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オリジナルキャラ・バトルロワイアル2nd Part2

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0202Don't think just feel!! ◆IjfUSUNsIR9f
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2012/11/29(木) 23:03:01.03ID:FdSgMDrF
―――高校生片嶌俊介の同級生、西城幹事の談話


え?片嶌?…ああ、片嶌ね。知ってるぜ、そりゃあ。
知ってるも何も俺、同級生だし!で、何?

…えっ?片嶌がどんな人間か教えろ、だって?
物好きだなあ。よりにもよってタッちゃんや金村とか、ああいう人気株じゃなくて片嶌だなんてさ。
まああいつは出来る奴だし、隠れ人気は高いとは聞くがね…お、すまんすまん、独り言は俺の悪い癖だ。

んで、なんで片嶌の事を知りたいのか…って、理由は聞かない方が良さそうだな。
今さっき、バツの悪そうな顔しただろ。へへ。凄いだろ俺。
…顔に出てる。分かるんだぜー!俺!

あ、で、片嶌だよな。話戻すか。

片嶌はな、一言で言えばあいつは優れた奴だよ。
何より、勉強も出来るし、スポーツも、性格もなおよし。
ホントは俺らみたいな脳ミソまで筋肉出来ている奴らなんかいる所より、法英とか爽明館とか、鹿瀬とか。エリート階級にいるべき人間なんだよな、アイツ。
ただ、ただアイツはバスケがしたいってだけでこの高校に来たんだっ、て自分で言ってたよ。
意思の固さも、誰にも負けないって事かな。

…ん?他に何か無いのかって?
ああ。無い訳じゃない。ただ、アイツに関しては多すぎるんだ。言うことが。
アイツとあくまでもクラスメイト止まりの俺でもな。

ただ、ただこれだけは言っておきたい。いいか、アイツは………

んっ?ああ、やべ次家庭科じゃーん!!
わり、ちょっと急がなきゃ!ごめんな、また後で!

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
0203Don't think just feel!! ◆IjfUSUNsIR9f
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2012/11/29(木) 23:03:52.59ID:FdSgMDrF
「ここまで来れば大丈夫だろ…」

片嶌はそう呟くと額の汗を拭う。
ふう、と一息をつく。早朝故か、妙に肌寒い。
ただ体は火照ってはいる。尚更、気温との差で落ち着いてくる。

また、一息。
すると、襲いかかる疲労。ただ無心のまま、走り続けた為か、片嶌に襲いかかる。
普段なら…そう、高校バスケの名門、秋月高校で二年生ながらPG(ポイントガード)としてスタメン出場している程優秀な片嶌なら、こんなインターバル、屁でも無い筈なのだが。
今の彼に襲いかかるのは、宍岡との闘いや逃走による身体的疲労だけではない。
(…本当に、人が死んだ。俺の目の前で)

宍岡琢磨が死んだ事。
呼吸が落ち着いてくる程、あの光景が頭を過る。
片嶌とて、既に高校生とはいえ17だ。自分の祖父は病気で亡くなった事は、よく覚えてる。
ただ、天寿を全うした祖父の死と宍岡の死は根本的に違う。
死する事の理不尽さ。
急に死を与えられた現実。
祖父のように、愛する人々からも見送られず、死ぬ準備も出来ないまま、死を受け入れるこの状況。

(…俺も、死ぬのか?あんな風に)

片嶌を襲う、『死への恐怖』。
無情さ、やるせなさ、理不尽さ、悔しさ。
それらを押し殺して殺される、現実。
急激に体が固まる様な感覚。
0204Don't think just feel!! ◆IjfUSUNsIR9f
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2012/11/29(木) 23:04:45.65ID:FdSgMDrF
「祢音…」

果たして、俺は守れるのだろうか。
あのいたいけな、純粋無垢な彼女を。
ただの非力な高校生の俺が―――

「ねえ、ちょっといい?」

ハッ、とする。
女の声。いきなり頭の中から現実へと引き戻される声。
声がした方向を向く。
そこに立つのは、ナース服の女。
眼鏡をかけ、髪の毛は黒色のショート。
垂れ目ながらも目は二重で、おっとりとしながらも何処か聡明さを感じさせる。
唇は弾力があり、肌は白い。
ピッチリとしたナース服の上から故か、更にその大きさ、形が分かる大きな胸。
少し汗がにじみ出ている故か、何処かそれさえも見てる者に不純な動機を伺わせる。
何処か庶民的で、でも何処か余裕のある、手の届かない雰囲気。
『白衣の天使』だ。
これでこそ、全男性が思い浮かぶ『ナース像』。

「ねえキミ、色々考えてる前に手を離してほしいなーって」

ナースの女はそう片嶌に言うと慈しみを持った、それでこそ微笑んだ。
それに対し片嶌は、「あっ」と発すると手を放した。
必死で気づいてもいなかった。
全力で逃げてる最中にあった、この女性の手を引き片嶌は逃げてきたのだ。
またこれも無心のまま。
0205Don't think just feel!! ◆IjfUSUNsIR9f
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2012/11/29(木) 23:06:03.45ID:FdSgMDrF
「あ、あのー、すんません。いきなり引っ張っちゃって…俺、片嶌俊介っていいます」

やらかしたのかと不安になった片嶌はとりあえず謝り、名前を告げる。
敵意が無いのは示すため、両手をホールドアップ。
それを聞いた愛沢はクスリと笑う。

「謝らなくて平気だから、ね。片嶌君だっけ?」
「あ、はい」
「固まらないでいいから。気軽にいいわよ」
「…えーと…じゃあよろしく」
「よろしく。私、愛沢優莉。見ての通り看護婦やってるわ。大丈夫よ両手なんか挙げなくて。私も殺し合いはする気無いから」

真っ赤な嘘。愛沢は自分で話しながらも自嘲を覚えた。
本当ならば、この場でも殺せるのだ。自分の手で。すぐにでも。
愛沢の記憶が確かであれば、片嶌はただ人を助けたいが為に自分を引っ張って、ここまで連れてきた。
そんな馬鹿正直な人間は、おそらく人を裏切ったりする事はない、純粋な男。
それに、その時の眼は血走りながらも真っ直ぐであったのも、その一因。
ただ、愛沢優莉は考える。


何もこの場で殺す必要は無いし、一応表向きは友好を示すべきだ、と。
0206Don't think just feel!! ◆IjfUSUNsIR9f
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2012/11/29(木) 23:08:04.90ID:FdSgMDrF
殺しには慣れている。
何人も、いや下手すれば何十人と患者を殺害してきた自分からすれば、別に殺すことなどどうだっていい。
しかし今は違う。
それは殺す相手が少なからず健康であることだ。
目の前の片嶌が今体力を消耗しているからといって、寝たきりの患者達とは違い片嶌は下手すれば逃げられるだろう。
そうしたらどうなる?自分の悪評が広まると少なからずやりづらい。

愛沢優莉は考える。
よく自分の表面上の、この殺し合いを裏で操る主、三城愛理沙が、よく言っていた事を。

『優莉ちゃんは何も考えなくていいの。人をどう殺すのも、用意するのも、根回しも、そして、貴女に人をどう殺させるかも。私が全部してあげるから、ね?』

(いつも、私の本質を見抜いた様な、そんな目であの人は見ていた)

自分が考えないが為に不易な事態に陥る事を、主である三城はいつも見抜いていた。
それは分かってる。だから深く考えなかった故に三城に弱みを握られてしまうのだ。
だからこそ。愛沢優莉は考える。
普段使わなかった頭をフル回転させて。
そして、結論。


片嶌俊介を、利用する。
この純粋な青年を自らの奴隷にする。
丁度三城愛理沙が自分にそうしたように。
0207Don't think just feel!! ◆IjfUSUNsIR9f
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2012/11/29(木) 23:09:01.64ID:FdSgMDrF
(…こんな時まで、まるで二番煎じね)

こんな時に、やはりあの三城の存在が自分を動かしている。
三城が偽善とは思えぬ笑顔と雰囲気で自らに接近した事を思い出して。
不必要になれば、その時に殺せばいい。
この純粋で真っ直ぐな眼を、濁りきった、よどんだ眼にしてみせよう、と。

まずは、無害であることの証明の為に更なる情報交換がいるのかもしれない。だったらまずは。

「あの、片嶌君はこの殺し合いに知り合いは―――」
「お、おい大丈夫か!?しっかりしろ!!」
「…ん?」

片嶌に切り出した瞬間、片嶌は目の前にはおらず、川の沿岸に居た。
川から引っ張るように、1人の男を助けているのだろうか。

「愛沢さん!いきなりだけど手伝ってほしいんだ!運がいいことに看護婦さんらしいし…」
「え、あの片嶌く「くそっ、これどうすればいいんだよ愛沢さん!」

片嶌が、自分に真摯な表情で訴える。
仮にも、全力疾走した人間がどうして人を助ける気力まで残ってるのか。
愛沢は呆れながらも、どこか軽蔑に近い敬意を抱きながら、片嶌と男に近づいていった。

(…あれ?これ上手く行くのか凄く不安なんだけど)









愛沢優莉は、考える。
片嶌俊介は、純粋であると。
0208Don't think just feel!!
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2012/11/29(木) 23:10:16.01ID:FdSgMDrF
【一日目・早朝/F-3ホテル周辺】
【片嶌俊介】
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)
【装備】なし
【スキル】『ブレーキ』
【所持品】基本支給品、不明支給品1〜3(確認済み)閃光弾×2
【思考】
1.目の前の人を助ける
2.弥音を探す
3.愛沢さんと協力

【愛沢優莉】
【状態】健康
【装備】ナース服
【スキル】『病の呪い』
【所持品】基本支給品、不明支給品1〜2
【思考】
0.え?なに?(本日二回目)
1.片嶌を利用…したいなあ
2.殺し合いに乗る
3.F-4病院を目指す
【備考】
※ヨグスは実在せず、この殺し合いの黒幕は三城愛理沙だと思っています。
【篠田勇】
【状態】疲労(極大)、気絶
【装備】なし
【スキル】『重力操作』
【所持品】基本支給品、フラッシュグレネード×4
【思考】
0.……魔王
1.殺し合いを潰す為仲間を増やす
0209創る名無しに見る名無し
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2012/11/29(木) 23:57:32.59ID:dPgPZn5c
投下乙!
なるほど、積極的に殺すのではなく……
利用する立場から、利用される立場へ動こうとしているけれど、相手は純粋だからなあw
0210 ◆Z2CJJz2v/o
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2012/11/30(金) 02:03:55.94ID:A9fV2fMo
投下乙っす
私も書けたんで投下しますね
0211熱き血潮に ◆Z2CJJz2v/o
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2012/11/30(金) 02:05:40.13ID:A9fV2fMo
――――豪と、虚空を切り裂きながら板垣退助の剛腕が奔る。

