかったからこそディーバスは彼女の事を気にかけがちだ。
「汚染区域に行くなら、私も同行しましょう。
私のバリアがあれば怪我も無駄弾も抑えられますよ!どうです、嬉しいでしょう!
あなたが嬉しいと私も嬉しいですよ!うんうん!」
【よろです】 >>90
【参加歓迎します!そしてそろそろ人数がまとめきれなくなってきたので
アルクスさんで一旦締め切ります!
設定や導入の相談というのは具体的にどの辺りでしょうか?】 >>91 よろです
こっちも、よろしく頼む。想像してた以上に、SFというか遠未来モノをやってて驚いた。
もし配給ペーストの真実が明るみに出たら、スラムで何かしらの惨劇が起こりそうだ。
>>92 具体的に
この世界の倫理観について、何か設定が用意されているなら聞いておきたかったんだ。
つまり"人工的な身体機能調整を施されて生み出されながら人間の姿を保った何か"の人権問題だ。
普遍的、支配的な倫理規定に縛られた世界なのか、そのあたり地域や環境ごとに多様性のある世界なのか。
そういうわけで二種類の導入プランを考えた。
都合よさそうなモノがあったら、採用してもらいたい。
遅れたけど、参加許可を出してくれてありがとう。また来るよ。
○導入プランA
『スクラップバザーで"武器になりそうなもの"を探していたカナエさん。
異常な程の破格値で売り捨てられていたSARL-X1000本体と使役ライセンスを発見、即購入。
汚染区域への道中、彼女は未だ、己の三歩後ろに付き添ったソレが実はARL-X100である事に気づいていない』
・メリット:本編初登場時すでに合流済みであるため、俺が楽である。
・デメリット:カナエさんにドジっ娘属性が付いてしまう恐れがある。
○導入プランB
『探索者を統括する探索支援センターに向かったカナエさん。
センターが管理する単独探索者向け登録制マッチング・サービスを密かに利用していた。
今回、人材枯渇ないしセンター側の不手際により、彼女は素人探索者アルクスと現地集合する運びとなった』
・メリット:フラットかつオーソドックスな導入である。余計な属性も付かない。
・デメリット:本編初登場時の合流シーンに割かなければならない時間が増える。 霧に包まれた汚染区域の一角。
もとは商業地域だったらしいこのエリアもかつての栄華は遠く、錆びつき風化した文明の欠片を残すばかり。
シダ科の植物に覆われたビルは同じ数の亀裂を刻み、水没した地下駐車場で奇形の魚が時折跳ねる。
水音と木立の葉の擦れる音だけを旋律とした歪な大自然のオーケストラに、無粋な音が一つ混じった。
銃声だ。駝鳥に似た二本脚で走る無人兵器と、それを取り囲む探索者の集団。
銃弾に炎、そこに超能力の光が混じり、瞬く間に小型無人兵器の装甲が砕かれ沈黙した。
無人兵器の残骸に、それを倒した探索者達が蟻のように群がり固形燃料や兵装を剥いでいく。
成果に満足したらしき団体はそのまま汚染区域の奥へと消えていった。
無人兵器の骸だけが残され再び静謐を取り戻した空間。
すぐ傍の小岩の表面が『剥がれ』、そこに身を隠していた人影が姿を現した。
「もう行ったかな……よし、行くよニヤック」
光学迷彩の施された外套で隠れていたのは小柄な少女だった。
栄養状態の悪そうな線の細い背丈、陽光を柔らかく受け止める薄緑の長髪。
安物のポリムファイバーで織られた衣服の各所に革製のポーチを巻き付け、顔には巨大なゴーグルを付けている。
少女の名はイズミ。探索者の打ち倒した無人兵器の残骸からスクラップを漁って生計を立てる『スカベンジャー』。
周囲を警戒しながら中腰で歩く彼女の後ろを、小型の牛にも似た四足自律機械がついていく。
CC-86『キャリーカブ』。兵站輸送を目的に造られた小型無人兵器だ。
人類に対して敵対的なはずの無人兵器が、何故かイズミに追従し"ニヤック"と名付けられて彼女の手足となっていた。
「まずは装甲から剥いでいこうね」
イズミは残骸に取り付くと、ポーチの中からニッパーやノミ、金槌を取り出して焼け焦げた鋼鉄の塊を解体していく。
装甲の継ぎ目にノミを当て、金槌で叩いて隙間を広げ、ニッパーを差し込み装甲同士を繋げるリベットを切断。
手袋を付けた両手で引っ張れば、薄い板金装甲程度ならイズミの力でも剥がすことができる。
重いものはワイヤーを括り付けてニヤックに牽かせて強引に引っぺがす。
30分ほどで兵器の残骸は綺麗に腑分けされたスクラップになった。
「わっ、90式徹甲弾が誘爆せずに残ってるよ!大収穫だ!」
ニヤックと顔を見合わせて(正確にはゴーグルと視覚センサーを)喜び合う。
解体したスクラップの中から特に価値のありそうなものを選定してワイヤーで縛り、ニヤックの背に括り付けた。
後に残ったのは値の付けられない金属の瓦礫の山。いずれ鉄喰虫の餌にでもなることだろう。
スカベンジャーを腐肉漁りと蔑む者もいるが、こうして食物連鎖と経済を同時に回す者が世界に必要なのも確かだ。
「今日はもうちょっと奥まで行ってみよっか」
ニヤックの積載にはまだ余裕がある。
イズミは迷彩外套を自分とニヤックに被せて姿を消すと、新たなおこぼれを求めて汚染区域を進み出した。
【導入です。イズミは正式な探索者ではないのでカナエさんの同行者ではなく現地で遭遇する感じでいきたいです】
【カナエさん、ディーバスさん、アルクスさん、よろしくです】 >「……おや、カナエ?カナエじゃありませんか!」
スクラップバザーの開かれる市場までの道中、後ろからの聞き慣れた声に振り向く。
そこにいたのはカナエの友人の一人、ディーバスだった。
巨大な芋虫のような姿は見慣れない者にとってはぎょっとするような見た目だが、
カナエのような馴染みのある探索者にとってはむしろ愛嬌すら感じられる。
「おはようディーバ!相変わらず丸っこくてかわいいね!」
探索者たちにとって解毒薬は大事なものだが、誰でも作れるというわけではない。
かつて存在した文明の一部が残るシェルターの研究者ですら、安定した量産は難しいのだ。
だからこそ、解毒薬をあっさりと作ってのけるディーバスとその研究所は
シェルター内部への移転を打診されているほど重要な存在である。
>「体調はもう良くなったんですか?無茶はいけませんよ」
「大丈夫だよ、ちょっと風邪を引いちゃったぐらいなら部屋でぐっすり寝てれば治るから!」
この街に来たとき、自分が何者だったのか分からずスラムを彷徨っていたカナエを
治療してくれたのがディーバスだ。
治療は長く続いたが、自分の名前は思い出せたもののこの街に来る前は
ただ廃墟にいたということしか分からなかった。その時からディーバスとは長い付き合いが続いている。
>「汚染区域に行くなら、私も同行しましょう。
私のバリアがあれば怪我も無駄弾も抑えられますよ!どうです、嬉しいでしょう!
あなたが嬉しいと私も嬉しいですよ!うんうん!」
「来てくれるの?それならわざわざ市場に行く必要はなさそうだね……
よし!じゃあ解毒剤をもらって早く汚染区域に行こう。今日はB-4とC-4で霧が濃いみたいだよ〜」
ディーバスは滅んだ技術の一つである熱や光を固体化させる技術を持っている。
彼女の能力は単純な思考ルーチンしか持たない無人兵器にとっては極めて強力であり、
むしろカナエの方から同行を申し出たいほどであった。
また、解毒剤の配布は探索支援センターでも探索者向けに行われている。
汚染区域寄りの場所にある探索支援センターに直接向かえば、シェルター寄りの市場に行くよりはるかに早く
稼ぎに行くことができるだろう。
【イズミさんとの合流はなるべく早めに行いたいのでその辺りよろしくお願いします!】
>>93
【かつてあった文明では人間によく似た生物は大量に存在しました。
それは労働用であったり愛玩用であったり色々いましたが、「ヒトと同じような心を持たない」
という一点において備品や物品扱いが地域や文化にかかわらず主な風潮であり、彼らに人権を求める者たちは一般的に変人でした。
ですが現在では「意志疎通できればそれでいい」といったアバウトな考えによって彼らも人とみなす者は多く、
彼らを人間扱いしないのはシェルター内部に住む一部の特権階級のみとなっています。
というわけでプランBの形で参加していただきたいと考えています】 【>>94 よろしくです
イズミと本隊が遭遇する段階でアルクスも居るかはまだわからないけど、よろしく頼む。
>>96 プランB
わかった。投下タイミングはどうしようか。
基本的に順番が固定なのか、ターン毎で流動的になるのか。
新しいターンの開始時点で、アルクスの現在位置は集合場所の付近だ。
きちんと指定位置で待っているか若干迷子気味の位置で発見されるかは、任せたい。
集合場所自体は何処でも構わない。進行の都合に合った場所が指定されていた事にしよう。
現在進行中のターンのどこかで俺の手番を差し込む事になった場合は、
他の三人の行動に影響しない範囲のプロローグ部分だけにしておくよ】 >>98
【投下の順番は参加順でお願いします!
つまり次のお二人のレスが終わった後で投下です】 ふむふむ、じゃあ私が次のレスでイズミさんアルクスさんと合流可能なシチュエーションまで
場面を運んでしまった方がいい感じですかね! 探索者同士でチームを組む場合、探索支援センターは同施設への申請を推奨している。
理由は収穫の独占を目的とした裏切りの抑止。
どこかのチームで一人だけが死んで、残るメンバーが高価な収穫物を、無傷で持ち帰ってきた。
そのような事が起きていないかを監視し、また起きていた場合に事実確認をする為だ。
またチームの結成そのものも、支援センターは推奨している。
これは単独の探索者よりもチームを組んだ探索者の方が、統計的に生存率が高いからだ。
加えて誰かが死亡した際の過程、原因……その情報を他のメンバーが持ち帰れるのも重要だ。
ディーバスも正規探索者の資格を持っている。
除染研究の為には実地での資材収集が不可欠だからだ。
「おや、カナエ。オートマッチングを使ったんですか。利用すると諸費用が割引されるんでしたっけ。
相手さんのお名前は……ARL-X100?アンドロイドか何かでしょうか」
端末でチーム結成の報告をしようとして、ディーバスはカナエがオートマッチングを利用している事に気付いた。
あるいは何かの手違いかもしれないが、端末上に手違いですと表示される訳もない。
20年前の型落ち労働生命体の名は、彼女の知識にはないようだ。
「ふむふむ、集合場所は……B-4区画の第二セーフルーム、と。じゃあ早速行きましょうか」
汚染区域には探索者達が作った安全地帯が点在している。
それらは大型敵性存在の視線が通らないだけ程度のものから、小型のシェルターを改造したものまで様々だ。
後者の利用には正規探索者の、汚染されていない、新鮮なDNAが必要になる。
非正規の探索者や、毒に侵された者がセーフルーム内で変異するのを避ける為だ。
だが第二セーフルームは、倒壊した建物の建材とワイヤー、カーボンフレームが作り出した、洞穴のような場所だ。
集合場所、あるいはそこへ向かう道中、ディーバスは小さな異常を感じ取った。
神経に接続された『エナジーソリディフィ』が、不自然な光の波長を違和感として告げている。
何かが、そこにいる。
「……そういうやり方は、あまり関心しませんねぇ」
言うやいなやディーバスは「何か」に糸を吹きかける。
粘着性の糸が虚空に人型の輪郭を描き出す。
「私達はお互いただの探索者。こうして相手を試すような行為は良くないですよ……」
光学迷彩が溶ける。糸に絡め取られていたのは、小柄な少女。
どう見ても型番が名前になるような外見ではない。
「あ、わ、わ……すみませーん!人違いでしたぁ!
今綺麗にしますから少しじっとしてて下さい!すみません!すみません!」
ディーバスは頭を何度も下げながら、イボ足を触手のように伸ばして糸を取り除く。
その過程で、一つ気付いた。目の前の少女の四肢がか細く、血色も悪い……慢性的な栄養不足にあると。
「……本当に申し訳ないです。これ、もし良ければお詫びとして受け取って頂けますか?」
そう言ってディーバスが差し出したのは遭難者用の携帯食料。
高い栄養価はこの時世、誰にとっても高価値ではあるが……探索者同士のお詫びの品に選ばれる事はまず無い。
ふと、ディーバスの頭上に電球のホログラムが現れる。
「あ、そうだ!あなたも、探索者なんでしょう?即席で良ければチームを組みませんか?
