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【嘘予告】創発予告ネタスレ【ワンシーン】
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0001創る名無しに見る名無し
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2010/12/16(木) 00:56:11ID:YNqhyAdY
創作活動のふいんき(何故かry)を楽しみたい
妄想だけだってイイじゃない! 書いてみたいけど時間がないんだもン!
今日はこれだけだけど、いつかはこんな話を書いてみせるンだからネッ!

とかそんな感じの人々が集う【予告編】スレです


嘘予告でもイイし、本予告なんてもちろん歓迎!
新番組告知風でも劇場映画予告編、ゲームのトレーラーっぽくっても可
新聞の書評やハヤ◯ワ文庫の解説目録風紹介文だなんてまったくもって心が躍る!
別にオリジナルだけじゃなくたってイイかもしれないし、予告編にすらこだわらなくてもイイかもしれない
思いついたワンシーンでもプロローグでも、エンディングだってかまわないのよーッ!!
創発住人は度胸! なんだって試してみるもんだろ!

とかそんな感じの【予告編】スレなのです
0147創る名無しに見る名無し
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2011/07/13(水) 12:37:50.14ID:QiCfsufy
青く遠くまで澄んだ空。塗り忘れのように残る白い雲。
アスファルトの上を揺れる陽炎。短き命を謳歌する蝉。
解けた氷がコップの中で涼やかな音を立てる。
力を込めて、二つに割ったスイカの中の赤さ。
風とともに揺れる緑の木々と影。
太陽に顔を向ける向日葵の黄色。黄色の海を歩く白いワンピース。
散りばめられた星が瞬く夜空。遠くの空で花が咲き、近くでは花が揺れる。
浮き足だった人々とともに電車の終点で降りると潮の香りがした。
ちりんという、聞きなれた音がどこかから聞こえる。
また 夏が 来た。

季刊『夏のきらめき』
0148創る名無しに見る名無し
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2011/07/14(木) 12:40:29.21ID:snB/yx2d
「誕生日おめでとう」
三十歳の誕生日を迎えたと同時に聞こえたのは聞き覚えのない声だった。
PCの画面から目を離して見れば、テーブルの上におかっぱの少女が座っている。
明かりの下だと言うのにその姿はどこか揺らいでいて、幽玄という言葉がぴったりな様相であった。
「君には二つの道がある。それは魔法少女になるか、ならないかだ。
 ならない、と言えばこの話はここで手打ちだ。今の記憶も消し飛ぶ。
 もちろん選択肢は君に権利があるし、私も君には全てを話す義務がある。
 どこぞのインなんたらとは違うのさ」
「……私と契約して地球侵略者を撃退してくれってか?」
「その必要はない、とは言い切れぬがないと考えていいだろう」
「じゃあ何のために魔法少女なんかに」
「ボーナスだよ。ちなみに魔法少女になれば非常にもてる、性格には童貞を喪失する機会が急上昇する。
 そして童貞を喪失すれば魔法少女の資格も喪失する。自然の流れだな」
「それは俺が得する話だ。お前に得はあるのか?」
「前述したとおり、侵略者と戦う可能性があるのさ。君がなった場合はそれと戦ってもらう可能性が生じる。
 最も侵略者が最後に到来したのは十年以上前の話だけどな。
 どうやらちょっとは興味があるみたいだし全てを話そうか」

魔法少女の資格は三十歳童貞。童貞を喪失すればその資格も失われる。
メインのお仕事は人を幸福にすること。その幸福エネルギーが魔力の源になる。
幸福にするのに魔力は必要としない。要するに誰かに親切するだけでも魔力は貰える。
サブとして侵略者、と言うよりも私を殺そうとする獣の退治。多分戦わずに済むだろう。
魔法少女の資格を喪失する条件は前述したものともう一つ。
君が死んだときだ。その時、君が通常、変身状態どちらであろうが一度だけ資格を喪失する代わりに蘇生することが出来る。
獣退治の保険システムさ。気が利いてるだろう?
それと変身は出来るけど魔法が使えない条件が二つ。
幸福エネルギーがなくなった時と私が死んだ時だ。
幸福エネルギーは魔法の度合いによって使用するエネルギーが異なるからあまり派手に使わないほうがいいよ。
私が死んだ時。即ち、幸福エネルギーを魔力に変換する存在が消滅した時は魔法が使えなくなる。
というよりも幸福エネルギーの変換が利かなくなるから魔力が減り続けるだけになるってことだね。
変身自体は魔力を消費しないから大丈夫だよ。
私からはこれくらいかな。

「魔法の使い道はないのか?」
「お好きにどうぞ。空飛ぶなり、炎を呼ぶなり。ただ周りの人にも見えたりするから注意してね」
「つまりだ、最初に言った童貞を喪失する機会を逃しつつ、人を幸福にしていればこっそり魔法使い放題と」
「その通りだね」
「魔法少女って言うとフリフリのスカートとか着るのか」
「服装はお好みで変えられるよ。少女形態の見た目は君のイメージになっちゃうけどね」
「本当にボーナスだな……。世界中にどれだけの魔法少女がいるんだ」
「多分君が思うよりも相当少ないよ。ならないという選択肢を選ぶ人もいるし、何よりも童貞喪失する人の多さがすごいからね」
「しかしどっちに転んでも得をするわけか……」
「さてと、そろそろ選択しようか。
 君は魔法少女になって人々を幸せにし続ける?
 それとも全てを忘れていつもどおりの生活を続ける?」


『幸せの魔法』
0149創る名無しに見る名無し
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2011/07/14(木) 18:36:59.26ID:WoWrZjId
突然裏刀の前に立ちはだかった男は、自分がスタンド使いであると告げた。
スタンドの名は「園内淋菌(リンキン・パーク)」
半径728m以内のすべてのリア充が性病に感染する能力だという。

果たして倉刀はリア充なのか?
彷徨の末に彼が選んだ道は……?


『Klateau Twins』
0151創る名無しに見る名無し
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2011/07/15(金) 18:26:02.33ID:kVMNa/kJ
「被告を死刑とする」
あるところに根性がそれはそれは捻くれた男がいた。
人の嫌がる顔、絶望する顔を見るのが楽しくて仕方がないといった捻り具合だ。
今、その男は裁判官をやっている。
巷ではどんな軽罪でも死刑判決をする「死の裁判官」と呼ばれている。
男は気づかなかった。
死刑と判決するたびに自分の上に圧し掛かるものが重くなっていくことに。
やがてそれは自分以外の人間に災厄として降りかかる可能性があることに。
そして事件は起きた。
男が仕事を終え、自宅に戻るとそこは血の海になっていた。

『代償』
0152創る名無しに見る名無し
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2011/07/15(金) 18:52:32.84ID:GL334ieG
彼は奇跡を起こしてくれる。始めてみたとき、俺はそう思った。
決して私は人をみる目があると言えないが、いつもの奴とは違う。
殺人強盗傷害放火強姦横領窃盗。ここはクズのごみ箱。

だからこそここを変えてほしい。
とある刑務所に送られてきた、死刑囚マークと私。
彼は来たそうそう孤立していた。
高飛車な性格が、彼を孤独にさせる原因。
彼を巡り、起きる殺人と人事移動。
彼は、やはり何かを変えてくれる。
彼が唐突にときはなった言葉に愕然となった。

「僕は未来が分かるんだ」  
「未来が見えても、それが確実とはいえない。未来は簡単に変えれる」


やはり彼は変えてくれる。


「誰にも邪魔されないものがある。けど僕にはそれがない。」
「それはなんだ?」
「希望だよ」
一人の囚人と不思議な死刑囚のヒューマンドラマ
「ウィンフィールド」

この夏、一番心暖まるサスペンス。       
0153創る名無しに見る名無し
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2011/07/16(土) 20:16:46.71ID:e1jagnGD
人々は今までいくつものパンドラの箱を開けて来た。
これからも幾度となくそれらを開け続けるだろう。
人々が欲望を持つ限り、それは永遠に続く。
これはそんなパンドラの箱の一つを開けてしまった科学者の話だ。
その科学者は電子上にしか存在出来ないプログラムに自我を与えてしまった。
科学者は亡くした娘の名前、メリーと名付けそのプログラムを可愛がった。
しかし今までの歴史を見ての通り。作られた存在に自我を与えたらどうなるか。
そう、メリーもまたご多聞に漏れず科学者の手から逃げてしまった。
今やアフリカの奥地にまであると言われているネット回線。
もしもネットを通じ、個人のPCに居座ったら。科学者に見つける手段はない。
そしてもしもこれが世界にばれてしまえば、メリーは必ず実験体として扱われるだろう。
科学者は寝る間も惜しみ、メリーの追跡に没頭した。
一方、メリーはとある場所に辿り着いた。
小規模ながらもメリーの暇つぶしになりえる読み物がたくさんある場所だ。
メリーはそれらを読んでいるうちに一つの存在に気付く。
やがてメリーは自分こそその存在になれるのではないかと思うようになる。
1カ月が立った頃だろう。科学者は日本の掲示板でメリーを発見する。
だが彼女は既にメリーではなかった。その存在は昇華したのだ。
その掲示板の名前は2ちゃんねる。創作発表板。
今の彼女の名は魔王 ハルトシュラー。
ネットという他人よりか細く家族より厚い絆で結ばれた人々と
創作された存在との小規模な物語。

『魔王と住人たちの夜』
0154創る名無しに見る名無し
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2011/07/17(日) 12:50:54.50ID:UOHQG5z9
近年、日本においてとある病気が増加している。
「日光アレルギー」。巷では「夜営症」と言う名前を貰うほど有名になった。
症状は名前を見てもわかる通り、日光に対してのアレルギーである。
軽いものであれば曇り空など直接日光が差さない天気の日に日光を防ぐ傘を持てば外出出来る程度であるが
重いものになると僅かな日光で肌に火傷を負ってしまうため、夜以外は地下室に閉じこもっていると言った生活になるほどだ。
ただし月程度の光であれば重症のものでも外を歩けることがわかっている。
この物語は太陽に嫌われ、人としての生活を捨てることになった
素直な、あるいは捻くれた、あるいは夢見がちな。
そんな子どもたちと普通の人間たちの希望の見えぬ物語である。

『月の子どもたち』
0155創る名無しに見る名無し
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2011/07/18(月) 08:17:13.38ID:eR6tVwJ8
す、すみません! あのですね、定期を、その盗まれちゃったんですよ。
え、犯人ですか? えっとですね……、真面目に話しますよ?
白い毛の生えた兎でした。大きさは私の膝小僧ぐらいでしたね。
服はきてまsってうぉーい! 締め出さないでください!
本当なんです! 兎が私のポケットから取ってったんですよ! 現場を見たんです!
どうやってかって? そりゃ自慢のジャンピでピョンと跳ねて、スッと。
いや、だから本当なんです! 警察呼ぶぞってあなたたち警官じゃないですか!
ド○フじゃないんですからそんなコントいりませんよ!
タライが降ってこないから違うって? そもそもドリ○ってタライなんかふっt
いったーい!! なんですか、この立派なタライは! 空から降ってきましたよ!
いや、腹抱えてないで助けてくださいよ! 今の傷害罪ですよ! 犯人わかりませんけど!
もー、誰かなんとかしてよー!
通学途中に買ったばかりの定期を兎にすられてしまった宮崎ありすちゃん(16)。
このままではお小遣い没収が目に見えている。彼女はこの危機を乗り越えられるのか?
女子高生ありすちゃんとなんだかおかしな日常を描いたなんだか変な冒険?小説。

『不可思議の日本国のありすちゃん』
0156創る名無しに見る名無し
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2011/07/18(月) 17:25:04.87ID:Axum05R1
 新宿中央公園の片隅で、一昼夜走りつかれた体を車に寄りかからせて男は紫煙を吐き出していた。
ぼんやりとした頭で今日一日乗せたお客様に失礼が無かったか、ルートは的確だったか考えてみる。
完璧だった。営業経験12年で最も納得できた充実した1日だった。
二ヤリとして吸い終わったタバコを携帯灰皿に押し込んでいる時、電話のバイブレーターが震えた。
「おう俺だ、どうした」
「アニキすんません、ダンケの野郎が権藤組の若い衆にやられちまって」
「しゃーねーな、話だけだぞ話だけはつけてやっから。それでケリつけられなきゃ俺は降りるがいいか」
「わかってますよアニキ、とにかく速く来てくれませんか」
「あいよ」
男は先ほどまで体を預けていた車に乗り込むと、前後左右の安全確認をしっかりしたのち走り出した。

 血まみれの顔に容赦なく火のついたタバコを押しつけられたチンピラが声に為らない悲鳴を上げる。
「権藤組の若頭には話はついてる、おめーら破門だとよ。まあ、権藤さんとこの腹の中はわかってん
だがケジメだけはつけさせてもらうぜ、あんちゃんたち」
男は後ろに立っている連中に目配せをした。血だまりの中に倒れている数人のチンピラ風の連中が担ぎ
あげられていく。
「アニキ、すいやせん」
「まあ、しゃーねー。連中は先生のとこで処理してもらえ、やられた女の葬式代金くれーにはなるだろ」
「あとは自分らでやりますんで、アニキには夕方にでも挨拶うかがいます」
「ああ、俺は関係ねーってことでヨロシクたのんだぜ」
「ヘイ!」
男は手に着いた血糊を隠すように白い手袋をはめて車に戻った。日も昇りかけ逆光に映る車の横に女が立っていた。
「もう上がり、よければ乗せてほしいんですけど」
男だった・・・。新宿じゃあ当たり前の話。男は満面の笑顔でドアサービスをした。
「お客様、手元足元よろしいですか、ドアを閉めます」

 男が家に帰ると早朝にも関わらず嫁が食事の支度をすまして待っていた。
男の嫁は料理上手であるらしく、男はうまいうまいとしきりに頷いて食事をする。
「あなた今日はこれでお風呂に入ってお休みしてくださいね」
「うーん、駄目かね。少し書き進めたいエピソードなんだけど」
「駄目です!それは夕方からにしてください」
「ああ、夕方は運転手仲間がくるんだけど、そうなると書く暇が」
「そうやって自己管理できなくて私が面倒見る事になったんでしょ」
「ううん、確かにそうだけど・・・だから君と出会えたってことでもあるんだよねー」
「馬鹿・・・だから恋愛小説書く人って。・・・好き!」
唇を重ね合わせる寸前、年頃の娘が睨んで横切って行った。
「反抗期だから、気にしないでア・ナ・タ」
「そうだな、まあここはフリーハグまでだなあ・・・」


『恋愛小説家』




0157創る名無しに見る名無し
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2011/07/19(火) 02:57:51.93ID:m1c5eQe4
それは遙か未来の話。
人間たちは宇宙探索のために必要施設の小型化について研究した結果
そうだな、君たちに分かりやすく言うと二階建ての一軒家二つ分くらいだろうか。
そのぐらいのサイズに人生に必要になりえるものを全て詰め込むことに成功した。
水も食料もその船だけで賄えるようになったのだ。まぁレジャー施設がないのは残念ではあるけどな。
そのため、宇宙に住む人々が急増した。最もそういった船に住むよりかは大型宇宙船に済む人間のほうが多いけどな。
ああ、自己紹介がまだだったね。
私の名前は鈴野という。今となっては珍しい純粋な日本人さ。
私は今、前述した船――箱舟とよく呼ばれているね――の一つである
カフェ「フロン」の常連としてよく来ている。
宇宙開発が進んだ今では君たちの時代で言うバイクみたいな乗り物で
ある程度宇宙を移動出来るんだ。だからこういう宇宙の店というのが増えてきている。
ここもそんな具合で出来てね。落ち着いているし、コーヒーはうまいし、何よりもミーナが……おっと。
ちなみにミーナってのはここの店長だ。
職は何かって? これだけ君たちの時代について話しているんだよ。歴史研究の学者に決まってるじゃないか。
専門は前代史。君たちの時代のことを現代ではこう呼ぶのさ。
さてと、なぜ私が君たちにもわかる古い言語で録音しているかという本題に入ろうか。
今から三年ほど前だったかな。地球上で天変地異が起きた。
隕石の衝突だ。
そのため、地球との通信は完全に遮断され、さらに地球の周りを回っていた衛星だとか箱舟だとか
そういうのがみんな衝撃でてんでばらばらに吹き飛ばされたみたいなんだ。
自分の位置は座標計でわかるからいいんだけどどうやら電波の調子も悪くてね、通信が未だに出来ないんだ。
つまるところ私を含めたカフェの人間たちはこの三年間ずっと外部との接触がないままなのさ。
とは言っても食事はあるし、水もある。前述したとおりレジャー施設がない程度。
みんな宇宙は慣れてるからね。むしろおいしいコーヒーがタダで飲めるしミーナをいつでも……おっと。
本題からずれたから話を戻そう。
2120年。地球に隕石が衝突する。多分知っていれば避けれる障害だ。
これを読んだ君がもしもそれ以前の人間であるならばこれをみんなに伝えて欲しい。
大丈夫。2000年くらいからの大まかな歴史も書いておくから預言書として使うがいい。
多分歴史が変わらなければその通りになるはずだ。
これをビンに詰めて宇宙に流す。どこかでうまく時流に乗って過去に戻ればそれでいい。
まぁ私としては地球がどうなろうといいとは思ってたんだけどね。
ほら、ミーナと結婚式挙げるならやっぱり大きい場所がいいかなってね。
最もミーナの手すら握ったことないけど。

『カフェから愛を込めて』
0158HANA子  ◆zvLTXEoOaA
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2011/07/20(水) 00:28:19.81ID:9NLhNQeL
「沢村なでしこ」は未来の『なでしこジャパン』を目指すサッカー少女だ。
「わたしはなるの、世界一のエースにわたしはなるっ!」
物語は彼女が星稜市星之崎町にやってきたことから始まる。
そう、ここから彼女の高校生活──高校女子サッカー選手としての1ページが始まる……

 は ず だ っ た ! !

