もともと、下町に対する山手(やまのて)にちなんで「やまのてせん」が正式な読み方だったが、
國有鐵道線路名稱には読み方が明記されなかった。

終戦直後のローマ字併記のさいに、
内々で使われていた略称「ヤマテ」に影響されたか、図らずも「YAMATE」と誤記され、
このために、国鉄職員はもちろん、一般の利用者にも「やまてせん」を使用する人が増えた。
「他人事」を「ひとごと」ではなく「たにんごと」と読む人が多くなったのと同様に、
漢字をそのまま読んだ呼び方が普及するのは道理でやむを得ない部分はある。

ただ、正式名称「やまのてせん」が公式に変更されたわけではない。

後日、日本国有鉄道公示による線路名称変更に際し、根岸線の山手(やまて)駅との混同を避けるために、
読みの併記にあたって本来の正しい読みである「やまのてせん」が改めて確認され、「やまて」読みが排除された。

こんな感じだな。

ちなみに、戦後に全通した環状6号線「山手通り」は、
誤った読みの「やまてせん」の外側ということで、「やまてどおり」が正式名称。