板垣が放った一撃はまさに必殺。
直撃しただけで跡形すら消し飛ぶのではないかと思うほどの一撃が、人体急所である水月に正確に叩き込まれた。

だがしかし相手は人外。魔の頂点たる大魔王である。
これほどの一撃を受けながら、平然と魔王は反撃の一撃を繰り出した。

「むっ!?」

その一撃を躱さんと、その場を飛びのこうとした板垣が怪訝の声を上げ動きを止める。
何時の間にそこにあったのか。
見れば、魔王の腹から口のようなものが生えていた。
そしてその口が板垣の放った右拳に喰らいつき、その回避行動を封じていた。
咄嗟に力を込め、無理矢理拳を引きその高速から脱するも、そこに容赦なく魔王の鉤爪が振り下ろされる。
半端な刃物では傷つける事すらかなわなかった板垣の皮膚が容易く切り裂かれ、そのまま肉を抉り鮮血が舞う。
板垣がたたらを踏み、僅かに後方に下がった。

『■■■■■■■■■■■■■』

久々の肉の感触に歓喜するような、声ならぬ咆哮。
穏やかだったこれまでの姿とはかけ離れた、己が魔性を剥き出しにした魔王の姿。
だが、その魔性を、誰よりも恐れ、誰よりも忌み嫌っているのは他ならぬ魔王自身に他ならない。

強大な力は同時に、強大な凶暴性をも秘めていた。
その野生がいつ爆発してもおかしくない、魔王は常に、そんな危うい状態だった。

暴虐を是とし、殺戮を良とする。
そんな、価値観ならばよかったのだろう。
だが魔王は違った。
平和を愛し、日常を好む。
そんなあまりにも普通な、あまりにも人間的な価値観。

その不幸は魔王として生まれ。魔王にふさわしい力を持ちながら、魔王らしからぬ人間性を持ってしまった事にある。
故に、魔王は恐れていた。
己の力を、己の暴力を、己の暴走を。
そのため、普段の魔王は己の力を制御するために、その力の大半、実に七割を力の抑制に割いている。
それにより、暴力を律する理性と柔和な精神を獲得した。
それが俗に第一形態と呼ばれる姿である。

だが、魔王という立場上、自称勇者や騎士、冒険者との戦闘は少なからずあった。
中には強者もいる。
平和を好む性分とはいえ、素直に殺されるほどお人よしではないし。
自らの役割を放棄するほど無責任でもない。

そのために生み出したのが第二形態。
理性と本能の釣り合いが取れるぎりぎりのラインまで力を解放した戦闘用の姿である。

そして、この最終形態。
といっても、最終形態とは名ばかりである。
何のことはない、力を押さえつける事をやめただけ。
最終ではなく最初。
魔王の、真の姿だ。
0212熱き血潮に ◆Z2CJJz2v/o
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2012/11/30(金) 02:10:35.59ID:A9fV2fMo
『■■■■■■■■■■■■■』

押さえつける理性から解放された、人でも獣でもないモノの雄叫び。
破壊衝動の赴くまま、魔王は板垣へと襲い掛かる。

それに対し、板垣は身構える。
相手の次の攻撃を予測し、後の先で討つ心積もりだ。
来るのは、爪か足か、それとも牙か。

だが、意外!それは尾先!

人類には存在しない部位からの攻撃である。
完全に意表を突かる形となった板垣の身を、鞭のようにしなりを上げた尾先が強かに打ちつけた。
破裂するような衝突音。
100倍もの重力に耐えきった板垣の体制がぐらりと崩れる。

こうなるとさすがの板垣も認めざる負えない。
一国の軍事力に匹敵するとされている板垣退助の武力が、目の前の相手に完全に後れを取っているという事実を。

それも当然。相手は一国どころか世界を支配した大魔王だ。
賢者や戦士といった仲間もおらず。
伝説の装備も持たず。
拳ひとつで簡単に圧倒できる相手ではない。

だが、こんなことなど珍しい事ではない。
意外に思われるかもしれないが、苦戦など彼には珍しい事ではないのだ。

万の軍勢相手に疲弊し追い詰められた事もあった。
政界に蔓延る魔物どもを相手に苦戦を強いられたこともあった。
理解なき国民に理解を訴えかけるため苦心したこともあった。

そしてその全てを乗り越えてきた。
その全てに己が意志を貫き通してきた。
そのためにありとあらゆる力を手にし、ありとあらゆる手段を用いてきた。

そうやって、生きてきた。
そうやって、勝ってきた。
それが板垣退助の在り方である。

ヨグスの意図に縛られるを良しとせず、己の肉体のみを頼りここまで来た。
だが、本当の自由とは縛られぬことではない。
本当の自由とは自ら選択することだ。
自らの意志を貫くべく、自らの意思で全てを決め、実行することを言うのだ。

つまりコレを使わぬも自由。
そして使うもまた自由なのである。

故に、板垣退助は宣言する。

「スキルカード――――『血流操作』」

瞬間、赤い霧が辺りを覆った。
それは一面に蒔き散った板垣の血液が霧化したものだ。
だが、霧が一面に舞ったのは一瞬。
その一瞬で体制を整えた板垣に向かって、霧散した赤い霧が収束してゆく。
0213熱き血潮に ◆Z2CJJz2v/o
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2012/11/30(金) 02:12:57.85ID:A9fV2fMo
――――スキル『血流操作』。
それは自らの血液を硬質化、射出、霧化など多様な方法で操る汎用性の高い能力である。
だが、板垣が行った使用方法は実にシンプルなものだった。

何の奇をてらうこともなく、血液を凝固させて、ただ身に纏う。
血液の凝固作用を利用した高質化。
その強度は鋼にも勝るだろう。
それは鎧であり武器であった。
幾多のダメージを負った証である大量の出血が、この時より一転、完全なる凶器となる。

全身を赤き血の鎧で覆った、その姿はまさしく――――紅き鬼神。

鬼神が魔王に向かって真正面から突撃する。
拳を振りかぶる板垣。
その光景は、先ほどの焼き直しだ。
先程はその拳は通じなかった、だが、今は決定的に違う点が一つ。
板垣の拳の先に存在する、ひとつの巨大な紅い棘。

接点が少なければ衝撃は収束する。
つまり、面では通らなかった衝撃も点ならば――――貫ける。

『■■■■■■■■■■■■■!!』

これまでとは毛色の違う、痛みを訴えかけるような魔王の叫び。
板垣の正拳突きが魔王の分厚い腹部を破り、その孔から大量の赤い血液が噴き出した。

「ぬっ」

その返り血を浴びた瞬間、板垣の拳を覆っていた血液の鎧がドロリと溶けた。
酸の類か。と一瞬、訝しんだがそうではない。
なるほど、これが他者の血が混じれば無効化されるという特性か。
スキルカードを宣言した瞬間に頭に流れ込んできた情報と照らしあわせて、そう板垣は理解する。
つまり返り血を浴びる度に使用出来る血液の量が減っていくということ。
ならば、こちらの血液が尽きるか、相手の息の根が止まるか、此処から先は根競べである。
0214熱き血潮に ◆Z2CJJz2v/o
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2012/11/30(金) 02:14:47.97ID:A9fV2fMo
「ハァ―――――――――ッッ!!!」

打。
打。
打。
打撃に次ぐ打撃。
拳が肉を打つ音が打楽器のように鳴り響く。

隙間のない連打は嵐のようだった。
降るは拳の雨。
吹くは獣の雄叫び。
もはやどちらのものとも知れぬ血しぶきが飛び交い、戦場を彩る。

魔王を打った拳に返り血を浴びる度に、他の場所から血液を補填しあくまで攻撃を重視する板垣。
それに対して魔王も、攻撃に転化し薄くなった板垣の装甲を文字通り食い破る。
板垣もこれを防御はしない。
なぜなら、ダメージはそのまま攻撃力となる。
魔王の牙によって溢れた血液は再び装甲と化し、板垣の全身を覆ってゆくのだ。

ここからはもう、互いに完全に防御を捨てた命の削り合いである。
無論、ダメージが攻撃力につながる板垣と違い、魔王にノーガードの打ち合いに付き合う道理はない。
だが、板垣がそれを許さない。

パワー、スピード、タフネス。どれをとっても魔王のほうが上だろう。
人類の極地といえど、人外にスペックでは勝ち目がない。

だが、技は、武術家としての技量だけは板垣のほうが上である。
日々の鍛錬という積み重ねにより技を重ねる。
これが生まれついての化け物とは違う、人間の吟味である。

その技量を持って魔王の防御を許さず、攻撃をブチ当てる。

差異はあれどそれの繰り返し。
だがその過程、全てが常人なら触れただけで死に絶えるほどの苛烈さを持っていた。
永遠に続くかと思われた攻防、だが何事にも終焉は来る。

幾度目かの攻防。
魔王の爪が板垣を切り裂く。
だが、これまでとは明らかな違いが出た。
切り裂かれた傷口から血が吹き出さず、ただ白い脂肪が覗くだけだったのだ。
それは遂に板垣の血液が尽きたことを示している。
見れば、健康優良の象徴とも言える板垣の顔色が、見る影もなく青白くなっていた。

勝敗を分けたのは単純な体格差。
2m超の板垣は人間としては規格外の巨体だろう。
だが、魔王の巨大さは次元が違う。
体格に比例して、血液量もまた多いのも道理である。

板垣の全身を纏っていた血液の鎧も遂には右の拳を残すのみ。
対して、魔王は全身を穴だらけにしながらも今だ健在。
その生命力は超次元生物としての在り方をまざまざと見せ付けていた。

そして最後の血液を込めた板垣の一撃も、魔王を倒すに至らず。
返り血により全ては使用不可能になった。
これで、詰みだ。
0215熱き血潮に ◆Z2CJJz2v/o
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2012/11/30(金) 02:16:34.56ID:A9fV2fMo
「■■■■■■■■■■■!!」

理性ではなく本能で勝利を感じ取った魔王が歓喜の雄叫びを上げる。
雄叫びのまま大顎を開き、板垣の肩口から脇にかけて一口で食らいついた。
血の気のない肉を咀嚼するように顎を鳴らす魔王。

喰らわれる板垣は、喰らわれたまま静かに拳を引いた。
血液が底をつき、満身創痍となろうとも板垣の目には諦めの色など一片も帯びてはいなかった。
あくまでも勝利を、己が意志を諦めない。

否、違う、そうではない。

諦める諦めない以前に。
この状況、ここまで板垣の想定通りである。
この距離だからこそできる事がある。

構えるのは拳ではなく貫手。
密接したまま狙うは一点。胸骨の下部、水月。
更にいうならば、最初に打ち込んだ大きな傷口。

危険性を本能で察した魔王が、一刻も早くその息の根を止めるべく齧り付く顎に力を込める。
だが遅い。
勢いよく突き出された指先は、魔王の胸元に空いた大きな傷口に突き刺さった。
そして、板垣はその勢いを止める事無く突き刺した指を傷口に捩じり込み、抉り、抉り、抉る。
ドクドクと魔王から大量の熱き血潮が流れ出した。
それでも板垣は止まらず、肉をかき分けるように魔王の内側を蹂躙する。