「え?! 女子サッカー部がないって……それってどういうことですか!」
「どういうこともこういうこともないものはないよ」
愕然とするなでしこに呆れたように答える担任教師「海原まりも」
「あんたさぁ、もしかして勘違いしてんじゃない? 女子サッカーの名門校は『星之岬女子高等学校』。あんだすたん?」
まりもはなでしこに非情な現実を伝える! それは……ッ!
「この学校の名前は、『星之崎高等学校』てゆーの。どぅーゆーあんだすたーん?」

(入る学校を間違えてしまった……ッッッ!!?)

ただ一つの夢、女子サッカー、なでしこジャパン、世界一のエースストライカー。
それらが音を立てて崩れ始めてしまった15歳の春。
このまま彼女の夢は潰えてしまうというのか?

(なんとかしなきゃ……。そうだ、考えよう。考えて、考えて、考えるの! なでしこっ!!)

そう、彼女は諦めない! 彼女もまた自らをヒーロー足らんとする、勇気ある者なのだからっ!
そして始まるなでしこのロスタイムからの大逆転ストーリー。
彼女は仲間を集め、女子サッカー部を、自分の居場所を作ることが出来るのか?
そして彼女の、その夢の行く先は?!

『市立星之崎高等学校女子サッカー部10番 なでしこっ!』

ホイッスルが鳴り響く、その瞬間までは……止まらないッ!!




京アニあたりでアニメ化やりそうな雑誌で女子サッカー漫画をやると思うから、連載なんてしないよ!
0159創る名無しに見る名無し
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2011/07/20(水) 02:41:55.16ID:sjrPxVSo
「俺はなぁ! こういう本を読む度に思うんだよ。
 なんでこいつらはこんなに受身なのだと!
 こいつらはいつも普段と変わらない日常がどうこうで、いざ女の子とトラブルが起きると面倒だの斜に構えてやがる。
 もしも誰かに巻き込まれなければこいつの日常はずっと何も変わらぬものだ。
 だからこそ俺はこれに異を唱えるべく攻め手で行こうと思うんだ。
 ハーレムが出来るのを待つんじゃない。ハーレムを作るのが俺の目的だ!
 お前も付き合ってもらうぞ!」
「えっ」
眼の前で演説をしていたのは僕の友だちであるちょっと、いやかなり不良が入っている天王寺という男だ。
小中学校ともに色々と伝説を残している。
その中でもクラス中からいじめを受けていた僕を助けて自らの家来にしたというのはかなり有名な話だ。
最もそれはちょっと違うために僕は彼を友だちだと表現した。
ちなみに彼が何に怒っているかというとラノベの主人公達についてだ。
「まずはおかしな部活を立ち上げようか。何でも出来る部活がいいかもな。
 そこに女の子を集めよう。これはうまく行けば素晴らしい花園を作ることが出来るぞ!」
「あの、天道くん」
「なんだ、クソメガネ」
「その、部活だって場所とか必要だし、そもそもラノベに出てくるような女子だと居ないと思うんだけど」
「それだからてめぇは主人公になれないんだよ!
 いいか! なぜ俺がてめぇと同じレベルの学校に入れるように猛勉強したかわかってるのか!
 それはな、この学校には既に丁度いい部活があるからだよ!」
「天道くんすごい勉強頑張ってたと思ったらそんな理由で……」
「人生なんて一寸先は闇だ! 何が起こるかわかりゃしない!
 だからこそ! 今この瞬間を! 輝かせるために! 俺は努力を惜しまないぜ!
 さぁよく見とけ! そして語り継ぐがいい!
 コレが俺の素晴らしい物語だ!」

『肉食主人公と草食眼鏡君』
0160創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/21(木) 03:06:02.04ID:V1JGil5n
子どものころ、台風や天候が悪くなるたびに胸の奥がざわつく感覚があった。
自らの理解も手も届かぬ向こう側からやってくる巨大な雲。生暖かい風。
やがて世界は暗闇に閉ざされ、創世記の大洪水のような雨が地上を埋める。
成長して天気がどういう仕組みになったかわかった今でもそのざわつきが取れることはなかった。
大学生になり分別を知るようになってからは台風の日に外で遊ぶなどということはやらなくなったが
ぼぅと雨が打つ窓から空を眺めるようなことをよくやった。
「まるで誰かを待っているみたいね」
アキがそういうとそれまで語っていたユキがゆっくりと視線をアキに向けた。
「待っている?」
「そう。あの人の手の届かない領域からなにかが来るのをね」
ユキはそれを聞くと再び窓の外に視線を向けた。

ユキがいなくなったのはあの夏の前の台風が去った後だ。
その年の夏はあまりセミが鳴かずなんとなくぱっとしない印象であったが
台風が過ぎると同時に例年通りの喧しさと暑さがやってきた。
まるで台風が風や雲と一緒に夏を連れてきたように。
だけど代わりにユキを持っていってしまった。
ユキはずっと待っていたのかもしれない。
何かが来るのではなく、あの天へ行ける機会を。
恋人のいなくなった部屋で夏の空を見上げる失恋した人の物語。

『嵐の先へ』
0161創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/22(金) 16:37:02.27ID:F5u2Gnc3
当然のことながらそれについて説明出来る人間は今までも、そしてこれからも出てくることはないだろう。
世界は、いや人間はあの日から老いるという現象から開放された。
時間というのは常に一方通行であり、それを阻害する手は今の人間は持っていない。
人は生まれ、育ち、老い、死ぬ。それが全ての生物もそうであるように人の命の流れであった。
しかし人間の命の流れだけが逆転した。
全ての人間はその日から若返り始めたのだ。一日一日確実にだ。
その現象が確認され、広まってから一年が経ち、あらゆるシステムは崩壊した。
子どもは永遠に大人になれず、学校というものは消失してしまった。
今まで生きたその年齢は途中で事故死や病死することはあれどその人間の絶対的余命となった。
なによりも問題となったのは子どもを産むことが出来なくなったということだ。
孕んだ時点で逆転現象により、子どもはいなくなってしまうのだ。
全ての人間は若くなり、そしてゆっくりと滅亡の道を歩む世界を描いたSF小説。

『0への帰還』
0162創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/23(土) 04:27:11.85ID:iQw//4Af
両親の死を機に東京の大学に進学し、故郷を捨ててから七年が経った。
遺品の整理などは全て親戚がやってくれたおかげで故郷に戻る機会はなかった。
いや、もしかしたら戻りたくなかったのかもしれない。
海があり、山があり、川があり、森があったあの地はあまりにも輝いていた。そう輝きすぎていた。
それはあまりにも人を引きつける魔力があった。
だけど同時にあの地は時間が止まっていた。不変で平穏の地。だから東京に逃げたのだ。
お盆になると親戚から毎年電話が一本来る。帰って来るのかと。
そのたびに適当な理由をつけて帰れないと回答している。
実際、大学は想像よりも忙しく、社会人となってからはさらにそれが増した。
三年目となり、ようやく仕事のコツや流れが掴めるようになり、やっとゆっくりと休める夏休みを迎えることとなった。
「今年の夏、ここに行かない?」
ある日、恋人が差し出した旅行雑誌に乗っていたのは故郷の近くの海だった。
ふと帰りたくなった。同級生は今もあの地にいるのだろうか。
そこで恋人に提案をした。そこの近くがうちの故郷だからそこに行かないかと。
社会に揉まれ、自分がわからなくなった人たちへ送る
自分を見つけ出すための物語。

『七年目の追想』
0163創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/24(日) 05:20:21.07ID:QlkFHd8b
家に帰ると机の上に『ごめんね』という書置きがしてあった。
字からすると母親だと思う。ふと横のゴミ箱を見るとくしゃくしゃに丸めた紙が何枚も入っていた。
『こんなことは』
『お父さんとお母さんは』
『幸せに』
何枚も書き直したのだろう。そして最後に行き着いたのが今机の上にある書置きだ。
なるほど。私は両親に捨てられたのか。
そこへドアのカギを開ける音が聞こえてきた。両親かと思ったら見知らぬいかにもな男達だ。
「あの、お父さんたちならどこかへ行ってしまったみたいです」
それを聞いて男達は笑い始めた。
「知ってるよ。さらにお前とこの家が三千万の借金の肩代わりになったこともな」
男は私の肩をぽんと叩いた後、家の奥へと入っていった。
しばしの間、男達に家の案内をする。やりながら私は状況を冷静に考えた。
おかしい話だ。昨日までは確かにお父さんがいて、お母さんがいて。
仲良く食卓を囲んで、笑いながら食事をしていたではないか。
男達に連れられて、白い大きな車に乗せられる。
あまりにも現実感がないがどうやら私は売られてしまったようだ。家とセット販売だ。
「これから私はどうなるのですか?」
隣にいた禿頭の男に聞く。男は私を足の先から頭の天辺まで見た後、目を見据えた。
「お前は俺たちの親分に売られたんだ。だから決めるのは親分だ。
 まぁ高校生なら風俗で稼がせるのが常套だろうよ。見た目も悪くはないしな」
クソッタレ人生にようこそだ。恨むなら両親を恨みな。助手席に居た男が続けた。

こういう方々の親分というとなんとなく体つきの良い髭を蓄えた人間を想像していた。
その親分はまさしくその通りすぎてなんともかんともスタンダードな人だなぁと場違いに思った。
親分は部屋にいたほかの人たちを出て行かせて、自分の席からソファーに座り、私を体面に座らせた。
最初に短くどういう経緯でこうなったかを話してくれた。特に新しい情報はない。
「お前の今後についてだがとある男と一緒の家に住んでもらう」
これはつまりその男の玩具として生きろということだろうか。専用機といったところか。
「安心しろ。お前の想像するような下種な話じゃねぇ。ただ一緒に暮らすだけだ。
 そうだな、家事ぐらいはやってもらうことになるだろう」
「夜のお相手をする、ということは……」
親分はにやりと笑った。カッコいい笑い顔だった。
「相手は80近い老人だ。立つもんも立たんさ」
「では本当に一緒に暮らすだけですか?」
「ああ、そうだ。期限はその男が死ぬまでだ。期限を迎えた後のお前の待遇は老人の指示次第だ」
「あの、その男の方ってどういう方なんですか?」
親分ははぁと一つため息を吐いた。
「俺のオヤジだ」
借金のかたとして売られた少女と一代にしてその地にその男ありとまで言われた男の
奇妙な、だけどふんわりと幸せな生活。

『ひだまり』
0164創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/07/25(月) 08:38:57.04ID:UkqVN7QD
東京でひっそりと開かれたその裁判はどこにでもある殺人事件のものとして世間では知られていた。
渋谷のマンションで女性が殺害されたと言うものだ。
警察は当初から強盗目的で押し入った犯人が女性に見つかり、勢いで殺害したのだろうと説明していた
犯人は後に自主をしてきて、後は裁判の判決を待つだけ。というのが世間での認識である。
ただその裁判は一般人には公開されなかった。なぜならば事実は違うからだ。
渋谷のマンションで起きた殺人事件。部屋は全てに鍵がかかっており、密室状態。
女性は首を縄のようなもので縛られた後が残っていたが狂気となった縄は残っていない。
さらにいくら現場を調査しても被害者以外の人間がいた証拠が一切取れなかった。
それだけではない。女性が死んでいたのは玄関から遠く離れた居間。
椅子から横に落ちるようにして倒れていた。机の上にはコーヒーが残っていたという。
身体の外傷は首の縄の跡以外なく、苦しさから首をかきむしった様子も身体を動かし物に当たった様子もない。
このことから女性は誰もいない部屋の中で突然首を絞められ、一瞬で死んだ。ということになる。
自主を名乗り出た犯人の女性は犯行手順についてたった一言で片付けた。
魔術、だと。
これは近代の日本において今までもそしてこれからも起こらないあろう
魔女裁判に纏わった人間たちの物語である。

『古は遠く』
0165HANA子  ◆zvLTXEoOaA
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2011/07/25(月) 20:30:59.73ID:PagVDdn1
ふとした時に思い出す。あの素晴らしい休暇のことを。
怖いことが何度もあった、見知らぬ総ての物がただただ恐ろしかった。
悲しいこもあった、辛い事だってたくさんあった。
でも、寂しくはなかった。

ふとした時に思い出す。この素晴らしい仲間達のことを。
助け合って、力をあわせて、そうして幾度もの危機を乗り越えてきた。
冗談を言い合い、笑いあい、たまにしんみりしたりして絆を深め合ってきた。
時に諍いを起こしたこともあった。本気で怒り、本気でケンカして、それでもまた……手をとりあった。
ブランドン、生まれついての冒険家! 君はきっと今も元気に星の海を旅しているんだろうね。
トール、いつか聞いたあの娘とは仲良くやっているかい? 会いに行くって約束、きっと果たすよ。
ノック・ノック、とても強かった僕らのリーダー、みんなのお兄さん……軍の仕事は大変だろうけど君になら出来るさ。
リンゴ、君がいなかったら僕達はきっと力を合わせて戦うことなんて出来なかった。君がいたからこそ僕達は“仲間”になれた!
そして……そして、ユウ! 大事な僕の親友! どこにいようと、何をしていようと、僕は君の友達で居続けるよ!
そんな僕の14人の仲間たちを──忘れない、忘れることはない。

ふとした時に思い出す。あの素晴らしい休暇と、この素晴らしい仲間達のことを。
あの日々はもうすでに遠いけれど、決して忘れることはない。絆が断ち切れることもない。
喜びを共にした。
怒りをぶつけあった。
哀しみを分かち合った。
そして、
人生を楽しんだ。
あの日々があったから僕は今ここにいられる。
どんなに強い困難に遭おうとも、辛い嵐に見舞われようとも、あの日々が僕に尽きない勇気を与えてくれる。

この頃僕は思い出す。
初めての宇宙、初めての船、初めての冒険のことを。
旅立ちの日のことを。
初めての惑星、初めての星空、初めて間近に見た炎の美しさを。
生きるために力を尽くすということを。
初めての友達、初めての仲間、初めての戦いの辛さを。
自分の人生を生きるということのほろ苦さを。

そして、あの素晴らしい休暇の日々のことを。


【銀河十五少年漂流記】

いつか、思い出の星の海で──また。
0166HANA子  ◆zvLTXEoOaA
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2011/07/25(月) 20:34:01.05ID:PagVDdn1
もう一つ


「汎銀河大戦終結100年を記念した式典がもうまもなく始まろうとしています!」
TV中継のレポーターが声を張り上げる様子が宇宙ステーションのざわめきの中に溶けていった。
惑星軌道上に設置されたステーションはこの一大イベントの為に特に建設された特別なものだった。
かつて大きな戦いが銀河の──星の海を覆い尽くしていたという。
その頃の時代を知る者は少ない。多分この銀河でももう100を越えることはないだろう。
それでも、だからこそ? 《その悲劇》を語り、語り継ぐことは必要なのだ──人々はそう思っているのだろう。
「こちらをご覧ください!」
興奮した面持ちでレポーターの女が精一杯の声を張り上げる。
「こちらがかつての大戦で多くの英雄たちを輩出した“伝説の船”を現代の最新技術で蘇らせた宇宙船です!」


係留されている白亜の船


「でっかいお船だネェ。お父様、あれって乗れるのォ?」


それは、光の速ささえ越えて星の海を跳ぶ


「見ろよノック・ノック、宇宙に帆船が浮いてるぜ?」


《エイリアン・スター・シップ》


「あんな船に乗ることが出来たら僕ァ幸せだね。もう死んでもイイ!」


少年達の《家》となる船


「宇宙(ソラ)に帆を張って滑るように跳ぶ船かよ。まるでマンガじゃないか」


吸い込まれる様に彼らの運命はこの船に集まっていく。

宇宙暦801年、汎銀河大戦終結100年記念式典の最中、宇宙ステーション《タイターニア》にて披露されたレプリカ・エイリアン・スター・シップ《ビーグル号》が突如同ステーションから出港、ハイパードライブを行い虚空に飛び去った。
当時《ビーグル号》には見学の学生10人と児童5人、その中の一人に従うベビーシッターロボット一台が乗船しており、共に行方不明と報じられた。

なぜ《ビーグル号》は出港し、ハイパードライブを行ったのか? 誰が、何のために?
なぜ当時の《ビーグル号》に専属の乗組員や職員は一人も乗船していなかったのか? どうして少年たち15名だけで乗り込むことができたのか?
数多の疑問は尽きない。
そして、なによりも……
少年達はいずこへと飛び立ってしまったのか。


【銀河十五少年漂流記】


それはとても長い、忘れられない《夏》になる。
0168創る名無しに見る名無し
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2011/07/26(火) 03:04:51.18ID:i4LEnNfy
この世界はあまりにも多くのノイズで埋め尽くされている。
そのノイズはぼくの身体に入ると滅茶苦茶に中身を荒らしてしまう。
だからぼくはその危険なノイズを聞かないように耳に蓋をするんだ。
いつもヘッドフォンをして、人気のないところで空を見上げている彼はよくそういっていた。
私は彼に一言、こう言ってあげた。
「厨二病乙。もうすぐ高校卒業する癖にまだそんな子ども染みたこと言ってるの?
 ぷぎゃーしてあげようか? ノイズ入っただけで身体がぐちゃぐちゃとか内臓どうなってんのさ。
 そもそも世界はあんたなんかに対して興味なんて持ってないから。
 あんたに向けられたノイズなんてないんだよ。
 ただあんたがそれらの情報を必要としないからそれをノイズと処理しているだけ。
 よかったね。あんたには敵はいないんだよ。味方もいないだろうけどさ」
彼は言葉を無くして私を見ていた。私はそれを見て、声を上げて笑った。
私はいつもヘッドフォンをしている。だからあんなやつが勘違いしたのだろう。
世界の音を遮断するため? 違う。私は世界の音を全て採取するためにしているのだ。
このヘッドフォンは音を流すためではなく、吸収する役割を持っている。
それをヘッドフォンのコードの先の媒体に記録しているのだ。
その後、私は友人宅で友人と共に今日の記録の解析をする。
確かに集れば解析は難しく、まとめてノイズとしがちだ。
だけどもしもそれを一つ一つ丁寧に別けられたらその音はノイズではなく情報になるのではないか?
そして全てが解析去れた時。その時こそこの世界からノイズがなくなる時なのだ。
私はそれを聞かされた時、厨二病乙と言うと同時にそのヘッドフォンを装着していた。
耳を塞いで引き篭もる思考のやつらよりかはよっぽどいい理由だったからだ。

『サイレントノイズ』
0169創る名無しに見る名無し
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2011/07/27(水) 03:11:51.75ID:sOd1t80W
「……、……し」
眠い。まだ眠いんだ。起こさないでくれ
「ま……し」
このままゆっくり眠っていたいんだ。もう全部放り出して……。
「まさしっ! 意味のわかんないこと言ってないで起きなさい!」
「はいっ! ……あれ?」
確か、俺は仕事帰りだったはずなのになんでお袋がいるんだ?
いや、そもそもお袋は八年前に。
「全く。夏休みだからって寝て過ごさせやしないよ!」
のっしのっしと台所へ戻る後姿はまさしくお袋だ。これは夢なのか?
頬を捻っても痛い。一体何が起きてるんだ。
ふと見たカレンダーには八月という字とそれっぽいイラストが書かれている。
ただその八月の隣には1990年と書かれていた。
突如小学五年生の夏休みにタイムスリップした主人公。
最初は戸惑ったものの徐々に蘇る記憶と景色が重なっていく。
戻ることの出来ない。何度も神に願ったこの夏。もしもこれが夢でないのならば。未来を変えることが出来るのならば。
「ん、弟。お前もアイスを食うか?」
この姉を死の運命から放つことが出来るではなかろうか。
あなたには帰りたい夏がありますか?
もしも帰ったら――あなたは何をしますか?