カナエも、良いですよね」
ホログラムが満面の笑顔を描き出す。こういう時の彼女は強気である。
何故なら他の選択肢を考えようとしないからだ。
それは人の守護者として作られた彼女の性格……あるいは設定、なのだ。
「……あれ?でも、あなたはARL-X100さんじゃない……ですよね。じゃあ、アルクスさんはどこに?」 【場面を運ぶまでになんとなく書きたかった事はでっちあげました。
あとイズミさんへの決定ロールも。問題があれば無かった事にしてください。
イズミさんとの合流地点はどうとでも出来るようぼかしておきました。
それ故に生じる曖昧な部分(結局アルクスさんはどこにいるのか?とか)は適時いいかんじにあれこれしてください】 【オーケー、大体把握した。とりあえずターン終わりに備える。
状況次第では、アルクスが本編に頭を突っ込む部分まで書くかもしれない。
その場合、三人の様子を近くから見てたことにして適当に登場するから拾ってやってくれ】 汚染区域・B-4区画。
地図を片手に鬱蒼と茂る奇形植物を掻き分けながら進むイズミは、前方に開けた空間を発見した。
「セーフルームだ。ちょっとお休みしよ、ニヤック」
どうやら先行した探索者集団とは別ルートを取ってしまったらしく、収穫らしい収穫は見つからなかった。
輸送兵器として巡航性能に特化したニヤックの燃料にはまだ余裕があるが、主人たるイズミ自身はそうはいかない。
ソールのすり減ってしまったブーツで足場の悪い茂みを歩き続けて、イズミは疲労困憊だった。
蒸し暑いこの辺りでは一歩ごとに汗が噴き出す。ゴーグルに息を吹き掛けて曇りを取る。
喉の渇きが酷い。持ってきた水筒の中身はとうの昔に飲み干して、今はその辺のシダの茎を噛んで乾きを誤魔化している。
探索者が中継地点として利用するセーフルームなら、汚染された水源から汲み出した水を濾過する装置があるはずだ。
「どう?ニヤック。他に人いるかな」
錆びが浮いた金属装甲を撫でながら問うと、ニヤックは鼻先の熱源センサを震わせて否定の唸りを上げた。
何度か訪れたことのあるこの第二セーフルームは廃材で形だけ整えたような間に合わせの掘っ立て小屋だ。
最低限の設備はあるが、対無人兵器用の自動タレットや警報も存在しない、本当に風雨を凌ぐ為だけの場所。
有り体に言えば、人気がない。正規資格を持たないスカベンジャーのイズミにとっては都合の良い場所だ。
鉄喰虫に齧られて穴だらけの鉄扉を開けば、風に巻かれて埃が舞う。やはりセーフルームは無人だった。
手探りで発電機のスイッチを入れると、羽音のようなダイナモの唸りと共に前時代の蛍光灯が室内を照らし出す。
いくつかの椅子と中央に大机、誰が持ち去ったのか空っぽの食糧備蓄箱と、奥にはこの区域の安全・危険地帯を示すマップ。
支援センターの識別子のついたガンラックは、やはり中身が戻されることなく空座のままだ。
「ここにあったショットガン、盗まれたのかな……それとも、持ってった人が帰ってこれなかったのかな」
ガンラックの扉の裏を見るとセンターが最後にここに補充と巡回に訪れた一月前の日付が記されていた。
正規のIDがなくとも利用できるこのセーフルームは、往々にして無法者のねぐらになりやすい。
他ならぬイズミもその一人であるし、そんな場所に対するセンターの優先順位は当然低い。
発電機の燃料がまだ残っていたのが奇跡に近いとさえ言える。
「そだ、お水お水」
濾過器の電源を入れ、ポンプの組み上げた水が濾過と遠心分離で浄化されていく。
言うまでもなく空だった貯水槽が満たされるまで、綿の潰れたソファに腰掛けてイズミは暫しの休息を取った。
いつの間にか微睡みの中にあったイズミは、表に繋いでいたニヤックの鳴き声で飛び起きた。
「な、なに、どしたの?」
ニヤックには広範囲を索敵可能なセンサを搭載している。
首元のホログラム・インターフェースに表示された周囲の熱源情報に、見慣れぬ複数のマーカーが存在していた。
野生の無人兵器ではない。まだ距離はあるが、このセーフルームに向かって来る者――探索者がいる。
すぐに発電機を切って照明を落とし、貯水槽の水を全て水筒に移してポーチに収める。
イズミがここにいた証拠を全て隠滅し、セーフルームを飛び出した。 非正規の何者かが支援センターの施設を勝手に利用していたと知られるのは後々まずい。
もっとまずいのは、イズミというスカベンジャーの存在を他の探索者に知られることだ。
スカベンジャーの社会的地位は極めて低い。戦果を漁り盗っていく者を快く思う探索者などいない。
スクラップ漁りの現場を探索者に見咎められて、解体した資材を要求されたことは何度もある。
法的根拠と探索者の武力を背景に迫られれば、戦闘力のないスカベンジャーに抗う術は殆どないのだ。
よって、ここは隠れてやり過ごすべきだろう。
イズミはセーフルームに続く獣道の端にニヤックを停め、自分ごと外套を被って迷彩化。
念のため護身用の拳銃に手を掛けながら、出来る限り呼吸を鎮めて足音が通り過ぎるのを待つ。
やってきたのは、二つの人影だった。いや、"人影"と呼ぶには少し語弊があるかもしれない。
影のうち一つは、巨大な芋虫にも似た異形だった。機械生命体だ。
>「……そういうやり方は、あまり関心しませんねぇ」
探索者達が通り過ぎるその刹那、芋虫が足を止めた。
こちらを――光学迷彩で見えないはずのイズミを、芋虫の頭部が捉えた。
(うそ、気付かれ――)
思うが否や、芋虫の口(?)から白くネバネバした何かを噴き出した。
蜘蛛の糸とでも形容すべきそれがイズミの外套に降り注ぎ、驚いたことに光学迷彩が機能を失った。
「やっ……なにこれ……!」
>「私達はお互いただの探索者。こうして相手を試すような行為は良くないですよ……」
逃げ出そうとするが、糸に手足を絡め取られて動けない。ニヤックも同様に拘束されていた。
咄嗟に外套を脱ぎ去る。完全に姿を見られてしまったが、両腕だけは自由になった。
ニヤックが唸り、今にも飛びかからんと四足を屈する。
イズミもまた、拳銃を構えると共に『攻撃命令』を下す指笛を吹こうとして――
>「あ、わ、わ……すみませーん!人違いでしたぁ!今綺麗にしますから少しじっとしてて下さい!すみません!すみません!」
イズミの姿を見た芋虫が突然平謝りしだした。
イボの付いた前足(?)がイズミとニヤックに絡まった糸を手早く解く。
「うぇ……人違い……?」
芋虫の様変わりに毒気を抜かれたイズミも拳銃と口に当てていた手を降ろした。
どうやら芋虫は、隠れていたイズミを別人と断定して拘束を仕掛けたらしい。
>「……本当に申し訳ないです。これ、もし良ければお詫びとして受け取って頂けますか?」
芋虫が何かをイズミの手に押し付けてくる。
棒状に固められた携行食糧。セーフハウスにも置かれている、救難用物資の一つだ。
ここ2日ほどシェルター外縁に自生している木の実しか口にしていなかったイズミは喉がカラカラなのに涎が出るのを感じた。
だが与えられた食糧を促されるままに食べるわけにはいかない。
汚染区域において大方の食糧は一日ほどで汚染されてしまうし、それを安全と偽って食わせる無法者も珍しくない。
どんなに喉が乾いていても川の水は飲めないし、放置された食糧は食べてはいけない。
イズミはそう教わってきたし、その教えを守ってきたから一人でこの齢まで生き延びることができた。 渡された携行食糧を一欠片千切ってニヤックの口に放り込む。
ニヤックはそれを咀嚼し、内部のセンサが汚染と毒素の検査を行い――何の毒も検出されなかった。
高カロリー高栄養かつ消化に適した、非常に良質な食糧である。
(良いひと……なのかな……)
そこまでしてようやく、イズミは最大の警戒を解いた。
少なくともこの芋虫に、問答無用でイズミを害する意志はないらしい。
喫緊の生命の危機が去ったことに胸を撫で下ろして、同時に別の安堵が芽生えた。
(よかった……殺しちゃわなくて)
イズミが吹こうとした『攻撃命令』の指笛。
合図を送る対象は、傍で呑気に草を食んでいるニヤック――ではない。
>「あ、そうだ!あなたも、探索者なんでしょう?即席で良ければチームを組みませんか?カナエも、良いですよね」
イズミが食糧を受け取ったのを和解したと解釈した芋虫が勝手に話を進めだす。
カナエと呼ばれた同行者の意向を伺うことなく、ずいと顔(?)をこちらに突き出した。
ご丁寧にホログラムで笑顔を表示しているが、イズミにはそれが肉食獣が牙を剥く姿に見えた。
「や、やめて……構わないで。わたし……探索者じゃ、ないから。アルクスって人も、知らない」
無機質な笑顔に気圧されたイズミがニヤックの後ろに回って縮こまる。
肝心のニヤックは、敵意がないことを敏く理解して排気口から温い息を吐いた。
重ねて言うが、スカベンジャーの社会的な立場は極めて低い。
探索者として十分な経験を持つ者なら、イズミの装備やニヤックの積載物から、彼女が正規の探索者でないことを察するだろう。
そして探索者として経験を積んでいるほどに、スカベンジャーに対する軽蔑を持たずにいることは……できない。
【合流ロール入れました。上みたいなこと言ってますけど強引に誘ってもらえると嬉しいですね】 【今夜あたり、まとまった時間を作れる心算でいたんだけど、予定が変わった。
待たせてすまない。早ければ火曜、遅くとも水曜の夜までに必ず何とかする】 【もし間に合わないようであれば早めの連絡をお願いします】 ――――薄暗い霧の向こうで二つの影が動いていた。何故か、二つが。
「おかしいな……ついさっきまで、お互いソロのマッチングだった筈だけど」
推定・人間と推定・機械の二名が居る理由について、幾つかのパターンが想定された。
無関係な探索者の二人組が偶然居るだけかもしれないし、実は、片方の人間が全くの他人で、
もう片方が、急遽アンドロメダあたりで機械の身体を手に入れたカナエさんという可能性も考えられる。
「だとすると、相当のっぴきならない事情があったんだろうな。
どうすりゃいいんだ……直接、本人に聞き難くなっちまった」
携帯端末で登録情報更新の有無を確認しようとして、センターからの通知が表示されている事に気付く。
『探索を行うに際し"スカベンジャー"の動向に注意せよ』という内容の注意喚起だった。
改造人間が自律機械等を使役したと思われる状況も確認されたらしい。
「なん…だと? それじゃあ、まさか、あそこに居るのは――」
――もしそうだとすれば、この後の探索の成果が一部掠奪されるかもしれない。
こちらから先手を打って威嚇するべきだ。驚いて退散してくれるなら、それで構わない。
探索者としての勘と生存本能が、スリープモードに入っていた右腕の獲物をスタンバイさせた。
オセンカズラの付着根に覆われた大型廃棄コンテナに背を預け、遮蔽にする。
低く唸る起動音を聞きながら、俺は脳裏で最適戦術の模索を開始した。
伏兵の可能性を含めた敵集団の規模と、現在位置および機動力。
推測される携行ないし搭載武装、霧による光学兵器の減衰率。
それら全てを総合して最終的に構築されたのは、概ね以下の様な戦術だった。
右ストレートでブッ飛ばす。
真っすぐ行ってブッ飛ばす。
『……そういうやり方は、あまり関心しませんねぇ』
―――気付かれたのかっ!?
距離が離れているせいで、正確な内容は聞き取れない。
しかし、潜伏者に対する警告であるのは確かだ。
恐ろしく訓練された殺人機械に違いない。
俺は、五感を研ぎ澄ませ身構えた。 『やっ……なにこれ……!』
推定殺人機械のターゲットは、どうやら俺とは違う誰かだったらしい。
霧の中に浮かんだ人型の輪郭が、少女の姿に変わった様に見えた。
『……本当に申し訳ないです。これ、もし良ければお詫びとして受け取って頂けますか?』
「なるほどな……大体わかった。たぶん、あの機械は―――」
暗がりに身を潜めて、気配を殺す。
今、専念するべきは得られた僅かな情報の把握と分析だ。
俺の明晰(MEISEKI)な脊髄は、斯かる状況に対する合理的解釈を瞬時に弾き出した。
「―――"隠れてる奴を見つけた場合に謝りながら携帯食料を差し出す機能"を搭載してる」
かがくのちからってすげー!
ちなみに、そんな機能が何の役に立つのかは不明だ。
けど、そんなものは些末な問題だった。重要なのはファクト・チェックの精度だ。
あの少女は隠れていたか? ――YES.
あの機械はそれを見つけたか? ――YES.
そして差し出されたのは食い物か? ――YES.
恐ろしい事に……こうして検証された事実は、その全てが俺の推論を補強するモノだった。
論理的連結の過程に瑕疵は存在しない。故に、己が行うべき最適解は自ずと導出される。
隠れていよう。
隠れてしまいたい。
視線を合わせられない。
けれど見つけ出してほしい。
そして食べ物などを与えてほしい。
"―――乙女心とは、概してそういうモノです、ARL-X100"
それを何時か何処かで……誰かが教えてくれた遠い声を、俺は思い出していた。 【転載元】
http://mint.2ch.net/test/read.cgi/net/1487404855/671
671 名前:ししょー ◆GVviREE7QI [sage] 投稿日:2017/03/16(木) 01:22:00.49 ID:9IpOIz0k
【やはり生きていたか、方々探し回った甲斐があった。
現在、当方は規制により作成したレスの続きが投下出来ない状態にある。
ルールに明記されている主たる趣旨とは異なるが、此処を伝言板として利用させてもらいたい。
ttp://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1475651973/◆/4VhtBS0xQ
ttp://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1479560761/◆u0tKBm6XaGtQ
原因は不適切な文字列、"NGワード"あるいは"NGパターン"らしいんだ。
レスの中で口の悪い会話が延々と繰り返されてた都合上、
前者の心当たりがあまりにも多すぎてな……。
品行方正な表現に差し替えて投下ってのを何度か試してる内に、致命的なコトになった。
すっかり後者のパターンを失念してた。解除が何時になるのか読めない状態だ。
長引いたら、それとなくスレの同僚に教えてやってもらいたいんだ。
「規制による止むを得ない春休みだ……断じて"失踪"じゃない」ってな。
原因が原因だけに、何処かで代筆を頼める状態にもない。
その間、ヴァグラントとアルクスの処遇は同僚に一任(まるなげ)する。
何だか有事の際の一方的なボランティア要請みたいになっちまってすまないが、
この一レスだけ置いて行くのを許してくれ。無事にリカバリーした時には、礼を言いに来る。
――――ぐっどら!(挨拶)】 あらら……なんとまぁ……
ふと思ったのは、人数も揃って軌道に乗りつつありますし
避難所を用意してもいいんじゃないかなって事です
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/9925/
ここで間借りすれば手間もかかりませんし
せっかく一緒に遊びましょうと集まったのに、そんな事が原因で叶わないのはとても悲しい事です 避難所の件、わたしは賛成です
代理投稿も出来る限り協力します
だからアルクスさんには是非続けてほしいです 元々短編集みたいに短いのを何個も作るつもりだったので避難所はさっぱり考えていなかったんですよね…
避難所作っちゃうと打ち合わせとかが本スレで見れなくなるので新規の方が分かりづらくなるし
ただメンバーの一人が規制されたとなると、代理投稿目的としての避難所は十分必要だと思います
というわけで作ってきます ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/9925/1489644985/
とりあえず建ててきました 探索支援センターは探索者が増え始めてからしばらくして作られたものだ。
解毒剤を飲んでもなお耐えきれないような重度の汚染区域が時間の経過と共に
減少し、薄い霧で廃墟が満たされるようになってから、シェルター外縁部に作られた街に
住む人間がスクラップを漁りにシェルターから配布された解毒剤を飲んで廃墟に潜っていくようになった。
最初は少ない人数だったが、無人兵器の巡回ルートや弱点、対抗するための武器が街で生産されるようになってから
徐々に増え始め、質の高い探索者たちの収穫物(無人兵器のCPUや設計図など)をシェルター側が研究のため買い上げるようになると
今度は探索者による解毒剤の強奪や探索者を狙った犯罪が発生した。
これらの発生を防ぐため、シェルター側は探索支援センターを設立。
探索者を資格制にし、収穫物を必ずセンター側に提出することで探索者の偽装や収穫物の過小申告を防いでいる。
>「おや、カナエ。オートマッチングを使ったんですか。利用すると諸費用が割引されるんでしたっけ。
相手さんのお名前は……ARL-X100?アンドロイドか何かでしょうか」
正規探索者の資格を持つカナエは、よくセンターを利用している。
いちいち他の探索者に予定を聞くよりこちらで探してもらった方が手っ取り早い上、
収穫物提出の際に発生する手数料がある程度割り引かれるからだ。
「ARL-X100……アルクスって読むのかな?機械化人間とか自我を持った自動機械かもね。この辺りじゃあんまり見かけないけど
遠くには機械化人間だけの街があるって聞いたよ」
端末のタッチパネルを操作し三人でチームを組むことをセンターに報告。
その後売店で弾薬を補充し、二人は集合場所である汚染区域B-4区画、第二セーフルームへと向かった。 既に大規模な探索者チームが通り過ぎた後なのか、道中は小型自動兵器の残骸が転がっているだけだ。
弾丸や近接武器でひしゃげた装甲や、衝撃で壊れた電子機器を除くと売れそうなものは見つからない。
カナエはそれらを無視して通り過ぎることにした。
第二セーフルームが見えてきたところで、ディーバが止まった。
カナエもそれに反応し、背負ったアサルトライフルを素早く構えて周囲を見回す。
>「……そういうやり方は、あまり関心しませんねぇ」
ディーバは見つけたらしく、虚空の一点めがけて粘着性の糸を放った。
どうやら光学的ステルスを持っていたらしく、まるで見えなかったその姿が糸によって露わとなる。
>「私達はお互いただの探索者。こうして相手を試すような行為は良くないですよ……」
「それは同感だね、ディーバ。解毒剤を盗んだスカベンジャーかもしれないけど」
銃口を糸にくるまれた何かに向け続け、やがてステルスが溶けて顔が見えた。
ゴーグルをかけた顔は少女のそれで、続けて露わになった身体はとても細い。
>「あ、わ、わ……すみませーん!人違いでしたぁ!
今綺麗にしますから少しじっとしてて下さい!すみません!すみません!」
ディーバが糸を取り除くのに合わせ、カナエもまたアサルトライフルの銃口を下げる。
ベルトを肩にかけてアサルトライフルを背中に背負うと、少女と同じ目線に合うようにしゃがんだ。
近くにいた自動兵器と一緒に行動していたようだが、ハッキング用の機器を持っているようには見えない。
第一自動兵器の乗っ取りはシェルターにあるような高度な機器と専門の技術者が行うようなものだ。
設備もない汚染区域でできるようなことではない。
>「あ、そうだ!あなたも、探索者なんでしょう?即席で良ければチームを組みませんか?