強靭な生命力を持つ超生物を殺すには如何とするか?
板垣の出した答えは単純すぎるほどに単純だった。
狙うは外ではなく内。
臓腑を抉り、直接、心の臓を握り潰す。
いかなる生物であろうとも、心臓を潰されて生きていられるものなど存在しないのだから。

これを可能としたのは、布石として最初に打ち込んだ渾身の一撃はもとより。
お互い逃げられぬ零距離での密着。
全身の血が抜け、腕のサイズが一回り落ちていることも、また一つの要因だろう。

「■■■■■■■■!!!!!!」

断末魔の様な魔王の絶叫。
遂に、丸太のような板垣の腕が魔王の中に肘まで埋まった。
そして板垣の腕が、確かに脈打つその臓器をしかと握りしめた。
もはや、板垣を噛み殺すことすら忘れ、魔王は暴れ狂うように叫びをあげた。

「ぬぅん――――!!」

気合一閃。
魔王の抵抗も無視して、裂帛の声と共に板垣は魔王の心臓を握りつぶした。

「―――――――――――」

口からどこに残っていたのかと思えるほどの大量の血液を吐きながら、魔王が声にならない叫びを上げた。
魔王が上空に噴き出した血液が地に落ち、血の雨が降った。
そしてゆっくりと、その巨大が傾き、ドシンという地響きとともに辺りに砂埃が舞った。
板垣は、全身を返り血で赤く染めながら、その姿を見送る。

決着である。

人間、板垣退助の勝利だった。
0216熱き血潮に ◆Z2CJJz2v/o
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2012/11/30(金) 02:19:30.00ID:A9fV2fMo
勝利を収めた板垣はその余韻に浸るでもなく、早急にその場を離れた。
本当にギリギリの勝利だった。
ダメージは多く、なにより血を失いすぎた。
板垣でなければとっくに死んでいる状態だ。
意識があるのが奇跡のようなものである。
この状態を誰かに襲われてはさすがの板垣も言えどもひとたまりもない。

まずは何よりも失った体力を回復することが急務だ。
ここで板垣が取るべき選択肢は三つ。

一つ、どこか拠点を見つけ身を休める。

この状態で、安全な拠点を見つけるのは骨だが、幸いにも市街が近い。
身を隠す場所を見つけるのにそれほ苦労はないだろう。
問題はこれほどのダメージの自然回復を待つとなれば時間がかかりすぎるという点か。

二つ、栄養補給を行い積極的に体力回復に努める。

最低限の支給はあるものの、失ったエネルギーを補給するにはこの程度ではまるで足りない。
食料を探す必要がある。できるなら肉類が望ましい。
野ウサギなどの野生動物がいれば良いのだが。

三つ、病院をめざし輸血を行う。

直接血液を補充するもっとも適切な対処だが。
この舞台に用意された病院にどれほどの設備があるのかは怪しいところだ。
なにより新鮮な血液があるかどうかというのは非常に不明確だ。

どうするべきか。
慎重な判断が必要だろう。

【一日目・早朝/E-4とF-4の堺 平地】
【板垣退助】
【状態】全身にダメージ(極大)、血液枯渇、全身血塗れ
【装備】なし
【スキル】『血流操作』
【所持品】基本支給品、不明支給品1〜2
【思考】
基本:自由を愛し、平等に生きる
0.体力回復に努める
1.闘いを挑む者には容赦しない
2.自由を奪う男(主催)を粛清する
0217熱き血潮に ◆Z2CJJz2v/o
垢版 |
2012/11/30(金) 02:22:11.68ID:A9fV2fMo
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..
...
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一面の赤だった。
むせ返るような血の臭いが辺りを漂う。
池の様な大量の血溜まりは戦場の名残だ。

その中心に横たわるのは巨大な肉塊。
その肉塊が唐突に動いた。
いや、動いたというのは正確ではない。
巨大な肉塊が収縮し始めたのだ。
1tを超えようかという質量は人型のそれに収束する。
というより、初めの姿に戻っていったといったほうがわかりやすいだろう。

肉塊とは言わずもがな、魔王の死体である。
この場においてのは始まりの姿に戻った魔王、もちろん傷はそのままだが。
だが、命の尽きたはずのその肉体が、何故そのような動きを見せたのか。

「がッ――――ハ!」

死体が吐き出すように息を吐いた。
だが、心臓を失って生きていられる生物などいるはずもなく。
それは魔王とはいえ例外ではない。

大魔王は伝統的に心臓を三つ持つ。
板垣と同量、いやそれ以上の血液を失いながら、まだまだ血液量に余裕を見せていた正体がこれだ。
つまり、彼にはまだ二つ心臓が残っている。
端的に言うと、魔王は死んでなどいなかった。

とはいえ、臓器を直接握りつぶされた事には違いはない。
通常であらばショック死してもおかしくない。
それでもなお生きながらえているのは、魔王の強靭な生命力の賜物だろう。
0218創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/11/30(金) 02:26:52.03ID:WuFOKb5U
支援
0219創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/11/30(金) 06:50:07.54ID:9cyDBRS2
しえん
0221創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/11/30(金) 12:24:12.73ID:jSdPWSab
211 :熱き血潮に ◆Z2CJJz2v/o:2012/11/30(金) 02:28:17 ID:Gq1Yidzs0

「くっ―――――ぁ」

声を出すのも苦痛なほど胸が痛む。
当然だ胸には大穴が開いているのだから。

板垣から受けたダメージにより、魔王はその力の殆どを失ってしまった。
不幸中の幸いか、それにより押さえつけるべき力をも失った魔王は、理性を取り戻すこととなる。

理性を失っていたころの記憶は正確ではないが、前後の記憶から今の状況は魔王にもわかる。
まさか全力を出した大魔王が人間一人に負けるとは信じ難いが、己の状態からして信じざる負えないだろう。
ダメージは甚大、というより死にそうだ。
今すぐ生命力を回復させなければ非常にまずい。
幸いにも、その方法は知っている。
この場には材料も事欠かない。
簡単だ。

人間ヲ喰ラエバイイ。

「―――――!?」

あまりにも自然に脳裏に浮かんだ発想を必死で魔王は否定する。
魔の王、魔性の本能としての発想。

力を失い、凶暴性を弱めたと同時に、それを押さえつけるべき理性も弱まっている。
つまりは両方のバランスがとれていない。
今の魔王は、非情に危うい状態だ。

「…………篠田は、下流か」

流れる川を見ながら自分が放り投げた勇者を思う。
まずは彼との合流を目指そう。
今のダメージで一人でいるのは危険だ。
また板垣のような化け物に襲われたら為す術もない。

そしてなにより、もし自分が暴走したとして、篠田ならそんな自分を止める事ができる。

そう縋るように、魔王は勇者を求めて歩き始めた。

【一日目・早朝/E-3 川沿い】
【魔王】
【状態】ダメージ(瀕死)、疲労(極大)、精神不安定
【装備】なし
【スキル】『落とし穴』
【所持品】基本支給品、釣り竿
【思考】
1.篠田と合流

※E-4戦場跡に池の様な血だまりがあります

212 :ナナシサン・ゾルダート:2012/11/30(金) 02:30:16 ID:Gq1Yidzs0
OH...最後にサルったズェ

1レスだけですけどどなたか代理お願いします
0222創る名無しに見る名無し
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2012/12/01(土) 12:53:45.88ID:mq8G+bkY
投下来てた!乙です!
板垣人間やめすぎワロタwww魔王様に勝つとは…


魔王は生きてたけどちょっと怖いなあ…不安だ。
0223創る名無しに見る名無し
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2012/12/02(日) 02:16:14.93ID:g4HrkL8s
投下乙!
板垣さんこええwwwwwwww こいつ殺せる奴いるのかよwwwwwwwwwwwww
しかし魔王に危ないフラグが……どうなることやら
0224創る名無しに見る名無し
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2012/12/05(水) 06:58:03.27ID:ktNcXc27
今まだ早朝行ってないのは誰?
0225創る名無しに見る名無し
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2012/12/05(水) 09:22:23.38ID:gB5m4ZMx
黎明
真琴御木エジソン藍葉
加山イロハ
フィクション加奈子
祢音

黎明〜早朝
フランドールフランツ
カイン溝呂木

黎明〜早朝の四人と周りに誰もいない祢音は早朝描写なくても大丈夫かも
0226 ◆zVAORjU2u0G9
垢版 |
2012/12/05(水) 15:17:32.50ID:ktNcXc27
じゃあ加山とイロハ予約
0227 ◆zVAORjU2u0G9
垢版 |
2012/12/05(水) 16:29:51.82ID:ktNcXc27
わざわざ教えてくれた人ありがとう。
こっちが先だったすまぬ。
0228 ◆zVAORjU2u0G9
垢版 |
2012/12/09(日) 22:19:35.70ID:kmyv3fjR
すんません、明日ぐらいまでかかります。
0229 ◆Z2CJJz2v/o
垢版 |
2012/12/10(月) 22:55:44.75ID:nSSxodFy
じゃあ俺はフィクション葉桜加奈子を予約するぜ
0231転校生 ◆Z2CJJz2v/o
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2012/12/13(木) 01:20:00.78ID:LOv8iJV+
どうも、秋月高校二年一組、出席番号26番、葉桜加奈子です。

時刻は現在、午前5時を過ぎた辺り。
もうすっかり夜も明け、辺りには朝の気配が漂い始めてきた頃合いです。

この島(?)に拉致されてからはや5時間。
最初にフィクションさんに出会って行動を共にすることとなり、途中でイリアムさんと出会ってったもののすぐに別れ。
それ以降は特に誰に会うでもなく、本当に殺し合いを強いられているのか信じられなくなるほど何事もありませんでした。幸運にも、今のところ。
とはいえ、支給された拳銃は本物っぽいし(というか実際、フィクションさんが撃っちゃったしね!)冗談や洒落の類ではないのは私にもわかる。
何より、行動を共にしているフィクションさんに緊張感の欠片もないので、それを反面教師としてせめて私は緊張感を保とうと努めているのだ。
私も喧嘩なんて小学生の頃、幼馴染の圓をイジめる近所のガキ大将相手にして以来だけど、
私以上にこの人争いごとに向いてなさそうなんで、いざとなったら守って上げなければなるまい。

「ねぇねぇ加奈子ちゃん、疲れてきたんでそろそろ少し休もうよ」
「またですか、フィクションさん。市街地ならこのまま真っ直ぐ行ったらすぐですって。休むのはその後にしましょうよ」
「まあまあ、この年で夜通し歩きっぱなしはつらいんだって。少し迂回して、そこの木陰で休もうよ」

そのフィクションさんは、事あるたびにそう言って休憩したがる。
まあ私としても、何時間も夜道を歩くのはしんどいんだけど、にしてもすこし寄り道が多い。
真っ直ぐ最短距離を進めばとっくに地図で言うところの美術館辺りについているはずだったのに、迂回を繰り返し何故か今や病院近くである。