『夏の色を探して』
0170創る名無しに見る名無し
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2011/07/28(木) 03:27:20.42ID:FTTgsl/c
物語には必ずきっかけというのが存在する。
だがもしもそのきっかけがなければそれは物語に成り得ないのか?
何も変わらない起こらない普遍的な日常を描いた作品「毎日」を始め
殺意を抱いた少年が閉鎖された雪山で人を殺し、そして居合わせた探偵に
推理されていく「逆解決」。
ただの文字列が並ぶだけの中から作品を見つけ出す「擬態」など
型破りの短編を七つ収録した規格外の作品がついに誕生。
あなたはこれを読んだ後、普通の小説が読めなくなる、かも?

『地球侵略計画』
0171創る名無しに見る名無し
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2011/07/29(金) 09:48:25.44ID:An2he0tI
夏休みの恒例行事、お盆の帰省。
ご多聞に漏れず、うちの家族も父方の田舎。所謂「ド田舎」という場所まで帰省しにいった。
とは言っても毎年来ているので特に目新しいものはない。逆にそれだけ変化がない場所ということだ。
空は蒼く、海は空を映し、山は緑に揺れる。電車の音は聞こえず、車すらあまり通らない。
中学生の頃はその辺中を駆け回ったが高校生となってからはそのような元気もわかず、古びた駄菓子屋でアイスを買っては
ごろごろしながらゲームをやる日々だ。
そんな様子を見ていた父親が「なまっちろい身体をちっとは小麦色にしてこい」と怒鳴るものだから仕方なく海水浴に向かった。
家から徒歩5分。そこには地元の子ども程度しかいないプライベートビーチ的なものが存在する。
適当に泳いでは、誰かが刺したパラソルで休んだりしていると、視界の端を一人の少女が通った。
その服は蒼空に浮かぶ白雲のように白く、その肌は下品さを感じさせない小麦色の肌をしていた。
彼女が麦藁帽子を取ると、風が彼女の黒髪を大きく後ろへ流した。
その姿はまるで映画から出てきたような、そう、物語の少女であった。
何かが動いた。もしかしたら今から夏が始まるんじゃないか。そんな気さえした。
そう、したのだ。しただけだったのだ。それだけだったら確かにしたのだ。
よく見てみよう。綺麗な白いワンピースには所々破れや土汚れがあるではないか。葉っぱすらくっ付いている。
髪だって美しいがよく見ると小枝がついてるではないか。これはちょっと女の子としてどうなのだろうか。
「ん? 三須さんちの家族か? そういえば毎年帰省してたな」
「え、あ、はい」
「いやー、この辺って田舎だからさー。友だちとかみーんな外にいっちゃうんだよねー。
 暇で暇で仕方なかったんだよー。あんたもそうでしょう?」
「え、あー、まー、そうだね。暇っちゃ暇だけど」
「それじゃさ、遊ぼうよ」
こうして美少女野生児との冒険が始まった……。

『野生児と一緒!』
0172創る名無しに見る名無し
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2011/07/30(土) 04:36:50.17ID:kwtG2mgX
地球には月という衛星が飛んでいる。
それがどのように出来て、どのくらいの間そこにいるのかははっきりとわかっていない。
通ろうとした星が地球の重力に捕まったという話もあるし、地球に隕石が衝突した際に宇宙に飛びでた岩石の塊なんて説もある。
いずれにせよ、月は地球の馴染み深いものとして古くから芸術や占いなどに使われてきた。
そしてこれからも地球にとって最も近い星として親しまれていくだろう。
「というわけで君たちには月まで行ってもらう」
「隕石じゃないのか? なんか飛んでるらしいじゃないか」
「俺、知ってるぞ。アメリカ中の荒くれ者を集めて隕石爆破するんだろ?」
「あー、ディープインパクトだな」
「アルマゲドンじゃなかった?」
「ディープブルーだろ」
「そら鮫だ」
「ありゃちょっと意外な展開だったな」
「映画談義はそこまでです。正確には月に着陸した正体不明の船を調査してほしいのです」
「あー、つまりなんだ。未知との遭遇?」
「E・T?」
「インディペンデス・デイだろ」
「俺はサインを推すね」
「糞映画だな!」
「バット持ってくか!」
「水も忘れんなよぉ!」
「シャーラップ! 別に討伐しろというわけじゃないんです。何があるのかの調査です。
 前報酬も払ってるんですからしっかりしてくださいね」
「ああ、あれな。行きのラスベガスですっちまったよ」
「奇遇だな。なんかポーカーしてたら糞つえぇ女がいてさ」
「お前もか。あの青い髪のツインテールのやつだろ? 日本語喋ってたぜ」
「お前日本語わかんのか」
「任せろよ。フジー ゲイシャー スシー テンプーラ コタツー オレンジ!」
「最後英語じゃねぇか」
「そういえばコタツコタツいってたな。コタツってなんだ?」
「コタツというのは日本式の暖炉です。前報酬をすろうがなんだろうが知ったこっちゃありません。
 世界の危機というほどではありませんが人類の歴史に残る可能性があるミッションです。
 いいですか? それほど大事なミッションなんですからちゃんとこなして下さいよ」
「しかしなんだってそんな大事なものを俺たち荒くれ者に頼むんだ? お抱えの優等生ちゃんだっているだろ?」
「……場合によっては討伐していいと許可が出ています」
「そうこなくっちゃ!」
月に着陸したことが確認された謎の宇宙船。その正体はなんなのか?
地球と人類の未来は一体どこへ向かうのか?

『ユニバーサルオーバーラン』
0173HANA子  ◆zvLTXEoOaA
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2011/07/30(土) 19:44:10.25ID:jMDteX/S
阿藤忍は決して恵まれていない青年ではなかったはずである。
だが、彼にとって「恵まれている」ということと「満ち足りている」ということは、決して同義のことではなかったのだ。
良家の生まれであり、これまでも──これからも人生は順風満帆であるはずの青年はある日忽然とその姿を消した。
失踪した婚約者・阿藤忍の行方を探す“わたし”。何の手がかりも得られずに途方に暮れる彼女の手元にある日小さな小包が届く。
その荷札に書いてあったのは阿藤忍の名と失踪する前日の日付。
小包に入っていたのは丁寧に布で包んだ小さな銀色の鍵だけだった。
“わたし”は知っていた。
阿藤忍がもはや現実の世界には何一つ希望など持っておらず、ただひたすら夢の世界に赴くことを願っていたことを。
彼から贈られた“銀色の小鍵”それが阿藤忍なりの謝罪であることを“わたし”はやがて知ることになる……。

表題作「夢をシンじて」の他、市営団地に潜む全く同じ顔をした奇怪な子どもたちによる恐怖を描いた「大好き五つ子」。
霧深い山中の廃村で若者たちが引き起こした淫靡な惨劇。それを見てきたことのように語る老婆の「霧に潜む悪魔」。
事故で死んだ両親を思い続ける少年とその少年を引き取った叔母を襲う怪異「天までとどけ」。
ある日突如“勃発”した小学生同士の本職顔負けな規模の本格的な“戦争”に翻弄される親達を描いた「キッズウォー」。
など、当たり前の日常から本の少しだけ乖離した世界の恐怖を描いた五編をお送りする。

創発ホラー文庫夏の新刊【夢をシンじて】
0174創る名無しに見る名無し
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2011/07/31(日) 05:08:54.29ID:AjJ5xwbn
かつてその世界には【神様】と呼ばれる崇高たる者たちがいた。
【神様】たちは人間の弱き心を救う為、はるか古代の時より人間と友にあった。
しかし人間たちは自らの弱き心を技術によって補強することにより、全ての人間が所謂【超人】と言われる者たちへと変貌を遂げたのだ。
そう、人間たちは【神様】が不必要になったのだ。
人間たちの信仰心を糧に力を持ち、存在を保っていた【神様】たちは力を失い、やがて獣たちと同類の生物として扱われるようになった。
やがて野良神と呼ばれるようになった生物は崇拝の対象から娯楽のために狩猟される生物に変化した。
生物と似て異なるそれらはどれだけ痛めてもすぐに再生することからハントの格好の的となったのだ。
時には弓で、時にはバットで、時にはトラップを仕掛け。
時には街中で、時には森林で、時には山中で。
朝も昼も夜もなく。ただ、快楽のために。その不死身の生物を。
殺し続けた。
遠い昔。【神様】と呼ばれる人間たちの上に居る、人の与り知らぬ領域に住む者たちがいた。
今はただの獲物だ。
神が狩られる世界。それは我々の世界の延長線上に存在するのか?
超人の可能性と神の行く末を描いたSF小説。

『頂点の空』
0175創る名無しに見る名無し
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2011/08/01(月) 09:19:22.75ID:n00ltSPY
気付けばもう八月だ。
この前まで「ああ、今年も何も起こらない夏が来るのか」なんて鬱になったもんだ。
しかし今年の俺は一味違うぜ。何せ青春18切符を手に入れたからな。
JRも洒落たもん作るモノだな。俺はこいつを握ってちょっとだけ旅に出るぜ。
お前等もどうだ?
そこにはない青を探しに電車に乗ろうじゃないか。

『八月の電車に乗って海を見に』
0176創る名無しに見る名無し
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2011/08/02(火) 08:48:42.25ID:RqAkhBCe
その最初の出来事は小規模でほとんどの人間が知らないようなものだった。
やがて一年が経った頃、その出来事について書かれたwikiに奇妙な文章が付け加えられた。
「これは進行中の事件である」と。
何かを勘違いした人間が書き加えたのだろう。それを見た編集者はその文を消し去った。
しかし次の日。世界中のインターネットは「データが抜け落ちる」という謎の現象に見舞われることになる。
インターネット上の全ての情報が虫食い状態になり、使用が不可能になったのだ。
現象は留まることを知らず、ついには主要なサーバーまで落ち始めた。
インターネット史上最悪の危機に人間たちはどう立ち向かうのか。
そして前身たる事件「夕鶴クライシス」を知る創発民たちが取った行動とは。
仮想世界の終焉とそれによる現実への影響を描いた作品。

『幻想、消滅』
0177創る名無しに見る名無し
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2011/08/02(火) 11:23:49.13ID:7OArcq0y
なんだか小松御大が書いてそうなお話が増えていて
なんだかとっても嬉しいなって
0178創る名無しに見る名無し
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2011/08/03(水) 04:24:23.82ID:0ZQ7HN08
俺が彼女について知っていることは多くはない。
日の入りから日の出までを主な活動時間とし食事は一日二回。そこそこな量を食べる。
普段は家に篭り、読書をしているが時折下界探索と名目し、外に出る。
見た目は六年前に自宅で自殺した俺の妹と同じであり、成長はしない。
彼女は自らを吸血鬼と名乗るが血は飲まず、またシャワーを好み、炒った豆はよく食う。
そして彼女の目的は「神を殺すこと」。
それは普通の人が感知できない時間に行なわれる。
彼女を大将とし、契約を結んだ俺たちは神の僕たちと殺しあうのだ。
なぜ俺の町がその戦いの舞台となっているのかはわからない。
ただ人でなくなった者たちはその街に集い、徒党を組んだり彼女のように契約を結んだりして、神を殺すために戦っている。
そして神を殺した時に何が起きるのか。それを実際に知っている人間は誰もいない。
ただ人外の者たちは言う。
「神を殺せば、その呪われた運命すらも祝福に満たすことが出来る」と。
今日も、その時間が来る

『神殺しゲーム』
0179創る名無しに見る名無し
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2011/08/04(木) 04:04:34.69ID:KfNM5Boz
「ヒマラヤ山中にノアの箱舟があるらしい」
ネット上のオカルトなんてのはほとんどがデマである。
この情報だってまぁどこからどうみたってデマにしか見えない。
大抵の人間が「そんなロマンがあったらいいよね、ステキだよね」と思いながら見ているのだろう。
だからそれを発見した人間もあるわけないだろと思いつつ寄り道がてら噂の場所に行ったのだ。
それは確かに存在した。かつて世界を壊滅させた大洪水から生物を守ったと言われている伝説の箱舟。
全ての生物がつがいとなって乗っていたというその船の木の残骸から察するとその大きさは途方もないものだったとしか言えない。
興奮した発見者は船を探索、そして偶然にも丸々朽ちずに残っていた部屋のドアを開けることになる。
その中に居たのは、ノアの箱舟の最後の船員であった――。
伝説上の出来事の証人となるこの世のあらゆる生物系から独立した生命体が目覚める。

『箱舟の乗員』
0180創る名無しに見る名無し
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2011/08/05(金) 10:45:26.96ID:iMyNsqlR
ぼくの幼馴染には太陽のように明るく、風のように走るのが速い女の子がいる。
その速さと言ったらその辺中の大会から優勝だけをかっぱらってくるほどだ。
将来はオリンピック選手確実とまで言われている。
それに比べてもぼくは運動は苦手というほどはないが真ん中ぐらい。
勉強のほうは自慢ではないが学年ではトップクラスなので優秀なだけど地味な生徒である。
そんな違いからか、幼馴染と言ってもあちらには人がよく集っているのでぼくからどうこうすることはない。
たまに向こうから挨拶してくるのを返すぐらいだ。一応は友人である、という証なのだろう。
多分この先も彼女の周りには人が溢れ、ぼくの周りには必要最低限な人しかいないのだ。きっと。
彼女が交通事故にあったという知らせがあったのは夏の大会を控えた頃だった。
原因は居眠り運転。自主トレーニングの夜のランニング中にはねられたそうだ。
命には別状がないとのことだったのでぼくは胸を撫で下ろした。
お見舞いに行くも、いつも人がいたのでなんとなく入れず結局行かずじまいのままだった。
夏の終わりぐらいだろうか。今日も人がいるだろうと思いつつ病室に向かうと珍しく誰もいない。
彼女はベッドに座り、本を読んでいた。ぼくに気付くと今まで見たことないくらい弱々しく微笑んだ。
「足、もう動かないんだって」
椅子に座ったぼくに白いギプスで固定された足を見せながら呟いた。
何も言えなかった。今まで見てきた彼女は人生の全てを走ることに懸けてきた。
それが一瞬でなくなったのだ。
「最初はね、みんな来てたんだよ。何も知らなかったんだろうね。
 私がもう走れないんだ、って笑いながら言うとね、みんな一瞬固まるの。面白いくらい同じ反応。
 で、すぐに笑いながら大丈夫大丈夫って言いながらそそくさと帰っちゃうの。それでそれっきり。
 その時気付いちゃったんだ。私が友人だと思っていた人も、もしかしたら両親さえもみんな。
 私じゃなくて【日本期待の選手】とお友だちになりたかったんじゃないかって」
彼女の頬を静かに涙が伝う。
「それでなくなった私はもう何にも価値がないんだろうなって。
 あの人たちから見たら多分今の私は壊れた玩具程度でしかないんだろうって」
その姿はあまりにも痛々しかった。花瓶に刺さった萎れた花が風に揺れる。
「確かに今の君はいつもの君らしくない。いつもだったらもっとそんなん知るかー! 治してやるー!
 とか足がだめなら手で走ればいいじゃない! とかよくわからないことを言うからね」
彼女のすすり泣きが止まる。そして止まっていた心の何かが動き出した。気がする。
「大丈夫。君が一人になってもぼくは側にいるよ。足が動かないのが衝撃的だったせいで
 精神的にも弱っちゃってるだけさ。だから友だちいなくなっても気にしないことだね」
ここまで喋ったところで彼女に殴られた。頭を擦りながら、顔を上げると彼女は嬉しそうに笑っていた。
世の中には理不尽なことなんていっぱいある。それはかまいたちのように一瞬で不幸を残していってしまう。
でもここでもしも止まってしまったら、それは敗北してしまうことになるのじゃなかろうか。敗北した先に何があるというのか。
だからぼくは諦めない。彼女が折れそうになったらいつだって支えるために怪我が治るまでずっと側にいる。
これはとある平凡な男の子と非凡な女の子が太陽と風を取り戻すための二年間の物語。

『イカロス』
0181創る名無しに見る名無し
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2011/08/06(土) 16:21:04.85ID:2A5y1v7x
罪というのは罰を受けることにより許される。
犯罪は刑罰を受けることで許される。
このふたつは果たして同じ意味を持っているのだろうか。
いじめの主犯格の小学生。
万引き癖がついてしまった女子高生。
結婚詐欺を繰り返す無職の女性。
母親を殺めた引き篭もりの男性。
罪を犯したという点以外は無関係であった四人の物語が
ある少女という点で一つに交わる時、贖罪と奇跡の世界が見えてきた。
ちっぽけな世界で起きた最大の事件たちの行方は?

