ジュニア体操クラブには、一人一人、次々と女子たちが入会してきた。
初回は、どの女子もレオタード姿でレッスンをする女子スクール生に心を奪われてしまい眩しそうに見る。
入会するときに、クラブ指定の体操レオタードを購入するが、届くまでに数週間かかるので、しばらくの期間は、学校の体操服を着て健気にレッスンを受ける。
新しく入った女子たちは一様に、一人だけレオタードを着ていないことに疎外感や後ろめたさを感じているようだった。
ひとり体操服でレッスンをする彼女たちの心の内を察すると、胸がドキドキするようになってしまった。
なぜならば、3〜4週間目には、どの女の子だって指定ユニフォームを着る運命になるからだ。
やがて、学校の体操服を着ていた女の子たちは例外なく、3色カラー切り替えの長袖レオタードをぺったり≠ニ肉体に張り付かせてしまい、ぼくを悶えさせた。
そして、顔見知りになった女子スクール生に初めてのレオタード姿をはにかみながら披露する光景を見せつけられることになる。
そのうちに、ほかの女子スクール生と同じレオタード姿に一体感が生まれて、徐々にレオタードを着せてもらえたことに誇りを感じていくようだった。
最初は照れまくっていた女の子が、レッスンが終わる頃には、レオタードの艶かしい光沢に包まれた幸せと滑らかなフィット感を知ってしまう。
ぼくがどれだけ思い焦がれても手にすることが出来ない長袖レオタードを着る経験を済ませたと思うと、ひたすら妬ましかった。