この五時間、ずっと行動を共にしているこの人だけど。
ここまで行動を共にして来たこの人がどんな人なのかというのを一言で言うと、まぁよくわからない人だ。
よくわからない、が服を来たような人だ。
まあそれは言い過ぎにしても、人物像がいまいちつかめない。

名前も変な名前っていうか、あだ名だって言ってたから、本名は別にあるんだろうけど。
常に飄々としていて緊張感というモノがなく。かと思えば、抜けているようで抜け目ないところもある。
人と争えないような貧弱な雰囲気を醸し出しながら、慣れた手つきで拳銃を組立てみたりしたのも謎だ。
色々と細かいことに気づくくせに、意外と結構適当だったり(というより無関心?)。
なにかと特徴的なのに存在感がないのも不思議な所だ。
そして何より、何か隠してる感じはひしひしと感じるが、その辺は今のところ詮索するつもりはない。
この状況で、その判断はバカだと思われるかも知れないが、話したいなら向こうから話すだろうし無理に秘密を聞き出すようなマネはしない。
とりあえず悪い人ではない、と思うし、その辺はとりあえず保留ということで。

最初の説明が本当ならば、時期に放送が流れる頃合いである。
フィクションさん曰く、そのタイミングで参加者の公開がされるんじゃないかという話だけど。
フィクションさんがイリアムさんから譲ってもらったという参加者候補名簿により私たちは一足早くその候補を知ることとなった。

秋月の生徒が多い。とはフィクションさんの指摘。
言われてみれば、知ってるだけでも私と圓はもとより。
圓の友達の宇都井くん。
1年から同じクラスの麻矢ちゃん。
麻矢ちゃんの双子のお姉さんである亜矢さん。
バスケ部のエースである片嶌くん。
いろいろと顔の広い西城くん。
そして一時的とはいえ在籍した彼女を含めて計8名。
多いといえば確かに多い(フィクションさんに言わせれば異常らしいが)。
私の知らない上級生や下級生も含めれば、ひょっとしたらもっと多いのかもしれない。
0232転校生 ◆Z2CJJz2v/o
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2012/12/13(木) 01:22:28.93ID:LOv8iJV+
「ところで。加奈子ちゃん。本当にキミの学校って何か変な事やっないのかい?
 秘密の訓練してるとか、謎の人体実験をしてるとかさ」

それが引っかかるのか、フィクションさんは学校のことを気にしてくる。

「いやぁ、そんなマンガやゲームじゃあるまいし。
 本当に普通の学校ですよ。普通も普通の普通科ですよ。
 そりゃあ、最近ちょっとした騒ぎはありましたけど」

基本的にはごくごく普通の学校だと思う。
変な人が多いのは否めないが、それでも常識の範囲内だと思う。

「ちょっとした騒ぎって?」
「なんというか、まぁ一言では説明しづらいんですが、空からお姫様が降ってきましてですね……」

ある日、登校中の私と圓の目の前に空からお姫様が降ってきた。
何言ってんのかわかんないだろうけど、事実である。
パラシュート一つでヘリから飛び降りてきたのは本物のお姫様、フランドール・オクティルである。
え? そんな非現実的な体験した人間がマンガやゲームじゃあるまいし、とか言うなって? そりゃごもっとも。

「……フランドール・オクティルか。
 確か後継者争いでもめてる国の第一王女だったっけ」
「知ってるんですか?」
「まぁね。もちろん面識はないけど、仕事柄、各国の要人の顔と名前くらいはね」

そういやこの人の職業って結局なんなんだろう。
なんかその辺もぐらかされる感があるなぁ、いいんだけど。

「と言っても、その辺のゴタゴタはもう解決したんですけど。
 その時にフランが私たちの学校に特別留学生として転入するしないの騒ぎがあったんですよ。
 と言っても滞在して一ヶ月もたたずに、国に帰っちゃいましたけど」

本当に、本当に色々あったんだけどその辺の細かい話は、そのうち語る機会もあるだろうけど今は割愛。

「ふーん。そうか、そうだねぇ。
 小国の王女か…………自身はともかく、少し弱いか」

そう小さな声でぼつりと呟く。
少し弱い? どういう意味なんだろうか?

「他に何かないかい?
 事件と呼べるほどの事じゃなくてもいい。
 ここ最近君の学校で何か変わったことはなかったかい?」
「変わったとことと言われても…………うーん、あ」

少しだけ考えて、一つだけ、思い当たった。

「何かあるのかな?」
「いや、でも大した話じゃないですよ」
「構わないよ、嫌じゃなければ聞かせてもらえるかな?」

そうフィクションさんに促される。
特に話すのを嫌がるような話じゃないのだけど、少しだけ躊躇われる。
本当に大した話じゃないし、この状況だからこそ思い出された事でもある。

「ええっと。本当に大した話じゃないんですけど。
 二ヶ月くらい前の話なんですけど、変わった転校生が来たって少しだけ噂になったんですよ」
「変わった? どんなふうに?」
0233転校生 ◆Z2CJJz2v/o
垢版 |
2012/12/13(木) 01:24:21.01ID:LOv8iJV+
お姫様の転入話にすっかり話題を攫われてしまったけれど、そんなことがあった。
6月っていう、なんとも微妙な時期での転校だったので、少しだけ印象に残ってる。
その辺は家庭の事情もあるだろうし深くは気にしなかったが。

「クラスも違うし、あんまり詳しくは知らないんですけど、その子と同じクラスの友達から聞いた話だと、」

その転校生の話が、なぜ今それが思い出されたのか。
それは、その友人が言っていた『ある単語』が今の状況で強く印象付いた言葉と一致していたからだ、

「――――『宇宙人』みたなヤツだ、って」

それを聞いたフィクションさんが珍しく表情を崩し、眉をひそめる。

「宇宙人?」
「いや、あくまで例えですよ、例え」

確かに自称宇宙人に攫われたこの状況では笑えない例えに聞こえるかもしれない。
若干言いよどんだ理由もそれである。

「加奈子ちゃんはその転校生と直接話したりしたことは無いのかい?」
「クラスも違いますし話したことはないですね。何度か遠目に見たことくらいはありますけど」
「どんな風だった?」
「うーん、どんな風と言われても、注意して見てたわけじゃないんで…………なんというか、無表情、でしたね」

そして、たまたま私が見ているときだけだったかもしれないけれど、いつも一人だった気がする。

「…………うぅん」

思案するようにフィクションさんは口元に手を当て目を細める。
真剣に思い悩む表情は結構珍しい。

「ま、いいか」

あ、戻った。
実に短い憂い顔だった。

「どうせ今考えても情報が足りなさすぎるしね」

ははは、と適当に笑うフィクションさん。
まあこのほうがらしいといえばらしい。

「できれば加奈子ちゃんにはその転校生の事を知ってそうな人を教えてもらいたいところなんだけど、まぁそれはこの後にしようか」
「この後?」

その疑問に答えたのはフィクションさんではなかった。
辺りに音が鳴り響く。

「そ、候補じゃなくこれで本決まりするわけだし。その方が何かと都合がいいだろう?」

そう笑みのようなモノを浮かべながら、語りかけるフィクションさん。
その表情にわけもなく、少しだけ肌が泡立った。

――――『放送』が流れ始めたのだ。
0234転校生 ◆Z2CJJz2v/o
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2012/12/13(木) 01:25:05.80ID:LOv8iJV+
【一日目・早朝/F-5 市街地近く】
【葉桜加奈子】
【状態】健康
【装備】折り畳み式ライフル(5/6)
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品0〜1
【思考】
基本:日常に帰る
1.加山圓や知り合いと合流したい
2.フィクションと協力して脱出方法を探す

【フィクション】
【状態】健康
【装備】日本刀
【スキル】『ブラックアウト』
【所持品】基本支給品、不明スキルカード(確認済)、候補者名簿、不明支給品1〜3
【思考】
基本:脱出してヨグスを始末する
1.イロハと加奈子の知り合いを探して合流。オーヴァーはとりあえず放置
2.機会があれば板垣退助を殺す
3.正午に教会でイリアムと落ち合う
※板垣退助の外見的特徴を把握しています



以上
投下終了です
0235創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/13(木) 18:52:56.34ID:Xct2cWin
投下乙です!!
この二人は気になるなあ

てか秋月の人多いなw
さやかちゃんの法英…
0236創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/13(木) 21:01:15.40ID:BOjVIYJ5
投下乙
謎の転校生は果たしてこの殺し合いに関係があるのか

あと確かに秋月は多いなw
高二勢で秋月じゃないのはさやかちゃんの他には篠田君と智美ちゃんだけだしw
0237創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/13(木) 22:38:14.75ID:gYKafRYn
投下乙!
緊張感のない人が一番緊張感があるって言うなんとも矛盾した状況w
秋月八人か……これは何か重要な情報なのかも?
0238創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/13(木) 22:53:39.75ID:LOv8iJV+
高校生の所属まとめ

【秋月高校】
葉桜加奈子
加山圓
片嶌俊介
一色亜矢
一色麻矢
白井慶一
宇都井健吾(不参加)
西城幹事(不参加)
田中伊知郎(不参加)

【法英高校】
龍造寺さくら

【不明】
篠田勇
安田智美
橘蓮霧
藍葉水萌
二階堂永遠
東海夏姫(不参加)
山田曜子(不参加)
志村春樹(不参加)
志村夏樹(不参加)

白井が麻矢と田中を知ってるので秋月っぽい
白井と片嶌が知らなかったので篠田は秋月ではないっぽい
さくらェ…
0239 ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/14(金) 02:02:23.18ID:+SueuOi/
加山とイロハと後ついでにオーヴァを予約したいんですけど
◆zVAORjU2u0G9氏は状況どうでしょうか?
完成の目処がたってるなら諦めます
0240 ◆zVAORjU2u0G9
垢版 |
2012/12/14(金) 08:03:46.62ID:Ox67fVJy
連絡遅れました。
予定が合わないので破棄します。すみません。

ちなみに、予約期間はどのくらいですか?
0241 ◆zVAORjU2u0G9
垢版 |
2012/12/14(金) 08:08:25.45ID:Ox67fVJy
あ、別に氏の予約期間ではなくてこのロワで決められた予約期間の事です。
我ながらわかりにくい文章…
0242創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/14(金) 08:21:58.52ID:DUVuB9hv
基本三日+延長三日ですね
その時点で予約がなければゲリラ投下もアリです
0243 ◆zVAORjU2u0G9
垢版 |
2012/12/14(金) 12:50:55.48ID:Ox67fVJy
あざす!
次からは気を付けます…
0244 ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/15(土) 01:17:48.38ID:IdMGq0DJ
それでは改めまして
加山、イロハ、オーヴァー予約しますね
期間は>>239からで(多分)大丈夫です

あと予約関連に限らずですけど
ルールやテンプレもまとめたいですね
0245 ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 00:26:02.95ID:uvXgvaCi
↑の予約したやつら投下します
0246なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 00:29:02.69ID:uvXgvaCi
どうも、秋月高校二年一組、出席番号11番、加山圓です。
今現在、森の中にいます。

スキルにより強化された視力で目撃した、遠方で行われる人智を超えた乱戦に巻き込まれないよう、人気のない森を進んでいた。
朝露に濡れる森は深く、吸う空気が濃く感じる。
網目のような枝葉に光が遮られ、空はいまだに薄暗い。
地には木の根が貼り巡り、足場も凸凹が多く歩くだけでも非常に困難だ。
暗くとも夜目遠目がきく俺はともかく、まだ年端もいかないイロハちゃんには厳しい道程だろう。

「イロハちゃん、足元の木の根っ子とかに気をつけてね」

そう促すと、イロハちゃんはこちらの言葉に素直にコクリと頷いた。
だが、こちらの心配を他所にスイスイと危なげなく獣道を進んでゆく。
あれ? ひょっとしたら俺より森歩き上手いんじゃないか?