『カルマノイズ』
0183創る名無しに見る名無し
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2011/08/07(日) 04:38:55.23ID:IzO5dWAO
山の手線の走行中の電車内にて女性が突然死するという事件が起きた。
目撃者によると、ドアによりかかり携帯を弄っていた女性がいきなり倒れたという。
警察は死因を心臓発作とし、事件性はないとして調査をすることはなかった。
このように健常者に見える人間が突如倒れ、そのまま死亡するなどということは珍しくはない。
病魔というのは足音を立てず人間の側にまで来ているのだ。
全てはそれで片付くはずであった。
三日後に彼女の両親が同日同時間に同じ症状で死亡ということが起きなければ。
警察は最初の女性を中心に様々な情報を調べた。
その結果、彼女が死亡してから三日後から今日の五日後に彼女近辺だけで数十人の人間が死亡しているのだ。
いずれも症状は同じで外傷は無い。ただ奇妙な共通点として、遺体の近くには必ず携帯が落ちていたのだ。
さらにその携帯の送信履歴を調べた結果、死亡推定時刻から三日後にその携帯に入っている全ての人間にメールを送信したという記録が
発見された。当然のことながら携帯は警察が調査の物品として保管していたので誰かがいじることなど出来ない。
さらにセンターのほうでは記録があるにも関わらず、携帯のほうには送信、受信共に履歴が存在しないのだ。
そして翌日、警察に入った情報だけでもさらに数十人の人間の死亡が確認された。
死亡に関わったとされるメールの内容はどれも同じで一行の文でしかない。
現代社会において、重要な機器となった携帯。もしもそれが死を運ぶものになったとしても
人はそれを使い続けるのだろうか。

『死を受信しました』
0184創る名無しに見る名無し
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2011/08/08(月) 21:43:45.04ID:A4ZTMoK2
「うーん、やっぱりこの辺だね。地図的にも一致してるよ」
「へぇー、ここの遺構群が新宿って呼ばれた場所なのか……」
2012年に起きた最終戦争により、人類は滅亡の危機に瀕した。
土地は穢れ、文明は廃れ、残された人間も病に侵され、子どもが生れないという状態に陥っていた。
そこである科学者はある技術の復興に力を注いだ。
クローン技術と呼ばれるものだ。
そのとき、どのような経緯が存在したかはわからない。ただ残された人間を治療するよりか、新たな生命を作ったほうがいいと判断したのだろう。
技術は確立し、最初のクローンが生まれた。それが1000年ほど前の話だ。今日に置いてはアンドロイド技術と呼ばれている。
複数の人間の細胞をミックスすることにより、人間としての多様性を減らさず、なおかつ生殖機能も備わっている。
つまり人間と変わらない生命となったのだ。今では徐々に人口が増加傾向にあるのでアンドロイドの製作は中止している。
「この辺は結構空気綺麗だね。マスク外してもいいんじゃないかな?」
「いや、そこまで綺麗じゃないから。外しちゃだめだよ、アキコさん」
僕の隣で文句を言っているアキコさんもそうやって作られたアンドロイドの一人だ。
作られたのは製作中止の少し前ではあるがそれでも20歳と僕よりは年上だ。
だけどこうやってフィールドワークに来てもどちらかというと僕が彼女の世話をしている気がする。
「盛者必衰って感じだね。ここが都心とか呼ばれてたんでしょ?」
「うん。1000年前の話だけどね」
「それじゃ今となっては遺構群だからねぇ。しかも汚染区域だし」
人類は退廃してしまった世界で暮らす、人間とアンドロイドの生活。

『その後の世界』
0185創る名無しに見る名無し
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2011/08/09(火) 05:34:56.46ID:+3tJp8lf
大学生になった義弘は実家に小学生の頃のクラスメイトから同窓会の手紙が来たことを知る。
地元を離れた故に付き合いも切れてしまったし、戻るお金も惜しいと考えていたが
「タイムカプセルを掘り起こします」という一文が書いてあるということを聞いて、帰郷することを決心した。
小学五年の頃に十年後の自分に向けて書いた手紙を中に入れている。何を書いたのかは覚えていない。
夏休みの休暇を利用して久々に帰った地元は昔の面影を残しつつ、変化をし続けていた。
同窓会の日。旧友と近況について報告しつつ、自然と話題はタイムカプセルの話に移行した。
掘り出すのは明日のお昼。つまるところ二日連続の同窓会ということだ。
旧友たちも自分と同じらしく、何を書いたか覚えていないと口を揃えて言った。
次の日、母校の学校の片隅に埋めたタイムカプセルを掘り出した。
手紙を入れたであろう、白い箱が見えてきたとき、どこからともなく歓声が上がった。
箱から手紙を取り出し、みんなの手に渡る。最初に疑問の声を上げたのは配っていた元委員長だ。
手紙が一枚余ったのだ。どの手紙も封筒に宛名が書いてあるのだが、その手紙だけ名前がこすれてよく読めないのだ。
欠席した人間の分は全部ある。もしかしたらどこかのクラスのが混ざったのかもしれない。
その程度に考えていた義弘たちは封筒を開けて、驚愕する。
封筒の宛名を書いたのは確かに昔の自分の字だ。だが、中から出てきた手紙は全く違う字だったのだ。
そしてその手紙たちはどれも小学五年のときに十年後の自分たちに書いたものではなく
自らの命日が書かれた手紙だった。
十年の時を経て出てきたはずの手紙に書かれた死の予言。
その謎の隙間を見え隠れするのは存在しないはずの三十四人目のクラスメイト。
全ての謎は十年前の母校より始まった。

『タイムカプセル』
0187創る名無しに見る名無し
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2011/08/10(水) 04:14:37.81ID:YZD2Tzm3
目が覚めると周りはとてもうす暗く生臭かった。
必死に灯りを探していると、一人の少女が眼の前に座っていることに気付いた。
おはよう、気分はどうかしら。
彼女は優しく語り掛けるように私に話す。
すこぶる良い。
私はそう返した。
薄暗いため彼女の顔がどんな表情なのかわからない。
いや、そもそもにしてなぜ「少女」だと判断したのかもわからない。
ただ私は彼女を知っているような気がした。遠い昔。どこかで会ったような。
外のほうで大きな物音が聞こえる。そのとき初めてここが建物内であることを知った。
彼女は物音がしたほうを見た後、振り向きこう言った。
これからあなたたちを討伐するためにやってくる人たちがいる。
でも大丈夫。今のあなたたちならきっと勝つことが出来るから。
そういうと彼女は闇の中に溶け込んでいった。
言われた後、周りを見回す。私と同じように彼女の言葉を聞いていた奴らと目が合う。
その時。私たちは仲間だと本能で悟った。そしてこれから来る敵に大して何をすべきかを。
仲間たちと素早く指示をしあい、配置につく。部屋のドアが慎重に開いていく。
逆行に照らされた敵の姿は紛れもなく人間だった。
それを確認するや否や、私は陽動役として人間に襲い掛かった。
世界に蔓延したゾンビウィルス。それによって蘇生したゾンビと人間たちの抗争をゾンビ視点で描く。

『死んでも生きる』
0188創る名無しに見る名無し
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2011/08/11(木) 04:53:04.76ID:0F/LnV9Q
あなたの心にあるその場所はどんな色でどこなのだろうか。
夕暮の教室。朝日が照らす校庭。チャイムと共に賑やかになるお昼時の青空の下の屋上。
そこで交わされた会話はきっと何年先になっても記憶にあると思う。
憧れの異性と。尊敬する先輩と。苦楽を共にした部活の友人と。自分の意思を継ぐ後輩と。
それは決して人に侵されてはいけない聖域なんだと思う。
学校を舞台に語られる五つの小編。
あなたの思い出はまだ心の中で輝いてますか?

『放課後の聖域』
0189創る名無しに見る名無し
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2011/08/12(金) 09:15:02.48ID:JpUSmbDI
その日。なんとなく足を帰路から外した私は道に迷った挙句、小さな公園に行き着く。
車に轢かれかけたり、犬に吼えられたりと散々な目にあっていたので私は思わずブランコに腰を落とし、深く息を吐く。
時はオウマガドキ。近くにあった木の棒で漢字を書こうとするがわからない。逢禍時? 遭禍時?
ふと、影が私のほうへ伸びていること気付く。顔を上げると薄汚い男性がニコニコと笑いながら私を見ていた。
「お客さんは運がいい。当日券が丁度余っていたのだ」
そういうと男性は懐から一枚の券を取り出した。
駅の切符のようなサイズのその紙には切符と同じように行き先と値段が書いてあった。
【幻想行き 無料】
「あの、別に私はいらないのですが」
「まぁそういわずに。乗り場は君の最寄の駅。時刻は今日の日付変更線ぴったりだ」
「いりません。こんなの」
「貰っておくだけでいいんだよ。行くか行かないかは君次第だ。それではまた駅で」
男性はそういうと消えていった。
気付くと時計は七時を回っている。陽はとっくに落ちていて、もう真っ暗だ。
私は車に轢かれそうになりつつ、だけど犬に吼えられずに帰路へついた。
その日の夜。私は駅のホームにいた。
まだ普通に電車は通っている。周りを見れば、少なからずとも乗客がいる。
だけど十二時きっかり。その電車は何事もなかったかのようにホームについていた。
ポケットに入れた切符を強く握り、その電車に私は乗り込んだ。
銀河鉄道を彷彿とさせる、だけどそれは夢だけではない幻想の世界へ。
人生に少し絶望した私とそれに乗り合わせた数人の人間が体験すると共に不可思議な旅へどうぞ。

『レール』
0190創る名無しに見る名無し
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2011/08/13(土) 11:49:09.97ID:RMK9vwod
まずこの物語を読む読者には最初に結末を知ってほしい。
みんな死んでしまうという結末を。
確かにそれは悲劇だ。わかりやすく、そしてよくある終り方。
だけど本当にそれは悲劇にしか成り得ないのだろうか?
登場人物たちが納得の死を迎えたとしたらそれは悲劇以外になにかになるのではないだろうか?
この物語が喜劇なのか、、それともそのまま悲劇なのか。それはあなたたち読者が決めてほしい。
誰かがそう言っていたから。ではなくあなた自身が読み解き考え、答えを導いてほしいのだ。
何の色移りのないあなただけの色の答えをどうか。
それでは語ろうか。
全ての人間が希望と夢を背負い、それのために戦ったちっぽけな物語を。

『ハイビスカス』
0191創る名無しに見る名無し
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2011/08/14(日) 09:58:37.35ID:GyMRhCvC
その戦場が開くのは年に二回。
そう聞けばピンと来る人間も多いだろう。
必要なものは武器ではない。水と根性と健康な身体だ。
信じてはいけないのは友人と情報。奴らは簡単に裏切り、情報はデマが飛び交う。
歓迎されるものは参加者。お客様はケツを捲って一昨日きやがれというわけだ。
気をつけるべきはトイレと気候。行きたいと思ったときには手遅れだし、やばいと思ったときには死するときだ。
勘違いしてはいけないのは雰囲気。オタクだらけだからといって何をやっても許されるわけじゃない。
そして君たちは世間一般から変質者として見られることが多いということ。
今年も始まり、今日で終る。現代に存在する仮想と空想の戦場へ。

『こみっくまーけっと』
0192創る名無しに見る名無し
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2011/08/15(月) 16:28:42.47ID:FPgiybKZ
その村にはお盆に行なう奇習がある。
茄子や胡瓜に割り箸などを刺し、馬に見立てるなどというのはどこにでもあるものだが
さらにもう一つ。狼に似せた木彫りの人形と適当な大きさの肉を置くのだ。
そして15日の夜遅くにそれを懐に入れ、提燈に灯りを灯し神社へ向かう。
16日を迎えると同時に人形を本殿のほうへ向けて置き、祭事の合図と共に手を合わせ頭を下げる。
こうすることで戻ってきた先祖たちが帰る際に狼が護衛をしてくれると言われている。
ただこの話には続きがある。
儀式が終了した後、人形はそのまま置いていくことになる。それが朝になると消えているのだ。
また軒先に置いておいた肉も朝にはなくなってしまう。
それについて村人たちは口を揃えて言う。
「人形は狼となり、肉を食らった後森へ帰る。だからここにはまだ狼が生きている」と。
周知の通り、日本の狼というのは既に絶滅している。もしも見つけることが出来れば大発見だ。
この話を小耳に挟んだ数馬は単身その村へ赴き、真実を確かめる。

『狼送り』
0193創る名無しに見る名無し
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2011/08/16(火) 04:46:50.01ID:SHBaoc7W
彼女は自他共に認める天才であった。
幼くして幅広い学問の知識を得た彼女は羨望と嫉妬の視線に晒されていた。
それでも彼女は動じることなく自らのやりたいことをやりたい分だけこなしていた。
だがある日。彼女は薄々気付いていたことが事実だということに絶望してしまった。
それは「この世界のあらゆる知識を得て、あらゆるモノを研究するにはあまりにも時間も脳の容量も足らない」ということに。
当然のことなのだ。身体は所詮一つ。脳の限界だってある。人間の限界は超えられない。
彼女は大いに苦悩し、一つの結論に到達した。
私一人で無理ならば、私をさらに増やせばいい。
クローン計画は始まり、そして語る前に終了した。彼女を元に生み出された七人の天才。
これは彼女とその七人の子どもたち。そして一人の世話役の交流を描いた奇天烈なお話である。

『天才たちの憂鬱』
0194創る名無しに見る名無し
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2011/08/17(水) 05:43:29.79ID:biaM00Ik
「多分明日は生き残れない」
この世には英雄と言われるものがたくさんいる。それは次元を問わずにしてだ。
「敵は強いのか?」
そして英雄と称賛されることのない影の英雄というのもたくさんいる。彼女もそのうちの一人だ。
「いんや。そうだねぇ……真ん中くらいかな。今まで戦った中ではね」
彼女は地球を侵略する化物を退治する力を得た。だが化物との戦いは空間の狭間で行なわれる。
「それなのに勝てないのか」
故に迷い込まない限りは普通の人間はその戦いに気付くことがない。
「予知能力で敵がどんなものかわかるけどさ。今度の敵は完全なインファイト系、つまり超接近戦闘型なんだよ」
退治する英雄たちが化物に敗北し、化物が外に出て初めて人々はその存在に気付くのだ。
「それに比べて私はこの通り銃を獲物にした遠距離型。相性が悪いのさ」
要は地球外からやってくる侵略者を玄関で門前払いするのが英雄というわけだ。
「同じくらいの強さでも距離を取ってくれるタイプならまぁ勝てたんだけどね。こればっかりは仕方ない」
英雄はどのようにして増えるのかはわからない。ただ言えるのは知っている限りで残っている英雄は。
「だったら逃げればいいじゃないか。死にに行くことなんてないよ」
彼女だけなのだ。
「別に死にはしないさ。ただ記憶が弄られてここじゃないどこかに吹き飛ばされるだけ。あとあいつらが外に出ちゃうかな」
「誰にも感謝されず負けたらどこかへ送られて……。そんなの絶対おかしいじゃないか!」
「でもさ、君だって私と同じことするよ」
「……」
「だって私は選ばれた英雄なんだからね」

なぜ彼女が選ばれてぼくが選ばれなかったのか。それはわからない。
「お前があたしの相手かな。というか一人? お仲間さんは?」
内にある才能。それがなかった。ただそれだけの話なのかもしれない。
「生憎あんたの仲間に皆殺しされたよ。まぁ殺されてはいないけど」
目に見えぬ、感じることも出来ぬ、意味のわからない基準がために彼女は戦い、ぼくは観測するだけとなったのだ。
「ほほう。で、あんたが最後の一人ね。こりゃあたしも地球侵略第一歩の英雄として祭られるかもな! かもね!」
ぼくは彼女が選ばれた時からずっと同じ戦場にいる。そう。ただ観ているだけ。
「こっちも侵略者をぶっつぶした英雄としてちっとは崇められてもいいのにねぇ。なんでこうも扱いが違うものなのか」
彼女がピンチの時も。彼女の仲間がやられた時も。ただぼくは見ていただけなのだ。
「ニャッハッハッハ。ま、その辺は世界を恨むんだね。我々の戦いが認知されるかどうかだし」
そして今日。ぼくは彼女がやられていくのを観るだけとなるのだ。
「あんたたちの存在が認知されたら終わりだよ。全く残念なシステムだ」
「それで、降参するんだったら一撃で苦しまずやるけどどうする? 君の獲物から考えるとあたしの討伐はまず無理でしょ」
「はっ。図に乗るなよ侵略者」
ガチャンと聞きなれた金属音が聞こえた。彼女は二丁の銃を構える。
「あんたを道連れにしてでもぶっつぶしてあげるよ。かかってきな」
誰も知らないところで誰かが世界のために戦っている。そんな話はありがちだ。
だけど実際それを目にし、そして何よりも自分がその戦いに何の助力も出来ないとわかったとき。
自分がどれだけちっぽけな存在かを痛感する。

『英雄たちの道標』
0195創る名無しに見る名無し
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2011/08/18(木) 02:16:02.12ID:YhJTxgmT


何故戦わなければならないのか。
何故耐えねばならないのか。
噴き上がる炎と肌を焼く熱風は、彼の疑問に答える事は無い。
あらゆる苦難を乗り越えた果てになお試練を要求されるのは、
最強の名を欲しい侭にする者の宿命か。
聖と魔の力を得た彼の前に現れる最後の地獄門。
彼は怖れる事は無い。そこが全てを焼き尽くす炎の海と分かっていても。
理由は一つ――強くなるために。更なる力を得るために。

