レオタードを着たいという夢が断たれて追い詰められた私は遂に行動に出ることを決めました。
学校から貸与される大会用のレオタードは年に1度配られるとき以外普段は用具倉庫に保管さ
れていることを、私は突き止めていました。

放課後、部活で生徒が倉庫に出入りすることは不自然ではない状況でした。何かの用事の時、
倉庫近辺に誰もいないことを確認して、箱をいくつか開けてみてレオタードの在り処を突き止
めました。そして素早く一着を取り出して制服の内側に隠し、トイレに入りました。

憧れのレオタードがとうとう私の手元にある。どきどきしながらじっくりと手触りを確かめ、
表や裏の縫い目を観察し、匂いを嗅いだり、引っ張って伸ばしたりとしばらく弄んでいました。
罪悪感もあり、いきなり着るという決心がつかなかったのです。