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他に行き場所の無い作品を投稿するスレ4
0453創る名無しに見る名無し
垢版 |
2024/05/11(土) 22:46:23.92ID:jcgaiEFN
ある日突然巻き起こったあっちむいてホイのブームは、日本列島を席巻した。
我こそは、という実力者を集めて行われた第一回あっちむいてホイチャンピオンシップは、東京ドームの観客席を満員に埋めた。

白熱の決勝戦を制したのは、鳥取県出身の24歳の男性だった。名前は梅林一志という。
大歓声の中、梅林は優勝賞金の10億円を掴み取った。
梅林はその瞬間から"ホイキング"ウメバヤシとして、日本中から注目を浴びる事となる。

ウメバヤシは生まれてからあっちむいてホイで負けたことが無いという。ホイキングとなってから毎日のように挑戦者からの挑戦を受けるが、当然のように勝ち続けた。
メディアは生涯無敗のウメバヤシが勝利する様子を連日のように報道した。

「たかがあっちむいてホイが強いくらいで」「そもそもヤラセでは無いのか」「他にやるべきニュースはあるだろう」などなど批判する連中もいたが、ウメバヤシはそれらアンチとも対戦して全て返り討ちにしていった。

やがて国内からウメバヤシを悪く言う人間はいなくなった。
ウメバヤシは子どもたちの憧れの存在になった。子どもたちは将来ホイキングを目指してあっちむいてホイに勤しんだ。

ウメバヤシは活動の幅を広げた。CMやバラエティ番組に引っ張りだこになり、アーティストデビューも果たした。ついでに武道館でコンサートを行ったが、チケットは即日ソールドアウトだった。

そんなウメバヤシは練習の時間がなくなり、第2回あっちむいてホイチャンピオンシップでは苦戦することが予想された。

東京ドームに集まったあっちむいてホイファン達は、新たな伝説を見ることになる。

それでもウメバヤシは負けなかった。ホイキングは俺一人でいい、そう言わんばかりの気迫のプレーを見せた。
あるものは人生を捨てて挑み、またあるものは生命を賭けて挑んだ。

だが、ウメバヤシは勝ち続けた。その176cmの体のどこにそんなエネルギーが隠れているのか。
鬼だ。観客席の誰かが呟いた。その言葉は、ドームの空気を伝って人々の頭に伝染していった。

ただ1人。ステージの中央にウメバヤシは満身創痍で立ち続けた。
前回よりさらに上乗せされた15億円の優勝賞金を受け取り、万雷の拍手と共にウメバヤシは会場を後にした。

あっちむいてホイブームが一段落すると、テレビ局は選手のキャラクターを押し出す戦略に切り替えた。

「筋肉は全てを解決する」を座右の銘とする"マッスルイノベーション"こと西木田大陸やアイドル的なルックスでお茶の間の注目を集める"女帝"こと宮口彩海、6男3女の大家族の大黒柱として一家を支える"ミスタービッグボディ"こと柳元悦雄など個性的な面々が名を連ねた。

これに絶対王者の"ホイキング"ことウメバヤシを加えた四天王の時代に突入する。
0454創る名無しに見る名無し
垢版 |
2024/05/17(金) 22:05:43.60ID:gR1/E0Wc
「カズミチさん…好きです。お付き合いして…ください…」

「色々な事情により、その気持ちに答える事はできません」

「えっ?」キョトン。勇気を振り絞って告白をした少女の想いは、簡単に却下されてしまった。
少女の名前は一岡珠姫。まだ小◯生に見える幼い見た目の女子高生、もとい女子校生だ。

相手のカズミチこと九十九和道は、49歳の独身男性(会社員)。この年齢まで彼女どころか好きになった女性すらいないという寂しい人生を送ってきた。

まだ出会って半年の二人だが、まるで10年以上経ったかのように様々なイベントをこなしてきた。
春は花見、夏は海、冬は温泉、さらにクリスマスやバレンタインも何度かあった…あれ、出会って半年とは?

「わ、私が子どもみたいな見た目だからですか?」

タマキはありがちな質問をぶつけてみた。確かにはたから見ると親子にしか見えない年齢差だし、下手すれば男性のほうが誘拐犯と間違えられる可能性すらある。
常識的に考えて、30歳も上の男性が恋愛対象になるのはありえない。

「まあ、色々とあってさ…」

カズミチは言葉を濁した。彼もまた、小◯生の女児に欲情…失礼しました。とにかくそういう趣味は無かった。
実際は女子校生なのだが、それでも未成年に手を出すなんてことはおっかなくて出来ない。

「せ、世間の目とか」

どうしたカズミチ。それでも男か。相手の女が抱いてくれと請うているのだ。

「そこまでは言ってませんよ。ていうか誰なんですか」

タマキは虚空に向かってツッコんだ。それはともかく、彼女にしてみれば今までの話は何だったのかという話だ。

「覚悟はできています。たとえ後ろ指を指されても…」

凄い意気込みが伝わってくる。それでもカズミチはタマキの想いを受け取ろうとはしない。

「君は、40代の独身男性の作者の妄想を固めた架空のヒロインなんだよ」

カズミチはタマキを説得しようとするが、作者とか架空とか言われてもピンとこない。

元々はこんな子が彼女になればいいな〜。という理想を描いたフィクションに過ぎないと。
それならば、最後はそんな理想の女の子が作者の自己投影となる主人公と結ばれてハッピーエンド…となるのでは無いか。
しかし、予想外な事が起こったのだ。
ライトノベルとして刊行されたこの物語は、何故かわからないが売れ続けた。
その分析は他に譲るとして、ライトノベルが売れたら待っているのはメディアミックスである(諸説あります)。

アニメ化の話が出てくると、作者は二つ返事で承諾した。
アニメによって原作のライトノベルも売れるので(そうならない場合もあります)、作者は断る理由が無かった。
多くの目に触れるということは、そういう事ですね。
作者の妄想は白日のもとに晒された。やはり作者のパーソナリティが主人公まんまというのが、バレたのが痛かった。

作者は話を終わらせる事にした。こんな都合のよい美少女は存在しないという現実に向き合うために。

「そういうわけで、さよなら」

そう言うと、カズミチは消滅した。残されたタマミは、今までの事を忘れて新しい道を一人で歩き出した。
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