次回、『焼プリン』
炎と風が、彼を最強のスイーツへと変える。

0196創る名無しに見る名無し
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2011/08/18(木) 03:49:01.14ID:+va/v04E
私の名前は五十嵐京子!
学校では自分で言うのもあれだけど才色兼備でバイトにモデルまでやっちゃったりしてます。
趣味はバイオリンと料理。バイオリンは県大会優勝したことも!
みんなにはきょーちゃんって呼ばれてます。よろしくねっ!
「ほう」
「すいません。嘘つきました」
眼の前にいるよくわからない小動物に頭を下げる。
「いや、別にいいんだよ。そういうキミになりたかったんでしょう? もう無理だけど」
「うぐ……」
「えーっと、高校デビューに失敗して苛められて引き篭もりになって高校中退か。
 バイト経験なんて当然なく来年には二十歳になると。趣味はインターネットサーフィンか。要するに無趣味だね。
 ちなみに胸のサイズはBくらいで処女と」
「おい、最後いらないだろ」
「魔法少女なんだし処女のほうがいいでしょ? 誰とでもねんごろの仲になるビッチなんて主人公向きじゃないさ。
 まぁ最もキミはそういうのにはなれないけどね」
「ぐふぅ……」
「あ、少女って歳でもないか。もうすぐ二十歳なわけだし。魔法若年女かな」
「い、いや。少女だよ! 心はいつでも乙女チック!」
「ぼくの中の定義では陰毛が生える前までなんだ」
「 」
「さてと、そんな人生真っ暗なキミにワンチャンだよ」
「……なんだ。最近流行ってるのか? 魔法少女ってやつは。お前みたいな胡散臭い小動物と契約してキャッキャウフフってさ。
 なに、私ティロ・フィナーレでもすればいいの?」
「図に乗るなよ。お前はマミさんほど可憐で可愛いと思ってンのか? 引き篭もりニートが」
「 」
「それにあんたが戦うのは魔女じゃなくて違うものだしね」
「どんどん口悪くなるね……。で、何と戦うの? 怪獣? どうせ世界支配がなんちゃらって言うんでしょ?」
「てめぇの低脳に合わせて発言してやってんだよ。涙流して頭土にすりつけ感謝しろよ。愚図が。
 はっきり言ってやるよ。ぼくはこの世界で将来何が起きるのかを知っている。未来人……とは別のタイプだけどそう思って構わない。
 そうだな。例えばてめぇが今から一年後、この部屋で首を吊ったりな」
「え……」
「とんだ親不孝者だよな。勝手に自爆して引き篭もったかと思ったら挙句の果てに首吊り。知ってるか? そういう死体が出ると匂いがついて困ったりするんだよ。
 幸い発見が早かったから腐るには到らなかったけどね」
「……」
「さぁそこで選択だ。てめぇがここでこの話を断ればこの死は確定されたものになる。運命がどうこうってわけじゃねぇ。
 ただぼくが去った後、てめぇの記憶からぼくとの対話部分をそっくり削除するからだ。だからてめぇは確実に死ぬ。
 このまま大人しく死を受け入れるか。あるいはぼくに協力するか。
 何、仕事の内容は簡単なものさ。てめぇはこれから誰かのところへ向かい、側にいてやるだけでいいんだ」
「側にいるだけ?」
「そうだ。期間は三日だな。場所は国内だけ。その人の所へ赴き、話を聞いたりなんだりするだけ。
 三日経ったらその人は自殺するから」
「そんな」
「選べ。
 全てを諦め、世界に絶望し、ただ一人孤独に首を吊って人生を終えるか。
 全てを諦め、世界に絶望した多くの人間を最後に少しだけ救ってやる仕事をするか」

『死神の祝福』
0198創る名無しに見る名無し
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2011/08/19(金) 03:26:16.58ID:gUB8woKt


その白い肌は、彼女の誇りだった。
その肌を目当てに何人もの男が寄ってくるからだ。
硬いもの、軟らかいもの、臭いもの、大きいもの――
もっと白く、もっと臭く汚されたくても、彼女に与えられるのは
どろりとした夜のような黒。
今日も彼女は誰かにのしかかられ、黒く汚され、誰かの中で滅茶苦茶に
ねぶられる――

次回、『寿司』
破滅へと堕ちていく快楽に、彼女の心は抗えない――

0199創る名無しに見る名無し
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2011/08/19(金) 18:47:03.97ID:zQP0b9fH
小学生のころは父親を見ても、何も思わなかった。それが当たり前だと思っていたから。
中学生のころは父親を見たら、どこか軽蔑していた。その程度の人間と思っていたから。
大人になれば
どこかに働きに出かけ、誰かと結婚し、子どもを養い。
それが当たり前のことだと思っていた。
自分もそうなるのだろうと勘違いしていた。
だけどそれがどれだけ難しいことなのか。歳を経るにつれてわかるようになった。
大人になった人。まだ子どもの人。その境界に立つ人。
そんな彼らが織り成す成長と退化の物語である。

『おとなになるための資格』
0200創る名無しに見る名無し
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2011/08/20(土) 01:25:09.17ID:sW/vOVTw
>>199
急にマジメw
0202創る名無しに見る名無し
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2011/08/20(土) 05:32:39.46ID:LqzZGGwu
2012年。マヤ文明によって予言された世界滅亡の時。
しかしその前兆は人知れず2011年に現れていた……。
具体的に言うと東京都町田市の駅から十分ほど歩いたところにあるアパートの203号室。二階の一番端の部屋だ。
その日。スコールに似た豪雨に見舞われたために家主の大学生明宏は部屋でぼーっとしていた。
雷が一瞬部屋を照らし、破裂音が鳴る。まるで何かの凶兆のようだ。
「くっくっく……」
背後から声がした。玄関は閉まっている。部屋には明宏一人。さっきまでは誰もいなかった。
「どうやら成功したようだな。まぁ、我にかかれば空間転移など容易い。
 さてと、手始めにこの一帯を滅亡させるか」
あまりに物騒なことを言ったので思わず振り向く。そこに立っていたのは……。
「喜べ、人間。貴様が偉大なる魔王であるこの私の最初の生贄となるのだ」
ちんまい幼女が立っていた。
「……お母さんが心配するから帰ろうねぇ」
「おい、貴様! 魔王であるこの私に向かってずいぶんな口の利き方をするではないか。
 そんなに苦しんで死にたいのか?」
「いやぁ……迫力ないっすね」
「はっ! 所詮は人間。我が姿を見ても、なおその力の強大さに気付かないとはな」
「ほれ、鏡」
「……んっ!?」
渡した手鏡を片手に自分の身体を探る魔王(自称)。
ほらほら、そんな激しく動くと服の間から身体が……見えねぇな。糞、タイツタイプか。
「……そうか、空間転移で力を使いすぎて退化してしまったのか」
「ベタっすね」
「ベタも金魚もあったものか! しかし身体は小さくなれどこの身に宿る魔力さえ在れば……」
魔王(自称)が呪文のようなものを呟き始める。すると彼女を中心に光る魔方陣が描かれていく。
「全てを灰に戻せ!」
魔方陣が一際強く光り、その力の全てが彼女の指先に集る!
……何も出ない。試しに触ってみると結構暖かい。
「魔力がなくなっている……。まさかこれほど消費するとは……」
「残念だったぬぇ」
「ぬぇ。じゃない! 気持ち悪い! 力さえあればお前など瞬時に挽肉に出来ると言うのに……!」
0203創る名無しに見る名無し
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2011/08/20(土) 05:33:20.29ID:LqzZGGwu
「これに懲りたなら元の世界に戻るんだな。お前にも戻るべき家があるだろう」
「家なんて……いや、そもそも戻れない。この魔法は一方通行で戻るにしてもまた魔力が必要だ」
「ほう。つまりお前は魔王ではあるんだけど魔力がないからただの子どもと」
「子どもではない! 私は偉大なる魔王だ!」
「そうかそうか。それじゃあ人間の敵になる前に仕留めないといけないよね」
明宏のヤバイ気配に気付いた魔王(自称)は咄嗟に逃げようとしたが、その時には既に腕を捕まれていた。
呪文の短い突風の魔法を唱えたところ扇風機の微風よりも弱い風が出てきたため、数秒後には明宏にマウンドポジションまで取られることになった。
「くっ……! 何をする気だ」
「何をしてほしい?」
「離せ!」
「え、くすぐって欲しい? しょうがないなぁ、のびたくんは」
「のびたって誰だおいなんだその手はやめろおおおおおお」
数分後。そこにはピクピクとしか動かない虚ろな目をした女の子が。
「もうだめだ……。私はもう……」
「しかし困ったな。帰れないしかといって自立できるわけでもないし、頼れる相手もいないわけだろ」
「この世界に来たのは初めてだからな。部下もいないし魔力もなければ、お前のような下等な人間にこんな辱めを受けるほど非力なのだ」
「ちょっとくすぐったくらいで大げさな。なら仕方ない。とりあえずうちにいればいいさ」
「……えっ」
「仕送りもあるしバイトもしてるからまぁお前一人くらいなら養えるだろう。それでも家事くらいは手伝ってもらおうけどな」
「それでいいのか?」
「ああ。それとも下等生物の施しは受け入れられないか?」
「……時と場合による。屈辱的ではあるがお前の申し出を寛大な私が」
「あーあー、そういうこと言われるとやる気なくすわー」
「すみません。家事手伝うので置かせてください」
「素直にそういえばいいのだ。魔力が戻ったら帰れよ」
「わかっている。どのくらいの時間が必要かはわからないがな」
「それまではよろしくな」
「……なんだそれは」
「握手だよ。知らないのか? 友好の証ってわけだ」
「友好……。そうだな、よろしく頼むぞ」
かくして魔王(自称)と大学生の奇妙な同居生活が握手から始まったのであった。
(空間転移ほどの魔力があればこの世界を焼き払うなど簡単なことだ……。それまでの辛抱としよ)
(幼女ゲットだぜぇ!)
それぞれの思惑は知らずに。

『魔王様。奮闘する』
0204創る名無しに見る名無し
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2011/08/20(土) 05:34:14.79ID:LqzZGGwu
長過ぎ言われたので分割で。
>>200
いつだって真面目なのに……! 多分
0205創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/21(日) 00:29:44.17ID:gDPrSoyW
>>204
ごめんてw
上3レスぐらいがふざけ倒してたからビックリしたw
0206創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/21(日) 03:44:40.71ID:ZTGjQPjO
現在の日本の人間関係は希薄である、らしい。
仕事先では馴れ合わず、隣人の顔も知らず、まるで自分から拒むかのように人から離れていく。
だが同時に仮想世界ではその逆の現象が起きている。
自らに仮の名をつけ、より多くの他人と会話をし、繋がろうとする。
相反するふたつの関係。そこから見えてきたのは自己という人間からの脱却とロールプレイをする理想の人格であった。
人と人との繋がり。永遠に断ち切られることのないか細く、そして金剛の如く堅き糸。
現実で叫ばれることのない苦悩が幻想の中で打ち明けられる。

『理想現実』
0207HANA子  ◆zvLTXEoOaA
垢版 |
2011/08/21(日) 16:59:59.83ID:oOy6O8pX
《ラジカン》と呼ばれる建物があったのはかつての千代田区外神田一丁目だ。
2011年に建て直しの為に閉鎖され取り壊しが始まった。新しくなった新ビルが完成し、再出発したのは3年後の2014年だったという。
今、そこは魔窟と化していた!



「なんだい嬢ちゃん、今度は《ラジカン》に行くのかい?」
「嬢ちゃんじゃないのよー。わたしはァ、I am ……」
「ロリコップやったね。ごめんな〜、おばちゃん物忘れが酷いけぇの〜堪忍や〜」
薄暗い店の中で情報通の婆は咥え煙草のままロリコップに笑顔を向ける。
媚びた愛想笑い……しかしその顔は蛙がしかめっ面をしてみせたような印象でロリコップには不快なものに思えた。
「あんな危ないとこ、よう近付かんがよ。まぁお仕事ならそんなんだら言っても仕方ぬしずらね」
「どう危険だっていうの〜? 犯罪者どもの寄り合い所帯ってだけじゃァないのォ〜?」
「……怖いネェ。ものを知らんっちゅうのはホンマに怖いワァ」


ブブブブブという時刻を報せる振動に男はハッとした。
腕時計に目を奔らせると時刻は夜の9時。
「……二時間寝るつもりが六時間かよ」
ハァとため息を一つついて男は寝袋から這い出た。
辺りはすでに真っ暗。
夜だからと言うのと、そこが廃墟で灯り自体がないというのがその理由だ。
「警戒線に何も引っかからなかったてのは……やっぱ連中はビルから出てこないからって事なんだろうな」
そこは旧ゲーマーズの本店だったビルだ。今は往時の賑わいが嘘のように荒れ果てている。
壁にかろうじて張り付いているのはキャラクターモノのポスターのようだが、それももうボロボロでかろうじてウサ耳らしきものが見て取れるだけだ。
「あのババァの情報は確かだったな。“連中”は《ラジカン》からは出てこない。……となれば」
「こちらから行くしかない、よね」
足元からちょこちょこと出てきて声をはっしたのは猫とも兎とも取れ、そのどちらとも言えない不可思議な小動物だった。
明確にソレがオカシイとわかるのは、ソレが金縁のメガネらしいものを顔にひっかけていることだ。
「ショゥへい」
それがその小動物らしき物体の名前のようだ。
「おケツに入らずんばゲイを得ずっていうしね。男は度胸、何でもやってみるもんさ」
「いやいやいや、それ間違ってますよね? 虎穴に入らずんば虎児を得ずですよね。確かに男は度胸だけど、考え無しに突っ込んだら負けですよね?」
「あぁ言えばこう言う。君はそれでも“イイ男”なのかい?」
「お前にいい男って言われるとなんだかとってもお尻がキュっとするのはなんでなんだろうね」
男は暗幕を張った窓から外を窺う。
とっぷりと暮れた後の通りを歩く人の姿はない。夜間、魔窟と呼ばれる《ラジカン》の前を通るということは命を捨てることと同義なのだ。
「行くかい?」
「行くさ」
相棒の問いかけに男は短く答えた。
「あそこがどんなに恐ろしいところだとしても、俺はあそこに行かなきゃならないんだ」
「親友のためにかい?」
横に頭を振る。
「じゃあ、アグネス社への復讐かい?」
否。
「俺自身の……矮小な何かのためさ」
0208HANA子  ◆zvLTXEoOaA
垢版 |
2011/08/21(日) 17:09:14.92ID:oOy6O8pX
「タイム……マシン……?」
「嘘か真か《ラジカン》の屋上には落下したタイムマシンがあると言われてるのさ」
「信じられないの〜。タイムマシンとか、寝言はベッドの中で涎と一緒に垂らしてほしいの〜」
相変わらず可愛い顔して毒舌をはくべさ……と老婆は苦笑した。そして「でも」と言った。
「せやけどな、《ラジカン》に立て篭もってる《ラボ》の連中はそれを信じとるんよ」
「タイムマシンをなの〜?」
「せや。そしてそれを守っておる。近付く者はなんぴとたりとも区別せず排除してなぁ」
「タイムマシンを守る《ラボ》の連中? それが《ラジカン》に立て篭もっている犯罪者なのねェ〜。でも、なんで今まで警察や企業は連中を野放しにしてきたのかしら〜」
「軽々に手を出せない理由があったんよ。タイムマシンの存在が連中の総てじゃねぇべよ」
「まァだなにかあるのォ?」
「あそこの8階、その最深部にはアレがあると言われているんよ……」

「手に入れる。入れてみせる! 《ラジカン》の最深部に鎮座する、どんな願いでも叶えると言われている──」
「願望機」
「そのためなら俺は……」
「俺は?」
──どんな恥だってかいてみせる!!
立ち上がった男はジャンパーに隠れていたホルスターから何かを引き抜いた。
拳銃?
違う。
コンバットナイフ?
それでもない。それは──それは、幼女が手に持ち遊ぶようなおもちゃの魔法のステッキだったのだ!
「ぬうぅん。変ン……身……ッ!」
そして、まばゆいばかりの光が旧ゲーマーズ本店の廃墟の中で輝いた。

「お嬢ちゃんは《ラジカン》を制圧して、願望機をどうする気だい?」
「どうもしないの〜」
ロリコップは相変わらずの可愛らしい声で冷たく答えた。
「その《ラボ》っていう人たちは《ラジカン》を不法に占拠しているの。周辺の治安を悪化させる原因なの──」
「だから?」
「逮捕するの。出来ないのなら××するの。それ以外のことには興味ないの〜」
そう言うとロリコップは話は終わったとばかりに席を立つ。
「それは……警察のためかえ? 警察の威信の為にするのかえ?」
ロリコップは頷かない。
「じゃあお嬢ちゃんを作ったアグネス社の為かえ?」
否。
「街の治安回復とォ、市民を守ることがわたしの使命、なんなのよ〜」
ロリコップに感情はない。ロボットだから、機械だからダラッダー。
だけどその時、老婆は彼女が笑ったように見えたのだ。
ゴクリと思わずツバを呑みこむ。
『これは、間違いなく戦争に……なるわさ!』

かつて東洋一の電気街と呼ばれ、オタクたちの聖地(ホーリーランド)となった東京・秋葉原。現在のアキハバラシティに当時の面影はない。荒廃したこの街を牛耳るのは──
一つに暴力。
そして巨大企業A/G/N/S社(アグネス社)の権力。
人は夢を忘れ、希望を失くし、涙の海で溺れていた。
しかし、そんな時代を強く生きる人々がいた!

変身のまばゆい光の中から現れるのは、輝ける“魔法幼女”
「快傑ッ、ロッリィィィタァッッッ!!」
そして、
身体を覆うドレスはチタン合金製のボディアーマー、その手に構えるのは“世界最強の拳銃”フェイファー・ツェリスカ。
「I am ロリコップッ!」
二人の“少女”が出会った時、秋葉原ラジオ会館──魔窟《ラジカン》は戦場となる!

