【つづき】

カリスマ先生のメッキが剥がれてゆくほどに信者達は他者から嘲笑(ちょうしょう)されるように
なりますが、彼女達は嘲笑に耐えられません。それを受け入れれば精神が崩壊してしまいます。

だから、心の奥に生じた疑念が募れば募るほど、そして不安がふくらめばふくらむほどに、より一層
「あの先生はすごいんです!あなたも私たちの仲間になりませんか?セミナーのお申し込みはこちら
から!」と布教活動に熱心になります。

自分と同じ人、同じことを信じてくれる仲間が増えれば増えるほど安心することができるからです。
いくつものセミナーやコンサルに熱心に通ったり、カリスマ先生の信者になるような人達は、なぜ
「お金を払いさえすれば教えてもらえる安易な成功法則」に飛びつくのでしょうか?

それは、彼らの人生がパッとしないから。
真っ当な方法では報われず、今の社会のシステムの中では成功できず、高い評価を受けたことがない
ので、バーチャルな世界で一発逆転の成功を夢見ているのです。

バーチャルな世界ってなんでしょうか?
ここでは、講師達が信者を引き付けるために演出している見せかけの世界のことです。

「私の話を聞けば誰でも成功できますよ」「辛いことはしなくていいんです。自分が
楽しんでいれば私のように幸せを引き寄せ、お金に愛されるようになります」と宣伝
してカモを引っ掛ける商売をしている人たちは、常にモテモテのふり、パートナーに
愛されているフリ、家族との関係が良好なフリ、望みがなんでも叶うフリ、仕事が高
い評価を得ているフリ、稼いでいるフリ、セレブ生活のフリを演じ続けなければなりません。

自分自身が広告塔なので「素敵な生活をしていて人生を目一杯楽しんでいる幸せな自分」
をアピールするのが仕事です。

けれど、誰であろうと人生には山と谷があるもので、そんな風に調子がいいだけの人生は
実際にはありえません。

ありえないのだけど、信者ビジネスではカリスマが落ち目だと知れるや否や蜘蛛の子を散
らすように信者が逃げて本当に転落してしまうので、嫌でも演技を続けなければいけないのです。

セミナー講師もその取り巻きである信者達も、根っからのイタイ人たちではあるけれど根が悪い
人たちではありません。それなのに、自分のイタさを隠そうとするあまり、結果的に周囲を欺き、
他人を騙すことになってしまうのです。