旧国のほとんどが、高速運転では乗り心地が悪くなる傾向にあったのに対して、80系は座席のほとんどがクロスシートだったせいもあるかも知れないが、90キロくらいの高速でも乗り心地が悪化せずに、むしろ滑るような快適な感じがあった。

高速で走っても、あまり揺れがひどくはならない。
初期のDT16では、枕バネの板バネの踏ん張りの限界なのか、たまにゴツゴツ突き上げるような軽い揺れが発生するものの、ひどくはない。
DT17やDT20はオイルダンパ併用のコイルバネで、そのような揺れの発生もなく、無駄に揺れる感覚はほとんどない。
クハやサハは騒音や振動も少なく、不快感はなかった。サロやその改造車は、コイルバネがより柔らかい設定で、快適。

録音を聞けばわかるが、80キロを超えるとモーターの唸りは小さくなり、90キロを超えるとかすれるようにかすかな唸りになる。
もちろん、性能的には90キロ域でも充分に加速するから余裕はある。高速度試験では1955年2月17日に125km/h(屋外計測値124.1km/h)の記録もある。

初期車のシートピッチは113系等の初期車と同じ1400mmだそうで狭かったが、狭い垂直背ずりなりに、それまでと違い、下半分の布団が徐々に厚みを増す構造を本格採用するなど、開発当時なりの工夫が、体にフィットする感覚をもたらしていた。

このスレで、80系はたいした車両ではないという論調を見かける時があるが、それは一面真理ではあるけれども、キメ細かい工夫と高速運転にも勾配区間にも使える性能こそ、この80系のキモだ。

そんなことを感じながら、走行音数種を楽しませてもらった、