「…………イロハちゃん、少し止まろう」

最初に感じたのは、臭いだった。
おそらく今の自分以外なら気が付かないほどの微臭。
風に運ばれて微かに香る鉄の臭い。

この先で何か起きている。

どうする?
進むか戻るか。決断を迫られる。
どちらにせよ、ひょっとしたらこの場に安全な場所など無いのかもしれない。

ならば、何があったか調べるべきか。
この状況で情報に取り残されるのは死に繋がる。
慎重さも大事だが、時に大胆な行動も必要になるだろう。
なにより、この能力は斥候には適している。
相手に視認されるよりも早く、状況を捉えられるはずだ。

とはいえ、この先を調べるにしても、イロハちゃんを連れて行くわけにはいかない。
ここに一人で放っておくのもそれはそれで危険だが、辺りを確認する限り危険はなさそうである。

「イロハちゃんここで隠れて待っててくれるかな?
 すぐに戻るつもりだけど、もし何かあったらすぐに逃げるようにね」

何の疑問なく俺の言葉に頷くイロハちゃん。
ひとまず、発見されづらそうな木の陰にイロハちゃんを残して。
俺は一人、異臭の元を調べるべく、森の奥へと進んでいった。

■■■■■■■■

周囲を警戒しながら深い森を進んでゆく。
先に進むたび、徐々に匂いが濃くなってゆくのがわかる。

だか何かおかしい。
血は香るものの、その血を流しているであろう人影がどこにも確認できない。
確認できるのは各所にまだらに撒き散った血液だけである。
誰かが傷を負わされ、どこかに逃げ去った跡だろうか?

なにか悪い予感がある。
今すぐ引き返すべきだと思う心と、だからからこそ何が起きているのか知らなければという心がせめぎ合う。
明確な判断がつかないまま、足は誘われる様に前へ進む。
0247なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 00:32:05.01ID:uvXgvaCi
そこにあったのは、ぶちまけたような赤だった。
だが、そこに死体はなくその代わりに、拳大の塊のようなものがゴロゴロと転がっていた。
それがなんであるかを認識した瞬間、眩暈のような吐き気を覚えた。

「……………ぅ」

口元を抑える。
撒き餌のように広範囲にばら撒かれたそれは、バラされて砕かれた『人間の破片』だった。
これは酷い。
なぜこんな事を、ここまでする必要がどこにある。
ただ殺すだけなら、ここまでする必要はどこにもない。
とても人間の所業とは思えない。
いや、野生動物でもここまで食い散らかすことはない。
私怨か。それとも単純に異常者か。
いや、

(撒き餌…………?)

ふと、先ほどの自分の発想に疑問を覚える。
瞬間。空気がひりつくような微かな違和感を肌に感じた。
そして遠方から聞こえた僅かな音。

その違和感に従い、躊躇うことなく全力でその場を飛びのいた。
同時に、炸裂音の様な雷鳴が轟き、それまで自分がいた位置を紫電が切り裂いた。

襲撃だ。
死体を撒き餌として、注意をそらすと共に、それに怯んだ瞬間を狙い打つ。えげつなさすぎる罠。
五感強化で触覚と聴覚が強化されていなければ、俺も気づくことすらできず丸焦げになっていただろう。

飛び退きざま、雷撃の射線上に襲撃者の姿をとらえる。
襲撃者はこちらに近づく気配を見せない。
その場から雷で射殺すつもりなのだろう。

敵は雷を操るのようだ。
雷を操るなど常識で考えればあり得ない話だが、この場においてはそれを可能とする理屈を知っている。
『雷使い』、そういう”スキル”か。

だが、こちらとしてもそう簡単にやられるつもりは毛頭ない。
徹底的に抗ってやると決めたんだ。

容赦なく続けざまに放たれる雷撃を紙一重ながら躱してゆく。
もちろん、ただの勘で躱しているという訳ではない。
そもそも雷速で放たれる雷を何の根拠もなく躱せるはずもない。
ただ、俺にはこれから雷が辿るであろう軌道が”何となく”わかるのだ。

俺自身、雷について詳しいわけではなく、これは学校の科学教師が雑談がてら話した内容なのだが。
本来空気は電気を通さない。
そのため、落雷には空気を変質させ、雷の通る道筋を作る過程が必要となる。
それをなすのが先行放電(ステップトリーダー)と言われるもの。
その先行放電で作られた道筋を辿って初めて落雷電流(リターンストローク)は地面に落ちるのだ。

先行放電の速度は落雷電流の約1000分の1。
もちろん、それでも人間の目では捉えられない速度であるのだが。
しかし今なら、その瞬きにも満たないその瞬間を捉えることができる。
五感強化によって強化された動体視力はその一瞬を見逃さない。

つまり今の俺は、雷を避けられる。
0248なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 00:35:17.02ID:uvXgvaCi
これで幾度目か、雷を躱し続けるこちらに対して、相手は遠距離では埒が明かないと判断したのか。
遂に襲撃者が姿を現し、距離を詰めてきた。

矢のような速さで地を駆ける襲撃者。
片手には抜身のサーベル。
駆ける勢いをそのままに振りぬかれた一撃を、小太刀の腹で受けとめる。
そして衝撃を殺すように手首を返し、後方へ刃を捌く。
刃をいなされた襲撃者はそのまま後方へ駆け抜け、すぐさましなやかに身を翻しこちらに向き直った。

真剣を片手に対峙する。
互いの距離は2間にも満たない。
既に間合いである。

「――――――ふぅ」

呼吸を一つ。
焦るでもなく、まずは心を整える。
生憎と、真剣を突きつけられるのには慣れている。

まずは冷静に、敵を図るように見つめる。
年の頃は思ったより若い。
顔つきからして日本人ではないようだ。
目つきは鋭く、それでいて泥の様に濁って光が見えない。
そして口には歪んだ笑み。

その笑みのまま、敵が動いた。

眉間。首。心臓。
同時に放たれた突きは三つ。
狙いは正確すぎるほどに正確。
一片の躊躇もなく殺しにかかっている。

だが、こちらもそう簡単にやられはしない。
高速で放たれたその全てを見切り。
眉間を狙う一撃を躱し。首を狙う一撃を弾き。心臓を狙う一撃を小太刀で受けとめた。

身体能力も高く、有段者並の技量はある。
確かに強い。
確かに強いが。
敵わないというほどの絶対的な差は感じない。

視力強化により敵の太刀筋がすべて見えているというのも大きいだろう。
何より、ジイさん程の腕ではない。
ジイさんに鍛えられた読みと、この場で得た動体視力があれば、十分に対応はできる。
もっとも、それも剣術だけに限定するならば、だが。

「っ…………ぁ!」

受け止めた刃を通して雷撃が来た。
そんなことも出来るのかと驚愕する。
だが、大した威力ではない、おそらくは隙を生むための牽制だ。
その隙を突かれぬよう、咄嗟にバックステップで距離を取った。

だが、敵はその距離を詰めるでもなく、片腕を軽くこちらに突き出す。
また雷を放つのか。
そう思い、発動の瞬間を見逃さぬよう目を見張るが、そうではなかった。

放たれたのは閃光だった。
0249なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 00:39:11.68ID:uvXgvaCi
なんて奴。
こちらが眼がいい事を察して、速攻で潰しにかかってきた。
凝視してたのが災いした。
眼を焼かれる程の強力な光ではないが、一瞬視界を奪うには十分だった。

そして、雷とは違うスキルを使ってきた。
それはつまりこいつは複数のスキルを持っている。
おそらくは殺した相手から奪っているのだろう。

もちろん視界を奪われ無力化したその隙を逃すはずもない。
獲物を確実に仕留めるために敵が迫る。
絶体絶命の状況。
だが、次の瞬間響いたのは、肉を切り裂く音ではなく、甲高い金属音だった。
腕に感じる衝撃で、状況を確信する。

―――防げだ。

視力ではなく聴覚を頼りに足音でタイミングを測った。
そして首か心臓を狙うだろうという予測を基に、防御した結果だ。
攻撃位置の予測が外れたら、聴覚が強化されていなかったら、どちらでも命はなかっただろう。
実力というより、殆ど運だ。
何より視界を奪われたことに混乱して判断を誤っていたら終わっていた。

今になって日常的に行われていたあの時代錯誤な訓練の意味を理解する。
常に平常心を忘れるなということか。
そのおかげか、未だになんとか平静を保っている。

とは言え、何度も使える手段ではない。
追撃に対応するため、無理矢理にでも目を開ける。
わずがに霞むが見えないってほどじゃない。
だが、霞む視界で捉えた敵は何故か動くでもなく、興味深そうにこちらを見つめていた。

「………………ハ、」

放つ殺気の量は相変わらず。
だが、その質が変わる。

これまでの狩るだけの獲物を見る気配とは違う。
雷撃を躱し、剣戟を防ぎ、奇策すら防ぎきったこちらを戦うべき敵として認識したのだ。

「ハッハッハッハッハッハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ――――!!」

初めてその声を聞いた。
肌が泡立つ、全身を痺れるような圧倒的な悪寒が奔った。
こちらの覚悟を上回る、圧倒的な殺意。
それは、これまでの非ではない。

何の前触れもなく、敵が動いた。

瞬きの間に距離を詰め、同時に放たれた突きは五つ。
先ほどの三段突きに比べると狙いは散漫。
だが、圧倒的に――――速い!

