人はいつ死ぬ?
自らの命を引き換えに怪物を殺すときか?
体を怪物にバラバラに裂かれたときか?
通り魔に腹を刺され無念のうちにもがき苦しむときか?
違う!
もっと難しい。人に忘れられたときさ。

五丁目の平屋でまた殺しが起きた。先週から2件起きている強盗殺人だ。
―――殺されたのはまだ小さいガキ。何でこんなことを・・・。
「おい!池沢。邪魔だどいてろ。」
俺の名前は池沢耕平。数ヶ月前に妹を殺された不運な警官。
ガキを殺す奴の気が知れない。俺みたいに苦しむ奴ばかり増える一方じゃないか・・。
―――こんな世の中おかしいぜまったくよぉ。
「おいおい。大丈夫か池沢?」
この人は袴田俊彦警部補。俺より一回り上で頼りがいのあるいい先輩だ。
この人の息子は行方不明になっていて俺の気持ちをよく理解してくれた。
「またこんな落書きがあった・・・。」
‘帰ってきた酔っ払い。君は死んじゃった’
どう考えても愉快犯か快楽殺人鬼の犯行でしかない。なんだよこんなのありか?
「あのすみません・・・。トイレってどっちすか?」
現れたのは二枚目名顔つきの若い巡査部長だった。
「そこ出て左。あれ・・・?どこかであったことないか?」
「さぁ?俺いろんな有名人に似てるって言われますから。」
若いハンサム刑事は、自慢を少しすると玄関から外へと出て行った。
―――どこかで見たことある・・・。誰だ?
被害者の子供が運ばれてくる。―――まだ若いのに・・・。
待てよ・・?
この子供・・・。まさか!さっきのアイツ・・・。
「おい!お前!何者だ?神奈川県警に神谷伍郎なんていないぞ。」
男はおそるおそるこちらへと顔を向けると不敵な笑みを見せた。
ハンサム刑事はこちらへと奇妙なたとえ話をしだした。
「貴方は人はどのように死ぬか決まっているか誰かから問われたことがありますか?」