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VOCALOID関連キャラ総合スレ7【なんでもアリ】

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001創る名無しに見る名無し
垢版 |
2010/08/13(金) 11:29:28ID:ZCqyY6ez
ここは、正規のボカロキャラを主軸に、創作ボーカロイドやボカロムーブメントから
生まれたキャラクター、その他ボカロに関連するあらゆるキャラについて、語ったり
作品を発表したりするスレッドです。
キャラクターごとに安易にスレを建てず、ここに持ち込みましょう。
荒らし、アンチなど、スルーやNGは自己責任でお願いします。
議論も可ですが、あくまで創作が主体なので穏やかにお願いします。

注意※YouTube板の本スレから亜種を排除するためのスレではありません。

■前スレ
VOCALOID関連キャラ総合スレ6【なんでもアリ】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1264601098/

■ロダ
ぼか☆ろだ(UPロダ)
ttp://www7b.biglobe.ne.jp/~akita-neru/upload/upload.html
ぼか☆ろだ(画像アップロード機能付きお絵かき掲示板)
ttp://www7b.biglobe.ne.jp/~akita-neru/oekaki/rakugaki.html
0002創る名無しに見る名無し
垢版 |
2010/08/13(金) 11:30:50ID:ZCqyY6ez
■関連スレ
[YouTube]
【初音ミク・鏡音リンレン】VOCALOID総合 957【巡音ルカ・TONIO他】
ttp://hibari.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1281596794/
VOCALOID 議論隔離スレ part157
ttp://hibari.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1281007113/

【UTAU・AquesTone】歌唱合成ソフト 6【SugarCape】
ttp://hibari.2ch.net/test/read.cgi/streaming/1277024638/

[製作速報VIP]
重音テト計画(CV.小山乃舞世) 17
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274661761/
重音テト計画 総合議論スレ(暫定5)
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1249574425/
欲音ルコ創作スレ
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1263129450/

[心と宗教]
護法少女ソワカちゃん 十七願海
ttp://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/psy/1261381224/

[マスコットキャラ]
FL-chan pattern 1
ttp://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/mascot/1219215491/

[ソフトウェア]
歌声合成ツールUTAU 総合スレ part9
ttp://pc12.2ch.net/test/read.cgi/software/1264529270/
[DTM+]
【歌うVSTi】AquesTone
ttp://dtmplus.com/test/read.cgi/dtmplus/1220810491/

■その他
ギロカクwiki
ttp://wiki.girokaku.com/
ボーカロイド亜種・派生キャラ一覧
ttp://kanariyhan.at.infoseek.co.jp/vocal/vocalsub.html
防火ロイド「亞北ネル」
ttp://akita-neru.at.webry.info/
弱音ハクのガイドライン
ttp://wave.ap.teacup.com/applet/caffeinism/200804/archive?b=1
咲音メイコの派生キャラクターとしての取り扱いについて
ttp://www.nanameue.com/index.php?e=4&PHPSESSID=pcgb0ussp6lr596sesrqrsks45
巡音ルカのデフォルメキャラ『たこルカ』について、ご報告です。
ttp://sanpati38.blog4.fc2.com/blog-date-20090604.html

重音テト公式サイト
ttp://crvipton.jpn.org/
欲音ルコ釣りサイト跡地
ttp://www.cripton.co.cc/mp/pages/prod/vocaroid/cv03.html
jamバンド
ttp://www.ah-soft.com/musicmaker/jam.html ttp://circle.zoome.jp/jamband/
FL-Chan
http://flstudio.image-line.com/documents/flchan.html

森之宮神療所☆ - ニコニコ大百科
ttp://dic.nicovideo.jp/a/%E6%A3%AE%E4%B9%8B%E5%AE%AE%E7%A5%9E%E7%99%82%E6%89%80%E2%98%86
ブラック★ロックシューター - ニコニコ大百科
ttp://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E2%98%85%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC
0003テンプレ?
垢版 |
2010/08/13(金) 11:37:55ID:ZCqyY6ez
■テンプレに収まらなかったお二方
[新・mac]
Mac音ナナ…? Part1
ttp://pc11.2ch.net/test/read.cgi/mac/1238747379/
くまうた - ニコ百
ttp://dic.nicovideo.jp/a/%E3%81%8F%E3%81%BE%E3%81%86%E3%81%9F