カナエも、良いですよね」
>「や、やめて……構わないで。わたし……探索者じゃ、ないから。アルクスって人も、知らない」
「探索者じゃないとすれば、スカベンジャー?あなたみたいな年でやってる
子もいるんだね……ディーバ、これは難しいよ」
ハァ、とため息を一つついて考える。
スカベンジャーは探索者からは忌み嫌われる存在だ。
探索者のチームの中にはスカベンジャーをわざわざ探し、その死体を汚染区域にぶら下げることを
目的とする連中もいるほどだが、カナエはそこまで嫌いではない。
他の自動兵器に漁られて再生産されるぐらいなら、スカベンジャーたちに街まで運んでもらった方が
いいというぐらいには思っているし、だからこそよくスクラップバザーに行く。
だが、こうして直接戦わずに戦利品を大量に積載している姿を見てみると複雑な気持ちになる。
正規の探索者でないならセンターに行く必要はなく、全て自分の儲けにできるのだ。
「……ディーバ、この子を連れて一旦帰ろう。私のいた孤児院にこの子を――」
カナエが最後まで言い終えない内に、大きな足音が聞こえた。
複数の静音モーターが稼働することで聞こえる、独特の低い音と共に。 その足音の主は、第二セーフルームの真上から姿を現した。
レーダーやセンサーに感知されづらい特殊な流線形の装甲が全身を覆い、
二つの足と二つの手は滑らかに動いて障害物を飛び越え、邪魔な植物は腰にある高熱ナイフでたやすく切断する。
かつて対人用に作られた人型無人兵器「ハイランダー」。
この汚染区域において、最も警戒するべきヌシとも言うべき存在だ。
光学探知・熱探知・呼吸探知能力を兼ね備え人間を優先して襲撃する、2mほどの小型無人兵器。
「――ディーバ!逃げるよ!あなたもこっちに!」
少女が着ていたポンチョを掴み、「自分より軽い物を動かす」超能力を発動して無理矢理引っ張る。
そしてディーバと共に近くにあった大型のコンテナへと向かい、ハイランダーがこちらを感知する前に身を潜めることにした。
「二人とも大丈夫!?まさかあいつの巡回ルートが変わるなんて……」
センターで確認したハイランダーの巡回ルートは三日前に更新されたものだが、ここ数か月変わることはなかった。
もしあのハイランダーが変わっていないとすれば、今現れたハイランダーは新手ということになる。
「いや、ここ数日探索者が大勢入ったせいで新型ができたのかも。
どっちにせよここにしばらく隠れるよ!」
そう二人に言ったところで、何か温かいものが背後にあるのを感じる。
生きている小型の発電機か何かと思い振り向いてみるとそこには、右腕に工具のようなものを持った男がいた。
男の顔を冷静に見つめながら携帯端末を起動し、ARL-X100と書かれた探索者の特徴とチームの合言葉を確認する。
「あー……ARL-X100さん?こんな状況で申し訳ないんだけど、『鉄のネジ』」
もし本物のARL-X100ならば、『鋼のナット』と返すはずだ。そうでないとしても、
ハイランダーが近くにいる以上探索者どうしで協力しなければ待っているのは未帰還という結果だけだ。
この際スカベンジャーだろうが野盗だろうが、カナエは誰とでも協力する気だった。 【>>112-115 春休み(不可抗力)
悪いな、騒がせた。色々とありがとな。
仕組みはよくわからないけど、かなり短期間で済んだらしい。
規制を受けた時に、おあつらえ向きの場所が既存で用意されてるのも確認できた。
創作発表板 避難所
ttp://jbbs.shitaraba.net/internet/3274/
なんでも投下スレin避難所2
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/3274/1334145425/
また似たようなコトが起きて長期化しそうな時には、一週間を目安にして伝言を置くよ。
>>116 とりあえず
それじゃあ、もしも既存の避難所が使えない状態に陥った場合、次にそっちを試す事にしようか。
それから、対象のレス全部に規制対策のリテイクをかけて上げる時間が惜しい。
しょーもない内容だったから基本は、お蔵入りだ。このまま気にせずターンを進めてくれ。
リサイクル出来そうなら、仕上がった部分から順次、次のターン以降のレスに追加していく形にする】 >「や、やめて……構わないで。わたし……探索者じゃ、ないから。アルクスって人も、知らない」
「なんですって?カナエ、この子……」
イズミが震えた声で拒絶の意思を示した瞬間、ディーバスの表情……ホログラムが消えた。
声色も深刻な響きを帯びている。
そして……
【*´ω`*】
直後に再び表示される、先ほどよりも格段にデフォルメ化されたホログラム。
ディーバスは守護者……人類を守る為に生み出された機械生命体。
故に他者の体調には敏感だ。彼女はイズミの体調不良を感じ取っていた。
脳内ホルモンの異常な分泌……つまり恐怖の感情を。
その原因が自分である事も、すぐに理解出来た。
表示されたホログラムは、彼女なりに恐怖を和らげてもらおうと工夫した結果だ。
「この子、とても素直ですよ!黙っていた方が都合が良かったでしょうに。
……カナエ、ここにいるのは正直で、栄養不足の、女の子です。
確かに探索者ではないかもしれない……でも、そんなのは些細な事じゃありませんか。うんうん、カナエもそう思……」
>「探索者じゃないとすれば、スカベンジャー?あなたみたいな年でやってる
子もいるんだね……ディーバ、これは難しいよ」
Σ【 ̄ロ ̄lll】
「あぁ!こっちの子は頭が固かった!カナエ〜、いいじゃありませんか。
こんな小さな子が、生きる為に手を尽くす事を責めるなんてあんまりですよ」
ディーバスは、この時世において差別をしない。誰に対しても、何に対しても分け隔てない。
分け隔てが無さすぎるとすら言えた。
彼女は働く事を放棄したスラムの住人にも、他の者と同様に接し、施しをする。
それは時に、誰かからの悪感情を買う事もあった。
>「……ディーバ、この子を連れて一旦帰ろう。私のいた孤児院にこの子を――」
【*´∀`*】
ディーバスの頭部に喜びを示すホログラムが浮かび上がり……しかし直後、セーフルームが強く揺れた。
頭上を見上げれば、建材の隙間から見えるのは、セーフルームを踏みつけるように君臨する人型兵器。
漆黒のステルス装甲に身を包む狩人……『ハイランダー』。
>「――ディーバ!逃げるよ!あなたもこっちに!」
弾かれたように駆け出すカナエ。
同時にセーフルームへと注がれるハイランダーの眼光。熱源を感知する狩人の眼。
そして……ハイランダーが凄まじく精密、かつ素早く、腰のヒートナイフを抜き、一閃。
伸縮自在の熱の刃が、サーモセンサーの捉えたシルエットを両断。
断ち切られたシルエットが、陽炎のようにふっと掻き消えた。
「……か、間一髪。私も、お暇しますね……!」
ディーバスがホログラムを表示するのも忘れて、緊張に震えた声で呟いた。
切り裂かれたのは『エナジーソリディフィ』が生み出した偽装熱源……フレア。
どんな時でも同行者の生存を第一に動くのが『守護者』ディーバスだ。 >「二人とも大丈夫!?まさかあいつの巡回ルートが変わるなんて……」
>「いや、ここ数日探索者が大勢入ったせいで新型ができたのかも。
どっちにせよここにしばらく隠れるよ!」
「お怪我は……無さそうですね。ふう、良かった。
……おや、カナエ。そちらの方は、もしかして?」
遅れてコンテナへ逃げ込んだディーバスが、ホログラムで矢印を表示。
示す先は、カナエの背後。
>「あー……ARL-X100さん?こんな状況で申し訳ないんだけど、『鉄のネジ』」
「あぁー、やっぱりアルクスさんでしたか。こんな状況ですが、よろしくお願いします」
ディーバスがぺこりとお辞儀する。
それから視線をカナエへ。
「カナエ、外の警戒は私が。あなたは端末を見てて下さい。
今日の汚染レベルなら、ここら辺は通信とセンターの偵察ドローンが機能している……。
じきに、何か通知が来るはずです」
そして待つ事数分、端末が小さく震える。
ディーバスの視線がちらりと、カナエの手元へ泳ぎ、
【ヽ'ω`】
ホログラムがディーバスの心境を的確に表現した。
探索者センターからの通知は、彼女達にとって嬉しいものではなかった。
『B-4区画にハイランダーが出現。コード・レッドを発令。
当該地区を探索中の者は速やかに帰還を図る事。
ただしトラッキングによるシェルター接近の恐れがある為、
現時点で第二セーフルームを中心に半径3km以内を特別危険区域に指定。
現時点で特別危険区域にいる者。
今後コード・レッドが解かれるまでに侵入した者はA-1、A-2、B-1区画への接近を厳禁する。
また特別危険区域はハイランダーの動向により適時変動する』
つまり……「ヤバい奴を連れてくる可能性があるから帰ってくるな」という事だ。
通知文の下には特別危険区域内に存在する探索者のリストが表示されている。
カナエ、アルクス、ディーバスの名もそこにあった。
[【´へ`;】
「ううん……どうしましょうか、カナエ。ハイランダーの索敵能力はとても高いです。
あっちが巡回モードのままなら良かったんですが、もう警戒されてしまっている。
いつまでもじっとしている訳にもいきません」
コード・レッドが解除されるかどうかは、ハイランダーの動向次第だ。
他の無人兵器と戦闘になってこの区域を離れるか、警戒が解かれ巡回モードに戻るか。
「B-3かC-2方面へ離脱してコード・レッドの解除を待ちますか?
確か汚染レベルはどちらも6……留まるだけなら、そこまで危険ではないはず」
カナエ達に出来るのはそれをただ待ち続けるか、汚染区域の奥へ逃げ込む形でこの場を離脱する事だけ……ではない。 「それとも……」
自分達から、コード・レッドが解除されるよう働きかける事も出来る。つまり、
「ハイランダーをどこかに引っ張ってそれから逃げるか……または破壊するか」
探索者センターはその選択を推奨こそしていないが、
偵察ドローンや、個人端末の映像音声記録によってそれが確認出来れば、特別報酬を約束している。
それは無人兵器に捕捉された探索者が、そこで生存を諦めてしまわないように、という意味もあった。
特別功労は、他の探索者の生存率を高めるという意味でも、ディーバスにとっては重要だ。
だが、彼女がハイランダーの誘導、破壊を口にしたのは、そんな理由ではない。
Σ【´∀`||;】
「……ひええっ、探知されました!後は逃げながら決めましょう!」
ただ単に、不可抗力的にそうなる可能性も否めない。ただそれだけの理由だった。
「えっと……素直な子!カナエと交代で威嚇射撃をお願いします!
ハイランダーは装甲が傷つく事を極端に嫌います!
牽制さえしっかりすれば、そうそう接近はしてこない!」
ハイランダーのステルス装甲は光学的なものではなく、対レーダー用の物。
それ故、僅かな傷が付く事もハイランダーは避ける傾向にある。
断続的な牽制は、対ハイランダーにおける基本だ。
しかし回避運動の中でもヒートナイフを振るう事は出来る。
伸縮自在の刃を、エナジーソリディフィによるバリアが受け止め……砕かれる。
【;゚ Д゚】
「ひぃ、とんでもない威力!ちょ、これは、あぶなっ!」
膜状の広域バリアでは受け切れない。
バリアの範囲を狭め、分厚くする必要がある。
つまり、受け損なうリスクが増す……防御以外に気を回す余裕がなくなる。
「わ、私これ以上余裕が無いです!な、何か!なんでもいいから案を!考えなしが一番よくない!」
探索中の突発的な戦闘において、逃げるにしろ戦うにしろ、無策のまま動くのは危険だ。
それはつまり集団の意思統一が出来ていない、判断基準を共有出来ていないという事。
行動の一つ一つに瓦解のリスクが付き纏うという事だ。
時間をかけて最善策を考えるよりも、当座凌ぎでもいいから素早い判断が必要なのだ。
【つまり今後どう転ぶかは丸投げって事だ!】 >「なんですって?カナエ、この子……」
一刻も早くこの場を逃れたいばかりに正直に素性を言ってしまったイズミ。
(無論探索者を自称したところでライセンスやIDの照合で即刻嘘はバレるわけだが)
芋虫の声音がシリアスさを帯びたものとなり、すわ一触即発かと再び身構える。
>【*´ω`*】
(かわいい……)
果たして芋虫のホログラムが表示したのは、戯画化された顔のようなもの。
先程の無機質な笑顔とは異なる、なんというか『ほっこり』だとか『まったり』といった表現の似合う顔だった。
(でもちょっと気持ち悪い……)
でかい芋虫の頭部に可愛らしい顔をお出しされるアンバランスさに目眩がしそうだ。
>「この子、とても素直ですよ!黙っていた方が都合が良かったでしょうに。
……カナエ、ここにいるのは正直で、栄養不足の、女の子です。
確かに探索者ではないかもしれない……でも、そんなのは些細な事じゃありませんか。うんうん、カナエもそう思……」
「あ、あの……だから構わないでって……」
相変わらず人の話を全く聞かない芋虫がカナエと呼ばれた探索者に水を向ける。
話を振られたカナエは……やはり探索者の例に漏れることなくイズミを一瞥して溜息を付いた。
>「探索者じゃないとすれば、スカベンジャー?あなたみたいな年でやってる
子もいるんだね……ディーバ、これは難しいよ」
「ぁぅ……」
白眼視に晒されてイズミは掻き消えそうな声で呻いた。
カナエの態度は探索者として至極真っ当なものだ。
問答無用で銃を向けられないだけ情と分別があるとさえ言える。
思い起こされるのはかつて同じ狩場を漁っていたスカベンジャーが探索者の一団に捕らえられ、
装備を身包み剥がされた挙句に無人兵器の群れに囮として放り出された光景だ。
一瞬で血煙と化した同業者の恐怖と絶望に満ちた表情が目に焼き付いて離れない。
センターはスカベンジャーに対する迫害を推奨してはいないが、スカベンジャーを保護してくれるわけでもない。
人権というものが形骸化して久しいこの時代にあって、コミュニティに利益を齎さない者を養う余裕があるはずもない。
>「あぁ!こっちの子は頭が固かった!カナエ〜、いいじゃありませんか。
こんな小さな子が、生きる為に手を尽くす事を責めるなんてあんまりですよ」
芋虫はどうやらイズミの扱いを穏便にするよう取り計らってくれているようだった。
説得に応じてか、カナエの視線も幾分か柔らかいものに変わる。 >「……ディーバ、この子を連れて一旦帰ろう。私のいた孤児院にこの子を――」
探索者二人の間でイズミの沙汰が決まるかと思ったその時、ズン、と地面が揺れた。
木々がへし折れる音、驚いた鳥たちの羽音に混じってアクチュエータの駆動音が聞こえてくる。
発信源に目を向ければ、セーフルームの上に鋼の巨人が立っていた。
『ハイランダー』。高い戦闘能力を持つ無人兵器だ。
「あわわわ……」
イズミが青冷めて隣のニヤックを見遣る。
ニヤックもまた突如現れたハイランダーの姿に視覚素子を白黒させていた。
彼の探知機器が反応していなかったのは、ハイランダーに高度なステルス装甲が搭載されているからだ。
レーダーを掻い潜ってこの地に立ち入る探索者達を狩り回る不可視の暗殺者。
探索者と同様に、スカベンジャーのイズミにとっても最も遭遇したくない相手の一つだ。
>「――ディーバ!逃げるよ!あなたもこっちに!」
カナエの判断は迅速だった。
芋虫――ディーバと呼ばれた機械生命体に指示を出し、同時にイズミの外套を引っ掴む。
イズミの身体がふわりと持ち上がった。
「へぇっ!?」
念動力だ。おそらくカナエは超能力者、イズミを退避させる為に力を行使した。
不意の事態にじたばたするが、地面に足が届かず水面下の水鳥のように虚しく空を掻く。
そのまま近くの錆びついたコンテナの裏へと引っ張り込まれる。
飛び掛かったハイランダーがディーバの眼の前の虚空をナイフで切り裂いた。
>「二人とも大丈夫!?まさかあいつの巡回ルートが変わるなんて……」
>「お怪我は……無さそうですね。ふう、良かった。……おや、カナエ。そちらの方は、もしかして?」
地面に放り出されたイズミが如才無く避難していたニヤックと震えていると、コンテナの影には先客がいたようだ。
探索者同士の短いやりとりで、彼が本来カナエ達と待ち合わせていた人物だと理解する。
>「B-3かC-2方面へ離脱してコード・レッドの解除を待ちますか?
確か汚染レベルはどちらも6……留まるだけなら、そこまで危険ではないはず」
>「それとも……」
>「ハイランダーをどこかに引っ張ってそれから逃げるか……または破壊するか」
「は、破壊……?たたかうの、アレと……?」
ディーバの提案にイズミはゴーグル越しに青い目を見開いた。
ハイランダーはその辺を彷徨いている哨戒用の無人兵器とはわけが違う。
あれは純粋な戦闘用、攻撃性も搭載兵器の数も比べ物にならず、高ランクの探索者が十分な準備と覚悟をして対峙する代物だ。
見たところ統一性のない、つまりはオートマッチングか何かで組んだだけの急造パーティで戦える相手ではない。
ただ……戦うかどうかを選んでいる場合じゃないというのも確かだった。
既にハイランダーは交戦モードに入っている。索敵能力は高く、コンテナの陰などすぐに看破されてしまうだろう。
逃げる為に動き回るならばなおのこと、奴の動体検知に引っ掛けてくれと言っているようなものだ。 >「えっと……素直な子!カナエと交代で威嚇射撃をお願いします!
ハイランダーは装甲が傷つく事を極端に嫌います!牽制さえしっかりすれば、そうそう接近はしてこない!」
「えと……イズミ……です……」
ディーバの要請にどこか的の外れた返答をしながら、イズミはニヤックの頭を撫でた。
首の付け根部分にある掌紋センサに手を翳し、ニヤックの動力レベルを『巡航』から『交戦』に切り替える。
『キャリーカブ』は兵站輸送用の無人兵器だが、自衛の為にある程度の火器は搭載している。
ニヤックの左右の肩からそれぞれ一門ずつ中口径の機関銃が迫り出した。
(今日は赤字だよぅ……)
汚染区域で戦いを生業とする者、特に銃器を扱う者は経費を常に意識して戦わねばならない。
銃を撃てば弾代が掛かる。兵器を稼働させれば燃料が消費されるし、修理や整備にも金がかかる。
センターはそれら必要経費に対して金銭的な補助をしてくれるが、イズミのような非正規は全てが実費だ。
既に今日この汚染区域に立ち入る為にマーケットに流れている払い下げの解毒剤を購入しているイズミにとって、
予定外の戦闘は損益分岐点を下回りかねない大出血だ。
それでも、背に腹は変えられない。
>「わ、私これ以上余裕が無いです!な、何か!なんでもいいから案を!考えなしが一番よくない!」
ディーバが前に出てハイランダーを引き付けてくれているが、限界は必ず訪れる。
イズミは自分の頬を両手で打って覚悟を決めた。
「カナエ……さん、アルクス?さん。わたしも……やります。
センサー撃って、それからみんなで逃げよ」
スカベンジャーにとって戦闘とは極力避けたいものであり、どうしても戦うならば第一に狙うのは相手の『眼』だ。
とにかくセンサーを無力化し、あとは逃げ回る。無人兵器とて霞を栄養にして動いているわけではない。
眼を潰されてなお闇雲に動体を追って燃料を浪費するよりも、修理の為に引き返す者は多い。
生き物と違って"執念"の存在しない兵器は特に、損益を論理で規定して動く傾向が顕著だ。
つまり、うまい具合にセンサーを潰すことができれば、ハイランダーは撤退する公算が高い。
「ニヤック、一発ずつよく狙って撃って」
コンテナの陰からディーバの背後へと飛び出したイズミとニヤックは、ハイランダーへ向けて銃撃を開始した。
装甲貫徹よりも命中率と足止め効果を重視した散弾が鋼の巨人の頭部へ飛翔する。
【目潰しを狙って散弾で銃撃開始】 【サセヴォ・シェルター工廠エリア製鋼実験ディヴィジョン第二試験棟】
《――――今回は上手くいった様ですね。気分はどうですか、ARL-X100》
その日、ただ真っ白な空間の中で俺は目覚めた。
本当に真っ白だ……光も影も無いのか、光だけがあるのか。
直接意識に響いて来るような、何だかよくわからない"声"に俺は素直に答える。
「悪くない気分だと思う、けど……よくわからないな」
《私は貴方の支援機です。今後は私の支援の下で任務に従事してもらうことになります》
「ああ。よろしくな、支援機。
姿が見えないけど、どうなってるんだ。
俺専用のオペレーター・ボイスみたいなもんなのか?」
《それを貴方が知る必要はありません。
それから年上には敬意を払うように。
私は貴方より稼働期間が長いのです》
「わかったよ、支援機さん。とにかく仲良くやっていこう。
俺達は、これから一緒に仕事をやっていく相棒だもんな」
《上出来です、ARL-X100。勤労意欲と協調性の確認が出来たことを嬉しく思います。
それでは、貴方の"相棒"を受領してください―――今、そちらに向かっています》
ほどなくして、見下ろす視線の先で長方形のスリットが走った。
その長方形が直方体にリフトアップし、微かな稼働音と共に展開する。
頑丈そうな一対のレストに懸架された状態で、相棒と呼ばれたモノが姿を現した。
外観の印象は、極端に無骨なデザインのバズーカ砲か、無駄に洗練されたシルエットの鈍器だ。
「わけがわからない。教えてくれ支援機。この道具は一体、何をする為の物なんだ?
