京太郎「お、お姉ちゃん…」煌「すばらです!」咲ss [無断転載禁止]©2ch.net
初投稿だから拙いのは見逃してくれ。
以下に注意書き。
京太郎SS
須原さんは長野に留まり、京太郎の義姉ですが苗字は花田
投牌シーンはありません、多分
京×煌
京太郎の雀力は普通レベル
描写+台詞書き
書き溜めながら投下します
以上がO.K.ならどうぞ。 立ったら書くと言ったな?あれは嘘だ。
ここは長野県にある清澄高校。
京太郎が通っている高校だ。
義姉である煌の勧めもあり麻雀部に入部した。
これはインターハイ予選が始まる少し前の話である。
煌「京太郎、起きなさい朝ですよ」
京太郎「zzz…」
煌「はぁ…私がこうして朝に起こしに来ても貴方はちっとも早起きの習慣が付きません、それはすばらくない…」
あの手この手で毎日起こしに来るものの、抵抗がつくのか徐々に効果は薄れていくのが分かっていた。
最近では揺らしても駄々をこねるようにすぐにあっちを向いてしまう。
煌「全く…さっさと起きなさい京太郎!」
バサッと布団を取っ払う。よりどころさえ取り除けば京太郎も観念するはず…しかし、目の前にはピラミッドが一つ。
煌「こ、これは…し、失礼しました−!あっ…」
京太郎「ふぁあ…って、煌さん?そんなに急いで…あちゃ…」
気が動転したのか、扉の先で転がってしまった煌であった。
須賀家の朝食は煌が作る。御都合主義よろしく、両親は海外に赴任しているそうだ。だから、家にいるのはカピバラのカピーと2人ということになる。
煌「…京太郎」
京太郎「ん…煌さんどうかした?」
煌「あ、朝ご飯が冷めてしまいます、出来るだけ早起きする習慣を身につけて下さいね」
京太郎「ご、ごめんなさい。いや、言い訳じゃないんだけど、なんか中々朝起きれないんだよなぁ」
ポリポリと頭を搔き申し訳なさそうにする京太郎。
煌「まぁ…今に始まったことじゃないですからね。明日からちゃんとするんですよ!」
京太郎「分かったよ、煌さん」
煌「すばらです!さぁ、ささっと食べて学校に行きましょう!」
いつも通りの光景。朝ご飯を2人で食べて、2人で登校する。学校では知らない人の方が多いのか、クラスメイトからは「夫婦仲良く登校か」とよく茶々を入れられる。
京太郎「嫁さん違います」
煌「お姉さんですから」
と返事をするのもよくあることだった。 インターハイ予選が近いので麻雀部も例によって朝練と意気込んでいる。
部長の思いつきではなく、気が付けばみんな集まっていたというのが正しい。
それでも部長は生徒議会長を兼任して忙しく、咲の迷子によって和が駆り出され、優希はよく寝坊する。
この麻雀部に朝から顔をきっちり出すのはまこと私達ぐらいだった。
まこ「おはようさん、2人とも」
煌「おはよう、まこ。今日も早くの出席すばらです!」
京太郎「おはようございます、染谷先輩」
まこ「久や1年生が来るまでは打てんがの。まぁ、のんびり待っとれ」
京太郎「じゃあ俺、飲み物いれます」
煌「京太郎、私も手伝いますよ」
京太郎「煌さんの手を借りなくても大丈夫ですよ。2人には冷たい緑茶入れますね」
煌「気遣いすばらです。では、私は京太郎の分を入れますか」
まこ「…おんしら、夫婦みたいじゃの」
京太郎「嫁さん違います」
煌「お姉さんですから」
それから特に何をするわけでも無く、4人が来るまでまったりと過ごすのであった。
時間は過ぎ放課後。各学年ホームルームを終え、旧校舎麻雀部へ。珍しく全員がすぐに集まった。全員が集まったのを見て、部長がホワイトボードに書き始める。
久「はーい注目!」
デカデカとそれは「強化合宿!」と書かれていた。
和「合宿…ですか?」
優希「部長!タコス巡りかだじぇ?」
咲「優希ちゃん…それは無いと思うよ」
各々反応を示すが、直ぐさま久が続ける。 久「えー、明後日から合宿に行きます。目的は1年生の実力の底上げ!貴方たちには期待してるわよ。それとインターハイ予選のメンバーを決めるわ」
まこ「まぁ先鋒から大将まで5人と補欠の1人ってことかのう」
煌「合宿とはすばらです!断然、燃えてきましたよー!」
京太郎「1年生の底上げってことは俺にも何か練習メニューが組まれるんですか!」
久「あ、須賀君のはないわよ」
京太郎「で、ですよね…ははは…」
久「だって男子と女子じゃ勝手が違うじゃない、今の須賀君なら良いとこまでいけるかもね。あとは、合宿中は補佐ばかりで悪いけど、よろしく頼むわね」
京太郎「ぶ…部長…。須賀京太郎、全身全霊で頑張ります!」
部長からの言葉に少しばかり顔がゆるむ京太郎。
優希「まぁ、私の専属シェフとして手一杯だろうがな!」
京太郎「そりゃねぇよ〜」
和気あいあいと合いの手を入れる2人。少しばかり胸がチクリとする。同級生同士の仲が良いのだからすばらだと言い聞かした。
久「さぁて、今日も沢山打つわよ!最初にまこ、咲、和、優希が入って、3・4着交代でよろしくね。私は少し牌譜整理してくるわ」
まこ「じゃ、始めるかの」
和「宮永さん、今日こそ勝ち越します」
咲「お、お手柔らかにね」
優希「起親だじぇ!京太郎、タコスを買ってこい!」
久「あ、須賀君は少し借りるわね」
京太郎「すまないな、また買ってきてやるよ」
煌「優希、私が買ってきますよ」