■よくある質問
Q.UTAUってどのくらい居るの?
A.
UTAUライブラリまとめ
ttp://ruto.yu.to/
UTAU音声ライブラリ展示室
ttp://utaulib.nomaki.jp/

■実はこのスレより創作してる気がするがテンプレに入れたものか最後まで迷ったスレ
【PSP】初音ミク -Project DIVA- 258
ttp://toki.2ch.net/test/read.cgi/handygame/1281589928/

涙音リツ音源制作スレ
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1255687050/
波音リツ総合関連スレパート10
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1278339744/
波音リツ総合議論-Integrated discussion-2nd
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278434123/

ルーク(UTAU)創作スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1263550279/
「櫻歌ミコ」製作スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1260274881/

※−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−※

>星空ハグ、参加ゼロで中止に
>ttp://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100123-OYT1T00094.htm
>
>このニュースの見出しがボカロの名前に見えて、勢いで描いてみた!
>どこに投下すればいいのかわからず・・。スレチだったらスイマセンw
>ttp://www7b.biglobe.ne.jp/~akita-neru/upload/src/splash0167.jpg

>ハグ記念日おめ!
>ttp://www7b.biglobe.ne.jp/~akita-neru/upload/src/splash0168.mp3

>ttp://www7b.biglobe.ne.jp/~akita-neru/upload/src/splash0169.jpg
0004創る名無しに見る名無し
垢版 |
2010/08/13(金) 11:39:50ID:ZCqyY6ez
落ちてたので立てました
テンプレおかしいとことがあったら誰か直して下さい
0007創る名無しに見る名無し
垢版 |
2010/08/15(日) 15:50:08ID:oJC2PF6j
コミケではここの住人向けのものはあったのかな?
まぁあっても行けないんだけど
0008◇BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/16(月) 03:10:38ID:peB718xY
>>1
スレ立て乙です! ありがとうございます!!

前スレでSSモドキを書いていた者です
懲りずにまた書きましたww 今回もある曲をモチーフにしています

もし読んでいただけたら、幸いです
↓(規制食らってるので、代行をお願いしています)
0009A sort of short story
垢版 |
2010/08/16(月) 03:11:23ID:peB718xY
.

船が成層圏に突入する。
軽い振動が伝わってくる。
漆黒の宇宙空間に代わって、ブルーのグラデーションが映し出される。

やがて目の前に真っ白な雲海が見えてくる。
船の後方には深い藍色、周囲は抜けるような青色に満たされる。
気圧が徐々に高まり、古い船は軋み音をたてている。

コクピット――といっても、味も素っ気も無いコンソールパネルが並んでいるだけ――のシートに掛け、インジケーターおよび計器類を確認する。

――オール・グリーン、本日も異状なし……っと。

マイクに向かってクリアランスを申請する。宙港の管制から、機械的に許可をもらう。

男がこの5年間、ずっと繰り返しているルーチン・ワークだ。


♪ ♪ ♪

.
0010A sort of short story
垢版 |
2010/08/16(月) 03:12:18ID:peB718xY
.

星間連絡船(通称ミッド・シップ)のパイロットをしながらチャンスを待ち、5年後には新たな惑星を求めて旅立つ探査船のクルーになる……。
それが、彼の目標だった。
「夢」ではない。必ず実現させる、「具体的目標」そのものだった。


ミッド・シップは、食料・資源や建設資材などを惑星から惑星へ輸送する船である。
ときに客船の役割も果たす、もっとも“庶民的”なスペースクラフトだ。

彼は自嘲気味に、自らの立場を思う。
輝かしい任務に就くために手に入れたスペースシップ・ライセンス。それを、ありふれた資材運搬船を転がすことに使っている。

――しょせん、こんなものか。

思い描いた理想と現実の仕事との間には、小さくない隔たりがあった。
しかし、それも昔の話。
彼は諦め、虚しい気持ちでルーチンワークをこなす。

現実に敗れた、というにはあまりにも陳腐過ぎた。


♪ ♪ ♪

.
0011A sort of short story
垢版 |
2010/08/16(月) 03:13:20ID:peB718xY


.

