様々な理由があるけど、大きい理由がトランプ元素。鉄と同等以上に酸化しにくい元素で、主に銅、ニッケル、クロムなど。これらを効率よく除去する精錬方法はない。脱炭や脱リンは可能でも、脱銅は困難。電気炉の素材はスクラップだが、これらの元素が含まれる可能性は高く、分別は大変な労力がいる。仮に車から電気炉のスクラップを得ようとすると、種類ごとに解体分別し、配線は鉄と混ざらないようにしなければならない。これらは人手で行うしかなく、コストがかかる。現状は、素性のはっきりしてるスクラップを用いるしかない。これに対して、高炉の原料は素性のはっきりしてる鉄鉱石だから、スクラップのような分別は不要で、精錬しやすい。
ただし、最近はスクラップの選別や管理の技術開発の結果、電気炉で作られる鉄の性能は向上している。原材料費だけでみれば、鉱山が不要なスクラップのほうが優位になりやすいし、エネルギーコストも段違いに違う。
鉄鉱石やスクラップの価格にも大きく左右されるし、設備的にも課題があるけど、精錬的にはこんな感じ。