三角屋根の西鹿児島駅を出ると、花時計が迎えてくれた
火山灰が降るのによく花が咲くなあと感心したのを覚えている


鹿児島の大地に降り立って思ったのは、兎に角『暑い』ということ

汗をタオルで拭きながら西鹿児島駅前の市電停留所に向かうと、
濃緑と黄色のツートンカラーの昭和30年製の電車が低い唸りを上げて客待ちをしていた


火山灰で汚れたその車両は、冷房が付いていない
8月だというのに


側面だけではなく正面の窓も全開にして、電車は鹿児島駅方面へ走る


信号待ちで停車すると、ウィーンというモーター音だけが響く
鹿児島人はシャイなのか誰も喋らない


全開の窓からセミの鳴き声が聞こえてくる


そして、電車は再び鹿児島駅に向けて走り始める
火山灰を巻き上げながら