金属みたいな重量感なのに質感はセラミック製に見える。素材は何で出来てる?」
《先ず、最初の質問に回答しましょう。それを貴方が知る必要はありません。
そして、次の質問に回答しましょう。それを貴方が知る必要はありません。
貴方の大脳辺縁系は水たまりですか。四足歩行獣も生息不能な環境です》
「何言ってるんだ。プールや海に馬や鹿が棲めるものかよ。
ついさっき受けた説教すら覚えてなくて悪かったな、支援機さん。
本当に俺を支援してくれるなら―――最後に一つだけ質問してもいいか」
《それは実に趣の深い返答です。貴方の馬は、海ではなく鹿と連結されているのですね。
もちろん、質問を許可します。私は貴方の"支援機さん"なのですから。
無意味な遠慮はしなくても良いのですよ、ARL-X100》
「こいつを使って……俺に何をさせる心算なんだ? 答えてくれ、支援機」
《では、最後の質問に回答しましょう。それを貴方が知る必要はありません》
――――その日も俺は、何も知らない労働者だった。 『や、やめて……構わないで。わたし……』
人は人を裁くべきではない。
裁きとは、神から人に与えられるものだ。
神の言葉を騙る偽りの聖典には、そう記されているらしい。
そうであるならば、神の恩寵が届かず、その加護から見放された廃墟の世界で―――
『……カナエ、ここにいるのは正直で、栄養不足の、女の子です』
―――裁きを与える主体は、誰であるのか。
『あ、あの……だから構わないでって……』
答えは無い。神が沈黙する限り、人が神の正義を騙ろうとする悪を、その罪を罰する者は居ない。
『……ディーバ、これは難しいよ』
それでは、人が己の内より生ずる正義を語る事は赦されるのだろうか。
あるいは、人が自ずから観測した真実を示す事は赦されるのだろうか。
『こんな小さな子が、生きる為に――…』
俺は思う。聖霊の息吹が絶えた不浄な大気の中で、喘ぎ苦しみながら。
俺は考える。神の愛が失われた寄る辺なき荒野に独り、悲嘆と共に立ち尽くして。
それでも、俺にはわかる。人が人を裁く事は出来ない。けれど……赦す事ならば出来るのだと。
『私のいた孤児院にこの子を――』
このままじゃ、生きる為に解毒剤を盗み食いしてしまった栄養不足の女の子が孤児院に入れられてしまう。
女の子は、なんだか嫌がってるみたいだ。だったら、せめて俺が味方になってやらないと。
そして大人として……いや、人間として、女の子に教えてやらないといけない。
彼女は知っておくべきだ。この美しくも残酷な世界の真実を――――
『あわわわ……』
――――解毒剤は、食べ物じゃないんだってコトを。 『あー……ARL-X100さん?こんな状況で申し訳ないんだけど、『鉄のネジ』』
複雑な家庭環境を持つ年頃の女の子に対して、どうやって話を切り出そうか考えていると、
おそらく十年前くらいに年頃を過ぎたであろう女の子が、印象的な話術で切り込んで来た。
「あんたが、カナエさんか。
何故か当分の間、無事に会えない気がしてた。
ついでに、なんとなく人間の身体で会えない気もしてたトコだ」
廃棄コンテナの裏にハイド・インして思い悩んでいる間に、状況が動き出していた。
ボックス席に突然の入客だ。相席の申し入れは無かったが、代わりに注文が入る。
「例の『合言葉』だな……わかってる。ええと、待ってくれ、すぐに思い出す。
すぐに今……いや、その、後で……後で絶対に思い出すから信じてくれ」
『あぁー、やっぱりアルクスさんでしたか。こんな状況ですが、よろしくお願いします』
「――――アルクスだ。俺は『やっぱりアルクス』でも『やったぜアルクス』でもない。
挨拶も大切だけどさ、ほら……その前に何か、こう……あるだろ? 何て言うか、な?」
俺はフレンドリーなスマイルと共に右手を差し出した。携帯食料を受け取るためだ。
だが、現実は非常だった。返ってきたのは、旧世紀からの伝統的な礼儀作法、"オジギ"だ。
ワンチャンス頭部から食い物が出て来るサプライズもあるかと期待したが、そんなことは無かった。
オジギ終了から0.02秒。俺は考えた。
物乞いなんて餓死しそうになってからやればいい。
今は目の前の事実から命題の真理値を確認せねばならない。
俺は隠れていたか? ――YES.
あの機械は俺を見つけたか? ――YES.
その結果、食い物は差し出されたか? ――NO.
情報を精査し、論理的誤謬を自覚する。
どうやら俺は、重要な条件を一つ見落としていたらしい。
推定・殺人機械改め、友好的芋虫機械のAIサイバネティクスは奥が深い。
なるほどなー……"隠れてる子供を見つけると携帯食料を出す機能"の搭載機だったか。
『カナエ、外の警戒は私が。あなたは端末を見て――…』
皆は何処かと通信していた。何かの相談もだ……まさか、俺も孤児院に入れられるっ!?
己の脊髄反射を一時的に封印し、普段は抑圧されている知性を解放して状況観察に徹した。
具体的には、他の三人の顔色を一生懸命うかがった。アレはバリアなのか? 目がチカチカする。
【ヽ'ω`】【´へ`;】【´∀`||;】【;゚ Д゚】
コンテナの向こう側が、妙に騒がしい気がしていた所だった。ああ―――襲撃だ、コレは。
透過光の点滅刺激によって俺の知性は再び永き眠りに就き、代わりに脊髄が覚醒した。 「あいつ……かどうかわからないけど、前に別な場所で同型機と戦り合ったコトがある。
俺が思うに芸術家タイプだな、アレは。それも彫刻畑で、かなり前衛的な印象派だ。
あと1cm俺の腹筋が薄かったらアヴァンギャルドに内臓をブチ撒いてたところだ」
真新しいシャツを左手でたくし上げて、八つに割れた腹筋を見せる。
六つに割れた腹筋に、横一文字の傷痕が刻まれたトリックアートだ。
「決まった場所をうろついて守備範囲の外までは追って来ない習性だったよな、確か。
基本方針は、さっき言ってた"とりあえず逃げて、しばらく隠れる"で、いいんだな?」
たぶんアレは、ソロで探索中うっかりエンカウントしたらゲームオーバーが確定するやつだ。
奴を覆う"サンプル"の物理強度は低そうだが、前回は一発も当てられないまま敗走した。
今回は、銃火器持ちが頑張ってドンパチやって、どさくさに紛れて逃げ出す作戦らしい。
『カナエ……さん、アルクス?さん。わたしも……やります。
センサー撃って、それからみんなで逃げよ』
「――――アルクスだ。俺は『アルクス?』でも『アルクス!』でもない。
そのカブ、君の支援機か? 愛嬌がありそうで羨(ねた)ましい限りだ」
芋虫機械の後方に展開した欠食児童とカブが銃撃を開始する。
俺は彼女達の為に、ほんの数秒だけ両目を瞑って神とやらに祈った。
もし本当に、あんたの愛が永遠に生き続けてるんなら頼む、命中させてくれ。
「……やったか!?」
他の三人と違って、俺には遠距離戦闘の攻防能力が無い。
基本的には、前方に向かって突撃するか、後方に向かって離脱するかの二択だ。
前者の場合、時間稼ぎの囮役、デコイ役、スケープゴート役など、多種多様な選択肢への派生もある。
「退避場所は何処にする? 安全地帯のボロ小屋は……もう奴に目を付けられちまってるな」
危険な徘徊者の狩場と化しているのであれば、第二セーフルームは――
――いや、其処は最早セーフルームとは呼べない。デンジャールームだ。
「もう一つあるセーフルームの方なら辿り着けそうか?
俺はカナエさんの最終判断に従う。方向指示をくれ」
離脱指示なら全力ダッシュだ。突撃指示なら全力ダッシュから一撃を叩き込みに行く賭けに出る。
おそらく、その一撃で仕留められなければ、この場に居る全員が死ぬ。
―――もしくは、突出した俺だけが死ぬ。 >「あんたが、カナエさんか。
何故か当分の間、無事に会えない気がしてた。
ついでに、なんとなく人間の身体で会えない気もしてたトコだ」
「……世間話は置いといて、返す言葉があるんじゃない?」
この非常事態で呑気にジョークを飛ばしている暇などない。
そう言わんばかりにカナエは鋭く切り返した。
アルクスを騙る野盗やスカベンジャーだとすれば強引に『協力』してもらうことになる、と言わんばかりに。
>「例の『合言葉』だな……わかってる。ええと、待ってくれ、すぐに思い出す。
すぐに今……いや、その、後で……後で絶対に思い出すから信じてくれ」
「そう。それじゃよろしくね、ARL-X100さん」
仮に本物のARL-X100だったとしても合言葉を忘れるような探索者だ。
長くは生きられないだろうとカナエは考え、ディーバの友好的な反応とは異なった態度となった。
>「カナエ、外の警戒は私が。あなたは端末を見てて下さい。
今日の汚染レベルなら、ここら辺は通信とセンターの偵察ドローンが機能している……。
じきに、何か通知が来るはずです」
「了解!ディーバのバリア、信じてるよ!」
携帯端末を胸ポケットから取り出し、支援センターからの情報を確認する。
未確認の無人兵器や汚染濃度の急速な上昇があれば、支援センターや探索者がばら撒いている
偵察ドローンがそれを検知し、支援センターへと届く。
そして、端末に表示された情報は無常なものだった。
「コ―ドレッドは当然だけど……特別指定されちゃったか。
この近くに私たち以外の探索者は少ないみたいだし、ハイランダーは狙いを変えないだろうね」
>「B-3かC-2方面へ離脱してコード・レッドの解除を待ちますか?
確か汚染レベルはどちらも6……留まるだけなら、そこまで危険ではないはず」
「B-3もC-2も両方工場があるけど、ディーバの言う通り手出ししなければ安全だね。
ただ、ハイランダーがこっちを視認しちゃったのが不安かな」
ハイランダーの危険性はレーダーにほぼ移らないステルス能力と近接戦闘力の高さにあるが、
一度交戦モードに入ると巡回モードに移行するまでに時間がかかるのも警戒するべき点と言われている。
>「ハイランダーをどこかに引っ張ってそれから逃げるか……または破壊するか」
>「は、破壊……?たたかうの、アレと……?」
「……不可能ではないね」
ハイランダーの数少ない欠点は露出したセンサーに索敵を全て頼り切っていることだ。
これはそもそも被弾を前提としていないためだが、そのおかげでセンサーを破壊されるかEMPなどで無力化されると
汚染区域の奥深くにあるとされる大規模シェルターに撤退するという性質がある。
>「……ひええっ、探知されました!後は逃げながら決めましょう!」
手持ちの情報からカナエが思考を巡らせていたそのとき、ハイランダーがこちらを見つけた。
ヒートナイフを振りかざし、静音モーターの駆動音と共に静かに、だが敏捷さを見せつけるようにこちらへと走る。 >「えっと……素直な子!カナエと交代で威嚇射撃をお願いします!
ハイランダーは装甲が傷つく事を極端に嫌います!
牽制さえしっかりすれば、そうそう接近はしてこない!」
>「えと……イズミ……です……」
「こんなことならショットガンでも買えばよかったかな!
イズミちゃん、その四つ足と一緒によろしく頼むね!」
反動の少ない小口径アサルトライフルを片手で構え、イズミと隣にいる無人兵器のリロードに合わせて射撃を行う。
空いた片手は腰のポケットから小石を取り出し、カナエたちの周囲にばらまく。
カナエが認識しやすいよう赤く塗られたそれは、超能力を用いた罠への布石だ。
>「わ、私これ以上余裕が無いです!な、何か!なんでもいいから案を!考えなしが一番よくない!」
>「カナエ……さん、アルクス?さん。わたしも……やります。
センサー撃って、それからみんなで逃げよ」
>「もう一つあるセーフルームの方なら辿り着けそうか?
俺はカナエさんの最終判断に従う。方向指示をくれ」
ニヤックとイズミ、カナエが交互に頭部を狙って射撃を行う。
それらを切り抜けて突っ込んでくればディーバがバリアで防ぎ、一行は後退しつつ次の案を練る。
「……イズミちゃんの案で行く!このまま距離を維持しながらあいつの頭を狙う!
ディーバはバリアで射撃の隙をカバーして!
ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときにあなたも突っ込んで!」
こちらの目的が頭部のセンサー破壊であることを認識したのか、
ハイランダーはヒートナイフを持たない手で頭部を隠しつつ不規則な軌道を描いて辺りを飛び回る。
障害物に身を隠しながら、着実にこちらへと距離を詰めてくる。
ハイランダーの機動力でも散弾は避けきれないらしく、細かい傷が全身の各所についているが
決定打にはならず、むしろこちらを脅威と認識してより追い詰めるような軌道で向かってくる。
勢いを増したハイランダーに撒いておいた小石を装甲にぶつけ、再び距離を取らせた。
「このまま下がれば開けた場所に出る!そこならあいつの隠れる場所もない、撃破だって狙えるよ!」
じわりじわりとカナエたちは下がりつつ、端末で立体地図を横目に見る。
かつては公園を中心とした住宅街だったB-4地区、カナエたちを示す光点は徐々に公園へと近づいていた。
【ハイランダーは装甲に傷がついていますがステルス能力は未だ健在
センサーが破壊される前にこちらを仕留めるつもりです!】 エナジーソリディフィとは光や熱を固体化させる科学技術、及びそれを搭載した機械の事を指す。
その機能は無制限ではない。
機械の出力によって形成可能な体積、範囲、固体の強度などは変動する。
ディーバスの視線の先に凝縮する光の粒子。
構築されるのは、ライオットシールドの半分もないような小さな盾。
本来、ディーバスに搭載されたエナジーソリディフィは現状のチーム全員を覆うだけのバリアが形成出来る。
だがハイランダーのヒートナイフを防ぐには、ここまでサイズを縮小する必要があった。
>「カナエ……さん、アルクス?さん。わたしも……やります。
センサー撃って、それからみんなで逃げよ」
「センサー……なるほど名案です……うひゃあ危ない!」
甲高い、しかしどこか余裕を感じさせる悲鳴。
それは周囲に安堵を促す為の、無意識にでも発現する『守護者』の性分。
ディーバスの防御は、逃走の最中でありながらも鉄壁を誇っていた。
ヒートナイフを弾きつつ、熱の残滓を固体化し鹵獲。
それを弾丸として撃ち返す事による牽制。
ディーバスはひたすらそれを繰り返す。徹底的なまでに精度を追求しながら。
>「もう一つあるセーフルームの方なら辿り着けそうか?
俺はカナエさんの最終判断に従う。方向指示をくれ」
「お願いします、カナエ。あなたの判断なら大丈夫です」
彼女はこの状況を好転させる為に何をすればいいか。
一切考えていない。ただ聞こえてくる言葉に、無思考に、感じたままの声を返すだけ。
頭にあるのは、ただ誰も死なせない事。
使命感という言葉すら不純物になるほどに、ただ、それだけを考えていた。
>「……イズミちゃんの案で行く!このまま距離を維持しながらあいつの頭を狙う!
ディーバはバリアで射撃の隙をカバーして!
ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときにあなたも突っ込んで!」
「了解しました。あなた達の髪の毛一本、焦がさせはしません」
ハイランダーの装甲から散る、幾つもの火花。
銃弾が命中している。
最大のアイデンティティであるステルス装甲が削れる事をハイランダーは嫌う。
回避運動が増える。動きが直線的でなくなり、距離が開く。
ハイランダーが、汚染植物に覆われたビルの壁面を切り開く。そして飛び込んだ。
銃弾を避ける為、だけではない。
ディーバス頭部に内蔵されたニューロコンピュータが、軽傷を掻き鳴らす。
「頭を下げて!」
叫ぶと同時、ディーバスはその巨体でカナエとイズミをまとめて突き飛ばした。
二人を一箇所にまとめて、頭を無理矢理下げさせた。
そして自身は全身を起き上がらせ、頭上にバリアを張る。
同時、ビルの壁を中から斬り裂いて、ヒートナイフが飛び出す。
壁越しの攻防。敵の位置を確認出来るのは、サーモセンサーを持つハイランダーのみ。
紅蓮の刃が描く軌道は……横薙ぎ。
ディーバスの下腹部が、強烈な熱に焼き切られる。
切断こそされなかったが、疑似脳との接続ケーブルを断たれた。
起こした体を支える足が動かない。体勢が崩れる。 だがカナエとイズミは無事だ。
突き飛ばせなかったアルクスに関しては腹筋が十に割れているかもしれないが、仕方がない。
もっとも一番危ないのは中途半端に頭を下げてしまった時だが。
「あちゃ……ま、まぁ結果オーライ……」
直後、壁を切り開き、ハイランダーが猛然と迫る。
体勢が崩れている分、反応が遅れた。
「じゃないかも……!」
ハイランダーがヒートナイフを振るう。
バリアが間に合わない。
そして……響く、強烈な金属音。
ハイランダーが上体を大きく仰け反らせていた。
まるで何かに、強く弾かれたかのように。
銃弾ではない。ハイランダーのアイカメラは銃口を認識し、その弾道を予測出来る。
答えは明白だった。ディーバスの視線の先に、赤い色をした小石が浮かんでいた。
強い熱も持たない、動体でもない、ただ超能力を帯びた真っ赤な小石を……殺人機械の眼光は捉えられなかった。
「あぁーカナエ!カナエ!今の最高です!私が助けられちゃいましたねえ!はぁー焦ったぁ……」
ディーバスは心底安堵した声を漏らした。
その間も逃走の為の行動は継続。
つまり、エナジーソリディフィによる光刃で動かない体部位を自切。
体長が三割ほど短くなったが、活動に支障はない。
>「このまま下がれば開けた場所に出る!そこならあいつの隠れる場所もない、撃破だって狙えるよ!」
公園に辿り着く前に仕留める、そう言わんばかりにハイランダーの攻撃が執拗になる。
だが連携が上手く回っている。即席のチームにしては上出来過ぎるほどに。
そして公園に辿り着く。
その直前……ハイランダーが不気味さを覚えるほどにあっさりと、退いた。
公園に残されたのは、探索者二人とスカベンジャーが一人、巨大芋虫が一体。
そして静寂。
「……あ、あぁ!」
不意に、ディーバスが悲鳴じみた声をあげた。
「ま、不味いですよ!」
開けた空間に、三人と一体の獲物。
姿の見えない狩人。
「この公園を利用しようと思ったのは、私達だけじゃなかったんだ!」
公園の外周に生い茂る汚染樹木が、がさりと音を立てた。
一瞬、ハイランダーの赤い眼光が見える。
だがすぐに姿を消してしまった。
皆もすぐに理解出来るだろう。
待つ側に回るはずだった自分達が、待たされていると。 この状況、ハイランダーは探索者達の隙を待ち続ける事が出来る。
夜を待ち、疲弊を待ち、空腹を待ち、睡魔を待ち続けられる。
暫し、沈黙が続く。
「……このまま待ち続けても、状況は好転しません」
ディーバスが重い静寂を破って、そう切り出した。
次にチーム全員をドーム状のバリアで囲む。
「このバリアでは、ハイランダーの攻撃を防ぎ切れません。
割られてしまいます……が。まったく止められないという事も、ないはずです。
これで身を守りながら、カウンターを狙いつつ、公園を出ましょう」
より正確には、ディーバス自身を除いた全員を。
「……私を包むようなバリアでは、流石に薄くなりすぎちゃうのでね。
大丈夫、私が狙われたなら……それはそれで、チャンスです」
そして後退を始める。が……それをハイランダーが見過ごす訳はない。
バリアを扱うディーバスが自分自身を一切守れないでいるのだ。
彼女を仕留めれば、なし崩し的に全員を屠る事が出来る。
汚染植物の陰から、ハイランダーが飛び出す。
伸縮自在のヒートナイフによる、遠間からの襲撃。狙いは、ディーバスの内部の頭脳。
サーモセンサーにより位置を特定したそれへ、ヒートナイフを振り下ろす。
殺人機械の一撃は、極めて正確無比だった。
正確無比であるが故に、熱の刃はディーバスの頭部に半ばまで食い込み……
「……ほら。チャンス、です……よ……」
正確無比であるが故に、それ以上振り抜けなかった。
「ええと……やっぱりアルクスさんは、嫌なんでしたっけ。
じゃあ……頼れるアルクスさん……なんて、どうです?」
エナジーソリディフィにより体内に形成された、極小の、だがそれ故に高硬度の盾。
それがヒートナイフの一撃から、ディーバスの頭脳だけを、ピンポイントで守っていた。
「なって下さいよ、頼れるアルクスさんに」
目の前に姿を晒したハイランダーの胴体を、ディーバスの作り出した光の鎖が絡め取った。
ハイランダーとディーバスの胴体が、鎖で繋がれる。
同時、チームを守っていたバリアが独りでに割れた。
切り裂かれこそしなかったが、極度の高熱に晒されたディーバスの頭脳では、二つ以上のオブジェクト形成が維持出来なかった。
「あぁ、そうだ」
ハイランダーはもう逃げられない。
カナエ達を守るバリアはもう無い。
つまり……いずれも前に出る以外の選択肢はない。
ハイランダーが今度こそディーバスを破壊すべく、地を蹴る。
「もし駄目そうなら、私を置いて逃げて下さいね」
次に紅蓮の閃きが放たれれば、彼女にはもう為す術はない。
【チェーン・デスマッチだ!】 >「――――アルクスだ。俺は『アルクス?』でも『アルクス!』でもない。
そのカブ、君の支援機か? 愛嬌がありそうで羨(ねた)ましい限りだ」
(いんとねーしょんの問題なのかな……)
アルクスと呼ばれた探索者が発音に謎のこだわりを持ってイズミに正す。
支援機というのがイマイチどういう存在なのかはわからなかったが、褒められて悪い気はしない。
閑話休題、イズミはカナエと共にハイランダーの頭部へ目掛けて間断なく銃撃を加える。
二人以上での銃撃戦の連携は、互いにリロードの隙を補完して弾幕を途切れさせないことだ。
正面切っての戦闘に慣れていないイズミをカナエがサポートする形で、ハイランダーを牽制していく。
>「……やったか!?」
「お、お祈りするだけなのこの人……?」
射撃する二人と、彼女たちの矢面に立ってバリアを展開するディーバス。
そして後方で祈祷を行うアルクス。バランスの良いパーティ(皮肉)であった。
ハイランダーの損傷は軽微。装甲に僅かな傷は入っているが、本命のセンサーを巧みに庇っている。
>「退避場所は何処にする? 安全地帯のボロ小屋は……もう奴に目を付けられちまってるな」
祈祷を終えたアルクスが逃走経路をカナエに問う。ディーバスもそれに同調する。
>「もう一つあるセーフルームの方なら辿り着けそうか?俺はカナエさんの最終判断に従う。方向指示をくれ」
>「お願いします、カナエ。あなたの判断なら大丈夫です」
カナエは引き金に指を掛けながら応える。
>「このまま下がれば開けた場所に出る!そこならあいつの隠れる場所もない、撃破だって狙えるよ!」
「そっか、この先は公園……」
ステルス無人機との戦闘における一つの攻略法は、常に有視界範囲に敵を留め置くことだ。
あれほどの巨体と挙動を光学迷彩で隠し切ることは難しい。
ハイランダーのリスク計算にもう一つの係数を加えてやることで、早期の撤退を狙えるはずだ。
だが膠着状態を打破したいのはハイランダーにとっても同様であった。
手近なビルの壁面を切り開き、その中へと姿を消す。
「ステルスまだ生きてるよ!位置分からなくなっちゃった」
油断なく探知機能を並行展開していたニヤックが虚しげに鼻を鳴らす。
構造物の陰から陰へ移動し、ステルスによる奇襲を仕掛ける……ハイランダーの常套戦術だ。
姿がない。音もない。レーダーにも映らない。敵の姿は五里霧中、一体どこから現れる?
>「頭を下げて!」
瞬間、最も前に出てハイランダーの動きを見ていたディーバスが弾かれるように動いた。
巨体がイズミとカナエを纏めて突き飛ばし、強引にひび割れたアスファルトの上に伏せさせる。
その上を、横合いの壁から突き出てきたハイランダーのヒートナイフが擦過していった。
高熱で全てを溶断するヒートナイフに障害物は無意味だ。切り裂かれた壁の断面は炙られたバターのよう。
危機一髪を脱したイズミの脳裏に、場違いな記憶が通り抜ける。
かつてスカベンジャーに身を落とす前に我が家でとった食事。
三月に一度、暦の節目にだけ食べられる本物の小麦粉で作ったパンと、その上を滑る代用バターの香り。
それは正しく走馬灯であった。
「芋虫さんっ!」
イズミとカナエをかばう格好となったディーバスの胴にヒートナイフが埋まった。
溶かされたボディの蒸気に混じって火花が散る。鮮血にも見えるそれはディーバスの損傷だ。 >「あちゃ……ま、まぁ結果オーライ……」
>「じゃないかも……!」
切り抜いた壁をぶち破ってハイランダーが飛び出した。
返す刀が動けないディーバスの、今度こそ中枢を刳り抜かんと振るわれる。
回避が間に合うはずもない――
果たせるかな、芋虫の胴と頭が分かたれることはなかった。
先程カナエがその辺に撒き散らしていた赤く塗られた小石。
無意味にも見えた無数の礫が一斉にハイランダーへと襲いかかり、その軌道を衝撃で強引に捻じ曲げたのだ。
>「あぁーカナエ!カナエ!今の最高です!私が助けられちゃいましたねえ!はぁー焦ったぁ……」
(超能力……!)
イズミを引っ掴んで持っていったのを同じ、念動力。
カナエの機転が絶体絶命のディーバスを救った。
損傷を胴で抑えた芋虫は動かない箇所を自切し、コンパクトなフォルムでハイランダーに背を向けた。
「良かった、に、逃げよ!」
ニヤックを介して牽制の銃撃を加えながら、イズミは探索者達にひっついて撤退する。
このあたりの地理は頭に叩き込んでいる。どういうルートを辿れば身体の大きい無人兵器を足止めできるかもだ。
カナエと二人の面制圧射撃の甲斐あって、ほどなくして公園跡地に出た。
それまでの執拗な追跡が打って変わったように、ハイランダーが足を止める。
やがて姿を消した。あたりは水を打ったかの如く静かだ。
「……ま、撒いた……?」
諦めたのか。その公算は高い。
いかな無人兵器を言えども、不利な環境で四人を相手に立ち回る不利益を無視はすまい。
機械らしく、合理的に、損な戦闘を捨てて帰っていってもおかしくはない。
>「ま、不味いですよ!」
――それがあまりに甘い楽観視だということを、彼女は痛感することになる。
ディーバの絶望的な声が全てを物語っていた。
歪な形に成長した木立の間から、追跡者の無機質な眼光がのぞいていた。
>「この公園を利用しようと思ったのは、私達だけじゃなかったんだ!」
「かごのとりだぁ……」
ハイランダーはむやみな戦闘機動を停め、省エネな待機モードに入ったのだ。
何を待つか?それは当然、哀れな犠牲者四人に限界が訪れるのを、だ。
公園跡は確かに開けた空間だが、裏を返せばそれは公園の外は開けていないということ。
この公園を一歩でも出ればそこはハイランダーの領域。形を変えた袋小路だ。
なるほど確かに公園を出なければハイランダーに襲われることはあるまい。
しかし探索者達にその選択は不可能だ。彼らは帰らねばならない。
汚染毒の及ばないシェルターの中に――解毒薬の効果が切れる前に。
籠城戦において最も警戒すべきは兵糧攻め。生存に時間制限を設けられれば打って出ざるを得ないのだ。
>「……このまま待ち続けても、状況は好転しません」
おそらく状況を最も冷静に理解しているディーバスが切り出した。
>「このバリアでは、ハイランダーの攻撃を防ぎ切れません。
割られてしまいます……が。まったく止められないという事も、ないはずです。
これで身を守りながら、カウンターを狙いつつ、公園を出ましょう」 その提案に保証はなかった。ハイランダーの攻撃性能はディーバスの防壁を上回っている。
ここから先もまた、誰が死んでもおかしくはない決死行。
手段は選ぶべくもない。
「賛成……。お腹すく前にどうにきゃしなきゃ、ね?」
意を決し、覚悟を決めて、四人は公園を突っ切った。同時、ハイランダーが飛び出してきた。
ディーバスのバリアが彼女を除いた三人を包む――無防備な彼女の頭部を狙って致死の刃が閃く。
すわ、頭蓋を貫通されるか。ヒートナイフの切っ先がディーバスの眉間を捉え、そこで止まった。
いかなる攻防があったのかイズミには判別できないが、水際で刃を食い止めたのだ。
>「……ほら。チャンス、です……よ……」
イズミ達を守るのを同じ色をした光の鎖がディーバスとハイランダーを繋ぐ。
ハイランダーの脅威の一つ、その縦横無尽の機動力がこれで封じられた。
同時にバリアが砕け散り、イズミとニヤックが転げ出た。
>「あぁ、そうだ」
>「もし駄目そうなら、私を置いて逃げて下さいね」
「おいてかないよ……いいひとだから」
別に芋虫に特別な恩義を感じているわけではない。
携行食糧を貰ったが、あれは彼女の弁を借りれば正当なる賠償だ。
その件についてイズミには一切の負い目はないと言い切れる。
ただ……ディーバスは探索者であるにも関わらず、スカベンジャーのイズミを庇ってくれた。
彼女達の成果を漁り、盗んで不当に糧を得る卑しい人種のイズミをだ。
恩があるわけではない。返すべき借りがあるわけでもない。
それでも、スカベンジャーを助ける探索者がいるのなら……その逆があっても良いはずだ。
「ニヤック、たすく!」
イズミの声、『指令』に呼応してニヤックが吠えた。
キャリーカブには自衛のための武装がある程度備わっている。
その一つが両肩からせり出た機関銃であり――その一つが、獣を模した無人兵器だけが持ち得るもの。
牙だ。
大口を開けたニヤックの両顎から鋭い牙が生えた。
重量貨物を牽く極めて高いトルク性能を嵌合力に変換した獣の近接武装。
荷馬から猛獣へと仮初の変化を果たしたニヤックがハイランダーに飛びかかる。
ディーバスと鎖によって繋がれた無人兵器は、体捌きによる死角の補完ができない。
どう振るっても剣の届かない角度が、今だけは存在する。
高精度のセンサーによってそれを割り出したニヤックが、ハイランダーの腕へと噛み付いた。
ヒートナイフを振るう腕を。迎撃するための手段を封じる。
追撃の担い手の名を呼ぼうとして、イズミは一瞬だけ考えた。
そういえば、彼は発音にこだわりを持っていた。無視して好きなように呼ぶのは良くない。
ただ、どう呼べば良いのかわからなかったので、イズミは自分に発することのできる一番明るい声音を選択した。
「アルクス♪さん!」
【ハイランダーの腕に噛み付いてヒートナイフの無力化を狙う】 【メタル・ブレイク・ドライバー(T)】
「わかったよ……いや、本当は自分でも何となく解ってたんだ。
俺は"そういう風に"扱われる用途で造られてるってことが」
《非常に好ましい態度です、ARL-X100。
"何をするのか"を貴方が知る必要は全くありません、ですが――
――"どのようにするのか"であれば……それは、貴方の"右腕"が知っています。装着を》
ジャケットの右袖を捲り上げると、材質不明のプレートが前腕部と一体化していた。
ハードポイントだ。"砲身"が固定された感触で、骨格まで"いじられている"事もわかった。
"砲門"は手首の動きを阻害しない位置だが、新たな五肢目が生えた様な奇妙な一体感に空腹を覚える。
「―――痛っ!! ……こいつ、動くぞ!」
突然、右腕から全身を襲った衝撃によって謎の――消耗感を伴う様な――空腹は上書きされた。
砲身に格納されていた鋼の円筒が回転と共に撃ち出され、砲門の位置でロックされたみたいだ。
「それで俺は、この出来損ないの杭打機……いや、杭撃機か?
