驚愕の深層レポート 新たなる公安組織< T・S >の全貌 後編
政・官情報をメディアに還流させ"事実"を作る
諜報機関の「真の目的」 青木理(ジャーナリスト)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/1026
 『日本の公安警察』の著者が辿り着いた、誰も触れたことのない「世論誘導装置」

 諜報機関・公安警察には「オモテ」と「ウラ」の極秘部隊が存在する。オモテの<I・S>が集める政界情報は、一見、他愛ない四方山話だ。が、その
情報量でメディアを手玉に取り、"世論"を作っていたとしたら・・・。
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[取材・文:青木理(ジャーナリスト)]

 私が知る複数のメディア関係者の元には、警視庁の公安警察官から電子メールが頻繁に送られてくるという。そこに記されているのは、主に永田町
で飛び交う政界情報だ。

 最近では辻元清美・衆院議員の社民党離党の情報が"速報"された。参院選の期間中には民主党政権の支持率が数日ごとに伝えられ、当選が確実視され
ていた現役閣僚である千葉景子法相の敗色が濃くなる様子も、手に取るように分かったという。

 政局の話題ばかりではない。特定の政治家にまつわる"噂話"が記されることもある。メディア関係者の一人が言う。

「裏付けの取れない情報ではありますが、政治家の女性関係や金銭にまつわるものでした」

 別の夕刊紙記者は、他メディアの記者とともに、某県警の公安警察官を囲んでの"懇親会"を定期的に開いている。主に話題となるのは、やはり政界
関連の情報だ。この夕刊紙記者の話。

「確度の高い情報から噂話の類に至るまで、とにかく永田町情報に詳しいので参考になるんです。特に(創価)学会や公明党絡みの情報は異常なほど精
通していますね。それ以外ではメディア業界内部の動向も良く把握しています。幹部の人事異動や、どの記事を誰が担当したのかなど、私より知って
いましたから」

 広汎なメディア記者と頻繁に接触し、政界情報などを提供する「公安警察官」の存在は、私にとって少々驚きだった。かつて公安警察を長く取材し
た経験に照らせば、幹部はともかく、一線の公安警察官は極めて特殊な分野の情報収集に邁進し、メディアとの接触など忌避するのが一般的だったか
らだ。