僕は彼の話を可なり正確に写したつもりである。

年よりも老い第0101号はまづ丁寧に土下座を見せ、蒲団のない椅子を指さすであらう。

それから憂鬱な微笑を浮かべ、静かにこの話を繰り返すであらう。
最後に、――僕はこの話を終つた時の彼の顔色を覚えている。
彼は最後に身を起すが早いか、忽ち拳骨をふりまはしながら、誰にでもこう怒鳴りつけるであらう。

――「出て行け! この悪党めが! 貴様も莫迦な、嫉妬深い、猥褻な、図々しい、うぬ惚れきつた、残酷な、虫の善い動物なんだらう。出て行け! この悪党めが!」