こんなモノを押し付けられて、どうコメントすればいいんだ」
《そうですね……『すごーい! かっこいいー! (棒読み)』などが推奨される一例です》
「お前は楽しそうでいいよな。そして、人の心を逆撫でするのが得意な支援機なんだな?」
《MBDの優れた機能美を称賛する散文的な呼称表現を模索するのでしたら、
シリンダーを伸長させたアクティヴ時が"目一杯に出したノック式消しゴム"ですね。
格納したスタンバイ時は"スティック胡瓜を差し込んだ竹輪"などと呼び親しむと良いでしょう。
正式名称を教えたところで、貴方が24バイト以上の文字列を固有名詞として記憶できるとも思えません》
「"MBD"か……物覚えの悪さには自信あるけど、今日という日だけは死ぬまで忘れられない気がしてる」
《今この時から、"今日"も、"明日"も、貴方にとっては等しく意味の無い概念になります。
今後は特定の動作を反復するだけの存在になるのですから。ですが、その代わりに――》
「その代わりに何があるんだ。退役後はプール付きの別荘でもくれるのか」
《――向こう百年間、貴方は死ぬことを許されません》
「ああ―――"その代わりに"って言葉には、そういう用法もあったのか。
今まで全然知らなかったけど、それは俺の頭が悪いからじゃないよな」
《これでも……私なりに激励してあげているのですよ?》
「本気で言ってるのか?」
《それを貴方が知る必要はありません》 【メタル・ブレイク・ドライバー(U)】
《これから供給される"サンプル"に対して、ポインターが打突・掘削位置をマークします。
[□:打て][■:戻せ][○:回せ][●:回し戻せ]など、基本動作は七種です。簡単ですね。
貴方は、これら"マーカー"の表示に従ってさえいれば任務を遂行できるのです》
MBDと同じ様にして、目の前の空間に"サンプル"とやらが現れた。
「そいつは、ご機嫌だな。それくらいなら本当に俺でもできそうだ」
形と色が異なった幾つかの図形が順番に投影される。
これは"サンプル"に対して光学的に照射されているのだろうか。
何らかの方法で俺の視界に干渉して、そう見せているだけなのかもしれない。
《先程の初回起動で行われた動作は、今後"◇"のマーカーで指示される"撃ち出せ"です。
せっかくですから、[◇:撃ち出せ]の派生動作ツリーから順番に説明を進めて行きましょう》
【ベーシック・マニューバ[◇:撃ち出せ]の派生動作ツリー】
┃
┣━[□:打て]━━【→[□:打て]の派生動作ツリー】
┣━[○:回せ]━━【→[○:回せ]の派生動作ツリー】
┣━[◎:超回せ]
┣━[△:突き込め]
┣━[■:戻せ]
┣━[●:回し戻せ]
┗━[▲:引き抜け]
《この他に [☆:超回し撃ち出せ]など、単一のマーカーによる複合指示もあります。そして……》
「待ってくれ、支援機。基本動作ってのは七つじゃなかったのか。
それを何個も組み合わせたら一体、俺は何通り覚えなきゃいけないんだ。
応用数学ってヤツか。まず一の塊が十個あつまると、十の塊が一個増えるから――…」
《貴方の駄犬並みの知性では理解不能でしたか。仕方がないので身体に覚えてもらいます。
ちなみに、可愛く賢いワンちゃんと違い駄犬というモノは――――痛くなければ覚えません》 【フェイス・オン・ボルト(T)】
「例の『合言葉』だな……わかってる。ええと、待ってくれ、すぐに思い出す。
すぐに今……いや、その、後で……後で絶対に思い出すから信じてくれ」
『そう。それじゃよろしくね、ARL-X100さん』
どうやら初対面の第一印象では、信頼関係の構築に到らなかったらしい。
こ…この女の目……養豚場のブタでも見るかの様に冷たい目だ。残酷な目だ……。
"可哀想だけど合言葉を忘れるような探索者は長く生きられない運命でしょうね"って感じの。
『……イズミちゃんの案で行く!このまま距離を維持しながらあいつの頭を狙う!
ディーバはバリアで射撃の隙をカバーして!
ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときにあなたも突っ込んで!』
『了解しました。あなた達の髪の毛一本、焦がさせはしません』
「こっちも了解だ。その黒髪が今よりも短くなっちまったら、
カナエさん、男か女かわからなくなっちまいそうだもんな」
俺は果てしなく律儀かつ従順な、たいへんよく訓練された元ライン工だったので、
カナエさんから示された単純な『条件付き作業指示』は深く脊髄に刻み込まれた。
『このまま下がれば開けた場所に出る!そこならあいつの隠れる場所もない、撃破だって狙えるよ!』
『そっか、この先は公園……』
そこが決戦場だ。この陣形を"探索者クロス"と名付けよう。
防御力の高い芋虫機械が前衛、両脇をカナエさんと欠食児童が固める。
俺はカブの後ろに立つ。俺のポジションが一番安全だ。安心して祈祷に専念できる――
『ステルスまだ生きてるよ!位置分からなくなっちゃった』
『頭を下げて!』
――そう思っていた時期が、俺にもあった。探索者クロスが仇になった形だ。
ヒートナイフの横薙ぎが、反射的に90度のオジギをした俺の後ろ髪を掠めて寝癖を均す。
ビルの壁面越しからの無慈悲なアンブッシュ……これは、たぶんハイランダーさんのインストラクションだ。
「"ハイランダー"……!! 髪を短く刈り上げられるのは、俺の方だってのか? 冗談じゃない」
生き馬の目を抜くポストアポカリプス・エイジに於いて、シツレイな企業戦士は生き残れないという戒めか。
第一、これでまた腹筋の頭数を増やされでもしたら、俺の稼ぎでは養いきれなくなってしまう。
狩人が追撃モーションに入った。脚が止まったパーティの盾から落とすつもりだ。
『芋虫さんっ!』
「芋虫機械っ!」 【フェイス・オン・ボルト(U)】
不意に、無数の赤い何かがハイランダーのセンサーを出し抜いて装甲にブチ当たり、体勢を崩させた。
これも援護射撃の一環ってヤツか。俺は何となく時限爆弾か発信機の類なのかと思っていたが、
周りの反応からすると、カナエさんは文字通りの"布石"を仕込んでいたというコトらしい。
『あぁーカナエ!カナエ!今の最高です!私が助けられちゃいましたねえ!はぁー焦ったぁ……』
『良かった、に、逃げよ!』
「今の赤いのは、念動力ってヤツなのか……いわゆるアレの別名だな? 何だっけ、アレだ。
いや、ひょっとすると全部が赤いとは限らないかもしれないけど、
あの、そうだ、"何とかキネンシス"……!」
――――廃墟の公園に集う探索者達が、
今日も戦士のような悲壮な表情で、
汚染樹木をくぐり抜けていく。
『ま、不味いですよ!』
『かごのとりだぁ……』
明日も知れない心身を包むのは、深い色の濃霧。
焦りで呼吸を乱さないように、作戦方針は翻さないように。
ゆっくりと籠城していたら、解毒薬の効果が切れるのがここでのたしなみ。
『…――カウンターを狙いつつ、公園を出ましょう』
『賛成……。お腹すく前にどうにきゃしなきゃ、ね?』
「俺は、反対だ。情けないけどさ……脚が、竦んじまってるんだ。
笑えよ……率直に言って、俺は奴が怖い。ここは暗くて、寒い」
カナエさんは、そりゃ冷静で強くて美しいけどさ。
芋虫機械は、なんだか随分と体が短くなっちまってる。
欠食児童は、こんな状況でも飯の事しか考えてない。それに……
……奴のセンサーは健在だ。
あの視線が今も俺達を睨んでいると思うと、顔を上げる事ができない。
薄闇の中、その不可視の恐怖は気配すら掴めない。
後ろの正面は―――誰だ?
「だけど、一人だけ置いて行かれるのは、もっと怖い。
カナエさん、芋虫機械、欠食児童……まだ会ったばかりだけど、
三人とも良いやつだってわかったからな。だから俺は、みんなを信じる――――」 【フェイス・オン・ボルト(V)】
――――信じた結果が、御覧の有様だった。
[いもむしのはか][光明院練穀守護大姉]などの不吉なワードが全俺のタイムラインを席捲する。
良く見たら、ヒートナイフ脳天白刃取りだ。物腰は柔らかいが、意外と頭の固い奴だったらしい。
『……ほら。チャンス、です……よ……』
「守護大姉……じゃなかった、芋虫機械! お前、俺を激励してる場合なのかっ!?
そんな風に頭をブチ抜かれて動けない状況をピンチって言うんだよ、人間は!!」
『ええと……やっぱりアルクスさんは、嫌なんでしたっけ。
じゃあ……頼れるアルクスさん……なんて、どうです?』
"ああ―――悪くない呼び名だ"
なんて、この場面で答えられるような奴は、まともな人間じゃない。
根拠も無く自信過剰な博打屋か、世界と心中する覚悟の壊し屋だ。
「違う……違うんだ。そうじゃない。自分でも嫌になるほど、俺には何も無いだけだ。
カナエさんみたいな超能力も無い。芋虫機械みたいな超兵器も無い。
欠食児童みたいな超愛嬌のある支援機も無い」
『なって下さいよ、頼れるアルクスさんに』
「やめろ……やめてくれ、そういうのは……! 俺は頼れるアルクスさんなんかじゃ、ない」
『もし駄目そうなら、私を置いて逃げて下さいね』
『おいてかないよ……いいひとだから』
「仲間を置いて逃げる……? 確かに格好良いやり方じゃない。それが正しいなんて思わない。
けどさ、俺達は世界にたった一人のヒーローなんかじゃないんだ。
こいつに全員やられちまうかもしれないんだぞ」
もしかして、俺が状況を理解してないだけで、三人には何か勝算が見えているのか?
だとしても、俺はみんなとは違う。まだ何も見つけちゃいない。
"俺だけは"死なない……死ねないんだ。
『ニヤック、たすく!』
芋虫機械と連結された狩人に向かって、欠食児童がカブをけしかける。逃げるなら今しかない。
だったら俺は、この中で一番に守られなければいけないものを持って逃げよう。
だから、俺は――――左手で少女の手を取って、狩人に背を向けた。
「……悪く思うなよ」
そう言って思考を放棄した次の瞬間、俺の身体は己の脊髄の赴くままに行動を完了させていた。 【フェイス・オン・ボルト(W)】
エナジーソリディフィの輝きを逆光に受けた円筒のシルエット。
その先端がハイランダーに撃ち込まれ、ステルス装甲の表層を陥没させている。
何だかよくわからない絵面だった。自分で自分の行動の意味が理解出来ない。今、何が起こった?
『アルクス♪さん!』
「何だ……そんな可愛い声も出せるんじゃないか、欠食児童」
欠食児童の推定・支援機が、まさかのトランス・フォームと共にハイランダーの腕に喰らい付いた。
いや、その直前だ。ハイランダーが、芋虫機械の胴体をさらに短くするために、地を蹴った。
ああ―――流石、俺の脊髄反射はモノが違う。"それ"は、つまり、"そういうこと"だ。
「こいつは、今……『突っ込んで』来やがったんだな?」
狩人と守護者を繋いだ光の鎖と鋭角に交差する様に、俺は右腕を突き出していた。
左手で欠食児童の身体を引き寄せた反動を利用して、180度のターンを決めていたらしい。
結果的に、反時計回りの遠心力が右腕へとフルに伝達された先で、さらにMBDが鋼柱を撃ち出した。
「これまで巧妙に隠し通して来たんだが、実を言うと俺は頭が悪いんだ。
"先読み"だとか"連携"だとか、そんな高度な戦術なんて、さっぱりわからない。
だけど『指示』だけなら、とっくに了解してたんだぜ……たった一つの、シンプルな『指示』だ」
アクティヴ・モードのシリンダーが、獣の咆哮の如き駆動音を唸らせて無限の輪転を開始する。
メタル・ブレイク・ドライバーとアルクス=ハンドレッドの"機能"は、ひどく限定的だった。
対象がどんな材質でも、打ち、回し、穿ち、突き込み、削り抜き、撃ち貫くのみだ。
「だから、お前が『突っ込んできたとき』……俺は、こうする。何も考えずに、こうする」
――――廻せ。
「ああ……さっきは否定したが『やっぱり』だったな」
廻せ、廻せ、廻せ!
「『やっぱり』狩られるのは、お前の方だ。もう一度言うぜ――――悪く思うなよ、"ハイランダー"」
廻せ廻せ廻せ廻せ廻せ廻せ廻せ……!!
耳障りな破砕音を響かせ、目障りな火花を撒き散らして、ステルス装甲の掘削作業が加速する。
全てが静止した闇の中で、鋼柱の深度だけが唯一の可変パラメータになった頃。
ソレは、やがて標的の深部に到達し、狩人の心臓部を穿ち貫いた。 【フェイス・オン・ボルト(X)】
稲妻と爆発―――ボスキャラ特有の断末魔を上げて、ハイランダー第一形態が撃沈する。
吹き抜けた爆風は、"安全第一"の四文字がバックプリントされた作業用ジャケットを翻しながら、
元・狩人の残骸とも芋虫機械の構成部材とも判別できないジャンク・パーツを地面に転がし散らせた。
「随分と待たせちまって済まなかったが、確か『ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときに
あなたも硬くて長くて太くて逞しい鋼柱をあいつに突っ込んで!』って指示だったな、任務完了だ」
一呼吸の残心の後、振り抜く様にして回し戻したMBDから、マシン・オイルとは違う液体が滴り落ちる。
爆炎と飛散した装甲片を零距離で受けた右腕は、煤に塗れ、灼け爛れて、放送コードに抵触していた。
「だけど、何てこった。一張羅のジャケットがダメになっちまった。裁縫は苦手だってのに」
腕捲りしていた右袖が肩口まで千切れ飛んで、今は山籠りの修行帰りの様なノースリーブだ。
上腕二頭筋と三頭筋も両方合わせて七頭筋くらいに引き裂かれたが、長い修行の甲斐はあった。
チェーン・デスマッチのフィニッシュ・ブローは、捨て身のクロス・カウンターと相場が決まっているからだ。
「そして……やれやれだ。こっちも何とか思い出せたよ、カナエさん」
ようやく俺は、熱を帯びて拉げた鉄屑を左手で拾い上げ、指で弾いて放りやる――――『鋼のナット』だ。 公園へ辿り着く直前、カナエはハイランダーが急に距離を取り、あっさりと退くのを見た。
こちらを誘うための行動と思い、カナエは気にすることなく公園へと向かうよう指示を出す。
そして、ディーバが気づいてしまった。
>「ま、不味いですよ!」
>「この公園を利用しようと思ったのは、私達だけじゃなかったんだ!」
ハイランダーが退いたのは公園へ行かせないための行動ではなく、むしろ公園へ行かせるための行動。
公園は確かに開けた場所だが、四方は汚染植物で囲まれ、視界は霧によって常に閉ざされている。
ハイランダーからしてみれば、焦った獲物が疲労の末に公園から飛び出してきた瞬間を待てばそれで終わりだ。
わざわざ不利な戦場に自ら突っ込むこともない。無人兵器の中でも上位学習AIと呼ばれる
高度な演算力を持ったハイランダーならば当然の判断だ。
(しまった……!前に追い込んだときはグレネードランチャーがあったから!)