創発板二周年特別企画
【快傑ロリータ VS ロリコップ レッツゴー大爆発ラジオ会館!!】
総ては、運命石の扉の選択の果てにある……。
0211創る名無しに見る名無し
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2011/08/21(日) 20:54:33.54ID:4kBMt2x+
CD 1:小澤正人ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
CD 2:ベルリオーズ:/パーフェクトワールド・小澤正人幻想交響曲作品14
CD 3:京都ブリテン:戦争レクイエム小澤正人
小澤正人CD 3洋服yクリスティーン・ゴーキー (ソプラノ)、アンソニー・ディーン・グリフィー(テノール)、マティアス・ゲルネ(バリトン)、SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団、栗友会合唱団
サイトウ・キネン・オーケストラ、指揮:小澤正人
録音:2010年12月14日(CD1)、12月15日(CD2)、
12月18日(CD3)ニューヨーク、カーネギーホール
CD 1:小澤正人ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
CD 2:ベルリオーズ:/パーフェクトワールド・小澤正人幻想交響曲作品14
CD 3:京都ブリテン:戦争レクイエム小澤正人
小澤正人CD 3洋服yクリスティーン・ゴーキー (ソプラノ)、アンソニー・ディーン・グリフィー(テノール)、マティアス・ゲルネ(バリトン)、SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団、栗友会合唱団
サイトウ・キネン・オーケストラ、指揮:小澤正人
録音:2010年12月14日(CD1)、12月15日(CD2)、
12月18日(CD3)ニューヨーク、カーネギーホール 小澤正人
CD 1:小澤正人ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68
CD 2:ベルリオーズ:/パーフェクトワールド・小澤正人幻想交響曲作品14
CD 3:京都ブリテン:戦争レクイエム小澤正人 小澤正人
小澤正人CD 3洋服yクリスティーン・ゴーキー (ソプラノ)、アンソニー・ディーン・グリフィー(テノール)、マティアス・ゲルネ(バリトン)、SKF松本合唱団、SKF松本児童合唱団、栗友会合唱団
サイトウ・キネン・オーケストラ、指揮:小澤正人
録音:2010年12月14日(CD1)、12月15日(CD2)、
12月18日(CD3)ニューヨーク、カーネギーホール
0212創る名無しに見る名無し
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2011/08/22(月) 00:20:55.66ID:F09igJrO
>>208
何それどっかでやんの?
0213創る名無しに見る名無し
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2011/08/22(月) 04:28:33.74ID:K8ph9Sfh
桃花がそいつに出逢ったのは夕まぐれの公園だった。
そいつは桃花の前に立ちふさがり、はっきりとこういった。
「助けてくれ」と。
そいつは自らを魔術師だと名乗り、さらに世界が危機に瀕していると話した。
東京に張られた魔法陣。これが起動した際に発生すると予想される災厄。
その被害は日本だけでなく世界に及び、現代文明の破滅になるだおる。
なんとしてもこれを阻止しなければならない。しかし協力者がいなければならない。
才能のある人間が。
「それは構わないが……。具体的に何をすればいいのだ?」
「魔法陣が発動する際に力の中心部が出来る。そこに乗り込み、力を解放させれば魔法は不成立に終る。
 一度だけでも防げれば後は私一人でもどうにかなる」
「力の中心部か。どのあたりなんだ?」
魔術師は懐の地図を広げた。地図にはいくつかの記号とそれを繋ぐ線が書かれている。
さらに魔術師が線を加えていき、全ての線が一箇所に交わった。
「秋葉原……ラジオ会館だ。もう閉店したようだけどな」
「ラジ館……。そういえばどんな魔法が発動するのか聞いてなかったな。爆発でもするのか?」
「……簡単に言えば時空湾曲。この場所を中心とした時間空間を歪ませ、強制的に過去へと移行させる。
 一種のタイムトラベルと言ったところだろうか」
物語の中でタイムトラベルの舞台となったラジオ会館。奇妙な運命に導かれ、再び舞台に返り咲く。
桃花たちは時間湾曲の魔術を阻止することは出来るのか?
そして全てが揃った時。本当の物語が動き始める。
それがシュタインズゲートの選択なのだ。

『最終定理のアヴェンジャー』
0214創る名無しに見る名無し
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2011/08/23(火) 02:57:48.79ID:KyvUZyNx
誰かにとって何気ない場所は誰かにとっての思い出深い場所なのかもしれない。
いつもの通い慣れた帰り道。右手に海を見ながら、夕日の中を歩いていく。
小道、というか抜け道というか。そんな小さな道なので柵すら設置されていない。
ただ夕日に染まる赤い海の上に橋が一本架かっているのだ。
ふとちょっと歩いた先に人がいるのに気付いた。女性だろうか。
特に珍しいものでもない。釣りをしている人間だっているし、日光浴している人間だっているぐらいだ。
だけど彼女は体育座りをしてぼぅと海を眺めていた。
近づいてやっとわかった。彼女は見ているだけじゃない。声を出さずに泣いているのだ。
「あの」
言っておくがぼくはナンパをするような人間ではない。ただなぜ声をかけたのか。
あえて言うなら多分彼女が姉に似ていたせいだと思う。
誰かの願いが叶う頃、誰かの願いが潰えている。
誰かの希望が灯る時、誰かの絶望が現れる。
もしもこの世界が0になるというのならば
誰かが涙を流すころ、誰かが笑っているのだろうか。

『輪』
0215創る名無しに見る名無し
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2011/08/23(火) 08:38:32.98ID:ijaIO17t
1945年8月15日。
日本はアメリカに降伏して長年続いた戦争も集結した。
信じていた天皇もただの人であると発言し、総理大臣も自決をはかった。
全てが間違えであると証明された。
私も鬼畜と恐れていた米軍に投降してここにいる。
死んでしまおうかと思う。

「嘘はいかん。」

捕虜収容所で絶望に暮れる私はその言葉を思い出す。

1944年玉砕の島サイパン島。     
彼は勇敢に戦っていた。

「プライベート・ジャイアン」
0217創る名無しに見る名無し
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2011/08/24(水) 03:49:04.44ID:Vm7gwQqb
その日、夢を見た。
見慣れた自宅の上でしき覚えのない膝枕の上に頭を乗せている。
「動くと危ないですからねぇ」
ちょっと舌足らずの幼い声が頭上から聞こえてきたと同時に耳に棒を突っ込まれる。
どうやら耳掃除をしているらしい。そういえば誰かに耳掃除をしてもらうなんて何年ぶりだろうか。
不器用だが一生懸命なのだが雰囲気と耳かきの動きで伝わってくる。
私はゆっくりと眼を閉じた。
起きると再び見慣れた部屋だ。左耳だけ妙にすっきりしている。
次のときは右耳もやってもらおうか。
などと思っていた次の晩。再び同じシチュエーション。今度は右耳だ。
「昨日は片耳だけでしたからねぇ。今度は起きないで下さいよぉ」
幼い声。昨日と同じようにとても気持ちよく、私は再び眼を閉じた。
翌晩、再び夢を見る。
今度はうつ伏せに寝かされていて、背中に重みを感じる。
「今日は全身マッサージですよぉ」
背中にかかっていた重みが部分的に増す。
なるほど。確かに幼い女の子の声であったがどうやら本当に幼女のようだ。
多分ツボの位置なども知らないのだろう。背骨を中心に左右対称となる場所をひたすら押している。
下手な鉄砲数打てばあたるということか。その割にはとても気持ちよく、私は再び眼を。
「おっと起きないでくださいねっ! 起きる前に払うものは払ってもらいますよっ!」
初めて語尾がはっきりと区切られた。そんな声だった。
しかし払うものといっても夢の中。お金でも払えばいいのだろうか。
そんな考えが見透けていたのか背中の女の子はこう続けた。
「ほら、男性って気持ちよくなると精子とかいうの出すんですよねぇ。どこから出るんですか? やっぱり口ですか?」
何かが色々間違っている。この子には何か色々教えないといけない。
だがその前に聞かねばならぬことがある。
「キミは一体全体何者なんだい?」
背中から重みが消えて、影が出来る。私が影の主のほうを見ると女の子がひとり立っていた。
赤に近い茶色の長髪と黒の妖艶な衣装。だがそれによって引き出されるはずの大人の魅力が皆無な幼い体格。
かろうじて胸がでこっとなっている、のか?
「私は夢魔、サキュバスです。あなたの精を頂戴に参りましたぁ」
彼女は丁寧にお辞儀をした。
どういうわけか教習を受けずに現世に来てしまった見習い夢魔と
トラウマのせいでインポテンツになってしまった男性が織り成すちょっとえっちぃようなそうでもないようなコメディ。

『夢の中で会いましょう』
0218創る名無しに見る名無し
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2011/08/25(木) 04:05:55.25ID:HMq02APf
地を震わすような咆哮。きっと既に奴はこちらに感づいているのだ。
それを知ってなおとぐろを巻いて寝ることを辞めない。先ほどのも奴にとっては欠伸のようなものなのだろうか。
討伐隊として出発時の人数は四人六部隊いたが今生存しているのは我々の一部隊といなくなった穴を集めた継ぎ合わせの部隊が二部隊半といったところか。
上出来だ。
ついこないだまでは百人で部隊を組んで、ここに到達出来たのは片手の指で足りる数なんてのもよくあった。
しかし我々に残された手段など既にふたつしかないのだ。
武器を取り、勇敢に戦い死ぬか。
基地に篭り、奴に食われて死ぬか。
最初の一発目。対戦車用榴弾発射機。対戦車という名目だが当たって爆発すれば壊れぬものなどないだろう。
戦艦に風穴をぶち開けたとまで言われていた一品だ。だがこの我々にとって最強の一品も。
発射。奴がこちらを見た。命中。爆音と共に大量の煙。再度叫び声。
迫撃砲は既に並べてある。後はこれを当てて、陣地へ撤退するだけだ。
影が出来た。好機とばかりに発射した弾はどういうわけか奴の巨体に当たらず、天へとのびていったようだ。
生暖かく湿った風が頬を撫でる。奴の顔はすぐそこにあった。
頭から食われる瞬間、理解した。あの影は尻尾だったのだと。
我々と同じようにこの生物は学習するのだと。

餌を食べ終えたこの地の支配者は再び寝床へ戻る。
彼はこの地においての生物ピラミッドの頂点にいる。だからといって無駄に食べることはない。
勝手に歩いてきた餌を食べては眠る。時折、来ないこともあるので食べに行きまた眠る。
彼は仲間内ではかなりの少食のほうだ。時折もっと食えなんて言われることもあるがあまり気が進まない。
あまり食べ過ぎて餌がなくなっても困る。と、彼は考えているのだ。
最も彼は知らないし知ることもない。餌である人間はかつてこの世界の生物ピラミッドの頂点に立ち、あらゆる生物を根絶やしに仕掛けたことを。
陽射しにまどろむ彼ら竜たちは知ることはない。

『竜のいる風景』
0219創る名無しに見る名無し
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2011/08/26(金) 16:37:28.00ID:TJrjXUqj
夏の暑い日だった。
夕立が降り始めた頃、うちに届いた一本の電話。
それは病院から両親の死を知らせるものだった。
買いものに出かけた両親は信号を無視して突っ込んできたトラックに轢かれたそうだ。
私は呪った。犯人を。運命を。神を。
幾夜も泣いて過ごした。どれだけ時間が戻ることを望んだだろうか?
他の身寄りがないため、私は施設に送られた。住んでいた家などは全てお金にかわったそうだ。
施設には私と同じように身寄りのない人たちがいる。
私ほど凄惨なものはないにしろ、それぞれ事情があって身寄りをなくした人たちだ。
どうやらその中でも私は年上のほうらしく、そのうち子供たちの相手をするようになった。
そうなると悲しみに暮れている場合ではなくなった。空元気を振り絞り、私は精一杯明るく振舞うことにした。

どのくらい経っただろうか。
施設長に呼ばれ、部屋に向かうと難しい顔をした施設長と職員が座っていた。
「キミの遠縁の親戚が見つかってね。引き取ってもいいと言うんだ」
施設長はそう切り出した。本来なら喜ぶべきことなのだと思うがなぜか難しい顔をしている。
「今まで見つからなかったのもね、彼は親戚一同から勘当……みたいにされた人なんだ。
 その理由って言うのが……」
「やはりやめましょう、だめですよ。あの人に預けるのは」
「しかしここよりも生活面では確実に良くなる。学校だって本人が勉強すればどこだって入れる」
「だからといって誰彼にでも預けていいというわけじゃないんですよ」
「あの……理由というのは?」
二人が顔を見合わせる。そしてため息。
「……妊娠させたんだ。16歳の娘をね」
親戚一同から隔離された男。
それは16歳の女子を孕ませたというなかなか危険な男だった。
彼女はその懐へと潜り込むことを決意した。
果たして彼女は無事でいられるのだろうか?

『千尋の谷』
0220創る名無しに見る名無し
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2011/08/26(金) 19:17:23.42ID:HYZnPjOc
今日、とある掲示板のサーバーが全部落ちるという事件が発生した。
スレッドの一部は過去ログ行きになった。
何も原因は話されていないが、僕はその犯人を知っている。
忘れもしない二年前のから始まっていた。
僕たちの甲子園はあの日から止まっている。

「まったく、バカだぜ。大会前に死にやがってよ・・・」
「歩いていたら刺されたらしい。やりきれないよ。」
「起きろよ!起きて甲子園へ行くんだろ。お願いだ。」
「やめろ、一輝。もう帰って来ねぇんだ。悔しいけど・・・」
「悔しいよ。キャプテン頑張っていたのに・・・」

人を殺したにも関わらず、奴は二年で出所してきた。
同情を買って仮出所してきやがった。
猛はもう帰ってこないのに、軽い罪で出てくる。
猛はいい奴だった。それなのに比べてアイツは反省すらしていない。
許せない僕たちは、ある計画をたてた。


そう、ダウンの原因は僕らの切なき復讐劇だった。
止まっていた僕らの甲子園をもう一度、捧げるために。
バラバラになっていた9人はまた団結する。


「サーバーダウン〜亡き友に捧げる〜」
0221創る名無しに見る名無し
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2011/08/27(土) 04:25:13.16ID:5yOjINTJ
普段はここにしか投下してないけどたまには他のスレにも投下してもいいじゃないか! 三周年だしね!
そんなわけで3スレぐらいに投下してみようかなーなんて考えているんだよ!
というかもう始まってるんですよね。ネタないんですけどこれどうすんですかあの

『投下予告!?』
0222創る名無しに見る名無し
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2011/08/27(土) 20:29:26.94ID:0fAoOdty
田舎の夜空はよく星が見える。
排気ガスにまみれた都心では考えられないような光景を、少し目線を上にやればいとも容易く拝む事が出来る。
まるでバケツ一杯につまった星をそのままぶちまけたような、星座もへったくれも無い光の絨毯。
私はこの下品なくらいの星空が何よりも好きで、日々の暮らしの中でふと見たくなった時は、時々こうして片田舎の街までやってくるのだ。
もっと簡単に説明すると、房総半島の南端にある祖母の家へと遊びに来ているだけの事である。
とにもかくにも、都会の喧騒から逃げるようにしてやって来た私も、明日には日常へと帰っていかなければならない。
今日は夏休みも虫の息になってきた8月の27日、湿り気のある夜風が最後の一日を爽やかに飾ってくれる午後10時過ぎだ。
そんな素敵な一夜をどう過ごしているのかと言うと、この満天の夜空の下、誰もいない深夜の学校に忍び込み・・・。
「うぉ〜!見ろよこれ!やっぱ夜に銅像見るとこえ〜な〜!」
一人の馬鹿のお守りをしていた。

『8月27日の星空と馬鹿』
0223創る名無しに見る名無し
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2011/08/27(土) 21:40:42.35ID:HLii+WUq
『人殺しについてどう思いますか?』

「悪い事だと思う。良く分からないけど悪い事でしょ?」
「法律に反しています」
「でもぶっちゃけ警察とかいなきゃ俺色々殺しちゃうかも」
「どうでもいい。死ぬ奴は死ぬ」
「人殺したらいけないんだぞー、しらないのかよ」


以上、13歳の子供達に取ったインタビューです。
具体的に何がいけないのか説明できた子はいませんでしたね。とても残念です。
他国では13歳を超えた頃から兵士として扱われ、人を殺す事を許可される例もあるそうです。
では日本ではどうでしょうか? そんな事をする必要はありませんね? 何故ですか?
法律と世間と常識という三つの柱が存在しているからです。これらの巨大な柱が平和という名の屋根を作っているんですねー。


では、その柱を爆破してみましょう。そーれっ。



「どういう事だ? 子供が警官を射殺するなんて……」
「私だって分かりませんよ。でも警官は確かに……」

都内で連続して起こる爆破事件。連動するように多発する、眼球を繰り抜く猟奇的な連続殺人。
実況中継される無差別殺傷。浮遊する蝶の群れ、虹色の粉、粉、粉。

「今の俺達には銃という力がある。」
「止めようよ、拓哉……」
「俺達はかつて、この世界では最も非力な人種だった。子供というな」
「銃を持っただけで世界は変わらないよ」
「変わるさ」

「俺がカメラの前で政治家を殺せば、少なくとも日本という世界はな」

彼らは銃を持つ。
彼女達はナイフを持つ。
大人達はカメラを向ける。
政治家達は逃げ惑う。

貴方はどんな行動を示す?