優希「じぇ…、花田先輩に頼むのは恐れ多いじょ。仕方ない、おやつのタコスを食べるじぇ〜」
京太郎「…そんだけあれば放課後持つだろ…」
こうして、和やかな雰囲気のまま放課後の練習は過ぎていった。 合宿当日の朝。煌はいつものように京太郎を起こしにいく。前日に部室からパソコンを運んだりと目まぐるしかったが、今日は合宿当日。酷だが起こさない訳にはいかない。
いつも通り扉をノックして入る。一瞬、先日のピラミッドがよぎるが、健全な男の子だからと気にせずに入ることにする。
煌「京太郎、合宿ですよ起きなさい」
京太郎「うーん…煌…お姉ちゃん」
煌「…!!」
顔が赤くなるのが分かる。なんせ中学に入るまで言われていたが、今ではめっきり言われなくなっていたからだ。
むず痒くて、でも甘酸っぱいその一言が煌を発熱させるのに十分だった。
煌「い、いきなりなんて卑怯です、すばらくないです京太郎…。また呼んで貰いたくなるじゃないですかぁ…」
トクンと心臓が跳ねる。しかし、今日は合宿当日。自制心が煌を正気にさせた。
煌「と、そんなこと言ってる場合じゃありません。京太郎起きなさい!遅刻はすばらくないですよ!」
本当に手のかかる弟。義弟…ですね。
時間は経ち合宿所へ向かうバスの中。
部長曰く、温泉があって近くに滝等の観光名所があるとか。
本当にどうやって予約を入れたのかが未だに分からない。
捲りの女王:藤田プロと知り合いであったり、部長の人脈には本当に驚かされる。
優希「見えてきたじぇ!」
施設に着けばその大きさにまた驚く。つくづく部長には頭が上がらない。
宿舎に着いてからはあっと言う間であった。
大量の荷物を京太郎が運び、温泉に入ったり特打するかと思えば
咲にはネット麻雀、和はツモ切り、優希は計算ドリルを。
和以外は本当に悪戦苦闘しているのが目に見えた。
余った4人は手牌を開けたり縛りを入れたり、一通りやることはやった。
京太郎もメニューが無いと言われながらも特打に参加出来て満更でもなかったようだ。 夜も更けてくる。
京太郎は別の部屋に移り、私達は布団に大の字になる。
1年生はまたお風呂に行っていたみたいで、
和と優希はのぼせていた。
和「の、のぼせました」
優希「流れ星見れなかったじぇ…」
煌「それは残念でしたねぇ。次はきっと見れますよ」
咲「2人とも大丈夫…?」
まこ「寝たら大丈夫じゃあ、ほれ消灯するぞ」
久「ありがとう、まこ」
電気は消され一瞬静寂が訪れる。
外は綺麗な景色が見え、星々が神々しく光っている。
──それを優希は破った。
優希「花田先輩、ちょっと着いてきて欲しいじょ…」
煌「なんでしょうか優希?」
言葉に詰まる。だが、私は何も言わず外に出る。そんな空気を察したのか、みんなは何も言うこと無く外に出してくれた。 川のせせらぎが聞こえる。神秘的でそれでいて肌がひんやりとした。
緊張しているのが容易に見て取れる、優希は私に振り返り告げた。
優希「…花田先輩」
私は分かっていた。部活でのチクリと来たのも、優希の天真爛漫さ故に私は貴女に嫉妬していたことも。
煌「ええ…分かってますよ優希。京太郎のことでしょう?」
静かに頷き、優希は下を向く。私は待った、優希が言葉にするまで。再びその静寂を破る彼女の言葉を。
張り詰めた空気を払拭するように。意を決して、強く優希は言葉にする。
優希「私は…京太郎のことが好きだ…!」
しかし、言葉の力は薄れる。
優希「でも、京太郎には花田先輩がいて…」
煌「優希」
段々語尾が弱く、私は弱気な優希に一言だけ言いたくなった。なんだかそれだとフェアではないと思ったからだ。
煌「私に伝えた上で京太郎に伝えるのでしょう?なら、貴女の思いを聞かせてください。はっきりと。私もそれに応えるだけです」
優希「…そうだじょ。…私は京太郎が好きだ!のどちゃんのおっぱいばっか目で追わず、花田先輩がそばにいても、私のことだけ見て欲しい。京太郎と付き合いたい。変な言い方だけど、本当に運命を感じた。
この人の子供を産んで、一緒に歩いていきたいって思う…。だから、花田先輩!バカな私でも分かる。今回のインターハイ、私か花田先輩が補欠になる。これは私のワガママだから気にしなくていいけれど、私は今回のインターハイにメンバー入りしなかったら京太郎は諦める…!」
無茶苦茶な、だけどそれには筋が通っていた。そんな優希の志を見せられたら、私だって腹を割るしかないじゃないですか。
煌「わかりました。でも、その提案はあまりにもすばらくない。私も参加してこそ意味があります。私だって京太郎が好きです。子供だって産みたい、高校生の若輩に説得力はありませんが、私も女です。
貴女にそこまで言われてしまったら女が廃ります。今回のインターハイ、私が外れたら京太郎を諦めます。今まで通りのお姉さんで生きていきましょう」
強く真っ直ぐ優希を見つめる。言い切ってから心臓が落ち着かない。本気で欲しいと思ったのは、想ったのはこれが初めてでは無い。
しかし、目の前には大きなライバルがいる。
優希「花田…先輩…!ううん、今からは恋敵と書いてライバルだじぇ!京太郎は私が頂く!」
煌「私だって負けませんよ、どう転んでもすばらな戦いにしましょう」
男顔負けの握手をする。強く握りしめ、互いが約束を刻み込んだ───。