誰かどうか批評をお願いします!

インクでもこぼしたかのような一様な青に、今にも崩れそうな荘厳な入道雲。日本人なら誰しも一回は見たことがあって、誰しも一回は心震わせたこの光景は、僕にとって特別なものではない。
白い壁に照り付ける光線や、アスファルトに現れる陽炎は夏のうだるような暑さを感じさせるが、ガラス一枚隔てるこちら側ではひんやりとした空気が僕を包んでいた。
「……の… …きの!… おい!崎野!」
「あ、はい!」
「お前さっきからずっと窓の外で何見てるんだ? テストで満点取れれば先生の話を聞かなくていいなんてルールは無いぞー? そんなに女子の体育がみたいなら運動場に行け!」
クラスメイトは笑った。
 勉強というものをどうしてやり続けるのか、テストはどうしてこうも飽きずに行われ続けるのか、今でもよくわかっていない。
黒板に立つ教師が延々と話す内容をただ覚えて書き記すだけ。その作業のどこに苦労や苦悩があって、思春期の人間の人生やその先の人生までを決める価値があるのだろうか。
僕はテストで満点以外とったことがない。
 満点以外とったことがないというのは正確にはうそになる。39度の高熱でテストを受けて途中でギブアップしたり、夜更かしが祟って爆睡してしまったりした時はさすがに満点では無かったが、まともにやって満点でなかったことはない。
「ねえねえ、崎野、きのうは何時間予習したの?」
隣の女の子が、授業終わりのベルが鳴り終わると聞いてきた。
「う、うーん。四時間くらいかな?」
「ひやー! 凄いね。それじゃ女子の体操着を見る余裕もあるってもんだ。」
そうはにかんだ彼女に一抹の罪悪感を覚えたのはなぜか。
予習なんてしてない。それどころか、生まれてこの方勉強などしたことない。
この前全国模試で全教科満点を取った時も、先生に進められた数学オリンピックで優勝した時も。英検一級に合格した時も、中国語検定一級に合格した時もだ。
みんな総じてつまらなかった。