「謝っても何も変わらないわ!どうして、どうして…。」

ゆゆこは泣いた両手で包み込むように持っているものを見て、
彼女は涙を流していた。
その彼女の両手にあるのは。


二十粒足らずの入り豆だった。


「どうして、これっぽっちしか豆をくれないのよぉおおおお!」

「しょうがないよ、幽霊として生きた年数は歳として数えられないもん。」


大豆ゆっくりは目の前にいる相手の年齢と同じ数だけ、豆を出してくれる。
ゆゆこはこのゆっくりが千年以上生きた自分に千個以上の豆を出してくれると期待した。
だがかの所の生きた千年は亡霊として過ごした千年である。
生者と違い、死者の時間は止まっている。
故に彼女の千年は年齢としてカウントされなかったのだ。


「誤算だった…これは完全に誤算だったわ…。」

「あ、お、落ち込んでるところ悪いけど、次に行かせてもらうね。」

「…次はどこに行くのかしら?」

「八雲さんち。」


瞬間、ゆゆこは下げっぱなしだったその顔をガバッと勢いよく持ち上げた。


「付いて行かせてもらうわ!」