□□□ A・ドナフスカ □□□

B・パノバのブルガリア国内におけるライバル的存在。
パノバが「静」ならばドナフスカは「動」、と称されるように情熱的な演技が印象的だった。
新体操といえば女性的な演技を連想される事が多い中、彼女の演技は時に「異端」と言われる。

しかし運命の1988年ソウル五輪。
「金メダル確実」と言われていた同国の代表 B・パノバが痛恨のミスで優勝争いから脱落。
新体操王国ブルガリアの命運は、第2代表であったA.ドナフスカの双肩に託された。
そして、彼女は意地と誇りをかけて、知名度・実力共に自分を上回るM・ロバチを相手に、
ドクターストップがかかる程の怪我を負いながらも勇猛果敢に立ち向かう。
その、見る者の胸を熱くさせた魂の演技はブルガリア新体操が突然見舞われたこの窮地を救い、見事貴重な銀メダルを獲得する。
彼女の神がかり的とも言える脅威の追い上げは、優勝したM・ロバチに対してわずか「0.05」という得点差が示している。
恐らくロバチは、パノバがミスを犯した時点で自分の優勝を確信していたに違いないが、そのわずかな気の緩みを見逃さずに
決死の戦いを挑んだドナフスカの裂帛の気合は、ロバチを精神的にも肉体的にも追い詰めた事は想像に難くない。
表彰台に上ったドナフスカの穏やかな表情に比べて、笑顔こそ浮かべているものの憔悴しきったロバチの表情が印象的であった。

このページをご覧になっている皆さんに想像して頂きたい。
「日本が柔道で一度も金メダルを獲った事が無い。」「アメリカがバスケットボールで一度も金メダルを獲った事が無い。」
「韓国がテコンドーで一度も金メダルを獲った事が無い。」「ソ連が体操で一度も金メダルを獲った事が無い。」
「カナダがアイスホッケーで一度も金メダルを獲った事が無い。」という事が現実に起きていたら?
そう。ブルガリアの国技である新体操において「 金 」はおろか「 メダル 」を獲得した者は、
このソウル五輪から20年近くを経た現在においてもまだ1人として存在しないのだ。
A・ドナフスカ。
彼女が己のすべてをかけて勝ち取ったこの銀メダルこそ、
新体操王国ブルガリアが今日まで五輪の新体操で獲得した「唯一の」メダルなのである。


抜粋したものだが、いい文章を読んだ。
新体操の事を良く分かってそうだ。
てっきりペトロバあたりはメダルを獲ってたとばかり思ってたが獲ってないんだな。
同世代にセレブリアンスカヤよビトリチェンコが居たから無理だったのか。