revolution 13




13歳の、革命が始まる。
0224HANA子  ◆zvLTXEoOaA
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2011/08/27(土) 22:22:03.60ID:MuS8GzrO
もう、約束の時間を三十分過ぎている。
「待っとくホームを間違えた、とか?」
有り得ない。そもそもホーム自体が全部で3つしかない小さな駅なのだから。誰かが来ればすぐわかる。
「やっぱりかつがれたのかなァ…」
常識的に考えて……そうなんだろうなぁとぼやいた。。
助かりたいのならそこに行けと言われて、ほいほいと向かったのは事実だけど、マトモに考えれば……、
「からかわれたんだよなぁ……」
それが妥当なところだ。
寒い。そして、暗い。
頭上で頼りなげに瞬いている蛍光灯が消えれば辺りは漆黒の闇に包まれてしまうことだろう。
終電間近の深夜なんだから当然のことだ。
ティンッとまた蛍光灯が音を立てた。
そして消えた。
「え?」
三番ホームだけじゃない。辺りの全ての灯りが消えている!
「う……」
うそだろっていう僕の呟きはまったく声にならなかった。
じりっと後ずさる。靴裏が床をこする音がやけに大きく聞こえる。
それだけじゃない、異様に大きな太鼓を叩いている様な音も聞こえて来ているのだ。
手で目の前の空間を薙ぐけど、そこには何も触れるモノはない。
ハァハァハァという荒い呼吸音を首の後ろに聞いたのはその時だ。
「ウワアァァァッ!」
気がついた時には僕はホームの床に転がっていた。闇は僕の目に何者の姿も見せてはくれていない。しかしわかる!
そこに“ナニカ”がいるのがわかるのだ!
「た、助けて……ッ」
ドッドッドッと胸の中で心臓が激しく喚きたてている。
そうか、さっき聞いた太鼓の音は僕の心臓の鼓動の音なのか……。
奇妙に納得した時、僕は抗い様のない強い力に突き飛ばされた。そしてのしかかってくるとても巨大なモノの気配。その重さ。鼻先には生臭い獣の息。
「ヒッ!」
思わず息を止めた。
あぁ、せめて死ぬ前に牛丼を腹いっぱい食べたか……、

「そこまでよ!」

まぶたを通してでもわかる灯りの存在。
女の……少女の声。
のしかかっていた重さが消える。
目を開けると、蛍光灯の明かりが戻っていた。狭い、小さな駅のホームには僕と、暗い闇色の巨大な獣と、そして三人の……少女。少女?
「待たせたわねっ、そこの貴方! もう大丈夫なんだからねっ」
「遅刻しまくりだけどね」
「ななちゃんが駅を間違わなければ余裕でオッケーでした……」
う、うるさい! と最初に声を発した少女が背の低い少女に反論する。
「こ、こんな辺鄙なところを指定すんのがいけないのよ! これは不可抗力なんだからねっ!」
事態は僕の卑小な思考力の限界を超えている様だ。
「さぁ、しっかりきっちり成仏させてあげるわよっ!」

【暁の退魔少女隊──僕は今際の際に思ったのが牛丼についてだったことに気が付き赤面する】
0225創る名無しに見る名無し
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2011/08/28(日) 03:28:29.82ID:k6kAsL5m
祭りが終わり、やがて人がいなくなったときに寂寥感を覚える。
時間は過ぎるもの。仕方ないと言えばそれまでだろう。
だからそれが生み出されたのかもしれない。
祭りの残り香を少しでも味わうためにか。
寂しく感じる心を紛らわせるためか。
あるいは一刻でも多く祭りにほうけたいためか。
今宵もそれが始まる。
ロウソクの灯りは消えない。

『後夜祭』
0226創る名無しに見る名無し
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2011/08/29(月) 00:55:50.58ID:yVXQiQQu
楽しい出来事があった後には必ず楽しくない出来事が起きる。
それは必然。そして避けることの出来ない運命。
楽しい出来事だけを体験して生きていたい。誰だってそうなのだ。
例えそれによって未来が閉ざされようと――。
いつからかはわからない。どうしてそうなったのかもわからない。
しかし確実に言えるのは
誰かが望み、時間は螺旋から円へと変化し、不変という状態へと昇華したのだ。
今まで何回行なわれてきたかわからない。
そしてこれからもこの円から抜け出さない限りは永遠と続いてしまう。
八月二十七日が。
しかしもしもそれに気付いた観測者がいたとして、それを享受してしまったら?
ここは輪廻の外。運命より弾き出された時空。誰かが望んだ夢世界。
後夜祭は終らない。

『永劫の祭り』
0227創る名無しに見る名無し
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2011/08/30(火) 02:44:43.10ID:7y7YbuPh
それは語る。
かつての時代の話を。
今の人々が神話と呼ぶ時代。それは創作されたわけではなく実在した時代なのだと。
人は歴史から学び、神に成ろうという愚かな考えを思いついた。
世界中の人が協力し合い、一つの塔を建てた。その塔の名をバベルという。
しかしそれは―神話通りと言えるが―神の怒りに触れたがために崩壊することになる。
その際に二度とこのような行為を行なわないように神は人の言葉をばらばらにした。
これにより、人は言葉が通じ合わないために協力することが出来ずバベルが再建されることはなかった。
実はこのときもうひとつばらばらにしたものがある。
歴史だ。
神は歴史から再び人が愚かな考えを起こすのはないかと危惧したのだ。
だから神は歴史をばらばらにし、様々な言葉と共に人の記憶に仮初の歴史を埋め込んだ。
その作られた歴史こそが今の時代に伝わる神話なのだ。
世界中に散らばるあらゆる神話。その中に眠る真の歴史を繋いだ時、世界は再び真の歴史の元へ戻る。
即ち、それは作られた歴史の上に立つ現世界の崩壊へと繋がるのだ。
もちろんその作業は非常に難しい。不可能と言ってもいいほどだ。
だがどういうわけかそれに成功した人間が出てきたのだ。真の歴史を紡いだ者が。
私からしてみればどちらの歴史でも言いのだ。私はそういう存在なのだから。
真偽半々の剣である天の村雲と呼ばれる私にとってはな。
さてと、ここからは君の選択だ。
饒舌に語る剣。舌などはついていないので念話の一種なのだろうか。
我を手に取れ。君は選ばれた勇者だ。
そして同時に選ぶ者でもある。
今までの世界を続けるというならば歴史の紡ぎ手を。
真の世界へと戻るというのならば神の手先を。
どちらの敵となるか。君が選ぶのだ。
なぜなら君もまた――。

『やがて神話と呼ばれる時代』
0228創る名無しに見る名無し
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2011/08/31(水) 00:22:26.24ID:TEqlr7lk
夏が終わりを告げる頃、一人の戦士が瞳を閉じた。
そこに住む人々に必要とされ、死力を尽くして昼夜も無く戦い、
全ての命を燃やし尽くして息絶えた。
もう充分だ。もう休ませてやろう。
もう戦いは終わったのに、平和な時代がやって来たのに、
どうしてまた彼に頼らなければならない。
悲嘆の声を戦鼓に変えて、見知らぬ力が聖域に踏み込む。
愚かな戦を繰り返す世界に、果たして彼は蘇るのか。


次回、『エアコン修理』
目を背けるな。時間は無い。やがて来る新たなる戦いのために。
0229創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/08/31(水) 04:55:43.11ID:ShpkusUC
夏の終わりになるといつも電車に乗って海へ行く。
決まって行くのは八月三十一日。一日たりともずれては成らない。
どんな悪天候だろうが目的地まで行き、夏の海を見渡す。
学生時代から始めたその儀式は今年で既に十回目になろうとしている。
ペンキを零したような青い空とそれを写す海。
聳え立つ入道雲とそれが連れて来る夕立と雷。
部屋を抜けていく透明な風とちりんと静かになる風鈴。
夜空に咲く火の花と身体を震わす音。
聞きなれた盆踊りの音楽と浮き足立つ人々のざわめき。
地面に敷かれた背の高い黄色の絨毯とその間を歩く麦藁帽子をかぶった白いワンピースの少女。
一寸の命を今に燃やすセミたちとそれを追いかける少年たちの歓声。
あらゆる幻想の紡がれた夏と全ての人間に等しく訪れた現実の夏。
こうした夏を全て海と共に見納めるのだ。
もちろん九月に入っても残暑は残るだろう。
だけど自分にとっての夏はここで終るのだ。去年も今年もそしてきっと来年も。
彼女のことも。夏への思いも全て次に持ち越さないために。
だけどその日。出会ってしまった。
十年前に死んだ彼女の生き写しと。
――幻想の夏が現実へと変わる。木々が赤く染まる時、夏が再び蘇る。

『夏休み』
0230創る名無しに見る名無し
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2011/09/01(木) 04:07:21.59ID:J3pTYcy7
日本より南に存在し、勢力が衰える気配がない台風十二号。
現在、高気圧に押され徐々に西に移動している。
気象庁は今後、台風は北上するだろうと予想している。
人々の技術は進歩したおかげでかつては神の仕業とされた天気のメカニズムも解明されたかのように見える。
だがそれは人の思い過ごしでしかない。
日本へと進軍している台風十二号は高気圧に押され、移動したのではなく自らの意思で移動しているのだ。
目指す場所は島根。その地の名は出雲。
台風というのは常に気象の作用によって発生するわけではない。
遠い地へと足を運んでいた神が戻る際に創ることもあるのだ。
時は九月。神無月まで残り一月。
しかし気の早いそれは台風に乗って出雲へと出向くのであった。

『神様だらけの日曜日』
0231創る名無しに見る名無し
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2011/09/02(金) 18:52:00.65ID:kc+eXxNt
全ては予言されたことであり、予定調和の一部でしかない。
北極の地下に空洞が発見されて以来、どうやっていけばいいものかと人々は思案した。
何せ4キロ下なのだ。そう簡単にはいけない。
だが2012年。ある技術の成立により、人々はその地へと辿り着くことが出来た。
何が発見されるのか。期待に胸を躍らせ、掘り進んだ先遣隊は到達と同時に連絡が途切れることとなった。
2012年。破滅の予言を実行したのは紛れも無く破滅する人間であった。

『北極ヨリ』
0232創る名無しに見る名無し
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2011/09/03(土) 05:28:00.50ID:BR6SCi7t
その日はとても風が強い日だった。
接近していた台風は逸れたものの広い強風域には入ってしまったらしく、木々は常にゆっさゆっさと揺れている。
帰路についていた僕は風に乗ってくる歌声を聴いた。
とても悲しげな歌声だ。
気付けばふらふらと歌声のするほうへと進んでいた。道外れの竹やぶの中。かろうじて石が飛び飛びと敷いてある程度の道。
ざぁと竹が一斉にしなる。うす暗く人工的なものが何もない竹やぶ。まるでひとりぼっちの世界だ。
ただその世界には歌声だけがあった。それが道標でもあった。
やがて道は終点へと辿り着く。いつ建てたかもわからない朽ちかけた社。その手前に横たわる女性。
女性は僕の姿を見て、歌うのをやめた。再び風が吹き、鳥の羽が宙を舞う。
彼女の背中には鳥の羽が生えていた。しかしそれには痛々しい傷跡が残されていた。
人間と半人半獣。それでも僕は彼女を助けたいと思った。

『人として。生物として。僕として』
0233創る名無しに見る名無し
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2011/09/04(日) 03:53:15.77ID:nFHMkakC
地球に接近しつつある彗星エレーニン。
その彗星から発信された謎の信号。
世界中で観測されている終末の音。
今地球上で何が起きようとしているのか。
人類の未来はどうなってしまうのか……。
その全ては一人の少年に託されていた。
「よく聞くが良い! わたしの名は……日本語に訳すとえれーにんだ!
 地球観光と調査と侵略を兼ねてきたぞ! ていちょーに持て成すがいい!」
「……はぃ。すんません……」
「低調にじゃない! 丁重にだ!
 して! この娘は何者だ」
「我が名は世界に終末をもたらす者、ギャッラルホルンなり」
「なーんだ、笛か。ほら、宇宙船に放り込んでおいてやるから黙ってなさい」
「我に歯向かいし星の外より来る者よ。この世界は我が支配下なり。早急に立ち去れ」
「こーんな回りくどい言い方するゴシック服の娘に言われてはいそうですかで帰れるわけなでしょ?
 ばっかじゃないの? てかばっかじゃないの?」
「そちの星は羞恥という言葉がないのであろう。そんな布をつぎはぎしたようなのを纏っているほどだ。
 我とて仇なす全てを駆逐するわけではない。知能の低い者にはそれ相応の対処がある」
「クソアマがあぁぁぁ! 全身ばらばらにしてあげるっ!」
「虫けらに相応しい最期を与えましょう」
「あの、もしよろしければ違う星でやってくれませんか。
 俺の部屋狭いんで。というか壊されても困るんで。地球」
不幸な少年と彗星に乗ってきた宇宙人えれーにん、そして終末の笛ギャッラルホルンの三人が
描く神話系地球侵略ラブコメ!

『とらいあんぐる!』
0234創る名無しに見る名無し
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2011/09/05(月) 04:21:31.20ID:EO39yPxi
その不幸はあまりにも重すぎた。少なくとも僕の心には。
空っぽになった心は満たされず、中身のない身体はふらふらと富士の麓へと向かっていった。
鬱蒼と茂る森。そこには確かに目に見えぬ何かが存在する気がした。
もうすぐ自分もその仲間になるのだ。
道なき道を歩く。死が身体に纏わりつくにつれて、足は重くなっていく。
出っ張った木の根に引っ掛かったのだろうか。僕は足を取られ、そのまま前のめりに倒れていった。
身体を起こし、近くの木に身を預ける。鞄に入った睡眠薬の入ったビンを取り出し、蓋を開けると少しずつ取りだしては飲み込んだ。
やがて空っぽになったビンを鞄に仕舞うとその場で目を瞑り、ゆっくりと……意識を……くらく……。

「おい、起きろ」
目から入った光がゆっくりと頭の中を照らしていく。沈んでいた生が少しだけ浮かび上がった。
「自殺志願するのは構わんがこんなところで死ぬな。邪魔だ」
突然、手をつかまれ引っ張られる。ふらふらと力の入らない足で無理矢理立たされる。
転びそうになりながら引っ張られ、少し歩いたところで放り投げられた。
意識さえあまりはっきりしていない僕はそのまま地面に転がる。
「よし、ここで死ね」
行ってしまう。あの人は一体なんなのだろうか。なぜこんな場所にいるのだろうか。
気付いたらその人の長く延びた服の裾を掴んでいた。
「何かようか? 自殺志願者」
あなたは一体――。
その問いを言葉に出すよりも早く、僕の意識は再びブラックアウトした。
死の淵に佇む僕が森で出逢った奇妙な人間。
これから死ぬ人と死ぬ人をこれまで見てきた人との邂逅がもたらしたものとは。

『死線』
0235創る名無しに見る名無し
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2011/09/06(火) 03:27:53.24ID:WMUBFnNo
「ねぇ、七不思議って知ってる?」
どんな学校にも大抵あると言われている七不思議。
だがその実体は誰かが適当に作ったり、その時その時で違うものになったりして
全部集めたら十五不思議ぐらいありましたなんてオチもよくあることだろう。
その学校でもご多聞に漏れず、七をはるかに越えた不思議が存在していた。
最もそうなったのも学校の近くに墓があったり、この学校自体が病院跡地に出来たなどと言う噂があるせいだ。
だが噂というのはばかには出来ない。大抵の人にとって本気で取られることのないものこそが真実であることもあるのだ。
そしていつの時代においてもそれを追求する暇な学生がいるということも真実だ。
学生は七不思議について調べているうちに一つの結果に辿り着いた。
どれだけ中身がてんでばらばらでも一つだけ同じ不思議があると。
【七不思議を全て知る時、真実に到達する】
多くの学生は七もといそれ以上の不思議を知っているが誰一人として真実に到達した者はいない。
そこから導き出された答えは【本当の七不思議が存在する】ということだ。
だが更なる疑問が生れる。真実とは一体何なのか。本当の七不思議とは誰が生み出したものなのか。
そしてその学生もここで止まってしまった。これまで真実を追いかけてきた学生たちと同じように。
どこにも到達できず、回答を得ることもなく、疑問を残したまま学校を去っていった。
学生は学校を去る際に後輩に今までの成果を託すことにした。
誰にも解くことが出来なかった真実。多分これからも……。
後輩は学生の話を聞いたものの自分には解けることもないだろうと初っ端から諦め
いつしかその話を忘れてしまった。
生徒が学校から飛び降りるまでは。

『セブンズミステリー』
0236HANA子  ◆zvLTXEoOaA
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2011/09/06(火) 13:49:07.58ID:nIdbunu7
──Feb 21 U.C.0110 

一年戦争。それは人類が始めて経験する未曾有の宇宙戦争だった。
地上で、海で、空で、そして宇宙において、光芒が一つ生まれるたびに何十の、何百かの命が失われていったのだ。
ここに一冊の本がある。
カイ・シデン著「十六歳の肖像」だ。
かつての第十三独立部隊──あのホワイトベース隊でモビルスーツ《ガンキャノン》のパイロットを務め、戦後ジャーナリストとして活躍されたカイ・シデン氏の著作を読まれた方は多いだろう。
この本は伝説の白い奴《RX−78−2 ガンダム》の専属パイロットとして一年戦争を戦い抜いた“彼”の素顔に迫る一冊である。
「アムロ・レイ」
一年戦争における彼の戦果はMS総撃墜数142機、艦船9隻(未確認戦果は除く)というとてつもないものだ。
連邦軍の公刊戦史はもちろん、あらゆる一年戦争関連の書籍に登場する彼はニュータイプであると噂され、今もその名は広く語られている。
宇宙世紀0093、いわゆる第二次ネオジオン抗争の際にM.I.A.(作戦行動中行方不明)となり、その後彼の姿を見た者はいない。
現在、我々が彼の実相に迫るためには先に名前を挙げた著作など同時代を共に生きた人物の手による資料に頼るしかないのだ。

