たとえば、公害事件は有名だろう。
水俣病を引き起こした会社は、自分たちの工場の廃液が病気の原因と気づきながら、
何年間も川に垂れ流し続けた。
国も、それを認め続けた。そのほうが、経済成長につながると思ったからだ。
具体的な人間や、自然環境の破壊はおかまいなしである。
環境や人間の健康といったものはお金には反映されないから、それらが被害を受けるこ
とで本当は「不経済」となっても、無視されがちなのだ。
これは、自然環境を保護したり、人間が死なないように労働させたりといった、本当は
会社が負担すべき「コスト」を無視し、それを労働者個人や社会に押し付けているだけで
ある。