ますます広がる日本社会の格差。その日暮らしを強いられる年収100万円程度の人たちは、 
過酷な環境下でどのように過ごしているのか。今回は年齢とともに過酷さが増す中高年に注目。 
社会から見捨てられた漂流者たちのリアルを取材した。 


リアル天気の子の末路は中年マクドナルド難民 

 世の中に報われない努力があるのは事実だ。しかし、貧しい生活を強いられる状況は「努力不足による自己責任」と言い切れるのだろうか。 
日雇い労働などの不安定な雇用と低賃金を理由に、
本来なら寝泊まりが禁止される貸倉庫やゴミ屋敷化したネットカフェに住む人々の存在を報じ、 
読者から「貧困は自己責任」、「役所を頼れ」といった厳しい声が多数寄せられるなど、多くの反響を呼んだ。 

 貧困問題について年間500件の相談を受ける社会福祉士の藤田孝典氏は、雇用の質の低下が漂流に?がっているとも話す。 

「中高年の貧困者の多くは、職を失う恐怖があることから仕事に対してまじめな人が多い。 
しかし、有効な求人票はブラック企業ばかりなので、 
職場環境に耐えきれず、うつ病を発症したことで難民化するケースは数え切れません」 

 大ヒット映画「天気の子」でも、主人公がネットカフェやマクドナルドを漂流するシーンが描かれていた。 
平田正治さん(仮名・43歳)は、運命の女性と出会わなかった場合の主人公の20年後か……。 
平田さんは専門学校卒業後、契約社員として複数のブラック企業を渡り歩いた。4年前、ついにうつ病を発症。 
現在、昼は派遣バイトで働き、夜はマクドナルドで寝泊まりしている。