コロニーの待機スペースで休憩していると、向こうのほうが賑やかになってきた。
何かと思い、同僚と共にそこへ近づく。


ロビーの一角にしつらえたステージの上には、一人の少女が立っている。
コバルトブルーの髪をお下げのように結わえている。

髪先が微かに揺れる。
少女は、歌を歌っていた。

伸びやかな歌声、ゆったりと心地良いビート。
ドームを透かして見える、青く輝く惑星をバックに歌っているその姿が、男の心を捉えた。


「お、ミクがライブやってるな」
「ミク?」
後ろからやってきた同僚の声に、男は首を傾げる。

「知らないか? 『VOCALOID 2 初音ミク』。歌うアンドロイドさ」

その名前を聞いたことはあった。しかし実際に姿を目にし、その歌声を聴くのは初めてだった。

まだあどけなさの残る顔立ち。
ちょっと舌っ足らずな歌い方。

けれどその歌に、彼は強く惹きつけられた。

エレクトリックピアノのきらきらとしたアンサンブルに、澄んだ歌声が溶ける。
初めて聴くはずのその歌が、何だかとても懐かしく、温かく感じた。


♪ ♪ ♪

.
0012◇BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/16(月) 03:14:18ID:peB718xY
↑ここまでです
続きはまた後日、推敲して投下します
0015創る名無しに見る名無し
垢版 |
2010/08/20(金) 00:38:47ID:6eEu1LVE
久々にお借りしたので。
汚いですが、どうしても字面からこういう人しか浮かばなかったも!

ttp://www7b.biglobe.ne.jp/~akita-neru/upload/src/splash0194.jpg
0016◇BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/21(土) 18:28:11ID:QW0uXbDA
>>13
お目汚し申し訳ありません。
ここは創作「発表」板なので、拙いものですが晒させていただいています。

楽曲、絵等はyouTube板本スレのほうで発表・紹介されておりますので、
ここではそれ以外の創作物としてSSを投稿させていただきました。

もちろん、つまらないのは自分の力量不足であり、
「下手なものを見せられる方は堪らない」とおっしゃるのはもっともです。
鑑賞に耐えうるものを書こうと努力してはおりますが、至らずに申し訳ありませんでした。

もし専用ブラウザをお使いでしたら、大変恐縮なのですが
タイトル『A sort of short story』をNGワードに設定していただければと思います。

また今後、このスレッドにSSを投稿すべきでないということでしたら、
本スレの次スレにテンプレートでその旨の注意書き追加をいただけたら幸いです。



書き始めたものなので、続きを投下しますが……
不快な方がいらしたら、これで終わりにいたします
(規制中のため代理投下をお願いしています)
0017A sort of short story
垢版 |
2010/08/21(土) 18:29:01ID:QW0uXbDA
.


男が、コクピットから夜空を見上げている。
頭上には、大きな惑星が青く輝いている。

航行時間が重なったため、宙港上空に待機を命じられたのだった。
反重力エンジンのみに切り替え、高度を保ちながら、彼はぼんやりと考える。


宇宙への憧れは、子供の頃から抱いてきた。
スペースシップのクルーは、勇敢で華やかな職業だった。
彼はその職に就くためなら、あらゆるものを犠牲にする覚悟があった。
そして念願のライセンスを手に入れ、彼は宇宙船乗りに――


宇宙船乗りには、なった。
安全な航路を毎日行き来するだけの。
冒険などというものとは程遠い、「仕事」をしている自分がいる。

――これが、オレの成りたかったものだったのか? 憧れの職業だったのか?