カナエは以前ハイランダーと交戦したことはあった。だがその時は10人で構成された、
完全にハイランダーを排除するのが目的のチームの一員としてだ。
もしカナエがハイランダーが隠れる障害物ごと吹き飛ばすグレネードランチャーを持ってきていれば、
上手く追い立てることができたかもしれない。
>「……このまま待ち続けても、状況は好転しません」
>「このバリアでは、ハイランダーの攻撃を防ぎ切れません。
割られてしまいます……が。まったく止められないという事も、ないはずです。
これで身を守りながら、カウンターを狙いつつ、公園を出ましょう」
>「賛成……。お腹すく前にどうにきゃしなきゃ、ね?」
「……ごめん、ディーバ。今回は…いやいつも、あなたには頼りっぱなしだね」
>「俺は、反対だ。情けないけどさ……脚が、竦んじまってるんだ。
笑えよ……率直に言って、俺は奴が怖い。ここは暗くて、寒い」
>「だけど、一人だけ置いて行かれるのは、もっと怖い。
カナエさん、芋虫機械、欠食児童……まだ会ったばかりだけど、
三人とも良いやつだってわかったからな。だから俺は、みんなを信じる――――」
「私以外の人に変なあだ名をつけるのはやめてほしいんだけど――」
小口径アサルトライフルの弾倉を入れ替え、周囲を警戒しつつ四人で前進する。
だが、狩りのプロたるハイランダーの潜伏が、急ごしらえのチームワークに見つけられるはずもない。
汚染植物に紛れるように隠れていたハイランダーが音もなく飛び出し、真っ赤に閃いたヒートナイフがディーバの頭脳ユニットめがけて振り下ろされる。
全ての行動がカナエが瞬きする間に行われ、だが行動は最後で止まった。
「指定位置までのヒートナイフ到達」その最後の行動だけが達成できず、ハイランダーはぴたりと止まっている。
>「……ほら。チャンス、です……よ……」
そこからどう動いたのか、カナエはよく覚えていない。 >「ニヤック、たすく!」
>「こいつは、今……『突っ込んで』来やがったんだな?」
ただ、他の二人が叫び、行動し、それに合わせたのは覚えている。
エナジーソリディフィによって構成された光の鎖がハイランダーの胴体を絡め取り、
イズミの無人兵器が牙を剥いてハイランダーの腕に飛びかかる。
ハイランダーはその二つの抵抗を受けても、なおディーバを破壊するべく突撃してくる。
その突撃ごとハイランダーを叩き潰すべく、カナエは動いた。ジャケットの腰ぐらいの高さにあるボタン付きポケット、めったなことでは開かないポケットだ。
開いたポケットに手を突っ込み、取り出したのは二つの鈍く黒光る金属片。
かつての文明の残滓、超圧縮合金の欠片だ。現在では最も硬く、かつ重い。これをカナエの念動力で振るえば、断てない物質はないが
現在では極めて価値が高く、戦利品の中ではかなり上等な部類に入る。
その欠片を振るうべく精神を集中し、ハイランダーへ向けて手のひらから射出した瞬間、横を通り過ぎる者に気がついた。アルクスだ。
>「これまで巧妙に隠し通して来たんだが、実を言うと俺は頭が悪いんだ。
"先読み"だとか"連携"だとか、そんな高度な戦術なんて、さっぱりわからない。
だけど『指示』だけなら、とっくに了解してたんだぜ……たった一つの、シンプルな『指示』だ」
アルクスの突き出した右腕から放たれるそれは、かつての作業道具。
あらゆる物質を砕き貫く、鉄柱だ。
「ARL-X100……いや、アルクス!」
射出した金属片の弾道を変更。カナエがかつてシェルターのデータベースで見た記憶が間違っていなければ、アルクスの右手は
現在確認されているあらゆる自動兵器の装甲をぶち抜けるだろう。 「物を貫くときはそいつを固定するもんだよ!」
ハイランダーもその脅威をようやく認識したのか、突撃をやめてステップで避けようと足を踏み込んだ瞬間。
カナエが撃ち出した二つの金属片がハイランダーの脚部の内、接地面の部分を正確に貫き、切り裂く。
地面に脚部を縫い止められ、光の鎖で胴体を固定され、アルクスの右手が心臓を穿つ準備は整った。
>「『やっぱり』狩られるのは、お前の方だ。もう一度言うぜ――――悪く思うなよ、"ハイランダー"」
ハイランダーの動力源たる高密度バッテリーが鉄柱に抉られ、痙攣したように激しくハイランダーが動く。
やがて動きを止めたハイランダーは閃光と共に爆発し、後に残るのは右手を突き出し、踏み込んだアルクスただ一人だ。
>「随分と待たせちまって済まなかったが、確か『ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときに
あなたも硬くて長くて太くて逞しい鋼柱をあいつに突っ込んで!』って指示だったな、任務完了だ」
「……プロフィールの武装欄には何も書いてなかったんだけど、センターはどういうスキャンをしたのかな?
まったく、そういうのがあるなら最初から突っ込ませればよかったかもね」
手元に戻った超圧縮合金の欠片を眺めながら、カナエがぼやく。
汚染区域で最初に見つけたときは10個もポケットに入っていたのに、今や1個だ。
爆発と同時に手元に戻したつもりが、少々タイミングが遅れて片方はどこかに行ってしまった。
>「そして……やれやれだ。こっちも何とか思い出せたよ、カナエさん」
「合言葉ついでの戦利品なんて初めてだよ、だけど……本当にあなた、慣れてないんだね」
ハイランダーは爆発したとはいえ、フレームの残骸やまだ使える部品は残っている。
鉄くず一つですらハイランダーに使われる特殊合金特有の性質を持ち、シェルターに持っていけばそれなりの値段で買い取ってもらえる。
それを合言葉代わりに渡すということ自体、探索の価値を知らぬ者か、ただの阿呆だ。
「でも、指示を守ってくれてありがとう。ジャケットの補修と右腕の治療代、私が出すよ」
だが……その知らぬ者だったからこそ、勇気を振り絞れたのかもしれない。
そうカナエは考え、まずはやるべきことをやることにした。
「さて!他の二人は大丈夫?ディーバ生きてる?イズミちゃん腕とか足なら吹っ飛んでも大丈夫だからね!」
爆風が消えても、霧は色濃く残る。
まずは負傷の応急処置と、ハイランダーの残骸漁りだ。
【みなさんありがとうございました!とりあえずは撃破で終わりとさせていただきます。
後はエピローグを一巡させて〆です!】 >「仲間を置いて逃げる……? 確かに格好良いやり方じゃない。それが正しいなんて思わない。
「ふ、ふふ……いいんですよ。だけど、あなたには何も無いなんて事はない。
あなたは生きている。明日を望んでいる。それだけで、尊いんです。
私がこの存在を、懸けてもいいと思えるほどに」
>「……悪く思うなよ」
「えぇ、お気をつけて。カナエ……どうか彼を恨ま」
直後、ディーバスの真横を何かが通り抜けた。
閃光と呼ぶにはあまりに無骨で。
暴風と呼ぶにはあまりに洗練されていて。
掘削機と呼ぶにはあまりに、頼り甲斐のある何かが。
例えようのない唯一無二が、刺さっていた。
「ない」
アルクスの突き出した右腕のその先で……メタル・ブレイク・ドライバーが、ハイランダーの胸部に突き刺さっていた。
「で……え?」
何が起きたのか、ディーバスには一瞬理解が出来なかった。
>「アルクス♪さん!」
>「何だ……そんな可愛い声も出せるんじゃないか、欠食児童」
イズミの鈴の音のような声が聞こえ、過熱された頭脳が少しずつ状況を理解する。
>「こいつは、今……『突っ込んで』来やがったんだな?」
「は、はは……なんだ、『やっぱり』じゃないですか」
>「ああ……さっきは否定したが『やっぱり』だったな」
「『やっぱり』狩られるのは、お前の方だ。もう一度言うぜ――――悪く思うなよ、"ハイランダー"」
「えぇ、そしてあなたは『やっぱり頼れるアルクスさん』だった」
そして響き渡る、機械の咆哮。強烈な回転音。地響きのような破砕音。
だがそれらは決して……耳障りではなかった。少なくともディーバスにとっては。
やがて、鋼柱が一際大きな咀嚼音を奏でた。
高密度バッテリーが破壊された音……そして弾ける稲妻と爆炎。
一瞬、ディーバスはぎょっとするが……それらを間近で浴びても、アルクスはなお立っていた。
>「さて!他の二人は大丈夫?ディーバ生きてる?イズミちゃん腕とか足なら吹っ飛んでも大丈夫だからね!」
「あ……カ、カナ……エ……」
問いに答えようとするディーバスの声は、途切れ途切れだった。
……だがそれも、カナエが自分を案じて駆け寄ってくるまでだ。
カナエが近寄ってきた瞬間、ディーバスは跳ねるように動いて、彼女に飛びかかる。
【 ̄Д ̄】
「カーナーエー、あなたが昔、私の切断された足を抱えて泣きついてきた時の話。
この子とアルクスさんに聞かせてあげましょうか?まったく、こんな生意気になっちゃって、もう」
そして抱き締め、頬ずりをしながら、愛情を込めた意地悪を言う。
情熱的なコミュニケーションに満足すると、今度はアルクスへと駆け寄り、同じように抱きしめ、頬ずりを食らわせる。
拒否権はない。抵抗の度合いによってはチェーン・デスマッチの第二マッチが始まる。 【*´∀`*】
「やっぱり頼れるアルクスさん!いやーあなたのお陰で助かりました!
いつもは帰る頃にはこの半分くらいになってますからね、私の胴体!
あ、腕、大丈夫ですか?応急処置くらいなら出来ますよ、私」
なお処置を依頼した場合、施されるのはディーバスの吐き出す糸による止血である。
さておきアルクスにも熱烈なコミュニケーションを押し付けると……ディーバスはイズミへと振り返る。
「……イズミちゃん」
だが、抱き着きはしない。頬ずりもしない。
「もし、良ければ私の研究所に来ませんか?」
ただ目線を合わせて、そう問いかけた。
「一緒に暮らしませんか?あなたが望むなら正規の探索者になる事も……ならない事も出来る。
そのCC-86をどう手懐けているのか、すごく興味があります。
方法次第では……私の助手という立場をあげられる。とても長い、平和な時間をあなたにあげられる」
ちなみに……彼女が申し出を受け入れようと、断ろうと、最終的に待っているのは巨大芋虫の頬ずりだ。
受け入れてくれたのなら歓迎の、断ったのなら別れを惜しむ、どちらにせよ強烈な頬ずりが待っている。
巨大芋虫からは、逃げられない。
そう、逃げられないのだ。
断ったところで、手を変え品を変え、これからもディーバスはイズミに関わろうとするだろう。
彼女にとってイズミは、スカベンジャーである以前に……著しく栄養不足な、守るべき少女でしかないのだ。
カナエとは腐れ縁だし、これからはアルクスとも何かにつけてコミュニケーション(頬ずり)を取ろうとするはずだ。
彼の頭の悪さはとても危なっかしい。
理解していれば頼れる味方になるが……理解されなかったら、容易く死んでしまうのではと予感させる。
なんとも守り甲斐のある知り合いが二人も増えた。
きっとこれから仲良く出来るし、毎日が少し楽しくなる。
そう思うとディーバスは……ホログラムを介さない微笑みを浮かべていた。
「……ところで、アルクスさん。
あなたって、もし『右を振り向きながら左へ振り向け』って指示されたらどうなるんです?
……あ、待って!待って!今のはただの質問ですからね!?」
【お疲れ様でしたー!楽しかったー!次の予定とかあるんです?】 >「……悪く思うなよ」
ニヤックの牙がハイランダーの肩に齧りついた瞬間、イズミの手を誰かが取った。
アルクスだ。彼はイズミの手を掴み、敵に背を向けていた。
「ど、どこいくの」
問いに回答を待つまでもない。
探索者アルクス、ここへ来てまさかの敵前逃亡――!
理解が追いつかずにたたらを踏む。この期に及んでどこへ逃げると言うのか。
何を考えてる?逃げ場はあるのか?ここで逃げたら、ディーバスやカナエはどうなる?
ゴーグルの奥で青の双眸が白黒する。
>「何だ……そんな可愛い声も出せるんじゃないか、欠食児童」
果たせるかな、アルクスの選んだ動きは逃げの一手ではなかった。
アルクスのごつごつとした手がイズミをぐいと引っ張り、彼と彼女はその場で無意味に輪舞する。
支点と反作用の織りなす力学の悪戯がイズミを反時計回りに半回転させ、同様にアルクスもまた反転。
互いの位置は入れ替わり――余録として遠心力を得たアルクスがハイランダーと激突する。
>「こいつは、今……『突っ込んで』来やがったんだな?」
片腕でイズミの手を取り、もう片方の腕は、そこに装着された武装をハイランダーに密着させていた。
>「だから、お前が『突っ込んできたとき』……俺は、こうする。何も考えずに、こうする」
>「物を貫くときはそいつを固定するもんだよ!」
光の鎖に拘束され、肩にニヤックをぶら下げ、両足をカナエの飛ばした金属片に縫い止められて。
完全に身動きを封じられたハイランダーへ、アルクスの杭打機がめり込んでいく。
>「『やっぱり』狩られるのは、お前の方だ。もう一度言うぜ――――悪く思うなよ、"ハイランダー"」
始まったのは打撃でもなく砲撃でもなく――掘削だった。
慈悲を持たない無人兵器すら金属疲労の悲鳴を挙げる無慈悲な工具の咆哮が木霊する。
血飛沫にも似た火花が虚空を染め上げ、高速回転するピンバイスがハイランダーの装甲を食い破る。
「……すごい」
ハイランダーの装甲はステルスに特化しているとは言え、戦場で砲火を交えることを前提とした造りだ。
他の小型無人兵器のそれとは比べるべくもない頑丈さを持つ。
RPGの直撃ですら二三発は余裕で耐えるその鉄壁を、アルクスの工具は削り貫いていた。
鋼鉄の断末魔が轟く。やがて殺戮機械の心臓部に鋼杭が到達する。
ハイランダーはシグナルの異常にアクチュエーターを痙攣させながら、爆発四散した。
「ひっ……!」
公園全体を揺るがす爆音にイズミは尻もちを着いた。
砕かれた機械部品が雨霰のようにひび割れたアスファルトを滑っていく。
鋼杭を引き抜いたアルクスがズタズタの腕から血糊を払った。 >「随分と待たせちまって済まなかったが、確か『ARL-X100!援護はするから突っ込んできたときに
あなたも硬くて長くて太くて逞しい鋼柱をあいつに突っ込んで!』って指示だったな、任務完了だ」
カナエの指示はもっとシンプルだったような気がするが、そこは探索者同士の暗黙コンセンサスという奴だろう。
イズミは正規の探索者ではないので何言ってるか全然まったくわからないが、多分そういうことだ。
「か、勝ったの……?」
重装備の探索者が十人がかりでようやく倒せる戦闘型無人兵器、ハイランダー。
不可視の死神のシルエットが、ひしゃげ、砕けてイズミ達の前に沈んでいた。
命なき機械の終焉に音はなく、広場は静寂に満ちていた。
念動力を駆使する探索者、カナエ。
光を凝固させ矛と楯とする機械生命体、ディーバス。
そして、武器と言うには余りに無骨で大雑把で、故に強力な戦闘工具を備えたアルクス。
そこにスカベンジャーのイズミを加えた四人、たったの四人で、ハイランダーを破壊し果せたのだ。
「勝てたんだ……」
今更になって膝に震えが来て、イズミはしばらく立ち上がることができなかった。
そこへ行くと正規探索者の三人は大したもので、命懸けの戦闘を終えたばかりだというのに小粋なやり取りなどしている。
>「さて!他の二人は大丈夫?ディーバ生きてる?イズミちゃん腕とか足なら吹っ飛んでも大丈夫だからね!」
「わ、わたしは大丈夫。アルクス☆さんが守ってくれたから」
爆風とともに炎がアスファルトを焦がしていたが、イズミがその余波を被ることはなかった。
爆心源とイズミとの間にはアルクスがいて、彼が遮蔽物となってくれたのだ。
その代償は彼の右腕に血の印として深く刻まれている。
「……ありがと、アルクスさん。お礼は言うことしか出来ないけど」
イズミはようやく力の入る足でふらふらと立ち上がって、ゴーグル越しに眼を伏せた。
とりあえず手足は生身のまま帰れそうだ。
>「……イズミちゃん」
アルクスの腕に応急処置を施していたディーバスがこちらに振り向いた。
カナエやアルクスに抱きつく芋虫の過剰なボディランゲージを見ていたイズミは警戒して一歩下がる。
だがディーバスは、他の二人にそうしたように問答無用で飛びついては来なかった。
>「もし、良ければ私の研究所に来ませんか?」
「へぇっ……?」
芋虫の神妙な提案に、声が上擦ってしまった。
機械生命体の運営する研究所に改造人間を招く。
意味するところの剣呑さにイズミは身構えるが、どうやらディーバスの真意はもっとシンプルであるらしかった。 >「一緒に暮らしませんか?あなたが望むなら正規の探索者になる事も……ならない事も出来る。
そのCC-86をどう手懐けているのか、すごく興味があります。
方法次第では……私の助手という立場をあげられる。とても長い、平和な時間をあなたにあげられる」
「ぁぅ……」
イズミの呻きは葛藤だった。
おそらく全ての同業者がそうであるように、彼女とて何も好き好んでスカベンジャーなどやっているわけではない。
正規のライセンスはスカベンジャーにとって喉から手が出るほどほしいものだ。
質の悪い不法製造の解毒剤を割高で買わなくても良くなるし、支援センターの施設やマッチングの援護も受けられる。
スクラップ漁りなどせずとも無人兵器のパーツに正規ルートで値段が尽くし、討伐報酬だって貰える。
遺伝子とIDが紐付けされていなかったら、全財産で買ってでもライセンスを得たいというスカベンジャーは後を絶たない。
ディーバスの後見があれば、おそらく正規ライセンスの取得は可能だろう。
幸いイズミの遺伝子は汚染されていないし、公式な犯罪歴もない。あとは生まれの書類を多少弄れば潔白の身分の完成だ。
改造人間としての仕様の提出は必要だろうが、そんなものはいくらでも誤魔化しが効く。
イズミはディーバスの元へ踏み出そうとして、しかし唇を噛んで俯いた。
「……嬉しいけど、ごめんなさい。わたし、一緒にはいけない。
わたしとニヤックがどうやって友達になったか芋虫さんが知ったら、きっとわたしのこと、きらいになるよ」
震える唇に力を入れて無理矢理真一文字に結び、指を当てる。
静寂を貫くように鋭い指笛が木霊した。
公園傍の廃ビルの屋上から、人間大の影が一つ空を滑ってこちらへやってくる。
影はイズミとニヤックがそれぞれ背に括り付けている革のロープを鉤爪で掴んで再び空へと舞い上がった。
AF-121『アーリーフライ』。
猛禽類を模した偵察・ドローン迎撃用の小型無人兵器だ。
その鉤爪型ハードポイントにイズミとニヤックはぶら下がり、三人の仲間達の頭上にいた。
「だから……もう……かっ、かまわないで!いいひと達だから……これで、さよならしよ」
イズミはそれきり両耳に手を当てて塞ぎ、眼をぎゅっと瞑ってアーリーフライに身体を委ねた。
猛禽の尾羽根に大気反発式バーニアの燐光が閃き、次の瞬間には一人と二体の姿は消えていた。
後に残るのはわずかに大気を焦がす光の尾の余韻だけだった。
自宅へ戻り、納屋にニヤックとアーリーフライを隠したイズミは防疫シャワーを浴びる。
この辺りの汚染物質は水に溶けるので清潔な水であればシャワー程度でも大部分は洗い落とせる。
衣服は水洗いした後除染機に掛け、毛穴や肌の皺の隙間など水洗で落ちなかった汚染物質はイオナイザで電子分解する。
正規の探索者とは違い、シェルター外縁で生活する非市民階級者が多くを占めるスカベンジャー達は自身の除染に無頓着だ。
解毒剤を手に入れて飲みはするが、衣服や髪に付着した汚染物質をそのままにして家に戻る者は多い。
除染を徹底する経済的余裕がないのはもちろんだが、それら外部汚染についてはただちに影響が出難い為に危機感を招き辛いのだ。
そうして少しづつ蝕まれていき、あるいは外にでない家族や仲間にまで汚染が広がりコロニー一つが壊滅することもある。
二次汚染の防止はイズミがスカベンジャーとして生きる上で真っ先に叩き込まれた技術だった。
この生活を続けて3年になる彼女の遺伝子が未だに汚染されていないのはその教育の賜物である。
とはいえ、本格的な除染設備は一介のスカベンジャーが持ち得るものではない。彼女の両親の遺したものの一つだ。 「はぁ……大赤字だぁ……」
除染を終え、古びたシーツにイズミは下着姿で頭からダイブした。
ディーバスの誘いから逃げるようにその場を辞した為に、ハイランダーの解体資材を持ち帰ることが出来なかった。
スクラップマーケットで買い叩かれたとしても、イズミの取り分はおそらく日給10日分にはなったはずだった。
最初にニヤックに積んでいた資材は持ち帰れたが、戦闘で消費した弾薬や燃料を差っ引けば完全に収支は赤字である。
ごろりと仰向けに転がって、鉛製の天井に映る自分の顔と目が合った。
ゴーグルを脱いだ裸眼は、青く無機質な輝きを放つ改造人間の両眼。
イズミをスカベンジャーに縛り付け、無人兵器を隷属させ使役する『虜の魔眼』。
この両眼がある限り、イズミは人の輪には入れない。反射の中に映る自分の姿が涙に歪んだ。
「うー!がー!」
悲しいというよりかは悔しくなって、イズミはベッドの上で両腕をジタバタした。
振り回した片手が何かに当たってカサリと音を立てた。
ディーバスが詫びの品として渡してきた携行食糧だ。
封を切って一部ニヤックに齧らせたが、大部分はまだ残っている。
……今日の儲けと言えるものは、これだけかもしれない。
イズミはそれを再び千切って、欠片を口に放り込んだ。
疲労していても食べやすいように甘く味付けされたクッキーが口の中で溶けて、小麦粉の優しい香りが広がっていく。
包み込むような甘さに思わず涙が引っ込み、顔がほころんだ。
「んふー」
カナエと共闘できて、心強かった。
アルクスに護られて、頼もしかった。
ディーバスに誘われて……嬉しかった。
あれが探索者の戦い。
あそこに満ちていた信頼が、探索者の絆なのだ。
イズミには望むことのできない、眩しい存在。
誰かと一緒に道を進むのは……こんなにも、楽しいのだ。
この世界は16才の少女にとってあまりに過酷で、孤独で、残酷だ。
だけど、辛くても怖くても、きっとイズミは平気だと言える。
いい続けるための力を、今日もらえた気がした。
その日、イズミはおそらくこの生活を初めて始めて、微笑んだまま眠りについた。
【エピローグです。すごく楽しかったです!
