9月15日(土) 昼
「「「ハッピバースデートゥーユーー!!!」」」
876プロの主なメンバーが集い催されたパーティ。
事務所内・関係者のみで行われているため、
参加人数はそれほど多くはないが賑やかな宴となりそうだった。
「さあ、涼さんっ!!ふーーっと、やっちゃってください!!」
ケーキに立てられた18本のロウソクをパーティの主賓である秋月涼は一息で吹き消し、
宴は始まりを告げた。

おめでとうのラッシュが終わり、めいめいの歓談へと移ってきた頃、
愛と絵理の二人がプレゼントを渡しにやってきた。
皆が直接渡すと大変だろうからと基本的にプレゼントは別室に固めて置いてあるが、
この二人だけは特別というのが社長の采配であった。
「涼さん、プレゼント、どうぞ?」
「はいっ、涼さんっ!プレゼントですっ!」
二人からプレゼントボックスを受け取り、大事そうに抱える涼。
「ありがとう、愛ちゃん、絵理ちゃん。ここで開けちゃってもいいかな。」
「開けると、袋が邪魔になるし、中、教えてあげる?わたしのは、
前に涼さんが欲しいけど絶版になってるって言ってたの?」
「わざわざ探してくれたんだ……」
「あたしのは、涼さんのステージ衣装にも合いそうなアクセサリーです!」
「二人ともありがとう、ずっと、大切にするね!」
二人のプレゼントに感謝の言葉を返す涼。
一度ボックスに視線を落とすとえへへ、と照れくさそうに笑った。
「喜んで貰えてあたしも嬉しいです!……そういえば、
最初は涼さんと夢子さんのお二人がお気に入りって言ってた、
ちょっと大きい人形にしようかなと思ってたんでけど、
ママが『大きい物より、小物の方が良いと思うわよ』って。
そういえば、夢子さん来てないですね。」
何気ない会話の中で、この場に居る筈だった人物が一人居ない事に愛が気付いた。
「うん、用事が入っちゃったみたいで。」
「涼さん……いいの?」
涼の答えに、絵理が心配そうに声をかける。
既に二人の間柄は周囲が認めるものになっていた。
「そうですよ、折角のお誕生日なのに」
「うん、仕事の事だから。それに、後で会う約束してるから。」
大丈夫、と事も無げに答えた涼の背後に急に気配が現れた。