プロッフェショナル 仕事の流儀
「小野俊之 〜全日本選抜競輪出場への闘い〜」

彼には夢があった
地元の全日本選抜競輪出場だ
「ただ乗るだけじゃなくて決勝に乗りたい」
「俺の競輪人生の集大成になるけん」

かつてのGP覇者も近年は精彩を欠くようになった
厳しい位置取りは健在だったが追い込む脚がなくなっていた
番手をまわる小野を3着にした車券がよく売れた
去年はとうとうA級に落ちた
九州の後輩が位置を譲らなくなった
私生活でも家族と別居した
家を売却にかけたが売れなかった
酒やパチンコに溺れた時期もあった
そんな男の闘志に再び火をつけたのが2019年2月
地元別府競輪場で全日本選抜競輪開催の一報だった

夢の実現には2018年6月から11月までの期間で108点が必要だった
練習計画を立てて選考期間の6月にピークを持っていくことにした
6月がやってきた
第一戦の佐世保F1は決勝に乗り、目標の点数を確保した
「まだ満足していない。F1なら優勝しないと」
しかし第二戦の福井F1で決勝進出を逃し競走得点を大きく落としてしまった
これが焦りを生んだのか第三戦武雄では狭い所に無理に突っ込んで落車してしまった

帰郷した小野は気丈に振る舞っていた
「俺の挑戦はまだ終わってないけん」
「練習のやり方を変えてみます」
小野はそう言うと颯爽とパチンコ屋に入っていった