この職に就いた頃、彼はいつも不満を感じていた。
はじめの頃こそ、いつかクルーになるため、と自分にいい聞かせた。
これは、いわゆる『下積み』なのだ、と。

けれど、現実にはひどく理不尽な事が多くあった。
取引先の都合で、必死の思いで届けた品物を、また持ち帰らされることがある。
距離を考えずに時間指定をしてくるなど、ひどく無茶な要求をしてくる得意先もある。

しかし彼はいち従業員でしかない。
先方にペコペコし、ガキどもにバカにされ、オバハン連中には判ったふうな口を利かれる。

スペースシップ・ライセンスは、決して容易く取れるものじゃない。
けれど、“運転手”はいつだって、会社の代わりに客のご機嫌取りをしなければならない。
『スペースシップのクルー』は、思い描いていたものとはまるで違っていた。

彼の求めるものは、そこには無かった。
いや、もう何処にも無かったのだ。

.
0018A sort of short story
垢版 |
2010/08/21(土) 18:29:40ID:QW0uXbDA
.

技術が進歩した現在、有人での惑星探査など、時代遅れでリスキーなものでしか無かった。

有望な惑星は予め電子的に徹底的に調査する。
次の段階は、調査済みの惑星へ様々なアンドロイドを積んだ探査船を送ることだ。
データがほぼ出揃い、安全が担保されて初めて、有人探査船のお出ましとなる。

既に安全が99.9%保証された「新天地」へ、人類は完全装備で乗り込むのだった。


『意思疎通できる地球外生命体を求めて当て所もない宇宙航海』など、もはやひと昔もふた昔も前の
ロマンチシズムでしか無かった。

そんな任務に、厳しい訓練などあるはずもない。
「人類未踏の地への初登頂」は、航空宇宙物理学もよく知らない大企業のお偉方か、
あるいはその家族なんかが、虚栄心で手に入れる立場に成り下がっていた。


冒険とはおよそ無縁の退屈な業務に、もう毒づく気もない。
何も感じないよう、心を麻痺させてルーチン・ワークを繰り返すだけ。

彼は心のなかで呟く。

――オレは一体、何をしているんだ……?


.
0019A sort of short story
垢版 |
2010/08/21(土) 18:30:29ID:QW0uXbDA
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その時だった。

耳に、聴き覚えのあるメロディが飛び込んできた。
通信アンテナが、タキオンかなにかを拾ったかも知れない。
とっさに、ボリュームを上げる。

規則正しく機械的に打たれるバスドラム。
シーケンサーが、フレーズを少しずつ変化させながら反復する。
ヴォコーダーの向こうに、聴き覚えのある声――。


――あの歌だ。「初音ミク」だ。

この間のフリーライブの時に見た、歌う少女。
そしてその時に聴いた曲。

どこから流れているのか……
しかし、そんなことよりも彼は曲に聴き入っていた。
聴いているうち、なぜだか胸がドキドキしてくるのを感じた。

――遠い昔……、似たような感覚を覚えたことがあった気がする……


♪ ♪ ♪
0020A sort of short story
垢版 |
2010/08/21(土) 18:31:47ID:QW0uXbDA
.


夜空を見上げる男の傍らで、その横顔を見つめる少女。

彼は得意気に、ライセンスが取れたことを話している。
傍らの少女は相槌を打つ一方で、時折寂しそうな表情を見せた。

彼は、彼女のそうした仕草に気づかない。
見える星を指さし、探査船のクルーになったらどの星に行きたいか、という話を続けている。


彼は、故郷の星を離れたがっていた。
発展性を失い、人々が離れ、衰退の一方を辿るその星を、彼は棄てようとしていた。
星に残る人間は、古い物事にしがみつく愚かな連中だと考えていた。