一つは外れた。一つは躱せた。
一つは肩口を、一つは脇腹を掠めた。
最後の一つを何とか小太刀で受け鍔迫り合いとなった。
0250なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 00:42:00.41ID:uvXgvaCi
なんて速さ。
動きが明らかに変わった。
目では追える。
目では追えるが、完全には躱せない。
防御に適した小太刀で、防御に専念しても、それでも、キツイ。
そんな、ことが。

奥歯を食いしばり、竦みそうになる心を奮い立たせる。
冷静に考えろ。
これまで手加減していたとかならともかく、そんな簡単に人間が強くなるなんてありえない。
なら、相手のやっていることは単純だ、防御を捨てて攻撃しているだけだ。
逆に言えば、今が勝機である。
相手の防御は手薄、カウンターを叩きこむチャンスだ。

最も、それも相手の猛攻が防ぎきれればの話だが。

敵の勢いは止まらない。
乱暴なまでの強引さで鍔迫を弾くと返す刃で首を薙ぐ。
上体を反らしてその一撃を避けるが、横薙ぎの勢いのまま反転した相手の後ろ蹴りを喰らい吹き飛ばされた。

「ぐッ!」

吹き飛ばされた体制をすぐさま立て直す。
そして相手から視線を外さぬよう、前を見た。
その相手は、こちらに向けてまた先程のように腕を突き出していた。

雷か光か。

雷なら目をそらせば死ぬ。
光なら目をそらさなければ死ぬ。
敵は、手の内が明らかになったことを利用した究極の二者択一を迫る。

判断に窮した俺は全力で後方へ退いた。
それはひとまず距離を取るだけの、逃げの選択だ。

次の瞬間。放たれたのは閃光。
一面が白に染まり、一瞬、敵の姿を見失う。

先と同じく、音を追おうとするが――聞こえない。
どこからも、足音がしない。
この異常聴覚をもってしても、周囲の環境音以外、何も聞こえない。
完全に消えた。

だが、そんなことはありえない。
足音が聞こえないというのならば。
考えられる可能性は、その場を動いていないか、それともう一つ。
空中を進んでいるかだ。

「上か…………!」

その予測通り、光が晴れ、見上げた先には、今にも剣を振り下ろさんとする襲撃者の姿があった。

――――読みきった。

こちらが視覚以外にも聴覚で相手の一を察している事を悟り、その索敵方を回避したのは見事だろう。
だが、跳躍し落下するその状態では身動きは取れず、こちらの攻撃を回避することは不可能。
千歳一遇の勝機である。
0251なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
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2012/12/17(月) 00:47:26.29ID:uvXgvaCi
「ぅおおおおおおおおおおおおォ!!」

躊躇いを消すように叫んだ。
ここで躊躇えばすべてが終わる。
振り下ろされる刃を半身になって躱し、突きを放つ。
相手を殺す覚悟を持って、狙うのは決して避けれない胸元の中心。

突き出した刃が、敵の胸元を突き破る。
肉を喰い破り、傷口からは、血が噴き出し、






【<<]巻き戻し】






物理法則すら無視して落下する体が”巻き戻る”。
それだけではない、わずかに噴き出した血液も体内に戻り、傷口も消えた。
同時に、確かに肉に食い込んだはずの刃が空を穿った。

言葉を失い、唖然とする。

これはスキルか。
これもスキルか。

空ぶった突きの勢いを殺せず、足が滑った。
なんて不運。
いや、いくらなんでも、これはない。
この程度でバランスを崩すような、そんな生ぬるい鍛え方はされていない。
こんなタイミングで、こんな不運は出来過ぎだ。
ありえない。

何らかの意趣返し。
与えられたダメージを別の形で返すスキルか。

またスキル。
こいつは、いったい幾つスキルを持っている?
こいつは、いったいこの場で、何人殺している?

巻き戻りが完了し、元の地面に着地した敵が迫る。
勝負は、相手がこちらに辿り着くまでに体制を立て直せるか否か。
だが、それ以前に、心が折れそうになる。

強すぎる。

体術だけではない。
幾多のスキルを持ち。
そのスキルを既に使いこなしている応用力。

―――――こんなヤツ、いったい誰が勝てる?
0252なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 00:52:26.76ID:uvXgvaCi
体制が崩れたこちらに、一片の容赦もなく『死』が迫る。
迷いなく迫る死神の影。
だが、瞬間。

それ以上に信じられないものが、視界に飛び込んできた。

何時の間にそこに来たのか。
己と敵と結ぶ直線上に、小さな影が立っていた。
目を引くような鮮やかな着物に、短く切り揃えられた艶やかな黒髪。
そして凍りついたような色のない黒い瞳。
見間違いようがない、イロハだ。

イロハが己と殺人者の間に、立ちふさがるように立っていた。

この相手が女子供であっても躊躇うはずがない。
確実に作業のようにあっさりと首を跳ねるだろう。

死ぬのか。
また、死ぬのか。
俺の目の前で。
俺を庇って、また誰かが死ぬのか。
両親のように。
こんな小さな子が。


冗談じゃない。


「ぁああああああああああああ!!!」

崩れた体制のまま、前に出る。
逃げるのではなく、少女を救うべく前へ。

だが、間に合わない。
敵はあまりにも早く。
俺はあまりにも遅い。

凶刃が少女に迫る。

「やぁめろおぉぉぉぉぉ――――!!」

悲鳴のような叫び。

そして、




「―――――――――なんだ、お前か」
0253創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/17(月) 01:03:06.67ID:wZ9fDEh3
支援
0255なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 01:29:09.77ID:uvXgvaCi
■■■■■■■■



「…………………………」


座り込んだまま呆然としていた。
立て続けに起こった事態に、理解が追いつかなかった。

止まることなどないと思われた凶刃は、少女の首筋に触れた辺りでピタリと止まった。
その手を止めた狂人は殺し合いの間ずっと張り付かせていた笑みを消して、つまらさそうに『なんだお前か』と呟いた。
そしてそのまま、睨むようにイロハと見つめ合うこと数秒。何も言わずに踵を返し去って行った。

何故奴が立ち去ったのか。
イロハちゃんとの関係はなんなのか。
というか何故イロハちゃんがここに。
そもそも何なんだアイツは。
疑問は幾つもある。

様々な疑問を込めた視線でイロハちゃんを見る。

「?」

可愛らしく首を傾げるイロハちゃん。
いや、ここでそんな顔されても困るんだけど。

「あー、まぁいいや。イロハちゃんは俺の命の恩人なことに変わりないしな」

あそこで彼女が現れなければ確実に死んでいた。
それだけは確かな事実だ。
今頃になって震えが来る。
あの死の嵐に出会って生きながらえていること自体、奇跡としか思えない。
北で戦っていた奴らとイイ、本当に化け物だらけだ、この場所は。

しかし、今はとりあえず。

「…………疲れたぁ」

緊張の糸が解けて力抜ける。
とりあえず今は、休息がほしい気分だった。
0256創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/17(月) 01:29:59.30ID:wZ9fDEh3
支援
0257なんだお前か ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/17(月) 01:30:43.29ID:uvXgvaCi
【一日目・早朝/E-7 深い森】
【加山圓】
【状態】疲労、全身に細かな切り傷、過剰感覚による少々の気持ち悪さ
【装備】小太刀
【スキル】『五感強化』
【所持品】基本支給品
【思考】
基本:徹底的に抗う
1.休みたい
2.イロハを守る

【イロハ】
【状態】健康
【装備】なし
【スキル】なし
【所持品】基本支給品、不明スキルカード、不明支給品×1〜2
【思考】
1.マドカに付いていく

【一日目・早朝/E-7・深い森】
【オーヴァー】
【状態】左頬にダメージ
【装備】サンダーソード、ヘルメット
【スキル】『剣技』『平賀源内のエレキテル』『雷剣士』『魔弾の射手』『<<]]巻き戻し』『光あれ!』『復讐するは我にあり』
【所持品】基本支給品、デザートイーグル、金属バット アンドロメダ星マジカル消臭スプレー、金槌、不明支給品×0〜1(愛子)
【思考】
1.この場にいる全てを皆殺し
2.最後にヨグスも殺す


投下終了
規制キツイっす
なんか加山くんがトンデモ科学で雷わかしてますけど、遅いつっても約150km/sなんで
たとえ見えても良い子はマネしないでね、死ぬから

これで後、早朝いってないのは真琴組だけかな?
0258創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/18(火) 01:51:17.71ID:FFZcuO5v
【基本ルール】
 全員で殺し合いを行い、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
 原則として優勝者のみが帰還できる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はないが、指定エリア以外に侵入ることは禁止されている。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 各プレイヤーは所有物を没収され、代わりに共通の支給物を支給される。
 支給物の内容は以下のものであり、そのすべてが「デイパック」に詰められている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「二日分の水と食料」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム1〜3個」「スキルカード」

【スキルカードについて】
 各参加者に一枚ずつランダムに支給される。
 宣言すれば記述されたスキルを取得できる。
 一度宣言すれば効果は永続、基本的に解除は不可能だが。
 所有者が死亡すれば再度カード化する。

【放送について】
 6時間毎に行われ、基本的には禁止エリアの発表と死亡者と残り人数を通知を行い。
 別途、連絡事項などがあればここで告知される。

【禁止エリアについて】
 放送毎に指定される。
 禁止エリアに踏み込んだ場合、首輪が爆破される。
 禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【作中での時間表記】(0:00スタート)
 深夜 : 0:00〜 2:00
 黎明 : 2:00〜 4:00
 早朝 : 4:00〜 6:00
  朝  : 6:00〜 8:00
 午前 : 8:00〜10:00
  昼  :10:00〜12:00
 日中 :12:00〜14:00
 午後 :14:00〜16:00
 夕方 :16:00〜18:00
  夜  :18:00〜20:00
 夜中  :20:00〜22:00
 真夜中:22:00〜24:00

【予約について】
 予約期間は3日。延長期間は3日。
 延長は3作以上採用された書き手のみ申請可能。

【修正に関して】
 修正(NG)要望を行う場合は、修正(NG)要求であるという旨を明確にしたうえで、問題点を詳細に記述してください。




とりあえずこんな感じ?
予約の延長縛りはこの状況だといらない気もするけど
0259創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/18(火) 02:04:53.50ID:HbQ82mcz
投下乙

オーヴァーさん相変わらず強すぎワロチwww
そのオーヴァーと初めてまともに戦えた加山も頑張ったな
そしてイロハとの関係も気になるところ

ルールも乙
0260創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/18(火) 03:45:35.07ID:K4/ccTaP
乙です。
更にオーヴァー強くなってるような…もうこんなん倒せる気しねーよwwwwww
加山は男前だなあ。何処かのロリコンとは大違いだ(チラッチラッ
まあとりあえずイロハちゃんはペロペロしときますね。

ルール乙です!予約の件は大丈夫でしょう。
ただこれで全員が早朝まで揃ったのかな?
0263 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/19(水) 21:17:48.34ID:MRMADeWY
真琴、ゴキ、エジソン、みなも

予約
0264創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/20(木) 00:24:18.38ID:vSm3XDyH
最後の組予約キタキタ!!

