客車の再評価 -50系誕生前夜動力方式検討の経緯- (鉄ピクNo.785) より抜粋

・通勤用車両に必要な条件としては、停車時分を短くできる出入口構造が望ましいのは当然で、電車のようにドア幅とドア数を増やせれば
 良いのだが、客車区間はホーム高さが低いので出入口にステップを設ける必要があり、中央にドアを増設するには側梁を切り欠く
 大改造になって現実的でなく、前後のドアも手動の狭い開戸でラッシュ向きではない。
・通勤用車両は朝夕のラッシュ時に走行するだけのものが多く、日車キロが少ないので資本費の安価な客車を投入することの効果が
 大きい。
・気動車を多用すれば経費が増加するので、経営計画室の神代邦雄氏がさらに分析した結果を引用すれば、
  1.直流電化区間は12両以上で客車が有利
  2.交流電化区間は10両以上で客車が有利
  3.非電化区間は5両以上で客車が有利
 という指針を出し、非電化区間を中心に老朽化した旧型客車の置換えに、50系客車の導入が始まった。
・通勤用車両に冷房装置を装備することは電車では一般化していたが、ローカル列車で主として朝夕しか運転しない客車に冷房装置を
 搭載するためにはディーゼル発電セットを床下に装備することになり、コスト面でDCに近くなって経済性を損なうため、非冷房で誕生
 することになった。
・乗降時分の短縮は必要な条件であり、ドア幅を広げてドアエンジン付きの引戸とし、デッキは設けるものの仕切戸の幅を広げ、仕切に
 近い部分をロングシートにしたセミクロスシート構造にして、乗り降りしやすいように改善された。