自民党総裁選 自民党茨城県議団、安倍晋三首相を支持 石破茂元幹事長から転換
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 安倍晋三首相(自民党総裁)と石破茂元幹事長が立候補した党総裁選(20日投開票)で、同党茨城県連所属の県議でつくる県議会会派「いばらき自民党」は安倍首相の支持を決めた。
平成24年の総裁選では同県内で人気の高い石破氏を推薦したが、今回は地方創生担当相として入閣している党県連の梶山弘志会長の意向が強く反映された結論となった。

 「今回は安倍首相を推してほしい」

 8月24日に開かれたいばらき自民党の議員会で、梶山氏は集まった県議らにこう語った。
議員会では、拉致問題や憲法改正など山積する政治課題に対し、「政権継続が望ましい」と安倍首相を支持する方針を決めた。

 安倍首相と石破氏らが争った24年の総裁選では、梶山氏は石破氏陣営の一員として安倍首相と対峙(たいじ)した。県内では石破氏が1万5千票以上を集めて約1950票の安倍首相に大差を付けた。
地方票(計300票)で茨城県に割り当てられた10票のうち8票を石破氏が獲得し、県内は石破氏の支援ムード一色だった。

 そのため、今回の「方針転換」に対して県議の間には戸惑いもあった。石破氏は県民から人気が高く、選挙協力をあおいできた県議も少なくない。「首尾一貫して石破氏を推すべきでは」と考える県議もいたという。
こうした事情を踏まえ、今回は「県議団として安倍首相を支持する」という方針にとどまり、党県連の各地域支部や党員らは「自主投票」とする形で決着した。

 梶山氏が安倍首相支持を打ち出した背景には、梶山氏の閣僚としての立場に加え、安倍政権の中枢を担う菅義偉(すがよしひで)官房長官の存在が大きいとみられる。

 菅氏は、梶山氏の父、梶山静六元官房長官を「政治の師」と仰ぎ、大きな影響を受けてきた。菅氏は自身の官房長官初就任や梶山氏の初入閣の際には、多忙なスケジュールの合間を縫って、
同県常陸太田市まで静六氏の墓参に訪れるなど、静六氏が12年に死去した後も強い結びつきを保っている。

 政権の要として安倍首相を支える菅氏と特別な関係にある梶山氏が、政権継続の意思を表明したというのが衆目の一致した見方だ。

 一方、県議らは12月に見込まれている県議選に向けて動きを活発化させている。大きな“失点”のない安倍政権を支持することで、スムーズに選挙戦を進めたい考えも見え隠れする。
ただ、ある党県連関係者は「方針転換を支援者らに理解してもらうのは苦労するかもしれない」と危惧しており、今回の決定が選挙戦に与える影響は不透明だ。

 石破氏は、議員票で優位に立つ安倍首相に対し、党員票の掘り起こしを狙う。
「茨城県内の党員票は割れるのではないか」(党県連幹部)という予想も出る中、どのような決着をみるのか−。

 石破氏は自身のホームページ上で公開している各都道府県向けPR動画の中で、室町時代に編纂(へんさん)されたとされる書籍「人国記」を引用して茨城の人たちをこう評している。

 「昨日味方にして今日敵となるものは千人に一人もなし。義に厚い、実直な茨城の人々を表したものだ」

(水戸支局 丸山将)