「ね、」
少女が彼に問いかける。

「他の星を探して、遠い宇宙を旅して……もう、帰ってこないつもりなの?」

「惑星探索なんだから、当然じゃんか」
彼が即答する。

少女はその後、
「わたしは……この星が好き。嫌なこともいっぱいあるけど、この星を離れるのはイヤだな」

ひとりごとのように言った彼女の言葉を、彼は黙殺した。


♪ ♪ ♪
0021◇BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/21(土) 18:32:59ID:QW0uXbDA

↑ここまでです
お目汚し失礼いたしました
0025A sort of short story 〜 by『Light Song』
垢版 |
2010/08/26(木) 23:57:37ID:MAg3YC5y
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届け先の電磁嵐がひどいせいで、予定されていた便が欠航になった。
男は、臨時の休みを得ることとなった。

既に搭乗する準備を進めていたので、フリーに使えるヨットを借りだして
小惑星へでも遊びに行こうと思い立った。


ヨットの格納庫へ向かう途中、彼はぼんやりと考える。
小惑星へ行ったところで、楽しいことがあるわけでもないことは分かっていた。
何処へ行こうが何をしようが、彼が心の底から楽しめることは無かった。

機械的に仕事をこなし、休みがあっても楽しいことはない。
寝ているか、惑星探査に関する古い資料を読むくらいがせいぜいだ。

何の喜びも驚きもなく、充実した感じを得ることもない。
空虚な生活を送っていた。

.
0026A sort of short story 〜 by『Light Song』
垢版 |
2010/08/26(木) 23:58:29ID:MAg3YC5y
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格納庫へ通じるハッチの横で、何かかが蹲っているのが目に入った。

薄暗くて良く見えなかったが、どうやらへたりこんだ少女の横で、
小型のロボットがオロオロしているようだ。

「……どうしたんだ?」
彼は声をかけた。

「ぷろぐらむ ノ フグアイ デ タオレテシマッタノデス」

――ずいぶん前時代的なロボットだな。

古典にある宇宙戦争の物語に、こんな形のロボットが出てくるのがあったことを思い出した。
ヒト型のロボットとコンビで、主人公の青年のお供のような存在だったはずだ。

「でばっぐ ト ぷろぐらむサイコウチク ガ ヒツヨウ デス」

ロボットの声を聞きながら少女を見やった。

肩を微かに上下させながら、ぐったりとしている。
その動きに合わせて、束ねた髪先が揺れた。
鮮やかな、コバルトブルーの髪。

――間違いない。

「この娘、『初音ミク』だな。お前さんは、マネージャーロボットか何かか」

「ソウデス コノ すてーしょん デハ ワタクシ ガ まねーじめんと ヲ シテイマス」
ロボットは無機質に答える。
続けて、
「アナタ ウチュウセン ウゴカセル。みくサン ヲ ツレテイッテホシイ」

「はぁ?」
0027A sort of short story 〜 by『Light Song』
垢版 |
2010/08/26(木) 23:59:23ID:MAg3YC5y
.

ロボットの話を要約すると、

ライブを終えた初音ミクは、移動中に倒れてしまった。
バグが侵入したようで、専門的な処置をしないとプログラムそのものが危うくなる。
従いているのは旧式マネージメント・ロボットだけで、星間航行許可も無い。

なので、男に依頼したい……というような内容だった。

「しゃあねぇな、わかったよ。で、どの星だ」

ロボットが告げた星は、彼の故郷の星だった。


♪ ♪ ♪


スリープ状態となったミクを抱きかかえ、後部席に座らせると、ヨットを出した。

――なんだか奇妙なことになっちまったな。

目的地まで行って帰ってくるとすると、彼の臨時休暇がまるまる潰れる計算になる。


あまり気が進まなかった。
再び故郷の土を踏むことは、夢に敗れて逃げ帰ってきたような気になる。

――しかし、“病人”を放っておくわけにもいくまい。

宇宙空間に出て開帆すると、意を決して、ラムジェットを噴射した。

――これは、人助けのためだからな。

大義名分を自分に言い聞かせ、彼はその星をコンソールに打ち込んだ。


♪ ♪ ♪
0028A sort of short story 〜 by『Light Song』
垢版 |
2010/08/27(金) 00:00:08ID:+OzCcoam
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男が故郷の星を飛び出して、5年が経っていた。