あと、おまけ

【生き残り一覧】

猪目道司…外道担当。ゾンビマスターに俺はなる!
逆井運河…不運担当。デブとぬるぬるプレイ
田崎紀夫…おまいら担当。意外と動けるデブ
イリアム・ツェーン…クルービューティ(物理)。電波塔の天辺で凍結中
安田智美…黄金の左を持つ魔法少女(物理)。この場で出会った友人と元の世界の親友を失う
オーヴァー…相変わらず唯一の真面目なマーダー。だがロリを見て手を止めるロリコン
加山圓…貴重な真面目な対主催。だがロリのために命を賭けるロリコン
イロハ…ダウナー系のロリ。かわいい
葉桜加奈子…一般人代表。今のところすごい平和
フィクション…やる気があるようなないような、とりあえず存在感はない
椎名祢音…唯一の奉仕マーダーとして頑張る幼女。非処女
フランドール・オクティル…綺麗な姫様。完全に改名されている
フランツ・O・ブリュデリッヒ…綺麗な騎士。童貞臭がプンプンする
溝呂木桐子…汚い姫様。貴重なBBA、ある意味希少
カイン・シュタイン…汚い騎士。ツンデレ臭がプンプンする
板垣退助…素手ゴロで魔王をブチのめした人類最強。殺せる気がしない。誰も信じないだろうけど対主催である
魔王…死にかけ。勇者に依存するヤンデレと化しつつある
片嶌俊介…お人よしなさわやかスポーツ少年。だがロリコン筆頭、片嶌だけはガチ
愛沢優莉…流され系マーダー。まさかの相棒欠場のなか一人でできるもん、と決意
篠田勇…綺麗な方の勇者。死にかけ。看護中
藍葉水萌…汚い方の勇者。死にかけ。再生中
真琴真奈美…知らずに同行者に狙われてたり、知らずに殺人鬼を抱え込んだり、いろいろ知らない間に大変な事になってる人
御木魚師…小物界の大物。まなみんに苛められて苛めたいマドサド
トーマス・A・エジソン…サリヴァン&パニック症候群


ロリコンだらけじゃないか! いい加減にしろ!
0265創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/20(木) 06:38:17.72ID:Bzaj4lyu
乙!これはひどい…
ロリコンかヤンデレしかいないぞこのロワwww


そんな中明らかに浮いている智美
まだ二話しかないのにこの過酷っぷりである
0266創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/22(土) 22:29:22.64ID:LydVSxv/
今更だけどオーヴァーの殺害者数6人ってすごいな
人数少ないから超えるキャラ出てこないだろうし
ゴキのパブリックエネミーが完全に死に能力になってるw
0267 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/23(日) 00:57:32.90ID:nn/tKLVU
すみません、投下は明日になります…
0268 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/24(月) 19:16:20.46ID:PAQkhA1R
だいぶ遅れましたが、投下します
0269 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/24(月) 19:19:26.14ID:PAQkhA1R
「人が死ぬのはダメだ…人が死ぬのは、とても怖い事だ…」

少しまだ月の光が残る夜明け前。
後ろから、震え声が聞こえる。
その声はエジソンさんからだった。ガタガタと震えながら、完全に怯えている。
「おーいジンたーん、大丈夫かー?」
「人が…人が死ぬ……」
「あー、こりゃしばらくダメだな」

ハア、とため息。
ゴキだ。また大袈裟に外国のテレビドラマみたいに呆れている。

「…ねえまなみん、話変わるけどこいつ本当は死んでんじゃないのー?」

続けて私の後ろから、そう不満まじりの声が聞こえる。
また妙に飄々としている。
その背中には先ほど見つけた顔の怪我がひどい(おそらく)少女を背負っている。というか背負わせた。
何故か?
エジソンさんは間違いなくあんな姿を見てるだけで怖がってるから無理。
だから私が本当は背負いたいのだけど…いざ私達を狙う奴が出てきたらどう対抗するのか?
正直ゴキ一人じゃ無理だ。コイツはただの下級チンピラ。
私みたいにサブマシンガン持ってこられたら間違いなく蜂の巣。
て、事で私が一応前に居ていざって時には闘わねばならないから、私は選択肢から消える。
じゃあ結果的に背負うのはゴキになる。
その趣旨を本人に伝えたら、だいぶ本人は嫌がったが、最終的には渋々従った。
0270 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/24(月) 19:22:17.64ID:PAQkhA1R
「なあーまなみーん、一つ思うんだけどさァ」
「手短に」
「この背負ってるのだけど」

ゴキは顎で後ろの少女を指す。

「この子、今ボッコボッコだけどぜってえ可愛いよなァ〜」
「蜂の巣にするぞ」
「ちょっ、向けるなってこええこええ」

…おそらく、ゴキは本心からそう思ってるんじゃない。
ゴキがそう言ったのは、ただ単な話題作り。
気持ちが伴ってない。またこれもいつも通り。
ただ―――ふと少女の顔を見る。
確かに先ほどは気づかなかったけどなるほど、よく見たら比較的無事な目は大きな二重瞼だし、殴られて変形してるとはいえ、パーツは整ってる印象がある。
流石に元の顔までは特定出来ないけど…。
おそらくこの場でなければかなり人気の女の子だったろうに。
そう考えると尚更腹が立つ。
この子をこうした相手に、この殺し合いを開催した奴に。

「まーそんなイライラすんなってまなみん」

表情に出てたのか。
相変わらず、コイツはそういう読み取るのが得意だ。…腹立つが、まあ別にいいか。
0271 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/24(月) 19:23:56.49ID:PAQkhA1R
「うるさい。早く行くぞゴキ」
「あいあーい…あれ?」

いきなり止まるな。

「どうした?」
「なんか聞こえねェか?」
「…?」

耳をすます。
そう言われたら何処からか妙な声が聞こえる。

(敵か?)

私は身構えるが、どうも違う。
脳に、直接問いかける様な感覚。
…そうだ、この声は―――

「あ…あ…あいつだ…!!これが、始まった時の、あの声!!!」

エジソンさんが、高らかに、でも怯えるような事を伺わせて叫ぶ。
そうだ、こんな糞みたいなのを開催した、あいつ…

『―――やぁやぁ、久しぶりだね』

そんな私達を差し置いて、声の主ヨグスはそう切り出した。
当たり前のように、平然に。



【一日目・早朝 E-3とE-2の境】
0272 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/24(月) 19:25:05.31ID:PAQkhA1R
【真琴真奈美】
【状態】健康
【装備】H&KMP5(30/30) 【スキル】不明スキルカード
【所持品】基本支給品、H&KMP5予備カートリッジ
【思考】
1.少女を病院に運ぶ
2.御木、トーマスと行動を共にし、守る。
3.オーヴァーが居る…?
4.ヨグスの声を聞く。


【御木魚師】
【状態】健康
【装備】特殊手錠、ケブラー防弾ヘルメット
【スキル】『パブリックエネミー』(AM8時以降再使用可)
【所持品】基本支給品
【思考】
1.真琴と行動を共にし、なんとかこの状況から逃れる。

※特殊手錠
一見ワイヤーのついたごく普通の手錠。
何か特殊な仕掛けがあるらしいが、御木しか確認していない。


【トーマス・A・エジソン】
【状態】健康
【装備】
【スキル】不明スキルカード
【所持品】基本支給品、不明支給品1〜2
【思考】
1.発電所で電気を使えるようにする。
2.その後病院へ行って首輪をレントゲンで調べる。

【藍葉水萌】
【状態】瀕死、再生中
【装備】なし
【スキル】『自己再生』
【所持品】基本支給品、手榴弾×4
【思考】
1.????
0273 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/24(月) 19:26:58.23ID:PAQkhA1R
投下終わります。
大変遅れてすみませんでした。


タイトルは『邂逅か、それとも』
0274 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/24(月) 21:36:39.40ID:PAQkhA1R
んでこのままヨグス予約
0275創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/25(火) 03:21:35.35ID:TEsMj1Zn
投下乙、なんだけど
放送予約するのはせめて放送前の他のバードを書いてる人がいないか確認くらいしてからにしような
0276 ◆598AOhndz.
垢版 |
2012/12/25(火) 06:27:38.56ID:d8byciY/
放送の予約の際はそうなんですか…すみません。まだ勉強不足でした。今後は気をつけます。
0277創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/25(火) 13:36:14.39ID:YS64exzc
じゃあ今日一日待って、誰も放送前を書いてる人がいなければ放送を投下してもおkとうことで

あと放送は全体に関わるとこだから期間設けてのコンペでもいいけど
最低一人は書くって人がいるみたいだから来ないってこともないだろうし
0278創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/25(火) 18:45:55.46ID:TEsMj1Zn
まー複数くればもうけものだけど、もし来たら来たで選び方が難しい気がするな
投票できるほど人いるか微妙だし
0279 ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/25(火) 23:29:52.60ID:fA5Uulbk
いやまあ、書いていいなら私も書きますけど、第一放送なんでコンペするほど多態性のある展開にならないと思うんですよね
無茶なことせん限りは、影響大きそうなのは禁止エリアくらい?
まあ人少ないとはいえ、放送止まると全体が止まるんで早めに次に移れるに越したことはないとは思いますが


話代わりますけど、そろそろしたらばって必要ですかね?
まあ個人的に連投規制がウザいので、正式な一時投下スレが欲しいってだけなんですが
避難所としてラジオスレ借りてますけど、いつまでも借りっぱなしってのは心苦しいので

必要なら借りてきますが、どうでしょうか?
0280創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/26(水) 01:14:59.23ID:YyiFqpBX
とりあえず日付変わって誰も書いてなさそうだけど、どうする?
3日くらい自由投下期間設ける?