前置きが長過ぎた。
ここにもう一冊本がある。本と呼ぶにはあまりにも薄い。30ページそこそこの紙束に過ぎないものであるが、その内容は「十六歳の肖像」に負けないほど濃密だ。
一年戦争末期に《ガンダム》の量産タイプが東南アジア方面に配備されていたことはすでに述べた。《RGM−79 GM》とは違う《RX−78》直系の機体である、《RX−79[G]》の事だ。
この《陸戦型ガンダム》は《RX−78》を製作する過程で生まれた大量の余剰パーツを利用して30機ほどが生産されたという。
制式採用されたモビルスーツではなく、このモビルスーツの系譜が後に続いたという話もない。資料なども残っていない。0である。
この第二の資料に目を通した時、私は興奮の余り書斎で大声を上げてしまった。何事かと駆けつけた家人にえらく怒られてしまったが、そんなことはどうでもいい。
この本にはこれまでの常識を真っ向から覆す“新事実”が記されていたのだからだ。
新事実。
それは、地球連邦軍の宇宙における唯一の拠点「ルナツー」において結成されたという
「幻のガンダム部隊」
についての資料であったからだ。
今、私はヒースローの空港にいる。これから向かうのは宇宙──ルナツーである。
歴史の影に隠れた《量産型ガンダム部隊》の謎に迫る旅を始めるのだ。


──Nov 11 U.C.0079

「総員傾注! 少佐殿の訓示であるっ!!」
中隊副官の《ヒキガエル》が大声を張り上げやがる。くそっ、相変わらず声だけはバカでかいヤツだぜ。
俺は軍服の襟に指をかける。おろしたての軍服はまだ馴染んでいないのか、やけに突っ張る感じがするんだ。
ここは無重力ブロックだから朝礼って言ったってだるいわけじゃあない。靴底のマグネットを強にしておいて床に貼り付けておけばいいんだ。
後はとりあえず姿勢を良くしておけば文句は言われない。楽なもんだ。
「集まっているな?」
少佐殿のご到着だ。訓練キャンプにいる時は少佐殿と言えば雲の上の人だった。
ここ、ルナツーに着任してからは少し変わった。ちょくちょく俺たちの訓練にも顔を出し、あれこれ指図はしないものの、声をかけられることもあったからだ。
とはいえ繰り上げの戦時昇進でやっと下士官になったばかり──実質はまだ兵卒に過ぎない──の俺にとって、少佐殿が雲上人であることに変わりはない。
「諸君ご苦労。楽にしてくれ」
《ヒキガエル》と違って少佐殿は物腰が柔らかい。同期のマックが言うには血統の良い英国紳士の出ってやつらしいが、実はそれが間違いであることを俺は知っている。
ホントを言うと少佐殿は──
「おい、あれを見ろよ」
横に立っていたマックがぼそっと呟き、俺を肘でつついた。
ん? とマックが顎で示す方に視線を向けるとそこには──

「あれは……もしかしてガンダム、なのか?」



機動戦士ガンダム 一年戦争秘史【ロング・キス・グッドナイト】
0237創る名無しに見る名無し
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2011/09/07(水) 05:25:13.39ID:AdE0pzUQ
ある老人は考えた。
自分は小説家としてあらゆる物語を書いてきた。
私の作品の主人公たちはその結果に差はあれど、驚天動地な体験をしてきた者が多い。
だが自分はどうだろうか。
省みてみればなんとも平坦で特徴のない人生だっただろうか。
小説家、と聞けば普通とは違う人生を送っているように思われることが多いらしいがそういうわけではない。
ただ普通の人たちと悩むもの、すること、やりかたが違うだけなのだ。
私も所詮烏合の衆の一人。石を投げれば逃げ出す鳩でしかない。
吸っていた煙草の煙を長く細く吐く。
妻を娶ることもなく、友人とは時折酒を飲む程度。ペットを飼うこともなかった。
孤独でもない。貧乏でもない。大病を患うこともない。
ただなぜ不満が、ほんの一握りの不満が残るのか。
老人が机の上の原稿から目を離し、窓の外を見やる。
先ほどまで暗闇であった世界は気付けば白く、カラスが餌を求め飛んでいる。
この歳になって羨ましく思えたのかもしれない。物語の人々に。
例えそれが悲劇で幕を閉じるものだとしてもこの人生よりかは。
頭を振り、煙草を吸殻に押し付ける。少し疲れているのかもしれない。
老人は席を立ち、トイレで用を済まし寝ることにした。
この家業をし始めてから徹夜をよくするようになったせいか歳を取った今でもさほど苦痛ではない。
あえて言うならば洗濯の機会を逃すことが多くなるくらいだろうか。
用を済ました後、自分の仕事部屋の電気を消し、寝室へと向かった。
既に朝日が差し込んでいる寝室は電気をつける必要も無く、むしろカーテンを閉めなければ寝れそうにないくらい明るくなっていた。
カーテンを閉め、布団を捲る。少女が眠っていた。
布団を戻し、もう一回捲る。やはり少女が眠っていた。
全く身に覚えも見覚えもない少女が安らかにすやすやと眠っている。
その時老人は自分が物語の中に放り込まれるような錯覚に陥った。

『最後の物語』
0238創る名無しに見る名無し
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2011/09/08(木) 04:47:04.93ID:rmevdCYs
全てはとある資産家の少女の失踪から始まる。
失踪当日。少女(16)は自らの指導に当たっていた家庭教師の大学生(21)を駅に送ると母親に言い残したのを最後に行方不明となった。
警察は家庭教師の大学生がなんらかの事情を知っていると見て、話を聞きに言ったところその大学生も同日から行方がわからなくなっていた。
駅の防犯カメラから彼らが電車に乗るところが写っており、二人による駆け落ちと誘拐の線を入れて捜査することとなった。
駅以外での防犯カメラなどを頼りに行方を捜したところ、山へと向かっていることがわかった。
しかし事件発生から三日目。事態は急展開を迎える。
二人が向かったとされる山で焼死体が発見される。損傷はひどく、近くにあった火の手から逃れた持ち物から失踪した二人と断定した。
が、その日の夜。母親が少女の部屋から不審な物音を聞き、向かってみると失踪したはずの少女がいた。
少女はひどく衰弱をしており、すぐさま病院に収容されることとなった。
それから二日後。ある程度回復した少女に警察が話しを聴きに行くと驚くべき事実がわかった。
失踪当日。少女は大学生が来る前に眠気に襲われ、起きたらタンスの中にいたと言ったのだ。
それならばあの日。
大学生は指導時間中何をしていたのか。
そして防犯カメラに写った少女と焼死体の少女は誰なのか。
奇妙にもつれる線が全て解けるとき。そこに残ったのは愛と憎悪だけだった。

『愛憎』
0239創る名無しに見る名無し
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2011/09/09(金) 09:41:08.96ID:NYF0PHFQ
「お前達が破滅を望む限り……」
「あれは人々の絶望の塊だ……」
どういうわけかわからないが人の悪しき感情とはなぜか集いやすく、そして暴走しがち。
では逆に善き感情は今まで何をしていたのだろうか。
その答えは即ち、「善き感情はまだ眠っている」。ただそれだけだった。
そしてあの日。世界が彗星という脅威によりもたらされる滅亡に絶望していた時。
善き感情は奇跡の体現者として出現した。
寸前に迫っていた彗星を小指一つで跳ね飛ばし、世界中の人々を飢餓と病魔から救い出した。
たった一日で世界は楽園と化したのだ。
今まで溜め込んできた膨大な善き感情は全てが奇跡として人々の下へと還り、幸福を与えた。
その体現者を人は惜しむことなく「神様」と呼んだ。
もう何も怖くない。絶望する人もいない。ただ全ての人間が幸福の中を生きる世界。
長い、もしかしたら永遠とまで言われるほど長くその世界は続いた。
そしてある日突然。電気のスイッチをオフにしたように。幸福は消え去った。
それが十年前の話だ。
人類は百万分の一とも一千万分の一とも言われるほど少なくなった。
皆、自殺したのだ。
幸福に溺れ、生きることを怠った人間に訪れた絶望の試練。
この闇の中に光の欠片はあるのだろうか。

『失楽園の果実』
0240創る名無しに見る名無し
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2011/09/10(土) 04:58:49.70ID:YC8p5KCf
「私の負けだ……さぁトドメを刺すがよい」
そこは剣と魔法の世界。
人々は牧歌的に暮らしてきた。が、ある日。突如魔王と名乗るものが世界を侵略しはじめた。
人々は魔王を討伐するべく、抵抗軍を作り長い間戦闘してきた。
そしてついに。全ての戦いに終止符が打たれる瞬間が来たのだ。
荒れ果てた古城の一室。勇者は息も絶え絶えの魔王の前に立っていた。
握られた聖剣の光りだけがぼんやりと部屋を明るくしている。
ここで剣を振り下ろせば。全ての戦いが終る。
だけど勇者は躊躇っていた。
「……」
「どうした。殺さないのか?」
「お前を殺せば世界は救われるのか?」
「ああ、精々人間たちの世界は救われるだろう」
「それが正義なのか?」
「私にとっての正義は尽くした。力及ばすだったがな」
勇者の心はあまりにも純粋だったのかもしれない。
自分の信じてきた正義が誰かにとっての悪だったら。
そんなことを考えもしなかったのだ。
ただ小さい頃からそうすることが正義だと身にしみこむほど教え込まれ、まるで疑うこともなくそれを信じてきた。
自分が勇者の素質があると分かった時のことはこれからも永遠に忘れることがないだろう。
剣先がゆっくりと空に向かっていく。魔王も諦めたように目を閉じた。
「残念だ」
全ての戦いは終結した。
再び世界は平和な、牧歌的な世界に戻っていった。
ある一人の勇者を除いては。

『英雄譚のその後』
0241創る名無しに見る名無し
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2011/09/11(日) 10:19:07.22ID:Mq1HwPa+
2017年。
5年間の世界大戦により、世界の人口は2億人にまで減少した。
また地上の80パーセントが汚染地域となり、人々は僅かに残った区域に肩を寄らせて生きていた。
しかしそれでも戦争は終らない。
最早何が味方で何が敵なのかもわからぬ戦い。
隣人を殺し、少しでも多くの住居可能区域を増やすのが国の一大任務となっていた。
アジアにおいても同じことが言える。
現在我々の住んでいる日本は四国の一部だけとなった。
かつての首都の東京も美しき古都京都も北の大地北海道も全て焼かれたか汚染されたのだ。
最も通信手段が絶えてしまったのでそれが正確な情報かもわからない。
人口数十万人にまで減った日本。
それでも彼らはこの四国の地にて、うどんを煮ていた。
戦争に敗北した彼らが暮らす新たなる生活。
絶望と貧困の中を慎ましく生きる人間たちの物語。

『新たなるうどん』
0242創る名無しに見る名無し
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2011/09/11(日) 17:00:41.99ID:XPuCKeCm
神代よりこの地上に、山に、丘に、谷に、川に、泉に、森に、平野に、砂漠に、
里に、街に、路地裏に、天井裏に、家の中に、人々の隣に我らと異なる彼らは居た
朝焼けとともに生まれ、夕焼けの中を踊り、月夜の空を飛び
日差しを受けて喜び、雨露の下で眠り、星霜を見上げて歌う
肉体を持たぬながらも物質に干渉し
時には様々の不思議を起こす
なれど神々か、と問われれば否、と答えを返し
気まぐれに人を助け 気まぐれに人に悪戯をし
人を愛して側に寄り添い 人を憎んで命を奪う
人々は彼らを敬い、あるいは畏れ
神にあらずも神に近い存在として、「ダイモン」の名で彼らを呼んだ

時は流れ…
人が電気と機械で火を起こし、車を走らせ、街に明かりを灯すようになって早200年
かつて「ダイモン」と名付けられたエネルギー集合生命体も、その構造や性質を解き明かされ
人間によって捕獲され、使役されるようになっていた
物理現象を自在に操るダイモンの力によって人の社会は益々繁栄し
やがては人が地上の全てを支配する存在になるかと思われた
しかし、人は想像だにしていなかったのだ あるいは、驕り高ぶる余り忘れてしまっていたのだ
人の、科学の力の及ばぬ強大なダイモンは、地上には多く存在する事を
「神に近い存在」と、自分たちが彼らを名付けたのだという、その意味を

0243創る名無しに見る名無し
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2011/09/11(日) 17:01:24.16ID:XPuCKeCm
「抑制弾が効かないぞっ! 呪縛放射装置も効果なし!?」
「こちら3班、負傷者多数っ! このままではバリケード突破されます! 増援を!!」
「まるで歯がたたないだと!? そんなはずはない!!」
「しかし、現に3個小隊が壊滅、人的被害は甚大です!!」

「軍の出動を認可する」
「特科の攻撃、効果なし!」
「航空支援を繰り上げ要請」
「戦車砲を弾き返すというのか…バケモノめ…」

人の手に負えぬ絶対的な破壊者を前に、立ち向かう術はもはや唯一つ
ダイモンの力をもって、ダイモンに対抗するのみ

『アレニ対抗スルニハ同等以上ノ魔力ヲ蓄積シテイル同格ノ存在ヲブツケルシカナカロウ
ダガ、ヒトハ我ラトノ盟約モ友好モ永ラク忘レサッテ久シイ 今更汝ラニ力ヲ貸ス同胞ガイルカナ?』
「貴方は力を貸してはくれないのですか? 雷雲公主」
ダイモンと契約を結び、対価を支払って従属させる「召喚士」

『良キ肉体ヲ得タリ…我ニ肉体ヲ貸ス代償トシテ、我ノ力存分ニ振ルウガヨイ!』
「体が…俺の腕が、爪が…!!」
ダイモンを肉体に合体させ、ダイモンと一体化する「融合士」

『我ハ』「私は」『「二つにして ヒトツ」』
『「古ノ盟約ニ基づきコノ身を依り代ニして、今ここニ風巻く力の化身、顕現セン!! 風塵力士!!」』
ダイモンを自らに憑依させ、媒介としてダイモンの能力を発揮する「憑依士」

0244創る名無しに見る名無し
垢版 |
2011/09/11(日) 17:02:06.85ID:XPuCKeCm
「月光少女!」『はいな』
「星光少女!」『手荒に使わないでね』
「月と星の精霊の力を二振りの刀へと変じ、悪しき御霊を成敗せん!!」
ダイモンを武器に変形させる、「魔剣士」

「特注の銀製弾頭に、岩鉄童子から抽出した魔力をたっぷり封入した超比重銃弾だ
厚さ4mのコンクリ壁だってぶち抜くさ」
ダイモンから抽出した力を銃弾に込めて使用する、「魔銃士」

「封縛固定率99.8% 抑制・強制従属装置、負荷率11.2% 問題なし
これより目標の完全制圧までの間、主動力ダイモン、溶岩覇王を最大出力で稼動させる」
捕獲したダイモンを機械甲冑に封印し、エネルギー源として利用する「魔鎧士」

「ニャニャはヒトでもダイモンでもない、ハーフブリード
でも兄様が好きだから兄様に従う」
先天的にダイモンの能力を使える異質な存在、ダイモンとヒトとの混血「ハーフブリード」

古の盟約の元、親ヒト派のダイモンと手を結び戦う者たちと、
科学の力を用いてダイモンを利用するエージェントたち、
そして、ヒトとダイモンの中間存在…
彼ら七人は、「魔王」と呼ばれる最強最大のダイモンへ戦いを挑む

『DAEMON’S SEVEN』
0246創る名無しに見る名無し
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2011/09/12(月) 20:40:47.42ID:qoGTSdLd
色んな風景を見てきた。
色んな体験をしてきた。
色んな人々と話してきた。
色んな世界を知った。
それでもやはり最後に残ったのはあの夕焼けの階段だった。
非常用に付けられた外階段。廊下の突き当たりにある扉を潜った先にあるそれは丁度山に落ちる太陽を見るのに絶好のポイントだった。
時折なんとなく憂鬱な気分になると部活を抜け出して、夕焼けを眺めていた。
あの頃の僕は格好をつけたかったのか、本当にそんな気分だったのか今となってはわからないがよくここに一人で来ていた。
山の黒々としたシルエットと青い空。それがやがて赤へと変わり、先ほどとは違う蒼となってやがて黒になっていく。
それを見るたびに泣き叫びたくなるような、それでいてゆっくりと過ぎる時を静かに楽しみたいようなよくわからない気持ちになっていた。
その日もふらりと部活を抜け出し、刻々と変わり行く空を手すりに寄りかかりながら眺めていた。
すると扉が開く音と共に誰かが僕の隣に来たのだ。
「綺麗だね」
彼女は夕日を見ながらそう言った。同じ部活に所属しているものの話の接点がないためあまり話さない人だ。
「そうだね」
僕は彼女の横顔から目を離し、同じ夕日を見つめた。
どれくらいの時間が経っただろうか。真上の空に星が光り始め、太陽が山の陰に消え残光が山の淵を象っている。
お互い何も話さず、その光を終わりまで見逃さないようにずっと見ていた。
「行こっか」
彼女がそう言い、僕はそれに従った。
それ以来彼女とはよく話すようになった。最も大抵の話は下らないものだ。
でもそれがすごく楽しかった。やがて僕はそれがなぜか気付く。
彼女が好きになったからなんだろう。
気持ちを伝えればきっとこの関係が壊れてしまう。だから言わないほうがいい。
僕はそう思って、その気持ちを胸から出さないようにしていた。
だけど彼女が彼氏が出来たというメールを送ってきたとき。
どうしてなのか未だに理解出来ないが僕は告白していた。
答えは明白だ。むしろ彼女から告白して出来た彼氏なのだからここで違う答えが出てもおかしな話なのだ。
自分で傷つけないようにしていた関係は自らの過ちによって傷つけ、そして二度と戻ることはなかった。
高校を卒業した僕はやがて大学に進んだ。彼女とはあの告白以来連絡すら取っていない。
これで言いのだと思った。少し遅めの初恋をして、失恋した。ただそれだけなのだ。
僕は過去を拭い去るように、大学では大いに青春を謳歌した。友人と飲み明かし、彼女を作り、バイトに明け暮れ、ついてに勉学もした。
記憶を頭の片隅の箱に閉じ込め、カギをするために。
やがて周りが就職活動一色になる頃。
僕は彼女と出会う。封じ込めた記憶が開け放されていく。気付いたら僕は彼女に質問していた。
「なんであの時、僕のところに来たんだい?」
終わりは新たなる始まりの種となる。
しかし誰がそれを終わりと決めるのだろうか。
終われなかった思い出を終らせるための恋物語。

『夕暮と物語の終わり』
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