もう一生、戻らないつもりだった。


眺めていると、吸い込まれそうな気分になる青空。
空を鮮やかなオレンジに染め上げる夕陽。
静謐に輝く月。
神秘的な稲光。

その星で、あらゆる美しい現象を見てきた。
はっとするほど美しい風景は、見慣れたはずの空にあった。


彼は、かつて恋人だった少女のことを思い出す。

彼女と出会った頃、彼は現実の生活に埋もれて、空を見上げることすら忘れていた。

そのことに気づかせてくれたのが、彼女だった。

天空の美しい現象を眺めるとき、彼の側にはいつだって彼女がいた。

.
0029A sort of short story 〜 by『Light Song』
垢版 |
2010/08/27(金) 00:00:56ID:+OzCcoam
.

「いいものを見せてあげる」
そういって彼女は、彼をある場所へ連れ出す。

言われたとおりに頭上を見上げ、彼は、息を飲んだ。

大きな月が、夜空に青く輝いている。
その神秘的な光に、言葉も出ない。

「条件がいいとね、すっごく綺麗に見えるのよ」
彼女は嬉しそうに言う。

「美しい景色って、案外身近にあるものなんだよ」


彼女はいつだって突然に、彼を誘う。

――ね、夕陽を見に行かない?
――今日、流星群があるって、知ってた?
――回り道しようよ。きっと、いいものが見えるよ。
――夕立ちは好きだよ。止んだ後、きっといいものが見られるからね。

その悉くが、言葉に出来ないほど美しいものを、目の当たりにする経験となった。

そして、そうしたものを見つめている彼女の目は、比喩でなく「輝いて」いた。

彼は、そんな彼女が、好きだった。


♪ ♪ ♪
0030◇BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/27(金) 00:01:46ID:+OzCcoam

↑ここまでです
規制中なので代理投下をお願いしています
長々とすみません、あと1回で終わりです
0031A sort of short story 〜 by『Light Song』 ◆BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/29(日) 18:14:44ID:yWcvnAmD


目的の星がレーダーに入ってくる。
もう少しで視認できる距離になる……

その時、後部座席がもそっと動いた。
振り返ると、ミクが顔を上げてモニターを見ていた。

「大丈夫なのか?」

声をかけると、にっこり笑った。
若干、生気が無かったが、それでも嬉しそうな顔で、モニターに映る星の光を目で追っている。
その健気な表情に、チクリと胸が痛む。

もう少しで着くからな――
そう言おうと思った矢先、じんわりと滲むように、コクピットの中に音が満ち始めた。

モニターには星が無数に見えている。
その星たちの光が音を奏でているような、不思議な感覚。

はじめは、微かな音。
質量のある物を地面に落とすような、くぐもった低音。
それが、規則的に打たれている。

ヨットが、星の重力に引っ張られて加速する。
通常なら、ラムジェットを逆噴射して制動をかけながら、周回軌道に載せるべきなのだ。
しかしその時は、なぜかそうしなかった。
自由落下に任せて、一刻も早くその星に辿り着きたかった。

低音に、シンセサイザーのような音が重なる。
音は、速度と同期して、速いBPMで流れている。
心臓の鼓動が、それにつれて早くなる。

得体のしれない焦燥感が、彼を支配していた。

――“病人”のミクを乗せているためか?