あ、したらばは欲しいです
0281 ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/26(水) 02:33:19.36ID:B/WmuqF6
したらば借りました
まぁあって損なもんでもないので

http://jbbs.livedoor.jp/otaku/15826/

とりあえず一時投下スレだけ作ったので、必要なときに利用してください

>>280
うだうだ曖昧になって時間かかるのが一番いやなのでそれでいきましょうか
0284 ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/26(水) 22:04:16.94ID:B/WmuqF6
仮投下スレに放送案投下しました
短いですがとりあえず

>>282
予約スレも創りました
0285創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/27(木) 16:43:06.59ID:KrTTprC4
今月からドリームカジノとかいうオンラインカジノが始まったみたいだけど
こういうのってマジで現金が稼げるのか?
0287創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/28(金) 01:58:56.79ID:+eLID88a
26から3日なんで12/29 0:00が募集の締め
でそれまでに複数候補があれば29日中に投票かなんかでどれにするか決めて
このまま一作しか来なければ、それを本投下後に放送後パートの予約・投下が解禁

こんなとこかな
0289第一放送 ◆BUgCrmZ/Lk
垢版 |
2012/12/29(土) 00:04:16.72ID:wPg9LQHV
やぁやぁ、久しぶりだね。ボクだよ。

定時になったので、最初に告知した通り放送を行う。
同じ放送は二度行うことはないので、各自聞き逃す事の無いように。
現時点で意識を失っている者は…………まぁ残念だったということで。

それでは、まずは禁止エリアの発表だ。
最初に説明したとおり…………説明したよね?
念のためもう一度、簡単に説明するけど、進入禁止領域に侵入すると死亡する。それだけの話だ。
そして禁止エリアは侵入禁止領域の追加だ。
地図の外なんて意図しない限り行くことはないだろうから大丈夫だろうけど。
こっちの禁止エリアに関しては意識せずにいると侵入してしまう可能性があるので注意することだ。
では発表する。

禁止エリアは『B-2』『D-4』『E-8』。

以上三つが禁止エリアとなる。
とはいえ現在指定エリアに放送の時点で侵入してしまっている者がいる場合もあるだろうから、一応猶予は設けてある。
各エリアが禁止エリアとなるのはこの放送からちょうど一時間後だ。
それまでは大丈夫だが、それ以降は、侵入すると死亡することになるので早めに離れるように。

さて、それではお待ちかね、参加者の告知をしよう。
と言っても、既に参加者名簿を各自の荷物の中に転送しいるので、各自で確認してくれ。
荷物ごと無くしてしまったモノは、近くのモノに見せてもらうといい。

…………………。
…………。
……。

確認したかい?
それではそれを踏まえた上で、この6時間で脱落した死者を発表する。

『聖澤めぐる』
『劉厳』
『二階堂永遠』
『橘蓮霧』
『一色亜矢』
『一色麻矢』
『宍岡琢磨』
『ファンガール・J』
『龍造寺さくら』
『花緒璃乃』
『白井慶一』
『琥珀愛子』

以上の12名だ。
丁度3分の1が脱落だ。なかなか悪くないペースだ。
上手く行けば今日中に帰れるかもしれないね。
もちろん帰れるのは一人だけなんだけど。

ひとまず今回の放送は以上だ。
これ以降も6時間ごとに同じ形式で行うこととなるので気に留めておくように。
そして、次の放送も生きて聞けることを目指してくれ。

それでは、さようなら。
0290創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/29(土) 00:57:56.85ID:mU3hY8Ok
投下乙です。
オーソドックスだけど、やっぱ安定感あるな
しかし30人強だから普通なら少ないはずがこれでも結構へってんだよなあ


結局放送はこれでいいよね?
長かった…始まって一年ぐらい?
0291創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/30(日) 02:44:09.90ID:1lNCpTZz
殺害数

6名
【オーヴァー】橘蓮霧、宍岡琢磨、龍造寺さくら、花緒璃乃、白井慶一、琥珀愛子
2名
【椎名祢音】一色亜矢、一色麻矢
【猪目道司】聖澤めぐる、ファンガール・J
1名
【板垣退助】劉厳
【二階堂永遠】二階堂永遠

散々言われているけどオーヴァーさんパネェっすね
0292創る名無しに見る名無し
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2012/12/30(日) 10:23:36.46ID:EOHQosxG
オーヴァーやべえな。

ただ一応戦闘出来る人間はまだ殺してないのよね
さくらちゃんは素人だし、琢磨は拳銃持ちとはいえただの人だし。

ガチ戦闘した加山はイロハがいたとはいえ結構耐えられたしなあ
0293創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/30(日) 16:18:41.36ID:I9CRMlGi
ふとやってみた独断と偏見によるスキルカード込みでの生存者の強さランク分け

人外クラス
藍葉水萌、板垣退助、オーヴァー、椎名祢音、篠田勇、フィクション、魔王

逸般人(バトルができる)
イリアム・ツェーン、カイン・シュタイン、加山圓、フランツ・O・ブリュデリッヒ、安田智美

一般人(バトルができない)
愛沢優莉、猪目道司、イロハ、片嶌俊介、逆井運河、田崎紀夫、トーマス・A・エジソン、葉桜加奈子、
フランドール・オクティル、真琴真奈美、御木魚師、溝呂木桐子

今のところはまだ一般人が多いかな
0294創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/30(日) 18:55:06.22ID:EOHQosxG
一応まなみんは刑事だし銃扱えるから一般人と逸般人の間くらいじゃないか?
0295創る名無しに見る名無し
垢版 |
2012/12/30(日) 23:29:57.60ID:1lNCpTZz
オーヴァーさんは超人に比べてスペックは低いけど一番頭使って戦ってる感があるわ
0297創る名無しに見る名無し
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2012/12/31(月) 14:48:18.96ID:sWz47tkq
祢音prpr^ω^
これはどう見ても片嶌が得するな…
0298 ◆Z2CJJz2v/o
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2012/12/31(月) 19:10:05.87ID:Vgkx3m1O
予約してたのを投下します
0299許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o
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2012/12/31(月) 19:11:51.75ID:Vgkx3m1O
頭に響く天よりの声。
晴れやかな朝日とともに舞い降りたそれは、福音などではなく凶事を知らせる凶報である。
それはこの少女、安田智美にとっても当然のごとく例外ではない。

「――――――――」

幾多の名を聞いた。
漏らす声などない。
懐く感想もない。

何が呼ばれたのか。
何故呼ばれたのか。
それがどういう意味なのか、認識ができない。
彼女には受け入れられない。

「――――――――」

何故そこに聖澤めぐるの名が含まれていることが理解できない。
いや、少し考えればわかることなのだろう。
だが考えることを脳が拒否する。
考えてしまったらきっと何かが終わってしまう。

「…………めぐる」

だというのに、乾いた喉からその名は呟かれた。
自ら口にした言葉は、乾いた大地に水が浸み込むように彼女に現実を認識させる。

「めぐる、めぐる、めぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐるめぐる」

その名を繰り返す。
そう呼び続けることしかできない。
その度に侵食するように、親友の死が彼女の理解へと及び。

「ぅああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

堰を切ったように感情が噴出した。
喉が張り裂けるような絶叫。
涙と叫びで全てを吐き出すような慟哭だった。

戦友だった。
親友だった。
今の自分の全てだった。

永遠に響き続けるのではないかと思われた絶叫もいつしか止まる。
すべて吐き出した後に音はなく、静寂が辺りを支配する。
辺りに動くものはない。
智美は蹲る様な体制のままで、唸るように呟く。



「―――――許さない」



それは誰に向けての言葉だったのか。
この舞台を生み出したヨグスに向けてか。
目の前で龍造寺さくらを殺したオーヴァーに向けてか。
それとも聖澤めぐるを殺した誰かに向けてか。

憎悪を込めた言葉は融けるように、誰に届くこともなく消えていった。
0300許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o
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2012/12/31(月) 19:14:09.39ID:Vgkx3m1O
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「12人、ねぇ」

放送を聞いた御木魚師は表には出さないものの、内心で焦りを感じていた。

既に12人の死者が出ているということは、当然殺した人間もそれだけいるという事である。
三分の一が死んで生き残りは早くも三分の二。
一人一殺してその全員が生き残っているとしたら、最悪の場合この島にいる二人に一人は殺人鬼になる計算だ。

そして御木は最悪を想定する。
それが生き残るコツだ。

御木は小悪党だが殺人という一線だけは超えちゃいない。
彼に騙された挙句、破滅して自殺した人間はいるのだろうが、それはノーカウントだ。

日本は治法国家である。ヤクザといえどそう簡単に人を殺せるわけではない。
そういうことが平然と出来るネジのイカれた野郎はすぐに御用になるのが常だ。

だがこの場は治外法権だ。
開始直後にホイホイと人を殺す奴が3人もいることといい、もしかしたら猪目だけじゃなく”そういう人間”を集めているのかもしれない。
もちろん言葉さえ通じれば猪目だろうと口八丁で乗り切る自信はあるが。そもそも言葉すら通じない相手ではそれも不可能だ。

この場は思った以上にヤバイ。
これまで危険人物に出会わなかったのが奇跡の様なものだ。
真奈美で楽しむ予定だったが、身の安全が第一である。彼は何よりも我が身が可愛い。
開始直後から行動を共にしている連中が殺人を犯している可能性はないだろうが、これから合う連中には最大限警戒が必要になるだろう。
その辺の人間性の見極めは真奈美やエジソンじゃ無理だ。
その見極めは御木が行うべきだろう、彼女らのためではなく、あくまでも己ために。

だが、御木は失念していた。
あまりにも近すぎて見逃していた。
と言うより、動ける存在として認識していなかったため見落としていた。
既に一人、異物が侵入していることを。
素性のしれない人間が、本当にすぐ近くにいることを。

ゴキン、と鈍い音が響いた。

「…………うわぁあぁあああぁぁあぁぁ!!!!!」

少し遅れて聞こえる、耳を劈くような悲鳴。
何事かと真奈美が声の方向を振り返れば、目に入ったのは悲鳴を上げながら脱兎のように駆け出すエジソンの後ろ姿。
そして、首が180度捩じれた、御木魚師の姿だった。
0301許さざるもの ◆Z2CJJz2v/o
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2012/12/31(月) 19:15:26.95ID:Vgkx3m1O
「13人目ね、これで」

薄い笑みを張り付かせたような声。
御木の体がゆっくりと倒れ、捩じれた頭から防弾ヘルメットがカランと落ちた。
入れ替わるのように、御木の背からスカートを翻して少女が降り立つ。

「貴様は…………」

真奈美目が驚愕に見開かれる。
あれほど酷かった顔の傷が、この短時間で完全ではないもののある程度見れるレベルまで回復している。

そして幾分か傷の引いたその顔には覚えがあった。
直接的な知り合いではなく、調査資料の中でだ。
それは前代未聞の大量殺傷事件を巻き起こした張本人。

「――――藍葉水萌!」
「あら、私って有名人」

名前を言い当てられた水萌は動じるでもなく、嗤いながら御木の体から排出されたスキルカードを回収する。

情報を聞き逃さぬようじっとしていたが、意識自体は放送のタイミングで覚醒していた。
あの老人、板垣退助からうけたダメージで頸椎を損傷してなかったのは幸いだった。
裂傷はふさがった。まだ見た目上は傷跡は残っているだろうが傷口がふさがっているなら十分だ。
赤黒い風船のように膨らんでいた顔の腫れは、顔の造詣が見て取れるレベルにまで引いている。
完全に砕かれ外れた顎骨も繋がっている。言葉を話すだけなら支障はないだろう。
鼻骨の粉砕骨折はまだチクチクと痛むが、呼吸はできる。戦闘には影響はなさそうだ。

いずれをとってもこの短時間で成せる次元の回復ではない。

「スキルってのも意外と使えるわね」

最強を自負する勇者のまさかの敗北。
油断していたというのも確かにある。
だが、それを差し引いてもあの老人は強い。身を持ってそれを実感した。

当然のごとく借りは返す。そうでなくとも殺すが。
そのためにはレベルアップが必要だ。
だが、彼女のレベルはカンストしている。これ以上の成長は見込めない
ならば、装備を整えるしかない。この場合はスキルも含む。

「という訳で頂戴、あなたのスキル」

ペロリと赤い舌をだしながら踏み込んできた水萌に対して、真奈美はH&KMP5を構える。
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