そしてもう1つ。小泉が待機席に戻る途中で映像は切り替わり、
観覧席の拍手の様を映しているのだ。なぜあえて、観覧席を
映した場面を予告映像に選んだのか。口元を緩めて拍手する
観覧者も少なくない。観覧席の好反応は、小泉の試合内容が
良い証と見るのが妥当。小泉をチャンピオン戦線の一方の雄に
あげたい。では寺下のシーンからは何がうかがえるか。寺下の
キレのあるジャストストライクに、解説の丸山プロは力強く「来た
ああっ!」実況の小川アナも「おおーー、来ましたよ」と、このスト
ライクが何らかの大きな意味を持ったことを示している。しかし、
寺下の表情は戦闘モードとは違った、何かヘラヘラとした感じだ。
後半に差し掛かる勝負所では、寺下の表情はグッと引き締まる
のが、過去の試合。ヘラヘラ笑いが意味するものは、このシー
ンを深掘りすることで見えてくる。1つは寺下のボールが、直前
の第78戦決勝戦のボールと違っていることだ。スコア231で
圧勝したボールをなぜ変えたか。この試合では、当初は決勝戦
と同じボールを投球したものの、左のレーンでストライクが思う
ようにとれなかったから、ボールを換えざるをえなかったのだ。
もう1つは観戦中のPリーガー達の様子。寺下のジャストストラ
イクにも、Pリーガー達は涌いていない。どよめいてもいない。
この収録をもって勇退する姫路は、万感の思いで戦況を見つ
めているはずだが、別格の後輩と目を掛ける寺下のジャストス
トライクにも表情を崩さない。そして決定的なのは熊本。寺下の
テイクバックの動作中に、何と居眠りをしているのだ。アマチュア
で新人Pリーガーの熊本が、緊張感無く居眠りをするぐらい、寺
下のそこまでのプレーが凡庸で、見せ場も魅せ場も欠いていた
ということを表している。寺下のヘラヘラ笑いは、左のレーンで
やっとジャストストライクが来たという、自嘲気味の心の内の現れ
だ。シーズンチャンピオンは小泉だ。後半ようやく左のレーンを
合わせることができた寺下は、小泉には届かなかったものの、
森を引き離すには十分の終盤の追い上げを見せて2位。初チャ
ンピオンの夢破れた森は、試合間隔が開きすぎて調子を決戦に
合わせることができず、後輩2人の後塵を拝しての悔しい最下位
に終わった。


自らも   絶対女王松永も  Pリーグ四美神の大石も
見た目によらず気持ちが強いと   口を揃えて小泉を評す
しかし   視聴者やファンは   語られるほどの強さを感じない
アマチュア時代は   実は   目に見えた成績を残していない
プロ転向後も公式戦優勝はなく   いつの間にか結婚し
公式戦はおろか   チャレンジの機会すら激減
Pリーグで優勝を重ねても   シーズンチャンピオンに輝いても
全てはホームアドバンテージの一言で片づけられて
小泉奈津美には   いつも期待外れ感   尻すぼみ感だけが付きまとっていた

2019年シーズン   小泉奈津美は何かが変わった
新狭山への転属    KUWATA CUPと宮崎プロアマオープンに参戦
最近ではファンの前で  ブルゾンなつみを演じるリミッターの振り切れ様
本間・霜出・大嶋と優勝者が次々と誕生していく様を
遠目で見ているだけの日々はもう終わり
リアル逆襲のベイビーフェイスの勇姿を  目撃せよ!

小泉    2.1 
寺下    2.3 
森      3.0