たぶん、そうじゃない。

着いたら……そこへ着いたら、やりたいことがあるんだ。
探したい奴がいるんだ。
謝りたい奴が、そこに居るはずなんだ。

彼はディスプレイを油断なく見つめ、軌道を整えながら、ヨットを落下させていく。

成層圏に突入する。
いつものミッド・シップの3倍くらいの衝撃が、彼らを包む。


♪ ♪ ♪

0032A sort of short story 〜 by『Light Song』 ◆BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/29(日) 18:16:28ID:yWcvnAmD

念願叶ってスペースシップのクルーになった。
近傍の惑星に行って簡単な講習を受けた後は、船に乗って実務をする。
生活の拠点を外星に移すことになる。

彼が故郷を離れる日。
彼女は見送りには来なかった。
来るはずがない、知らせなかったのだから。


別れは、言わなかった。
出会いも突然なら、別れも突然訪れるもの……そう勝手に決めつけた。

もしも別れなんて切り出したなら、彼女はきっと、愚直に彼を待ち続けることだろう。

それは彼女にとっての幸せじゃない。自分のことなど忘れてくれればいい……。
彼はそう考えていた。

けれど、それは彼の独りよがりだった。
そのことに、今更ながら彼は気づいたのだった。

気づかないふりをしていたのかも知れない。
彼女の、まっすぐに輝く瞳。
それを見ながら話すことから、彼は逃げた。

.
0033A sort of short story 〜 by『Light Song』 ◆BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/29(日) 18:18:12ID:yWcvnAmD

ミクの歌声は、彼に忘れがたい印象を与えた。
それが何故なのか、彼はようやく知ることになる。

ミクの声は、彼女の声にとても似ていた。
しかし、そのことにすら気づくまでに今までかかった。

故郷の未練を振り払うごとく、彼は無意識に、思い出さないようつとめていたのかも知れない。

――オレは、なんて愚か者なんだ。

自分自身に呆れ果てつつ、ディスプレイに映る青い惑星を眺める。


彼女は、身近なところにある素晴らしいものを発見する才覚に優れ、またそれらを大事にしていた。
当時の彼には、その感覚は分からなかった。
それ故に、彼女の感覚は単なるノスタルジーに過ぎないと思っていた。

――宇宙へ、未来へ飛び出す人類に、そんな後ろ向きなものは必要ない。

そう思っていた。

けれどその心の奥底で、彼はそんな彼女を尊敬し、あるいは怖れていたかも知れない。

目の前にある事象を素直に受け止めるということは、実は難しいことだ。

故郷を後にして宇宙船乗りになった今、彼は故郷に一度も帰ったことがない。
帰ろうと思えばいつでも帰れる距離にいるのに、故郷に帰らないのは、
彼が夢を実現できずにいることに対する気まずさがある。


帰ってしまったら、“負け”を認めたことになる。
だから、帰るわけにはいかない。

でも。
本当に、そうなのだろうか?

古臭くて発展性のない、滅びゆく存在と見限った彼の故郷。
帰ったら、幼い頃に馴染んだ風景や空気が、彼を包むだろう。
それは、夢敗れたことなど不問にして、彼に何かしらの感傷を与えるに違いない。

その居心地の良さに、彼は二度と宇宙へ出ていくことは無くなるかも知れない。
宇宙へ出ていくことは、彼の幼い頃からの悲願だったのだ。


♪ ♪ ♪

0034A sort of short story 〜 by『Light Song』 ◆BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/29(日) 18:19:50ID:yWcvnAmD

突然、なんだか分からない強烈な衝動が、彼を襲った。


彼の頭に、声が聴こえる。
よく知っている、少女の声。


――(大切なモノとか、美しいモノはね。)

その声に、ミクの声が重なる。

――(じつは、とっても身近にあるものなんだって。)

いつの間にか、ミクは音に合わせて歌っている。

――(危険な目に遭わなくたって、高いお金を払わなくたって、)

フリーライブと、通信で拾ったときに流れていた、あの曲。

――(案外、簡単に手に入るものなんだって。)

心拍数と呼応するように、ますます早まるBPM。

――(でもそれは、『簡単』ではあっても『カンタン』じゃない)

爪先まで響き、疾走するトランス・ビート。

――(『お手軽』っていうのでもない。けど、『身近』にある。)

頭の中を、優しく撫でるように、ミクの高音が駆け抜ける。

――(在るのに気付かない。見えていないだけ、なんだって。)

