たばこ「1箱1000円計画」は必ず失敗する

 愛煙家はイライラを募らせ、ついもう1本吸ってしまったに違いない。たばこ増税を目指す「たばこ
と健康を考える議員連盟」。自民党の中川秀直元幹事長や民主党の前原誠司副代表ら与野党幹部が名を
連ね、「1箱1000円を目指す」と息巻いている。この連中は、正気なのか。

 愛煙家は1箱あたり約190円、年2.2兆円もの税貢献を果たしている。消費税1%分だ。それな
のに感謝もされず、近頃は喫煙場所を制限されて肩身が狭い。それに追い打ちをかけるように、1箱1
000円で9.5兆円もの税負担を押し付けるとは、冗談じゃない。

 1日2箱の愛煙家である独協大教授の森永卓郎氏は「1000円に値上げされたら、死ぬまでに吸う
たばこを全部買い占め、冷凍保存する。値上げ品は一切買いません」と宣言するが、実際に「1箱10
00円で税収増」なんて絵に描いたモチだ。

「議連は『消費量が3分の1に減っても、3兆円の増収が見込める』と皮算用をしていますが、安易な
発想です。03年と06年の増税の時には、たばこ離れが例年の2倍以上も加速。結局、03年度から
07年度にかけて326億円も税収を下げました。増収効果が得られないのに値上げなんて単なる喫煙
者イジメ。75歳以上老人を差別する後期高齢者医療と同じ。マイノリティーを排除するファシズム的
]発想です」

 中川のような億単位の政治資金をカキ集める金満政治家なら、1箱1000円はちっとも痛くないだ
ろう。だが、年収200万円以下のワーキングプア層にも、ストレス発散と癒やしをたばこに求める喫
煙者はいる。

「経済的に手が出せなくなり、『たばこすら吸えないのか』と、ますます“負け組意識”を植え付けるだ
けです。自暴自棄となって、秋葉原の通り魔のような“ハネっ返り”が続出する恐れすらあります」

 1000円超の高価になれば、北朝鮮などのヤミたばこが流通するのは確実。安価なドラッグに走る

ヤカラも増えるだろう。取り締まろうとすれば、使われるのはまた税金。まったくの悪循環だ。

 サラリーマン愛煙家だって“シケモク漁り”にいそしむハメになる。社内の愛煙家がイライラを募らせ、
“もらいたばこ”の同僚とケンカなんて、会社の雰囲気も悪くなるばかりだ。こんな生きにくい国、アナ
タは住みたいですか。