カナエさん、ディーバスさん、アルクスさん、まずはお疲れ様でした!】 おい、次の企画やるからさっさと終了してどいてくれや >>155
他の話で使用中であっても使えます。何企画同時進行になっても構いません 【スピーク・ライク・ア・バード(T)】
『……プロフィールの武装欄には何も書いてなかったんだけど、センターはどういうスキャンをしたのかな?
まったく、そういうのがあるなら最初から突っ込ませればよかったかもね』
「ああ、それなんだけどさ……センターには早い段階で自己申告してたんだ。
提出したデータが反映されてないのは、無軌道な表現の自由を奔放に追求した結果らしい。
具体的には、NGワードが検出されて弾かれちまった。同じ手法で戦利品の収支も誤魔化したいところだな」
『合言葉ついでの戦利品なんて初めてだよ、だけど……本当にあなた、慣れてないんだね』
「……慣れ過ぎてたんだよ、何も考えない道具として振る舞う事に。
だけどカナエさんは、そんな俺を拾ってくれた。そいつは感謝の印ってわけだ。
派手に獲物を解体(バラ)し過ぎて、パーティの実入りを減らしちまったのは悪かったけどさ」
『でも、指示を守ってくれてありがとう。ジャケットの補修と右腕の治療代、私が出すよ』
「そっちだってポケットの中身、随分と軽くなってるんじゃないのか。
あの時、ハイランダーの脚が死んでたのって、カナエさんの仕業なんだろ?
最期にフットワークを使った抵抗でもされてたら、おそらく右腕だけじゃ済まなかった」 【スピーク・ライク・ア・バード(U)】
『さて!他の二人は大丈夫?ディーバ生きてる?イズミちゃん腕とか足なら吹っ飛んでも大丈夫だからね!』
【 ̄Д ̄】
『カーナーエー、あなたが昔、私の切断された足を抱えて泣きついてきた時の話。
この子とアルクスさんに聞かせてあげましょうか?まったく、こんな生意気になっちゃって、もう』
「―――聞かせてもらおうか。カナエさんの初々しくも恥ずかしい昔話とやらを」
『わ、わたしは大丈夫。アルクス☆さんが守ってくれたから』
「何だと……? そんなウザカワイイ声も出せるんじゃないか、イズミ。ついでに言うが、
俺は『アルクス☆(超回し撃ち出せ)さん』でも『アルクス◇(撃ち出せ)さん』でもない」
『……ありがと、アルクスさん』
「いや、それはおかしい。もし今のが褒め言葉に聞こえたんだとしたら――」
『お礼は言うことしか出来ないけど』
「――すまない。妙な気を遣せわちまったな。
だけど、そういう気の回し方は大人になってからでいいんだよ。
子供は子供らしく素直に、そのささやかな胸を撫で下ろしてるくらいで構わないのさ。
今後の発育状況によっては、年上の責務として、胸を撫で下ろす物理的な手伝いをしてやってもいい」
【*´∀`*】
『やっぱり頼れるアルクスさん!いやーあなたのお陰で助かりました!
いつもは帰る頃にはこの半分くらいになってますからね、私の胴体!
あ、腕、大丈夫ですか?応急処置くらいなら出来ますよ、私』
「"大丈夫"か"大丈夫じゃない"かの二択だったら……"致命傷"だな。
カナエさんだけじゃなく、ディーバスにも借りが増えちまうけど――
――いや、待てよ?
『治療代はカナエさんが出す』
『応急処置はディーバスがやる』
『俺は二人に対して借りが生じる』
そして、カナエさんとディーバスの財布は初めから裏で繋がっている……?
ちくしょうっ! それがお前らのやり方かっ!? 道理で不自然に親切な訳だぜ!」 【スピーク・ライク・ア・バード(V)】
『……イズミちゃん』
俺の右腕のミイラ化を無事に成功させて満足した芋虫機械が、次の標的を捕捉した。
大方、ルール無用の頬ずりデスマッチの新たな生贄にする心算だろうが……今回だけは見逃そう。
日照の著しく減衰した環境下で再生速度が落ちている現状では、外部からの止血が本当に有難かったからだ。
『もし、良ければ私の研究所に来ませんか?』
『へぇっ……?』
どうやら、ディーバス孤児院の方で欠食児童を引き取ろうと画策しているらしかった。
イズミとは対照的に、ある意味では、この場で最も人懐っこい奴だ。
そうであるが故の純粋な親切心で歩み寄り―――
『一緒に暮らしませんか?あなたが望むなら正規の探索者になる事も……ならない事も出来る。
そのCC-86をどう手懐けているのか、すごく興味があります。
方法次第では――』
―――そしておそらく、地雷を踏み抜いた。
反応から察するに、イズミの人見知りに絡んだ厄介な事情があるのかもしれない。
いや、小型とは言え自律兵器の使役などという奇術が成立している以上、相応の"仕掛け"が必ずあるはずだ。
『――もう……かっ、かまわないで!いいひと達だから……これで、さよならしよ』
「……ところで、ディーバス。
お前もカナエさんも、わりと頭のいいひと達だって部分は認めざるを得ない……だけど、俺はどうだ?」
『……ところで、アルクスさん。
あなたって、もし『右を振り向きながら左へ振り向け』って指示されたらどうなるんです?』
「そいつは、右も左もわからない様な探索者にする質問じゃないぜ。
俺はカメレオンじゃないんだ、あちこち見えないのさ。
それに―――見えなくったって、解るだろ」
イズミの召喚に応えて飛来した猛禽が、その鉤爪で主を掴み飛翔する。
呼び笛の音が鳴り響いてから、僅か数秒―――だが数秒聴ければ充分だった。
大翼を羽ばたかせ霧の空に舞い上がる輪郭を目指して、俺は全力で走り出していた。
『……あ、待って!待って!今のはただの質問ですからね!?』
「だったら、こっちからも質問だ……!
ディーバス、地面と平行に"壁"を展開出来るか!?
イズミとあのアホウドリに向かって3〜4枚、傾斜45度、1m間隔だ!
面積は靴裏が乗りさえすればいい! カナエお姉様、"何とかキネンシス"で補助を頼む!!」
そして翼を持たない俺は――――少女の居る空へ向かって、光の階段を駆け上がった。
【シーン・エンドだ。この実験室が今後も回り続ける事を祈るぜ―――Good Luck.】 カナエたちが小型無人兵器ハイランダーを撃破し、勝利に喜んだ瞬間と同じ時間、違う場所。
汚染区画E-5、かつては大規模ショッピングモールだったそこは、今や戦場となっていた。
「クソッタレ!弾がねえぞ!」
「また奴が消えた!左だ!」
吹き抜けの通路に居座る探索者たちは円陣を組み、一見すると死角がないように思える。
しかし周囲は彼らの友人だったものや一部が積み重なり、もはや地獄絵図だ。
そしてヒュン、という風切り音と共に、円陣を構成する一人の喉が裂けた。
「ダンがやられた!ただのハイランダーじゃねえのか!?」
「明らかに得物が違う!ナイフどころかショットガンにグレネード、EMPまで持ってやがるぞ!」
「通信が繋がらねえ!これじゃ警告もできねえぞ!」
彼らは怯えつつも各々の武器を構え警戒していたが、敵は一向に姿を現さない。
やがて数時間と感じるような長さの十数分が過ぎた後、探索者の一人が警戒を緩めた。
逃げたと判断し、構えていた大型ライフルの銃口を下げたのだ。
「――上だッ!!!」
その瞬間、敵は動いた。ショッピングモールの二階から、吹き抜けにワイヤーを通して滑らかに降下する。
大型ショットガンを構え、対爆発能力を備えた重装甲のハイランダー。
腕部と腰部にグレネードを装備し、完全光学迷彩を備えた軽装甲のハイランダー。
鞭のようにしなる大型ヒートナイフを振り回し、対弾を重視した装甲のハイランダー。
片手と片足で音もなくワイヤーで降下し、円陣を組む探索者たちに容赦なく攻撃を浴びせた。
かろうじて生き残ったのか、右手を吹き飛ばされた探索者がショッピングモールの出口へ必死に走ろうとするが、
どこからともなく風切り音が通路に響き、彼の喉へ小型のナイフのようなものが突き刺さる。
最後に現れたハイランダーは、全身が白く塗られ、両手がまるで人間のように滑らかに動き、芸術品のような美しさだった。
四機のハイランダーたちは探索者たちの死体を気にかけることもなく、太陽の光すら届かない深い霧の向こうへと消えていく。
カナエたちによるハイランダー撃破の報は、30人からなる大規模探索者グループ全滅という惨劇と共に街に届いた。
少人数によるハイランダー撃破は支援センターの歴史に残る偉業だったが、
大規模探索者グループが原因不明で全滅というのもまた支援センターの歴史に残った。
霧の向こうに潜むは宝か、名誉か、あるいは死か。
命知らずの探索者たちはわずかな武器と解毒剤を心の支えに何度でも、廃墟へと潜る。
【みなさん参加&レスありがとうございました!
短編にも関わらず4人という人数で回せたのは協力あってこそです!
もしよろしければ短編連作という形でスレを建てて、定期的にやりたいと思っています。
それとアルクスさんは……カナエは戦闘で超能力をフル稼働したので疲れて使えません。
なので惜しくも届かず、カナエたちと一緒に帰ったんでしょう、たぶん。】 長い長い人類の歴史を遡っていくと、大きな転換点がいくつもあるよな
どの国にも、あるいは世界全体を巻き込むようなのが
実はその裏には常にとある存在が潜んでいたんだよ
この世のどの国の機密文書を覗いてもその名前が記されてる
『オーディエンス』と名乗るソイツは、歴史が大きく動く時代が分かるらしい
その時が近づくと自分が興味深いと思った人間に『力』を与える
そして力を与えた人間(ターナー)同士がどう関わり合い、どう歴史を変えるのかを見て楽しむんだ
その力はかつては魔法や忍術、道術と呼ばれていたもの
だけど、今の世に伝わる異能力みたいに多様で便利なものじゃない
人間の中の、『オーディエンス』が興味深いと思った一つの要素を現実に顕現させるだけ
例えばデカい男になりたい!と思っていればまさしくその通りになるし
何かに強い熱意を持っているなら、炎を生み出す能力になる
その融通のきかなさと、力を与えられる事に拒否権がなく、否応なしに戦いを強いられる事から
ターナー達の間では力の事を『呪い』と呼んでいる
名付けて【カースド・ターナーズTRPG】!
みたいなのをやりたいなと思うのですがどなたか参加しませんか
ジャンルは第二次世界大戦を舞台にした、異能者による架空戦記になります
私を含めて三人以上集まればやりたいなと思います そんじゃとりあえず参加表明
時期的には第二次世界大戦のどのあたりなんです?初期中期末期
あとプレイヤーの陣営というか所属は好きにしていいの? わーいありがとうございます
時期は……初期、かな?
日本の参戦が1941年だからそこを想定してます
所属は、国は日独伊を推奨しますが
陸軍だろうが海軍だろうが民間人だろうが構いません
「WW2の結末を変える」事をストーリー上の目的にするつもりなので
それに矛盾しなければ別にアメリカ人でもOKです
ど忘れしてたんですが、テンプレは↓こちらです
名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
容姿と体格:
性格:
能力:(そのキャラクターの内面を象徴するようなものでお願いします
デカい男になりたい!と思っているなら、体の巨大化。
何かに強い熱意を持っているなら、炎にまつわる能力、といった感じです)
簡単なキャラ解説:
テンプレ例はこんな感じで
名前:東郷大太
年齢:18
性別:男
身長:192cm
体重:110kg
容姿と体格:角刈り、眉が太い、おめめぱっちり、唇が分厚い、顔が四角い、日本人離れしてデカい
性格:単純だけど馬鹿でもない
能力:体の巨大化。巨大化は体の一部分のみでも可能
巨大化する事で耐久力や筋力を大幅に増強出来るが、体力の消耗も激しくなる
【やろうと思えば戦車をぺちゃんこにしたり、
爆撃の為に降下してきた飛行機くらいなら飛びついてへし折れる】
簡単なキャラ解説:
子供の頃からデカい男になれよ!と言って聞かされ育てられ、その通りに育った男
数年前までは体のデカさばかりを自慢していたが
ある日学校の授業で小村寿太郎の名とその功績を耳にし、図体の大きさだけが「デカさ」じゃないと気づく
それ以降、心身共にデカい男になろうと文武に励んでいたところ
『オーディエンス』に目を付けられ、力を与えられる事になる 名前:山本三十五
年齢:35
性別:男
身長:187cm
体重:104kg
容姿と体格:ゴツゴツした筋肉の塊のような肉体、生き生きとした表情
性格:上には媚びるが下には厳しい
能力:
@海軍乙事件
「海軍乙!」と言うと海軍のあらゆる兵器が具現化し、敵に向かって颯爽と突っ込んでいく…
A山本賞
「山本三十五賞」という勲章を持っており、これを味方につけることで味方を大幅パワーアップ
対象は米軍でもよい
Bステーキもう一枚
「ステーキもう一枚」と言う度に巨大な和牛ステーキを食い、体力を全回復するとともに能力を上げる
簡単なキャラ解説:
海軍で戦うために産まれきた男。
体が並外れて大きく、いつも国を愛し、上には媚び、下には根性注入棒を振るってきつくあたる。
あらゆる兵器に乗ることができ、操縦しては国のために戦う。
『オーディエンス』に目を付けられ、力を与えられる事になる。
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