エッジの効いた矩形波が、高揚感を駆り立てる。

――(『神は小さな所に在り』ってね。)

船が成層圏を抜けた。


♪ ♪ ♪
0035A sort of short story 〜 by『Light Song』 ◆BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/29(日) 18:22:10ID:yWcvnAmD

    君に会えたキセキは
    想い出なんかにしない
    また笑い合って
    繋いだ手は離さないよ……


着陸態勢をとりながら、彼は思う。

――ミクをエンジニアセンターへ届けたら、あいつを探そう。

彼女はもしかしたら、彼のことなんか忘れたかも知れない。

でも、それでも良かった。

――遅いかもしれないけれど、ずっと気付かないよりもマシだ。

彼はあらためて、かつて愛していた彼女にもう一度会いたいと思うのだった。

空は5年前と変わらず、美しく澄み渡っていた。



fine
0036 ◆BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/29(日) 18:42:28ID:yWcvnAmD
↑おしまいです

以下、元動画のクレジット

[オリジナル]
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm3055567
ttp://www.youtube.com/watch?v=b5UXnoAnqCA&feature=related
作詞・作曲はkzさん(Live tune)

[リミックスver.]
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm4440718
ttp://www.youtube.com/watch?v=PH4nvtv-wdQ
ミックスは鼻そうめんP

[さらにリミックスver.]
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm7242565
ttp://www.youtube.com/watch?v=xxnDqcIV3yo&feature=related
ミックスは同じく鼻そうめんP
0037 ◆BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/29(日) 18:50:24ID:yWcvnAmD
うーん、正直ボカロSSとしてはイマイチでしたね……
有名曲なのに……お恥ずかしいです


この曲、実は初めて聴いたときは「DLするほどでもないなー」くらいに思ってました
けれどリミックス漁ったり聴き比べたりしながらしているうちに、大好きになりました!

綺麗なオケが聴きやすく、歌詞も素直な感じでとっても良いですよね!
オリジナルも2バージョンのリミックスも、それぞれ良さがあって最高です

余談ですが
ttp://www.youtube.com/watch?v=-XpDMtn3f3A&feature=related
こっちはエレピが聴こえないのですが、イラストが気に入ってます
どなたが描いたんだろ?
0038 ◆BY8IRunOLE
垢版 |
2010/08/29(日) 18:56:52ID:yWcvnAmD
代理投下していただいた方々、本当にありがとうございました!
長期規制と諦めてたのですが、解除されたみたいです
お手数をおかけしました

読んで下さった方、ありがとうございました!
拙いモノですが、もしもアドバイス等いただけたら……これほど嬉しいことはありません!


人が居ないのは規制のためか、はたまた自分のせいかわかりませんが……
また何か書きたくなったらお邪魔するかもです

では、失礼します
0039創る名無しに見る名無し
垢版 |
2010/08/29(日) 21:09:08ID:BA+d+jZ1
400 :名無しさん:2010/08/29(日) 20:48:04 ID:0S4.icRY0
>関連キャラスレ
見てるよー 書き込めないけど・・・
ボカロ関連でもSSはめったに探しにいかないから新鮮だよ
できれば続けて欲しい
0040創る名無しに見る名無し
垢版 |
2010/09/08(水) 01:59:23ID:8stURwtA
>>人が居ないのは規制のためか、はたまた自分のせいかわかりませんが……

ここはVOCALOIDの「関連キャラ」(亜種やオリキャラなど)がメインの掲示板だから、
初音ミクのみで話が進み、ネルハクも他のキャラたちも出てこないとなれば
反応が薄かったり、新しい話題が出るまで離れる人が増えてもそれは自然な流れだと思う。
(リンレンが中心の掲示板でミクしか出ないSSを書いたようなもの)

もしSSを続けるのなら、スレタイに合わせて亜種などをメイン級に配した作品にするか、
別の場所に書いて、ここにはリンクのみ張るのがベターだと思う。
多分その方が、みんな作品の良否について触れやすくなるんじゃないかな。
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