今度は目を輝かせながら話し続けるシャン子。
『知らないパンダしゃんでしゅ。体はおっきいのに顔だけが見えないでしゅ。
 
 (大丈夫かいシャン子。もう怖くないよ。僕はいつもお母さんとシャン子を近くで見守ってるよ。)
  
 って言ってシャンの頭ナデナデしてくれたでしゅよ! でも誰でしゅかね?』


シャン子はそう話すと、夢で見た大きなパンダに実際に会いたいと言った。
会ったらお礼が言いたい・それまで預かってほしいと、僕に1本の細い竹を託した。

僕は大きなパンダが誰だかすぐに分かったが、あえてシャン子には話さなかった。

夕方、僕は同じパンダ舎内の彼の所に行って昼間の話をし、預かり物を渡した。


今日は6月の第3日曜日。
一人娘からの小さな竹を手に取った彼の目からキラリと光ったものが落ちたのを、僕はずっと忘れないだろう。