和田秀樹が大学受験評論の仕事を初めて間もない頃に書いた『受験は要領』『数学は暗記だ』『試験に出る参考書』などが出版された時期は
90年前後で、当時は受験競争が非常に厳しい(今なんかとは比べものならないくらい)時代であった。
それを物語るように、当時のエール社出版から出された『東大合格体験記』『京大合格体験記』『早慶合格体験記』に寄せられる体験記を見ると、
ものすごい数の参考書が挙げられていた。
 例えば、英語の参考書というと、『英文解釈教室』『英文読解講座』『英文標準問題精講』『英作文実践講義』『英文法標準問題精講』そして単語集・熟語集、
なんてことは珍しくもなかった(ちなみに、文系科目の参考書の数だけなら『東大合格体験記』よりも『早慶合格体験記』のほうが多く載せられていたと記憶している)。
 数学・物理の参考書では、『大学への数学』『新・物理入門』『坂間の物理』が当たり前のように体験記に載せられていた。

また、多浪生も現在と比べると半端なく多かった。

そして、むかつくことに、和田が大学時代だか研修医時代に小遣い欲しさで本を書いてみたところ、その本が大ヒットしてしまった。
その本が『受験は要領』『数学は暗記だ』etcだったらしい。

言うまでもなく、その後も和田は受験ハウツー本を出し続けた。